児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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教員が中学生と児童買春したら、児童に撮影されて、数回恐喝され、警察に相談したら、児童買春容疑で逮捕された事例

 恐喝の相談では自首になりませんので逮捕されることがあります。逮捕されると意味がありません。
 常套手段としては、経験がある弁護士に相談した上で、児童買春を自首して逮捕を回避することです。恐喝の被害相談は後です。それで恐喝も止みます。

https://digital.asahi.com/articles/ASL7L4G31L7LOIPE018.html
講師が元教え子買春容疑 ばらすと脅迫容疑の少年も逮捕
2018年7月18日21時09分
 元教え子の少女を買春したとして、愛知県警は18日、市立中学校元臨時的任用講師容疑者(45)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕。また、県警は買春行為を巡って、容疑者から金を脅し取ったとして、元教え子を恐喝容疑で書類送検、その知人の少年3人を同容疑で逮捕し、発表した。

 豊川署によると、容疑者は昨年3月18日、愛知県豊橋市内のホテルで、元教え子(16)が18歳未満と知りながら、現金2万5千円を渡してみだらな行為をした疑いがある。

 また、元教え子と知人の少年3人は昨年3月23日、容疑者が勤務する学校内で、「先生、こんなことやっとったらいかんじゃん」などと言って、現金30万円を脅し取った疑いなどがある。

 昨年3月、容疑者が買春をしている様子を、元教え子が撮影。その写真をもとに、元教え子と17~18歳の知人の少年らから約1年間にわたり、総額約140万円を脅し取られていたという。少年らが何度も勤務先の中学校まで金を要求しに来たため、容疑者が今年4月、警察に相談。買春と恐喝事件が発覚。元教え子と少年3人は、いずれも容疑者の勤務先の卒業生だという。

 豊川市教委によると、容疑者は1997年11月に講師として任用され、理科を担当。6月21日付で依願退職した。

元中学講師を逮捕 愛知県警
https://mainichi.jp/articles/20180719/k00/00m/040/186000c

 愛知県警は18日、元臨時中学講師容疑者を児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)容疑で逮捕した。逮捕容疑は、昨年3月18日、同県豊橋市のホテルで、元教え子の少女(17)に2万5000円を渡し、わいせつな行為をしたとしている。容疑を認めている。

 県警によると、容疑者は2016年夏、交際相手を募る少女のツイッターを見て連絡した。少女と同じく容疑者の元教え子で、交際を知った少年らから計140万円を脅し取られたとして県警に被害届を提出し、6月21日付で中学校を依願退職していた。

 県警は18日までに、容疑者への恐喝容疑で、豊川市内に住む17~18歳の会社員の少年3人も逮捕した。逮捕容疑は昨年3月23日と今年3月28日、「子どもが腹におる」などとだまし、計60万円を支払わせたとしている。いずれも容疑を認めている。

 容疑者は1997年から同市の市立中で、臨時や非常勤の理科講師として勤務していた

自画撮予防キャンペーン

 国法の解釈としては、製造主体が限定されてないので、ホントに自発的に撮って送った児童は、2項提供罪、3項製造罪の単独正犯にするしかないよね。フリーおっぱいとかになると、6項公然陳列罪とか7項製造罪になる。児童が主体になりうるという判例もある。
 これを前提にすると、自撮りを頼んだ方は、2項提供罪、3項製造罪の共犯(教唆・共同正犯)になって、頼まれた方(児童)はそれらの正犯・共同正犯になる。これが国法の解釈。

 自撮り規制の条例というのは、このうちの教唆行為だけを撮影着手前に処罰しようとするもので、本来国法の守備範囲。
 画像拡散を予防するという趣旨は分かるが、児童自身が2項提供罪、3項製造罪の単独正犯になるという国法があって、禁止規範は児童にも向けられているので、条例で「被害に遭わないように」と呼びかけるのは、国法の趣旨を歪めるものだろう。
 児童を被害者扱いにして、児童は処罰しないという立場は、正解だと思うが、児童ポルノ・児童買春法の制定時点からあったが、実現せず、今の法文になっている。
 被害児童が処罰されうるという国法を改正するとか、製造罪の未遂罪を設けるというのが筋だ
 ネット上の行為を条例で実効的に規制出来るかという疑問もある。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

https://id.nikkei.com/lounge/auth/password/proxy/post_response.seam?cid=4740775
「自画撮り」被害防げ 愛知県警が高校生向けシンポ
中部
2018/7/17 20:17
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 夏休みを前にインターネットで知り合った相手に自分の裸の画像などを送る「自画撮り」の被害を防ごうと、愛知県警は17日、高校生向けのシンポジウムを名古屋市で開いた。

