児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春+児童ポルノ単純製造で懲役2年執行猶予3年

 余罪90件って言っても、立件できたのは数件で、そんなのはこれまでも執行猶予にしてきましたから。
 懲戒免職が先行すると被告人に有利に考慮されますし。

 最近は、被害児童の帰責性が認められるようです。
 法定刑も重くなったので、いろいろ考慮するようですね。
 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律で児童も処罰される規定ができてからは、児童の帰責性を主張し易くなりました。

 結局、法定刑を引き上げても、こういう悪質な事例の判決で、実務上の上限が示されていくわけです。

児童買春事件 元門真市教委主事に有罪判決/大阪地裁堺支部
2004.12.16 大阪朝刊 31頁 (全225字)  読売新聞社
竹添裁判官は「犯行は悪質だが、社会的制裁を受けており、少女らにも若干の落ち度がある」と述べた。

 奥村弁護士としては、単純製造罪の訴因を見たいところです。
 児童買春児童ポルノ犯人としては、「逮捕されない方法」「検挙されても報道されない方法」に関心が高いようです。


 被害児童の帰責性については、東京高裁H16.2.19が正解だと思っています。調べればこういう結論になります。

東京高裁H16.2.19
4 控訴趣意中,量刑不当の主張について
なお,所論は,被害児童に帰責性があること,行政機関が被害児童の保護を怠っていることを被告人に量刑上有利に斟酌すべきであると主張する。しかしながら,同法は,未だ健全な性的観念の備わっていない児童を前提に,児童買春を行う者を処罰するものであって,被害児童が買春に同意していたとしても,犯罪の成立に消長を来さないことは勿論,その量刑に影響を及ぼさないことも明らかである。被害児童に対する本件後の行政機関の保護状況が被告人の刑責に影響を及ぼすものでないことは多言を要しない。論旨は理由がない。
5 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
平成16年2月19日
東京高等裁判所第12刑事部
裁判長裁判官  河辺義正
裁判官  古田浩
裁判官  小坂敏幸

阪高裁判決H15.2.6公刊物未掲載
児童福祉法違反被告事件
所論は,原判決は,児童側の落ち度について全く考慮していないが、各児童との接点はいずれも出会い系サイトであり, 物事の是非弁別を少なからず把握できる児童らにおいても, そのきっかけを自ら作出している点で一定の落ち度があるというべきであるから不当である,という。
しかし児童の健全な育成が国民の責務であることを定めた児童福祉法の基本原理に照らすと、 本件各犯行の刑を量定する上で,所論指摘の点を児童側の落ち度として ことさら被告人に有利にしんしゃくすることはできない。

なお、高松高裁H14.11.26は被害児童の帰責性を指摘した。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20041209#p5