国会図書館にもない。
誰が読む論文なんでしょう?
振り返って、わが国の状況はどうであろうか。猥褻の問いを依然として表現の自由の枠内で議論し、チャイルドポルノまでも猥褻性の範疇で捉えるわが国の法認識に再考の余地はないのであろうか。1982年、New York v,Ferberではチャイルドポルノを「猥褻」から切り離して独立の保護対象に捉えた。その根拠の一つにチャイルドポルノの宣伝から生じるチャイルドポルノの増幅と子供に対する性的虐待の激化が上げられていた72)。
現在、わが国ではチャイルドポルノの宣伝ビラの投げ込みが社会問題化しつつある。ビラに刷り込まれた写真から、その被写体の人物の年齢が未成年であることが判明するという。
さらに、そのビラの記述文言からもこのことが判明するという。United States v,Citement VideoInc・の基準に照ら号ば、チャイルドポルノヴィデオ制作者はいうに及ばず、この「ビラ」の制作及び頒布に関わった者も、合衆国であれば18 USC §2252(a)(1)及び(a)(2)違反罪が成立し10万ドル以下の罰金又は10年以下の収監刑に処せられる。
この領域でのわが国の法状況には改善すべき点がある。The Protection of ChildrenAgainst SexualExploitation Act類似の立法が、わが国でも早急に望まれる。また、この領域での未成年者の同意は違法性を阻却しない。これはわが国の現行刑法176条後段、同177条後段に定める13歳未満の者に対する処理の基本哲学である、いわゆるpublicwelfare offensesの考え方に由来する。未成年者が性風俗産業の素材資源とされないためにもチャイルドポルノを独立に規制する立法が急務であるのではなかろうか。