児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

任介辰哉「最高裁刑事破棄判決等の実情(上)平成21年度」判例時報 第2091号P33

 調査官、ここはひとつ、全部併合罪だと言ってくださいよ
 児童淫行罪以外は全部未解決です。

任介辰哉「最高裁刑事破棄判決等の実情(上)平成21年度」判例時報 第2091号P33
児童ポルノ製造罪と児童淫行罪をはじめとする他の性犯罪(例えば、児童買春・児童ポルノ等処罰法上の児童買春罪、刑法上の強姦罪、強制わいせつ罪、条例におげる淫行罪等)との関係については、これまでの裁判実務は観念的競合説と併合罪説とに分かれている状況にあった。最高裁判例においては、最三決平一八・二・二〇刑集六〇・二・二一六、本誌一九二三・一五七が「法二条三項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ、これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は、法七条三項の児童ポルノ製造罪に当たる」としており、同判例は、本件のような問題については併合罪説に親和的であるとの見方はあったが、本件のような場合における罪数を正面から判示したものはなかった。
少年法三七条については、前記のとおり既に削徐されたので、本件のように管轄が問題になることは今後生じないといえる。
しかしながら、児童ポルノ製造罪と児童淫行罪をはじめとする他の性犯罪の罪数問題については、これまでも実務が分かれていたところであるから、本決定の判旨は、今後のこうした事案の罪数処理に関して重要な意義を有するものと思われる。