児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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東京都が「国が実施している自画撮りに関する調査について、被害に遭った児童の行動パターンなどを都道府県に情報提供するよう求めた。」とか言って法律上の義務である調査研究してないことを自白している話。

 条例作ってから「国が実施している自画撮りに関する調査について、被害に遭った児童の行動パターンなどを都道府県に情報提供するよう求めた。」というのはおかしいですよね。この辺の地方公共団体の義務を果たして調査とか保護とかやってれば被害実態は把握している筈ですから。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第一四条(教育、啓発及び調査研究)
 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることに鑑み、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。


第三章 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置

第一五条(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
 厚生労働省法務省都道府県警察、児童相談所、福祉事務所その他の国、都道府県又は市町村の関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2前項の関係行政機関は、同項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。


第一六条(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。


第一六条の二(心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等)
 社会保障審議会及び犯罪被害者等施策推進会議は、相互に連携して、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとする。
2社会保障審議会又は犯罪被害者等施策推進会議は、前項の検証及び評価の結果を勘案し、必要があると認めるときは、当該児童の保護に関する施策の在り方について、それぞれ厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べるものとする。
3厚生労働大臣又は関係行政機関は、前項の意見があった場合において必要があると認めるときは、当該児童の保護を図るために必要な施策を講ずるものとする。

 児童が安易に送っちゃうので、要求段階での検挙は難しいです。要求された時点で親とかに相談しないんですよ。送っちゃうんですよ。犯人側もそういう弱いとこを突いている。
 検挙したとしても、何回か送らせた後の、最後の要求行為になると思います。
 

東京都青少年の健全な育成に関する条例
(青少年に児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)
第十八条の七 
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為を行つてはならない。
一 青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。
二 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求めること。


第二十六条 
次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
七 第十八条の七の規定に違反した者

子供の自画撮り被害防止へ 小池知事、国に規制検討を提案
2018.05.24 産経新聞
 小池百合子知事は23日、都内で開かれた関東地方知事会議に出席し、だまされたり脅されたりした子供が、自分の裸の写真をメールなどで送らされる「自画撮り」被害を防ぐため、不当な要求を抑止する規制のあり方などを検討するよう国に要望することを提案した。

 会議で小池氏は、今年2月に施行された、自画撮りの要求に罰金を設けた都条例を具体例に挙げ、「インターネット上に流出したデータの回収、削除は簡単ではなく、本人の一生に傷をつける。被害の未然防止が喫緊の課題だ」などと述べた。

 その上で、国に対して児童買春・ポルノ禁止法の改正検討や、国が実施している自画撮りに関する調査について、被害に遭った児童の行動パターンなどを都道府県に情報提供するよう求めた。

16歳の被害者に対し、事実上の養父が自己の立場を利用して性交した事案について、監護者性交等罪に児童福祉法違反が吸収され法条競合となるとした事例(札幌地裁小樽支判平成29年12月13日(判例集未登載)). 北海学園大学法学研究 53巻(4号) 107頁-116頁 2018年3月.

16歳の被害者に対し、事実上の養父が自己の立場を利用して性交した事案について、監護者性交等罪に児童福祉法違反が吸収され法条競合となるとした事例(札幌地裁小樽支判平成29年12月13日(判例集未登載)). 北海学園大学法学研究 53巻(4号) 107頁-116頁 2018年3月.
 控訴してない

【事実の概要】
被告人は、平成二一年頃から、内縁の妻(以下「被害者の母親」)及びその娘(当時小学二年生、以下「被害者」)らの居宅に同居し、被害者らの生活費を相当程度負担し、被害者の身の回りの世話をし、被害者の母親に代わって被害者の話を聞くなどして被害者を精神的に支え、時には被害者に対して生活上の指導をするなどして、事実上の養父として被害者を現に監護していたところ、平成二六年頃から被害者に対し性的虐待を繰り返した末、平成二九年七月一七日午後九時頃、上記居宅において、被害者(当時一六歳)を現に看護する者であることによる影響力があることに乗じて被害者と性交等をし(以下「第一行為」)、同月二〇日午前五時頃にも同様に性交等をした(以下「第二行為」) 。
以上の事案につき、検察官は、第一行為及び第二行為それぞれについて監護者性交等罪及び児童福祉法第三四条第一項六号違反(以下「児童福祉法違反」)が成立し、両罪は観念的競合となるが、第一行為による罪と第二行為による罪はかすがい現象が発生せず併合罪となると主張し、懲役一〇年を求刑した。これに対し、弁護人は、被告人自身が淫行の相手方であること、本件各性交について被害者の暗黙の同意があり、被告人は被害者との結婚を考えていたことから、第一行為及び第二行為いずれについても児童福祉法違反は成立せず、二個の監護者性交等罪は包括一罪となると主張した。

「(強制わいせつ罪に性的意図は不要だが)「わいせつな行為」とは, いたずらに性欲を興奮または刺激させ,かつ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいう。」大谷各論第5版

 最判h29.11.29の後もこの定義維持できるか?


大谷各論第5版
「わいせつな行為」とは, いたずらに性欲を興奮または刺激させ,かつ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいう。
わいせつの意義は,性的風俗を保護法益とする公然わいせつ罪(174条)およびわいせつ物頒布等罪(175条)における「わいせつ」と基本的には同じであるが(今334頁, 336頁),本罪は個人の性的自由・感情を保護法益とする罪であるから, その重点を異にし,原則としてそれらの犯罪よりも広い概念となる。例えば,接吻や陰部に手を触れる行為など,単に人の正常な差恥心を害するにすぎない行為であっても, わいせつな行為となる(新潟地判昭和63.8.26判時1299・152)。
(2) わいせつの傾向本罪は,暴行・脅迫を用いてわいせつな行為を行えば完成する挙動犯である。通説は,本罪をもって,行為者自身の性的意図ないしわいせつな内心の傾向を必要とする傾向犯であるとし,性欲を興奮・刺激させるという性的意図ないし傾向がなければ本罪は成立しないと主張してきた(最判昭45. l ・29刑集24. l ・l)。
しかし,第1に,性的意図ないし傾向は,法文上構成要件の主観的要素とされていない。第2に,行為者の意図または傾向によって被害者の性的自由ないし差恥感情が左右されるとは限らない。第3に,行為者の内心の傾向は漠然としたものであり,明確性が要求される構成要件に導入するのは適当でない。かくして,最高裁判例を変更して,本罪が傾向犯であることを否定した(最判平29・11 .29裁判所ウェブサイト)。

田村真・岐阜地裁所長「語弊を恐れずあえて言うと、性犯罪の量刑は裁判員裁判になって重い方にシフトしたのではないか。昨年、性犯罪に関す法改正があり、強制性交等罪などの法定刑の下限が引き上げられたのは、裁判員裁判が影響を与えたと感じている。」

 起訴率が大幅に下がって、集団強姦致死傷なんて起訴されなくなったんですが、判決だけ見ているとやや重くなったんです。

裁判員制度導入から9年 地裁・田村所長に聞く ノウハウ徐々に定着 まだ発展途上 性犯罪の量刑 重い方にシフトし

2018.05.21 朝刊 14頁 中日新聞
 【岐阜県裁判員制度が導入されて、二十一日でちょうど九年。刑事裁判に市民感覚を反映させることが期待され、大々的に始まった新しい司法制度は定着が進む一方、課題も浮かぶ。制度開始前の準備段階から携わり、裁判長として七十件近い裁判員裁判を指揮した田村真・岐阜地裁所長(63)に、制度の意義や課題を聞いた。(井上仁)
 -あらためて制度の意義は。
 市民が国の統治作用に直接参加することになる。自分たちのことは自分たちで決めるという、草の根民主主義が定着する契機になれば望ましい。制度が始まると聞いた時は興奮したし、ぜひ担当したいと思った。

 -制度は定着してきたか。
 裁判員裁判では、法廷で裁判官と裁判員が目で見て、耳で聞いただけで判断しなければならない。(導入される前まで)多くの法律家は裁判官が資料を読み込んで判断する「精密司法」に慣れていて、意識改革が大変だった。準備段階から試行錯誤を積み重ね、ノウハウは徐々に定着してきた。ただ、まだ発展途上。法律家が「もうこれで十分だ」と改善の意欲を失ってしまうことを心配している。

