児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

虚偽広告の罪(軽犯罪法1条34号)

 虚偽広告罪の時効はどこから起算したんでしょう?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130208-00000505-san-soci
このペニーオークションサイトは、高値を自動で更新するプログラムが組み込まれるなどして、実際には落札できない仕組みになっていた。しかし、ほしのさんらがこうした事実を知らなかったことなどから、詐欺容疑などには当たらないと判断した。

 また、消費者に誤解を与える虚偽の説明をしたとして軽犯罪法の適用も検討したが、同法の時効(1年)が成立しており、立件を見送る方針を固めた。

軽犯罪法
第1条〔軽犯罪〕
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
三十四 公衆に対して物を販売し、若しくは頒布し、又は役務を提供するにあたり、人を欺き、又は誤解させるような事実を挙げて広告をした者

伊藤栄樹 軽犯罪法三訂版P264
公衆に対して物を販売し、もしくは頒布し、または役務を提供するにあたり、人を欺き、または誤解させるような事実を挙げて広告をした者が処罰の対象である。
本号は、誇大広告、虚偽広告等の多数の人をだますこととなりやすい行為を禁止することとしたものであり、それが物の販売ないし有償による役務の提供にあたって行われる場合についてみれば、いわば詐欺罪の予備的行為を禁止しようとするものとみることもできる。警察犯処罰令第二条第六号(「新聞紙、雑誌其ノ他ノ方法ヲ以テ誇大又ハ虚偽ノ広告ヲ為シ不正ノ利ヲ図リタル者」)を受け継いでいる。
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「人を欺く」とは、他人を錯誤におとしいれ、虚偽の事実を真実と誤認させることを意味する。これに対し、「人を誤解させる」とは、当該行為によって他人が錯誤におちいること一般を意味する。
すなわち、前者においては、行為者に確定的な欺同の意思が存在するのに対し、後者においては、行為者に歎同の未必的な意思または過失があれば足りるものということができる。しかし、本号は、「人を欺く事実」、「人を誤解させる事実」と規定せずに、いずれについても、「ような事実」という字句を附加しているから、単純に前段は確定的犯意に基づくものであり、後段は未必的犯意に基づくものであるとする説(たとえば、大塚一二二ページ)には、賛成しがたい。「ような事実」に着眼しつつ、用語の意義を考えれば、「人を欺くような事実」とは、社会通念からいって、通常、人を錯誤におちいらせ、それが虚偽であるのに、真実と誤認させることとなるような事実であり、「人を誤解させるような事実」とは、社会通念からいって、通常の場合、他人が錯誤におちいるおそれのある事実であるということができる。このように考えると、前者は、通常、確定的犯意に基づいて行われることが多いと思われる類型のものであり、後者は、通常、未必的犯意に基づいて行われることが多い類型のものであるということはできようが、結局、いずれにしても、客観的にみて、他人が錯誤におもいりやすい事実を指すことに帰するから、いずれか一方は蛇足であり、ただ、語感のうえから二つを並べたにすぎないものと解さざるを得ない。
また、「ような事実」とある以上、本号が成立するためには、当該事実が、社会通念上、他人が錯誤におちいりやすい事実であり、かっ、行為者に当該事実自体についての認識があれば足り、行為者が人を歎同し、または誤解させる意図を有したことは必要でないものと解すべきである。
「事実を挙げる」ことが必要であるから、単なる意見を述べただけでは、本号は成立しない。たとえば、株式の販売にあたり、「甲会社は、本年秋復配することになった。」とするのは、事実を挙げ
たものといえるが、「甲会社は、本年秋復配すると思われる。」とするのは、意見を述べたにとどまり、事実を挙げたことにはあたらない。
なお、広告の細部に若干の虚偽もしくは誇張があったとしても、主要事項に虚偽もしくは誇張がなければ、おおむね「人を欺き、又は誤解させるような事実」を挙げたものとはいえない。けだし、広告に往々若干の誇張等があることは、通常人の知るところであり、社会通念上取引上のテクニックとして認容されているものとみることができるからである。