非親告罪化したら、女性の権利保護になるという理由付けを捜しているのですが、女性に対する暴力に関する専門調査会でも「エビデンスが出てない」とか言ってますね。
弁護士なら常識だと思いますが、弁護人からみれば、被害者が居る事件なら、普通、非親告罪であっても示談試みますし、告訴が出ていれば「取り下げてくれませんか」ということになりますね。
第64 回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会
議 事 録
(開催要領)
1 日 時 平成24 年4月23 日(月)10:30〜12: 30
2 場 所 中央合同庁舎第4号館共用第1214 特別会議室○法務省 資料1の方を御覧いただいて、これは 53 回から 63 回までの意見ということですが、この関係で若干コメントさせていただきたいと思います。
1ページ目のところで、14 行目、アの①の上から2つ目の○を御覧いただきたいと思います。これは林委員からの御発言ということの記載でございます。具体的には、「逆に、制度がなければ、そういう弁護活動は不可能になるため、被害者が取消しの選択を迫られることはなくなり」という記載でございますが、これは、全体の文脈では委員の御発言の趣旨がより明らかかと思うのですけれども、これだけを見ますと若干誤解があり得るところかということでコメントさせていただきます。
告訴は、親告罪とされていない犯罪におきましても、当然ながら、広く一般に行われるということでございまして、例えば警察の平成 22 年の犯罪という統計によれば、詐欺罪の場合に、警察認知のうち 735 件が告訴によるものということで、もちろん、そういう事情にあるわけです。司法警察委員が告訴を受けたときは、速やかに検察官に送付しなければならないということでございますので、強姦罪等の性犯罪以外の犯罪においても告訴がなされた場合には、弁護人ないし加害者が当該告訴の取消しを目指して活動するということは当然に考えられるということになります。
非親告罪である、例えば強姦致傷の場合でありましても、不起訴となるように被害者に対して示談を求めるといった弁護活動は現になされている状況にございます。 委員の御指摘は、強姦罪等の性犯罪が親告罪であるといったことで、特にそういうことについての趣旨の御発言であるということですが、念のために申しまと、仮に強姦罪等の性犯罪が非親告罪化されたとしても、今のような状況から被害者が告訴を行うことはもちろん可能でございまして、それに対して告訴を取り消すことを目指す弁護活動がなくなるということでは必ずしもないかと考えております。
次に2点目でございますが、その2つ下の○の下の方の記載で、同じく林委員からのところで、「この問題について検討・対応していくことがこの調査会の役割である」といった記載がございます。ここのところで申し上げたいのは、もちろん、御案内のとおりであるのですが、当然、この専門調査会におきましても調査権限を行使する中でこういったことについて十分に御審議いただくことは重要と考えておりますが、仮に、御発言のうち、この記載の部分で検討・対応といったところの意味することが必ずしも明らかではないということでございまして、仮に刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議するといった内容を含むということでありますと、その部分は、法務省組織令におきまして法制審議会の事務とされているところと若干重なる部分があるということですので、その点については念のため確認させていただきたいということでございます。
3点目でございますが、このページの一番下から 10 行目、その一つ下の○になります。具体的な部分としては、「16 歳、17 歳は子どもであるから、子どもと結婚してはいけない、18 歳未満の婚姻は性的暴力であるとの見方が国際社会では有力」といったところでございます。これも言わずもがなの御指摘で大変恐縮ですが、例えば平成 20 年 12 月の国立国会図書館の調査等によりますと、親の同意など一定の要件を満たす場合に 18 歳未満の婚姻を認めている国として、例えばイギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシア、ニュージーランドなどが紹介されているところでございまして、少なくとも先進国では 18 歳未満の婚姻が直ちに性的暴力であるという見方が有力と言われるものではないのではないかと考えられるところでございます。
次に、4点目でございます。4ページを御覧いただきたいと思います。上から 14 行目、2つ目の○のところでございますが、「強姦致傷とか集団強姦と比べて強姦と強制わいせつだけが非親告罪として残っている合理的理由はあまりない」という記載で、これはもちろん、既にお気付きかと思うのですが、委員の御発言の趣旨から、ここのところは、非親告罪ではなく、親告罪ということで御発言なさったものと考えております。
