児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

小樽の教諭児童買春:新たに9件容疑、追送致2007.02.21 毎日新聞社

 11/8逮捕で、どうせ江差簡裁で略式で確定してるだろうから、3月に函館行くので閲覧しようと手配したら、まだ終わってないって言われました(函館地裁本庁ですね)。
 すごいなぁ先生。捕まるまでやる。
 こういう規範意識というか、職業倫理というかの持ち主もいるんだ、いくらでもいるんだ、と思いました。

小樽の教諭児童買春:新たに9件容疑、追送致2007.02.21 毎日新聞社
 児童買春したとして昨年逮捕された小樽市の高校教諭が同様の行為を9件繰り返していたことが分かり、江差署は20日、同法違反(児童買春、児童ポルノの製造)容疑で函館地検に追送致した。
 調べでは、容疑者は昨年7〜9月、携帯電話の出会い系サイトで知り合った道内の少女延べ9人(当時14〜17歳)が18歳未満であることを知りながら現金2万〜3万円を渡す約束をしていかがわしい行為をした疑い。容疑者は9人の裸をカメラ付き携帯電話で撮影しており、児童ポルノ製造容疑でも立件した。

販売犯を児童淫行罪で逮捕(滋賀県警)

 武家屋敷風の彦根支部
 奈良地裁の判決では、販売と製造は牽連犯。大阪高裁追認。(奥村説は反対)
 東京高裁の判決では、製造と児童淫行罪は観念的競合。
 だとすると、児童淫行罪→製造→販売って、科刑上一罪。(奥村説は反対)
 ちゃんと起訴した事実と、逮捕容疑とは切れてるんでしょうか?

 単なる契約・約束では児童淫行罪の支配関係としては弱い。
 児童淫行罪と製造罪の罪数処理も怪しいし、児童買春罪か青少年条例違反に落として、地裁に起訴するのが無難。

児童福祉法違反:容疑で男を再逮捕−−県警少年課など /滋賀(291文字)(毎日新聞) - 2007年2月21日(水)
 児童ポルノの製造・販売を目的に18歳未満の少女にわいせつな行為をしたとして、県警少年課などは20日、被告(28)=わいせつ図画販売罪で起訴=を児童福祉法違反容疑で再逮捕した。
 調べでは、容疑者は03年11月ごろ、携帯電話の出会い系サイトで知り合った当時15歳の高校女子生徒=甲賀市=を自宅に呼び出してわいせつな行為をさせ、ビデオで撮影した疑い。
 容疑者は「他にも(少女を)撮影した。DVDは1枚4000円ぐらいで売った」と供述。03年ごろから携帯サイトの掲示板を利用してわいせつDVDを販売していたとみられ、余罪を追及している。

児童淫行罪で教員逮捕(宮城県警)

 この前の市教委の件とは別らしいです。
 成人の刑事事件は非公開(家裁だから)だと述べた仙台市長には、児童淫行罪で起訴されたときに、どういう手続きで審理されるのかを学習してほしいところです。
 児童淫行罪弁護人としては、教員・児童淫行罪はどの程度の量刑なのかに注目しています。

女子高生相手にみだらな行為 容疑の教諭逮捕「被害者特定の恐れ」と非公表 /宮城県 2007.02.20 朝日新聞社
 県立高校の男性教諭が女子生徒にみだらな行為をしたとして、県警少年課などに児童福祉法違反の疑いで今月上旬に逮捕されていたことが19日、分かった。県警では「被害者の特定につながる」として逮捕を公表していない。調べでは、教諭は06年に教え子の女子生徒とみだらな行為をした疑い。教諭は容疑を否認しているという。女子生徒の保護者が学校に相談したことから被害が発覚し、教諭は今月上旬に逮捕されたという。
 同校の教頭は「事実関係についてはコメントできない」としている。
 教諭への処分権がある県教委は「教諭への疑いは把握しており、関係者から話を聞くなどしている」と説明している。
 県内では仙台市立中学校の男性教諭=懲戒免職=が女子生徒へのわいせつ行為で昨年逮捕され、実刑判決を受けたことが今月、発覚している。被害生徒の保護者は公表を望んだが、県警と市教委は非公表にしていた。

追記
 判決の確定は遅れそうです。
 なお、家裁の成人刑事事件は刑訴法でやってますので、傍聴可能です。
 また、最初から児童淫行罪で逮捕されて、そういう証拠を集めて、児童淫行罪で起訴したわけで、当然、家裁に起訴されます。
 被害者のプライバシー保護のために検察官が家裁を選んで起訴したということはありません。>仙台市長殿。http://www.city.sendai.jp/soumu/kouhou/press/07-02-06/outou070206.html

児童福祉法違反で高校教諭を起訴 生徒とみだらな行為 /宮城県
2007.03.01 朝日新聞社 県立高校の50代の男性教諭が、女子生徒にみだらな行為をしたとして県警少年課などに逮捕された事件で、仙台地検は28日、男性教諭を児童福祉法違反の罪で仙台家裁に起訴した。教諭は「やっていない」と起訴事実を否認しているという。

