児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

勤務医が語る「もしあなたが不当逮捕されたら…」

 捜査機関からみれば弁護人は常に悪者です。民事でも相手方本人からみれば悪者。
 弁護士と接見するまで何も語らないで欲しいですね。被疑者の判断でしゃべったこと1を取り消すのに、弁護士は10の苦労が要りますから。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/honda/200906/510921.html
基本3:苦しかったら弁護士を悪者に
 「評価に関する内容を話すことは、弁護士から堅く堅く禁じられています。」弁護士への絶対服従宣言で部分完全黙秘をします。(後略)

検察官遅刻し公判遅れる 原因は「調査中」→「聞き違え」

 法廷に遅れてくる当事者・裁判体は珍しくありません。
 法廷に記者がいると書かれてしまうので、記者を待たせた責任を問われている面があります。
 「追って指定」なんて、それなりの理由が発生しているわけだから、そんなにないですよね。もっといい言い訳を考えないと。大阪なら咳き込むだけでいいんですけどね。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090601/trl0906012123020-n1.htm
検察官遅刻し公判遅れる 山口地検、原因は「調査中」とか

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090601/trl0906012347022-n1.htm
担当検事公判遅刻の原因「聞き違え」とか 別件で出張 山口地検
山口地裁で1日にあった犯人隠匿事件の公判で、山口地検の男性検事が法廷に遅刻し、別の検事が到着するまで50分開始が遅れ、予定されていた審理が終了しなかったことが分かった。
 山口地検は原因について「担当検事が前回の公判で『次回の期日は追って指定される』と聞き違えていた」と説明。担当検事は1日午前から別件で出張中だったという。

東京、さいたま、松江先行 来月下旬から裁判員裁判か2009.05.31 共同通信

 相互に関係ない事件なのに、なんかレースみたいですね。松江は「大穴」みたいな。

 裁判員制度が施行された5月21日から25日にかけ、全国11地裁に起訴された裁判員裁判対象事件の被告計15人について、共同通信が31日までに、起訴内容の認否や弁護人の対応などを取材したところ、東京、さいたま、松江各地裁の被告は起訴内容を争わず、弁護人も早期の裁判開始に協力する意向などを示した。3地裁は7月下旬以降、順次裁判員裁判をスタートさせる公算が大きい。
・・・・・
 各弁護人によると、高松地裁の現住建造物等放火罪の被告や秋田地裁の同未遂罪の被告も争わない見通し。捜査当局によると、福岡地裁殺人罪の被告や鹿児島地裁の強姦(ごうかん)致傷罪の被告も起訴内容を認めているが、この4被告の弁護人は対応未定か、対応を明らかにしていない。また認否や弁護人の対応が不明の被告が5人いる。
 一方、起訴内容を否認している千葉地裁の被告らは公判前整理手続きに時間がかかり、裁判開始は遅れるとみられる。
共同通信社

集団強姦罪で6人逮捕

 京都だからいいけど、「集団」をいっぺんに逮捕されると、小さい弁護士会だと弁護士が足りなくなりますよね。
 加古川で4人逮捕というのも、弁護士の確保がしんどいはずです。致傷なんてことになると、裁判員だし。
http://nsearch.yahoo.co.jp/bin/search?p=%BD%B8%C3%C4%B6%AF%B4%AF


 なお、集団強姦罪の「判例」なんて、ほとんどないですよ。
 もう問い合わせがありました。いちいち回答しません。
 これから問い合わせてくる人に予防線。
 公刊されている裁判例は2件だけです。
 法定刑は重いんですが、加攻の程度に軽重があるので、執行猶予判決もあったはずです。

第178条の2(集団強姦等)
二人以上の者が現場において共同して第百七十七条又は前条第二項の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処する。
〔平一六法一五六本条追加〕

東京地方裁判所16年11月2日
判例タイムズ1168号99頁
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 B及びCと共謀の上,平成13年12月19日午後8時30分ころから,東京都豊島区ab丁目c番d号所在の《中略》において,強いて被害者甲(当時19歳)にアルコール度数の高い酒を多量に飲ませ,泥酔させて,その心神を喪失させた上,同日午後10時ころから同月20日午前1時30分ころまでの間,同所において,順次同女を姦淫した。(平成15年8月21日付け起訴状記載の公訴事実)
第2 B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L及びMと共謀の上,平成15年4月27日午後7時30分ころから,同都港区ef丁目g番h号所在の《中略》ビル12階にある居酒屋R店内において,強いて被害者乙(当時18歳)にアルコール度数の高い酒を多量に飲ませ,泥酔させて,抗拒不能にさせた上,同女を人通りのない同ビル11階にあるT出入口前フロアーに連行して,同日午後8時20分ころから午後10時ころまでの間,同所において,順次同女を姦淫した。(同年11月19日付け追起訴状記載の公訴事実)
第3 C,D,E及びNと共謀の上,同年5月18日午後8時ころから,前記居酒屋R店内において,強いて被害者丙(当時20歳)にアルコール度数の高い酒を多量に飲ませ,泥酔させて,抗拒不能にさせた上,同日午後8時30分ころ,同女を人通りのない前記T出入口前フロアーに連行して,そのころから同日午後9時ころまでの間,同所において,順次同女を姦淫した。(同年6月30日付け起訴状記載の公訴事実)