 -課題の一つに、初公判の前に事件の争点や証拠を整理する「公判前整理手続き」の長期化がある。
 刑事裁判では誤判ほど恐ろしいものはない。弁護人にきちんとした準備をさせずに、誤って有罪になることは絶対に避けなければいけない。それに配慮しつつも、時間短縮の意識は必要だ。公判前整理手続きが長くなると、証人の記憶が薄れるし、処遇が決まらないまま被告人の勾留期間が長引くのは好ましくない。
 事件にもよるが、検察官や弁護人の活動が不十分だったり、裁判官が適切に指揮できないなど、スキル不足で長引くこともある。これは経験を積むしかない。

 -法廷での審理は十分にできているか。
 不十分な点はある。事前の争点整理が適切でなく、法廷で検察官と弁護人の立証がピンぼけになることがある。証拠を絞りすぎたり、逆に多すぎたりしても、裁判員には分かりづらい。尋問技術の拙さも感じる。特に弁護人は向上の余地がある。検察官と比べて裁判員裁判を経験する機会が少ないからかもしれない。
 -裁判員の負担軽減も課題だ。
 裁判官は十分な審理や評議をしたい気持ちが強く、ゆとりのある日程を組みたいと考える。そのため、裁判員の拘束期間が長くなる。それでは仕事や生活への負担が増す。多くの人が参加できる、負担の少ない日程のバランスが重要だ。

 刺激の強い証拠を見ることも負担になるので、裁判員を選任する手続きの中で、不安がある人には申し出てもらうこともある。そうした証拠を調べる必要性も吟味していい。裁判が終わった後も、メンタル面で不調を感じた人には電話や対面で相談に応じるし、専門家のカウンセリングを受けられる態勢も整えている。

 -制度が判決に与える影響をどう感じるか。
 被告に対する公平性の問題もあり、判決が激変するのは好ましくない。影響は長いスパンで見るべきだ。ただ、間違いなくボディーブローのように効いてくるだろう。二十年後、三十年後に「ああ、変わったな」と思うのではないか。

 語弊を恐れずあえて言うと、性犯罪の量刑は裁判員裁判になって重い方にシフトしたのではないか。昨年、性犯罪に関す法改正があり、強制性交等罪などの法定刑の下限が引き上げられたのは、裁判員裁判が影響を与えたと感じている。

強制わいせつ致死傷罪 受理件数 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 267 250 166 51 76.5%
h19 279 157 68 69.8%
h20 284 137 83 62.3%
h21 257 117 95 55.2%
h22 273 106 125 45.9%
h23 266 109 119 47.8%
h24 271 115 118 49.4%
h25 295 136 120 53.1%
h26 287 134 121 52.5%
h27 228 113 84 57.4%
h28 246 117 82 58.8%
強姦致死傷罪 受理件数 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 420 390 253 110 69.7%
h19 436 239 156 60.5%
h20 367 198 137 59.1%
h21 308 139 137 50.4%
h22 295 110 148 42.6%
h23 317 128 162 44.1%
h24 286 129 135 48.9%
h25 323 123 173 41.6%
h26 281 85 165 34.0%
h27 217 104 87 54.5%
h28 166 74 73 50.3%
集団強姦致死傷 受理件数 総数 起訴件数 不起訴件数 起訴率
h18 24 31 19 8 70.4%
h19 46 23 6 79.3%
h20 29 18 4 81.8%
h21 35 21 11 65.6%
h22 16 2 11 15.4%
h23 26 17 7 70.8%
h24 22 6 8 42.9%
h25 22 9 10 47.4%
h26 29 17 8 68.0%
h27 21 8 10 44.4%
h28 15 0 12 0.0%

「自画撮り」要求に罰則検討 子ども被害防止 県条例改正目指す=熊本

「自画撮り」要求に罰則検討 子ども被害防止 県条例改正目指す=熊本
 東京・兵庫で条例作ったんだけど、まだ誰も検挙されていません。
 送ってしまってから発覚するからかな。
 規範を児童に向けないと止まらないでしょう。国法の製造罪は児童も行為主体にしているのを、運用でごまかしていて、それを改めることですよ。

「自画撮り」要求に罰則検討 子ども被害防止 県条例改正目指す=熊本
2018.05.19 読売新聞
 18歳未満の子どもがスマートフォンなどで撮影した自分の裸の画像を送らされる「自画撮り」の被害を防ごうと、県は18日、画像を要求する行為への罰則を盛り込むため、県少年保護育成条例改正の検討を始めた。年度内の改正を目指す。

 児童買春・児童ポルノ禁止法では、子どものわいせつな画像や動画を性的な目的で所持することが処罰対象となる一方で、画像や動画などを要求する行為は罰せられない。条例改正で画像や動画の要求を禁止し、子どもたちが犯罪に巻き込まれるのを防ぐ。

 18日に県庁で開かれた検討部会には、弁護士や警察関係者ら13人が出席。県警が県内の被害状況などを説明した後、委員からは「世界中に拡散される恐怖を啓発しなければならない」「被害を受けた子どもたちが相談できる環境づくりも必要だ」などの意見が出た。今後、同様の条例改正をした東京都や兵庫県の事例を参考に、具体的な罰則内容などを検討する。

 県警少年課などによると、昨年摘発された児童買春・児童ポルノ禁止法事件の被害者は13人で、そのうち、7人が自分の裸の画像などを送信させられていた。

被害者方を立ち去るまでの間に,被害者を下着まで脱がせて全裸にし,被害者の左乳房をなめるという客観的にみてわいせつに当たる行為に及んでいる。これらの事情からすれば,被告人がわいせつ以外の目的で被害者方に侵入したとは考えられず,被告人にはわいせつ目的があり・・・(東京地裁h30.3.7)

 公訴事実に「被害者を下着まで脱がせて全裸にし,被害者の左乳房をなめるという客観的にみてわいせつに当たる行為」はないのに、わいせつの故意が認定されています。
 性的意図は不要というのが判例最高裁H29.11.29)なのに、性的意図が争われています・強制わいせつ致死傷罪でわいせつ行為は未遂の場合だと、暴行段階でわいせつの故意が必要になりますよね。

東京地方裁判所平成30年3月7日刑事第11部判決
       判   決
 上記の者に対する住居侵入,殺人(変更後の訴因 住居侵入,強制わいせつ致死,殺人)被告事件について,当裁判所は,検察官堀越健二,同山田祐大,同早川史人及び同平良優実並びに国選弁護人関聡介(主任)及び同本多貞雅各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       主   文

