児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合とするもの(2018年1月31日現在)

強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪を観念的競合とするもの(2018年1月31日現在)
 ついに東京高裁も観念的競合説書きましたよ。
 
名古屋地裁一宮 H17.10.13
東京地裁 H18.3.24
東京地裁 H19.2.1
東京地裁 H19.6.21
横浜地裁 H19.8.3
長野地裁 H19.10.30
7 札幌地裁 H19.11.7
東京地裁 H19.12.3
高松地裁 H19.12.10
10 山口地裁 H20.1.22
11 福島地裁白河支部 H20.10.15
12 那覇地裁 H20.10.27
13 金沢地裁 H20.12.12
14 金沢地裁 H21.1.20
15 那覇地裁 H21.1.28
16 山口地裁 H21.2.4
17 佐賀地裁唐津支部 H21.2.12
18 仙台高裁 H21.3.3
19 那覇地裁沖縄支部 H21.5.20
20 千葉地裁 H21.9.9
21 札幌地裁 H21.9.18
22 名古屋高裁 H22.3.4
23 松山地裁 H22.3.30
24 さいたま地裁川越支部 H22.5.31
25 那覇地裁沖縄 H22.5.13
26 横浜地裁 H22.7.30
27 福岡地裁飯塚 H22.8.5
28 高松高裁 H22.9.7
29 高知地裁 H22.9.14
30 水戸地裁 H22.10.6
31 さいたま地裁越谷支部 H22.11.24
32 松山地裁大洲支部 H22.11.26
33 名古屋地裁 H23.1.7
34 広島地裁 H23.1.19
35 広島高裁 H23.5.26
36 高松地裁 H23.7.11
37 大阪高裁 H23.12.21
38 秋田地裁 H23.12.26
39 横浜地裁川崎支部 H24.1.19
40 福岡地裁 H24.3.2
41 横浜地裁 H24.7.23
42 福岡地裁 H24.11.9
43 松山地裁 H25.3.6
44 横浜地裁横須賀 H25.4.30
45 大阪高裁 H25.6.21
46 横浜地裁 H25.6.27
47 福島地裁いわき支部 H26.1.15
48 松山地裁 H26.1.22
49 福岡地裁 H26.5.12
50 神戸地裁尼崎 H26.7.29
51 神戸地裁尼崎 H26.7.30
52 横浜地裁 H26.9.1
53 津地裁 H26.10.14
54 名古屋地裁 H27.2.3
55 岡山地裁 H27.2.16
56 長野地裁飯田 H27.6.19
57 広島地裁福山 H27.10.14
58 千葉地裁松戸 H28.1.13
59 高松地裁 H28.6.2
60 横浜地裁 H28.7.20
61 名古屋地裁岡﨑 H28.12.20
62 東京地裁 H29.7.14
63 東京高裁 H30.1.30

動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件について、世間の反応が「本件が広く報道され,被告人を批判する声が多数挙がるなどして,税理士を廃業するに至った。それにとどまらず,勤務先の税理士事務所や被告人の家族に嫌がらせをされ,インターネット上に被告人に対する危害予告とも解される書き込みがされたなどといった事実が認められ,被告人が様々な制裁を受けているとの弁護人の指摘もあながち否定できない。」と評価された事例(東京地裁h29.12.12)

 法令適用が公開されていません。

「その凄惨な映像を見て強い嫌悪感や憤りを覚えた者らから,被告人の厳罰を求める非常に多数の嘆願書が裁判所に提出されるなど,本件が社会に与えた影響も大きいものがある。」ということなので、署名を取り調べたのか、被告人質問で話題になったかなんでしょうね。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87409
事件番号  平成29特(わ)1985
事件名  動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件
裁判年月日  平成29年12月12日
裁判所名・部  東京地方裁判所  刑事第15部

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/409/087409_hanrei.pdf
平成29年12月12日宣告
平成29年特(わ)第1985号,第2048号
動物の愛護及び管理に関する法律違反被告事件
主 文
被告人を懲役1年10か月に処する。
この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。
理 由
【犯罪事実】
被告人は,埼玉県深谷市〔以下省略〕の敷地内において,第1 別表1(省略)記載のとおり,平成28年4月2日から平成29年4月17日までの間,前後9回にわたり,猫を金属製捕獲器に閉じ込めた上,その全身に熱湯を数回かけるなど別表1の「犯行態様及び死因」欄記載のとおりの態様,死因により,猫合計9匹を死亡させ,もって愛護動物をそれぞれみだりに殺し,第2 別表2(省略)記載のとおり,平成28年3月24日から平成29年2月15日までの間,前後4回にわたり,猫を金属製捕獲器に閉じ込めた上,その全身に熱湯を1回かけるなど別表2の「犯行態様」欄記載のとおりの態様により,猫合計4匹にⅡ度以上の熱傷の傷害を負わせ,もって愛護動物をそれぞれみだりに傷つけた。
【量刑の理由】
本件は,愛護動物である猫9匹を殺害し,4匹に傷害を負わせた事案である。
捕獲器で捕まえた猫に,熱湯を繰り返し浴びせかけたり,ガストーチの炎であぶったり,パイプに取り付けたロープでその首をつるし,熱湯を満たした缶に漬けたりするといった態様で,猫を殺害し,あるいは重傷を負わせるなどしており,その犯行態様は,誠に残虐なものである。
1年余りの間に合計13匹の猫に虐待を加えており,本件が常習的犯行であることも認められる。
本件によって,多くの猫の命が奪われるなどしたという結果の重さにとどまらず,被告人は,犯行を撮影した動2画をインターネット上に投稿したため,その凄惨な映像を見て強い嫌悪感や憤りを覚えた者らから,被告人の厳罰を求める非常に多数の嘆願書が裁判所に提出されるなど,本件が社会に与えた影響も大きいものがある。
被告人は,かつて猫の糞尿被害に遭ったことや,税理士としての繁忙期に手をかまれて仕事に支障を来したことで猫に対して悪感情を抱き,インターネット上で見た残虐な映像に感化され,駆除のために本件に至った旨述べる。
しかし,駆除行為とはいえないような虐待を当初から行っている上,被告人自身も公判廷で認めるように,犯行を繰り返すうちに,虐待行為自体に楽しみを覚えるとともに,その様子を撮影した動画をインターネット上で公開することが目的化したというのであって,本件各犯行を正当化する余地はない。
本件各犯行は,動物愛護の精神に反する悪質なものであり,被告人に対しては,懲役刑を科すべきである。
その一方で,被告人は,これまでA職員や税理士として前科もなく生活してきたところ,自らの行為が招いた結果ではあるが,本件が広く報道され,被告人を批判する声が多数挙がるなどして,税理士を廃業するに至った。
それにとどまらず,勤務先の税理士事務所や被告人の家族に嫌がらせをされ,インターネット上に被告人に対する危害予告とも解される書き込みがされたなどといった事実が認められ,被告人が様々な制裁を受けているとの弁護人の指摘もあながち否定できない。
また,被告人は,公判廷で自己の行為が誤りであったことを認めるとともに,自分があやめた猫に対するしょく罪の気持ちを持ち続けると述べ,動物愛護団体にしょく罪のための寄附も行っている。
このような事情に加え,動物の愛護及び管理に関する法律が定める法定刑や同種事案の量刑傾向にも照らせば,主文の刑に処した上で,その執行を猶予するのが相当であるが,行為の残虐性や常習性といった本件各犯行の悪質さを踏まえれば,その執行猶予期間は,同種事案に比較して長期間とすべきであると思料した。
(求刑 懲役1年10か月)
東京地方裁判所刑事第15部裁判官 細 谷 泰 暢

児童淫行罪の被害者と示談(300万円)・宥恕えて、2項破棄された事例(名古屋高裁H29.9.12)

 

名古屋高等裁判所
平成29年9月12日刑事第2部判決

       判   決
 上記の者に対する児童福祉法違反被告事件について,平成29年3月13日名古屋地方裁判所岡崎支部が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官江幡浩行出席の上審理し,次のとおり判決する。