自画撮り被害の防止策をポスターで発表する高校生(17日、名古屋市
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自画撮り被害の防止策をポスターで発表する高校生(17日、名古屋市

 シンポジウムには県内の高校生約200人が参加。このうち20人が自画撮りの防止策を話し合い、ポスターにまとめて発表した。名古屋経済大学高蔵高校2年の江淵弘空(ひろたか)さん(17)は「自画撮りが身近に起こりうると分かった。友人に危なさを知らせたい」と話した。

 県警少年課によると、県内で2017年に児童ポルノ事件の被害に遭った子供は63人で、過去最多を更新。3割以上を自画撮りの被害が占める。

 講師を務めた兵庫県立大の竹内和雄准教授は「夏休みは自由な時間が多く、SNS(交流サイト)で知り合った大人と会う生徒もいる。SNSの正しい使い方を学び、事件に巻き込まれないよう気をつけて」と呼びかけている。

https://toyokeizai.net/articles/-/229309
「自分の裸写真」送る中高生女子のヤバい認識
オンラインとオフラインの区別がない子供達

子どもたちは、なぜ「自分の裸の写真」を送ってしまうのでしょうか(写真:Graphs /PIXTA
「ライブに行くおカネがほしい」
ある日、ツイッターで何の気なしにそんな投稿をした中学生女子のAさん。すると、見知らぬアカウントから「裸の写真を送ってくれたら、おカネをあげる」とメッセージが送られてきた。おカネがもらえるならと思った彼女は、自分の写真を送信。

ところが、送信後、相手は自分と付き合うよう要求し、断れば「写真をばらまく」と脅してきた。Aさんが拒否すると、相手は写真をネット上にアップロードして、それが拡散。いまも写真がネット上に残っているという。

こうした子どもの「自画撮り被害」が増えている。自画撮り被害とは、未成年がだまされたり、脅されたりして、自分の裸の写真をメールやSNSで送らされる被害のことだ。

警察庁が発表した「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」(2018年4月)によると、SNSが原因となる犯罪の被害児童数は過去最多。児童ポルノ及び児童買春事犯が増加傾向にあるという。また、同庁の「平成29年上半期における子供の性被害の状況」によると、児童ポルノのうち「自画撮り」被害が4割強と最多。被害者の内訳は中学生が5割、高校生が4割と中高生が大半を占めるが、小学生以下も1割弱いる。

2018年5月には、ツイッターで知り合った17歳少女に自分のわいせつな写真を送るよう要求した33歳男が、東京都の青少年健全育成条例違反容疑で書類送検されており、自画撮りの要求行為で摘発された全国初の事例となった。ほかにも同5月、ツイッターで知り合った男子中学生に自画撮り写真を送らせた26歳の男が、児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕された。

子どもたちが「裸の写真」を送る事情
なぜ子どもたちは見知らぬ男たちに裸の写真を送ってしまうのか。その背景には、スマートフォンが広く普及し、子どもたちの間で「自撮り」や、撮った写真を送り合うことが一般的になっていることがある。

同時に、SNSの利用が浸透していることも大きく影響している。子どもたちはスマホネイティブ、SNSネイティブ世代であり、人間関係に「オンラインとオフラインの区別」をつけない。それゆえ、SNSで交友関係を広げ、信用した人間には個人情報も教えてしまうのだ。

冒頭で紹介したような事例はほかにもある。

同じバンドが好きな同級生の女の子とツイッターで親しくなった高校生女子のBさん。悩みなども打ち明け合う仲になったが、あるとき、自身の体型の話に。先に裸の写真を送ってきたのは相手のほうだった。

Bさんが「太ってないよ」と送ると、「私が(写真を)送ったのにBは送ってくれないの?」と返ってきた。嫌われるのを恐れた彼女は、しぶしぶ自分の裸の写真を送った。

だが、その直後、女の子だと思っていたアカウントの主は「実は男」と告白したうえで、「この写真をばらまかれたくなかったら言うことを聞け」と脅してきた。その男の脅しに従ったBさんは、最終的には性被害にあってしまった。

「あまりにしつこく請われて送ってしまった」例もある。子どもたちはネットで知り合った相手を信じ、嫌われることを恐れる傾向にある。送ってしまったらどうなるかというリスクを考えられず、目先の嫌われる恐怖感から軽率な行動に出てしまう。

中学生女子のCさんは、自分の裸の写真がネット上に広まり、消せないままでいた。そのために、みんなが自分の陰口を叩いているのではないかという疑念が解消できず、引きこもりになってしまった。

自画撮り写真のいちばんの問題はリベンジポルノ問題と同様に、一度、広まった写真は消すのが難しい点だ。インターネット上に写真が掲載されたり、拡散されたりすることで、多くの人の目に触れて、将来にわたり精神的な苦痛を受け続ける可能性がある。

