児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

デジタル画像の証拠能力

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20041217k0000m040159000c.html


http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040913#p4
でも触れました。

防犯カメラがデジタル映像だとして、
刑事訴訟になったとして、
被告人が否認すると、
証拠能力の問題が出てきます。

供述証拠か、非供述証拠か?

銀塩カメラの場合は、現像過程において、作為が入りこむ余地が少ないという判例がありますが、
デジタルの場合は、必ずしもそうは言えないし、判例がない状態です。

そういえば捜査報告書の写真は、いまだに、銀塩が多いですね。

最高裁判所第2小法廷決定S59.12.21
【判決日付】昭和59年12月21日
 なお、犯行の状況等を撮影したいわゆる現場写真は、非供述証拠に属し、当該写真自体又はその他の証拠により事件との関連性を認めうる限り証拠能力を具備するものであつて、これを証拠として採用するためには、必ずしも撮影者らに現場写真の作成過程ないし事件との関連性を証言させることを要するものではない。

東京高等裁判所判決S57.9.7
二 犯行状況等の現場写真(以下「現場写真」という。)の証拠能力に関する法令違反の論旨(弁護人らの控訴趣意第五及び被告人らの控訴趣意四)について
 論旨は、現場写真の性格は本質的に供述証拠とみるべきであるとし、これを非供述証拠とした原判断を論難するほか、(1)原判放アマチュアカメラマンの撮影に係る写真に関しては、そのフィルム収集過程等の手続に重大な違法があるから、かりに現場写真を非供述証拠とする見解に立つとしても、憲法三五条、三一条の趣旨に照らし右写真の証拠能力は否定されるべきである、(2)同じく、警察官入手に係る撮影者不詳の写真に関しては、刑訴法三二一条三項の類推適用を受ける書面として作成者による成立過程の真正の証明を必要と解すべきところ、証人として出廷した警察官らは刑訴法一四四条にいう公務上の秘密を盾に右写真の撮影者はもとより提供者の氏名をも一切秘匿しているのであるから、被告人らに右写真の撮影条件などに関する証人尋問権の行使を封じたまま右写真の証拠能力を認めることは伝聞証拠排除の法則に違反し、かつ、衡平の見地からも許されるべきではない、として右(1)(2)の写真の証拠能力を肯定した原判断の法令違反をいうのである。
 そこで、まず、現場写真の証拠能力を検討するに、これらの写真は検証調書等の説明的供述部分を補完する趣旨の添付写真とは異なり、独立の証拠としてまさに、写真の影像自体が見る人に過去の犯行状況等の一場面を写実的に感得させる機能を営むものであり、被写体を印画紙に影像するまでの全過程の基本部分は、通常、精度の高い光学機械、感光材料、化学薬品などの自動的作用により行われるものであって、その科学的正確性の点においては、証言などの供述証拠と対比し、質的に格段の相異があり、右のような写真の科学的特性にかんがみれば、現場写真は非供述証拠に属し、事件との関連性を認め得る限り証拠能力を具備するものであって、必ずしも撮影者らに現場写真の作成過程ないし事件との関連性を言させることを要するというものではないと解するのが相当である。たしかに、写真の撮影・現像・焼付・仕上げといった作成過程にはそれぞれ人間の意識的・技術的な関与があリ、芸術写真に限らず報道・記録等を目的とする実用写真の分野に属する現場写真についても、合成・トリック、修正などといった写真技法を利用して現実の犯行状況等と異なる情景を印画紙に映像させることは可能であるし、その危険性が全くないというわけではない。したがって、その種の作為が加えられた疑いのある写真については、現場の情景をありのままに映像するという現場写真の本質を損うものであるから、非供述証拠としての証拠能力はこれを否定すべきである。
 これに対し、写真の色彩、濃淡、遠近感などの面における客観的現実との差異や本件のように動的かつ広範な場面における撮影位置、角度、構図などの面における限定性及び連続性の欠如といった現場写真の技術定限界の存在は、それが写真と見る人によって異なった印象・認識を生む可能性は否定できないとしても、それらのことは現場写真の要証事実との関係における証明力の問題に止まるものと解すべきである。

 児童ポルノ事件なんて、たいていデジタルですが、証拠物となりうる「有体物」もあるので、争われません。