 師弟関係の児童淫行罪の量刑は既報の通り。
 製造も観念的競合でくっついて起訴されてないかが気になります。

罪となるべき事実では「他人に提供する目的」を認定し、法令適用では2項製造罪(特定少数)を適用して、量刑理由では「販売目的」を認定している事例(堺支部)

 まあ、特定かつ少数に売ることもあるのかなあと。
 一時世間を賑わせた報道に比べると、起訴された事件が少ないというか、歯抜けになってます。
 全部、責任とらせないと効果が上がらない。

[ハイテク犯罪・サイバー犯罪] サイバー犯罪の検挙4割増=過去最多、不正アクセス2.5倍−警察庁

 ネットの普及というのは、詐欺師や性犯罪者からみれば、活動範囲(網を張る範囲)が、無警戒な被害者宅のPCとか被害者の携帯電話に拡がっているということなんです。
 警戒するという防犯もあれば、そういうのを持ち込まない・持たせないという防犯もあると思うんですが、PCや携帯のメーカーの発言力が大きいので、持つことを前提にして、フィルタリングをオプションにするという程度にとどまっています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000060-jij-soci
検挙件数のうち、ネットオークションなどに絡む詐欺が13.4%増の1597件で最も多く、同法違反は2.5倍の703件だった。
 児童買春は44.7%増の463件、児童ポルノは84.6%増の251件。これに青少年保護育成条例違反などを加えた子供を性の対象にした犯罪全体は、1.5倍の978件だった。
 不正アクセス禁止法違反での検挙人員は12.1%増の130人。20代が最多の44人で、10代が40人、30代が28人の順。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000064-mai-soci
全国の警察が昨年検挙したサイバー犯罪は前年比40%増の4425件で、記録を取り始めた00年以降で最も多くなったことが警察庁のまとめで分かった。インターネットを利用した詐欺が前年比で13.4%増えたほか、子どもが被害を受ける児童買春・児童ポルノ事件も急増している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000006-yom-soci
昨年の摘発のうち703件は不正アクセス禁止法違反。前年の2・5倍と大幅増加しているのが目立つ。

 手口としては、偽のホームページ(HP)に誘い込んでパスワードなどを盗み取る手口の「フィッシング」や、パソコンに侵入してパスワードなどを盗むソフト「スパイウエア」などを使ったものが、前年は計34件だったのに対し、417件に激増。「セキュリティーの更新が必要」と、銀行を装ってスパイウエアを送りつけてインターネットバンキングの暗証番号などを盗み、約300万円を不正送金させたとして千葉県警が摘発した事件や、貴金属販売会社への苦情を装ってスパイウエアに感染させ、盗んだ暗証番号などを悪用して取引銀行から預金約22万円を引き出したとして警視庁が逮捕した例もあった。

元教え子と買春の事例(高崎支部H19.2.21)

 裁判長? 裁定合議事件?もっと重いことやったんかと思いますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000145-mailo-l10
元高校臨時教諭の児童買春:臨時教諭に有罪−−地裁高崎支部判決 /群馬
2月22日13時3分配信 毎日新聞
 判決によると、被告は06年9、10月の2回、高崎市内のホテルで高校1年の女子生徒(当時15歳)を現金計3万円で買春するなど、15〜16歳の女子生徒3人とみだらな行為をした。いずれも中学教諭をしていた時の教え子だった。
 高野裁判長は「自己の性的好奇心や欲求のための犯行は健全と言えない。教師として、青少年育成についての責任や義務を自覚すべきだ」と厳しく批判した。

 求刑の時は単独。

元高校臨時教諭の児童買春:懲役2年を求刑−−地裁 /群馬(392文字)(毎日新聞) - 2007年1月30日(火)
 元教え子を買春したとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反罪などに問われた被告(27)に対する初公判が29日、前橋地裁高崎支部(高野芳久裁判官)であった。須田被告は元教え子に友人を紹介させるなどして複数の女子高生と援助交際したことを認め、検察側は懲役2年を求刑した。

水曜日だから、単独だ。

http://www.courts.go.jp/maebashi/saiban/tanto/tisai_tanto.html
刑事単独係 郄野芳久
毎週月曜
毎週水曜
第1,第3,第5木曜

 刑事合議体の陪席裁判官は、民事合議体の陪席と同じですね。

強姦と製造罪の罪数

 児童淫行罪と製造罪が観念的競合なら、強姦罪と製造罪も観念的競合。
 児童買春罪と製造罪も観念的競合。
 製造罪は、被害者数にかかわらず包括一罪にしてくれる裁判所もあるので、そこでかすがいとなって、強姦でも児童買春でも、なんでも科刑上一罪。
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000060-mailo-l20
容疑者は04年3月、町田市の自宅アパートで、当時小学6年生だった女児(当時12歳)に性的暴行を加えた疑い。自宅のパソコンを解析するなどして被害者を特定した。同容疑者は今年2月、2件の児童買春禁止法違反容疑で追送検されている。

併合審理の利益

 被告人には併合審理の利益があるので、こうなりますが、
 事件を奪われた方の弁護人はどうするんでしょうか?

