児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「類型別処遇マニュアル」(保護観察官版)

 性犯罪者に対しては、どういう処遇が行われているのでしょうか?

田窪昭宏「性犯罪等に類型認定された3号観察事例について」更生保護と犯罪予防2004.10
矯正施設においても精神障害のない性犯罪者の処遇については『精神障害のない性犯罪者は特別に分類されることすらなく精神科治療に回されることもない。執行率は高めになるがそれでも普通に務めていれは大抵は仮釈放になる。過去の性犯罪を特別に取り上げて処遇される機会はほとんどないまま出所している』(3)のが現状である。
精神疾患がなくとも本ケースのように両親の不和,幼少時の虐待,家庭内の緊張等が原田で性非行・犯罪に走る対象者も少なくない。家庭環境に原因が見られる場合,本人の問題行動を単に性格的偏奇と位置付けることなく,家族への働き掛けなど社会内処遇の果たす役割は大きい。
また今回の関係機関に対しては,仮出獄期間中の再犯防止という観点のみならず,仮出獄期間満了の予後に不安が残る事案について,地域や関係機関がどのように本人を見守っていく必要があるのかいうことを重点的にアピールを行なったが,保護観察期間が短期間で,予後の不安が期間中には払拭できない事案の対応については,今後の課題であろうと思われる。
今回の処遇指針に当たっては,平成15年度4月1日から運用がなされている新類型別処遇制度に基づく 「類型別処遇マニュアル」(保護観察官版)を積極的に活用させていただいた。保護観察官の専門性について論議がされているところであるが,実務的に多くの分野に精通するのは困難であり,医師の処方箋と同じく保護観察官の処遇指針として,本マニュアルの積極的な活用が望まれるところである。