       主   文

原判決を破棄する。
被告人を懲役2年6月に処する。
原審における未決勾留日数中240日をその刑に算入する。
原審における訴訟費用は被告人の負担とする。


       理   由

 本件控訴の趣意は,弁護人熊谷考人作成の控訴趣意書(当審第1回公判期日における口頭による訂正後のもの)に記載されているとおりであるから,これを引用する。
1 原判決の認定事実と本件控訴の趣意等
(1)原判決は,罪となるべき事実として,要旨,被告人が,当時17歳の被害者(以下「A」ともいう。)が満18歳に満たない児童であることを知りながら、Aが通っていた高校等の運営に関与し,生徒であるAらの音楽教育等の指導に当たるとともに,愛知県内の高校の寮でAらと共同生活をしてその生活全般の指導監督に当たっていたところ,その立場を利用して,平成28年3月8日(以下「本件当日」という。),上記寮内において,Aをして,被告人を相手に性交させ,もって児童に淫行をさせる行為をした,という児童福祉法違反の犯罪事実を認定,摘示している。
(2)論旨は,要するに,被告人は,Aと性交しておらず,また,自己の立場を利用して,Aに淫行をさせる行為をしていないのに,前記(1)の犯罪事実を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というものである。 
 もっとも,弁護人は,当審第2回公判期日において,弁論の再開を求め,その後行われた被告人質問で,被告人は前記(1)の犯罪事実を認めるに至った。さらに,弁護人は,事実の取調べによって明らかになった,被害者側と示談が成立し,被害者側から減刑嘆願がなされていること等を,原判決後の事情として考慮し,量刑について職権判断を求めるに至った。
2 論旨に対する検討
(1)既に述べたとおり,現時点においては,被告人は,前記1(1)の犯罪事実を認めるに至っており,それを裏付けるAの原審公判証言(以下「A証言」のようにいう。)等の証拠が存在するから,前記1(1)の犯罪事実を優に認めることができ,同事実を認めた原判決の判断に,結論において,誤りがないことは明らかである。
(2)念のため,論旨に鑑み,前記1(1)の犯罪事実を認定した原判決の判断に誤りのないことを確認しておく。
ア 原判決は,概要以下のような判断をしている。すなわち,平成28年3月11日にAの膣の奥の部分から採取された内容物に被告人のDNA型とそれが一致する精子が含まれていたことなどから,同日に近接した時点で,被告人とAが性交した事実がほぼ確実なものと推認され,これと,本件当日,被告人に性交されたとするA証言(後記イのとおり信用できるものである。)を併せれば,被告人がAと性交した事実自体は,優に認定できる。さらに,被告人が,Aの通う高校及び習い事の学校の運営に関わるとともに,Aらと高校の寮で共同生活をし,Aを指導監督する立場にあったところ,約半年前からAに対して性的行為に及んでいた中で,Aを連れ出して高校の寮に二人きりでいた際に,Aから生理中であることを理由に再三拒まれたにもかかわらず,Aに対し,執ように被告人と性的行為を行うよう求め,被告人が一方的に胸や陰部を触るなどの性的行為を行い,性交にも及んだことが認められるから,被告人は,自己の立場を利用して,Aに「淫行をさせる行為」をしたと認定できる。
イ(ア)上記判断の骨格となるA証言の信用性を検討する。その内容を見ても,被告人から性的行為を受けるようになった経緯や,本件当日の被告人とAの行動,さらには,被告人がAと前記寮内で性交した際の行為態様や発言内容(性交中に,被告人は,「中に出すぞ」とか,「今出した」などとも言った。)等,具体性に富み,特段不自然なところがない。加えて,被告人から性的被害を受けていることを同じ習い事の学校に通う被害者の友人(以下「B」という。)に打ち明けた経緯や状況については,B証言によって十分その信用性が裏付けられている。また,Aが直接警察に被害を申告したわけではなく,Bに,いわば偶然に被害を打ち明けたという経緯からすれば,Aが被告人を意図的に陥れようとしたものとは考えられない。
 したがって,A証言は十分信用することができる。
(イ)所論は,A証言やその信用性を支えるB証言等の信用性を論難するが,A証言に所論が指摘するような不自然・不合理な点は認められず,BがAと口裏合わせをしたような事情などもうかがわれないことなどに照らすと,いずれも理由がない。
ウ 所論は,種々の点を指摘して,被告人の原審公判供述は信用性が高い旨主張するが,特にその信用性を支持するような客観的な裏付け等があるわけでもなく,上記A証言の信用性を左右するような事情は見当たらないから,原判決が指摘するとおり,それに反する被告人の原審公判供述は信用性に欠けるものといわざるを得ない。
エ 以上の次第であるから,A証言の信用性を認めた原判断に誤りはなく,それらの関係証拠に基づいて,前記1(1)の犯罪事実を認めた原判決に誤りはない。論旨は理由がない。
3 職権判断
(1)原判決の量刑について,弁護人は,当審での事実取調べの結果明らかとなった示談の成立等の原判決後の事情を指摘して職権判断を求めているから,この点につき職権で調査する。
 原判決が指摘するとおり,被告人は,自己の立場を利用し,高校の寮内で,被害児童の懇願に応じることなく,執ように性的行為を促して,性交に及び,膣内に射精までして,妊娠の危険にさらしたのであるから,卑劣で悪質な犯行というほかない。被害児童の受けた精神的・肉体的苦痛は大きく,結果は重大である。被害児童に対して性的行為を繰り返していたという被告人には,常習性もうかがわれる。
 被告人は,平成16年に青少年との性交2件を内容とする条例違反の罪により執行猶予付きの懲役刑に処せられ,次に,平成25年8月には,本件と同種の,被告人が実質的に経営していた塾の生徒である児童2名と性交等して淫行をさせる行為をしたという児童福祉法違反等の罪により懲役3年,5年間保護観察付き執行猶予に処せられた。それにもかかわらず,その判決宣告から約2年7か月という,保護観察付き執行猶予期間中に,更に本件犯行に及んでいるから,被告人にはこの種犯罪傾向が顕著であると評価せざるを得ず,遵法精神の乏しさもまた明らかであり,非難の程度は相当に厳しい。
 原判決は,そのほか,被告人が不合理な弁解に終始し,反省の態度が見られないこと,前刑の執行猶予の取消しが見込まれることをも考慮し,被告人を懲役3年に処するのが相当であるとの判断を示している。原判決の言渡しの時点でみる限り,この量刑判断が重過ぎて不当であるとは認められない。
 しかし,当審での事実取調べの結果,被告人が,被害児童の将来をもおもんぱかるなどして事実を認めるに至り,被害児童側との間で示談を成立させて300万円を支払ったこと,それを受けて被害児童側も減刑等の寛大な処分を求めるに至っていることが認められる。これらの事情は,事後の事情であっても,相応に量刑に影響を与えるものであるから,現時点においては,原判決の量刑は,いささか重過ぎるに至ったものと考えられ,刑期の点で是正を要する。
(2)よって,刑訴法397条2項により原判決を破棄し,同法400条ただし書により更に次のとおり判決する。
 原判決の認定した罪となるべき事実に,原判決と同じ罰条の適用,刑種の選択をし,その刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処し,刑法21条を適用して原審における未決勾留日数中240日をその刑に算入し,原審における訴訟費用は刑訴法181条1項本文により全部これを被告人に負担させることとして,主文のとおり判決する。
平成29年9月12日
名古屋高等裁判所刑事第2部
裁判長裁判官 村山浩昭 裁判官 入江恭子 裁判官 赤松亨太

師弟関係の児童淫行罪につき懲役3年(実刑)とした事例(岡崎支部h29.3.13)

師弟関係の児童淫行罪につき懲役3年(実刑)とした事例(岡崎支部h29.3.13)

児童福祉法違反被告事件
名古屋地方裁判所岡崎支部
平成29年3月13日刑事部判決

       判   決

被告人
検察官 西川和志
弁護人 寺田典弘(主任) 堤真吾 安田昂央


       主   文

被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中240日をその刑に算入する。
訴訟費用は被告人の負担とする。