東京高等裁判所平成18年2月24日
被告人両名が,1時間30分の間,東名高速道路から御殿場市のホテルに至る車内において,V女に対し,こもごも脅迫を加え,被告人のうち1名が,同ホテルで,V女の足を押し広げるなどの暴行を加えて姦淫した本件につき,被告人両名について集団強姦罪が成立することはいうまでもない。被告人側がV女側に200万円を支払ってV女の母親との間で示談が成立し,V女の母親が被告人両名を宥恕していること,被告人両名にはいずれも前科がないことなど被告人両名にとって酌むべき事情を十分考慮しても,本件はその犯情にかんがみて,両被告人に対して刑の執行を猶予するのが相当な事案とはいえない。
高等裁判所刑事裁判速報集平成18年66頁

 集団強姦罪以前のまで含めると科刑状況は把握できます。

強姦既遂 1罪 共謀有の科刑状況
懲役3年06月
懲役4年
懲役3年06月
懲役3年執行猶予5年保護観察
懲役3年執行猶予3年
懲役3年執行猶予3年
懲役4年
懲役5年
懲役3年06月実刑
懲役3年04月実刑
懲役2年06月実刑
懲役3年執行猶予5年
懲役5年
懲役3年執行猶予5年
懲役3年実刑
懲役2年06月執行猶予4年
懲役2年06月執行猶予3年
懲役3年06月
懲役4年
懲役3年06月
懲役3年執行猶予5年保護観察
懲役3年執行猶予3年
懲役3年執行猶予3年
懲役4年
懲役5年
懲役5年
懲役2年執行猶予3年
懲役2年
懲役2年6月
懲役3年執行猶予5年
懲役2年06月
懲役3年

「ここだけの話、捜査受けたが起訴猶予になった」と同僚・友人に話したことが勤務先に知れて、懲戒処分になった人。

 「犯罪事実なし」の不起訴ならそうならないでしょうが、寛大な検事さんの訴追裁量による場合は犯罪は成立してますから、懲戒処分はあり得ますよ。

児童買春1罪で求刑懲役1年6月(佐賀地裁H21.6.15)

 最高5年までありますから。
 検挙件数が少ない県では、一罰百戒で、1罪でも迷わず公判請求して懲役求刑となることがあります。送致件数も少ないが、罰金の件数も異常に少ない。
 

http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/saga/20090422-OYS1T00246.htm
発表によると、容疑者は2月21日、女の娘(妹)が18歳未満であることを知りながら、1万円を渡して県内のホテルでみだらな行為をした疑い。女との間で携帯電話の通話履歴があり、女は永田容疑者に娘を紹介したことを認めている。容疑者は「そんなに若いとは思わなかった」と供述しているという。
(2009年4月22日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saga/news/20090601-OYT8T01226.htm
冒頭陳述などで、検察側は被告が今年1月末〜2月初めに出会い系サイトを通じて少女の姉(当時中学生)と知り合い、姉とみだらな行為をしていたことを指摘。妹が「お小遣いがほしい」と母親に訴えたため、母親が姉に男の紹介を依頼し、姉は妹が中学生であることを告げた上で、被告に引き合わせたことを明らかにした。被告は県内のホテルで1万5000円を渡して妹が18歳未満であることを知りながらみだらな行為をした。支払った金額のうち5000円は姉に渡っていたとした。
 検察側は「少女が中学生と知りながらの犯行で悪質。動機に酌量の余地はない」などとし、弁護側は「買春は母や姉から持ちかけられたものだった」などとして寛大な判決を求めた。

 被害感情は強くないはずですね。
 でも、福祉犯の量刑で被害感情を重視するのは間違ってると考えています。殺人傷害でも、まず結果の軽重で、次に被害感情だから。
 そうすると、児童の健全な成長を害したことなんて直しようがありませんから、弁護のしようがないですね。