米子支部→高岡支部

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000149-mailo-l16
被告は、06年9月に鳥取地裁米子支部で強制わいせつなどの罪で初公判が開かれた。同11月、富山地裁高岡支部がこの事件を、同支部に起訴された事件と併合した。

姫路支部山形地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070222-00000103-mailo-l06
米沢市のホテルに発火装置を送るなど三つの威力業務妨害事件で起訴され神戸地裁姫路支部で公判が開かれていたが、同日放火未遂事件に併合され、一括して山形地裁で審理を進めることになった。

刑訴法
第8条〔関連事件の併合審判(二)〕
数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。
②前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合することができる。
数個の事件は、左の場合に関連するものとする。
一 一人が数罪を犯したとき。
二 数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。
三 数人が通謀して各別に罪を犯したとき。
②犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯したものとみなす。

 抗告不許とされています。

逮捕されなかった被疑者はどうなるのか?

 「余罪自首」で何とか自首事件10余で非自首事件1を稀釈して、在宅のまま検察官送致。
 被疑者は忘れているけど、弁護人は公判請求されないように、地道に被害弁償作業中。被疑者にも謝らせる。贖罪寄付もする。
 多数回でも罰金になった事例の略式命令とか略式が100万まであることで検察官にお願いする。

 でも、最近は在宅事件でも公判請求されるという噂です。最近閲覧した調書判決の起訴状に「在宅」というのが稀にある。
10件もあれば、しょうがないよな。でも、略式にしてもらう努力は、公判請求でもそのまま情状に生きてくるので怠らない。

匿名掲示板のスレッド丸ごとを削除せよという民事判決(東京地裁H18)

関西の裁判所から「判例とかあったら出してください」と言われたので、捜したらあった。
 タイトルからして名誉毀損のためのスレッドという場合には、丸ごと削除せよという主文が出るようです。
 大阪・神戸ではどうでしょうか?
 刑法的には違法画像貼られたら、管理者は作為(掲示板設置〜管理)・正犯なんだから(東京高裁)、丸ごと、削除しないと、犯罪継続を許すことになりますよ。
 プロバイダ責任制限法は違法な情報を見つけて削除するかどうかという場面のみに適用されて、そもそも違法な目的で掲示板を設置する場合には作用しません。

信用棄損:「2ちゃんねる」で中傷容疑、56歳男を逮捕/静岡

 古い刑法を勉強したので、弁護人として眼前で判例変更されたんですが、これで信用毀損罪というのは違和感があります。
 否認しているようですが、刑事事件では2ちゃんねるのログは出てるんでしょうね。

http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/it/solution/news/20070221org00m300073000c.html
信用棄損:「2ちゃんねる」で中傷容疑、56歳男を逮捕/静岡
 静岡県警藤枝署は20日、容疑者(56)を信用棄損容疑で逮捕した。 調べでは、06年6月ごろ、自宅近くに建設された10階建てマンションについて、「手抜き工事」などとインターネットの掲示板「2ちゃんねる」に中傷文書を流し、建設した静岡市内の建設会社の信用を傷つけた疑い。容疑者は「中傷はしていない」と容疑を否認している。

本条が定める信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同条にいう「信用」は、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含む以上、人の支払能力または支払意思に対する社会的な信頼に限定されない。販売されるオレンジジュースに家庭用洗剤を混入した上で、異物の入った商品が陳列・販売された旨の発表を報道機関にさせた場合には、粗悪な商品を販売しているという虚偽の風説を流布して、当該商店が販売する商品の品質等に対する社会的な信頼を毀損したものである。(最判H15.3.11刑集57-3-293)

 H15.3.11は最高裁出て、新宿でトンカツ食べて、帰りの新幹線車内の電光ニュースで「87年ぶりに判例変更」というのを見たのを覚えています。

信用棄損で有罪 判例、87年ぶり変更/最高裁
2003.03.12 東京朝刊 38頁 (全469字)
「商品の質」でも信用棄損罪成立 1916年の大審院判例を変更−−最高裁
2003.03.12 東京朝刊 27頁 総合 (全391字)
大審院判例を87年ぶり変更 信用棄損罪の範囲 最高裁
2003.03.12 朝刊 三社 (全479字)
87年ぶり大審院判例を変更  信用棄損罪で最高裁
2003.03.11 共同通信 (全484字)
購入飲料に洗剤混入 店の信用棄損罪成立 大審院判例を変更/最高裁
2003.03.11 西部夕刊 9頁 (全238字)
信用棄損判例 87年ぶり変更 最高裁判決
2003.03.11 大阪夕刊 14頁 第2社会 (全349字)
大審院判例を87年ぶり変更/信用棄損罪で最高裁
2003.03.11 夕刊 8頁 夕二社 (全231字)