被告人を無期懲役に処する。
未決勾留日数中440日をその刑に算入する。


       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,帰宅途中のP2(当時25歳)を見かけ,強いてわいせつな行為をしようと考え,平成27年8月25日午前0時50分頃,東京都中野区α×丁目××番××号a××の同人方に玄関ドアから侵入した上,同所において,同人に対し,その口を手で塞ぎ,床に押し倒すなどの暴行を加えたが,同人から抵抗を受けたことから,殺意をもって,その頸部を扇風機のコードで絞めるなどし,よって,その頃,同所において,同人を頸部圧迫による窒息により死亡させた。
(証拠の標目)《略》
(事実認定の補足説明)
第1 争点
 被告人が被害者方へ侵入し,暴行を加え,殺意をもって頸部を絞めるなどして同人を死亡させたことに争いはなく,証拠上も明らかである。本件の争点は,被告人に強制わいせつの故意があったかどうかである。
第2 前提となる事実
 以下の事実については,関係各証拠によって明らかに認められ,当事者間にも概ね争いがない。
1 被害者は,平成27年8月25日(以下,時刻のみを表記する場合には同日の時刻である。),駅から帰宅する途中,コンビニエンスストアに立ち寄り,午前0時29分に同店を出た。同店出入口前から被害者方玄関前までの距離(280m)と防犯カメラ映像から算出した被害者の歩行速度から計算すると,被害者の帰宅時間は午前0時33分過ぎとなる。
2 被告人は,帰宅途中の被害者を見かけて後をつけていき,被害者方へ侵入し,扇風機のコードで同人の頸部を絞めて殺害した(なお,侵入の経緯等については後記のとおり争いがある。)。
3 本件当時,被害者方の階下に住んでいた■(以下「A」という。)は,スマートフォンでインターネット検索をしており,午前0時33分以降は,午前0時35分24秒から午前0時45分37秒までの約10分間検索を中断し(以下「1回目の中断」という。),その後検索を再開し,午前0時51分03秒から午前1時04分59秒までの約14分間検索を中断し(以下「2回目の中断」という。),同時刻と午前1時05分02秒に検索をした後は1時間以上にわたり検索を中断していた。
4 被害者の交際相手であったP3は,午前0時41分に被害者に対しLINEメッセージを送信した。このメッセージには「既読」の表示がついている。
5 被告人は,被害者を殺害後,犯行の発覚を免れるために,2回にわたり,扇風機や被害者の着衣など自分が触った可能性があるものを被害者方から持ち出している。被告人は,被害者方を立ち去るまでの間に,下着を含め被害者の着衣を全て脱がせており,また,被害者の左乳房をなめた上で,ボディソープで拭き取った。
6 被害者の遺体は,平成27年8月26日,被害者方居室の床面に仰向けで全裸の状態で発見された。遺体発見時,被害者が同月25日の帰宅時に履いていたサンダル(アンクルストラップ付きハイヒール)は,被害者方の三和土の一か所に左右両方がまとまった状態で残っていた。
第3 被害者方への侵入の経緯等について
1 前提となる事実のとおり,被告人が,若い女性である被害者の後をつけ,被害者方に侵入後,被害者を全裸にして,その左乳房をなめているという客観的な状況からすれば,被告人にわいせつ目的があったと通常考えられる。
 もっとも,本件では,被害者方への侵入の経緯等に関し,被告人は,被害者が玄関ドアを開けた際に声をかけ,同人の口を手で押さえたが,同人が尻餅をついて後ずさりしたのに引き続いて侵入してしまったと供述しており,この点がわいせつ目的についての判断に関わることから,まず検討することとする。
2 サンダルの遺留状況について
(1)前記のとおり,被害者が帰宅時に履いていたサンダルは,アンクルストラップ付きのハイヒールで,足首のベルトを外してから脱ぐタイプのものであり,遺体発見時,被害者方の三和土の一か所に左右両方がまとまった状態で残されていた。このようなサンダルの形状と遺留状況からは,犯行中に脱げたとは考え難く,被告人が持ち去っていないことをも踏まえると,被害者は,帰宅した後に自らサンダルを脱いだものと推認される。
(2)弁護人は,玄関前までに被害者が足首のベルトホックを外しており後ずさりや抵抗により脱げた,被告人が脱がせたが持ち去り忘れた可能性があると主張する。しかし,このような可能性はサンダルの遺留状況に整合しないし,広範囲に物を持ち去っている被告人が,その際に2回も通ったはずの三和土に自ら置くなどしたサンダルを持ち去り忘れるというのもおよそ考え難い。
3 Aの聞いた物音の内容について
(1)Aは,〔1〕スマートフォンでインターネット検索をしていたところ,カツカツという足音がして被害者方である××号室の前で止まった,〔2〕足音が止まってから,荷物を置くようなコトンという音や,断言はできないがジャボジャボという水音が聞こえてきたと思う,〔3〕足音が聞こえてから10分くらいした後,××号室から大きな物音が聞こえてきた,〔4〕1分くらいしてもまだ大きな物音が続いていたので,インターネット検索をやめて自室を出て様子をうかがいに行った,〔5〕階段の途中まで行くと,女性のうめくような声や「な,ん,で」という声が聞こえてきて,物音も続いていたが,男性の声はしてこなかったので自室に戻った,〔6〕大きな物音が続いていた時間は,全体で10分強くらいだった旨証言している。
(2)Aの上記証言内容は,前述のサンダルの遺留状況等から認められる被害者の帰宅時の状況や,遺体発見時被害者方のユニットバスの浴槽内に水が約19cm溜まっていたことと整合している。しかも,Aは,大きな物音を不審に思っただけではなく,わざわざ自室を出て被害者方の様子をうかがいに行き,そこで「な,ん,で」という被害者の声を聞いたというのであるから,内容的に印象的な事柄である上,カツカツという足音を聞いてからの一連の流れとしても具体的である。また,A方にいて×階の物音が聞こえることについては,検証等を実施したP4警察官の証言によっても裏付けられているし,Aには虚偽供述をするおそれも認められない。したがって,Aの証言は基本的に信用できる。
 ただ,被害者方前で足音が止まってから「10分くらい」という時間の幅の点については,あくまで感覚的なものであることは否定できず,そのまま信用することはできない。しかし,Aが,被害者の帰宅後に複数の音を聞いていることや,「1分とかではなく,20分とか長いわけでもない」とも供述していることからすると,カツカツという足音が被害者方前で止まってから,ある程度の長さの時間が経過した後に,被害者方から大きな物音が聞こえてきたという限度では,信用性を認めることができる。
4 LINEメッセージについて
(1)P3証言によれば,同人が被害者に対して午前0時41分に送信したLINEメッセージは,その送信直後に「既読」はつかず,その後に「既読」がついたことが認められるから,上記送信時刻である午前0時41分以降に被害者のスマートフォンのLINEのトーク画面が立ち上げられたことになる。一方,被害者のスマートフォンは被告人によって持ち去られておらず,被告人自身も被害者のスマートフォンを触ったことはないとしていることからすると,被害者は,午前0時41分以降にLINEメッセージを確認できる状況にあったものと推認できる。
(2)弁護人は,被告人から襲われた被害者がスマートフォンを握りしめたり,犯行の過程でスマートフォンに衝撃が加わるなどしたことで,LINEのトーク画面が立ち上がるなど,被害者の意図に反して「既読」になった可能性があると主張する。
 しかし,被害者のスマートフォンの具体的な設定は定かではないが,LINEのトーク画面が立ち上がるには少なくとも1回以上の操作が必要であることを踏まえると,被害者が意図せずに同画面が立ち上がるなどしたというのは具体的な可能性としては考えられない。
5 以上を踏まえ,侵入の経緯等について検討する。
 Aの証言からすると,Aが大きな物音を聞き1分くらいして自室を出たのは,午前0時35分からの1回目の中断の際か,午前0時51分からの2回目の中断の際のどちらかであり,そうすると,大きな物音が初めて聞こえた時刻は,午前0時34分頃か午前0時50分頃ということになる。そして,被害者の帰宅時間が午前0時33分頃であることを前提に,前記3のとおり,被害者の帰宅する足音が被害者方前で止まってから,ある程度の長さの時間が経過してから,被害者方から大きな物音が聞こえてきたことや,前記4のとおり,被害者が午前0時41分以降にLINEメッセージを確認できる状況にあったことからすると,Aが被害者方の様子をうかがうため自室を出たのは2回目の中断の際であったと認められる。
 このことに,前記2のとおり,被害者は帰宅して自らサンダルを脱いだと認められることを併せ考慮すれば,被告人は,被害者が帰宅して居室内にいたところへ午前0時50分頃侵入したものと推認できる。
 したがって,これらと矛盾する被害者方への侵入の経緯等に関する被告人の前記供述を信用することはできない。
第4 わいせつ目的の有無について
1 以上検討してきたとおり,被告人は,若い女性である被害者の後をつけていき,被害者が帰宅してある程度の長さの時間が経過し,被害者が居室内にいたところへ侵入したのであるから,それだけでもわいせつ目的がうかがわれる上,被害者の死亡との前後関係は不明であるが,被害者方を立ち去るまでの間に,被害者を下着まで脱がせて全裸にし,被害者の左乳房をなめるという客観的にみてわいせつに当たる行為に及んでいる。
 これらの事情からすれば,被告人がわいせつ以外の目的で被害者方に侵入したとは考えられず,被告人にはわいせつ目的があり,遅くとも被害者方への侵入時には同目的を有していたと推認される。
2 被告人の供述について
(1)これに対し,被告人はわいせつ目的があったことを否定しており,その供述の概要は次のとおりである。
 たばこを吸いながら外を歩いていたときに,被害者を見かけ,LINEのIDを交換したいと思い,後をつけていったが,被害者がマンションに入っていくあたりで,「悪魔がうつる。早く倒さないと。危ない,危ない」という声が聞こえ,声に従って悪魔を倒さないといけないと思った。被害者方玄関前で「すみません」と声をかけると,被害者が「わっ」と声を上げたのでとっさに口を塞いだ。被害者は,尻餅をついて後ずさりして部屋の中に入っていき,引き続き自分も部屋の中に入った。被害者が後ずさっていたとき,「首だよ,首」という声が聞こえたので,被害者の股の間に入るような感じでひざまずいて,右手で被害者の首を絞めた。右手の力が入らなくなったとき,手の先のほうが半透明になり,「コードを使えば」という声が聞こえ,声に従い扇風機のコードで被害者の首を絞めると,被害者は動かなくなった。
 その後,自分の指紋がついているかもしれないので,証拠隠滅のために被害者の服を脱がせた。下着についても,服を脱がせている間に触ってしまったかもしれないと思ったので,脱がせて全裸にした。すると被害者の背中から尻尾のようなものが出ているのが見えた。さらに自分が触った可能性があるものを回収する作業をしていたところ,被害者が動いたような気がしたので,生死の確認をしようと思って被害者の左胸を舌先で触れた。その部分はボディソープを使って拭き取った。一貫してわいせつな気持ちはなかった。
 声については,首を絞め終わった後「片付けろ片付けろ,早く」という声が聞こえたのと,荷物をまとめ終わって2回目に被害者の部屋から出るときに「逃げろ」という声が聞こえたが,その後は聞こえていない。
(2)被告人の上記供述の信用性について検討する。
 前記第3で検討したとおり,被害者方への侵入の経緯等については,信用できない。また,「悪魔がうつる。早く倒さないと。危ない,危ない」という声が聞こえてきたので被害者を倒さないといけないと思ったという点についても,捜査段階で被告人の鑑定をしたP5医師は,被告人は統合失調症ではない上,全く関係性のない相手を攻撃するという違和感のある内容であり,回避性人格障害としても説明がつかないことからして,犯行当時,そのような幻聴はなかったと考えられる旨証言している。専門的知見に基づくものとして信用できる同証言に照らすと,上記幻聴は存在しなかったと認められ,ひいては,被害者方へ侵入した動機に関する被告人の供述も信用することはできない。
 そして,被害者を全裸にし,その胸をなめたことに関する被告人の供述自体,不自然不合理というほかない。すなわち,証拠隠滅のためであれば,犯行時に直接触れていない下着まで脱がせる必要はないはずである。また,生死確認のためであれば採り得る手段はいくらでもあるにもかかわらず,あえてだ液等の痕跡が残る可能性が高い手段を選択したというのは,被告人が2回にわたり被害者方から物品を持ち出して証拠を隠滅しようとしている行動と相容れず,不合理である。
 以上からすれば,わいせつ目的を否定する被告人の上記供述は,到底信用することができない。
3 したがって,前記1のとおり,被告人にはわいせつ目的があり,遅くとも被害者方への侵入時には同目的を有していたものと認められる。
第5 結論
 よって,被告人は,わいせつ目的をもって,被害者方に侵入し,被害者に暴行を加えて被害者を死亡させたものであるから,強制わいせつの故意もあり,住居侵入罪,殺人罪に加えて,強制わいせつ致死罪も成立する。
 なお,被告人が加えた暴行の内容に関しては,被害者の口を手で塞いだことは,被告人自身も認めており,Aが被害者の叫び声を聞いていないことや,被害者の口唇周囲から被告人のDNA型が検出されていることによって裏付けられている。また,被告人は被害者を床に押し倒したことは認めていないが,被害者のベッドの支柱部分に被害者の血痕が付いていたことや,被害者の後頭部や腕,足に皮下出血が認められたことからすると,被害者は床の上で抵抗していたと推認でき,被害者が自ら倒れるとは考えられないことからして,被告人が被害者を床に押し倒したものと推認できる。
(法令の適用)
罰条
 住居侵入の点 刑法130条前段
 強制わいせつ致死の点 平成29年法律第72号による改正前の刑法181条1項(176条前段)
 殺人の点 刑法199条
科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,後段,10条(強制わいせつ致死と殺人は,1個の行為が2個の罪名に触れる場合であり,住居侵入と強制わいせつ致死及び殺人との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので,結局以上を1罪として最も重い殺人罪の刑で処断)
刑種の選択 無期懲役刑を選択
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
(検察官の求刑:無期懲役 弁護人の科刑意見:懲役17年)
平成30年3月7日
東京地方裁判所刑事第11部
裁判長裁判官 任介辰哉 裁判官 薄井真由子 裁判官 山井翔平

