A これも多い質問である。
国家試験受験上の支障はない。(普通に受験して、合格・不合格の結果を得られる。)
しかし、合格したとしても、欠格事由による行政処分として、免許が受けられないおそれがある。
(従って、とりあえず国家試験は受験し、合格してから心配することになる。)
「医師国家試験・罰金・欠格」というキーワードで検索してくる方が多いので、念押ししておくと、国家試験は受けられるが、合格しても、行政処分として免許が保留されるおそれがあるということである。
行政処分への対応はどうするかというと、罪の軽重・その後の処理等個別事情を聞いた上で厚生労働省と直接掛け合うことになるので、弁護士に相談して対応を委任するしかないであろう。
たとえば医師法では、「罰金以上」を受けると、医師免許の任意的欠格事由となる。
医師法
第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
1.心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
2.麻薬、大麻又はあへんの中毒者
3.罰金以上の刑に処せられた者獣医師法
第5条 次の各号のいずれかに該当する者には、第3条の免許を与えないことがある。
1.心身の障害により獣医師の業務を適正に行うことができない者として農林水産省令で定めるもの
2.麻薬、大麻又はあへんの中毒者
3.罰金以上の刑に処せられた者
4.前号に該当する者を除くほか、獣医師道に対する重大な背反行為若しくは獣医事に関する不正の行為があつた者又は著しく徳性を欠くことが明らかな者
5.第8条第2項第4号に該当して免許を取り消された者
合格者の免許欠格については、H13以降なので、数例しか実例がなく実務の傾向を知ることはできない。
厚生労働省によれば、実際には免許が保留(延期)されるにとどまっており、
飲酒常習で数箇月
死亡ひき逃げで数箇月
速度超過では事例無し
1年以上保留された事例はない。
重大犯罪の場合は、だいたい、医大を退学する・させられるから、国家試験受験に至らず、処分対象にならない。
とのことである。
手続的には、判決等と反省文を提出させており、示談の有無も考慮されて、処分するか否か、処分期間を決めている。
さすがは「医道」である。
刑事裁判の際に被害弁償・示談を行っておけば、ここでも有利な事情として使うことができるが、それを怠っていた場合は、被害者側は「何をいまさら」と応じないことがありうる。
行政処分への対応はどうするかというと、罪の軽重・その後の処理等個別事情を聞いた上で厚生労働省と直接掛け合うことになるので、弁護士に相談して対応を委任するしかないであろう。
「初犯だから何もしなくても執行猶予」だと言われ、被害弁償も謝罪も寄附もせずに執行猶予判決を得たとしても、重い行政処分を受ければ、まさに資格商売にとっては死活問題であり、その意味では、刑事処分前から行政処分も見越した弁護活動が必要である。