       理   由

※理由中の「A」,「B」,「C」,「F」,「G」,「I」,「高校」,「習い事の学校」は,関係者の氏名又は関係箇所に代わる呼称であり,その氏名等及び犯行場所である高校の寮の所在地は,別紙のとおりである。
(犯罪事実)
 被告人は,A(当時17歳)が満18歳に満たない児童であることを知りながら,Aが通っていた高校等の運営に関与し,生徒であるAらの音楽教育等の指導に当たるとともに,愛知県内の高校の寮でAらと共同生活をしてその生活全般の指導監督に当たっていたところ,その立場を利用して,平成28年3月8日,上記寮内において,Aをして,被告人を相手に性交させ,もって児童に淫行をさせる行為をした。
(証拠)《略》
(争点に対する判断)
1 弁護人の主張等
 弁護人は,要旨,〔1〕被告人はAと性交していない,〔2〕被告人はAに対し支配的な地位にないとして,被告人が無罪であると主張する。当裁判所は,犯罪事実のとおり,事実を認定し,被告人の行為は「児童に淫行をさせる行為」に当たると判断したので,その理由を説明する。
2 Aのちつの奥の部分から採取された内容物に被告人の精子が含まれていたこと
(1)P2医師,ちつ内容物を引き継ぐなどした各警察官,P3科捜研職員の各供述について
ア Aのちつ内容物を採取したP2の供述の信用性について検討すると,P2は,産婦人科の医師であり,知識,経験を有する専門家である。また,P2医師には虚偽の供述を行う動機はない。これらによれば,P2医師の供述は信用できる。
イ Aのちつ内容物を引き継ぎ,鑑定嘱託をするなどしたP4,P5,P6各警察官の供述について見ると,各警察官は,いずれも警察官の職務としてこれらの作業等を行っていること,鑑定書(甲14)添付の写真1によると,科学捜査研究所に持ち込まれたAのちつ内容物の付着した綿棒の入った袋には封印がされていたことなどからすると,各警察官の供述は信用できる。
ウ Aのちつ内容物の鑑定を行ったP3の供述について見ると,P3は,科学捜査研究所の警察職員であり,DNA型鑑定の知識,経験を有する専門家である。また,P3に,虚偽の供述を行う動機はない。これらによれば,P3科捜研職員の供述は信用できる。
(2)検討
 P2医師,P4警察官,P5警察官,P6警察官及びP3科捜研職員の各供述及びAのちつ内容物についての鑑定書(甲14)によれば,平成28年3月11日に採取されたAのちつ内容物には,精子が含まれており,その精子のDNA型(STR15座位)は,鑑定書(甲14)の別添表のとおりであることが認められる。
 そして,被告人の口腔内細胞についての任意提出書(甲19),領置調書(甲20),鑑定嘱託書謄本(甲21)及び鑑定書(甲22)によれば,被告人の口腔内細胞のDNA型(STR15座位)は,鑑定書(甲22)の鑑定結果のとおりであると認められる。
 これらによれば,Aのちつ内容物に含まれた精子のDNA型と,被告人のDNA型は,STR15座位の型全てにおいて一致していると認められる。そして,P3科捜研職員の供述によると,STR15座位の型全てにおいて一致する確率は,最もありふれた型で約4兆7000億人に一人であると認められる。
 これらに,被告人とAが高校の寮等でよく接触する関係であることをも併せて考えると,平成28年3月11日に採取されたAのちつ内容物には,被告人の精子が含まれていたと認められる。
 そして,P2医師の供述によれば,Aのちつ内容物は,ちつの入口に当たる外陰部ではなく,うっすらと白色の透明がかった内容物があった後ちつ円蓋を中心として,ちつの奥の部分から採取されたものであること,ちつ入口付近に精子が付着した場合,ちつの奥に精子が入り込むことは普通はないことが認められる。これらの事実を併せて考えると,被告人とAは,平成28年3月11日のAのちつ内容物の採取より前に,性交したことが強く推認される。
3 Aが被告人から性的行為を受けたというAの供述が信用できること
(1)Bの供述について
ア Bは,Aから,平成28年3月8日午後10時30分過ぎ頃,Aが被告人から性的行為を受けてきたことを聞いたなどと供述する。
イ Bの供述の信用性について検討する。
 Bの供述は,Aから,本件が警察に発覚した後に,Aが被告人から性的行為を受けたことを聞いたとするI(Aの母)の供述と符合する。また,Bは,Aに見せたというスマートフォンのメモや,Aの反応等をよく説明している。さらに,喫茶店でのやり取りについて,P7警察官の供述とも整合する。
 確かに,Bは,Aの友人である上,自身も被告人から性的行為を受けたと供述する者ではあるが,Aの受けた性的行為について断片的な情報のみ供述しているし,被告人が,喫茶店において,当初,Aに対する性的行為を否定していたことなど,被告人に有利なことも供述しており,誠実に供述しているといえる。
 これらによれば,Bの供述は信用できる。
(2)P7警察官の供述について
ア P7は,本件が警察に発覚した経緯について供述する。
イ P7は,警察官の職務として喫茶店に赴くなどしたにすぎないのであり,殊更に虚偽の供述をする動機はない。また,その供述内容は,あくまでも見聞きした断片的な情報にとどまっており,作為は見られない。これらによれば,P7警察官の供述は信用できる。
(3)I(Aの母)の供述について
ア Iは,Aから,本件が警察に発覚した以降に,Aが被告人から性的行為を受けてきたことを聞いたなどと供述する。
イ Iの供述は,同じくAから被告人によるAに対する性的行為を聞いたBの供述と符合する。また,Iは,Aの母であって,本件について利害関係があり,かつ,Aと口裏合わせをすることができる立場ではあるが,Iの供述は断片的な情報にとどまっており,殊更に虚偽を述べたり,口裏合わせをしたりしていないといえる。これらによれば,Iの供述は信用できる。
(4)Aの供述について
ア Aは,平成27年9月後半頃から,被告人から性的行為を受けるようになったことや,平成28年3月8日に,被告人から高校の寮で性的行為を受けたことなどを供述する。
イ Aの供述の信用性について検討する。
 まず,Aの供述のうち,被告人が平成28年3月8日に,Aの陰部に陰茎を突き立ててくるなどするとともに,「中に出すぞ。」と言い,その後,「今出した。」と言ったことは,そのとおりであれば,被告人がAと性交し,ちつ内に射精したことを強く推認させる。そうすると,Aのこの点の供述は,前記2(2)のとおり,平成28年3月11日にAのちつの奥の部分から採取された内容物に被告人の精子が含まれていたことと整合し,Aの供述の根幹部分の信用性を強力に支える。
 次いで,Aの供述は,Aから,平成28年3月8日午後10時30分過ぎ頃に,Aが被告人から性的行為を受けてきたことを聞いたとするBの供述と符合する。さらに,そのようにAがBに話した事実は,Aが供述するようにAが実際に被告人から性的行為を受けてきたことを強く推認させるのであり,Aの供述の信用性を相当に高める。
 加えて,信用できるB及びP7警察官の各供述によれば,Aは,まず,友人であるBに被告人によるAに対する性的行為を相談し,それがBの母らに伝わり,被告人とBの母らが話をする中で,被告人によるAに対する性的行為が警察に発覚することになったことが認められるが,このような発覚経緯は,Aの供述と符合する上,Aの警察への申告に作為がなく,Aの供述に虚偽がないことを推認させる。
 さらに,Aの供述は,Aの母親であるIがAから聞いた内容とも整合する。
 そもそも,Aが被告人による虚偽の性的行為を作出し,警察に申告するなどしたとは考えにくい。というのは,まず,Aは当時,高校等の生徒であり,被告人はAを高校や高校の寮などで指導する立場の者にすぎず,Aに被告人による虚偽の性的行為を作出する動機は考えにくい。また,Aの供述を見ても,Aは被告人から陰部に陰茎を挿入されたと断定していないなど,殊更に自己が受けた性的行為を強調していない。
 さらに,Aやその他の者は,被告人に対して,少なくとも逮捕後に金銭の要求をしていないから,Aが示談金欲しさに嘘をついたとは考えにくい。さらに,Aが,被告人に厳しく叱責されたことや,被告人に対する恋愛感情が満たされなかったことなどが原因でその報復のために被告人による虚偽の性的行為を作出したとは考えにくい。すなわち,Aは報復のために,自己のちつ内に被告人の精液を挿入したことになるが,Aが妊娠のリスクを冒してまで,被告人への報復を考えたとの事情は見出し難い。さらに言えば,平成28年3月11日のAのちつ内容物の採取時に,被告人の精液がAのちつの奥の部分に少量存在し,偽装した様子はうかがえないことや,Aは最初に友人であるBに被告人から性的行為を受けてきたことを打ち明け,Bがその母にその話を伝えるなどの経過をたどって本件が警察に発覚したことは,いずれも,Aが殊更に被告人を陥れようとしていないことを示すといえる。
 以上によれば,Aの供述は信用性できる。
ウ これに対して,弁護人は,被害時刻に関するAの供述が捜査段階から変遷していることを指摘する。しかし,性的被害に遭った者が時刻について記憶を混乱させることはあり得るのであり,Aが習い事の学校のカリキュラムを見るなどして被害時刻を整理して考えて供述内容を変えたとしても不自然ではない。
 また,弁護人は,Aの供述する犯行態様が極めて不自然であると主張する。しかし,Aにおいて性的経験が十分でないことなどからすると,Aが被告人の陰茎が自己の陰部に挿入されたかどうかを明確に供述できないことや,AにおいてAが供述するように犯行の態様を述べることなどが不自然とはいえない。
 さらに,弁護人は,Cの警察官調書抄本写し(弁3)等を根拠に,Aが事件後もCらの前で普段と変わらない様子でいたことを指摘する。しかし,一般に,性的被害に遭った女性が第三者の前で平静を装うことはあり得ることであるし,ましてやAは,以前から被告人から性的行為を受けてきたというのであるから,Aがそのような行動をとっていたからといって,Aの供述の信用性は否定されない。
 加えて,弁護人は,Aが以前から被告人から性的行為を受けてきたのに,母親や友人等に言わず,高校の寮から出るなどしていない事実を指摘して,不自然であると主張する。しかし,一般に性的被害に遭っている女性が周りの人に相談できずにいることはあり得ることであるし,Aも母親に気を遣うなどして相談できなかったなどと供述しているのであり,そのことが不自然であるとはいえない。
 Aの供述が信用できないという弁護人の主張は採用できない。
(5)Fの供述について
ア Fは,平成28年3月8日午後7時31分及び同日午後7時51分に被告人からメールを受け取ったことや,同月10日に,被告人からメールと電話で,前日に被告人が使用し,高校の寮で捨てたコンドームがなくなっていると伝えられたことなどを供述する。
イ Fと被告人との関係や,Fと被告人との面会の状況などからすると,Fは,被告人のために虚偽の供述をする動機があり,被告人と口裏合わせの機会がある。また,Fが供述する各メールについては,客観的な裏付けを欠く。Fは,交際相手であって無罪を争う被告人からこれらのメールの確認を頼まれ,平成28年3月後半から4月頃に各メールを見たにもかかわらず,警察や弁護人に依頼してパソコンなどのデータを保存しなかったというのであり,Fの言動は不自然である。
 これらによれば,Fの供述は,直ちに信用することができない。
ウ もっとも,仮に,Fが供述するように,被告人が平成28年3月8日午後7時31分及び同日午後7時51分に習い事の学校で使っていたパソコンからメールを送信したという事実があったとしても(特に,同日午後7時51分のメール),Aの供述と,実際に被告人とAが同日に習い事の学校に戻った時刻が多少違うことはあり得るのであり,このことで,Aの供述の重要部分が信用できないということにならない。また,仮に,Fが供述するように,被告人が使用し,高校の寮内で捨てられたコンドームが,同月10日に見当たらなくなったことがあったとしても,Aの供述と整合しないといえないのであり,Aの供述の重要部分が信用できないことにならない。
(6)被告人の供述について
ア 被告人は,平成28年3月8日を含めて,Aに対して性的行為をしたことは一切ないなどと供述する。
イ しかし,被告人の供述は,被告人がAに対して,平成28年3月8日やそれ以前に,性的行為をしたかどうかなどについて,信用できるAの供述と大きく異なる。
 被告人の供述のうち,少なくとも,信用できるAの供述に反する部分は信用できない。
4 被告人がAと性交し,Aが「淫行」をしたことについて
(1)被告人がAと性交したこと
 前記2(2)のとおり,Aのちつ内容物の鑑定の結果等によれば,被告人とAは,平成28年3月11日のAのちつ内容物の採取より前に,性交したことが強く推認される。
 加えて,Aは,「被告人は,Aに対して,平成28年3月8日,高校の寮で,様々な性的行為をしたほか,Aの陰部に被告人の陰茎を突き立てて,激しく上下するという行為を何度も行い,その際,被告人は『中に出すぞ。』と言い,その後,『今出した。』と言った。」などと供述しており,その供述は,前記3(4)のとおり,信用できる。ここで,被告人がAの陰部に被告人の陰茎を突き立てて,激しく上下するという行為をした際に,「中に出すぞ。」と言い,「今出した。」と言ったことは,それぞれ,「ちつ内に射精する。」,「ちつ内に射精した。」という意味で言ったことであると認められる。
 以上を併せ考えると,被告人は,平成28年3月8日に,高校の寮において,Aに対して様々な性的行為を行うとともに,Aのちつ内に自己の陰茎を挿入し,ちつ内に射精したと認められる。
 したがって,被告人は,Aと性交をしたことが認められる。
(2)Aが「淫行」をしたこと
 信用できるA,B,Gの各供述及びCの警察官調書抄本写し(弁3)並びに被告人の公判供述によると,〔1〕被告人は,Aらの通う高校や習い事の学校の運営に関与し,高校や習い事の学校の生徒であるAらに対する音楽教育等の指導を行うとともに,Aらと高校の寮で共同生活をしていたこと,〔2〕被告人(当時41歳)とA(当時17歳)との間には,男女間の交際関係はなく,被告人には当時,交際相手がいたことが認められる。
 これらによれば,被告人とAとの間の性交は,Aにとって,児童であるAを単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であって,児童の心身の健全な育成を阻害する恐れがあると認められる性交であるといえる。
 以上によれば,Aが「淫行」をした事実が認められる。
5 被告人が,自己の立場を利用して,Aに被告人を相手に性交させ,Aに淫行を「させる行為」をしたことについて
(1)認定事実
ア 信用できるA,B,Gの各供述及びCの警察官調書抄本写し(弁3)並びに被告人の公判供述によると,次の事実が認められる。
 すなわち,〔1〕被告人(当時41歳)とA(当時17歳)は,男女間の交際関係でなかった。被告人は,生徒としてAらが通う高校及び習い事の学校の運営に関与し,Aらの音楽教育等の指導に当たっていた。また,被告人は,生徒だけでなく,高校等の教師に対しても叱るなどして指導していた。さらに,被告人は,Aらと共に高校の寮で共同生活をし,Aらの生活全般の指導監督にも当たっていた。〔2〕被告人は,平成28年3月8日,Aを習い事の学校から,A及び被告人らが生活する高校の寮に連れ出し,寮に二人きりの状況で,Aがやめるように懇願したにもかかわらず,執ように性的行為を行うことを促して,性的行為及び性交に及んだ。〔3〕被告人は,本件時,脱衣所及び浴室内等で,Aの胸や陰部を一方的に触り,陰茎を陰部に押し付けるなどした上、避妊の措置をとることなく陰茎を陰部に挿入し,そのままちつ内に射精した。また,被告人は,約半年前から,繰り返しAに対して一方的に性的行為に及んでいる中で,本件性交に及んだ。
イ なお,被告人は,Aらの音楽教育等の指導に当たっていないと供述するが,信用できるA,B,Gの各供述によれば,被告人は,高校や習い事の学校で決まった授業を担当することはなかったものの,Aらに対して歌を教えるなど,音楽教育等の指導をしていたと認められる。 
 被告人は,Aらと高校の寮において共同生活をしていたが,Aらの生活の指導監督はしていないと供述する。しかし,信用できるGの供述及びCの警察官調書抄本写し(弁3)並びに被告人の公判供述によれば,被告人は,Gに対して自分はボディーガード役として寮に入るなどと言って,高校の寮に住むようになったこと,被告人は,高校の寮において,日常,夕食の準備や,自動車による高校等への生徒らの送り迎えを行っていたこと,被告人はAらに対して,「早く寝るように。」と言うことがあったことが認められる。そして,これらに,被告人が高校や習い事の学校でAらを指導していたことなどを併せ考慮すると,被告人は,Aらと高校の寮において共同生活をしていただけでなく,Aらの生活全般の指導監督をしていたと認められる。
(2)検討
 前記(1)アのような被告人とAとの関係,被告人がした淫行への助長・促進行為の内容及びAの意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る経緯等を考慮すると,被告人は,Aに対して事実上の影響力を強く及ぼしてAが淫行をなすことを助長し促進したといえる。
 そうすると,被告人は,自己の立場を利用して,Aに被告人を相手に性交させ,Aに淫行を「させる行為」をしたと認められる。
6 結論
 以上から,犯罪事実を認定した。
(法令の適用)
罰条 児童福祉法60条1項,34条1項6号
刑種の選択 懲役刑を選択
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
 被告人は,犯罪事実記載の自己の立場を利用し,高校の寮内で,被害児童がやめるように懇願したにもかかわらず,執ように性的行為を行うことを促して,性交に及んだもので,卑劣で悪質な犯行である。被告人は,本件時,避妊具を用いなかったばかりか,ちつ内に射精をしており,被害児童を妊娠の危険にさらした点でも悪質である。また,被告人は,以前からその寮内で被害児童に対してたびたび一方的に性的行為に及んでいたのであり,被告人の行為には常習的な面がある。被害児童は,被告人からの要求を拒みにくい状況で,性交させられ,精神的肉体的苦痛を被ったのであり,結果は重大である。他方,被害児童は被害当時17歳であり,より年少の児童に対する事件と比べると,悪質さに差異がある。
 さらに,被告人は,平成16年に岐阜県青少年健全育成条例違反の罪(青少年との性交2件)により執行猶予付きの懲役刑の有罪判決を受け,平成25年8月には,傷害,児童福祉法違反(本件と同種の,児童との性交により淫行をさせる行為等)等により懲役3年,執行猶予5年保護観察付きの有罪判決を受けたにもかかわらず,前刑の判決宣告から約2年7か月後に本件犯行に及んでいるのであり,被告人には,この種事件についての常習性や,法律を守る意識の乏しさが認められ,被告人に対しては厳しい非難が妥当する。また,被告人は,自己の犯行を否認し,不合理な弁解に終始しており,反省の態度は見られない。他方,被告人について,前刑の執行猶予の取消しが見込まれる。
 以上によれば,被告人に対しては,主文の刑に処するのが相当であると判断した。
(求刑 懲役4年)
平成29年3月13日
名古屋地方裁判所岡崎支部刑事部
裁判官 近道暁郎