男性被疑者が3歳男児に強制性交等の疑い トイレに連れ込んだ男児の尿飲む、強制性交の疑いで男逮捕 

 男児に強制性交というと違和感がありますが、改正前は強制わいせつ罪(176条後段)で、改正後は強制口腔性交・肛門性交罪(177条後段)になるので、法定刑も5年以上になります。



第一七六条(強制わいせつ)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第一七七条(強制性交等)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
〔平一六法一五六・平二九法七二本条改正〕

児童ポルノCD1枚所持→H29.10.10捜索→罰金30万円(盛岡簡裁H30.5.1)→減給1/60 6ヶ月

児童ポルノCD1枚所持→H29.10.10捜索→罰金30万円(盛岡簡裁H30.5.1)→減給1/60 6ヶ月
 単純所持の罰金だとこれくらいの懲戒のようです。
 所持だけでは児童虐待性も弱いという評価でしょうか。
 奥村が担当した削除後に捜索受けちゃった人は、所属長から口頭注意でした

https://www.iwate-np.co.jp/article/2018/5/15/14248
児童ポルノ所持、職員を減給処分 盛岡市
2018.05.15
 盛岡市は14日、児童買春・ポルノ禁止法違反罪(単純所持)で盛岡簡裁から罰金30万円の略式命令を受けた水道維持課の係長級の男性(50)を減給6カ月(60分の1)の懲戒処分とした。
 市によると、男性は2016年10月ごろ、児童ポルノのCD—R1枚をインターネットで購入して所持。昨年10月10日に警視庁の家宅捜索を受けた。男性は書類送検され、盛岡簡裁から1日に略式命令を受けた。男性は10日に罰金を納付した。
 市によると、男性は「性的好奇心を満たす目的で所持した。順法意識を欠く行いだった。二度とこのような行為はしない」と話している。男性は業務を続けている。

「児童に胸などを露出した写真4枚を送信させ、その後もわいせつな画像の送信を要求し、少女が断ると、「ここで返信途切れたら(写真を)さらすから」などとメッセージを送信していた。」という場合の罪名(強制sextting)

 画像を撮影送信させたのは、児童ポルノ製造罪になるとして、
 脅迫の部分をどう評価するかが分かれていて、
 従前は強要(未遂)罪とするのが主流でしたが、
 最近は強制わいせつ(未遂)罪とするものが出てきています。強制わいせつ罪と製造罪の罪数には混乱があります。
大分地裁h23.5.11 (併合罪
札幌地裁H29.8.15(併合罪
高松地裁丸亀H29.5.2(併合罪
高松地裁H28.6.2(観念的競合)
 奥村が強制わいせつ罪説を唱えた事件では、東京高裁等で強要罪とされています。

