児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

教職員に対する「懲戒処分の基準」

 埼玉県は児童ポルノ画像のメール送信を「頒布」だって停職にしていましたが、次からどうするんですか?
 ○○罪××罪って刑法の定義を盛りこむと、判断も刑法的になりますけど、誰が判断するんですか?法律的素養の点では、懲戒される教職員も懲戒する教育委員会もだいたい同じレベルなんでしょ。

http://www.pref.saitama.jp/kyouiku/contents/news_sorce/n04111101.html
教職員に対する「懲戒処分の基準」の制定について

 県教育委員会は、教職員による不祥事が後を絶たない現状を踏まえ、教職員に対
する「懲戒処分の基準」を次のとおり制定した。

1 制定の目的
  不祥事防止に関する教職員の自覚を促すとともに、懲戒処分を公正・公平に行
 うために制定したものである。

2 基準の内容
  懲戒処分に係る基本事項を定めるとともに、代表的な事例を選び、それぞれに
 おける標準的な処分量定を掲げている。

3 適用期日
  平成17年1月1日以降に発生した事案について適用する。


             懲 戒 処 分 の 基 準
                        埼玉県教育委員会
                      (平成16年11月11日議決)
第1 基本事項
  本基準は、代表的な事例を選び、それぞれにおける標準的な処分量定を
 掲げたものである。
  具体的な量定の決定に当たっては、
 (1) 非違行為の動機、態様及び結果はどのようなものであったか
 (2) 故意又は過失の度合いはどの程度であったか
 (3) 非違行為を行った職員の職責はどのようなものであったか、その職責
  は非違行為との関係でどのように評価すべきか
 (4) 他の職員及び社会に与える影響はどのようなものであるか
 (5) 過去に非違行為を行っているか
 等のほか、適宜、日ごろの勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に
 考慮の上、判断するものとする。個別の事案の内容によっては、標準例に
 掲げる量定以外とすることができる。
  また、懲戒処分を行わないことに相当の理由があると認められるときは、
 懲戒処分以外の訓告等の措置を行うこともできる。
  なお、標準例に掲げられていない非違行為についても、懲戒処分の対象
 となり得るものであり、これらについては標準例に掲げる取扱いを参考と
 しつつ判断する。

第2 標準例
 1 一般服務関係
 (1)欠勤
  ア 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いた職員は、減給又は戒告
   とする。
  イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いた職員は、停
   職又は減給とする。
  ウ 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いた職員は、免職又は停職
   とする。
 (2)遅刻・早退
    勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告と
   する。
 (3)休暇等の虚偽申請
    病気休暇等について虚偽の申請をした職員は、減給又は戒告とする。
 (4)勤務態度不良
    勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じ
   させた職員は、減給又は戒告とする。
 (5)職場内秩序びん乱
   ア 上司等に対する暴行により職場の秩序を乱した職員は、停職又は
    減給とする。
   イ 上司等に対する暴言により職場の秩序を乱した職員は、減給又は
    戒告とする。
 (6)虚偽報告
    事実をねつ造して虚偽の報告を行った職員は、減給又は戒告とする。
 (7)秘密漏えい
    職務上知ることのできた秘密を漏らし、公務の運営に重大な支障を
   生じさせた職員は、免職又は停職とする。
 (8)個人情報の紛失、盗難
    児童生徒等に係る重要な個人情報を持ち出して、重大な過失により
   紛失し、又は盗難に遭った職員は、減給又は戒告とする。
 (9)違法な職員団体活動
   ア 地方公務員法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠
    業その他の争議行為をなし、又は県の機関(県費負担教職員につい
    ては、市町村の機関)の活動能率を低下させる怠業的行為をした職
    員は、減給又は戒告とする。
   イ 地方公務員法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規
    定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若
    しくはあおった職員は、免職又は停職とする。
 (10)営利企業等従事
許可なく営利企業等に従事した職員は、減給又は戒告とする。
 (11)公文書の偽造
公文書を不正に作成し、使用した職員は、免職又は停職とする。
 (12)収賄
賄賂を収受した職員は、免職とする。
 (13)セクシュアル・ハラスメント(他の者を不快にさせる職場における
   性的な言動及び他の職員を不快にさせる職場外における性的な言動)
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場におけ
    る上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性
    的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、免職又は停職
    とする。
   イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内
    容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つ
    きまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」
    という。)を繰り返した職員は、停職又は減給とする。この場合に
    おいてわいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことによ
    り相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したとき
    は、当該職員は免職又は停職とする。
   ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な
    言動を行った職員は、減給又は戒告とする。
 (14)不適正な事務処理
事務処理に適正さを欠き、公務の運営に重大な支障を与え、又は県
   民等に重大な損害を与えた職員は、停職、減給又は戒告とする。

