http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050123-00000496-jij-pol
法律選択科目=刑事政策選択者の浅知恵ですが、いわゆる「3号保護観察」。
その期間は、最長で「言い渡された期間(刑期の満期)」です。
刑期というのは、基本的に行為責任であって、再犯危険ではないのですが、その刑期の終了をもって、保護観察も終わる。
どんなに性犯罪者の保護観察を強化しても、満期日まで。
刑法第28条(仮出獄)
懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に出獄を許すことができる。
犯罪者予防更生法
第33条(保護観察の対象及び期間)
左に掲げる者は、この法律の定めるところにより、保護観察に付する。
一 少年法第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者
二 少年院からの仮退院を許されている者
三 仮出獄を許されている者
2 前項の規定は、保護観察の期間が、言い渡された期間、大赦、特赦若しくは刑の執行の免除の日、減刑により短縮された期間又は少年法第五十九条第一項、第二項若しくはこの法律の第四十八条第一項の規定によつて定められた刑の終期の経過後まで及ぶものと解してはならない。
しかも、刑の執行率も高いわけで(仮出獄期間は短い)、保護観察で何ができるでしょうか?
犯罪白書H16
我が国における仮出獄の運用状況を概観してきたが,近年における仮出獄率は50%台後半,有期刑受刑者の刑の平均執行率は80〜83%程度であり,いずれも目立った変動は見られない。
これを更に詳細に見ると,仮出獄率は罪名ごとにかなりの差異が認められるのに対し,執行率は罪名による差異は必ずしも大きくない。他方,執行率は,犯罪経歴と事案の重大性(刑期の長短)による影響が認められる。無期刑受刑者に対する仮出獄は,近年,非常に慎重に運用されているが,このことからも,仮出獄の運用に当たって,事案の重大性等が考慮されていることがうかがえる。
本当は処遇理念とか、保護観察制度とかの根本的問題を論じる必要があるのですが、その議論がないところをみると、為政者が、小手先の改善で、「対応した」というアピールをしているだけじゃないかと思います。
今日の刑法学会関西部会でも、法定刑を引き上げた刑法改正についても、個別構成要件についての議論が浅いという話がでました。
詔書偽造罪の有期懲役の上限も20年に引き上げられたんですよ。適用事例もないのに。
第154条(詔書偽造等)
行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。