最近、家裁に起訴される事例も見受けられますけど、
児童福祉法の特別法かもしれないが家裁管轄ではないということでいいですよね。
判例はこういってますが、弁護人は、児童福祉法違反(淫行させる行為)と児童ポルノ製造罪とが別々に立件された場合は、最近の地裁の裁判例(家裁で審理しちゃった)を指摘して、管轄違いを主張してくださいね。被告人に不利になることは絶対ないし、併合の利益が奪われていることは裁判所も認めていますので。実務の感覚として、別々に裁くのはおかしいと思わないか?
東京高裁平成15年6月4日
第1 管轄違い(刑訴法378条1号)の論旨について(控訴理由第1)
所論は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下単に「児変異春・児童ポルノ禁止法」又は「法」という。)は,児童福祉法の特別法であるから,少年法37条1項の適用を受けるので,本件は家庭裁判所の管轄に属する事件であるのに,地方裁判所に起訴されたものであるから,管轄違いであるというのである。
しかしながら,たとえ,所論のいうように,児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪が,少年法37条1項所定の罪の特別法的性格を有するとしても,同項に限定列挙された罪には該当せず,法律に家庭裁判所の権限に属させる旨の特別の規定がない以上は,その第一審の管轄裁判所は地方裁判所又は簡易裁判所である(裁判所法31条の3第1項3号,2項等)。
大阪高裁平成15年9月18日
(1)不法に管轄を認めた違法の主張(控訴理由第20)について
所論は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下,「児童買春児童ポルノ禁止法)」という。)は,児童福祉法の特別法であり,児童買春児童ポルノ禁止法の罪は児童の福祉を害する行為であるから,少年法37条1項の適用を受け,家庭裁判所の専属管緒とされる事件であるのに,地方裁判所に起訴された本件各罪についてこれを看過してなされた原判決には不法に管轄を認めた違法がある,というものである。
しかしながら,少年法37条1項は限定列挙であり,また,児童買春児童ポルノ禁止法違反の罪を家庭裁判所の権限に属させるとする法律の規定も存しないから,児童買春児童ポルノ禁止法違反の罪についての第一審の管轄裁判所は地方裁判所又は簡易裁判所であることは明らかである(裁判所法31条の3第1項3号,2項,24条2号,33条1項2号)。