最後に、5点目でございます。12 ページを御覧いただけますでしょうか。下から3行目のところでございます。「9名の裁判員と対峙することの」という記載、②の「被害者が証言する際に9名の裁判員と対峙することの心理的負担が大きい」という記載、これも委員の御発言の趣旨は、6名の裁判員と3名の裁判官といったことでおっしゃったものと考えているところでございます。
この関係では以上でございます。
併せて、もう一点、資料2の関係で、意見の整理、この中で、1の「性犯罪への厳正な対処等」の「強姦罪の見直しなど性犯罪に関する罰則の在り方の検討」という○の2つ目の、「論点の整理、性犯罪に対する」という括弧内の記載がございますが、ここの場面では、委員の皆様から様々な課題の御指摘をいただいているということがございますので、私どもとしては、論点の整理に加えまして課題の整理といったことも記載に加えていただければよろしいのではないかと考えているところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。
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○辻村会長 ありがとうございました。ただいまの問題は、どうしても親告罪か非親告罪かの問題が絡んできますので、法務省の方に移ってよろしいでしょうか。
ありがとうございました。では、法務省の御報告に対する質疑、これはいろいろメンションがあると思いますが、個別の資料1についてのコメントの前に、最初に法務省側から御提示さ
れました資料5−1、5−2の法務省側の報告についての質問の方を先にしたいと思いますが、何かございますか。
○森田委員 自分もかかわっている部分もあるのですけれども、5年たっての再犯者率とかである程度検証が進んでいるデータは出ているのでしょうか。
○法務省 現在、プログラムを実施した者の予後の状況の検証のデータをまとめているところでございまして、今後、その結果を分析して、また出していきたいと思いますが、今の時点でお示しできるものがございません。
○辻村会長 ありがとうございました。私も全くその同じ点を伺おうと思ったのですが、これはどういう形でまとめることが可能ですか。プライバシーの問題その他あると思いますが、抽象的な数字のような形でおまとめになる予定でしょうか。また、それは公開可能なものになっていくのでしょうか。
○法務省 再犯の状況の方で、プログラムを実施した者のデータとその後の再犯の状況のマッチングなどによって検証を行うといった考え方が基本でございます。ただ、その公表の在り方等については様々な問題がありますので、現段階で明確なお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○辻村会長 せっかくやっていただいたということであれば、これはしっかり検証していただいて、有効・適切に今後利用したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
番委員。
○番委員 私も、検証のこと、非常に気になるのですけれども、それ以前に、こういうプログラムは、非常に有効なプログラムと、そうでもないけれども、やらないよりやった方がいいプログラムとたしかあるはずなのですね。アメリカとかカナダでもやっていらっしゃると思う。性犯罪に対する加害者プログラムというのは非常に有効なのでしょうか。もうやっているところでかなりの成果を上げているとか。あるいは相当進んだ人には難しいけれども、一定の範囲内の方には有効だと言うのか。これは森田先生に伺った方がいいのかもしれませんけれども。
○法務省 また森田先生からも是非お願いしたいと思いますが、当然、先ほど申しましたように、専門家の方にもお加わりいただいた上で研究会を開催して、海外のエビデンスに基づいて最も有効と思われるものでプログラムを開発したわけですので、当然これが有効に機能しなければいけないと考えてはおります。ただ、申しましたように、実際にこういった形でプログラムの実施を始めてまだ5年余りでございますので、その効果を見た上で更に必要な強化策といったものを今後考えていきたいとは考えております。
○辻村会長 ありがとうございました。
○森田委員 難しい課題なのですけれども、海外のいろんなメタ分析とかを見る限りは、ランダマイズ・コントロール・スタディという、日本ではとてもできないと思いますけれども、やった国とやらない国をやるという、二重盲検でやっていたりすると、結局、やった方が効果あるという知見の方が多いということですけれども、再犯率をどのようにとるかということも非常に難しいのですが、例えばある期間で 20%再犯が 10%になるとか、もしくは5%が3%になるとかいうようなオーダーですね。もちろん、それだけでも十分ではないと思いますけれども、ある程度効果はある、けれども、全体に効果があるわけではない面もあるというところを、本当は本省の方、もう少し説明なさった方が変なバッシングに遭わないと思うのですけれども、だから、何でも効くという話でもないし、でも、やる意味はあると思っている結果だと思います。