釈放後自殺したと思われる事例

 奥村の取扱事件でも、在宅の被疑者・被告人が自殺されることがあります。
 青少年条例違反1 製造1くらいなら、予想される刑罰は罰金ないし執行猶予付きの懲役刑でたいしたことはないんですが、社会的制裁が強いので、追い込まれるのだと分析します。
 社会的地位のある人について、早めに相談していただければ、逮捕・報道を回避して在宅捜査にして、地位は変わらないということもあります。

 

https://www.nikkansports.com/general/news/201801230000196.html
神奈川県警に児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕され、その後釈放された市議が、浜松市内に止めた車内から遺体で見つかっていたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。死因は一酸化炭素(CO)中毒で、現場の状況から練炭自殺とみられる。捜査関係者によると、元市議は21日午前、浜松市北区の駐車場に止めた車の中で発見された。遺書の有無は明らかになっていない。
市議は昨年3月、当時14歳で中学3年だった横浜市の少年に下半身を露出させた写真を撮影させ、無料通信アプリLINE(ライン)で送信させ、昨年12月には横浜市内のホテルで、都内の高校2年の男子生徒(17)に現金を渡し、わいせつな行為をした疑いで今月10日、神奈川県警に逮捕された。
 17日に処分保留で釈放。逮捕後に市議の辞職願を出し、許可されていた。中京大陸上競技部(愛知県)で棒高跳びのコーチも務め、五輪に出場した男子選手を指導した経験がある。

高校事務職員児童ポルノDVD2枚所持→捜索→罰金30万円 減給6ヶ月

 犯罪なんだから、バレたら罰則と懲戒が来ますよね。
 他の児童ポルノ・児童買春罪と比べると懲戒軽いですよね。単純所持=虐待という思想は浸透してないね。

https://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20180123_1
県教委は22日、児童買春・ポルノ禁止法違反罪(所持)で昨年12月に罰金30万円の略式命令を受けた県立高校の20代男性主事(事務職員)を減給6カ月(10分の1)の懲戒処分にした。

 県教委によると、主事は2016年5月ごろ、インターネット上のアダルトサイトで児童ポルノのDVD2枚を購入し、性的好奇心を満たす目的で所持。昨年9月に警察の家宅捜索を受け勤務校に報告した。

 県教委によると、主事は「違法の認識はあり、思いとどまるべきだった。深く反省する。大変申し訳ない」と話している。辞職はせず、発覚後も生徒と接触しない業務を続けている。罰金は昨年12月に納付した。

 青少年条例違反2、児童買春罪1、姿態をとらせて製造罪1で懲役2年6月(那覇地裁h29.10.5)

 この程度の事件の情状立証で示談は必要ありませんし、この量刑だと示談は反映していません。普通懲役2年執行猶予です。
 沖縄県では青少年=満18歳に達するまでの者(婚姻した女子を除く。)と定義するので、「」満18歳に達しない青少年であることを知りながら」では構成要件を満たしません。婚姻経験がないことも摘示する必要があると思われます。

沖縄県青少年保護育成条例
(定義)
第5条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年 満18歳に達するまでの者(婚姻した女子を除く。)をいう。
(2) 保護者 親権者、後見人、児童福祉施設の長その他青少年を現に監護する者をいう。
・・
〔解説〕
1 本条は、この条例で使用する主要な用語の意義を明確に定めて、解釈上の疑義が生じないようにしたものである。
2 青少年
(1) 青少年の上限を 18歳未満としたのは、ア 一般的にこの年齢までの青少年が心身とも未熟である。イ有害な環境や不健全な行為によって特に影響を受けやすい。
児童福祉法労働基準法、風適法等の関係法令でも保護の対象としている。
エ関係業界における自主規制(映倫維持委員会による成人映画の指定、日本ビデオ倫理協会による成人ビデオの指定)の状況等を考慮し、これらとの均衡を図ったものである。
(2) 改正前の条例では、青少年の下限を「小学校就学の始期(6歳に達した幼児の最初の4月1日)」 としていたが、最近、深夜に大型の複合施設において就学前の子供を同伴する保護者が見受けられたり、就学前の子供が強制わいせつの被害に遭うなど、これまで予期しなかった低年齢の子どもの健全育成を限害する問題が発生していることから、就学前の子供についても条例の保護の対象とする必要があるため、平成18年の改正で青少年の定義から下限年齢を撤廃したものである。
-
(3) 婚姻した女子を青少年から除外したのは、女子は満16歳に達すれば父母の同意を得て婚姻することができ、婚姻により民法上の行為能力が与えられることと、当該女子の社会的、精神的条件を考慮して定めた基準である。なお、その後18歳に達するまでの間に離婚しでも、この条例でいう青少年には含まれないものとする。

裁判年月日 平成29年10月 5日 裁判所名 那覇地裁 裁判区分 判決
事件名 沖縄県青少年保護育成条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する沖縄県青少年保護育成条例違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官小澤早央里,弁護人川津知大(私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
 
主文

 被告人を懲役2年6月に処する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
 第1 平成29年5月3日午前11時47分頃から同日午後4時33分頃までの間に,那覇市〈以下省略〉のaホテル805号室において,A(当時16歳)が満18歳に達しない青少年であることを知りながら,専ら自己の性欲を満たす目的で同人と性交し,もって青少年に対し,みだらな性行為をし
 第2 同人が18歳に満たない児童であることを知りながら,前記日時場所において,同人にその胸部を露出する姿態をとらせ,これを被告人の携帯電話機付属のカメラで静止画として撮影し,同画像データ2点を同携帯電話機内蔵の電磁的記録媒体に記録・蔵置させ,もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し
 第3 平成28年12月2日午後10時26分頃から同月3日午前零時14分頃までの間に,沖縄県沖縄市〈以下省略〉のbホテル209号室において,B(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児童に対し,現金5000円の対償を供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をし
 第4 平成29年2月19日午後3時48分頃から同日午後7時27分頃までの間に,同ホテル206号室において,C(当時17歳)が満18歳に達しない青少年であることを知りながら,専ら自己の性欲を満たす目的で同人と性交し,もって青少年に対し,みだらな性行為をした。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 罰条
 判示第1及び第4の各所為 沖縄県青少年保護育成条例22条1項,17条の2第1項
 判示第2の所為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項3号
 判示第3の所為 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 刑種の選択 いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重)
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 (量刑の理由)
 被告人は,自己の性欲等を満たすために,いわゆる出会い系アプリを利用して,被害者らと知り合い,児童・青少年らの判断能力の乏しさに付け込み,約半年間の間に判示各犯行に及んだものであって,悪質な犯行である。本件各犯行によって被害者らの心身に与える影響等も大きいとみられる。本件各犯行当時,警察官の職にありながら,自制することなく本件各犯行に及んだ点でも厳しい非難を免れない。
 以上によれば,被告人の刑事責任を軽くみることはできない。
 しかしながら,被告人が本件各犯行を素直に認め,謝罪文を作成するなど反省していること,被害者らとの間で示談が成立していること,被告人には前科前歴がないこと,被告人の父親が出廷し今後の支援を誓っていること,自業自得とはいえ本件により懲戒免職となって社会的制裁を受けていることなどの事情も認められる。
 以上の事情を総合的に考慮した結果,被告人には,今回に限って刑の執行を猶予し,社会内で更生の機会を与えるのが相当であると判断した。
 よって,主文のとおり判決する。
 (求刑・懲役2年6月)
 那覇地方裁判所刑事第1部
 (裁判官 川﨑博司)

Twitter上の対償供与の約束の時点では児童と知らなかったが、犯行当日に会ってから児童と告げた事例で児童買春罪の成立を認めた事例(山形地裁H29.8.17)


 児童買春罪の実行行為は、対償供与の約束+性交等なので、約束時点で児童であることの認識が必要です。
「被害児童は,公判廷において,「被告人とはツイッターのダイレクトメッセージでやり取りをして,援助交際をすること,すなわち,被告人から1万5000円の支払を受けて性交をすること,を合意した上で落ち合ったが,ホテルに向かう車中で,被告人から『何歳』と聞かれたので,『16』と答えたところ,『ああ,そうなんだ』と言われた」などと証言する。」とか「被害児童は,ホテルに向かっていない場合には,18歳といううその年齢を告げていたと供述する一方,本件においては,向かうべきホテルも決まっていない段階であるのに,被告人に対して16歳である旨答えたとも供述しており,」というのであれば、対償供与の約束の時点では、児童という認識はないので、児童買春罪は成立しないことになります。
 そう主張すると、検察官は約束成立時点を「性交等の直前」などと遅らせてくるので、求釈明等で、対償供与の約束の時期を確定させておく必要があります。

