児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「本罪におけるわいせつ概念を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と理解し、さらに、判例のように、社会通念に照らして客観的に「性的意味」や「その性的な意味合いの強さ」を判断するとした場合であっても、その具体的な判断方法が問われざるをえない」  嘉門優「法益論」 

 定義ではなくて、要素で説明を試みる感じ。
 精液掛けるとか、児童に撮影送信させるとかはどうでしょうか?

第四章 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について…252
第一節 問題の所在
第二節 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について
1 わいせつ概念(253)
2 重大な性的侵襄性(254)
3 暴行・脅迫要件との関係(255)
第三節 わいせつ行為の類型化
第四節 わいせつ行為の判断基準
1 性的部位への接触型(260)
2非性的部位への接触型(261)
3被害者に触らせる行為(263)
4非接触型(264)
第五節 おわりに
・・・
2 重大な性的侵襄性
しかし、現在、以上のような伝統的な定義は放棄されるべきだといわれている276。なぜなら、「性欲を刺激・興奮させ」や「性的蓋恥心を害する」という表現は、幼児など性的蓋恥心・判断力を持たない者に対する保護が及ばないかのような誤った印象を与えるからだというのである277。そのため、わいせつな行為を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と定義すべきだと主張されている278.以上の批判に加えて、前述のとおり、最高裁判例変更を行い、性的意図は不要だとし、わいせつ行為の判断について、「社会通念に照らし、その行為に性的な意味があるといえるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断」すべきだとした(最大判平成29年11月29日刑集71巻9号467頁)。このようにわいせつ概念の変更の要請が現在非常に高まっているといいうる。
ただし、仮に、本罪におけるわいせつ概念を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と理解し、さらに、判例のように、社会通念に照らして客観的に「性的意味」や「その性的な意味合いの強さ」を判断するとした場合であっても、その具体的な判断方法が問われざるをえない。学説上、判断に当たっては、
( i )関係する部位、
( ii )接触の有無・方法、
(iii)継続性、
(iv)強度、
(v)性的意図、
(vi)その他の状況
が、総合的に考慮されなければならないといわれている279.本稿もこの結論に同意するものであるが、なぜこれらの要素が考慮対象とされるべきなのか、さらには、それぞれの要素が性的侵襲の「重大性」判断にどうかかわるのかという点についてさらに検討する必要があると思われる。
この検討に当たって、保護法益や性的侵害の内実について抽象論を繰り広げても、望ましい解答がえられるとは考えにくい。そこで、強制わいせつ罪については多くの裁判例がこれまで集積されてきていることから、次節において、本罪が認められた裁判例をその行為態様ごとに類型化し、その性的侵害の内実を分析するという手法を採用することとしたい。