児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ販売目的所持罪 大阪地裁H12.3.31

 これから有名になる氷室裁判長(現京都地裁)の判決。
 弁護人がなにを主張しても。
「弁護人が縷々主張する点を考慮しても、」
「弁護人がその理由として主張するところはいずれも独自の見解であって到底採用できず」
でバサバサ切捨てる感じ。

なお、この判決の罪数処理は、後年の判例で、誤りとなりました。

児童ポルノ販売目的所持罪 大阪地裁H12.3.31
主文
被告人を懲役五か月に処する。
この判決の確定した日から二年間刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告人は、A及びBと共謀の上、児童ポルノ及びわいせつ図画を
販売する目的で、平成月日、所在のレンタルビデオショップ 「」店内において、児童による性交等に係る児童の姿態を露骨に撮影収録した児童ポルノであるビデオテープ 「ロリータ」等六番及び男女の牲交場面等を露骨に撮影収録したわいせつ図画であるビデオテープ「」等三七一巻を所持した。
(法令の適用)
罰条
児童ポルノビデオテープを所持した点は、刑法六〇条、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律七条二項、一項、
わいせつビデオテープを所持した点は、刑法六〇条、一七五条
科刑上一罪の処理
刑法五四条一項前段、一〇条。(刑の重い児童ポルノビデオテープを所持した罪の刑で処断)
刑種の選択
懲役刑
なお、弁縄人は、児童買春、児童ポルノに係る行等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、児童ポルノ法という。)七条二項の規定は、過度に広範な規制を定めた点で憲法ニー条一項(表現の自由の保障)に、刑罰法規の明確牲に欠ける点で憲法三一条(適正手続きの保障)に連反する旨主張する。しかし、弁護人がその理由として主張するところはいずれも独自の見解であって到底採用できず、児童ポルノ法七条二項の規定が憲法に反するとは解されない。また、弁護人は、本件児童ポルノビデオの被撮影者が、児童ポルノ法二条一項に規定する八歳未満であることの証明がないと主張するが、前掲検察官請求番号19ないし21等の関係各証拠から、被撮影者が一八歳未満であることは明白である。さらに、弁護人は、本件児童ノビデオ六巻は、児童ポルノ法二条三項のいずれに該当するか明らかではないと主張する。しかし、本件起訴状自体の記載から、本件児童ポルノビデオ六巻のうち、二巻は、同条三項一号に、四巻は、同条三項三号に該当するとして起訴されたことは明確で、前記証拠上もそのように認定できる。その他、弁護人が縷々主張する点を考慮しても、被告人が児童ポルノ法につき有罪であることに疑いを差しはさむ余地はない。
裁判官氷室眞