中3に自画撮り強要 防衛医科大生を逮捕 未遂容疑で警視庁
2018.05.11 読売新聞
 女子中学生に裸の自画撮り写真を送らせたなどとして、警視庁赤羽署は11日、埼玉県所沢市の防衛医科大1年の少年 (19)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純製造)と強要未遂の疑いで逮捕したと発表した。
 発表によると、少年は1月、スマートフォンの出会い系アプリで知り合った当時中学3年の女子生徒(15)に裸の写真を送信させた上、別の写真を要求し、拒まれると「裸をさらす」と迫った疑い。容疑を認めている。
 少年は当時、予備校生だったが、「テレビ関係の仕事をしている。芸能人に会いたければ、写真を送ってほしい」とうそをついていたという。

https://www.sankei.com/affairs/news/180511/afr1805110010-n1.html
中3少女に裸の画像送らせる 容疑で防衛医科大生を逮捕 
 スマートフォンの出会い系アプリで知り合った当時中学3年の少女(15)に裸の画像を送らせるなどしたとして、警視庁赤羽署は児童買春・ポルノ禁止法違反などの容疑で、埼玉県所沢市の防衛医科大1年の少年(19)を逮捕した。「悪いことだと分かっていたが、性欲に負けてしまった」などと話し、容疑を認めている。
 逮捕容疑は今年1月21日、アプリで知り合った少女に「自分はテレビ関係の仕事をしている。芸能人と会えるから写真を送って」などという誘い文句で胸などを露出した写真4枚を送信させ、自分のスマホに保存したとしている。
 少年はその後もわいせつな画像の送信を要求し、少女が断ると、「ここで返信途切れたら(写真を)さらすから」などとメッセージを送信していた。少女が母親に相談して被害が発覚した。

青少年わいせつ罪(神奈川県青少年保護育成条例31条1項)のわいせつ行為も最判H29.11.29の影響で定義できない

 青少年わいせつ罪(神奈川県青少年保護育成条例31条1項)のわいせつ行為も最判H29.11.29の影響で定義できないと思われます。性的意図を要求する根拠がないです。
 東京高裁s39の定義が今でも残っていますが、真剣交際の大法廷s60.10.23はわいせつ行為にも適用されるのを見過ごして、そのままになっています。

東京高裁s39.4.22
当裁判所は、右「みだらな性行為」とは、健全な常識がある一般社会人からみて、結婚を前提としない欲望を満たすことのためにのみ行なう不純とされる性行為をいい、また、右「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的に羞恥嫌悪の情をおこさせる行為をいうものと解する。したがって、本条例第一〇条第一項は、所論刑法第一七四条、第一七六条ないし第一七九条の各罪と、その犯罪の構成要件を、まったく異にしている。

神奈川県青少年保護育成条例
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t7e/cnt/f4151/p385175.html
みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第31条 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
3 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。

神奈川県青少年保護育成条例の解説S50
(淫行,わいせつ行為の禁止)
第 9条
1何人も青少年に対し淫行,わいせつ行為をしてはならない。
2 何人も青少年に対し前項の行為を教え,またはとれを見せてはならない。
〔要旨〕
本条は,青少年に対してみだらな行為やわいせつ行為をする者,あるいはそれらの行為を故意に教えたり,見せたり する者を対象として,これらの背徳行為を禁止したものである。
〔解説〕
1「何人」とは,第 4条解説の説明のとおりである。
2 「淫行」とは,健全な常識ある一般人から見て,結婚を前提としない不純在性行為をいうもので,単なる欲望を満たすための性交だけを指す「わいせつ行為」
よりも範囲が狭いものである。
3 「わいせつ行為」とは,いたづらに性欲を興奮または刺激して,常識ある一般社会人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反する行為をいうものである。

神奈川県青少年保護育成条例の解説S54
カ 社会情勢は著しく変化し,近年,少女売春等青少年の性に関する非行が氾濫し,大きな社会問題となってきた。このような問題は一部の好ましくない大人の身勝手な行為により,青少年の健全育成を阻害するものであり,青少年の福祉を守るうえから十分配慮しなければならない。
「青少年に対するみだらな性行為・わいせつな行為」は,
刑法売春防止法児童福祉法などいずれの法令によっても取締ることができず,条例でも訓示規定となっていることから.処罰することができ辛かったため.昭和53年10月に条例の一部改正を行い 「みだらな性行為・わいせつな行為の禁止(第 9条)については罰則規定を設け,なお,同条について「みだらな性行為・わいせつな行為」の構成要件を明確にし た。

・・・
(みだらな性行為,わいせつな行為の禁止)
第 9条
1 何人も.青少年に対しみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も青少年に対し前項の行為を教え.又はこれを見せては辛らない。
3 第 1項に規定する「みだらな性行為」とは,健全な常識を有する一般社会人からみて.結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいう。前項に規定する「わいせつな行為」とは,いたずらに性欲を刺激し.又は興奮させ,かっ,健全な常識を有する一般社会人に対し性的し ゅう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
一部改正昭和53年条例38号
〔要旨]
本条は.青少年に対してみだらな性行為若しくは,わいせつな行為をすること又はこれらの行為を教えたり.見せたりすることを禁止したものである。
〔解説〕
1 「何人」とは,第 4条の解説のと#りである。
2 本条の違反行為は,青少年の健全な肉体的.心理的.精神的ないしは,社会的苦成長のすべて若しくはその一部の成長が阻害されると認められる場合をその対象とするものであり,その認定にあたっては.行為の動機,手段及び態様並びに当該行為が青少年に与えた影響等諸般の事情を十分に考慮して.客観的,総合的に判断されるべきものである。従って,青少年に対する行為でも,例えば結婚を前提とした真に双方の合意ある男女間の性行為等は本条に該当しない。

神奈川県青少年保護育成条例の解説h10
(みだらな性行為、わいせつな行為の禁止)
第 19条
1何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せではならない。
3 第 1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、文は興奮させ、かつ、健全な常識を有する 般社会人に対し、性的しゅう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
一部改正(昭和 53年条例 38号)、一部改正(平成 8年条例 31号)

〔要旨〕
本条は、青少年に対してみだらな性行為若しくは、わいせつな行為をすること又はこれらの行為を教えたり、見せたりすることを禁止したものである。
解説
本条は、青少年を対象とした性行為等のうち、健全な育成を阻害するおそれがあるものとして社会通念上非難を受けるべきものを対象としているが、その行為の認定にあたっては動機、手段及び態様並びに当該行為が青少年に与えた影響等、諸般の事情を十分に考慮して、客観的、総合的に判断されるべきものである。
第 1項関係
(1) 「何人も」 とは、条例第 5条の解説のとおりである。
(2) 「みだらな性行為」については、条文の中でも規定されているが、 「結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交」の解釈としては、 「人格的交流のない性交」 を象徴するものであり、これをさらに詳しくいうと次の場合を指すものである。
① 青少年を誘惑し、威迫し、欺商し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為
② 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為
( 3 )本項の例としては、成人が、結婚の意思もないのに、青少年を言葉巧みに誘って、単に自己の情欲を満たすために性交じた場合や青少年の性器等を手でもてあそぶなどした場合などがこれに当たるが、結婚を前提とした真に双方の合意ある男女間の性行為は、該当しないものである。

l コンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)の素材となった写真の被写体である児童と全く同一の姿態,ポーズをとらなくても,当該児童を描写したといえる程度に,被写体とそれを基に描いたCG画像等が同一であると認められる場合には,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ等処罰法」という。)2条3項の「児童の姿態」に該当する2児童ポルノ製造罪の成立には,被写体の児童が,児童ポルノ製造の時点及び児童ポルノ等処罰法施行の時点におい

 まだ上告審やってるんだ。

判例タイムス1446号
l コンピュータグラフィックス(以下
「CG」という。)の素材となった写真の
被写体である児童と全く同一の姿態,ポ
ーズをとらなくても,当該児童を描写し
たといえる程度に,被写体とそれを基に
描いたCG画像等が同一であると認めら
れる場合には,平成26年法律第79号に
よる改正前の児童買春,児童ポルノに係
る行為等の処罰及び児童の保護等に関す
る法律(以下「児童ポルノ等処罰法」と
いう。)2条3項の「児童の姿態」に該当
する
2児童ポルノ製造罪の成立には,被写
体の児童が,児童ポルノ製造の時点及び
児童ポルノ等処罰法施行の時点において
18歳未満であることを要しない