国立大学法人京都教育大学

 「1(被害者)対6(アメフト)の和姦」があり得るという認定で、復学あり得るという評価だったようですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090601-00000632-san-soci
同大学によると、被害を受けた女子学生は、今年3月3日に教員に相談。大学側は同6日に「ハラスメント防止委員会」を設立し、教員らが、被害学生や逮捕された6人などに対して聞き取り調査を行った。
 ところが、大学側は24日、被害学生の保護者に対し「公共の場所で性的なことをした公然わいせつは6人とも認めたが、同意があったのか、無理矢理だったのか、細かいところは判断できない」とし、「警察に告訴するかどうかを考えてください」と話したという。その後、31日付で6人を無期限停学処分とした。

http://www.kyokyo-u.ac.jp/KOUHOU/topics/10_0601.htm
事件発覚後、大学として直ちにハラスメント防止委員会が調査を開始し、事件の事実関係の把握に努めて参りましたが、その結果に基づき、関与した男子学生に対しては学則に従って懲戒処分を行いました。教員養成を目的とする本学としては、一部の不心得な学生が起こしたこととはいえ、教育的責任を十分に果たせなかったことについてその責任を重く受け止め、今後、このような事件が二度と起きないよう、本学は人権に関する意識向上について全学をあげて取り組み、健全で快適な教育環境の保持に努めなければならないと考えています。
平成21年6月1日
国立大学法人京都教育大学長 寺田光世

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090602-00000046-mai-soci
塩谷立文部科学相は2日の閣議後会見で「大変問題だと思う。訴えがあったらいち早く警察に知らせるのが大事だ」と批判した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090602-00000526-san-soci
同大が女子学生から被害の相談を受けながら警察に通報しなかったことについて、「詳しいいきさつは承知していないが、大変問題があると思う。訴えがあればいち早く警察に知らせることが大切」と苦言を呈した。

 みなし公務員の告発義務については、設置法上は明確ではなく、刑訴法の解釈では両説があるようです。懲戒処分の可否で問題になります。

刑訴法第239条〔告発〕
何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
②官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない

国立大学法人法第十九条  国立大学法人の役員及び職員は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

コンメンタール刑事訴訟法第三巻p744
2 官吏又は公吏
法令により公務に従事する職員とみなされる者(268条3項,弁54条2項,日銀19条,経罰1条等〕を含むかについては,疑問とする見解もあるが〔ポケット上557貰),これを含むと解するべきであろう(註釈刑訴2巻〔佐藤1289頁,注解刑訴(中)〔高田1206頁,増井117頁)。

女子中学生にわいせつ画像送信させた44歳を逮捕

 豊岡支部か。閲覧遠い。
 こういう事件が来たら、弁護人は「姿態をとらせて」が実行行為なのかを釈明させてください。そこが争点ですので

http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090602049.html
逮捕容疑は、携帯電話のサイトで知り合った兵庫県豊岡市の女子中学生(14)に3月22日、わいせつな画像を撮らせて送信させ、携帯電話に保存した疑い。
 同署によると、女子中学生は会社員に「画像をばらまくぞ」と脅されたため、家族とともに同署に相談して発覚した。

脅されていない14歳は道具じゃありません。
 島戸検事(当時)や森山・野田の論稿にあるとおり、最初に児童に写真を撮影・送信させた点を、児童による2項製造罪+1項提供罪と評価させれば、特に、被害児童の帰責性に触れる必要もありません。共犯関係ですから。
 この結果がおかしいというのなら、法律変えてもらいたいです。

第13回国際被害者学シンポジウム

 刑法学会でチラシもらいました。
 参加費が高いので、一幕見席みたいなのが欲しいですね。

http://www.isv2009.com/index_j.html#CP
3年に一度開催される国際被害者学シンポジウムは、過去30年以上にわたり、被害者学および関係する領域で活動する研究者や実務家、学生らに、最新の研究成果や実践事例について発表・討論を行う活気に満ちたフォーラムの場を提供してまいりました。2009年に開催される第13回シンポジウムは、「被害者学と人間の安全」というテーマに沿いながら、これまでの伝統を受け継ぎます。
研究や実践の成果について発表をご希望の方は、論文発表、ポスター発表、あるいはワークショップ主催のいずれかから、参加方法をお選び下さい。いずれの場合も、シンポジウムのテーマ、あるいは、いかに掲げるサブテーマに関連するものといたします。なお、論文投稿については英文のみ受け付けます。

http://www.isv2009.com/index_j.html#CP
サブテーマ
被害者学理論と「人間の安全」
国連被害者人権条約(UN Convention on Victims)草案と国際法および国内法
権力濫用の被害者ならびに難民および避難民の被害者と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の業務
人身売買、性的搾取および国境を越える犯罪(Transnational Crimes)の被害者
各国の司法制度における被害者問題−修復的司法および被害調査(国際犯罪被害調査も含む)に焦点を当てて
災害被害への対応
被害者支援の専門家およびボランティアの連携・協力関係の構築と心理的支援
先住民および「社会的マージナルグループ」の被害
家族間暴力、拷問、テロ行為、消費者詐欺およびサイバー犯罪被害者の受ける被害