裁判年月日 平成29年 8月17日 裁判所名 山形地裁 裁判区分 判決
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官笹川修一及び弁護人(私選)伊藤三之各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
 被告人を罰金50万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,平成28年9月25日午後10時52分頃から同月26日午前零時12分頃までの間,山形県東根市〈以下省略〉aホテル308号室において,A(当時16歳。以下「被害児童」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら,被害児童に対し,現金1万5000円の対償を供与する約束をして,被害児童に対し,性交をし,もって児童買春をしたものである。
 (証拠の標目)
 (事実認定の補足説明)
 1 争点
 関係証拠によれば,被告人が,平成28年9月25日午後10時33分頃,山形県天童市内のスーパーマーケットの駐車場で被害児童と落ち合い,その後被告人運転の自動車で判示の同県東根市内のホテルに向かい,同日午後10時52分頃から翌26日午前零時12分頃までの間,このホテルの一室で,被害児童に対し,現金1万5000円の対償を供与する約束をして,被害児童に対し,性交をしたことは明らかである。
 この点に関し,弁護人は,「被告人は,被害児童が18歳未満であることを知らなかったので,無罪である」旨主張し,被告人も,当公判廷で,これに沿う供述をするので(争点は年齢の知情性である。),判示事実を認定した理由を補足して説明する。
 2 被害児童の証言について
  (1) 被害児童の証言要旨
 被害児童は,公判廷において,「被告人とはツイッターのダイレクトメッセージでやり取りをして,援助交際をすること,すなわち,被告人から1万5000円の支払を受けて性交をすること,を合意した上で落ち合ったが,ホテルに向かう車中で,被告人から『何歳』と聞かれたので,『16』と答えたところ,『ああ,そうなんだ』と言われた」などと証言する。
  (2) 被害児童の証言の信用性について
 被害児童は,ホテルに向かう車中で被告人に対し自己の年齢が16歳であると告げたことを含め,被告人と落ち合ってからホテルで性交して別れるまでの状況について,その時々のエピソードを交えながら,具体的に語っている上,その内容も自然の流れに沿っており,合理的である。殊に,ホテルで性交を終えた後,被害児童がしたバイクの免許を取得したいなどという話の流れで,被告人から自動車の免許は取得しないのかと聞かれ,「来るとき言ったけど16だから免許取れない」みたいに言ったら,被告人が「ああ,そうだった,ごめんね」と言ったという点は,かなり具体的なものである。
 さらに,被害児童は,本件の4日後の平成28年9月29日に補導されているが(甲1),被害児童によると,被害児童は,同年8月終わりくらいから援助交際を開始し,補導されるまでに15人くらいの男性との間で援助交際をしたが,被告人は最後から2人目の相手であったので,結構覚えているというのであり(甲17参照),現に,被害児童は,被告人との援助交際に関し,補導から2日後の同年10月1日の段階から,警察官に対し,「ホテルに向かう車中で,相手から年齢を聞かれたため『16歳です』と本当の年齢を伝えた」と述べている(甲2)。それとともに,被害児童は,その前後に援助交際に及んだ被告人以外の6名の相手方男性について,性交の場所等が判然としない者についてはその旨述べる一方,性交の場所等を覚えている者については,その場所を明らかにするとともに,それらの者に自己の本当の年齢を告げた状況を具体的に語っており,その供述は相手方男性らの各供述とも一致している(甲19。なお,甲19の信用性を疑わせる事情はない。)。このように,被害児童は,当初から一貫して,ホテルに向かう車中で被告人に自己の年齢を告げた旨を述べるほか,被告人と他の援助交際の相手方男性とを区別しながら供述しており,被害児童が約1か月間に15名程度の男性と援助交際をしていたことを考慮しても,被害児童において,他の相手方男性との間でしたやり取りを,被告人との間でしたものと混同・誤解するなどして誤った供述をしているとは到底考えられず,他に被害児童が混同等をしているとうかがわせる証跡もない(もとより,被害児童において,故意に,被告人を陥れる虚偽の証言をする理由もない。)。
 以上によれば,被害児童の証言は信用性が高い。
  (3) 弁護人の主張について
   ア これに対し,弁護人は,①売春当事者は,後腐れがないように,互いの年齢等の個人的な情報については教えもしないし,聞きもしないのが当然である,②仮に被害児童が16歳であることを正直に告げると,相手方男性が援助交際を思いとどまること等が懸念されるから,被害児童にとって自己の年齢は相手方男性には知られたくない情報であった,などと指摘して,被告人に本当の年齢を告げたという被害児童の証言は不自然であって信用できないと主張する。しかしながら,①の点は,年齢は,氏名や住所,電話番号などとは異なり,それを明らかにすることによって直ちに自身の身元が特定される類いの情報ではないから,弁護人がいうような「売春当事者は,後腐れがないように,互いの個人的な情報については教えもしないし,聞きもしない」との前提に立ったとしても,なお年齢を明らかにすることが不自然とはいえない。むしろ,年齢は,援助交際のようにその場限りの性交をしようとする男女が,初対面から性交に至るまでの場の雰囲気を悪くしないように交わす当たり障りのない話題としてありがちなものといえ,そのような男女間で性交に先立ち年齢に関するやり取りをすることもそれなりにあり得るといえる。次に,②の点は,被害児童によると,ホテルに向かっていない場合等には,年齢を正直に言うと,相手方男性が援助交際を思いとどまって帰ってしまうのではないかと思い,18歳といううその年齢を告げていたが,ホテルに向かっている場合やホテルに着いている場合には,もはや相手方男性が帰ることはないと考え,正直に16歳と答えていたというのであり,この供述はそれなりに筋の通ったものといえる。したがって,被害児童において,被告人とホテルに向かっている段階で,被告人から聞かれるがまま,16歳と答えたとしても特に不自然ではない。加えて,何より,被害児童は,現に,他の援助交際の相手方男性に対しても,性交前の,ホテルに向かう車中やホテルの室内で,自己の本当の年齢を告げているのである(甲19)。以上によれば,被害児童が援助交際の相手方男性に年齢を教えることはあり得ないかのようにいう弁護人の主張は採用できない。
   イ また,弁護人は,被害児童は,ホテルに向かっていない場合には,18歳といううその年齢を告げていたと供述する一方,本件においては,向かうべきホテルも決まっていない段階であるのに,被告人に対して16歳である旨答えたとも供述しており,その供述は相互に矛盾して,信用できないと主張する。しかしながら,被害児童は,どこのホテルに行くかを決めた上で,そのホテルに向かう車中で16歳であると告げた旨を明確に述べているのであるから,その供述に特に矛盾はなく,弁護人の主張は被害児童の証言を正しく理解したものとはいえない。結局,弁護人の主張は,被告人が供述する事実経過を前提に,これと異なる被害児童の証言が信用できないというものに帰すると思われるが,被害者が証言している事実経過(まず,向かう先のホテルを決め,その後,被告人が合流場所に早く来たことや被害児童の年齢に話題が及んだという経過)も特段不自然ではなく,被害児童の証言の信用性は左右されない。
   ウ さらに,弁護人は,被害児童は,公判廷において,当初,平成28年9月9日以降に援助交際を行った7ないし8名の中で年齢を聞いてこなかった者もいると供述していたのに,弁護人から検察官調書にはその全員から年齢を聞かれたと記載されていることを指摘されると,合理的根拠も示せないまま,全員から年齢を聞かれたと供述を変遷させており,年齢を聞かれて16歳だと教えた人とそうでない人との区別についての被害児童の記憶は極めて曖昧であり,信用できないと主張する。確かに,被害児童の証人尋問において,弁護人が指摘するようなやり取りがあったことは認められるが,被害児童は,その理由に関し,証人尋問までの時間の経過によって記憶が曖昧になったことをうかがわせる説明をしている上,本件前後から証人尋問までの間に約半年が経過していることに鑑みると,それも無理からぬものがある。むしろ,上記(2)のとおり,被害児童は,ホテルに向かう車中で被告人に自己の本当の年齢を告げた旨を補導当初から一貫して供述している上,少なくとも補導当初の段階では,被告人と他の援助交際の相手方男性とをきちんと区別しつつ供述していたと認められる。以上によれば,弁護人の主張を加味して検討しても,被害児童の証言の信用性は揺るがない。
 3 被告人の供述について
 これに対し,被告人は,ホテルに向かう車中で被害児童に年齢を尋ねたことも被害児童から年齢を聞いたこともないなどと供述するが,この供述は,信用できる被害児童の証言と明らかに異なるものであり,被告人の供述が逮捕当初から一貫していることや,被告人が「18歳」と書かれた被害児童のツイッターのプロフィールを見ていないと述べるなど,自己の有利に働き得る事情について否定する供述をしていることなどを斟酌しても,被害児童の証言と対比して,信用できないといわざるを得ない。
 なお,弁護人は,被告人は,逮捕の1週間くらい前に,山形県山辺町内の教員が児童買春で逮捕されたことを地元紙で知り,その記事の内容は被告人のケースと酷似していたから,仮に被告人が被害児童の年齢が16歳であったと知っていたなら,被害児童とのやり取りを削除することも考えられるところ,被告人は,そうした証拠隠滅工作を全くしていないから,被害児童の年齢を知らなかったといえると主張する。確かに,被告人は,当時市議会議員を務めるなど,それなりの社会的地位にあったから,仮に被害児童が16歳であったことを知っていたら,県内の小学校教諭が児童買春で逮捕されたという報道(甲16参照)に接し,自分も逮捕されるのではないかと恐れて被害児童とのやり取りを削除することも十分考えられるところではある。しかし,被告人が被害児童とやり取りをしていたツイッターのアカウント(●●●)は当時凍結されており,その内容を確認することさえできなかったと認められるから(甲14),被告人において,被害児童とのやり取りを削除しようにも削除できなかったと考えられる(さらに,地元紙の記事の内容(甲16)を見ると,被告人のケースに類似してはいるものの,直ちに被害児童を類推させるものとまではいい難いから,自分が捕まることはないと考えて削除しなかった可能性もないとはいえない。)。したがって,弁護人の指摘の点は,必ずしも被告人の供述を裏付け,これを補強するものとはいえない。
 4 結論
 以上の次第で,信用できる被害児童の証言によれば,被害児童は,被告人と性交に及ぶ前に,被告人に対し,自己の年齢が16歳である旨告げ,被告人もこれを認識していたと認められる。
 よって,被告人は,被害児童が18歳に満たない児童であることを知りながら,被害児童に対し,現金1万5000円の対償を供与する約束をして,被害児童に対し,性交をしたといえ,判示事実は優に認定できる。
 (法令の適用)
 被告人の判示所為は児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号に該当するところ,所定刑中罰金刑を選択し,その所定金額の範囲内で被告人を罰金50万円に処し,その罰金を完納することができないときは,刑法18条により金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置することとする。
 (求刑 罰金50万円)
 山形地方裁判所刑事部
 (裁判官 兒島光夫)

8歳女児に対する強制わいせつ罪(176条後段)につき、逆転無罪判決(福岡高裁h29.9.13)


 控訴審の弁護人は大阪弁護士会


福岡高等裁判所平成29年(う)第72号
平成29年9月13日第2刑事部判決

       判   決

無職 ■■■■ ■
 前記の者に対する強制わいせつ被告事件について,平成29年1月16日福岡地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官古崎孝司出席の上審理し,次のとおり判決する。