対象事件
平成29年1月24日判決東京高等裁判所第lO刑事部平成28年(う)第872号児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件裁判結果|破棄自判,上告原審|東京地方裁判所平成25年(特わ)第1027号平成28年3月15日判決

4本判決の意義等
(1)本件は,写真を基に作成されたCGが児童ポルノに当たるとして起訴された初めての事案であると思われる。
まず,児童ポルノは,被写体と完全に同一のものを描写したものに限られるのかという点については,児童ポルノ等処罰法の立法過程における議論においても,同法の規制の趣旨等から,必ずしも,完全に同一のもののみを指すことを前提とした議論はされておらず(立法過程においては,「その他の物」〔同法2条3項〕として,絵が含まれることを前提とした議論もされているところである。),本判決は, このような点も踏まえ,完全な同一物に限られるものではないとの判断をしたものと思われる。
この点について, これまで明示的に判示された例は見当たらず,本判決が, この点について判示した点には一定の意義があるものと思われる。
また,本件は,作成したものがCGである点にも特徴があるが,本判決は, CGであることから直ちに児童ポルノ該当性を判断するのではなく,あくまで,実在する特定の児童を描写したといえる程度に, その被写体と作成されたCGが同一といえるか否かを判断するに当たり,作成手法を一つの考慮要素と位置付けて検討している。
本判決中で指摘されているとおり,複写の技術等が高度に進んでいる現代の技術を前提とすると,仮に,写真撮影や複写による場合であっても,容易に加工を施すことができ, それにより,特定の児童を描写したと判別できない程度に画像が変化することもあり得る反面,手描きであっても,忠実に描写することで,特定の児童を被写体としたことが明らかな場合もあると思われるところ,作成された画像等から,特定の児童を描写したと判断できる場合には,当該児童の権利侵害が生じ得るのであるから, その同一性の判断に当たっては,作成手法如何ではなく,基本的には,製造された画像等とその被写体の比較によって判断するほかなく,作成手法や作成の動機等の事情は, その判断の際の一つの考慮要素となるにすぎないと思われる。
本判決は, このような複写や画像作成の技術等に関する現代の実情等も踏まえて,同一性に関する判断を示したものと思われる。
(2)次に,被写体がいつの時点で児童である必要があるのかという点については,児童ポルノ等処罰法の保護法益の捉え方との関係で問題となる。
すなわち,児童ポルノ等処罰法が,児童の権利保護を目的とすること自体については,同法’条の文言等から明らかであるが, それのみを目的とするものであるか否かについては,条文上必ずしも明らかでないところ,仮に,純然たる児童の具体的権利保護のみを目的ととらえると,本件のように,古い時代に撮影された児童の写真等を利用して別の画像を製造するなどした場合,行為の時点, さらには, そもそも法が施行された時点で,権利を保護すべき児童が存在しないという事態が生じ得るからである。
保護法益の点については, これまでにも,児童を性欲の対象としてとらえる風潮の助長等に触れた裁判例が出されており(大阪高裁平成l2年lO月24日判決,名古屋高裁平成18年5月30日判決〔判夕1228号348頁〕等参照。
なお,最高裁平成21年7月7日第二小法廷決定〔刑集63巻6号507頁,判夕1311号87頁〕は, 「児童の権利を擁護しようとする同法(筆者注:児童ポルノ等処罰法)の立法趣旨に照らし」との説示部分があるが, それ以外の目的をも含む趣旨か否かについては,直接的には触れられていない。
),立法過程においても,同様の議論がされているところである。
本判決も,基本的に, これらの裁判例に沿うものと思われるが,本判決は,本件後の児童ポルノ等処罰法の改正等の動向も踏まえ,改めて,同法の保護法益等について具体的に検討を加え,一種の社会的法益を保護する側面を有すると結論付けている点で,参考になると思われる。
そして, このような同法の保護法益,趣旨等を前提にすれば,製造の時点や法施行の時点で既に被写体が18歳以上になっている場合でも,児童を性欲の対象とする風潮を助長し,児童の性的搾取や性的虐待につながる危険性を有するという点では変わりがないことなどから,いずれも処罰の対象となると判断したものである。
児童ポルノ等処罰法上,被写体となった人物がいつの時点で児童である必要があるのかという点については, これまで,明示的に判断された例が見当たらないことから,本判決は, この点について初めて判断を示した点で,意義を有すると思われる。
(3)なお,以上のような児童ポルノ等処罰法の解釈に関する判断に加えて,本判決は, タナー法という性発達の評価方法について,基本的な理論の合理性自体は是認した上で,限界もあることを前提に,身体全体の発達の程度も加味して検討するという原判決の判断手法を概ね是認している。
あくまで具体的な事例における判断の一例ではあるが,同種の手法による判断の際の参考となろう。
(関係人仮名)
[判決]
主文
原判決を破棄する。
被告人を罰金30万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。
原審における訴訟費用のうち, 2分の1を被告人の負担とする。
本件公訴事実第2(平成25年9月3日付け訴因変更請求書による訴因変更後のもの)のうち,児童ポルノである画像データを含むコンピュータグラフィックス集「○○」を提供したとする点について,被告人は無罪。

電車内において,不特定又は多数の者が容易に認識できる状態で,殊更自己の陰茎を露出したという公然わいせつ被告事件(行為否認)について、罰金30万円(求刑4月)とした事例(千葉地裁h30.2.15)