 2 公金公物取扱い関係
 (1)横領
    公金又は公物(県(県費負担教職員については、市町村を含む。以
   下同じ。)が構成員となっていることや、県から補助金等が交付され
   ているなど、県と密接な関連を有する関係団体の財産を含む。以下同
   じ。)を横領した職員は、免職とする。
 (2)窃取
    公金又は公物を窃取した職員は、免職とする。
 (3)詐取
    人を欺いて公金又は公物を交付させた職員は、免職とする。
 (4)紛失
    公金又は公物を紛失した職員は、戒告とする。
 (5)盗難
    重大な過失により公金又は公物の盗難に遭った職員は、戒告とする。
 (6)公物損壊
    故意に職場において公物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
 (7)出火・爆発
    過失により職場において公物の出火、爆発を引き起こした職員は、
   戒告とする。
 (8)諸給与の違法支払・不適正受給
    故意に条例等に違反して諸給与を不正に支給した職員及び故意に届
   出を怠り、又は虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給した職
   員は、減給又は戒告とする。
 (9)公金公物処理不適正
    自己保管中の公金の流用等公金又は公物の不適正な処理をした職員
   は、減給又は戒告とする。

 3 交通事故・交通法規違反関係
 (1)酒酔い運転及び酒気帯び運転での交通事故
   ア 酒酔い運転又は酒気帯び運転で人を死亡させ、又は傷害を負わせ
    た職員は、免職とする。
   イ 酒酔い運転又は酒気帯び運転で他人の財産等に損害を与えた職員
    は、停職又は減給とする。
 (2)無免許運転での交通事故
   ア 無免許運転で人を死亡させた職員は、免職とする。
   イ 無免許運転で人に重篤な傷害を負わせた職員は、免職又は停職と
    する。
   ウ 無免許運転で人に傷害を負わせた職員は、停職とする。
   エ 無免許運転で他人の財産等に損害を与えた職員は、停職又は減給
    とする。
 (3)速度違反(超過速度25km/h以上)での交通事故
   ア 速度違反で人を死亡させた職員は、免職とする。
   イ 速度違反で人に重篤な傷害を負わせた職員は、停職とする。
   ウ 速度違反で人に傷害を負わせた職員は、停職又は減給とする。
   エ 速度違反で他人の財産等に損害を与えた職員は、減給又は戒告と
    する。
 (4)その他の法規違反による交通事故
   ア 上記(1)から(3)以外の法規違反で人を死亡させた職員は、
    停職とする。
   イ 上記(1)から(3)以外の法規違反で人に重篤な傷害を負わせ
    た職員は、減給又は戒告とする。
   ウ 上記(1)から(3)以外の法規違反で人に傷害を負わせた職員
    は、戒告とする。
 (5)交通法規違反
酒酔い運転等の悪質な交通法規違反をした職員は、停職、減給又は
   戒告とする。

 4 児童生徒に対する非違行為関係
 (1)体罰
    児童生徒に対して体罰を加えた職員は、減給又は戒告とする。この
   場合において児童生徒に重篤な傷害を負わせ、かつ、その行為が特に
   悪質なときは、当該職員は停職とする。
 (2)わいせつな行為等
   ア 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわい
    せつな行為をした職員は、免職とする。
   イ 職務上関係のある、あるいは関係のあった児童生徒に対してわい
    せつな言辞等の性的な言動等不適切な行為を行った職員は、停職又
    は減給とする。この場合において不適切な行為が特に悪質なときは、
    当該職員は免職とする。

 5 その他の非行関係
 (1)放火
    放火をした職員は、免職とする。
 (2)殺人
    人を殺した職員は、免職とする。
 (3)傷害
    人の身体を傷害した職員は、停職、減給又は戒告とする。
 (4)暴行・けんか
    暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかった
   ときは、減給又は戒告とする。
 (5)器物損壊
    故意に他人の物を損壊した職員は、減給又は戒告とする。
 (6)横領
    自己の占有する他人の物(公金及び公物を除く。)を横領した職員
   は、免職又は停職とする。
 (7)窃盗・強盗
   ア 他人の財物を窃取した職員は、免職又は停職とする。
   イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した職員は、免職とする。
 (8)詐欺・恐喝
    人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させた職
   員は、免職又は停職とする。
 (9)賭博
   ア 賭博をした職員は、減給又は戒告とする。
   イ 常習として賭博をした職員は、停職とする。
 (10)麻薬・覚せい剤等の所持又は使用
麻薬・覚せい剤等を所持又は使用した職員は、免職とする。
 (11)酩酊による粗野な言動等
    酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような
   著しく粗野又は乱暴な言動をした職員は、減給又は戒告とする。
 (12)みだらな性行為等
18歳未満の者に対して、みだらな性行為又はわいせつな行為をし
   た職員は、免職又は停職とする。
 (13)痴漢行為
    公共の乗物等において痴漢行為をした職員は、免職又は停職とする。

 6 監督責任関係
 (1)指導監督不適正
    部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指
   導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
 (2)非行の隠ぺい、黙認
    部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺい
   し、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。