○辻村会長 ありがとうございました。それでよろしいですか。何か補足されますか。
○法務省 御指摘のとおりだと思っております。
○辻村会長 ありがとうございました。ほかにございますか。
それでは、お待たせしました。先ほどの資料1に対する法務省からのコメントで、林委員の名前も出ておりましたので、よろしくお願いします。
○林委員 コメントありがとうございます。
初めに、若年婚と言われる 18 歳未満の子どもの婚姻についてでございますけれども、先ほど、国立国会図書館の統計ですと、ほかの先進国でも、16 歳、17 歳の婚姻はあるのだというお話でした。ほかの先進国のことをおっしゃるのであれば、夫婦別姓であるとか、婚外差別の撤廃であるとか、日本以外の先進国ではすべてもう実施されていることがなぜ日本でできないのかと
いうことを申し上げたいと思います。そしてまた、ほかの先進国に制度が残っているから正しい制度かということでもないと思います。
女性差別撤廃委員会では、18 歳未満の婚姻を許している国に対しては、すべてではありませんが、婚姻年齢を 18 歳にするようにという勧告を行っております。女性差別撤廃条約は、国連加盟国 193 か国のうち 187 か国が加盟し、その国際実施機関ですので、そこが出している勧告の内容を国際的に有力な意見というのは間違いではないと私は思いました。
また、この意見を事務局に送る際に、ジョイセフ、日本家族計画協会のニュースレターをファックスでお送りしておりますが、各国がODAを供与するに際して、一つの若年婚をなくすた
めのインセンティブとして、婚姻年齢が 18 歳以上の地域に優先的にODAを拠出するといった実践がなされておりますので、その意味でも、16 歳、17 歳の婚姻は望ましくないと考えられていること、また、ここの部会は女性に対する暴力についての調査会ですので、いわゆるジェンダーニュートラル、性中立的にある制度を見ていくということだけではなく、女性の人権の観点から、望ましくない制度、懸念される制度について発言していくことが必要だと私は考えております。
それから、告訴の制度でございますけれども、御指摘の趣旨はわかりますが、言うまでもないことながら、親告罪になっている事件と詐欺のような非親告罪とでは、告訴を取り消されるかどうかというのが死命を制するかどうかというのは決定的に違うわけですね。不起訴の理由の一つとして告訴が取り消されているからということになるにすぎないケースと、取り消しさえなれば公訴提起を 100%されないことが法律上保障されているということは、弁護人や被害者の代理人にとって重みが全く違います。
また、私がここで申し上げたかった趣旨の一つは、被害者が取り消しの選択を迫られることについての批判というのが、最近、被害者団体から強くなっておりまして、この調査会でも、角田由紀子弁護士の論考を読んでくださいとお願いしましたけれども、お金と引き換えに、公判請求されなくていいということの選択、本来、公訴なので、国家が決断しなければいけないことをなぜ被害者がそこで決断させられるのかという不条理に対する批判が出ていますので、
そういったことも考えていただきたいと思いました。
最後に、法制審議会で審議するべきことではないかというコメントもありましたけれども、それを言うのであれば、告訴の取り消し制度、非親告罪であるとか、あるいは親子間の性犯罪についての加重処罰であるとか、この資料1の意見の中で出されている極めて多くのことが、法制審議会で議論しないとここで議論してはいけないのかということになってしまいますので、
それはこの委員会の役割を低下させると思いますので、私としては同意できません。
○辻村会長 今、そのような反論といいますか、御指摘がありましたが、いかがでしょうか。
○法務省 私のコメントの仕方が舌足らずであったかもしれません。特に最初におっしゃっていた点、1点目の国際的に有力といったところは、また、2点目のそういった御趣旨での発言だということも踏まえた上で確認的に申し上げたところですので、今、林委員がおっしゃったようなお考えを何ら否定するというものではございません。
ただ、この記載を単独で見た場合に、1の点で言えば、各国の状況がどういったものであるかといったことを確認的に知っておいていただきたいということに加えて、もちろん、告訴のところでも、今おっしゃったような状態というのは違う部分があるわけですが、ここでは、「なくなり」というような記載がありましたので、それで完全になくなるといった趣旨でおっしゃったものではないのではないかといったことでコメントさせていただいたということでございます。
また、この調査会の場で、そもそもそういった御意見を皆さん方が御議論いただくということそのものに対して何らかのことを申し上げようという趣旨ではございませんので、ただ、法務省として法制審の所管のところを立場上確認させていただいたということですので、その趣旨をどうぞお酌み取りいただければと思います。
以上です。
