あの〜判例作ってる側から申し上げると、児童ポルノの被描写者が実在する必要があるというのは、条文上はいまいちわからないところ、古い判例があって、そう運用されてるんですよ。(ちゃんとした法律を作れなかった上に)「判例も積み重ねられた」とうわりには、そんなことも知らない議員が質問しても、当然知ってる検事出身の政府委員に軽くあしらわれています。吉田さんもっと勉強しなくっちゃ。
002/073] 170 - 衆 - 青少年問題に関する特別… - 2号 平成20年11月18日
○吉田(泉)委員 ありがとうございました。
この法律では、国というのはあくまで後押し役といいますか、そういう立場ですが、全体がうまくいくためには、来年の四月までもう半年弱でございますが、ここがやはり勝負どころだというふうに思います。関係者の御奮闘をお願いしたいと思います。
次に、児童買春・ポルノ禁止法、これについて、残り時間、お伺いしたいと思います。
この法律は、前回、平成十五年の改正のときはここの青少年特別委員会で審議されたわけですが、今回の改正案については法務委員会の方に付託されているということであります。具体的な法案審議は近々そちらの方で始まるというふうに思いますが、きょうは、その前段というようなことで、現行法のもとでの法の執行状況について確認していきたいと思います。
この法律は、もう施行後九年たちました。児童買春とポルノと両方を禁止する法律ですが、児童ポルノだけでも検挙数は累計で二千五百を超えた、判例も積み重ねられた、おのずとこの法律が対象にしている事案というのがだんだんはっきりしてきたということだと思います。
最初に、児童ポルノの媒体物についてお伺いしたいと思います。
現行法では、児童ポルノの媒体物というのは三つある。写真と電磁的記録とその他、電磁的記録というのはDVDとかインターネットということでございますが、この三つが媒体物である。この三番目のその他というものの中に、漫画とかアニメとか、いわゆる表現物といいますか、創作物といいますか、そういうものも入り得るのではないかという法解釈もあったと思いますが、この九年間法律を執行してきて、そういう表現物の検挙というのは実はなかったんだというお話を伺いました。それを取り締まらなかった理由を改めてお伺いしたいと思います。
それから、この問題については、取り締まるべきではないかという意見もあるわけなんですが、もし、今後、漫画、アニメまで取り締まろうとすると、現行法が考えている保護法益というものが、今は個人法益を保護するということになっていますが、社会法益にまで拡大するような相当大幅な法律の目的の変更につながるんじゃないかというふうに法理論上は思いますが、いかがでしょうか。
その二つ、お願いします。
○三浦政府参考人 児童買春・児童ポルノ禁止法におきまして児童ポルノを規制の対象としておりますのは、このような児童ポルノがその描写された児童の心身に長期にわたって有害な影響を与え続けるということ、そして、このような行為が社会に広がるときには、児童を性欲の対象とする風潮を助長するとともに、身体的、精神的に未熟である児童一般の心身の成長に重要な影響を与えるというふうに考えたものと理解されるところでございます。
ここに言います児童ポルノにつきましては、十八歳未満の実在する児童を描写したものでありまして、漫画、アニメ等実在しない児童を描写したポルノにつきましては、この児童ポルノには該当しないというふうにされているところでございます。
今後、実在しない児童を対象とするポルノを規制の対象とするということにつきまして考える場合には、その処罰の根拠等をどのように考えるかということが問題になるわけでありますが、それによりまして、現行法における保護法益の考え方に一定の影響があり得るのではないかというふうに考えられるところでございます。
○井上政府参考人 漫画等につきましては、検挙事例はございません。
○吉田(泉)委員 あくまで現行法では実在する児童の法益を保護するという法律になっているということだと思います。
それから、今度は児童ポルノの定義の問題をちょっとお伺いしたいと思います。
現行法の二条三項、ここに三つほどポルノとは何ぞやということが書いてあります。一つは性交等の描写、二つ目は性器等に触れる行為等の描写、そして三つ目が、衣服をつけない児童の姿態であって、性欲を興奮させ、または刺激するもの、この三つが児童ポルノとして定義されているわけでございます。
この三つ目の、衣服をつけない児童、要するにヌード、全ヌード、半ヌードの場合ですが、ここの定義に例えば小さい子供の入浴や水着の写真が入るのかどうか、もしくは女性アイドルの水着写真または男性アイドルの上半身裸の写真、こういうものが三号ポルノに入るのかどうかという議論もなされるわけなんですが、この九年間、実際の検挙の状況はどうだったんでしょうか。
○井上政府参考人 最近の検挙事例について申し上げます。
昨年十月、警視庁において、当時十七歳の水着姿の女子高生をモデルにDVDを製造したとして、DVD販売会社編集長等を児童買春・児童ポルノ禁止法違反で検挙した事例があるという報告を受けております。
○吉田(泉)委員 昨年、一件検挙されたということですが、最終的には児童福祉法の違反になったという事案だと思います。
今、一つ例を挙げられましたけれども、現実問題、一号ポルノ、二号ポルノというのが圧倒的で、なかなか三号ポルノの摘発というのは極めて困難だったんだろうというふうに思っております。
それから、今度は年齢の問題なんですが、現行法は十八歳未満を児童として扱っているわけなんですが、中には非常に大人びた児童、つまり児童に見えない児童という人もいるわけです。もしくは、要するに年齢がわからない、年齢不詳、児童ではあるが見た目では年齢がよくわからない、こういうケースもあると思うんですが、そういうときに、そういう人を対象としたポルノというのは検挙されてきたんでしょうか。
○井上政府参考人 十八歳未満ということの認識がなければ検挙できませんし、実務的にはその辺の認識をとった上で検挙しているというふうに承知をしております
○吉田(泉)委員 認識がなければ検挙されるということはないということです。