 
 不合理弁解しても罰金。
 公然わいせつ行為を対人的に行ったときに、どの程度だと強制わいせつ罪になるのかしら。


>>
千葉地裁h30.2.15
上記の者に対する公然わいせつ被告事件について,当裁判所は,検察官知念浩二,西村圭一及び私選弁護人真田範行各出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
 被告人を罰金30万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,平成28年10月31日午後零時26分頃,千葉市〈以下省略〉a株式会社b駅に停車中の電車内において,不特定又は多数の者が容易に認識できる状態で,殊更自己の陰茎を露出し,もって公然とわいせつな行為をした。
 (証拠の標目)
 (事実認定の補足説明)
 1 弁護人は,被告人は電車内でズボンのチャックを閉め忘れていたが,陰茎を露出したことはなかったと主張し,被告人もこれに沿う供述をしているので,判示のとおり認定した理由について補足して説明する。
 2 証拠によれば,次の事実が認められ,これらの点は,弁護人及び被告人も争っていない(以下,日付はいずれも平成28年10月31日を示す。)。
  (1) 被告人は,午後零時5分頃,a社c駅からa社b駅行きの○○線上り電車の2両目の車両に乗車した。同電車は,午後零時26分頃,b駅に到着した。
  (2) A(以下「証人A」という。)は,b駅ホーム上において,被告人の腕をつかんで運転士のところまで連れて行き,同運転士に被告人が陰部を露出していた旨を告げ,同運転士とともに,被告人を同駅西口改札に連れて行った。千葉県警察本部地域部鉄道警察隊所属の警察官である証人B(以下「B警察官」という。)は,午後零時32分頃,同駅西口改札に臨場し,被告人に対する職務質問を行った。
  (3) 被告人は,本件当時,ジーンズの下に黒色パンツを着用していた。その黒色パンツは,いわゆるボクサーパンツタイプのものであり,前開き部は,伸縮性の高い左右対称の化学繊維が2枚重ねられた形状であって,その2枚を左右にずらすことで,前開き部が容易に開放されるものである。
 3 証人Aは,当公判廷において,次のとおり証言する。
  (1) a社d駅からb駅行きの電車に乗り込み,座席に座ると,正面の座席に女性が座っており,その隣には被告人が座っていた。被告人は,足首を反対側の膝の上に乗せ,上半身は,両手のひらを両肘付近に当てて腕を組み,両腕を肩のあたりの高さまで持ち上げるというコサックダンスのような姿勢をとっており,途中で何度か足を組み替えた。被告人は,目をつぶっていたが,時々薄目を開けて,隣の女性を見ていた。被告人のズボンのチャックが開いていることに気が付いたので,駅に着いたら,チャックを上げるように教えてあげようと考えた。
  (2) 電車がb駅に到着すると,チャックが開いていることを教えようと,被告人に二,三歩近づいたところ,ひし形に開いていたチャックの中に,丸みを帯びた棒状の男性器が見えた。男性器は肌色で,中央部分は光沢があり,皮が伸びているようであった。男性器の亀頭部分は見えなかった。その際に,被告人の両腕は前記のコサックダンスをしているような形で,足首を反対の膝にのせた体勢のままであった。
  (3) 証人Aは,「何をしている。」と言って,かばんを持っていない方の手で被告人の手首をつかみ,電車の外に引きずって降ろした。被告人は,「眠っていただけだ。」,「爆睡していた。」などと述べていた。証人Aが被告人の腕をつかむ前の時点で,被告人がジーンズのチャックを上げたことはなかった。
 4 証人Aの証言の信用性について検討する。
 証人Aは,本件当日,たまたま被告人と同じ電車に乗り合わせた者であり,それまで被告人と面識はなく,偽証罪による制裁のもとで,殊更に虚偽の証言をする動機はないといえる。また,同証人は,被告人に陰茎が露出していることを指摘し,電車の運転士にその旨を告げて以降,一貫してその事実を述べている。
 問題は,同証人の証言内容に見間違いや勘違いがあるかどうかであるが,同証人は,被告人のジーンズのチャックが開いていることに気付き,そのことを注意しようとして,被告人に近づいたのであり,ジーンズの前開き部の状態について,意識的に見ていたといえる。そして,同証人の視力は0.8であるところ,当時は日中の電車内であり明るかったものと考えられるし,男性器を見た際には,被告人の正面に立って,約1メートルの至近距離から,座席に着席していた被告人の下腹部を斜めに見下ろすような角度で見ており,視界を遮るものはなかったのであって,その観察条件も良好であったといえる。また,ジーンズの前開き部付近に,陰茎と見間違えるような物は存在していなかった。その証言内容を見ても,目撃した男性器の中央部に光沢があったなどと具体的に述べており,短い時間ながらはっきりと観察したことがうかがわれる上,亀頭の位置について確認していないので,向きについては分からないなどと述べるなど,目撃したものとそうでないものについて,明確に区別して証言しており,その証言態度も真摯なものといえる。
 これらの点からすれば,同証人の証言内容に見間違いや勘違いがあるとはいえず,同証人の証言は十分に信用できる。
 これに対し,弁護人は,①証人Aは捜査段階の当初は被告人は終始同じ体勢であったと供述していたにもかかわらず,公判廷では足を組み替えたと証言しており,証言の重要部分に変遷があると主張する。また,②証人Aがいうとおり,被告人が何度も足を組み替えたのであれば,ジーンズの前開き部も徐々に閉まっていくのであり,大きく開いたままであることは客観的にあり得ない,③パンツの前開き部についても,被告人が足を組み替えたのであれば,その伸縮性により自然に閉じられるものであり,陰部ばかりでなく下腹部まで見えたというのは,なおさらあり得ない,また,④パンツの前開き部が証人Aが証言するような状態になるためには,被告人が積極的に開口する動作をしなければならないが,証人Aの証言によれば,被告人は腕を組んだままの姿勢であったのであるから矛盾するし,電車内で,その股間に手をやり,ジーンズの中に手を入れ,パンツを開口する動作をすれば,左隣の女性や他の乗客が気付くはずであるが,そのような事実は見当たらないなどとして,証人Aの証言内容は,客観的にあり得ないと主張する。
 しかしながら,①証人Aが捜査段階において,被告人が同じ姿勢であったと述べたのは,被告人が,終始,腕を組み,足を反対側の膝の上に乗せる形の姿勢をとっていたという趣旨を述べたものと認められるから,同証人の証言が,弁護人指摘の点について,実質的に変遷しているものとはいえない。また,弁護人が証人Aの証言する態様が客観的にあり得ないと主張する点に関して検討すると,②証人Aの証言内容を全体として見ると,被告人が足を組み替えたのは,証人Aが被告人のジーンズのチャックが開いていることを確認する前であると解することができ,足を組み替えることによってジーンズやパンツの前開き部が閉じるはずであるという弁護人の主張は,その前提が異なるものである。また,仮に,ジーンズの前開き部が開いているのを確認した後に,被告人が足を組み替えたことがあったとしても,被告人が足を組み替えることによって,ジーンズの前開き部について,必ずしも徐々に閉まっていくものとはいえず,足を組み替えてもジーンズの前開き部が開いたままであることも十分考えられるから,この点についての弁護人の指摘は当たらない。また,④パンツの前開き部が開口するためには,被告人が積極的に開口する動作をしなければならないというのは,その通りであるが,証人Aが被告人を注視していないうちに,被告人が陰茎を露出する動作を行ったということが十分に考えられるし,当時の電車内の混雑具合は,少なくとも証人Aと被告人との間に立っている乗客はいない程度のものであって,座席に座った状態にある被告人のジーンズの前開き部付近の状態を確認できる位置には多くの人がいなかったものと認められる上,至近距離にいた被告人の隣の席の女性もスマートフォンを操作していたのであるから,被告人が前開き部を開ける動作をする際に,隣の席の女性や他の乗客が気付かなかったということも十分にあり得るから,弁護人が指摘する点をもって,証人Aの証言の信用性が損なわれるとはいえない。
 他方で,確かに,弁護人が指摘するとおり,③黒色パンツの前開き部が開いたままであったことや,その前開き部から陰茎の左右に下腹部が見えたというのは,黒色パンツの前開き部の形状,性質等からして,不自然であるとも考えられる。しかしながら,証人Aは,陰茎が露出しているのを目撃し,その驚きや,その後すぐに被告人を確保する行為に移っていることなどの理由から,陰茎の周辺の状態について正確に記憶ができなかったということも十分に考えられる。黒色パンツの前開き部から亀頭部分も含めて陰茎が出て,亀頭部分がジーンズに隠れている状態であれば,被告人の動きにもかかわらず,証人Aが証言するとおりに陰茎が見える状態であったということも十分に考えられるところ,証人Aは,陰茎が出ていることを被告人に直接指摘し,それ以降一貫して陰茎が出ていた旨を明確に供述しているのであって,前記のとおり,陰茎の周囲の状態について不自然な証言をしていることをもって,陰茎が出ているのを目撃したという証言の核心部分の信用性が揺らぐものではない。その他に弁護人が主張する点を検討しても,証人Aの証言の信用性を左右するものではない。
 以上より,証人Aの証言は十分に信用できる。
 5 これに対し,被告人は,c駅でb駅行きの電車に乗ると,両腕を組み,左足を右膝に乗せた状態で座席に座っていたが,すぐに寝てしまった,b駅に着き目が覚めると,男性に「チャック開いているぞ。」と声を掛けられた,チャックを確認すると開いていたので,お礼を言って,座ったまますぐにチャックを閉めると,その男性は,いきなり「おまえ,それ犯罪だよ。」と言ってきた,びっくりして被告人が電車から降りると,男性にいきなり腕をつかまれ,ホームの先頭の電車の運転士のところまで連れて行かれた,などとと供述している。これを前提に,弁護人は,証人Aは,チャックを上げようとした際の被告人の指を男性器と見間違えた可能性があると指摘する。
 ところで,被告人のジーンズのチャックの状態に関し,本件直後にb駅西口改札に臨場して,被告人に対する職務質問に当たったB警察官は,公判廷において,職務質問開始の段階で,被告人の履いていたジーンズのチャックは全開になっており,その後,駅事務室内に移動した後,被告人はチャックを閉めたと証言する。同警察官は警察官としての職務上,公然わいせつの疑いで確保された被告人の職務質問に当たっており,チャックの状態を意識的に観察し,記憶しているものと認められるところ,チャックが開いていた状態やチャックを閉めたタイミングについても詳細に述べており,その証言の内容は,具体的かつ自然なものであって,同警察官の証言は信用できる。弁護人は,被告人が西口改札に至るまで,チャックが開いたままの状態であったというのは不自然であると主張するが,被告人は,公然わいせつ行為を行ったとして,腕をつかまれ連行されたのであるから,その際にチャックを閉めることをしなかったというのも自然なことである。
 そして,このB警察官の証言からすると,被告人は,証人Aから声を掛けられた際に,すぐにジーンズのチャックを閉めることはせず,B警察官の面前でチャックを閉めたものと認められるから,証人Aから声を掛けられ,チャックが開いていることを指摘された際に,すぐにチャックを閉めたとする被告人の公判供述は信用できず,チャックを閉める際の被告人の指を陰茎と見間違えたとする弁護人の主張は採用できない。
 6 以上のとおり,信用できる証人Aの証言によれば,b駅に到着した時点において,被告人の履いていたジーンズの前開き部が開いており,その部分から,陰茎が露出していたことが認められる。
 そして,被告人がジーンズの下に,ボクサーパンツタイプの黒色パンツを履いており,その前開き部の形状等からすれば,被告人の故意によらずに,黒色パンツの前開き部が開き,陰茎が露出する状態になることは考えられないから,被告人が故意に陰茎を露出したものと認められる。
 よって,判示のとおりの事実を認定した。
 (法令の適用)
 罰条 刑法174条
 刑種の選択 罰金刑を選択
 労役場留置 刑法18条
 (量刑の理由)
 被告人は日中の電車内で陰茎を露出しており,大胆な犯行である。もっとも,その犯行態様を具体的に見ると,被告人は,座席に座った体勢のまま,ジーンズのチャックを開けて,その中に陰茎が見えるような形にして露出したのであり,他の同種の事案と比較すると,健全な性秩序を害する程度が特に高い態様の犯行であるとはいえない。また,被告人は,警察官として,行為の違法性を十分に認識し,法律の遵守を強く求められる立場にありながら,本件犯行に及んでおり,警察官の職務に対する社会的信用を損なう犯行であるという点においても,より強い非難に値する。もっとも,本件は,被告人が非番の際に,職務とは無関係に行った犯行であり,職務上の立場を利用した犯行ではなく,その責任非難を加重する程度には,おのずから限界があるというべきである。
 そうすると,被告人の刑事責任は軽いものではないものの,本件について懲役刑を選択するほかはないとまではいえず,被告人が当公判廷においても不合理な弁解に終始し,反省の態度は見られないこと等を考慮しても,被告人に対しては,主文の罰金刑に処するのが相当であると判断した。
 (求刑 懲役4月)
 千葉地方裁判所刑事第3部
 (裁判官 小西安世)

