児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

医大生が逮捕されると医籍登録に影響します。

 こういう相談が多いのですが、医籍登録時に残っている前科は適法な前科照会によって完全に把握されますし、数年後に相談されても打つ手が無いので、微罪であっても、無理してでも、できるだけ軽い処分(できれば起訴猶予)にしておいてもらわないと困りますよという話です。

 前科があっても、医師法を見ると、退学にならずになんとか必要な単位を全部とれば、大学の国家試験は受験できます。
 医籍登録の際に前科照会があるので、隠れた前科も明らかになり、4条3号の制限を受けます。執行猶予付懲役であれば、猶予期間中は医籍登録に制限があり、罰金刑でも確定後5年は前科が残りますから制限があります。
 4月に一斉に卒業して医籍登録申請したものの、前科がある場合には数ヶ月遅れることになって、隠していた前科が周囲にバレてしまいます。
 前科消滅まで数年待って医籍登録するという手もあります。

医師法
第二条  医師になろうとする者は、医師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない。
第三条  未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。
第四条  次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一  心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二  麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三  罰金以上の刑に処せられた者
四  前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者
第五条  厚生労働省に医籍を備え、登録年月日、第七条第一項又は第二項の規定による処分に関する事項その他の医師免許に関する事項を登録する。
第六条  免許は、医師国家試験に合格した者の申請により、医籍に登録することによつて行う。
2  厚生労働大臣は、免許を与えたときは、医師免許証を交付する。

 どれくらいの期間保留されるのかについては、厚生労働省は行政文書を開示しませんが、医師の行政処分期間が参考になると思います。罰金前科でも医籍登録が2〜3ヶ月保留されるでしょう。
  公然わいせつ 罰金 医業停止3月
  公然わいせつ 罰金 医業停止3月
  公然わいせつ 執行猶予 医業停止6月
  公然わいせつ 罰金 医業停止3月
  公然わいせつ 罰金 医業停止3月
 
 ちなみに、弁護士が医学生の前科に対する対応を依頼された事例としては
  道交法違反 罰金15万 保留無し
  傷害    罰金50万 2ヶ月
というのがあります。
 医籍登録の時点で、思い出したように被害者と示談を試みたり、贖罪寄付したり、反省文を書いたりということになりますが、医籍登録の障害になることを見越して、それは刑事事件が確定するまでに済ましておいた方がいいのです。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130202-00000122-mailo-l06
公然わいせつ:山大生、容疑で逮捕 今年度、逮捕6人目 /山形
毎日新聞 2月2日(土)12時50分配信
 ◇今度は公然わいせつ容疑
 山形市内の路上で昨年12月に女性に下半身を見せたとして、山形署は1日、山形大医学部の男子学生を公然わいせつ容疑で逮捕した。山形大の学生の逮捕は昨年4月以降、6人目。前日には同大人文学部の4年生の男が窃盗容疑で逮捕されたばかりだった。
 今回公然わいせつ容疑で逮捕されたのは同市元木1、同大医学部4年。逮捕容疑は、昨年12月12日午後0時45分ごろ、同市小立1の路上で、駐車中の車の中にいた40代の女性会社員に対し下半身を見せたとしている。容疑者は「他にも十数件やった」と容疑を認めている。同署によると、容疑者は車の中にいた女性に「すいません」と声を掛け下半身を見せ、そのまま立ち去ったという。昨春ごろから現場近くで、複数件の同様の被害があり、目撃情報や防犯カメラの映像などから容疑者が浮上した。同署は余罪を追及する。
 ◇医学部長ら謝罪
 学生の逮捕を受け、山下英俊医学部長ら3人が1日午後7時から記者会見を開いた。山下医学部長は「非常に遺憾な事件の報告と社会的責任を果たすためのおわびの会見を開きました。この度は申し訳ありませんでした」と謝罪した。
 山下医学部長らは学生の処分について、「事実関係を調査したあとで処分を考えたい」とし、「事実であれば無期停学以上を検討する。スチューデント・ドクターに認定されていたが、事実であれば取り消しにする」と話した。
 また、医学部生全体に対し、「今後は授業の出席をより強化するなど学生としての基本を再確認する。さらに、教育体制についても考え直したい」と話した。
 結城章夫学長は「昨日に続き本学学生が逮捕されたことは誠に遺憾。今後事実関係を調査し、厳正に対処する」とのコメントを出した。【横田香奈】