児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「録画ネット」に差し止め命令=海外への番組転送は著作権侵害−東京地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041007-00000229-kyodo-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041007-00000558-jij-soci

 事実関係はまだわかりませんが、実現される結果は http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040911#p4で速報したのと類似なんでしょうね。
 民事の差止請求は「侵害する者又は侵害するおそれがある者」を要件としていて、行為態様(直接・間接・正犯・幇助)が限定されていませんから行けそうです。

第112条(差止請求権) 
著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、その著作者人格権著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 刑事はどうかというと、実は、こちらも行為態様は限定されていません。

第119条 
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 著作者人格権著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもつて自ら著作物若しくは実演等の複製を行つた者又は第百十三条第三項の規定により著作者人格権著作権、実演家人格権若しくは著作隣接権(同条第四項の規定により著作隣接権とみなされる権利を含む。第百二十条の二第三号において同じ。)を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)
二 営利を目的として、第三十条第一項第一号に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害となる著作物又は実演等の複製に使用させた者

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040911#p4
松山地裁H16.3.25
被告人を両名をそれぞれ懲役1年6月に処する。
被告人両名に対し,この裁判確定の日から4年間それぞれその刑の執行を猶予する。
訴訟費用。

罪となるべき事実の要旨
被告人両名は,共謀の上 著作権者の許諾を得ることなく,かつ,法定の除外事由がないのに,別紙著作権者等一覧表記載のとおり
1 平成15年12月4日ころ, 当時の被告人A方において,Nほか4社が著作権を有する著作物である「コメディーお江戸でござる」他4点のテレビ番組の映像データを,パーソナルコンピューター5台に各記憶蔵置させて複製し
2 同月5日,上記被告人A方において,上記映像データを,インターネットに接続された自動公衆送信装置である番組配信用サーバコンピューターに各記憶蔵置させ,同日から同月9日までの間,同サーバコンピューターにアクセスしてきた不特定多数のインターネット利用者に上記各著作物を自動公衆送信し得る状態にし、もって,それぞれ上記Nほか4社の著作権を侵害したものである。

量刑の理由

本件は,被告人両名が共謀の上,著作権者であるテレビ局の許諾を受けないで,著作物であるテレビ番組5種を無断で複製し(判示1),それらをインターネット接続された番組配信用サーバコンピューターに各記憶蔵置させ,自動公衆送信し得る状態に置いた(判示2)という著作権法違反の事案である。

被告人らは,私設私書箱を利用して偽名でレンタルサーバ会社と契約し,摘発逃れのために違法ではないかのような偽の内容のホームページを作成する等の偽装工作を行う一方,平成15年3月初めころからインターネットでテレビ番組を有料で配信するサービスを開始し,株式会社Tから著作権法違反の疑いがあるとの警告を受けた後は,日本からのアクセスを拒否するように設定するなどし,株式会社Aの関係者が調査のためにメールを送信してきたことに気が付くや,急きょホームページアドレスを変更し,同人以外にはホームページアドレスの変更を,同人にはサービスを中止すろとのメールを出すなどの隠ぺい工作を行うなどして営業を継続し,本件各犯行に及んだものであり,その犯行態様は巧妙かつ執拗で悪質なものである。そして,被告人らは, 20万円余りの利益を現実に得るに至っている。被告人Aは,アメリカにいたころ,アメリカのビデオレンタル店では日本のテレビ番組のビデオテープの人気が高いことを知り,インターネットでテレビ番組を有料で送信すれば金儲けになると考え,被告人Bにおいても,自分のインターネットなどに関する技術,能力をもとにしてお金が手に入ると考え,本件各犯行に及んだものであり,その利欲に基づく動機に酌量の余地はない。そして,各著作権者は,被告人両名の厳罰を希望している。以上によれば,被告人両名の刑事責任は,相当に重いといわざるを得ない。

 しかし、在外邦人にニーズ強いんでしょ。視たくても視られないが、ネットなら可能。そういうのは、許諾とるなりしてビジネスとして成りたちませんか?コンテンツビジネスとしてはしょぼいからか?