○辻村会長 ありがとうございました。強姦罪の見直し、これは非親告罪の点も含めまして、この問題については、今日は主としては触れないということを最初おっしゃったかと思いましたけれども、一応ここでお触れくださいましたので、その限りで御議論をいただいたわけです。
ただ、以前に 12 月 15 日の調査会でこの問題については詳細に議論したところでございまして、そのときには、法務省の方の御説明は、親告罪としていることも含めて、現行法を擁護するといいますか、それに対する保護法益の問題なども含めまして、一つの立場というのを貫かれたと私は理解しております。
これについては、議論すればいろいろあるのですが、一言、むしろ教えてくださることがあればお願いいたします。例えば強姦罪について親告罪としていることがそのままでよろしいとか、あるいは保護法益については性的自由に変わってきたとか、この前 12 月 15 日に法務省の方が回答してくださいました。その際に、根拠が何なのでしょうかという点を、私からも少し質問したのですが、例えば、保護法益が性的自由に変わったと答えられたのですが、これはどこに書いてあるのですか。公式の政府見解のようななものをまとめた何かがあるのでしょうか。これはすべて法務省が考えておられる御意見についてもお伺いしたいなと思っていたのですけれども、何によって政府見解というものが、今この強姦罪について確定されているのか。判例は動きますから、判例によって見解も変わるということなのか、外国の事例も踏まえて検討しているとお答えになりましたから、それによってまた変わる、要するに法制審議会に行く前の法務省の見解というものが何を根拠にしているのかというのをちょっと教えてほしかったのです。法務省にこの 177 条の公式のコンメンタールみたいなのが何かあるのでしょうか。
○法務省 今の段階で、61 回で申し上げた趣旨というのは、強姦罪の保護法益について国会でお尋ねがあり、一般に個人の性的自由を保護法益としていると考えられている旨を答弁させていただいているということでございます。
○辻村会長 何年か前に、ですね。時の政府の見解だと考えていいですね。
○法務省 はい。
○辻村会長 それ以降、例えば政権交代があったり、政党によっていろいろ意見が変わると思いますけれども、それ以後変わったという事実もないということでしょうか。
○法務省 特に、その国会答弁以降、立場や考え方を変えたということではございません
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/gijiroku/bo65-g.pdf第
第 65 回 男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会
議 事 録
(開催要領)
1 日 時 平成 24 年6月4日(月)10:30〜12:30
2 場 所 永田町合同庁舎第一共用会議室
○辻村会長
よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。一つひとつ見ていきたいのですけれども、非親告罪化のところはこんな書きぶりでいいかというのは、またメールでも御意見をいただきたいのですが、下から9行目の「しかしながら」から非親告罪化しないとだめだということの理由がだっと書いてあるのです。親告罪であるために告訴の判断という過酷な負担が生じるということ、それから、加害者側の弁護士からの取下げ要求の対応を求められるとか、低年齢の場合には判断が難しいとか幾つか書いてあります。ここらについてのエビデンスが出てこないですね。以前に法務省の方が言われたのは、弁護士側から告訴取消し要求するのは、別にこういう事件に限らない、どういう場合でも要求するということはあり得るわけですから、特に強姦罪について非親告罪になっていることが問題だということの証明にはならないという反論もあったかと思いますけれども、こういうことについて、単にこういう意見があったというだけでは説得力に乏しいと思いますので、何か資料を挙げることは可能でしょうか。どうぞ。
○番委員
木村先生の発表のときか、告訴を要件とするもののうち軽微な類型犯罪と、それから名誉を守る類型があって、やはり言わなければ犯罪にならないということが、被害者が事件を言わない、潜在化してしまう一つの要因であり、プライバシーの問題やそれについての心配というのもあります。ですから、エビデンスと言われると非常に難しいのですけれども、それでも、非親告罪化とか性交同意年齢の引上げぐらいは、はっきりと結論を出したい。国際的な流れとかそういう問題も林先生に出していただければと思うのですが、そういうふうに思います。
○辻村会長
そうですね。ある程度方向づけを出したいということで共通認識は得られているのではないかと思いますけれども、それでもやはり書きぶりの説得力を増さないと、こういう意見であったというだけではなぜということになってしまいます。
○小木曽委員
そこで1つ懸念があるというのは、先ほど、番先生も後ろの方に書いてあることとの関係をおっしゃいましたけれども、14
