児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

買春・窃盗・暴行 富山地裁H15.12.26

 酷い話じゃないですか。
 共犯事件で、被害児童の財布からお金抜きとって(児童買春代金も取り戻した!)、さらに取り戻そうとした児童を殴打して、執行猶予ですか?
 ほとんど強盗ですけど。
 
 なお、共謀の上、「対償として供与して」るわけで、対償供与又はその約束というのは、児童買春罪の「実行行為」です。
 また、対償供与の約束(対償供与)は形式的に外観的に認められればよく、真意が無くてもよい。

 こんなのがあると、受任中の事件に使えるわけです。
   冨山だったら、ここまでやっても執行猶予じゃないですよ。
   同じ、日本で、法の下の平等じゃないですか?
って。

 落合弁護士にも軽すぎると怒られていまいましたが、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041014
 児童買春罪は法定刑の幅が広くて、罰金もあれば、実刑もあるわけで、それは児童買春行為+α(脅迫、欺罔、暴行)で決まるケースが多いんですよ。代金も「見せ金」で、それを暴行を加えて奪ったということになると、まあ、よそでは実刑でしょう。それが普通。

買春・窃盗・暴行 富山地裁H15.12.26
主文
被告人Oを懲役2年に,被告人Hを懲役1年10か月に,それぞれ処する。
いずれも執行猶予付

(罪となるべき事実)
第1 被告人両名は,共謀の上
1平成15年8月11日午後9時20分ころ,富山市ホテル号室において,A 所有の現金14万円を窃取した
2 同日午後9時25分ころから午後9時50分ころまでの間,前記場所において,A(昭和年月日生,当時16歳)が18歳に満たない児童である
ことを知りながら,同児童に対し,現金8万円を対償として供与して,同児童と性交をし,もって,児童買春をした
第2 被告人Oは,平成15年8月11日午後9時57分ころ,前記第1の1記載の場所において,前記 A に対し,その腹部を手拳で1回殴打する暴行を加えた
ものである。

援助交際すると、こんな酷い被害にもあうのだよということで、防犯・一般予防のために、冒頭陳述もupします。

冒頭陳述
第2 犯行に至る経緯及び犯行状況等
1 被告人両名は,高校生の時に知り合って以来,遊び仲間として付き合いがあったが,平成15年8月11日,oは,携帯電話の出会い系サイトで援助交際のできそうな女性を見つけたことから,その女性とメールでやりとりし,その際,oは,その日,hと会うことにしていたことから.hを誘って2人で援助交際(性交)をすることにし,2人で8万円でその女性と援助交際をする約束をした。
2 その後,oは,hに援助交際の相手が見つかったことやその相手の女性が16歳であることなどを話し,hもそれを了解してoと一緒に援助交際をすることにした。
そして,hの車で女性との待ち合わせ場所に向かった。
被告人両名は.女性との待ち合わせ場所に赴く途中,2人で援助交際(性交)の代金が8万円というのは高いと考え,相手方女性が風呂に入っている隙に女性の持っている金を盗むことも話し合っていた。
3 待ち合わせ場所で女性を車に乗せた被告人両名は,同日午後9時ころ,
富山市内のホテルに向かい,部屋に着くと,約束した援助交際(性交)の対価である8万円を女性に渡し,3人で風呂に入った。
そして,被告人両名は,相談していたとおり,女性が風呂に入っている隙に,女性の財布から現金を盗むことにし,oがhに合図をして,先に風呂から上がったhが女性の財布から現金を盗み,公訴事実第1記載の犯行に及んだ。
さらに,被告人両名は,oと女性も風呂から上がったことから,女性と性交することにし,公訴事実第2記載の犯行に及んだ。
その後,たばこを吸おうと財布の中を確認した女性が.財布の中にあった現金がなくなっていることに気づき.被告人両名との間で言い争いとなり,部屋にあった電話で警察へ通報しようとしていた女性に対し,被告人oは,その女性の腹部を殴る暴行を加えてそれを止めさせようとし,公訴事実第3記載の犯行に及んだ。
4.その後,被告人両名は.女性を残しホテルを出たが,女性が警察に通報し,被害届を出すとともに,ホテルに残されていた車のナンバーなどから捜査していた富山警察署の警察官が,被告人両名に事情聴取したところ,両名とも犯行を認め,逮捕された。