児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロバイダーの刑事責任2

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040618#p8

 プロバイダーが刑事責任を問われるのは、他人がupした違法情報を、後刻知って、放置した場合の問題であるが、贓物寄蔵罪・運搬罪と類似している一面がある。

 贓物寄蔵罪(今の盗品保管罪 刑法256条2項)の場合、継続犯だから、寄蔵開始時に知らなくて、後刻情を知った場合には、そこからが寄蔵罪。
 運搬罪も基本的に同様。(被害者宅に向けて運ぶというのはここでは考えない。)
 寄蔵・運搬というのは、作為であって、客観面では、法益侵害を維持・増大している。
 プロバイダーも同じではないか。
 電気通信施設の維持管理というのは、作為であって、客観面では、法益侵害を維持・増大している。

 だからといって、プロバイダーが違法情報の存在を知ったら、即、犯罪(名誉毀損罪・児童ポルノ陳列罪)なのか?については、もう少し、考えさせて欲しい。
 プロバイダー責任制限法で民事責任がない場合でも犯罪成立というわけにもいかないだろう。

 名誉毀損罪は状態犯か継続犯か?継続犯とすれば同じ。状態犯というのは、法益の性質(個人の名誉)という点で、評価し尽くしていないような気がする。継続犯説。

      賍物寄蔵、賍物故買、賍物収受被告事件
最高裁判所第1小法廷決定/昭和49年(あ)第1161号昭和50年6月12日
最高裁判所刑事判例集29巻6号365頁
      最高裁判所裁判集刑事196号557頁
      判例タイムズ333号320頁
      判例時報798号101頁
ジュリスト642号168頁
      別冊ジュリスト83号132頁
 所論に鑑み職権で判断するに、賍物であることを知らずに物品の保管を開始した後、賍物であることを知るに至つたのに、なおも本犯のためにその保管を継続するときは、賍物の寄蔵にあたるものというべきであり、原判決に法令違反はない。