中村孝検事曰く「撮影行為に着手(シャッターを押す行為等)した以上,電池切れ機器の故障等により画像が記録されなくても,「撮影」に該当すると解すべきである」が、「東京都の迷惑防止条例は,盗撮行為に関して,「撮影した」(8条2項)と規定している上,その他の卑わい行為よりも法定刑を重くしていることからすれば,より厳格な解釈が要求され記録媒体に画像か記録されて初めて「撮影した」との構成要件に該当する」

 よくわかりません
 強制わいせつ罪ではカメラ向けるところまででわいせつ行為と評価できなくもないですが、児童ポルノ製造では記録されてないと成立しません。

中村孝「いわゆる迷惑防止条例違反の正否が問題となった事例」研修 第671号 
(注1)この点に関連して,そもそも「撮影」とは何かという問題がある.カメラのシャッタ-を押す行為があっても実際に記録媒体に画像が記録されなければ撮影とはいえないという考え方もあり得よう(この考え方によると,「撮影」が別個に規定されている条例においても,画像が記録されていない場合には,その他の「卑わいな言動」に該当すると解することになろう).
しかし,そもそも婦女の衣服で覆われている着衣内の下着等を撮影しよとする行為自体,いやらしくみたらな動作であって性的道義観念に反し,婦女に性的羞恥心,嫌悪感を憶えさせ,又は不安を覚えさせるに足る行為と評価できるのであり,そうだとすれば,撮影行為に着手(シャッターを押す行為等)した以上,電池切れ機器の故障等により画像が記録されなくても,「撮影」に該当すると解すべきである(事案は異なるが,狩猟鳥獣を狙い洋弓銃で矢を射たものの,矢が外れてしまい鳥獣を取り逃がした事案について,いわゆる鳥獣保護法が禁止する「捕獲」に当たるとした最高裁判例(最判平8 2.8判時1558 143)にかんがみても,妥当な解釈だと思われる).また,このような解釈は,多くの迷惑防止条例の構成要件が,「撮影した」ではなく.「投影すること」と規定されていることからも根拠付けられよう。
これに対し,東京都の迷惑防止条例は,盗撮行為に関して,「撮影した」(8条2項)と規定している上,その他の卑わい行為よりも法定刑を重くしていることからすれば,より厳格な解釈が要求され記録媒体に画像か記録されて初めて「撮影した」との構成要件に該当し,撮影行為に着手したものの記鐘されなかった場合には,その他の卑わい行為(条例8粂1項)に該当すると解することになると思われる。

未成年誘拐の被害者が成人した場合。

 誘拐事件の弁護人なので、チェックしておく。
 逮捕監禁がないとすると、状態犯説だと、誘拐のときに犯罪は終わっていて、継続犯説だと、成人する時まで犯罪が継続していることになるんだな。
 保護法益が分からないときは、「両方だ」と言っておくわけだな。

http://www.sankei.com/west/news/180504/wst1805040014-n1.html
逮捕容疑は、昨年7月中旬ごろ、浜田市内で女性が未成年者であることを知りながら誘拐し、自宅で寝泊まりさせていたとしている。
 女性は昨年7月22日午後11時半ごろから行方不明になり、県警が公開捜査していた。今月3日午後6時15分ごろ、「近くで女性の泣き声が聞こえる」と住民から通報があり、警察官が駆け付けると、容疑者の自宅の居間で女性が泣いていたという。

第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。
第229条(親告罪
 第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
〔昭三九法一二四・平一七法六六・平二九法七二本条改正〕

条解刑法
l )本条の趣旨
本章の罪の保護法益に関しては,被拐取者の自由とする見解,被拐取者に対する保護者の監護権とする見解,基本的には被拐取者の自由であるが,監護権も保護法益であるとする見解等に分かれている。最後の見解が判例通説であり,保護者のいない未成年者についても,行動の自由を意識できない嬰児についても,本章の罪が成立するとの結論を合理的に説明するものである。もっとも,監護権について,保護者の利益と捉えずに,保護されている状態(人的保護関係)と理解する見解や,被拐取者の本来的な生活場所における安全と行動の自由が保護法益であるとする見解もあり,保護法益を被拐取者の利益に還元しながら,同じ結論を導こうとする。
保護法益に関する見解の相違は,略取・誘拐罪が継続犯か状態犯かという問題にも影響し,保護法益を被拐取者の自由とする見解は継続犯と捉え,保護者の監護権とする見解は状態犯と捉えることにつながる。下級審の裁判例には継続犯であると明言するもの(東京高判昭31・8・20判タ62-72,大阪高判昭53・7・28高集31-2-118)や状態犯であると明言するもの(東京高判平14・3・13東時53-1=12-31)もあるが,最高裁大審院判例は必ずしも明らかではない(継続犯と解するようにみえるものとして大判大13・12・12集3 871,大判昭4・12・24集8688,拐取罪の既遂時期に関する判示から状態犯と解しているとみる余地のあるものとして大判昭13・11・10集17799,誘拐罪と逮捕・監禁罪の罪数に関する判示から状態犯と解しているとみる余地のあるものとして最決昭58・9・27集37ー7-1078)。
本条は,未成年者は一般に思慮が浅薄であることから.成人よりも厚く保護しようとするものであり,成人と異なり,営利等の目的(225・225の2・226参照)がない場合であっても犯罪が成立することになる。
本条の罪は親告罪である(229
客体
未成年者である。20歳未満の者をいう(民3)。婚姻した未成年者は,民法上は成年に達したものとみなされるが(民753),本条の罪の客体からは除外されない。生後2日目の嬰児も客体となり得る(東京高判昭37・7・20判時31921