       主   文

原判決を破棄する。
被告人は無罪。


       理   由

 本件控訴の趣意は,主任弁護人藤原航及び弁護人浦功共同作成の控訴趣意書及び同主任弁護人作成の同訂正申立書記載のとおりであるから,これらを引用するが,控訴理由は訴訟手続の法令違反及び事実誤認の各主張である。
第1 原判決の概要
1 本件公訴事実の要旨は,被告人が,被害者(当時8歳)が13歳未満であることを知りながら,平成27年9月3日午後3時33分頃から同日午後3時47分頃までの間,本件マンションの1階管理室において,被害者に対し,その唇に接吻し,同人が着用していた下着内に手指を差し入れて陰部を触り,さらに,そのズボンとパンツを膝の辺りまで脱がせて臀部を直接手でたたくなどし,もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした,というものであり,原判決は,「罪となるべき事実」において,概ね本件公訴事実と同旨の事実を認定した。
2 そして,原判決は,「補足説明」において,被害者の供述につき,概ね以下のとおり説示して原判示の被害を受けたという限度では十分に信用できるとした上,被害者の供述をはじめとする関係証拠により前記事実を認定している。すなわち,
(1)被害者の父,あるいは母も含めて,被告人のことを快く思っていなかった節があり,被害者においても,父母の話しぶりなどを通じて父母の被告人に対する思いを察していた可能性は否定できない。しかし,被害当日の被害者は,被告人と一緒に管理室を出た後も被告人の側を離れず,被告人にまとわりついており,被害者が被告人になついていたことからすれば,被害者が被告人を窮地に立たせようとして,母に対し,殊更に虚偽の被害を申告したとは通常考えられないし,被害当時小学2年生(なお,小学3年生の誤記と解される。)であったという被害者の年齢からすれば,被害者が,管理室で被告人と二人きりになったことを奇貨として,被告人からわいせつ被害を受けたという話を作り出すことで,被告人をマンションの管理業務から放逐し,両親の希望をかなえようとしたなどとは一層考えられない。
(2)被害者の供述は,被告人から身体を触られた際の状況に関しては相応に具体的であり,その程度の出来事は,被害者のように小学2年生(小学3年生の誤記と認める。)位の年少者にとっても理解しにくい事柄ではなく,ことの成り行きを正確に認識し,記憶し,叙述できる性質のものといえる。
(3)被害者の供述は,被害者の母が供述する被害直後の被害者の申告内容とも概ね合致している。すなわち,被害者から申告を受けた状況に関する被害者の母の供述に不自然不合理なところはなく,被害時刻の約2時間後に,被害者の母が被害者を伴って管理室を訪れ,被告人に抗議した内容とも符合しており,被害者の母が被告人をマンションから放逐するために,自分の娘を被害者に仕立て上げてまで架空の強制わいせつ事件をでっち上げたとは考え難く,前記状況に関する被害者の母の供述は信用でき,被害者の母から被害者への問いかけの仕方には,暗示や決めつけなど,被害者の答えを一定の方向へ誘導しようとする手法が用いられてはおらず,被告人との間でどのような出来事があったのかを被害者の自由な意思で語らせたものと認められる。
第2 当裁判所の判断
1 訴訟手続の法令違反の主張について
 論旨は,要するに,被害者の供述には客観的な証拠による裏付けが全くなく,他方,被告人は捜査段階から一貫して事実を否認して無罪を主張していたから,誤判を防止し,かつ冤罪を生まないようにするため,原審裁判所には慎重な審理を行うことが求められていたにもかかわらず,原審裁判所は,弁護人が刑訴法321条1項3号に基づいて取調請求したAの陳述書の取調請求を却下し,また,弁護人請求に係る証人申請を却下し,又は採用決定を取り消しているところ,このような原審の手続には,刑訴法321条1項3号の解釈適用を誤り,また尽くすべき審理を尽くしていないという訴訟手続の法令違反があり,これが判決に影響を及ぼすことが明らかである,というのである。
 そこで,記録を調査して検討すると,まず,Aの陳述書が刑訴法321条1項3号に該当するためには,「その供述が特に信用すべき情況の下にされたものである」ことが必要であるところ,所論は,原審弁護人がAから聴取した内容を陳述書にまとめたものであるから特信情況が認められるというが,弁護士が聴取したというだけでは特信情況が認められないことは明らかであって,所論は失当である。また,弁護人請求に係る証人は,A,B,C及び被害者の母であるところ,Aについては,原審第4回公判期日で採用決定がなされ,原審第5回公判期日で証人尋問が予定されていたところ,Aがイギリスに居住し出頭が不可能であったため原審裁判所は採用決定を取消したものであり,かかる措置に違法,不当な点はない。また,B及びCについては,原審第4回公判期日において却下決定がなされているところ,被害者の母の証人尋問(原審第2回公判期日)及び被告人質問(原審第3回公判期日)において,B及びCに係る立証趣旨に関する事項は概ね供述されているから,検察官の「必要性なし」との意見も踏まえた上でB及びCの証人請求を却下した原審の判断に違法,不当な点はない。さらに,被害者の母は,原審第2回公判期日において,弁護人請求については却下されているものの,検察官請求については採用の上,証人尋問が実施されているところ,弁護人請求に係る立証趣旨についても概ね弁護人による尋問が行われているから,原審裁判所が,弁護人請求に係る被害者の母の証人請求を却下した点についても違法,不当な点はない。
 訴訟手続の法令違反をいう論旨は理由がない。
2 事実誤認の主張について
 論旨は,要するに,被告人が原判示の日時場所において被害者と一緒にいたことに争いはないものの,被告人は被害者に対して原判示のわいせつ行為をしておらず,被告人は無罪であるにもかかわらず,原判示の事実を認定した原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認がある,というのである。
 そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果も併せて検討すると,被害者及びその母の公判供述の信用性を肯定した原判決の判断は,論理則,経験則等に照らして不合理であって是認することができない。すなわち,被害者及びその母の公判供述を前提とすると,所論が指摘するとおり,防犯カメラの映像により認められる原判示の被害に遭った直後の被害者の被告人に対する行動は,明らかに被害者及びその母の公判供述と整合しないこと等に照らすと,両名の公判供述を信用できるとするには合理的な疑いが残るといわざるを得ない。そして,その他の証拠によっては,本件公訴事実を認定するに足りないから,当裁判所は被告人は無罪であると判断した。以下,説明する。 
(1)関係証拠によれば,以下の事実を認めることができる。すなわち,
ア 被害者の父は,平成26年頃,本件マンション自室からの眺望の関係で,樹木(パームツリー)のせん定をするよう同マンションの管理人であった被告人に申し入れたが,被告人がこれに色よい返事をしなかったことがあり,平成27年の同マンション管理組合の総会で,被告人を管理人から辞めさせるよう要求するなどした。
イ その後,被害者の母は,本件以前に,被害者に対し,同マンション管理室には行かないようにと言っていたが,被害者は,これを守らず管理室に出入りすることがあった。
ウ 本件当日である平成27年9月3日午後3時33分頃,被害者は,本件マンション1階のラウンジから被告人と出てきて,被告人の手を取ったり,その背中に飛び乗ったりするなどし,被告人とともに管理室に入室した。そこで,被告人は,被害者の臀部を手の平でたたいた(その趣旨,状況を含め,本件一連のわいせつ行為があったかどうかが争点である。)。
エ 同日午後3時47分頃,被告人と被害者は管理室から退室したが,その後,被害者は,被告人が本件マンションの訪問者に対応する等の管理業務をしている間も,被告人について回り,被告人の背中に飛び乗ろうとしたり,手を取って引っ張ったりするなど,管理室入室前と同様に被告人にまとわりつくなどしていた。
オ 被害者は,同日午後4時半過ぎ頃,本件マンション自室に戻ったが,スケートボードを持って再び自宅を出て,その後,同日午後5時を過ぎてから,帰宅した。
カ 被害者の母は,被害者を連れて管理室へと行き,同日午後5時40分頃から午後6時頃までの間,被告人に対し,被害者の陰部を触っていないか等を問い詰めるなどした。
(2)被害者の公判供述の信用性について
ア 被害直後の被害者の被告人に対する行動との整合性等について
 被害者は,原審公判において,概括的にではあるが原判示の被害に遭った旨を供述している。しかし,被害者は,本件当時小学3年生であり,原判示のような被害に遭ったとすれば嫌悪感や恥辱感を抱くものと考えられる。このことは,被害者が,原審公判において,被告人が「たばこを吸っているから,唇が黄色だし,くさいし,歯が黄色いから」被告人と接吻するのは嫌いである旨,原判示の接吻の際には,嫌だったから身体を仰け反らせるようにした旨,被害者の母に自分から被害申告をした理由について,「悪いことだなと思ったから。」である旨供述していることからも十分推察できる。このように,被害者にとって嫌悪感等を覚えるような原判示の被害に遭ったにもかかわらず,その直後に,被害前と変わらずに前記(1)エのように被告人にじゃれつき,まとわりつくという行動は,それ自体被害者が供述するような被害に遭ったことに疑義を抱かせるものであって,被害者の供述する被害状況とは整合性を欠いている。
 さらに,被害者は,接吻され,陰部を触られた後に,自分から被告人に対してお尻ぺんぺんしてと言った旨供述するが,前記のとおり嫌悪感等を抱いた状況に照らすと,被害者の公判供述の内容自体も不合理と指摘することができる。
 原判決は,このような被害直後の被害者の行動について,「被害者が被告人になついていたことからすれば,被害者が被告人を窮地に立たせようとして,母に対し,殊更に虚偽の被害を申告したとは通常考えられないし,被害当時小学2年生(小学3年生の誤記と認める。)であったという被害者の年齢からすれば,被害者が,管理室で被告人と二人きりになったことを奇貨として,被告人からわいせつ被害を受けたという話を作り出すことで,被告人をマンションの管理業務から放逐し,両親の希望をかなえようとしたなどとは一層考えられない。」と説示する。確かに,被害者において,原判決が説示するような趣旨で虚偽供述をしたとは考えられないことはそのとおりであるが,被害者供述の信用性を検討するに当たっては,本件が密室での強制わいせつ事件であり,被害者の供述する被害状況を裏付ける客観的証拠はないという本件の証拠構造や,被害者が周囲の大人からの暗示等に影響を受けやすい年齢であること等に照らせば,被害者の供述する被害状況と,被害前と変わらない様子で,被害直後に被害者が被告人にじゃれつき,まとわりついているという客観的事実との間に整合性が認められるかという点について特に慎重に検討する必要がある。しかるに,原判決は,被害状況に関する被害者の供述と,被害直後の被害者の被告人に対する行動という客観的事実との間の整合性について,単に虚偽供述の可能性という見地からしか検討していない点で論理則,経験則等に照らして不合理である。
イ 被害者の母が供述する被害者の申告状況との整合性等について
 原判決は,前記(1)オのとおり被害者が帰宅した際に被害者から申告を受けた状況に関する被害者の母の供述は信用でき,被害者供述はかかる供述と概ね符合しており信用できる,被害者の母の供述によれば,被害者の母から被害者に対する問いかけの仕方は,暗示や決めつけなど,被害者の答えを一定の方向へ誘導しようとしてはおらず,被告人との間でどのような出来事があったのかを被害者の自由な意思で語らせたものと認定できると説示している。しかし,被害者の母は,被害者から被害申告を受けた経過について,帰宅後リビングのテーブルで宿題をしていた被害者が,すごく困っているような,迷っているような,ちょっと暗い感じの様子で,「ママ,ちょっと話がある,でも言おうかな,どうしようかな」と迷って話し出し,「どうしたと」と尋ねたところ,被害者が「管理人さんに触られた」と言ったと供述しているが,かかる供述は前記のような被害直後の被害者の被告人に対する行動に照らして不合理といわざるを得ない。すなわち,前述したとおり,被害者は,嫌悪感等を覚えるような行為を被告人からされたにもかかわらず,その直後から,被害前と変わらぬ様子で,被告人にじゃれつき,まとわりついていたのであるから,そのような被害者が帰宅後に突如として,被害者の母が供述するように,すごく困っているような,迷っているような,ちょっと暗い感じの様子で被害申告を始めたというのは,相当に不自然である。更に,被害者の母は,原審公判で,被害者に対し,どうして助けを求めなかったか聞くと,被害者は,被告人は太っていて腕も太く力がありそうだから怖くて言えなかったと答えた旨供述しているが,このように被告人を怖がっていた被害者が,被害前と変わらぬ様子で被害直後に被告人にじゃれつき,まとわりつき,帰宅後突如として前記のように被害者の母に被害申告をするに至ったということも,不合理である。原判決は,被害者の母の供述に不自然不合理なところはないと説示するが,被害者供述の信用性で説示したのと同様,被害者の母の供述についても,被害直後の被害者の被告人に対する行動という客観的事実を踏まえた検討をしていない点で,不合理といわざるを得ない。
 また,所論が指摘するとおり,被害者には,被害者の母に対して虚偽の被害申告をしてしまいかねない状況が窺われる。すなわち,前記(1)アの被害者の父と被告人との関係性,前記(1)イのとおり被害者の母が被害者に本件以前から管理室に立ち入らないよう注意をしていたことからは,被害者の母自身も被告人のことを快く思っていなかったと認められる。そして,被害者の母は,捜査段階で,被害者が被害申告をするまでの経緯について,要旨以下のとおり供述している(当審弁5)。本件当日,被害者の母は,午後3時半過ぎに帰宅し,本件マンション1階のラウンジで,被害者のランドセルはあったが被害者の姿はなく,友達と遊んでいるのだろうと自宅に帰ったところ,前記(1)オのとおり午後4時半過ぎに一旦自宅に戻った被害者に,どこにいたのかと尋ねたが,被害者はこれに答えずに遊びに行き,その後午後5時を過ぎて帰宅した被害者が被害申告をしたというのである。しかるに,被害者の母は,被害者がラウンジにランドセルを置いたままにしていることは初めてであったとも供述しているから,前記のような経過からすれば,所論も指摘するとおり,被害者の母としては,被害者が被害申告をしたとされる直前の帰宅の際にも,改めて被害者にどこにいたのかと尋ね,それに応じて,被害者が管理室に行ったことを被害者の母に話したことが推察される。また,前記(1)ウのとおり,原判示の日時場所において,その趣旨,態様はさておき,少なくとも被告人が被害者の臀部をたたいたという限度での接触行為があったことが認められるところ,被告人のことを快くは思っていなかった被害者の母が,本件当日に管理室に行っていた被害者に対し,管理室で何をしていたかを聞き,被害者が被告人から臀部をたたかれたなど被告人との身体的接触について答えたことに対し,被告人に対する嫌悪感を抱くとともに,女児である被害者が,性的いたずらをされたのではないかと危惧し,その意味合いや更にそれ以上の行為をされたのではないかと心配して,被害者に対してその状況や他に何かされていないかと根掘り葉掘り尋ねる中,被害者の母からの注意に反して管理室に出入りしていたことに後ろめたさを感じていた被害者が,被告人との身体的接触状況を誇張し,更に誇張が誇張を呼び,原判示のような生々しい性被害に遭ったと被害者の母に供述するに至ったという事態も,関係証拠に照らして考えられる。
 これと異なり,被害者を問い詰めてではなく被害者の自主的な被害申告を慎重に聴取した旨の被害者の母の供述内容は不自然である。
 原判決は,被害者の母の供述は,原判示の被害時刻の約2時間後に,被害者の母が被害者を伴って管理室を訪れ,被告人に抗議した内容とも符合していて,信用することができる,被害者の母が被告人をマンションから放逐するために,自己の娘を被害者に仕立て上げてまで架空の強制わいせつ事件をでっち上げたとは考え難い,と説示する。しかし,被害者の母が被告人に抗議した内容は,被害者が,手を入れられて,あそこを触られ,おまんじゅうって言われたと言っているが,本当にそういうことをしたのか,というものにすぎないから,前記のように被害者が虚偽供述をする状況が窺われる本件において,原判決が説示する前記のような事情が被害者の母の供述の信用性を補強する裏付けになるとはいえない。また,被害者の母が原判決が説示するような目的で架空の強制わいせつ事件をでっち上げたといえないことはそのとおりであるが,被害者の母の供述の信用性を全面的に否定する極端な事実の不存在をいうものにすぎず,信用性を積極的に肯定する事情ではない。
(3)以上によれば,原判示の被害に遭った旨の被害者供述の信用性を認めることには合理的疑いが残るといわざるを得ない。本件では被害者供述の信用性については,被害者が年少者で母の影響を受けやすいことから,とりわけ慎重に検討することが必要であるところ,これまで説示したように,被害前と変わらぬ様子で,被害直後も被害者が被告人にまとわりつき,じゃれついているという客観的事実,被害者の母が被告人のことを快く思っておらず,被害者に対して管理室に行かないように注意していたこと,本件当日に被害者が被害者の母に被害供述をするに至るまでの経過等を踏まえて,被害者及び被害者の母の供述の信用性を検討する必要があるというべきである。しかるに,原判決は,このような観点からの検討を十分に行うことなく,被害者及び被害者の母の供述の信用性を肯定しており,経験則,論理則等に照らして不合理といわざるを得ない。
3 結論
 以上検討したとおり,被害者及び被害者の母の公判供述を信用することはできず,これらを除いた他の証拠によっては,本件公訴事実を認定することはできないから,原判示の事実を認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認があり,原判決は破棄を免れない。なお,前記のとおり,原判示の日時場所において,被告人が被害者の臀部をたたいたとの事実を認定することはできるが,これがわいせつ目的でなされた行為であると認定するに足りる証拠はない。
 事実誤認をいう論旨は理由がある。
第3 破棄自判
 そこで,刑訴法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書により更に判決することとし,本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから,同法336条により被告人に無罪の言渡しをすることとする。
平成29年9月13日
福岡高等裁判所第2刑事部
裁判長裁判官 岡田信 裁判官 佐藤哲郎 裁判官 高橋明

福岡地方裁判所平成27年(わ)第1487号
平成29年1月16日第3刑事部判決

       判   決

無職 ■■■■ ■
 上記の者に対する強制わいせつ被告事件について,当裁判所は,検察官小堀光出席の上審理し,次のとおり判決する。


       主   文

被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。


       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,別紙1項記載の者(当時八歳から九歳の女児。以下「被害者」という。)が13歳未満であることを知りながら,平成27年9月3日午後3時33分ころから同日午後3時47分ころまでの間,別紙2項記載の建物の1階管理室において,被害者に対し,その唇に接吻し,被害者が着用していた下着内に手指を差入れて陰部を触り,さらに,被害者が着用していたズボンとパンツを膝の辺りまで脱がせて臀部を直接手の平でたたき,もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をした。
(証拠の標目)《略》
(補足説明)
1 被告人は,判示の日時場所において,被害者と一緒にいたことは認めつつも,被告人としては,いたずらをした被害者をいさめるために着衣の上から被害者の尻を平手で2回たたいただけで,判示の行為は行っていないと供述し,弁護人は,被告人は無罪であると主張するので,判示の事実を認定した理由について,以下,補足して説明する。
2 被害者は,被告人から判示のとおりに身体を触られたと供述しているので,その供述の信用性について検討する。
(1)まず,記録を精査して検討しても,被害者には,検察官や弁護人からの質問に対し,わざと嘘をつかなければならないような事情は見出せない。
 確かに,弁護人も指摘するとおり,被害者の父は,被害者親子らが居住するマンションの管理人を勤めていた被告人に対し,自室からの眺望の妨げとなる樹木のせん定を求めたが,被告人が色よい返事をしないため,被告人をしっせきしたことがあるほか,その後,平成27年中に開催されたマンション管理組合の総会の席上,被告人の罷免を求めるという一幕もあったことからすると,被害者の父,あるいは母も含めて,被告人のことを心良く思っていなかった節があり,そうであるならば,被害者においても,父母の話しぶりなどを通じて父母の被告人に対する思いを察していた可能性は否定できない。
 しかしながら,他方で,関係証拠によれば,被害当日の被害者は,被告人と一緒に管理室を出た後も被告人の側を離れず,被告人にまとわりついていたことが認められるところ,このように被害者が被告人になついていたことからすれば,被害者が被告人を窮地に立たせようとして,母に対し,殊更に虚偽の被害を申告したとは通常考えられないし,被害当時小学2年生であったという被害者の年齢からすれば,被害者が,管理室で被告人と二人きりになったことを奇貨として,被告人からわいせつ被害を受けたという話を作り出すことで,被告人をマンションの管理業務から放逐し,両親の希望をかなえようとしたなどとは一層考えられない。
(2)次に,被害者の供述は,被告人から身体を触られた際の状況に関しては相応に具体的であるし,その程度の出来事は,被害者のように小学2年生位の年少者にとっても理解しにくい事柄ではなく,ことの成り行きを正確に認識し,記憶し,叙述できる性質のものといえる。
(3)さらに,被害者の供述は,被害者の母が供述する被害直後の被害者の申告内容とも概ね符合している。
 すなわち,被害者の母は,当公判廷において,被害者から申告を受けた状況に関し,〔1〕帰宅後の被害者からの最初の被害申告については,「被害者が母に話をしたものかどうか迷っている様子であったので,『どうしたと』と尋ねたところ,被害者が『管理人さんに触られた』と言ったので,『どこを触られたと』と尋ねると,被害者は,『あそこ』と答えて服の上から陰部に手を当てて触るような仕草をした。そこで,自分は,びっくりして,『それは服の上から,それともパンツの中に手を入れたと』と尋ねると,被害者は,『パンツの中に手を入れて,ここ,おまんじゅうよって言われた』と答えた。」と供述し,〔2〕次いで,被害者を伴って管理人室へ抗議に赴き,帰宅した後に改めて申告を受けた内容について,「被害者から,服を下ろされて直に尻をたたかれたことや,口にチューされたことを聞いた。」と供述しているところ,この被害者の母の供述に不自然不合理なところはなく,また,判示の被害時刻の約2時間後に,被害者の母が被害者を伴って管理室を訪れ,被告人に抗議した内容とも符合していて,信用することができる。先に触れたとおり,被害者の母も被告人を心良く思っていなかったと考えられるが,記録を精査して検討しても,前記管理組合の総会が開かれて以降,本件犯行までの間に,被害者の父母と被告人との間で新たに波風が立った形跡はうかがえないことからすると,被害者の母が被告人をマンションから放逐するために,自分の娘を被害者に仕立て上げてまで架空の強制わいせつ事件をでっち上げたとは考え難い。
 そうすると,被害者から最初に被害の申告を受けた状況に関する被害者の母の供述は信用できるから,その供述するような順序,内容で,母から被害者への問いかけがされたと認められるところ,この問いかけの仕方には,暗示や決めつけなど,被害者の答えを一定の方向へ誘導しようとする手法が用いられてはおらず,被告人との間でどのような出来事があったのかを被害者の自由な意思で語らせたものと認められる。
 以上のとおり,被害者の供述は,被害者の母が供述する被害直後の被害者の申告内容とも概ね符合しており,一貫性も備わっている上,母に迎合する余り事実を歪めて供述したものとも解されないのであって,これらは被害者供述の信用性を高める事情であるといえる。
(4)以上に検討したところによれば,被害者の供述は,判示の被害を受けたという限度では,十分に信用できるものと認められる。
3 被告人は,着衣の上から被害者の尻を平手で2回たたいただけで,判示の行為は行っていないと供述するが,そうでありながら,被告人になついていた被害者が母からの前記のような問いかけに対し,わいせつ被害の申告をするとは考え難いから,被告人の供述は信用できない。
4 以上のとおりであるから、その他,弁護人の指摘を十分に検討しても,判示の事実を認定することができる。
 なお,被害者の性別については甲第11号証,その年齢は被害者に対する当裁判所の尋問調書により認定した。 
(法令の適用)
罰条 刑法176条後段
未決勾留日数の算入 刑法21条
刑の執行猶予 刑法25条1項
訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
 本件は,判示のとおりの年少者に対する強制わいせつの事案であり,被害者の未熟さにつけ込んだ悪質な犯行であって,その態様は芳しいものではなく,将来にわたり被害者に深刻な影響を与え続けるのでないかと危惧されるほどで結果も見逃せないことからすると,被告人の刑責は軽くはなく,相応の処罰は免れない。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑・懲役2年6月)
平成29年1月12日
福岡地方裁判所第3刑事部
裁判官 松藤和博

(別紙)《略》

朝日出版社曰く「撮影時宮沢りえは18歳」なのに、宮沢りえ「サンタフェ」は児童ポルノにあたりうるという弁護士ドットコムの回答

 いい加減な回答ですね。
 昔からささやかれていましたが、単純所持で検挙されることになるので俄に真剣味が増してきました。
 報道では撮影時18歳とされているので児童ポルノではないことになります。
 奥村も出版社に事実確認中です。
 出版業界ではこういう点をわざとうやむやにして話題性を作るという営業方針があるようですが、犯罪か非犯罪という問題ですのではっきりさせます。

https://www.excite.co.jp/News/anime_hobby/20150813/Otapol_201508_santa_fe_1.html?_p=2
8月10日、同社担当者は電話で筆者に連絡をくれ「社内で情報共有ができていなかった」とした上で次のように回答した。
宮沢りえさんの誕生日は1973年4月6日。社内資料では1991年5月22日にロスに入り、5月30日に成田に帰国となっています。ですので、撮影時には18歳と1カ月でした」

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1406/b_624422/
豊芦 弘 弁護士
大阪 四條畷
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既にネットでは多く話題になっていますが,
児童ポルノにあたりうるでしょう。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
(平成十一年法律第五十二号)
(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。

追記2018/01/22
朝日出版社から弁護士あてのFAXの回答によれば、
 撮影日には宮沢りえは18歳
とのことでした。

淫行勧誘罪に詳しくない弁護士です。

 見かけないので、誰も分からない罪名です。

 客体が「女子」に限定されているので、最近の風潮からすると、法の下の平等に反するとか言えそうですね。
 脅迫があるのなら、強制性交等罪とか強制わいせつ罪でいけそうです。

刑法第一八二条(淫行勧誘)
 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 使われない罪名なので、注釈書の記載も僅かです。

条解刑法
l ) 本条の趣旨
本条の趣旨については,見解が分かれており,淫行の常習のない女子の保護という人格的な法益の保護を主たる目的とする見解(注釈(4)277)と,風俗の乱れの防止という社会秩序の保護を主たる目的とする見解(大コンメ2版(9)101)とがある。
2) 客体
本罪の客体は,淫行の常習のない女子である。淫行とは,淫らな性行為,すなわち,手段・動機等において健全な性道徳からは許容されない種類の性行為をいうものと解される(青少年保護育成条例の淫行に関する最大判昭60・10・23集396-413参照)。淫行の常習の有無は年齢に関係ないから13歳未満の女子であっても,淫行の常習があるとされる場合があり得る(大判大8・4・24録25-596)。しょうよう
4) 勧誘
勧誘とは,客体である女子に対し姦淫する旨の意思決定を慾渇する一切の行為をいう。金銭的な対価の提供による場合.女子と身分的,社会的関係等による影響力を利用する場合,偽計・困惑を用いる場合等が含まれる。しかし女子の意思決定の自由を奪うような暴行,脅迫等による場合は除かれる。この場合には,売春防止法7条2項の罪又は強姦罪の正犯若しくは共犯が成立するであろう。女子が既に意思決定している場合が問題となるが勧誘して姦淫させること
が必要で、あるから,女子が姦淫を実行するに当たって勧誘行為が何ら影響していないのであれば,本条に該当しないが勧誘行為が具体的な姦淫を実行する一因となっているのであれば,それが女子の自由な意思決定によるものであっても.本条に該当することになろう(注釈何回Z,大コンメ2版( 9)102)。
5)姦淫
姦淫の意義については,見解の対立があり, 177条の場合と同様に518 § 182 注6)~8)・183 注1)単なる性交と解する見解(注釈(4)322)と,本条の淫行と同様,道徳的に非難されるべき性交のうち.社会通念上刑罰をもって防止すべき違法性があるものと解する見解(大コンメ2版(9)102)がある。

判例コンメンタール刑法
(淫行勧誘)
第182 条
営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者は、3 年以下の懲役又は30 万円以下の罰金に処する。営利の目的が要件で、性交の相手方が不可罰で、親告罪でないことから、性的風俗に関する罪とするのが有力である。ここでの姦浅は女性本人の自由窓思による性交をさす。
今日現実には、特別法である売春防止法7 条(附惑等による売春)、児烹福祉法60 条I 項、34 条1 項6 号(淫行罪)、児童春法6 条(児童買春勧誘)などが機能しており、本条は存在意義を失っている。
なお、本条との関係上、強姦罪等の客体は淫行の常習のない女性に限られない(前出広島地判昭43 ・12 . 24) 。(地本壽美子)

http://www.sankei.com/affairs/news/180119/afr1801190005-n1.html
 アダルトビデオ(AV)に出演経験のない女性を説得し、撮影現場に派遣したとして、警視庁保安課は19日までに、淫行勧誘と労働者派遣法違反の疑いで、容疑者ら男3人を逮捕した。逮捕日は17日。
逮捕容疑は平成27年6月、画像を無修正で配信するAVであることを隠したまま女性を勧誘し、撮影現場となった東京都中野区のスタジオへ派遣、出演させるなどした疑い。
 保安課によると、女性はプロダクションに所属し、AV出演を拒否したが、容疑者らは「あなたのプロフィル写真の撮影にいくらお金がかかったと思っているの」などと言って、出演させていた。

http://news.livedoor.com/article/detail/14179746/
AV出演強要、淫行勧誘罪を適用「摘発の道、開けた」
AV出演強要が社会問題化するなか、警視庁は2016年6月、所属女性をAV撮影に派遣したとして芸能事務所社長ら3人を労働者派遣法違反(有害業務就労目的派遣)の疑いで逮捕した。

 同年10月にも、同容疑で別の芸能事務所社長ら12人を書類送検している。

 これまでは、撮影のためのわいせつな行為が有害業務にあたるとして同法や職業安定法を適用する例が多く、有罪判決も出ている。

 だが、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」(HRN、東京)事務局長の伊藤和子弁護士によると、被害者側に契約書が渡されるケースはほぼないため、契約関係や内容について被害者から詳しく聞き出して「労働者」とみなして立証するハードルが高い場合もあるという。

 また、一連の有罪判決を受けて、出演者と契約を交わす際、「雇用契約」ではなく、「業務委託」などの形をとって、労働者派遣法などによる摘発を避けようとする業界側の動きもあるという。伊藤弁護士は「淫行勧誘罪を適用した意義は大きい。AVに出たことのない女性を不当な方法で勧誘して撮影で性交渉をさせたら、シンプルに摘発する道が開けた」と話す。

児童買春罪につき「性的な行為が目的ではなく、将来結婚できればと思い小遣いを渡していた」という弁解


 対償供与約束型の児童買春罪の要件は
   ① 対償供与の約束
   ② 性交等
   ③ ①②の対価関係
ですから、③が欠けると児童買春罪にはなりません。
 よくあるのが最初の数回は①~③揃っていて、継続的なセックスフレンドになると、個々の性行為に対価払わなくても、小遣い・プレゼント・食事等でてなづけていて、いつでも性行為できる関係になるパターンで、最初の数回については児童買春罪になりますが、それ以降はせいぜい青少年条例違反になって、だんだん罪が軽くなります。児童買春罪の立法ミスです。
 捜査機関としては、そういう関係でも、性交等と経済的利益の対価性があるところを捜すとか、こじつけて対価性見出すとかしようとしますが、弁護人には学習してもらってうまく防御して欲しいところです。


https://www.jiji.com/jc/article?k=2018011801143&g=soc
少女買春容疑で元警部補逮捕=「結婚できれば」と否認-愛知県警
 15歳の少女に金を渡す約束をしてみだらな行為をしたとして、愛知県警半田署などは18日、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で、県警の元警部補で団体職員の容疑者(68)=を逮捕した。
 同容疑者には妻がいるが、「性的な行為が目的ではなく、将来結婚できればと思い小遣いを渡していた」と否認しているという。
 逮捕容疑は昨年11月12日、同県武豊町のホテルで、当時15歳の少女に現金を渡す約束をしてみだらな行為をした疑い。(2018/01/18-19:35)

大規模小売店舗内においてわいせつの意図で女性を脅迫して、被告人の股の間に座らせて背後から数分間上半身を密着させた行為を強制わいせつ未遂罪としたもの(某地裁某支部H29)

 観念的競合で逮捕罪が認定されています。
 既遂で起訴されましたが未遂の認定です。
 大法廷h29.11.29でも「絶対的わいせつ行為」「相対的わいせつ行為」みたいな区別が出てきますが、実際問題としてやっかいな区別だと思います。

事実認定の補足説明
以上認定したところによれば被告人自身は本件行為により性的興奮を覚え、これを十分満たしていたということができる。
しかしながら営業時間内で店員や利用客が複数いる店舗内でおこなわれたという本件犯行の時間的場所的状況や 被告人が警察官に現行犯逮捕されるまでの行為の状況を含む客観的経緯、とりわけ被告人において本件行為以外に例えば被害者の陰部乳房等やそれに近接する部分に触れたり自己の陰部を被害者の身体に押し当てたりする等の客観的にわいせつと評価しうる行為に出たり、わいせついな言葉を発したりすることは一切無かったことに加え 被害者自身上記のような状況に遭い、被告人の行為をいやらしいと捉えていなかたことがうかがわれること に照らせば 本件行為は客観的にみてわいせつ行為と認めることはできず、その手段たる暴行にあたると過ぎないものといわなければならない。よって判示のとおり、強制わいせつ未遂罪が成立するに留まると認定した。

送信型強制わいせつ罪~相手方をして裸を撮影・送信させる行為はわいせつ行為か?


 被害者13歳以上の場合、強要罪で処理されていましたが、最近は、強制わいせつ罪で処理されるようになりました。

 奥村が確認しているのは、
  東京地裁H18.3.24
  大分地裁h23.5.11
  岡山地裁h29.7.25
  松山地裁西条支部H29.1.16
  高松地裁H28.6.2
  高松地裁丸亀支部h29.5.2
  札幌地裁H29.8.15
で、高裁レベルの判断はありません。
 「このような行為は強要罪だ馬鹿」という高裁判例はたくさんあります。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/157288/
女子小学生の裸画像LINEで送らせる 容疑の男逮捕
 女子小学生にスマートフォン向け無料通信アプリ「LINE(ライン)」のスタンプを送る代わりに、裸の画像を送信させたとして、札幌豊平署は16日、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、容疑者(26)を逮捕した。
 逮捕容疑は昨年7月11日、インターネットの掲示板を通じて知り合った札幌市の女子児童に、スマホで裸の画像を撮影させるわいせつな行為をした上、18歳未満と知りながら画像1枚をLINEで送信させ、保存した疑い。