ページに事情聴取の工夫という項目が挙がっているわけですけれども、潜在化するということの理由の一つには、どうしても二次被害の問題も恐らくあるわけです。今、親告罪である。では、非親告罪化したといって、そうすると被害届すら出てこなくなるという懸念が一方であるので、それはどうなのだろうかとか、そういったことに答えていかないといけないのではないか。ですから、二次被害を防止するためにこれだけの工夫をしている、更にこういうのが必要だといったところとうまくリンクさせるような工夫も必要でしょうし、ついでに申し上げれば、同意年齢ですけれども、子どもの性行動です、何歳ぐらいの子たちがどういうことをしているのかということと一緒に考えないと、確かに13歳は低いというので、では、何歳ぐらいまで持っていくのが適当なのかということのベースの資料がないということになってしまうだろうと思いますので、そういう調査に基づいて同意年齢を考えるべきであるという指摘があってもいいのかというふうに思います。
○辻村会長
ありがとうございました。非親告罪化に戻りますけれども、非親告罪化のときに、我々は韓国の例も、外国がどうなっているかということも検討しました。ここに書いてあることだけだとそれが全然わからないので、先ほど国際化の流れということも言われましたけれども、諸外国の法制度の動向であるとか、あるいは韓国の例なども参照して検討すべきだということを書いておけば韓国の動向とか後ろに資料がつけられますね。だから、各国の制度との関係を小出しにして書いておくことがいいことではないかと思います。
それから、今、先生が言われたところはなかなか難しいですね。例えば、仮に、この調査会では
14歳にすべきだという意見があったと書いたとしても、必ずなぜ、ということになるでしょう。もちろん、論理的には刑事責任年齢のところと合わせるのだということで、差し当たり14歳という意見があるのは一つの理由ではありますけれども、何歳がいいかという議論というのは、まさに法制審議会等でさまざまなデータを見ながら、今後状況も変わりますでしょうから検討されると思いますけれども、私たちの段階で何歳がいいということまで書けるのかどうかということです。どうぞ。
○種部委員
告訴以前に、3ページのところにありますけれども、前年度の調査でも警察に相談した割合はわずか
3.7%なので、要は親告罪がある意味がないというか、もはや届け出をしない人の方が圧倒的に多いということは事実だと思います。相談した割合が28%ですけれども、警察にということをつけなければ被害届を出していない人の方が圧倒的に多いということになります。そうすると、親告罪があること自体の意味が全くないということは数字として理由にならないですか。もう被害届の時点で出したくないという、自分の立場の保護という意味で、どうしてもそこには行きたくないという人は既に届けをしていないということも事実だと思うのですけれども、それはエビデンスとして使えないかどうか。
○辻村会長
でも、今のことは逆の意味で、親告罪の論拠としても使われているのですね。実際、ほとんどの人が公にしたくないわけだから、非親告罪化したら公になってしまうから、プライバシーのためには親告罪の方がいいという、親告罪の現行法の論拠に使われているのではないですか。そうでもないですか。
○種部委員
親告罪であってもなくても、本人は被害届を出さないという選択肢があるわけで、そもそも届けたということは本人にとっては親告罪であろうとどうであろうと、そのまま刑事裁判の方に行くというふうに被害者は思っていると思うのです。ですから、これだけ届出が少ないということは事実ですから、親告罪にしておく意味が全くない、現実には、被害者側の立場からすると親告罪ということの意味が全くわかっていないと思うので、必要ないものだと理解はできないかということです。
○林委員
ただ、年少者が被害者の中に多いわけで、小学生や中学生がいきなり警察に行って被害を相談するということは余り考えられないわけですね。だから、まず親に相談する、友達に相談する中で、いや、そんな大変なことは警察に行った方がいいよと言われてつながるということがあると思うので、この統計からだけで親告罪が意味がないとは言えないのではないかと思います。あくまでもイニシャル・コンタクトのことを聞いている統計だと思います。
○辻村会長
いかがでしょうか。
○種部委員
理解しました。
○林委員
番先生がお詳しいかと思うのですが、10代の少女などが告訴した場合に、告訴能力がないというふうに裁判所が判断する例がありますね。最近でも富山県だと思うのですけれども、数か月前に新聞報道でありましたので、そういったことも親告罪の弊害としては挙げられるのではないかと思います。私も判例を調べてみます。
○辻村会長
ですから、いろいろな書きぶりがあると思うのですけれども、こういう意見があったということを書くだけではなくて、その意見の背景に今のような親告罪の弊害としてこういうものがあるということも書き込んでいけば、多少いいかもしれません。
ほかにいかがですか。今言われた同意年齢のところも、なかなか何歳と書くのは難しいですね。