結局、児童という大変弱い立場の人間を食い物にしているのが児童ポルノでございまして、極めて憎むべき犯罪だ。我々も、取り締まりはもっと強化すべきだという立場で改正案をまとめたわけでございます。
ただ、一方で、取り締まりを強化するならもう少し児童ポルノの定義をはっきりさせるべきではなかろうか、こういう指摘があります。
児童ポルノというのは、単なるヌードではございません、それから単なるわいせつ描写でもありません。今おっしゃったように、特定の児童への性的搾取、性的虐待、それに関連した描写というのが本来の趣旨だと思いますので、そこに的を絞って根絶していくという姿勢が必要じゃなかろうかと思っております。
もう最後になりますけれども、最近の十一月十六日付読売新聞、児童ポルノがインターネット上で、ファイル交換ソフトというソフトの悪用によって日本の二十カ所から世界に発信されている、実はこれはブラジルの捜査当局の情報であるという報道がなされました。そして、それに基づいて半年間各県警で捜査をした結果、最近、埼玉県警の方で三人を逮捕したという事件がありました。
インターネットによって児童ポルノが国際的に、世界的に拡散されるということが極めて憂慮されるわけなんですが、一体、日本の二十カ所から発信されているということは実態としてどうなのか。警察の方の今までの対応、今後の対応についてお伺いしたいと思います
○井上政府参考人 御指摘の事件は、警察庁がブラジル連邦警察から提供を受けた情報に基づきまして埼玉県警察が検挙した児童ポルノ事件と承知をしております。
事案の概要でございますが、本年十一月十二日までに、ファイル共有ソフト、イーミュールというものを使用して、インターネット上に構築された児童ポルノファイルを共有するためのネットワークに接続し、同ネットワークに接続する不特定多数の者に対し児童ポルノを提供する目的で所持したとして被疑者三名を検挙しておるものでございます。
事件の詳細については、まだ現在捜査中ということでございますので、埼玉県警を中心に関係府県において鋭意捜査を継続していくものと承知をしております。
○吉田(泉)委員 時間ですので、終わります。
ありがとうございました
実在性の論証というのは、判例があるので、今となってはこの程度です。絵も入ります。芸術性と児童ポルノ性は別次元の問題です。
↓↓
2 児童ポルノの定義(2条3項)について
(1)児童の実在性
「者」と定義するからには児童とは実在する18歳未満の人物である。
法第2条(定義)
1この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
児童福祉法4条1項*1、児童虐待の防止等に関する法律2条*2と同じである。
これは法文上明白だとされている。
①大阪高裁H12.10.24*3
所論は、法二条三項によって規制対象とされる児童ポルノとは、被撮影者となつている子供の人権を救済し、保護するという児童ポルノ法の規制目的に照らすと、被撮影者の氏名、住所が判明しているまでの必要はないにしても、具体的に特定することができる児童が被撮影者となっている場合に限るとすべきであるのに、同条項において、そのような特定を要求していないのは、表現の自由に対する過度に広範な規制というべきである、という。
しかし、前記2において説示したような児童ポルノ法の立法趣旨、すなわち、同法が、児童ポルノに描写される児童自身の権利を擁護し、ひいては児童一般の権利をも擁護するものであることに照らすと、児童ポルノに描写されている児童が実在する者であることは必要であるというべきであるが、さらに進んで、その児童が具体的に特定することができる者であることまでの必要はないから、所論のような規定が設けられていないからといって、法二条三項が、表現の自由を過度に広範に規制するものとはいえない。
所論は、児童ポルノの被撮影者は、一見児童であるように見えても、一八歳以上の者である場合があり得るから、検察官は、被撮影者となっている児童が存在し、その者が児童であることを積極的に立証する必要があるのに、法二条三項にその旨が明記されていないのは、表現の自由に対する過度に広範な規制をするものであって、憲法二一条に違反する、という。
しかし、所論の指摘するような構成要件該当事実について検察官に立証責任があることは、刑訴法上当然であるから、法二条三項に所論指摘のような規定が設けられていないからといって、同条項が、表現の自由を過度に広範に規制するものとはいえない。
所論は、規制対象となる児童ポルノについて、法二条三項は、「写真、ビデオテープその他の物」で法二条三項各号のいずれかに該当するものとしているが、児童の権利を擁護するという立法目的に照らすと、規制対象とすべき児童ポルノは、被撮影者が実在する特定の児童であることが明らかである写真及びビデオテープに限られるべきであるのに、同条項において、「その他の物」を含むとしているのは、例えば、抽象画から漫画まで広がりがあり、実在する特定の児童を描いたものであるか否か判然とせず、したがって規制対象に当たるかどうかの判断が恣意的になされる危険性が高い絵画まで含むことになるから、法二条三項は、表現の自由を過度に広範に規制するものであって、憲法二一条に違反する、という。
しかし、児童が視覚により認識することができる方法により描写されることによる悪影響は、写真、ビデオテープに限られず、所論の指摘する絵画等についても同様であるから、法二条三項が表現の自由を過度に広範に規制するものとはいえない。
②名古屋高裁金沢支部H14.3.28*4
(3)所論は,児童買春処罰法により規制される児童ポルノ(同法2粂3項)は,実在する児童が被写体となった視覚的表現手段に限るべきものであるところ,同条項では児童の実在性が明文化されておらず,萎縮効果のおそれがあるから,憲法21条に違反するという(控訴理由第8)。
確かに,上記「児童ポルノ」は実在する児童を被写体としたものと解すべきであるが,この点は児童買春処罰法2条1項の「児童」が18歳に満たない者と定義され,これを用いて児童ポルノも定義づけられていることからすると,児童の実在を前提とする趣旨は明確となっているというべきである。所論は採用できない。