何罪でも同じですが、検察官が略式命令請求をして、略式命令が出ても、その後、検察官が翻意して正式裁判請求してくることがあります。ドキドキですね。
道路交通法違反被告事件
最高裁判所平成16年2月16日
なお,所論にかんがみ,検察官がした正式裁判の請求の適否について判断する。
原判決の認定によれば,検察官は,被告人に前科がないものと誤認し,第1審判決判示第一(無免許運転)及び第二(速度超過)の各犯罪事実について,防府簡易裁判所に対し,科刑意見を付して略式命令を請求し,その科刑意見どおりに被告人を罰金9万8000円に処する旨の略式命令が発付されたこと,その後,被告人に累犯前科を含めて無免許運転を内容とする道路交通法違反の前科が多数存在する事実が判明するに至ったことから,検察官は,上記各犯罪事実について懲役刑を求刑するのが相当と判断し,略式命令発付の翌日に正式裁判を請求したことが認められる。
上記事情の下においては,検察官が適正な科刑を実現するために正式裁判を請求したことは,適法というべきである。したがって,これと同旨の原判断は,正当である
条文上は検察官も可能です。
第465条〔正式裁判の請求〕
1略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
2正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。