無断利用を唆すわけではありません。他の罪になるかもしれないし、損害が生じれば民事責任もありうるわけですが、適当な罰則がないんです。
無線LAN放置:穴恐ろし、無防備都市 自治体、サイバーテロ防止の対策急務
2004.11.07 大阪朝刊 27頁 社会 (全773字)
◇「はず」「のに」連発
「使用禁止を徹底したのに……」――。6日発覚した大阪市など地方自治体の無線LAN放置問題。自治体の担当者はショックを隠せず、ある市職員は「国も混乱している。どう対応したらいいか分からない」と漏らす。行政機関でさえ無防備なネットセキュリティー。こうした問題は、治安にも影響しかねず、急速に広がるネット社会の“落とし穴”と言える。【サイバーテロ取材班】(中略)
一部のネット利用者の間で「ウォー・ドライビング」という危険な遊びが広がる。ノートパソコンを車に搭載して街中の侵入可能な無線LANを探し出す行為で、検出される無線LANの数は驚くほど多いという。不正利用すれば、不正アクセス禁止法で処罰対象となるが、侵入の足跡は残りにくい。自治体のネットセキュリティーは、サイバーテロ防止の最前線ともいえる。
毎日新聞社
無線LANを無断使用しても、業界用語の不正アクセスになるかもしれませんが、アクセス制御がかかっていなければ、法律上の不正アクセス罪にはなりません。無線でも有線でも。
不正アクセス行為の禁止等に関する法律
(不正アクセス行為の禁止)
第三条
1 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
2 前項に規定する不正アクセス行為とは、次の各号の一に該当する行為をいう。
一 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)二 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
三 電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
それはおかしいというので、無線LANの無断使用は電波法で処罰されることになりました。しかし暗号復元することが構成要件。
電波法
第百九条の二 暗号通信を傍受した者又は暗号通信を媒介する者であつて当該暗号通信を受信したものが、当該暗号通信の秘密を漏らし、又は窃用する目的で、その内容を復元したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 無線通信の業務に従事する者が、前項の罪を犯したとき(その業務に関し暗号通信を傍受し、又は受信した場合に限る。)は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないようにするための措置が行われた無線通信をいう。
4 第一項及び第二項の未遂罪は、罰する。
「不正アクセス罪だと思っていたのに・・・」〜サイバーテロ取材班談。「はず」「のに」連発?
不正アクセス罪の適用範囲は意外に限定されている。“落とし穴”というか、制度上の巨大セキュリティホールです。
不正アクセス罪も電波法違反も立たない場合は、業務妨害罪とかを検討することになります。
なお、web版では不正アクセス罪には触れていない。
http://www.mainichi-msn.co.jp/it/network/news/20041108org00m300113000c.html