法哲学年報'01p46「効率性・多様性・自由−インターネット時代の著作権制度のあり方」田村善之
解釈論はともかく、立法論として考えれば、世界中のインターネット・ユーザーのパソコンとファイルを共有できるということは、一昔前では考えられなかった夢のような話なのであって、それを否定することは技術的な進歩の利用を妨げることでしかない。著作権法をして、技術的に時代遅れになりつつあるメディアの既得権益を維持するための道具に定めることは避けなければならない。著作権法の究極的な目標が、著作物の創作活動を刺激することによって著作物の普及を促すところにあるのならば、その目的を実現しうるよう、技術や社会の環境の変化に合わせて著作権法も変化していく必要があろう。