自画撮り被害が増えたのに伴い、各自治体も動いている。2018年2月、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の一部が改正された。これにより、18歳未満の未成年に自画撮り画像を送るよう不当に求める行為自体が罰則に問えるようになった。この結果、前述の摘発にもつながった。
東京以外の自治体も続いている。兵庫県でも、2018年4月より兵庫県少年愛護条例の規定が改定されて、未成年に不当に自画撮り写真を要求する行為に罰則を規定。福島県でも、同様に青少年健全育成条例を改正し、要求行為に罰則を設ける予定だ。

既存の「児童ポルノ禁止法」では、18歳未満の未成年の裸の写真の単純所持は禁止しているが、要求行為だけでは取り締まることができない。そんな事情から、このように自治体が独自の規定を設け始めている。

ネットを利用する上で、子どもに教えたいこと
きちんと対策さえ打てば、自画撮り被害は防げる。子どもたちがSNSを通じて交友関係を広げることを止めるのは難しいが、「裸の写真を撮らない」「残さない」「他人に送らない」ことを徹底させることはできる。たとえ信頼する友人や交際相手に頼まれても裸の写真は絶対に送らないことを、子どもにはしっかりと伝えたい。

また、インターネットでは「正体を偽れる」ことも教えるべきだろう。加害者は性別・年齢・職業など、プロフィールを偽っている可能性が高い。同年代の同性と思っていてもなりすましの可能性があることを知り、万一に備えて必要以上の個人情報は渡さない、会いに行かないなどリスクに備えるべきだろう。

最近では、警察本部や最寄りの警察署、インターネット・ホットラインセンターなどに相談すると、児童ポルノ写真は削除するよう動いてもらえる。実際、依頼件数のかなりの数を削除した実績もある。

(写真:警視庁のサイトより)
東京都が運営する「こたエール」などの相談機関も相談に乗ってくれるので、いざというときのために子どもと共に知っておくと安心だ。

性的暴行の動機を「暇つぶしだった」と説明する場合


 主犯の2名の公判前整理手続では、性的意図ない場合のわいせつの定義を争点にしてください。「わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)」だと、性欲の要件が入っちゃってるから。

「性的意図ない」強制わいせつ罪 徳島県内で初適用
2018.07.16 徳島新聞
男女4人が起訴された徳島市の女性監禁事件で、性的意図のないわいせつ行為に対する強制わいせつ罪が県内で初めて適用され、うち男女2人に12日、実刑判決が言い渡された。従来なら傷害や暴行罪にとどまった可能性もあるが、性犯罪の厳罰化の流れをくんだ47年ぶりの判例変更を受け、法定刑のより重い罪名で裁かれた。主犯格の男女は裁判員裁判の対象で、争点を絞り込む公判前整理手続きが進められている。

捜査関係者によると、事件では主犯格の被告(26)==が見知らぬ女性を風俗店で働かせて金を得ようと計画。夫の被告(34)=同所=の会員制交流サイト(SNS)に偶然連絡してきた女性を狙った。両被告は1月、被害女性を徳島市内の自宅マンションに監禁し、知人の被告(27)ら男女2人=強制わいせつ罪などで実刑判決=と性的暴行を加えたとされる。
公判によると、被告は調べに対し性的暴行の動機を「暇つぶしだった」と供述したという。捜査幹部は「被害女性をいたぶって楽しんでいた。性欲を満たす目的はなくても悪質だ」と指摘する。

県警は逮捕時から、被告ら女2人にも強制わいせつ致傷や強制わいせつ容疑を適用した。従来の判例では「自らの性欲を満足させる意図がなければ、強制わいせつ罪は成立しない」とされていた。県警幹部は「被告らの供述通りに罪を適用すれば、以前ならより法定刑の軽い暴行か傷害罪しかなかっただろう」と明かす。

判例変更は昨年11月、甲府市の男が少女の体を触り裸を撮影した強制わいせつ事件に対する最高裁判決で行われた。男は「知人に頼まれた」と性的意図を否定し、強制わいせつ罪が成立しないと主張したが、最高裁は「性犯罪は国民意識の変化で処罰が必要な行為の範囲が変わる。性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当ではない」と退けた。

強姦罪の名称を強制性交罪に改め、法定刑を引き上げた刑法改正など、近年、性犯罪に対する厳罰化の流れがある。これを受けての判例変更とみられ、女性監禁事件での県警や地検の捜査姿勢にもつながった。

