控訴事件が来たので、ちょっと虫干し。
(罪となるべき事実)
被告人は、法定の除外事由がないのに、平成一五年一一月六日午後一一時二三分五五秒ころから同月八日午後三時四七分五〇秒ころまでの間、合計七回にわたり、別紙
一覧表記載のとおり、京都市内ほか数か所において、パーソナルコンピュータから電気通信回線を通じて、アクセス管理権者である大阪市中央区安土町《番地略》甲野ビ
ル三階乙山株式会社が大阪市内に設置したアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバコンピュータに、当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れる
ことができる指令を入力して上記特定電子計算機を作動させ、上記アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせ、もって、不正アクセス行為をし
たものである。(法令の適用)
罰条 包括して不正アクセス行為の禁止等に関する法律八条一号、三条一項、二項二号
刑種の選択 懲役刑を選択
刑の執行猶予 刑法二五条一項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文
なお、東京高裁は反対。
東京高裁H15.6.25
第2 法令適用の誤りの論旨について
所論は, 原判決は,原判示第1 の罪と同第2 の罪を併合罪としているが,両者の行為は客観的に行為態様及び侵害した法益の点で共通性を有し, 時間的にも接着し,主観的にみても・・・という共通した目的が継続した状態で行われており,侵害法益の個数は実質的に1 個といえるから包括一罪と評価すべきであるという。
しかしながら,原判示第1 の行為は勤務先のコンピュータから不正アクセスをしたもので, 同第2 の行為は自宅のパソコンから同一サーバへのアクセスをしたもので,時間的接着性や犯意の継続性はあるとしても,犯行場所やアクセスの経路が異なり, 自宅での不正アクセスは, 自宅のパソコンにファイルをダウンロードする目的で行われており,不正アクセスによる法益侵害の程度,態様が同一とはいえず, これを併合罪と評価した原判決の判断に誤りはない。
上記東京高裁事件の原判決。
東京地裁判決h14.12.25
不正アクセスの禁止等に関する法律達反被告事件
(犯罪事実)
被告人は,他人の識別符号を使用して不正アクセス行為をすることを企て,法定の除外事由がないのに.
第1 平成14年3月18日午前3時50分ころ,東京都○○所在の株式会社Sにおいて,同社に設置されたパーソナルコンピューターから,電気通信回線を通じて,Mが同人方に設置し管理するアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバーに,Wを利用権者として付された識別符号であるユーザーID「ABCD」及びパスワード「ABCD」を入力して上記特定電子計算機を作動させ,アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせ,
第2 同日午前7時7分ころ,県××の被告人方において,同所に設置されたパーソナルコンピューターから,電気通信回線を通じて,前記Mが設置し管理するアクセス制御機能を有する特定電子計算機であるサーバーに,前記Wを利用権者として付された識別符号であるユーザーID「ABCD」及びパスワード「ABCD」を入力して上記特定電子計算機を作動させ,アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせた。