児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

暴力的性犯罪における被害者の落ち度・軽率

 強姦致傷・強制わいせつ致傷の裁判員事件用の量刑DBの項目には「被害者の落ち度」があって、「あり」の場合には軽くなっていますので、弁護人は探して指摘することになりますし、裁判所も考慮します。
 「被害者の落ち度:あり」で抽出すると、そう評価された事情も分かります。最近は「夜道一人歩き」「無施錠」が考慮されることはなく、「前にもやられたのについていった」とか、「出会い系サイトで知り合ったばかりだ」とか、「本件直前に性器等を舐めさせた」などが見受けられます。

原田國男「量刑判断の実際〔第3版〕(立花書房・平成11年)」
p19
(13) 被害者側の事情
被害者側に落ち度ないし責めに帰すべき事情があることは,一般に,被告人の責任を軽減する情状であるといってよい。しかし,その内容・程度は,多種・多様であり,被害者側の落ち度等といえるかどうか微妙な場合もある。

p70
⑨ 被害者側の落ち度ないし過失については,民事事件に関連するので,これに言及するのであれば,きちんとした判断を示すべきである。被告人側に対するリップサービス的な記載は慎まなければならない。例えば,横断歩道上の事故であるのに,死亡被害者も注意をしていれば,事故が避け得たであろうから,その意味では被害者側にも落ち度があるというような主張を弁護人がすることがある民裁判所がそのような主張をそのまま受け入れるとなると,疑問であろう。
(112) 二木雄策『交通死一命はあがなえるか一j(平成9年,岩波新書) (筆者は,娘を交通事故で失った経済学者であり,刑事裁判に対する鋭い批判を随所にしている。)28頁は,このような弁論に対し,法律家の弁としては許されないとしている。似たような例として,窃盗の事案で,戸締まりを忘れていたことが被害者側の落ち度として主張されることがある。都会か地方かの違いもあるが,この点が量刑に影響するような落ち度であるのかよく考えてみる必要があろう。暗い夜道を帰宅していた若い女性が被害に遭った場合なども同様である。東京弁護士会法友全期会編・前注29  363頁は,犯罪学的には,犯罪には被害者側に何らかの落ち度(誘発すら)があるものであり,どんな些細な点でも指摘すべきであるとするが,このような主張は,往々にして責任の転嫁と受け取られ易いことに注意すべきである

東京弁護士会法友全期会編
新版刑事弁護マニュアル下(公判弁護編) (平成9年, ぎょうせい)
p363
情状チェックリスト
⑤被害者側の落ち度犯罪学的には、犯罪には被害者側に何らかの落ち度(誘発すら)があるものであり、どんな些細な点でも指摘すべきである

坪井祐子「被害者・関係者・第三者の落ち度と量刑」量刑実務体系
第1 はじめに被害者の落ち度をめぐる今日的状況/297
第2 被害者の落ち度について/300
1 被害者の落ち度が量刑を引き下げる理由
(1) 被害者の有責(有罪)性」論/
(2) その後の問題意識/(3) 考察
2 被害者の落ち度に関する裁判例の検討
(1) 被害者が加害者の行為に承諾(同意)を与えた場合/(2) 被害者が危険を知って犯罪に接近してきた場合/(3)被害者が動機の形成に寄与した場合の裁判例/(4) 被害者の不用意さに加害者がつけ込んだ場合/(5) 過失犯において被害者の過失が事故の発生に寄与している場合/(6) 犯罪行為と結果発生の間に被害者の行為が介在している場合
第3 関係者の落ち度について/316
第4 第三者(特に医療従事者等)の落ち度について/318
第5 最後に/319
l 大きな5つの傾向
2 今後の展望

p309
不用意な被害者
さて,ここで困難な問題として,被害者の不用意さを量刑事情としての「落ち度」と考えることができるかを論じてみたい。特に,計画的な態様の犯罪において,加害者がことさらに不用意な被害者を選び出して犯罪のターゲツトとする場合,例えば,当初から強姦をする目的で出会い系サイト等を利用して少女と連絡をとり,援助交際をするために出向いてきた少女を強姦する行為,一般的には考えられないような高利回りを宣伝しこれに釣られてきた被害者から投資金名目で金を踊し取る行為,戸締まりをせずに留守にした居宅に侵入して金品を盗む行為などにおいて.「被害者の落ち度」を理由に量刑を引き下げるべきであろうか。これを落ち度として取り上げることについては,被害者支援の関係者から「被害者パッシング」であるとの強い反発がある。ことに,性犯罪の被害者の落ち度を取り上げることは「女性のみに厳しい性道徳を押しつけるジェンダーバイアス」と指摘されることがある23)。
これらの事例では,被害者らは加害者側の欺踊行為によって錯誤に陥っている,あるいは,周囲を信頼して行動していることが多く. 「自己責任」の理屈で法益が減少すると説明するならば. 「被害者は,周囲を信用せず,警戒を怠らずに行動しなければならない。」という厳しい法益保持義務を要求することになり,国家が国民にそのような義務を課することはいささか過剰な要求のように思われる。成人の被害者についてはそのような義務を課してよいという見解もあり得ょうが,判断能力の乏しい年少者や高齢者にまでこれを要求するのであれば酷であろう。
他方,加害者側の責任に目を向けるならば,加害者は自己の金銭欲や性欲から犯罪を計画しているわけであって,被害者側が動機の形成に寄与していることもなければ,興奮や狼狽から犯罪に出てしまったわけでもないから責任を減弱させるべき要素はない。しかも,これらの犯罪は模倣性も認められるので,刑罰による抑止の必要も高い。
そうすると,このような「被害者の落ち度」は本来的には考慮する必要は乏しいように思われる。このように解したとしても,先の強姦の例では,態様が自動車への引きずり込みなどの危険性・暴力性の高いものではないことが量刑を軽くする事情(重くしない事情というべきかもしれない。)として考慮、されることになるし,住居侵入・窃盗の例でも,当然,ピッキング等の巧妙な手段を用いた事例よりは量刑は軽くなるわけで,被害者の不用意さは犯罪の態様や手口の問題に還元できるようにも思われる。
しかし,このような考え方は,実務家の間ではまだ一般的ではなく,研究会の席上でも,この種の被害者の不用意さもまた量刑上に重要な要素であり,特に性犯罪で被害者が援助交際をしようとしていた,声を掛けられて自動車に乗った,というような事案では,そもそも違法性や責任が低くなるとの見解が有力に主張された24)。
ただ,この種の「被害者の落ち度」を肯定する立場に立つとしても,何を取り上げるか,特に性犯罪の被害者となった女性の行動を「落ち度」とするか否かについては,今一度間い直されるべきである。例えば「夜道を女性が一人歩きする」「セクシーなドレスを着る」ことを裁判官が落ち度として取り上げるならば,時代錯誤のそしりを免れないであろう。
23) 萩原玉味「強姦事件の量刑」刑弁35号(平成15年)56頁,同「我が国における強姦罪の量刑事情と今後の諜題」明治学院論叢635号(平成11年) 83頁。
24)すなわち,そのような場合には,被害者の承諾はないとしても,それに準じる意思表示がなされたものとみるべきであるから違法性が減少しまた,加害者の側からすれば性行為ができるという期待をしたとしでもある程度やむを得ないから,期待可能性が減じるというのである。631213


・・・
2 被害者の落ち度に関する裁判例の検討
P314
ところが,強姦等の事案では,量刑理由のかなりの部分を「被害者の落ち度」に関する説示が占めている判決が存する。@浦和地判平1.10.3. .浦和地判平4.3.9などがそうである。被告人側に周到な計画性がなかったことや暴行・脅迫の程度がそれほど過酷ではないことを述べたいのであろうが,「落ち度」に余りに力を入れることは,被告人の行動を正当化しているとの誤解を受けることにならないかと心配になる。フェミニストからは「裁判官のジエンダーバイアス」が非難されることがあるが,確かに性犯罪に対する判決におけるこの種の被害者の落ち度の重視ぶりは,他の犯罪,特に財産犯と比較すると目立つことは否定できない。
P315
(6) 犯罪行為と結果発生の聞に被害者の行為が介在している場合
この事例についても適切な裁判例は多くない。大阪高判平14.1l.26の事案は,被告人が教師であったためもあり,捜査段階からかなりセンセーシヨナルにマスコミ等で取り上げられ, 1審判決が12歳の被害者の落ち度(テレクラを通じて援助交際をしようとしたこと)を取り上げたことは批判の対象となった。この裁判例は,被害者らが援助交際を目的に被告人に接近したことをもって「落ち度」と評し得るかという問題もはらんでいる。
被害者の行為の介在によって本来の危険より大きな結果が発生してしまった場合は,加害者の行為の危険性がそれほど大きくなかったことが量刑事情になると考えられ,あえて「被害者にも落ち度がある」と喧伝するまでもない。水戸地土浦支判昭63.12.13,最二小決平15.7.16の原審などは介在した被害者の行為を落ち度と表記していないが,量刑事情を看過したものとはいえないと思われる。
これとは逆に,生じた結果は当初の危険の発現に過ぎず,被害者の行為の介在によって若干早まった程度に過ぎない場合には,被害者の行為をもって有利な事情に当たると解釈することはできない。@最三小決平16.2.17の原審は,そのような意味で被害者の行為について何も触れていないものと思われる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170701-00000090-mai-soci
最後まで抵抗しなかったのが悪い、と娘や妻に言えるのか--。性暴力を扱ったNHK情報番組「あさイチ」で、死ぬ気で抵抗すれば被害を防げたなどとする視聴者の声をゲストが明快に否定し、話題となっている。それにしても性暴力では被害者にも非があるという偏見、なぜかくも根強いのか。【坂根真理、上東麻子】

 「無関係ですか? 性暴力」と題し先月21日に放映された同番組では有働由美子アナウンサーが視聴者の意見を読み上げた。「激しく抵抗すれば避けられる」「性交が成し遂げられたのは女が途中で諦め、許すから」「被害者でありながら落ち度がある場合がある」

 これに対し、ゲストでタレントのジョン・カビラさんは「あり得ない」と首を振り、丁寧な言葉で一刀両断。「男はオオカミ」という意見には「オオカミは一夫一婦制で添い遂げる生き物」と機知を利かせて切り返した。番組を受けてネット上で「男性の暴言を一喝した」など称賛があふれた。カビラさんの事務所はツイッターで「大きな反響に驚いています」と謝辞を投稿した。

 20代前半で職場の上司にレイプされたという東日本の女性(30)が、毎日新聞の取材につらい過去を初めて語った。「やっと就いた仕事を失うかもしれない」と頭が真っ白になり、抵抗できなかった。交際相手や親、女性警察官に「なぜ逃げなかったのか」と責められ、しばらく外出ができず会社を退職。今も時々恐怖に襲われるなど心に深い傷を負っている。

 性暴力の原因を被害者に帰す考え方は昔も今も変わらずある。

 千葉大医学部の学生ら4人が女子学生に集団で性的暴行を加えたとされる昨年9月の事件でも、ネット上で「男と飲んで意識を失うなんて自業自得」「女のせいで男が被害者になる」など中傷が相次いだ。フリージャーナリストの詩織さんが、元TBS記者に抵抗できない状態で強姦(ごうかん)されたと今年5月に訴えた際も、詩織さんを責める声が多数ネット上に投稿された。

 NHKによると「あさイチ」放映中に2500件超の反響があった。ネット上ではなく公共放送でも被害者に非があるとする一般視聴者の意見が複数紹介され、偏見の根深さが浮き彫りとなった。

 「あさイチ」で共演した武蔵野大の小西聖子(たかこ)教授(臨床心理学)は「男性の立場で明快に語ってくれてありがたい」とカビラさんを評価。偏見が消えない理由について「2次被害を恐れ被害者が体験を語らないことで、偏見が増幅する悪循環があるのではないか。人は経験したことがない他人の体験を、いとも簡単に批判する。想像力や共感力の欠如も一因だ」と指摘する。

 性暴力被害者を支援するNPO法人「しあわせなみだ」は番組を受けてカビラさんを招き、「『抵抗しなかった君が悪い』と言えますか?」と問いかけるイベントを今月、東京都内で計画。中野宏美代表は「女性を性的所有物と考える男性は多い。加害者の75%は被害者と知り合いで、抵抗できず声を発することができない現実がある」と訴えている。

青少年条例違反につき「18歳か19歳だと記憶してる」という弁解

 過失でも処罰されるので、罪を免れるには「年齢確認をした際に,当該青少年が身分証明書の生年月日を巧妙に改ざんした場合などで,誰が見ても見誤る可能性が十分あり,見誤ったことに過失がないと認められる状況であった」と弁解する必要があります

茨城県青少年の健全育成等に関する条例の解説h22
(みだらな性行為等の禁止)
第35条
1 何人も,青少年に対し,みだらな性行為又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も,青少年にわいせつ行為をさせてはならない。
3 何人も,青少年に第1項の行為を教え,又は見せてはならない。
第46条
1第35条第1項又は第2項の規定に違反した者は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
8 第15条第2項の規定に違反して青少年に有害興行を観覧させた者又は第16条第3項,第18条第3項,第30条第2項,第31条第1項,第32条,第33条第2項,第34条第1項,第35条各項,第36条,第37条若しくは第38条の規定に違反した者は,当該青少年の年齢を知らないことを理由として,第1項,第2項文は第4項から前項までの規定による処罰を免れることができない。ただし,過失のないときは,この限りでない。
・・・
解説
「過失のないとき」ー青少年であるか否かについて確認するに当たり,社会通念に照らして通常可能な調査が適切に尽くされていることをいい,具体的には,運転免許証や住民票,学生証など公信力のある書面,保護者に問い合わせる等客観的に可能とされるあらゆる方法を用いて確認した場合をいうもので,単に青少年に年齢,生年月日を尋ねただけとか,身体の外観の発達状況,服装等からの判断によって青少年に該当しないとし場合は,当然には「過失のないとき」には該当しない。
「この限りでない」ー年齢確認をした際に,当該青少年が身分証明書の生年月日を巧妙に改ざんした場合などで,誰が見ても見誤る可能性が十分あり,見誤ったことに過失がないと認められる状況であった場合は,責任を負わせないものである。

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20170628-00000100-nnn-soci
女子高生とみだらな行為 現職警官を逮捕
日本テレビ系(NNN) 6/28(水) 21:55配信
 茨城県警の警察官の男が、SNSで知り合った女子高校生(16)とホテルでみだらな行為をしたとして逮捕された。

 青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕されたのは、容疑者(7)。警察によると、容疑者は、今年1月、水戸市のホテルで女子高校生とみだらな行為をした疑いがもたれている。容疑者はSNSのアプリを通じて女子高校生と知り合い、LINEで連絡を取り合っていたという。
 調べに対し容疑者は、「18歳か19歳だと記憶してる」と話し、容疑を否認しているという。

「「スカートをめくる際に、体を押し付けたり、羽交い締めをするなど、暴力を加えた場合には、さらに重い『強制わいせつ罪』が成立する可能性があります。」という弁護士のコメント

 「卑わい行為」は条例違反の社会的法益の罪、強制わいせつ罪は刑法違反の個人的法益の罪で、別個の趣旨の別個の罪ですから、境界線はありません。
 「スカートめくり行為」は「卑わい行為」にはなっても「わいせつ行為」ではないので、「スカートをめくる際に、体を押し付けたり、羽交い締めをするなど、暴力を加えた場合」は、迷惑条例違反罪+暴行罪になるだけで、強制わいせつ(未遂)罪にはなりません。
 「スカートめくり行為」が「わいせつ行為」だとすると、13歳未満のスカートをめくると強制わいせつ罪(176条後段)になってしまいます。

https://www.bengo4.com/c_1009/n_6302/
迷惑防止条例で「卑わいな言動」が禁止されている
「各自治体はそれぞれ、迷惑防止条例を設けています。その中で、『卑わいな言動』を禁じています。
たとえば、服の上から人の身体に触ることや、下着をのぞき見ること、下着を撮影すること−−などです。スカートめくりも、この『卑わいな言動』にあたると考えられています。
迷惑防止条例というと、電車内での『痴漢』を思い浮かべるかもしれませんが、それだけではないのです」
なお、兵庫県警によると、ほかにも「エッチしよう」などと声をかけたり、服の上から自慰行為することも「卑わいな言動」にあたりうるという。
また、人通りの多い公園などで、カップルが限度を超えてイチャついた場合も、公然わいせつが適用されない範囲で、迷惑防止条例違反になる可能性があるそうだ。
寺林弁護士は次のように警鐘を鳴らしていた。
「スカートをめくる際に、体を押し付けたり、羽交い締めをするなど、暴力を加えた場合には、さらに重い『強制わいせつ罪』が成立する可能性があります。

スカートめくりは『軽いいたずら』というイメージを持っている人も少なくないかもしれません。しかし、被害者には精神的トラウマが残ることがあります。気をつけてもらいたいものです」

児童虐待の防止等に関する法律(における「監護する者」

 監護者性交等罪の「監護者」というのは、刑法的に定義が確定してないと思います。

 児童虐待の防止等に関する法律(における「監護する者」なんかを参考にするんでしょうが。

児童虐待の防止等に関する法律逐条解説」
(児童虐待の定義)
第二条
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)に対し、次に掲げる行為をすることをいう。

(保護者)
本法において「保護者」とは、児童福祉法と同様に親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現実に監督、保護している場合の者をいう。そのため、親権者や後見人であっても、児童の養育を他人に委ねている場合は保護者ではない。他方で、親権者や後見人でなくても、例えば、児童の母親と内縁関係にある者も、児童を現実に監督、保護している場合には保護者に該当する。
「現に監護する」とは、必ずしも、児童と同居して監督、保護しなくともよいが、少なくとも当該児童の所在、動静を知り、客観的にその監護の状態が継続していると認められ、また、保護者たるべき者が監護を行う意思があると推定されるものでなければならない。また、児童が入所している児童福祉施設の施設長は、児童を現に監護している者であり、「保護者」に該当する。

193-衆-法務委員会-21号 平成29年06月07日
平成二十九年六月七日(水曜日)
 まず、構成要件にある現に監護する者の意義について教えてください。
○林政府参考人 今回の法において監護するというのは、民法八百二十条に親
権の効力と定められているところと同様に監督し、保護することをいいまし
て、十八歳未満の者を現に監護する者とは、十八歳未満の者を現に監督し、保
護している者をいいます。
 本罪の現に監護する者に当たるか否かは個別の事案における具体的な事実関
係によって判断されることとなりますが、民法における監護の概念に照らしま
して、現にその者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点でありま
すとか生活上の指導監督などの精神的な観点、このようなものから依存、被依
存ないし保護、被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められ
るということが必要であると考えております。
○吉田(宣)委員 今、継続性というキーワードが一つ示されたかと思いま
す。
 次に、同じく構成要件で、今度は、現に監護する者であることによる影響力
という文言がございます。この意義について、刑事局長からまたお教えいただ
ければと思います。
○林政府参考人 監護者わいせつ罪及び監護者強制性交等罪における影響力と
は、人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力をいいます。
 その上で、現に監護する者であることによる影響力とは、監護者が被監護者
の生活全般にわたりまして、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導監督な
どの精神的観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生ずる影響
力のことをいいます。
 したがいまして、本罪の現に監護する者であることによる影響力といいます
のは、ある特定の場面における特定の行為に関する意思決定に直接かかわるも
のに限るものではありませんで、意思決定を行う前提となる人格、倫理観、価
値観等の形成過程を含めまして、一般的かつ継続的に被監護者の意思決定に作
用を及ぼし得る力に含まれていると考えております。
○吉田(宣)委員 現に監護する者であることの影響力を今お話しいただきま
したけれども、構成要件はさらに、影響力があることに乗じてと規定されてお
ります。この規定の意義について、加えて御説明いただければと思います。
○林政府参考人 乗じてとの用語でございますが、先ほど答弁いたしました現
に監護する者であることによる影響力が一般的に存在し、当該行為時において
も、その影響力を及ぼしている状態で性的行為を行うということを意味しま
す。
 すなわち、性的行為を行う特定の場面におきまして、監護者からこの影響力
を利用する具体的な行為がない場合でありましても、このような一般的かつ継
続的な影響力を及ぼしている状態であれば、被監護者にとっては監護者の存在
を離れて自由な意思決定ができない状態であると言えます。
 その上で、被監護者である十八歳未満の者を現に監護し、保護している立場
にある者がこのような影響力を及ぼしている状態で当該十八歳未満の者に対し
て性的行為をすることは、それ自体が被監護者にとって当該影響力により被監
護者が監護者の存在を離れて自由な意思決定ができない状態に乗じていること
にほかならないと言えます。
 よって、乗じてと言えるためには、性的行為に及ぶ特定の場面において影響
力を利用するための具体的な行為は必要なく、影響力を及ぼしている状態で行
ったということで足りると考えております。
○吉田(宣)委員 状態で足りるということでございました。
 次に、今野先生の質問とも関連また重複するかもしれませんけれども、私か
らも改めてお聞かせいただきたいのは、今の刑事局長からの御説明で構成要件
というものは改めて明確にはなっていると思っておりますが、その上で、十八
歳未満の者に対する影響力を及ぼす立場の者としては、これは監護者だけに限
った話ではなくて、学校の先生であったりスポーツのコーチの方であったり、
そういった方もいるんだろうと思います。これらの者については処罰の範囲と
はなっていないというふうに今の刑事局長からの御説明で私は理解をしており
ますけれども、この点、改正が不十分ではないかという御意見もありまして、
私自身もそういったお話を直接聞く機会がありました。
 法務省の見解についてお聞かせをいただければと思います。
○林政府参考人 委員御指摘のように、監護者性交等罪の監護者の範囲に限定
するものでは処罰対象として不十分ではないか、こういう意見があることは十
分に承知しております。
 その上で、今回、例えばスポーツのコーチでありますとかあるいは教師な
ど、こういった者についてはやはり通常は、生徒等との間に生活全般にわたる
依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められないことから、現に監護す
る者に当たらない場合が多いと考えております。
 現に監護する者以外の者につきましては、十八歳未満の者が生活全般にわた
って精神的、経済的に依存しているとは言えないわけでございますので、この
者に対する影響力も、監護者による影響力の場合とは異なりまして、十八歳未
満の者において、その者の言動の当否等を適切に判断することが常に期待しが
たい、こういった状態に常にあるとは言えないわけでございます。また、その
者の力が及ばない状態で精神的、経済的に自立して生活することが常に困難で
ある、こういった形で類型的に捉えることもちょっと困難な事案であろうかと
思います。
 そうしますと、今回の法案での主体の範囲を現に監護する者以外の者にも拡
張していく場合には、これは被害者の同意の有無を問わない構成要件であると
することは相当ではなくて、結局、行為者と被害者との関係、具体的な影響力
の内容や程度、被害者の同意の有無や意思決定の過程などを考慮した構成要件
をつくらざるを得なくなります。個別の事案ごとに、こういったものについて
は、さらに行為者の故意というものも必要となってくるわけでございます。
 こういった構成要件を考えた場合に、結局、監護者性交等罪を設けることに
よって対処しようとする事案については、基本的に個別の具体的な事案ごとに
立証が求められるわけでございまして、逆に、類型的な今回のような監護者に
限った形の構成要件ではなく、個別にその被害者の同意があるかないかなどと
いったものを構成要件に組み込んだような構成要件を考えますと、それは立証
することがかえって困難になるということも考えられます。そういったことを
しますと、本罪を創設していく趣旨というものについても結果的には合致しな
いことになるのではないかと考えられるわけでございます。
 そこで、今回の改正案では主体を現に監護する者に限定することとしまし
て、その場合には被害者の同意の有無を問わないというような構成要件として
監護者性交等罪を創設する、これをもって、性犯罪の実態というものに即した
対応をこのような形で行おうとしたものでございます。

児童虐待の防止等に関する法律における「監護する者」

 刑法とどう違うのかな
 

児童虐待の防止等に関する法律逐条解説」
(児童虐待の定義)
第二条
この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護する児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)に対し、次に掲げる行為をすることをいう。

(保護者)
本法において「保護者」とは、児童福祉法と同様に親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現実に監督、保護している場合の者をいう。そのため、親権者や後見人であっても、児童の養育を他人に委ねている場合は保護者ではない。他方で、親権者や後見人でなくても、例えば、児童の母親と内縁関係にある者も、児童を現実に監督、保護している場合には保護者に該当する。
「現に監護する」とは、必ずしも、児童と同居して監督、保護しなくともよいが、少なくとも当該児童の所在、動静を知り、客観的にその監護の状態が継続していると認められ、また、保護者たるべき者が監護を行う意思があると推定されるものでなければならない。また、児童が入所している児童福祉施設の施設長は、児童を現に監護している者であり、「保護者」に該当する。

193-衆-法務委員会-21号 平成29年06月07日
平成二十九年六月七日(水曜日)
 まず、構成要件にある現に監護する者の意義について教えてください。
○林政府参考人 今回の法において監護するというのは、民法八百二十条に親
権の効力と定められているところと同様に監督し、保護することをいいまし
て、十八歳未満の者を現に監護する者とは、十八歳未満の者を現に監督し、保
護している者をいいます。
 本罪の現に監護する者に当たるか否かは個別の事案における具体的な事実関
係によって判断されることとなりますが、民法における監護の概念に照らしま
して、現にその者の生活全般にわたって、衣食住などの経済的な観点でありま
すとか生活上の指導監督などの精神的な観点、このようなものから依存、被依
存ないし保護、被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められ
るということが必要であると考えております。
○吉田(宣)委員 今、継続性というキーワードが一つ示されたかと思いま
す。
 次に、同じく構成要件で、今度は、現に監護する者であることによる影響力
という文言がございます。この意義について、刑事局長からまたお教えいただ
ければと思います。
○林政府参考人 監護者わいせつ罪及び監護者強制性交等罪における影響力と
は、人の意思決定に何らかの作用を及ぼし得る力をいいます。
 その上で、現に監護する者であることによる影響力とは、監護者が被監護者
の生活全般にわたりまして、衣食住などの経済的な観点や生活上の指導監督な
どの精神的観点から、現に被監護者を監督し、保護することにより生ずる影響
力のことをいいます。
 したがいまして、本罪の現に監護する者であることによる影響力といいます
のは、ある特定の場面における特定の行為に関する意思決定に直接かかわるも
のに限るものではありませんで、意思決定を行う前提となる人格、倫理観、価
値観等の形成過程を含めまして、一般的かつ継続的に被監護者の意思決定に作
用を及ぼし得る力に含まれていると考えております。
○吉田(宣)委員 現に監護する者であることの影響力を今お話しいただきま
したけれども、構成要件はさらに、影響力があることに乗じてと規定されてお
ります。この規定の意義について、加えて御説明いただければと思います。
○林政府参考人 乗じてとの用語でございますが、先ほど答弁いたしました現
に監護する者であることによる影響力が一般的に存在し、当該行為時において
も、その影響力を及ぼしている状態で性的行為を行うということを意味しま
す。
 すなわち、性的行為を行う特定の場面におきまして、監護者からこの影響力
を利用する具体的な行為がない場合でありましても、このような一般的かつ継
続的な影響力を及ぼしている状態であれば、被監護者にとっては監護者の存在
を離れて自由な意思決定ができない状態であると言えます。
 その上で、被監護者である十八歳未満の者を現に監護し、保護している立場
にある者がこのような影響力を及ぼしている状態で当該十八歳未満の者に対し
て性的行為をすることは、それ自体が被監護者にとって当該影響力により被監
護者が監護者の存在を離れて自由な意思決定ができない状態に乗じていること
にほかならないと言えます。
 よって、乗じてと言えるためには、性的行為に及ぶ特定の場面において影響
力を利用するための具体的な行為は必要なく、影響力を及ぼしている状態で行
ったということで足りると考えております。
○吉田(宣)委員 状態で足りるということでございました。
 次に、今野先生の質問とも関連また重複するかもしれませんけれども、私か
らも改めてお聞かせいただきたいのは、今の刑事局長からの御説明で構成要件
というものは改めて明確にはなっていると思っておりますが、その上で、十八
歳未満の者に対する影響力を及ぼす立場の者としては、これは監護者だけに限
った話ではなくて、学校の先生であったりスポーツのコーチの方であったり、
そういった方もいるんだろうと思います。これらの者については処罰の範囲と
はなっていないというふうに今の刑事局長からの御説明で私は理解をしており
ますけれども、この点、改正が不十分ではないかという御意見もありまして、
私自身もそういったお話を直接聞く機会がありました。
 法務省の見解についてお聞かせをいただければと思います。
○林政府参考人 委員御指摘のように、監護者性交等罪の監護者の範囲に限定
するものでは処罰対象として不十分ではないか、こういう意見があることは十
分に承知しております。
 その上で、今回、例えばスポーツのコーチでありますとかあるいは教師な
ど、こういった者についてはやはり通常は、生徒等との間に生活全般にわたる
依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められないことから、現に監護す
る者に当たらない場合が多いと考えております。
 現に監護する者以外の者につきましては、十八歳未満の者が生活全般にわた
って精神的、経済的に依存しているとは言えないわけでございますので、この
者に対する影響力も、監護者による影響力の場合とは異なりまして、十八歳未
満の者において、その者の言動の当否等を適切に判断することが常に期待しが
たい、こういった状態に常にあるとは言えないわけでございます。また、その
者の力が及ばない状態で精神的、経済的に自立して生活することが常に困難で
ある、こういった形で類型的に捉えることもちょっと困難な事案であろうかと
思います。
 そうしますと、今回の法案での主体の範囲を現に監護する者以外の者にも拡
張していく場合には、これは被害者の同意の有無を問わない構成要件であると
することは相当ではなくて、結局、行為者と被害者との関係、具体的な影響力
の内容や程度、被害者の同意の有無や意思決定の過程などを考慮した構成要件
をつくらざるを得なくなります。個別の事案ごとに、こういったものについて
は、さらに行為者の故意というものも必要となってくるわけでございます。
 こういった構成要件を考えた場合に、結局、監護者性交等罪を設けることに
よって対処しようとする事案については、基本的に個別の具体的な事案ごとに
立証が求められるわけでございまして、逆に、類型的な今回のような監護者に
限った形の構成要件ではなく、個別にその被害者の同意があるかないかなどと
いったものを構成要件に組み込んだような構成要件を考えますと、それは立証
することがかえって困難になるということも考えられます。そういったことを
しますと、本罪を創設していく趣旨というものについても結果的には合致しな
いことになるのではないかと考えられるわけでございます。
 そこで、今回の改正案では主体を現に監護する者に限定することとしまし
て、その場合には被害者の同意の有無を問わないというような構成要件として
監護者性交等罪を創設する、これをもって、性犯罪の実態というものに即した
対応をこのような形で行おうとしたものでございます。

「第1分類と証拠等関係カードを謄写したい。」って言ってるんだ

 謄写業者に謄写部分を指定したんだが、「第1分類と証拠等関係カード」と言ってるのに、証拠カードが来なかったり。伝言ゲームみたいだ。

刑事第一審公判手続きの概要-参考記録に基づいて-平成19年版(監修:司法研修所
第1 刑事訴訟記録の編成
1 訴訟記録
[1] 訴訟記録とは,個々の訴訟事件に関して訴訟関係人から提出された書類(例えば,検察官から提出された起訴状,証拠書類,逮捕状,勾留状等,弁護人から提出された証拠書類,弁論婆旨,保釈誇求書等)及び裁判所が作成した書類(公判の手続を記載した公判調書,公判における証人尋問等の内容を記載した公判調書,判決書等)を編成したものをいう。
2 4分方式
刑事訴訟記録の編成方法については,書類の種類によって次の4分類に分けるいわゆる4分方式が取られている(平成12年10月初日付け最高裁総三第128号事務総長通達「刑事訴訟記録の編成等について」)。
[2] (1) 第1分類 ・・・・手続関係書類
起訴状,公判読書(手続関係を記載したもの。公判前整理手続調書や期日間整理手続調書もこれに含まれる。),判決書の3群に分けられ,その順につづられる。
[3] (2) 第2分類・・・・証拠関係書類
証拠等関係カード,証拠書類,公判調書(証人尋問等の内容を記載したもの)の3群に分けられ,その順につづられる。ただし,証拠書類群と公判調書群は,これを一括して証拠群とし,その取調べの順につづられることもある。
証拠等関係カードは,証拠調べの請求者等の別に検察官請求分,弁護人(又は被告人)請求分,職権分に分けてその頗で記載される([104]参照)。
検察官請求分については 「(甲)」「(乙 )」に分けられるのが通例であるが,このうち「(甲)」とは犯罪事実等に関する証拠で被告人の供述調書等を除いたもの(書証,物証,人誌のすべてを含む。)をいい, 「(乙 )」とは被告人の供述調書,供述書,身上・前科関係の証拠をいう(被告人質問は職権分に記載される。[132]参照)。「(甲 )」は甲号証, 「(乙 )」は乙1号証と呼ばれることがある(民事事件のそれと異なることに注意)。
証拠等関係カードには,被告人質問を含めて,あらゆる証拠についての証拠調べの経緯がカード形式の方法で記載されており,これを一覧すれば,どの段階で,どのような証拠調語求がなされ,その結果がどうなったか,どのような順番で証拠調べが行われたかを知ることができる。
[4] (3) 第3分類・・・・・身柄関係書類
逮捕状,勾留状,保釈請求書,同決定書等の身柄に関する書類が編年体でつづられる。
本件では,被告人は,通常逮捕され,引き続き勾留されていることから、逮捕状,勾留状,移送通知書,勾留期間更新決定書がつづられている。
[5] (4) 第4分類・・・その他の書類
弁護に関する書類,訴訟費用に関する書類,その他第1分類から第3分類までにつづる書類以外の書類が編年体でつづられる。

強要未遂4件につき「検察官は、被告人が動機を正直に述べていない疑いがあること及びこれから派生する一般情状事実などといった、行為責任の本質とはいえない部分に拘泥するあまり、これらを過大に評価したか、未遂や弁償の点などを過少に評価した結果、重い求刑に至ったものともうかがわれるので、本件では求刑を参考にしない。」として懲役2年執行猶予3年とした事例(大津地裁h29.3.22)

(求刑・懲役3年(実刑も考慮、執行猶予の場合には付保護観察あるいは相当長期の猶予期間))

津地方裁判所平成29年03月22日
 上記の者に対する強要未遂被告事件について、当裁判所は、検察官●●●、私選弁護人●●●各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人を懲役2年に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。

理由
(罪となるべき事実)
 平成28年12月13日付け、同月28日付け、平成29年1月20日付け及び同年2月24日付けの各起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これらを順次引用する。
(法令の適用)
(罰条)それぞれ刑法223条3項、1項(判示各事実)
併合罪加重)刑法45条前段、47条本文、10条(判示各罪、犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定加重)
(刑の全部執行猶予)刑法25条1項
(量刑の理由)(求刑・懲役3年(実刑も考慮、執行猶予の場合には付保護観察あるいは相当長期の猶予期間))
 被告人は、ドライブインで男性の車に乗り換えたり、ホテル付近にいたりした40歳前後の女性4名がいずれも不倫をしていると考え、その家を確かめたり、写真を合成したりするなどの準備をした上で、平成28年9月から11月にかけて、映像の入ったDVDを近所や職場に届ける旨などが記載された書面を被害者宅等に置いて脅迫し、指定の場所に赴くことや携帯電話番号を教えることを強要したが、いずれも未遂に終わったものである。被告人は、何ら関係のない女性らの私生活に踏み込んだ上、その羞恥心等に付け込み、陰湿な方法で多大な不安や恐怖感を与えて自らの要求を飲ませようとする行為を繰り返したもので、相当に悪質な犯行といえる。被告人は、勤務先の小学校で不憫な思いをしている生徒がいたことから、子どもがそのような思いをする背景の1つとなり得る不倫をやめさせなければならないなどと考えて本件各犯行に及んだと供述しているところ、自らの行動を合理的に説明できているのか疑問は残るが、この供述を前提にしても、独善的で歪んだ考えを多大な精神的苦痛を与える行為という形で具現化させた点は非難を免れない。
 以上のような犯情事実のほか、被告人に前科前歴がないこと、合計145万円を支払って、被害者全員との間で示談が済んでおり、うち1名からは宥恕も得られていることなどといった重要な情状事実も認められる。個人的法益が保護法益である本件において、弁償や宥恕の点は格別の考慮を与えるべきである。
 同種事案の量刑傾向を前提に、指摘した諸事情を考慮すると、犯情及び重要な情状事実に見合った量刑の幅としては、検察官の求刑を下回る程度の懲役刑に執行猶予を付したもの以外には考えにくい(なお、被告人の供述を排斥したからといって、量刑の基礎となる社会的類型を異にする程度の具体的な動機が直ちに認定できるわけではない。主張立証の分量や内容に鑑みると、検察官は、被告人が動機を正直に述べていない疑いがあること及びこれから派生する一般情状事実などといった、行為責任の本質とはいえない部分に拘泥するあまり、これらを過大に評価したか、未遂や弁償の点などを過少に評価した結果、重い求刑に至ったものともうかがわれるので、本件では求刑を参考にしない。)。
 そこで、その他の一般情状について検討すると、被告人が犯罪事実を認めて反省の弁を述べていること、犯行を繰り返した原因に対応した具体的な再発防止策までは構築されておらず、対処療法的といわざるを得ないが、被告人の妻がGPSによる監視など踏み込んだ監督を公判廷で誓約していること、自業自得ではあるが、退職金全額不支給処分といった一般の被告人にはない厳しい社会的制裁を受けていることなど、被告人に有利な事情も認められる。これらもしんしゃくして、主文の執行猶予判決が相当であると判断した。
刑事部
 (裁判官 小野裕信)
起訴状
平成28年12月13日
公訴事実
 被告人は、平成28年10月1日に滋賀県E市〈a〉所在の〈1〉ドライブイン駐車場で見かけたA(当時46歳)が男性の車両に乗車する状況を目撃したことに乗じて、前記Aに自己の要求を受け入れさせようと考え、同月23日午後1時30分頃、同県X所在の前記A方前路上において、同人に対し、「この前、〈1〉ドライブインにいたでしょ。」、「あなた、浮気しているでしょ。」、「さっき出て行ったのがご主人でしょ。」、「映像もありますし、謝るなら今のうちですよ。」などと言い、さらに、同年11月上旬頃、「なぜ男の車に乗り込んだのか…?追跡した結果、その行き先はなんと…」、「ご主人にバレると、きっと終わっちゃいます。」、「11/13と11/20の14時に一人で写真の場所に来たら相談します。14時30分になったら〈2〉15時になったら〈3〉、15時30分になったら元のところに移動してください。」などと記載し、前記Aが前記〈1〉ドライブイン駐車場で前記車両に乗車する状況を撮影した画像を貼り付けた書面を同人方ガレージに置き、同月12日午前10時50分頃、同所において、同人にこれを閲読させ、前記書面に記載の日時場所に1人で来るよう要求し、その要求に応じなければ、同人の名誉等に危害を加える旨告知して同人を怖がらせ、同人に義務のないことを行わせようとしたが、同人が警察に通報したため、その目的を遂げなかったものである。
●●●
起訴状
平成28年12月28日
公訴事実
 被告人は、かつて滋賀県E市〈b〉所在のホテル〈4〉付近でBが男性と一緒にいる状況を目撃したことに乗じて、前記Bに自己の要求を受け入れさせようと考え、平成28年9月上旬頃、同県Y所在の前記B方ガレージにおいて、「男とホテルから出てきた映像あるよ」、「バレたら娘泣くよ」、「だまっててほしいならタオルを丸めてダッシュボードに置いとけ」、「この紙にケータイ番号書いて同じところにはさんどけ」、「カメラとかいらんことしたらバレるよ」などと記載した書面を同所に置き、同月9日午前10時頃、同所において、前記Bにこれを閲読させ、さらに、同年11月中旬頃、「ボカシのないものを今度もってくるね」、「11月27日にEの〈5〉の〈6〉前に来たら相談にのります」、「14時に1人で来ること」、「来なかったり、二人以上なら近所に配ります。(顔もうつってるよ)」などと記載し、前記B車両が前記ホテルに駐車しているかのように合成した画像を貼り付けた書面を前記B方ガレージに置き、同月19日午前7時30分頃、同所において、同人(当時40歳)にこれを閲読させ、前記書面に記載の日時場所に1人で来るよう要求し、その要求に応じなければ、同人の名誉等に危害を加える旨告知して同人を怖がらせ、同人に義務のないことを行わせようとしたが、同人が警察に通報するなどしたため、その目的を遂げなかったものである。
罪名及び罰条
強要未遂 刑法223条3項、1項
●●●
起訴状
平成29年1月20日
公訴事実
 被告人は、平成28年9月28日午後8時頃から同日午後9時頃までの間に滋賀県E市〈a〉所在の〈1〉ドライブイン駐車場で見かけたC(当時41歳)が男性の車両に乗車し、同県F市〈c〉所在のホテル〈7〉に入る状況を目撃したことに乗じて、前記Cに自己の要求を受け入れさせようと考え、その頃から同日午後10時20分頃までの間に、前記駐車場において、「男のハイブリッドボクシーでホテルに入っていくところさつえいしました」、「顔もバッチリうつってます」、「職場も家も知ってるよ」、「だまっててほしいなら2まいめにケータイばんごうをかいて後ろの〈8〉のかんばんの土台のうしろにおいとけ」、「おいてなかったら職場と家、近所にDVDが届くよ」などと記載した書面を前記Cの車両の運転席側ドアノブに挟み、同日午後10時36分頃、同県G市〈d〉所在のH〈9〉店駐車場において、同人にこれを閲読させ、前記書面に記載した場所に同人の携帯電話番号を記載した紙を置くよう要求し、その要求に応じなければ、同人の名誉等に危害を加える旨告知して同人を怖がらせ、同人に義務のないことを行わせようとしたが、同人が警察に通報したため、その目的を遂げなかったものである。
罪名及び罰条
強要未遂 刑法223条3項、1項
●●●
起訴状
平成29年2月24日
公訴事実
 被告人は、かつて滋賀県E市〈a〉所在の〈1〉ドライブイン駐車場でDが男性の車両に乗降する状況を目撃したことに乗じて、前記Dに自己の要求を受け入れさせようと考え、平成28年9月8日午後6時頃から同日午後8時30分頃までの間に、前記駐車場において、「男の車から降りてくる映像ありますZ家も知ってるよ シャッターの車庫だね 男に言わずもどってきてね。でないと近所にDVDを届けるよ。わかったね、Dさん。」「けいたいばんごうをかいてうしろのうえこみにおいといて」などと記載した書面を前記D(当時37歳)の車両の運転席側ドアノブに挟み、同日午後8時30分頃、同駐車場から同県Zに向けて走行中の同車内において、同人にこれを閲読させ、前記書面に記載した場所に同人の携帯電話番号を記載した紙を置くよう要求し、その要求に応じなければ、同人の名誉等に危害を加える旨告知して同人を怖がらせ、同人に義務のないことを行わせようとしたが、同人が警察に通報したため、その目的を遂げなかったものである。
罪名及び罰条
強要未遂 刑法223条3項、1項

「一般に,家族が被疑者の身柄を引き受けるに際し,検察庁に罰金を支払うことになります。引き受け時に支払えない場合,検察官に相談して分納等できる場合もありますが,労役場留置のおそれもあります。」という弁護士の回答

 検察庁の人はそういって、罰金の徴収を済ませようとしますし、罰金払えば釈放されると思い込ませて自白を誘導することもあるのですが、弁護士でもそう思い込んでいる人もいるようです。
 法律上は、略式起訴で釈放、徴収・納付はその後です。
 「後で必ず払いに来ます」と言えば、釈放されることが多いと思います。
  弁護人にちゃんと根拠規定を聞いて下さい。

刑事訴訟法
第345条〔勾留状の失効〕
無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却(第三百三十八条第四号による場合を除く。)、罰金又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。
※略式命令の場合に準用するという規定はない
・・・
コンメンタール刑事訴訟法第2版8巻p365
I 趣旨
無罪,免訴,刑の免除,刑の執行猶予,公訴棄却(338条4号による場合を除く),罰金,科料の裁判の告知があったときは,被告人の逃亡のおそれが少なくなり,刑の執行を確保するために身柄を拘束する必要も少なくなるので,その裁判の確定をまたないで勾留状の効力がなくなることが定められたものである。
本条は,当初は, 「無罪,免訴,刑の免除,刑の執行猶予,公訴棄却,管轄違,罰金又は科料の判決の宣告があったときは,勾留状は,その効力を失う。」と規定されていた。このうち,管轄違いの判決(329条〉の場合には,直ちに管轄権のある裁判所に再起訴をするのが通常であろうし, 338条4号に基づく公訴棄却の判決の場合には,その公訴提起の手続を補正して再起訴をする可能性が高いので,被告人の身柄を確保する必要性があり,判決宣告と同時に勾留状を失効させることには不都合があった。そこで,昭和28年法律172号により本条を改正し,この2つの場合を除外するとともに,決定による公訴棄却の場合(339条〉にも準用があるとする当時の通説を採用して,その点を明らかにするために「裁判の告知」と改めたものである。
・・・
検察講義案平成21年版P81
身柄拘束中の被疑者の場合は,略式命令の謄本が被告人に送達された時に釈放手続をとる。
仮納付の裁判があった場合は,罰金などの徴収を迅速かつ確実に行うために直ちにその裁判を執行して罰金又は科料を仮納付させることが有効である。
・・・
7訂 徴収事務解説 P118
なお,仮納付の裁判を履行しない場合には,強制執行の手続をとることはできるが,直ちに労役場留置の執行をすることは許されない。

 だいたい、略式命令の仮納付については明文規定がないことも判明

(注)略式命令の裁判に仮納付の裁判を言い渡すことができるかについては,明文がないが, 「付随の処分」として仮納付を命ずることができるものとして運用されています。
森田久弘「徴収事務(1)」研修 第684号P55

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1405/b_561730/?
Q2017年06月22日 10時30分

A村木 亨輔 弁護士
兵庫 神戸 中央区
弁護士ランキング 兵庫県2位
犯罪・刑事事件に注力する弁護士
一般に,家族が被疑者の身柄を引き受けるに際し,検察庁に罰金を支払うことになります。
引き受け時に支払えない場合,検察官に相談して分納等できる場合もありますが,労役場留置のおそれもあります。
面会できるのなら,キャッシュカードをご主人から宅下げしてもらい,暗証番号を聞いて引き出し等の対応も可能かもしれません。
引出しができない状況について,一度,ご主人の弁護人と相談されてみてはどうでしょうか。
また,罰金額の見込みについて聞いておけば,事前に準備しやすいでしょう。

単純所持罪容疑の逮捕事例(警視庁)

 9/8の児童買春容疑で2/13に捜索されて所持を現認されて、6/26逮捕。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
(児童買春、児童ポルノの所持その他児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為の禁止)
第三条の二  何人も、児童買春をし、又はみだりに児童ポルノを所持し、若しくは第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管することその他児童に対する性的搾取又は性的虐待に係る行為をしてはならない。
児童ポルノ所持、提供等)
第七条  自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

中1を買春容疑、市川市議を逮捕
2017.06.26 朝日新聞
 女子中学生にわいせつな行為をしたなどとして、警視庁は26日、容疑者を児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕し、発表した。「覚えていないのでわかりません」と容疑を否認しているという。
 少年育成課によると、容疑者は昨年9月8日ごろ、自宅で、18歳未満と知りながら当時中学1年生だった女子生徒に3万円を渡してわいせつな行為をした疑いがある。また今年2月には、自宅のパソコンなどに児童ポルノ画像を所持していた疑いがある。

中学生買春容疑で市議逮捕 自宅で児童ポルノ所持か
2017.06.26 共同通信 
 女子中学生に現金を渡してわいせつな行為をしたなどとして、警視庁少年育成課は26日、児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)の疑いで、容疑者を逮捕した。「覚えてないので分かりません」と容疑を否認している。
 逮捕容疑は昨年9月8日ごろ、自宅で当時中学1年だった女子生徒(14)に現金3万円を渡して、わいせつな行為をした疑い。
 少年育成課によると、無料通信アプリ「カカオトーク」で女子生徒とメッセージをやりとりし、JR常磐線綾瀬駅(東京都足立区)で待ち合わせて、自分の車で自宅に向かった。女子生徒の母親が同日中に警視庁に相談し、発覚した。
 同課は2月13日に容疑者宅を捜索し、パソコンやスマートフォンから、児童ポルノとみられる画像や動画1万点以上を発見。一部を児童ポルノと確認したとして、同法の所持容疑でも逮捕した。

第1回社会保障審議会児童部会児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策に関する検証・評価専門委員会

社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。」とされたので、その活動です。

第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置
(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条  厚生労働省法務省都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二  社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2  社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3  厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

犯罪被害者等施策推進会議の方では、なんかやってますよという感じです。

https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/suisin/kaigi/13/pdf/s3_kenshou.pdf
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に基づく、児童買春・児童ポルノ事犯における被害児童の保護施策の実施状況に係る検証・評価について(案)
平成28年3月●日
犯罪被害者等施策推進会議決定
4 被害児童保護に関する調査研究の推進
効果的で適切な保護施策を推進できるよう、児童が被害に遭う背景や被害児童の心理特性に関する調査研究の実施について検討する必要がある。
5 総括
児童買春・児童ポルノ事犯における被害児童の保護施策が、多方面にわたり行われていることは、評価できる。
しかし、児童買春・児童ポルノ事犯は、様々な要因により被害が潜在化しやすいことから、これを念頭に置きつつ、引き続き、保護活動の充実、被害児童の保護を行う者の資質向上、関係機関の連携強化等を図っていく必要がある。
なお、犯罪被害者等施策にとどまらない事項ではあるが、児童がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等のインターネット上の新たなコミュニケーションツールの利用をきっかけに被害に遭うケースが多いことから、今後、児童及び保護者のインターネット・リテラシーの向上等の予防啓発、教育・学習の充実を期待する。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169072.html
第1回社会保障審議会児童部会児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策に関する検証・評価専門委員会を開催します
1.日時
平成29年6月29日(木)10:00~12:00

2.場所
中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室(6階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

3.議題
(1) 委員長選任
(2) 児童買春・児童ポルノ被害児童を巡る現状について
(3) 社会保障審議会における児童買春・児童ポルノ被害児の保護施策に関する検証・評価について

4.傍聴者数
若干名(報道関係の方も含む)

第1回社会保障審議会児童部会児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策に関する検証・評価専門委員会

社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。」とされたので、その活動です。

第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置
(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条  厚生労働省法務省都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2  前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条  国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。
(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
第十六条の二  社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2  社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3  厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169072.html
第1回社会保障審議会児童部会児童買春・児童ポルノ被害児童の保護施策に関する検証・評価専門委員会を開催します
1.日時
平成29年6月29日(木)10:00~12:00

2.場所
中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室(6階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

3.議題
(1) 委員長選任
(2) 児童買春・児童ポルノ被害児童を巡る現状について
(3) 社会保障審議会における児童買春・児童ポルノ被害児の保護施策に関する検証・評価について

4.傍聴者数
若干名(報道関係の方も含む)

強制性交等罪の国会審議

 本会議で実質的な質疑が行われています。

193-衆-本会議-31号 平成29年06月02日
○議長(大島理森君) この際、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣金田勝年君。
    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣金田勝年君) 刑法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 性犯罪は、被害者の心身に多大な苦痛を与え続けるばかりか、その人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪でありますことから、厳正な対処が求められておりますところ、明治四十年の現行刑法制定以来、基本的にその構成要件が維持されてまいりました現行の罰則では、性交と同等の身体的接触を伴う強制わいせつ事案、親権者等による性交等事案などについて、適正な処罰が困難な場合があるとの指摘がなされております。
 また、現行法に対しては、強姦罪の悪質性、重大性に鑑みると、その法定刑の下限が低きに失して国民意識と合致しない、あるいは、性犯罪が親告罪であることにより、かえって被害者に精神的な負担を生じさせていることが少なくないなどのさまざまな御意見が見られるところであります。
 そこで、この法律案は、性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、刑法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、現行の強姦罪は、強制わいせつ罪の加重類型と考えられておりますところ、その構成要件を見直し、行為者及び被害者の性別を問わず、暴行または脅迫を用いて肛門性交または口腔性交をする行為等を現行の強姦と同様の重い類型の犯罪として処罰することとした上で、その法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げるとともに、被害者を死傷させた場合の法定刑の下限も懲役五年から懲役六年に引き上げるものであります。また、これにあわせて、強姦罪の罪名を強制性交等罪とするものであります。
 第二は、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設であります。すなわち、十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為または性交等をした者に対する罰則を新設することとしております。
 第三は、強姦罪等を親告罪としていた規定を削除して、これらの罪を非親告罪とするものであります。
 第四は、同一の機会に強盗の罪と強制性交等の罪を犯した場合について、現行の強盗強姦罪と同様の法定刑で処罰をすることとするものであります。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

○議長(大島理森君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。井出庸生君。
    〔井出庸生君登壇〕

井出庸生君 民進党、信州長野の井出庸生です。
 ただいま議題となりました性犯罪規定について刑法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問させていただきます。(拍手)
 冒頭、先日の共謀罪強行採決に断固抗議をいたします。
 性犯罪の罰則等については、平成十六年、第百六十一回国会で、衆参両院の法務委員会の附帯決議の中で、性的自由の侵害に係る罰則のあり方について、さらなる検討が求められました。また、平成二十二年十二月には、第三次男女共同参画基本計画が閣議決定をされ、強姦罪非親告罪化、性交同意年齢の引き上げ、構成要件の見直し等を検討することとされました。
 さらに、本法案が法制審で議論されていた昨年から、性暴力の被害当事者の方々が、当事者の声を聞いてほしいと今日まで活動をされてきました。長い活動の御労苦に深く感謝を申し上げます。
 本法案の議論は、苦しみの中から声を上げられた方、さらに、声を上げることができなかった多くの方々、御家族、被害者に寄り添い、支援に当たってこられた関係者の方々の努力の結実です。その本法案審議よりも共謀罪を先行させた政府・与党に強く抗議をするとともに、私は、当事者の声を受けとめ、本法案に一層の改善を求めてまいります。
 フランスの学者ジョルジュ・ヴィガレロの書いた「強姦の歴史」という本には、画期的と評される一九七八年の強姦裁判、エクスの裁判に関する言葉として、被害者が、強姦、それは破壊でした、私たちそのものを破壊することでしたと、被害者の弁護人は、強姦の日から、彼女たちは内面に入り込んで離れない死を抱えて生きなければならないのですと、それぞれ述べていた旨書かれています。強姦が魂の殺人と言われるゆえんです。
 強姦罪は、制定当時、家父長制度を前提とし、夫に従属する妻の保護を目的としたと言われています。戦後、この価値観は否定され、判例、通説では、強姦罪の保護法益は性的自由の侵害とされています。
 今回の法改正で、強姦罪の構成要件から「女子を姦淫した」との規定が削除され、被害者の性別を問わないこととした点や、強姦罪の処罰対象となる行為を拡張した点は、実態に即したものと言えます。しかし、被害者が性交と同程度の深刻な被害を負ったとしても、男性の性器ではない、指や異物の膣、肛門への挿入行為は、強姦罪改め強制性交等罪になっても規定はされませんでした。
 そこで、強制性交等罪の保護法益は何か、伺います。
 本法案の保護法益は、性的自由のみにとどまるのか、それとも、先ほど提案理由説明で言及をされた、被害者の人格や尊厳、心身を守ることも保護法益とするのか、端的に答弁を求めます。
 被害者の立場に立てば、指や異物を膣、肛門へ挿入される行為は、性的な侵襲があったという点で、深い傷を負う強姦と変わりません。被害者の人格や尊厳、心身を守ることも保護法益とするのであれば、これらの行為も強制性交等罪とするべきとの立論も十分考えられますが、見解を求めます。
 本改正案においても、強制性交等罪は、暴行または脅迫が要件となっています。強姦は不同意だけでは成立をせず、被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行または脅迫を用いることが要件とされる、これまでの考え方が維持されてきました。
 十四歳の女の子が恐怖の余り抵抗ができなかったことをもって、暴行、脅迫要件を満たさず、強姦罪が成立しないとの判例があります。恐怖で身がすくむ、殺されるかもしれないと思って抵抗できない、これは被害者に起こる普通の反応です。恐怖の余りフリーズをする、あるいは解離症状が起きる、こうした反応と、強姦罪の構成要件に暴行、脅迫要件を課すことの合理性についてどのようにお考えですか。
 現行刑法は、百七十七条で強姦罪、百七十八条第二項で準強姦罪を規定しています。強姦と準強姦の違いは構成要件です。強姦は暴行、脅迫、準強姦は心神喪失もしくは抗拒不能に乗じる、またはそうした状態にさせることが構成要件です。
 しかし、強姦と準強姦の法定刑は同じです。強姦も準強姦も、ともに強姦です。強姦と準強姦を一つにして、暴行、脅迫を抗拒不能、心神喪失に陥らす行為の例示とし、強制性交等罪、準強制性交等罪の新たな構成要件として、抗拒不能を中心に一本化した規定をすることは十分検討に値すると提案をしますが、見解を求めます。
 十三歳と規定をされている性交同意年齢の引き上げについては、本法改正には盛り込まれておりません。問題としたいのは、同意とは何かということです。
 臨床心理士の藤岡淳子さんの本「性暴力の理解と治療教育」には、真の同意に必要な六つの要件が挙げられています。
 一つ、同意とは、年齢、成熟、発達レベル、経験に基づいて、指示された何らかの性行為が何であるかを理解していること。二つ、提示されたことへの反応について社会的な標準を知っていること。三つ、生じ得る結果や他の選択肢を認識していること。四つ、同意するのもしないのも同様に尊重されるという前提があること。五つ、自発的決定であること。六つ、精神的、知的な能力があること。まとめますと、同意する内容を理解し、対等性があり、強制性がないという条件がそろって初めて真の同意と言えます。
 性交同意年齢は、女性の身体的成長時期などから十三歳と定められたと聞いていますが、十三歳が、さきの六要件を満たす同意が可能と考えるかどうか、見解を求めます。
 同意に関連して、性教育は十分と言えるのか。私は、小中高校で、それぞれで広く使用されている教科書の性教育について文部科学省から説明を受けました。教科書には、主に男女の身体的特徴の観点からの記載があります。また、中学、高校では、お互いの理解、尊重についても多少の記述があります。
 性交年齢が低年齢化していると言われる中、本法案の改正を機に、同意や相手を尊重することなど、男女間の心の部分について、性教育で一層取り組むよう通達を出すことが、性犯罪、性暴力、性非行を少しでも減らすことにつながると考えます。通達を御検討いただけますでしょうか。
 本改正案では、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪が新設されます。本人からの被害申告や暴行、脅迫要件を満たさなくても、現に監護する者による性的虐待に対して刑事罰を問うことができます。
 現に監護する者の典型例として、実親や養親等が挙げられるとのことですが、先ほどの真の同意の観点から考えますと、子供は生活の全てを親に依存する存在です。対等性はなく、強制性があり、それらの行為について真の同意は考えられない関係です。本改正案には「影響力があることに乗じて」と規定がありますが、内縁も含めて、親であれば、その立場をもって影響力があることに乗じてと解釈をし、他の要素を必要としないと考えてもよろしいでしょうか。
 さらに、教師による、被害生徒等の意思に反した性交等も、逆らうこと自体が被害者の生活基盤を失うおそれがある場合には、この規定が適用される可能性はありますか。
 幼いころの近親者による性的虐待は、生涯にわたり大きな影響を与えます。現行法では、強姦罪の公訴時効期間は十年、強制わいせつ罪は七年ですが、未成年への強姦行為等については、成人した後に被害を認識できるようになる可能性もあります。時効を延ばすことについては、証拠の散逸等から否定的な考えもありますが、児童ポルノ被害の深刻化などに鑑みれば、被害者が成人もしくは自立してからでも被害申告ができるように、未成年者を対象に、時効を一定年数停止することも重要な検討事項と考えますが、見解を伺います。
 全く根拠のない、強姦神話と呼ばれるものがあります。例えば、強姦の加害者のほとんどは見知らぬ人であるという話です。しかし、平成二十六年の強姦の検挙件数に占める被害者と面識がある容疑者の割合は五〇・九%となっています。
 先月二十九日、東京霞が関の司法記者クラブで一人の女性が記者会見をしました。報道によりますと、女性は知り合いの著名なジャーナリストから性暴力を受け、警察が準強姦容疑で捜査をしたものの不起訴となったため、不起訴処分を不服として検察審査会へ審査を申し立てたということです。
 この事件を最初に提起した週刊新潮によると、著名なジャーナリストには準強姦容疑で逮捕状が出たものの逮捕に至らず、警視庁の当時の刑事部長が、私が決裁した、自分として判断した覚えがあるなどと週刊誌の直接取材に答えています。
 管轄の警察署を超えて警視庁幹部が判断をすることには元警察関係者からも疑問の声が上がっています。不起訴となっているこの事件は、警視庁の刑事部長が判断を下す特別な捜査本部体制が最初からしかれていたのでしょうか。国家公安委員長に答弁を求めます。
 検察審査会への審査の申し立ては、公正な捜査を尽くしてほしいという願いにほかなりません。
 被害者にとって、性暴力が犯罪であるかどうかは、被害者の回復に大きな影響を与えると言われています。有罪になれば、自分が悪いのではなくて加害者に責任があると、より明確に思うことができ、また、不十分ながらも公的サポートを受けることができます。刑事や検察官が頑張っている姿に力をもらえると、性暴力と刑法を考える当事者の会代表山本潤さんは著書の中でこのように述べています。
 会見を開いた女性には、励ましの声がある一方、会見時の服装など、事件と無関係の批判も見られます。性暴力や性犯罪の被害者への支援は、社会を挙げて取り組むべきものです。
 国家公安委員長には、この事件について、捜査のいきさつを検証し、説明する責任がございます。個別の案件にはコメントを控えるという答弁では、これまでの捜査の公正さを証明することはできません。国家公安委員長に、事実関係の確認と、捜査のいきさつを検証する意思はあるか、答弁を求めます。
 本法案では、強姦罪等が非親告罪となりました。被害者のプライバシーをどのように守るのか、答弁を求めます。
 また、幼い子供の性犯罪被害、虐待事案の際に、子供の負担にならないようにしつつ、正確な供述を得ていくための司法面接の導入の必要性について見解を伺います。
 性犯罪には、厳正な処罰と被害者への適切な支援が必要です。被害者支援のためのワンストップ支援センター設置を強力に推進する法案を、昨年、五野党で共同提案いたしました。本法案とともに、この性暴力被害者支援法案もセットで成立をさせていただき、両輪で被害者を支えるべきと考えますが、見解を伺います。
 性暴力被害の当事者として、多くの困難を乗り越えてこられ、また被害者支援にも取り組んできた山本潤さんは、被害者が認められていない社会の実態について、次のように述べております。彼らは知らないだけなのだ、そのような恐怖を感じる世界があることを想像もできないだけなのだと。
 この言葉と真摯に向き合って、性暴力、性犯罪が少しでもなくなるよう、本法案にとどまらず、教育、被害者支援など、多岐にわたって論点を深めてまいります。
 以上で質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣金田勝年君) 井出庸生議員にお答えを申し上げます。
 まず、強制性交等罪の保護法益についてお尋ねがありました。
 強姦罪の保護法益については、一般に、性的自由または性的自己決定権と解されていると承知をしており、強制性交等罪の保護法益についても同様と考えております。
 強制性交等罪などの性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害するものであると認識をしております。もっとも、刑法上の罪の保護法益は、一定程度具体化された利益として把握されていると考えられます。そして、被害者の人格や尊厳を侵す犯罪は性犯罪に限られないことからも、人格や尊厳を性犯罪の保護法益とするのは抽象的に過ぎると考えられます。
 次に、強制性交等罪の処罰対象となる行為の範囲についてお尋ねがありました。
 ただいま答弁しましたように、強制性交等罪の保護法益は、性的自由または性的自己決定権であると考えております。
 膣や肛門への異物等の挿入行為については、異物にもさまざまなものがあり、その被害の重大性が一律に性交等と同等とまでは言いがたいことから、強制性交等罪の処罰対象とはしておりません。
 なお、御指摘の行為に対しては、強制わいせつ罪等により、事案の実態に即した対処がなされるべきであると考えております。
 次に、暴行または脅迫を強制性交等罪の構成要件とすることの合理性についてお尋ねがありました。
 強姦罪における暴行または脅迫は、その保護法益である性的自由または性的自己決定権を侵害する行為であることを示す客観的な要件であり、その程度は、反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されております。具体的には、被害者の年齢、精神状態のほか、行為の場所の状況、時間等諸般の事情を考慮し、御指摘のように被害者が恐怖感から抵抗できない場合においても、事案に即した適切な判断がなされているものと考えております。
 このような客観的な要件を定めていることには合理性があると考えております。
 次に、現行法の強姦と準強姦を一本化すべきではないかとのお尋ねがありました。
 現行法における強姦罪準強姦罪との区別は適切に機能しているものと考えられますので、直ちに御指摘のような改正が必要とは考えておりません。
 次に、十三歳の者が性交に同意することが可能であるかについてお尋ねがありました。
 十三歳の者の心身の発育の程度には個人差があると思われますが、現行刑法は、十三歳未満の者については、暴行、脅迫がなくても、一律に、同意の有無を問わず強姦罪が成立するとしているものであります。
 この年齢を引き上げることは、若年者の性的自由を過度に制約する側面がある一方、未成熟な児童については児童福祉法や条例により保護が図られていることなどを考慮し、今回の改正案では、この年齢の引き上げを行うこととはしておりません。
 次に、監護者性交等罪における要件の認定に関するお尋ねがありました。
 監護者性交等罪は、行為者が十八歳未満の者を現に監護する者であることが要件であります。その上で、十八歳未満の者を現に監護する者であれば、一般に、その十八歳未満の者に対して、監護する者であることによる影響力があるものと考えており、その影響力を及ぼしている状態で性交等をすれば、監護者が影響力があることに乗じていると言えると考えております。
 次に、教師に対し監護者性交等罪が成立する場合があるかとのお尋ねがありました。
 監護者性交等罪の、現に監護する者に当たるか否かは、個別の事案における具体的な事実関係により判断されるものでありますが、一般的には、現に生活全般にわたって依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められ、かつ、その関係に継続性が認められることが必要であると考えております。
 その上で、一般論として申し上げれば、教師については、通常は、生徒との間に生活全般にわたる依存、被依存ないし保護、被保護の関係が認められないことから、現に監護する者に当たらない場合が多いものと考えられます。
 次に、未成年者を被害者とする性犯罪の公訴時効を停止する制度の導入についてお尋ねがありました。
 時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和という公訴時効制度の趣旨等に鑑みますと、未成年者を被害者とする性犯罪についてのみ公訴時効を停止する制度を設けることについては、慎重な検討を要するものと考えております。
 次に、性犯罪が非親告罪化された場合における犯罪被害者の保護のための方策についてお尋ねがありました。
 強姦罪等を非親告罪としても、事件の処分等に当たっては被害者の心情に適切な配慮がなされるものと考えており、また、公判等の刑事手続においては、ビデオリンク方式による証人尋問等の被害者のプライバシーを保護するための方策が活用されることとなると考えております。
 次に、司法面接の導入についてお尋ねがありました。
 現行法のもとでも、例えば、被害児童の事情聴取に際し、児童相談所、警察及び検察の三者において協議を実施し、いずれかが代表して、司法面接の手法を活用した聴取を行う取り組みを積極的に進めており、引き続きこのような取り組みを進めてまいります。
 最後に、性暴力被害者の支援に関する法律案をあわせて成立させるべきではないかとのお尋ねがありました。
 性暴力被害者支援に関する法律案は、議員提案により既に本院に提出されているものと承知をいたしております。国会における法案審議のあり方につきましては、国会においてお決めいただく事柄であり、法務大臣として申し上げるべきことではないと考えております。
 いずれにせよ、政府として、引き続き性犯罪被害者支援のための取り組みを進めることは重要であると考えております。(拍手)
    〔国務大臣松野博一君登壇〕

国務大臣松野博一君) 井出議員から一つ御質問がございました。
 同意や相手を尊重することなど、男女間の心の部分について、性教育で一層取り組むよう通達を出すことを検討していただけないかとのお尋ねでございますが、性に関する適切な態度や行動の選択について理解するためには、学校における性に関する指導は重要であると認識をしています。
 これまで、文部科学省では、学校における性に関する指導が適切に実施されるよう、教職員を対象とした研修会の実施、各地域における学校保健に関する課題解決に向けた取り組みに対する財政支援等を行ってきたところです。
 文部科学省としては、引き続き、御提案の通達を発出することの検討も含め、学校における性に関する指導の充実に努めてまいります。(拍手)
    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣松本純君) 警視庁において捜査した刑事告訴事件に関する捜査体制についてお尋ねがありました。
 まず、警察署が行っている捜査に関して、警察本部が適正捜査の観点から指導等を行うのは通常のことであり、お尋ねのような特別な捜査本部体制がなければ指導等ができないものではありません。
 特に、専門性の高い性犯罪の捜査に関しましては、その適正確保等のため、全ての都道府県の警察本部に専門の指導官が置かれ、平素から警察署の捜査幹部への指導等に当たっているところであります。
 次に、同告訴事件に関する事実関係の確認及び検証についてお尋ねがありました。
 お尋ねの事件の事実関係については、警視庁において、告訴を受理し、法と証拠に基づき必要な捜査を遂げた上で、関係書類及び証拠物を東京地方検察庁に送付したものであり、また、送付を受けた検察庁においても必要な捜査が行われたものと承知しています。
 警視庁において必要な捜査が尽くされ、また、検察庁で不起訴処分となっていることなども踏まえ、検証を行うことは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――

○議長(大島理森君) 國重徹君。
    〔國重徹君登壇〕

○國重徹君 公明党の國重徹です。
 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)
 それまでの自分は死んでしまった。被害者のこのような声に象徴されるように、性犯罪は魂の殺人です。
 人間としての尊厳を踏みにじる暴挙の最たるもので、被害に遭ったときだけではなく、その後の被害者の人生に長きにわたって深い傷跡を残す卑劣かつ重大な犯罪です。
 今般の法改正は、制定から百十年が経過した刑法の性犯罪に関する規定を被害の実情に即したものとする極めて重要なものです。
 この改正の大きな後押しとなった力、それは、心身ともに筆舌に尽くしがたい苦痛を受けながらも、自分と同じような苦しみを味わう人を少しでも減らしたい、こういった思いで性犯罪被害の実態を訴え続けた被害者の方々の存在でした。
 この思いを胸に、以下、具体的な改正事項について質問をいたします。
 まず、本改正案では、強姦罪の構成要件を見直すとともに、その法定刑を引き上げています。
 現行刑法が制定された明治時代はいまだ男性中心の社会であり、その中で強姦罪は、被害者は女性のみ、行為は姦淫のみが処罰の対象とされていました。これはともすれば、家父長制度を前提とした、女性の貞操の保護をも念頭に置いた、社会的な性秩序を維持するためのものと受け取られることもありました。
 しかし、あくまで強姦罪の保護法益は性的自由や性的自己決定権であり、これは、全ての人の人格や尊厳に根差す重要な権利です。意に反する性行為によって人格や尊厳がじゅうりんされるのは、女性のみならず、男性や性的マイノリティーの方々であっても同じです。男性のレイプ被害についてのアメリカの調査によると、PTSDの発症率は女性の場合とほとんど変わらない、むしろ男性の方が高いという結果も出ています。
 今回の改正案では、被害者はその性別を問わず、性的マイノリティーの方々を含むあらゆる人を対象にしています。また、強姦罪の罪名を強制性交等罪に改め、処罰の対象となる行為を、膣性交に限らず、それに類する肛門性交や口腔性交にまで拡大し、その法定刑の下限を懲役三年から懲役五年に引き上げております。これらの改正は、性犯罪についての考え方そのものを変える意義あるものと受けとめています。
 そこで、金田法務大臣に、改めて、強姦罪の構成要件や法定刑を見直した趣旨について答弁を求めます。
 次に、暴行、脅迫要件に関して伺います。
 強制性交等罪が成立するための要件として、強姦罪と同じく、暴行または脅迫が必要とされております。
 この点、被害者の方々からは、抵抗できなかったがゆえに暴行、脅迫が認定されなかった、被害に直面した際に生じる生理的反応や心理状態が理解されていないなどといった意見があり、暴行、脅迫要件の撤廃を望む声が上がっております。
 他方で、暴行、脅迫の有無の認定については、実務上、周囲の状況、相手方との人間関係、被害者の年齢、事件に至るまでの経緯など、さまざまな要素を考慮して判断することとされており、被害者が抵抗できなかった場合でも、暴行、脅迫が認められる例もあります。このようなことに鑑みれば、まずは、暴行、脅迫をいかに的確に認定するか、ここがポイントになると考えます。
 そこで、被害者の方々の声を真摯に受けとめ、被害者の心理状態等に関する調査研究をより一層推進すること、そして、裁判官、検察官などに対し、これらの知見を踏まえた研修の充実を一層図っていくことが必要と考えます。金田法務大臣の見解を伺います。
 監護者わいせつ罪、監護者性交等罪に関して伺います。
 本改正案では、家庭内での性的虐待に厳正に対処すべく、全く新しい刑法上の罰則、具体的には、親などの監護者が、十八歳未満の子供に対し、その影響力に乗じてわいせつな行為や性交等を行った場合の罰則を新設しております。
 家庭における性的虐待は、より被害が潜在化、継続化する傾向にあり、最も安全であるはずの場所を奪われた子供たちは、性的な発達を含め、人間としての成長過程全体が大きくダメージを受けることになります。
 社会全体で子供への性的虐待をなくす努力がなされないのであれば、それは加害者を暗黙のうちに許容したのと同じことです。今般の監護者性交等罪などの創設は、子供に対する性的虐待が絶対に許されない犯罪であるという強いメッセージを社会に発することになります。
 金田法務大臣にお伺いします。
 強制性交等罪や強制わいせつ罪とは別に、監護者性交等罪などを創設した趣旨は何なのか。また、監護者性交等罪などのように被害者が子供である場合には、捜査の過程において、事情聴取の負担を軽減するなど、子供の特性を踏まえた特段の配慮が必要と考えますが、これに関する見解、取り組みについて答弁を求めます。
 性犯罪が親告罪であるがために、被害者は加害者の起訴、不起訴をみずから決めざるを得ないなどの精神的負担をこうむってきました。そこで、本改正案では、性犯罪を非親告罪化することとしております。
 もっとも、現行法で親告罪としている趣旨は、事件を公にしたくないという被害者の存在も考慮し、その意思を尊重する点にあります。
 そこで、非親告罪とされた後も、事件の処分や捜査、公判の各過程において、被害者のプライバシーや心情への配慮は十分になされる必要があると考えますが、この点に関する金田法務大臣の見解を伺います。
 性犯罪への対策については、これまで政府一体となって、第三次犯罪被害者等基本計画に基づいてさまざまな施策を講じてきました。実効的な対策を講じるためには被害の実態の把握が不可欠ですが、被害が顕在化しにくい性犯罪に関する実態調査をするに当たっては、より細やかな配慮が必要です。
 この点、例えば、内閣府では男女間における暴力に関する調査を実施してきたものの、従来の調査票では、女性に対してのみ、無理やり性交されたかどうかを質問するなど、不十分な点も見受けられます。
 そこで、今回の法改正を踏まえ、女性のみならず、男性や性的マイノリティーの方々を含めた性犯罪、性暴力被害の実態をより正確に把握すべく、調査対象や調査項目のさらなる充実を検討し、性犯罪の対策を一層強力に推進すべきと考えます。これに対する見解、決意について、男女共同参画を担当する加藤大臣、犯罪被害者施策を担当する松本国家公安委員長の答弁を求めます。
 結びに、本法案の審議を通じて、性犯罪被害の実態、被害者の痛みに対する理解が深まり、その支援の重要性が改めて認識されることを期待するとともに、全ての人の性が尊重し合える社会を築くため全力で邁進することを誓い、私の質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣金田勝年君) 國重徹議員にお答えを申し上げます。
 まず、強姦罪の構成要件と法定刑の見直しの趣旨についてお尋ねがありました。
 強姦罪は、女子に対する姦淫、すなわち性交のみを対象としておりますが、肛門性交や口腔性交については、性交と同等の悪質性、重大性が認められると考えられること、性交等の被害によって身体的、精神的に重大な苦痛を受けることには性差がないと考えられることから、強制性交等罪には肛門性交、口腔性交も含むこととした上、行為者及び被害者の性別も問わないことといたしました。
 また、強姦罪の法定刑に対する近時のさまざまな御意見や量刑の実情等を踏まえ、強姦罪の法定刑の下限を懲役五年に引き上げることといたしました。
 次に、被害者心理に関する調査研究の推進及び研修の充実についてお尋ねがありました。
 強姦罪における暴行または脅迫の程度は、判例上、反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されておりますが、その認定に当たっては、被害者の心理状態を適切に考慮することが重要であるとの指摘があります。
 被害者心理に関する調査研究を推進するとともに、それらの専門的知見をも踏まえた研修等を実施することは、被害者の心理状態等についてさらに理解を深めるために有用であると考えており、その充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、監護者性交等罪を創設する趣旨と捜査における年少の被害者への配慮についてお尋ねがありました。
 監護者性交等罪は、監護者が十八歳未満の者に対して、暴行や脅迫を用いることなく性交等を繰り返す事案があるという実態に即した対処をするため、暴行、脅迫を要件とせず、監護者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした場合に、強制性交等罪と同様に処罰するために設けるものであります。
 被害者が児童である場合における配慮については、例えば、事情聴取に際しまして、児童相談所、警察及び検察の三者の間において協議をし、いずれかが代表して聴取を行って、被害児童の負担を軽減するなどしておる次第であります。監護者性交等罪の被害者につきましても、このような取り組みがより一層推進されるものと考えております。
 最後に、性犯罪の非親告罪化後における被害者のプライバシーや心情への配慮についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、性犯罪につきましては、事件の内容等が公になることを望まない被害者もおられることなどから、事件の処分等に当たって、被害者のプライバシーや心情に配慮することなどが重要であるものと認識をいたしております。
 検察当局においては、これまでも被害者の意思を丁寧に確認するなどしてきたものと承知しておりますが、性犯罪が非親告罪化された後においても、今回の改正の趣旨を踏まえ、一層の配慮に努めることになるものと考えております。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣加藤勝信君) 國重議員より、性犯罪、性暴力被害の実態調査における調査対象や調査項目の充実についてお尋ねがございました。
 性犯罪や性暴力は、性別を問わず、人権を著しく踏みにじるものであり、決して許される行為ではありません。
 ただいま御指摘のありました男女間における暴力に関する調査については、本年度実施をすることとしておりますが、その実施に当たっては、本改正案の趣旨も踏まえ、調査対象や調査項目について所要の見直しを行うこととしております。
 今後とも、性犯罪、性暴力被害の実態把握に努めるとともに、被害者支援の充実に取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣松本純君) 女性のみならず、男性や性的マイノリティーを含めた性犯罪被害のより正確な把握についてのお尋ねがありました。
 犯罪被害者等施策は、犯罪被害者等が置かれている状況や必要としている支援等、その実態を踏まえて推進することが重要であると認識しております。
 昨年四月に策定され、平成三十二年度末までを計画期間とする第三次犯罪被害者等基本計画においても、犯罪被害者等の状況把握等のための調査実施に向けた検討が盛り込まれております。
 性別を問わず、性犯罪被害は潜在化しやすく、調査対象者の抽出に工夫を要するとともに、調査の実施に当たっては、被害者の心情等に十分配慮する必要があるなど、今後検討すべき課題があるものの、引き続き正確な犯罪被害者の実態把握に努め、その結果を踏まえ、関係省庁と連携し、適切な犯罪被害者等施策の推進に努めてまいります。(拍手)
    ―――――――――――――

○議長(大島理森君) 池内さおり君。
    〔池内さおり君登壇〕

○池内さおり君 私は、日本共産党を代表して、強姦罪の構成要件及び法定刑を改めて強制性交等罪とするなどの刑法改正案について質問をいたします。(拍手)
 まず、日本の性犯罪の現状についてです。
 性暴力は魂の殺人と言われています。被害者の心身、生活全般に長期の深刻な打撃を与え、PTSDをも発症させます。
 しかし、被害申告できる人はごくわずかで、二〇一四年の内閣府調査で、異性から無理やり性交された経験のある女性のうち、警察への相談は四%にすぎません。被害者数は、実に推計年間十六万人に上りながら、警察に届けられるのは数%、検挙、起訴されて有罪が言い渡される加害者は五百人にとどまっています。重大なことは、圧倒的多数の被害が見えなくさせられていることです。
 先日、検察審査会に申し立てた詩織さんは、レイプの被害に遭ったことで、性犯罪の被害者を取り巻く法的、社会的状況が、被害者にとってどれほど不利に働くものか痛感したと述べています。告訴をし、逮捕状が出ていたにもかかわらず、加害者は逮捕もされず、不起訴とされたというのです。大多数の加害者が野放しにされています。この現実をどう認識していますか。関係大臣の答弁を求めます。
 現行刑法は、百十年前、家父長制のもとで、女性が無能力者とされていた時代に制定されました。強姦罪の保護法益は、性的秩序の維持や貞操の保護というものでした。この規定は今日まで抜本改正がないまま運用されてきました。戦後、個人の尊厳、男女平等を定めた日本国憲法のもと、保護法益は性的自由などとする解釈に変更されてきましたが、同じ条文で異なる保護法益を実現することは不可能なのです。
 現に、最も権威のある教科書とされた「注釈刑法」一九六五年版は、「些細な暴行・脅迫の前にたやすく屈する貞操の如きは本条によつて保護されるに値しない」としていました。こうした考え方が、今日でも、司法、捜査当局に大きな影響を与えているのではありませんか。
 今回の改正に当たり、保護法益を性的自由にとどめず、心身の完全性、人間の尊厳、人格そのものを脅かす性的暴行からの保護と、抜本的に改めるべきではないですか。
 国連は、女性に対する暴力を定義し、性に基づく一切の暴力を根絶する姿勢を明確にしました。さらに、ジェンダーバイアス、性差別に基づく偏見を取り除き、真に被害者の視点に立ち、各国は法改正をこの三十年間積み重ねてきたのです。我が国刑法が規範としてきたドイツでも、昨年、被害者の明示的な意思に反すれば、暴行、脅迫要件は不要、このような改正が行われました。各国の動向をどう認識していますか。
 我が国は、国連諸機関から、構成要件の見直し、夫婦間強姦規定の明示、十三歳以上とされている性交同意年齢の引き上げ等の勧告を繰り返し受けてきました。どのように受けとめ、実現するおつもりですか。
 被害を訴え出るまでには長い時間を要します。公訴時効の撤廃、あるいは未成年が成人するまで時効を停止するなど、欧米諸国や韓国並みの制度にするべきではありませんか。
 性暴力の根絶は、社会の意識変革なしにはあり得ません。ワンストップ支援センターを国連が求める二十万人に一カ所設置することは急務です。加害者への適正な処罰、刑務所内外での更生プログラムの制度化、警察、検察、裁判官へのジェンダー教育の抜本的強化を求めます。
 最後に、世界経済フォーラムが公表したジェンダーギャップ指数で、我が国は百四十四カ国中百十一位と極めて不名誉な位置にあります。個人の尊厳は、あらゆるセクシュアリティーを生きる人々に保障されなければなりません。今回の改正を第一歩に、さらなる改正を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣金田勝年君) 池内さおり議員にお答えを申し上げます。
 まず、性犯罪の被害者による被害申告等の状況についてお尋ねがありました。
 警察に認知されていない性犯罪の件数については把握することが困難でありますが、性犯罪は特に被害が潜在化しやすい犯罪であると認識をしております。
 性犯罪の加害者に対し適正な刑事処分を行うことは重要であり、被害者のプライバシーの保護や心情への配慮を徹底することなどを含め、被害が潜在化しないよう取り組みを進めることが重要であると考えております。
 次に、検察当局による性犯罪事件の処理に関するお尋ねがありました。
 個別事件における捜査の具体的内容についてはお答えを差し控えますが、一般論として申し上げれば、検察当局は、事件の処理に際しましては、所要の捜査を遂げた上、法と証拠に基づいて適正に対処しているものと承知をいたしております。
 次に、強姦罪の保護法益と条文の位置のあり方等についてお尋ねがありました。
 強姦罪等の性犯罪の保護法益については、現在、一般に、性的自由または性的自己決定権と解されており、刑事事件の実務もそのような解釈に基づいて運用されており、保護法益に関するかつての考え方が強姦罪の解釈に影響しているものではないと認識をいたしております。
 また、刑法典は必ずしも保護法益ごとに章立てされているものではないこと等から、現時点で、強姦罪等の条文の位置を変更する必要はないものと考えております。
 さらに、強制性交等罪などの性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害するものであると認識しておりますが、刑法上の罪の保護法益は、一定程度具体化された利益として把握されているものと考えられます。そして、被害者の人格や尊厳を侵す犯罪は性犯罪に限られないことからも、人格や尊厳を性犯罪の保護法益とするのは抽象的に過ぎると考えられるわけであります。
 次に、諸外国における性犯罪の罰則の改正の動向に関するお尋ねがありました。
 諸外国の法制度を網羅的に把握しているものではありませんが、例えば、ドイツでは、昨年、暴行、脅迫がなくても、被害者の認識可能な意思に反して性的行為を行うなどした場合には処罰を可能とする規定が新設されたものと承知をしております。
 もっとも、我が国においても、被害者の拒絶の意思が認識可能なほどにあらわれている状況で性交等に及んだ場合には、その過程での行為が暴行または脅迫と認められるものと考えられますので、ドイツのような法改正が我が国においても有効であるかについては、その運用の実情を見る必要があるものと考えております。
 今後も、諸外国の法改正の動向については、適切に把握してまいりたいと考えております。
 次に、強姦罪の構成要件の見直し等に関する国際機関からの指摘に関するお尋ねがありました。
 今回の改正案は、国際機関からのさまざまな指摘をも考慮したものであり、例えば、強姦罪の構成要件の見直し、性犯罪の非親告罪化等については、国際機関からの指摘に沿ったものとなっております。
 また、国際機関からの指摘があった事項のうち、今回の改正案に取り入れていないものもありますが、立案の過程におきましては、それらの指摘も十分に考慮し、検討の対象としたものと認識をしております。
 次に、性犯罪の公訴時効の撤廃や停止についてお尋ねがありました。
 時の経過による証拠の散逸等に基づく法的安定の要請と犯人処罰の要請の調和という公訴時効制度の趣旨に鑑みますと、性犯罪についてのみ公訴時効を撤廃し、または未成年の被害者の事件についてのみ公訴時効を停止することについては、慎重な検討を要するものと考えます。
 最後に、性暴力の根絶に向けた取り組みなどについてお尋ねがありました。
 性犯罪の根絶に向けた各種の取り組みを推進していくことは重要であると考えております。
 法務省としても、性犯罪者の再犯を防止するため、刑事施設及び保護観察所において、性犯罪を行った者に対する処遇プログラムを実施しているところであり、今後ともプログラムの着実な実施に努めてまいります。
 さらに、検察官等が性犯罪の捜査や公判を適切に行うための教育や研修等も重要であり、その充実に引き続き取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣加藤勝信君) 池内議員より、性暴力の被害者の相談の現状に関する認識についてお尋ねがございました。
 性犯罪や性暴力は、人権を著しく踏みにじる、決して許されない行為であります。
 内閣府の調査では、異性から無理やりに性交された被害経験のある女性のうち約七割は誰にも相談しておらず、その心理的な状況から、相談できずに一人で抱え込んでいる、そうした状況にあると認識しております。
 政府では、第四次男女共同参画基本計画に基づき、被害を訴えることをちゅうちょせずに必要な相談を受けられるような相談体制の整備や、被害者の心身回復のための被害直後及び中長期の支援が受けられる体制整備などに取り組んでいるところであり、引き続き、関係省庁とも連携して、適切に対応してまいります。
 また、ワンストップ支援センターの早期設置などについてお尋ねがありました。
 政府では、現在、性犯罪や性暴力の被害者に対し、心身の負担を軽減するため、第四次男女共同参画基本計画に基づき、被害直後から相談を受け、医療的な支援、心理的な支援などを可能な限り一カ所で提供するワンストップ支援センターの設置を促進しております。
 今年度予算において、性犯罪・性暴力被害者支援交付金を新たに設けたところであり、この交付金を活用し、全都道府県でのワンストップ支援センターの早期設置とその安定的な運営を図るとともに、関係機関との連携の強化など、今後とも引き続き、地域の実情に応じた被害者支援の充実に取り組んでまいります。(拍手)
    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣松本純君) 性犯罪の被害を届け出ることができない方々が多くいる現実についてお尋ねがありました。
 性犯罪の被害者は、精神的なダメージなどから被害申告をためらう場合も多く、性犯罪は特に被害が潜在化しやすい犯罪であります。
 警察においては、被害が潜在化しないよう、警察本部や警察署の性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置促進、性犯罪被害者に対する相談体制の充実などを進めており、引き続きこれらの取り組みを推進するよう警察を指導してまいります。
 次に、性犯罪の加害者に関する認識についてお尋ねがありました。
 性犯罪を犯した者は、再び類似の事件を起こす傾向が強いことなどから、犯行を抑止するため、迅速に捜査を進めることが重要であります。
 性犯罪の捜査に当たっては、大きな精神的ダメージを受けている被害者の心情に寄り添い、被害者の負担をできる限り小さくするよう心がけながら、必要な証拠の収集、確保に向け、迅速かつ適正な捜査を推進するよう、引き続き警察を指導してまいります。
 警察官へのジェンダー教育について御質問がありました。
 警察では、性犯罪捜査における被害者への対応を初めとするさまざまな活動において、人権に配慮した適切な対応をとることが求められております。
 このため、警察では、警察学校や職場での教育など、さまざまな機会を捉えて、人権に配慮した活動についての教育を行っているところであり、今後とも推進してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――

○議長(大島理森君) 木下智彦君。
    〔木下智彦君登壇〕

木下智彦君 日本維新の会木下智彦です。
 ただいま議題となりました刑法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 我が党は、政治理念として、自立する個人、自立する地域、自立する国家の実現を掲げており、個人がお互いに自立した存在として尊重し合い、お互いの人格を尊厳あるものとして認め合う社会が必要であると認識しております。
 本法案が抑止しようとする性犯罪は、人間の尊厳を無視し、個人の自己決定権をじゅうりんし、被害者の心身に深い傷を負わせるものであります。さきに述べた理念からいって、性犯罪は最も忌まわしい犯罪の一つであり、社会からの根絶を目指すべきものであると考えております。
 本法案により、性犯罪が厳罰化される方向で刑法が抜本的に改正されることは高く評価いたします。
 過去には、強姦罪の構成要件として男性器の女性器への挿入であることを逆手にとり、より量刑の軽い強制わいせつ罪等に当たることを認識して肛門性交のみを行う連続犯が存在するなどした中、その構成要件と法定刑を見直したこと、従来の強姦罪非親告罪にしたこと、監護者について犯罪を新設したこと等、本法案の基本的な方向性についてはおおむね妥当なものと考えております。
 その上で、幾つか質問させていただきます。
 まず、強姦罪等における暴行、脅迫という要件についてです。
 現行法の判例では、強姦罪等が成立するためには、被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行、脅迫が必要となっております。この点につき、要件として厳し過ぎるのではないかと指摘もありますが、本法案では文言上の変更はありません。
 法務大臣にお伺いいたします。
 本法案の強制性交等罪の「暴行又は脅迫」という文言の解釈は、現行法の強姦罪と強制わいせつ罪における「暴行又は脅迫」の解釈と同じく、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものに限られるのでしょうか。もしそうならば、要件として範囲が限定的で、犯罪の抑止と被害者保護に欠けるところはないでしょうか。被害者の同意の有無が重要と考えるのであれば、より軽度の暴行、脅迫の場合等にも強制性交等罪を認めるべき場合があるのではないでしょうか。
 同様に、本法案での準強制わいせつ罪、準強制性交等罪の要件が、現行法と同じく、心神喪失もしくは抗拒不能に乗ずること、またはその状態にさせることとなっております。
 法務大臣にお伺いします。
 この要件も、同意のない性的接触を防ぐという目的からすれば、狭過ぎるのではないでしょうか。心神耗弱もしくは抗拒困難に乗ずるといった要件にすることも検討するべきではないでしょうか。
 従来、強姦罪の前提として、男性が女性に対する行為を対象としていたが、性交の行為自体を主体的に行った者を処罰の対象とすることで、男女の区別なく加害者、被害者にもなり得る改正案は、犯罪の多様性に対応するものとして評価できます。しかし、女性に対する行為を女性が行った場合は、性器の挿入行為自体が不可能な中、器具、手指などによる挿入行為があっても、当該罪の対象行為とはならない。
 さらに、男児に対する性的虐待についての精神的影響は比較的に高いとの研究結果もある中、性的虐待は魂の殺人と言われる極めて卑劣な犯罪と認識されているのであれば、十三歳未満の子供に、医療用目的等以外での器具、手指などを使用した挿入行為も、被害者が男児、女児にかかわらず、当該罪の対象とするべきではないでしょうか。子供たちに対する卑劣な行為としてさまざまな態様が考えられる中、当該処罰行為の範囲を広げることが必要なのではないでしょうか。法務大臣の見解をお聞かせください。
 最後に、今回の法改正では刑罰の対象とならなかった行為によって、同意のない性的接触で心身の深い傷を負った人につき、できるだけ性的犯罪被害者と同様のサポートをすべきと考えますが、国家公安委員長の御認識をお伺いいたします。
 我が党は、個人の自立を訴える政党として、個人の人格をお互いに尊重し合える社会や法制度の実現を目指してまいります。
 以上、ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣金田勝年君登壇〕

国務大臣金田勝年君) 木下智彦議員にお答えを申し上げます。
 まず、強制性交等罪における暴行または脅迫の程度についてお尋ねがありました。
 強姦罪における暴行または脅迫の程度は、判例上、反抗を著しく困難ならしめる程度のものであれば足りると解されております。具体的には、被害者の年齢、精神状態のほか、行為の場所の状況、時間等諸般の事情を考慮して、事案に即した適切な判断がなされているものと考えております。
 御指摘のように、より軽度な暴行等が用いられた場合にも強制性交等罪が成立すると考えることについては、暴行または脅迫が要件とされている趣旨をも踏まえ、慎重な検討が必要であると考えております。
 次に、準強制性交等罪の成立範囲を拡張することについてお尋ねがありました。
 裁判例によれば、心神喪失に該当しない場合であっても、当該具体的な事情のもとにおいて、物理的、身体的あるいは心理的に抵抗できないか、または抵抗することが著しく困難な状態であれば抗拒不能に当たると解されており、これには、被害者を欺く行為により錯誤に陥れて抵抗することが著しく困難な心理状態にすることなどを含むとされております。
 御指摘が、このような抗拒不能に該当しない場合も処罰することを意図するものであれば、その適否については慎重な検討が必要であると考えられます。
 最後に、年少の被害者に対する強制性交等罪の処罰対象となる行為についてお尋ねがありました。
 今回の改正案におきましては、濃厚な身体的接触を伴う性交渉を強いられる、膣内、肛門内または口腔内に陰茎を入れる行為を強制性交等罪の対象としました。
 御指摘の異物等を膣または肛門に入れる行為については、異物にもさまざまなものがあり、その被害の重大性が一律に性交と同等とまでは言いがたいことから、強制性交等罪の処罰対象とはしておりません。この点は、被害者が十三歳未満の者であっても同様であると考えております。
 なお、御指摘の行為に対しましては、強制わいせつ罪等により、事案の実態に即した対処がなされるべきであると考えられます。(拍手)
    〔国務大臣松本純君登壇〕

国務大臣松本純君) 今回の改正では刑罰の対象とならない、同意のない性的接触で心身に深い傷を負った方へのサポートについてお尋ねがありました。
 警察では、御相談があった場合には、まずはよくお話を伺い、その上で、仮にお尋ねのような犯罪の被害に当たらないと認められる場合であっても、相談者の心情や事案の内容に応じ、適切な機関、団体等を紹介するなどしています。
 今後とも、心身に深い傷を負った方に対しては、そのお気持ちに配慮して対応するよう警察を指導してまいります。(拍手)

○議長(大島理森君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――

○議長(大島理森君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
       総務大臣    高市 早苗君
       法務大臣    金田 勝年君
       文部科学大臣  松野 博一君
       国務大臣    加藤 勝信君
       国務大臣    菅  義偉君
       国務大臣    松本  純君
 出席副大臣
       法務副大臣   盛山 正仁君



・・・・・・・・・・・・


[001/003] 193 - 衆 - 本会議 - 32号
平成29年06月08日
鈴木淳司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするため、強姦罪の構成要件及び法定刑を改めて強制性交等罪とするとともに、監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設するなどの処罰規定の整備を行い、あわせて、強姦罪等を親告罪とする規定を削除しようとするものであります。
 本案は、去る六月二日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、六日金田法務大臣から提案理由の説明を聴取しました。
 翌七日、質疑を行い、質疑を終局したところ、本案に対し、自由民主党無所属の会民進党・無所属クラブ、公明党日本共産党及び日本維新の会の共同提案により、政府において、この法律の施行後三年を目途として、性犯罪における被害の実情、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の検討規定の追加を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。
 次いで、採決した結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――

刑法の一部を改正する法律案の公布日はH29.6.23で、施行日はH29.7.13

刑法の一部を改正する法律案の公布日はH29.6.23で、施行日はH29.7.13
 法曹時報の註釈はいつか?

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00140.html
刑法の一部を改正する法律案
(※平成29年6月8日衆議院において修正議決)
可決成立日  平成29年6月16日
公布日  平成29年6月23日(法律第72号)
官報掲載日  平成29年6月23日(号外第134号)
施行日  平成29年7月13日

鹿児島県青少年保護育成条例(淫行)につき「18歳未満とは知らなかった」と弁解している事例

 鹿児島県青少年保護育成条例(淫行)につき「18歳未満とは知らなかった」と弁解している事例
 条例上は過失犯でも処罰されるですが、過失だと起訴猶予になることが多いので、そこは頑張って欲しいところです。

鹿児島県青少年保護育成条例の解説H19
(いん行等の禁止)
第22
1条何人も, 青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も, 青少年に対して前項の行為を教え, 又は見せてはならない。
解説】
1 13歳以上の者に対する姦いん,わいせつ行為については,暴行,脅迫を伴わない限り現行法上何らの規制もなく,青少年の保護育成上の盲点となっており,精神的,肉体的に未成熟で感受性が強く,思慮分別の未熟な青少年に対し,いん行若しくはわいせつ行為をし,又はこれらの行為を教えたり,見せたりすることを契機として青少年が堕落し,売春等の一層深刻な事態に発展するケースが多い。
本条は,このような行為から青少年を保護し,希望ある青少年の人生を踏みにじる反社会的,反倫理的な行為を防止してその健全な育成を図るとともに,行為者の社会的責任を追及しよう
とするものである。
2 「いん行」とは, 「みだらな性行為」と同義であり,健全な常識ある一般社会人からみて不純とされる性行為をいう。すなわち,青少年の判断の未熟,情緒の不安定等に乗じ,誘惑,欺問,立場利用等をもってその青少年との結婚を前提とせずに,単に自分の欲望を満たすための性行為又は性交類似行為をいう。
3 「わいせつ行為」とは,いたずらに性欲を刺激し,又は興奮させ,露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し,性的に選恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道徳観念に反する行為をいい,刑法の「わいせつ」と同意義である。
・・・・
第28条
1次の各号のいずれかに該当する者は, 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第22条第1項の規定に違反した者

6 第22条,第23条又は第24条の規定に違反した者は,青少年の年齢を知らないことを理由として,第1項から第3項までの規定による処罰を免れることができない。ただし,当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは,この限りでない。
解説
1 本条は,この条例jの規定に違反した者に対する罰則を定めたものである。
2 第6項は,第22条,第23条及び第24条の各規定の違反行為者が,青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れることができない旨を定めたもので,相手方が青少年であるか杏かの確認を義務付けたものである。
同項ただし書きは,単に青少年に年齢,生年月日等を尋ねただけ,あるいは身体の外観的発育状況等からの判断のみによって信じただけでは足らず,自動車運転免許証,住民票等公信力のある書面,あるいは保護者等に宣接問い合わせる等客観的に通常可能とされるあらゆる方法を用いて精査して確認している場合等をいう。

http://www.nkt-tv.co.jp/sp-news/news8729213.html
鹿大生 女子高生にみだらな行為容疑で逮捕
鹿児島県
SNSで知り合った女子高校生にみだらな行為をしたとして、鹿児島大学に通う21歳の男子学生が県青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕された。男子学生は「18歳未満とは知らなかった」と容疑を一部、否認しているという。逮捕されたのは鹿児島大学の学生容疑者21歳だ。警察によると容疑者は去年7月、SNSで知り合った県内の女子高校生に対し、2度に渡り、18歳未満と知りながらみだらな行為をした疑いだ。2度目の犯行の翌日、女子高校生の母親が警察署に相談し、事件が発覚した。警察の調べに対し容疑者は「18歳未満とは知らなかった」と容疑を一部否認しているという。警察は容疑者のスマートフォンタブレット端末など合わせて7点を押収し、容疑の裏付けを進めている。学生の逮捕を受け、鹿児島大学は「逮捕の連絡は受けたが、事実関係を確認できていないのでコメントできない」としている。
[ 6/19 19:33 KYT鹿児島読売テレビ]

罪となるべき事実に「精液」を含む性犯罪の罪名

 強制わいせつ罪 暴行罪 器物損壊罪と 罪名が分かれることに注意

 トイレ貸してと上がり込んで パンツ脱がせる 精液をかけるなど強制わいせつ
 空き地に誘い込んで 陰部なめる 精液かける強制わいせつ
 誘い込んで 陰部なめる 自慰して精液を陰部に塗りつける
 誘い込んで 陰部なめる 射精して精液をかける
 陰茎露出して、暴行脅迫して しゃがませて顔面で自慰して、顔面に精液を掛けた 強制わいせつ
 車内で、抱きついて、着衣の上から胸をもむ 自慰して同女に射精して着衣に精液を付着させるなどの強制わいせつ
 自己の精液をなげかけて性的興奮満たそうと企て あらかじめセロファンに知れて持ち歩いていた自己の精液をいきなり被害者らの顔面に向けてなげつけて命中させもって強制わいせつ罪
 陰茎露出して手淫して 同女のジャージに射精して精液を付着させ 公然わいせつ+器物損壊
 路上で背後から乳房もむわしづかみにしてさらに追尾して、路上で停車させ 同所で自慰行為に及んで射精し、同女の上腕部付近に精液を塗りつけた 強制わいせつ罪 

 わいせつしようと手拳で殴打するようなしぐさで 脅迫し、唇に精液かける 強制わいせつ罪"
 舗道上 通行中あらかじめ瓶にいれて所持していた自己の精液を同女の顔面になげつけ命中させ もって、強制わいせつ罪
 路上 後方から陰茎露出したまま近づき 驚愕でしゃがみこんだ同女に脅迫して陰茎を手淫しながら同女の顔面に無理矢理近づける暴行を加え 同女に射精して頭髪や顔面に精液を付着させ もって強制わいせつ罪
 玄関先に 自己の精液を付着させたパンティ2枚を放置して 同女に対して著しい不安迷惑を覚えさせるような方法で 著しく不快嫌悪を催させる物をその知りうる状態に置くことを反復した 県迷惑条例
 ベランダに干してあったタンクトップに自己の精液を付着させ 器物損壊
 室内で就寝中の抗拒不能に乗じて 下着姿の同女をみながら自慰行為して身体に向けて射精し身体に精液をかけ 準強制わいせつ罪
 包丁で脅迫して 着衣の中に手を差し入れ乳房もむ陰部弄ぶ 陰茎露出して身体に向けて射精して着衣に精液を付着させ強制わいせつ罪
 路上 パンツ脱がせて陰茎を陰部にこすりつけ 射精して陰部に精液付着させ 強制わいせつ罪(176条後段)
 路上 背後から追いかけながら陰茎露出し 手淫して精液を臀部にかけた上 背後から抱きつき両乳房もむ 強制わいせつ罪
 女性に陰茎露出し 手淫し、左頸部に精液かけ 暴行罪
 路上 女性 背後から陰茎露出し手淫して 背中に精液かける暴行罪
 面前で陰茎露出し手淫して姿態を見せつけた上 精液出してる5分待ってともうしむけ 同女に向けて射精し 強制わいせつ罪(176条後段)"
 13歳未満の者と知りながら同女の背部から身体にむけて陰茎露出したうえ同女に向けて射精して、精液を着衣に付着させもって、強制わいせつ罪(176条後段)するとともに、不特定又は多数の者が存在する店内において公然わいせつ行為をした
 列車内 制服スカート3000円相当に向けて射精し、精液を付着させて使用不能にして、器物損壊罪

 熟睡抗拒不能に乗じて 自慰行為して、射精した精液を同女の左足にかけた 準強制わいせつ罪
 背後から着用していたtシャツに向けて射精して精液付着させ 器物損壊
路上、陰茎露出して近づき 驚愕でしゃがみ込んだ同女に 脅迫して陰茎を手淫しながら顔面に無理矢理近づける暴行を加えて 同女に向けて射精して、頭髪や顔面に精液を付着させ もって強制わいせつ罪
 語気強くフェラしろと申し向け口淫 ケータイで撮影 乳房露出 精液のませる 強制わいせつ罪
 背後から体を壁面に押しつけて 予めだしていた陰茎を臀部に押し当て自慰行為して同女に射精して コートに精液かけ もって 強制わいせつ罪+器物損壊
 暴行して 露出した陰茎を顔面に近づけて口淫させようとした上 顔面で自慰行為して 顔面に向けて射精して 左手指先に精液を付着させ 強制わいせつ罪

 電車内 混雑で身動き取れないAに背後から密着させ 陰茎を着衣の上から臀部に押しつけて 射精して 精液をスカートにかけ 使用不能としてもって、強制わいせつ罪+器物損壊
 ベンチに着席している女性に接近して いきなり面前で露出した陰茎を手淫して即座に同人にむけて射精して 頭髪等に精液をかけ もって、強制わいせつ罪+公然わいせつ罪

 侵入して熟睡で抗拒不能に乗じて 顔面に精液かける 準強制わいせつ罪
 自慰行為しながら衣服の上・直接 乳房もむ 同女めがけて射精して首筋に精液かけ 強制わいせつ
 歩行中女性 背後から引っ張る暴行して 同人に向けて射精して Tシャツに自己の精液をかけて 汚損して 強制わいせつ罪(176条+器物損壊

 路上 カッターナイフ示し 階段に連行して反抗抑圧して 左手をつかんで引っ張り 露出させた陰茎に触れさせようとした上 自己の自慰行為をみせつけ 同女の靴下に射精して精液を付着させるなどして強制わいせつ罪
 走行中電車内正面からパンティ内に手を差し入れ陰部弄ぶ シャツの中に差し入れて乳房もむ 陰茎露出させて下腹部に押しつけた上 射精して同人に精液かける 強制わいせつ罪

 列車内 熟睡抗拒不能に乗じて 自慰行為して同女の身体に向けて射精して ジャンパースカートに精液かけ 強制わいせつ罪
 公園ベンチで携帯電話で通話中 自慰行為しながら近づき だきつき 身体に向けて射精して精液を同女の着衣に付着させ もって強制わいせつ罪