児童と知らずに対償供与の約束して、児童と知って性交等したという児童買春行為について、児童買春罪と青少年条例違反罪が両方適用されて法条競合になるという弁護士

 児童買春罪しか適用されません。
 附則なんか知らないもんなあ。
 この法律で規制する行為=児童買春行為については青少年条例は効力失っているので、年齢不知の児童買春行為についても、青少年条例が復活することはありません。
 青少年条例しかなかった時代には処罰できたのに、児童買春罪ができて、処罰できなくなった行為です。
 立法の過誤というか、条例制定の怠慢ということになります。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律 
附 則 抄
(条例との関係)
第二条 
1地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。
2 前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。

https://www.bengo4.com/c_1009/c_1199/b_684381/
安藤 秀樹 弁護士
宮城 仙台 青葉区
弁護士ランキング 宮城県4位
明らかに各県の青少年保護育成条例違反となると思います。
2018年07月14日 19時55分

お金を払っている場合には,より重い児童ポルノ禁止法違反になります。
お金を払っているから条例が無効になるわけではなく,もっと重い罪に当たるのでそちらで処罰することになります。
2018年07月15日 11時16分

児童買春の故意が対価部分について,「立証」されない場合であっても,18歳未満であることを認識して性交しているので,青少年保護条例違反として罪に問えます。
児童買春と青少年保護条例違反の「両方」が成立することはありませんが,立証次第ではどちらか片方だけ成立するということはありえます。このことを,法条競合と言います。
なお,お金を渡しているから,青少年保護条例の「みだらな行為」に当たらないというわけではありません。
2018年07月15日 18時37分

被害者は,自らが勤めるデリバリーヘルス店(デリヘル店)の女性従業員が被告人に強姦されたとの連絡を受け,同従業員を救出するとともに被告人に謝罪を求め慰謝料を請求するため本件客室に立ち入り、被告人が被害者に対し,その顔面を拳骨で数回殴った上,灰皿で数回殴るなどの暴行を加え,加療約36日間を要する右眼窩底骨折等の傷害を負わせた傷害被告事件について、誤想防衛で無罪とした事案(岡山支部H30.3.14)

裁判年月日 平成30年 3月14日 裁判所名 広島高裁岡山支部 
事件名 傷害被告事件
裁判結果 破棄自判 文献番号 2018WLJPCA03149004
主文

 原判決を破棄する。
 被告人は無罪。 
 
理由

第1 弁護人の控訴理由
 1 事実誤認
 被告人には盗犯等の防止及び処分に関する法律(以下「盗犯法」という)1条1項の正当防衛又は同条2項の誤想防衛が成立するのに,これらが成立しないとして被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある。
 2 法令適用の誤り
 原判決は盗犯法1条1項2号,3号又は同条2項の解釈を誤り,盗犯法上の正当防衛又は誤想防衛が成立しないとしているから,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある。
第2 控訴理由に対する判断
 1 事実誤認の主張について
  (1) 本件公訴事実の要旨は,被告人が,平成29年3月17日,岡山市内のホテル(以下「本件ホテル」という。)の客室(以下「本件客室」という。)において,被害者に対し,その顔面を拳骨で数回殴った上,灰皿で数回殴るなどの暴行を加え,加療約36日間を要する右眼窩底骨折等の傷害を負わせたというものであり,原判決が認定した犯罪事実も同旨である。そして,原判決は,本件客室は被告人の住居に当たるが,被害者が本件客室に立ち入ったことは不法なものではないと認定して,本件は盗犯法1条1項3号の場合には該当しないと判断し,加えて,被害者が被告人の身体に対して急迫不正の侵害を加えたことはなく,被告人がそのように誤信したこともないと認定して,被告人には正当防衛も誤想防衛も成立しないと判断している(原判決は,本件客室が被告人の住居に当たると明示していないが,原判決を全体として読めばそのように認定していると解される。)。
  (2) 盗犯法1条1項3号該当性について
 原判決は,本件客室が被告人の住居に当たるとしながら,ホテルにおいては安全上の必要等からホテル側がその判断に基づいて利用者の承諾がなくとも客室を解錠できる場合があるところ,本件客室は,いわゆるラブホテルの一室であり,フロントにおいて各客室の施錠及び解錠が一括管理されており客室への立入りを最終的に許諾するのはホテル側であることから,ホテル側の判断で解錠できる場合はより広いとした上,被害者は,自らが勤めるデリバリーヘルス店(デリヘル店)の女性従業員が被告人に強姦されたとの連絡を受け,同従業員を救出するとともに被告人に謝罪を求め慰謝料を請求するため本件客室に立ち入ったものであること,本件ホテルの従業員に事情を説明して本件客室の解錠を依頼して入室しており,立入りの態様自体は穏当なものであること,被告人も女性従業員から迎えが来ると告げられてデリヘル店の者が来訪する可能性を認識していたこと等の事情からすると,被害者の本件客室への立入りが不法なものであったとはいえないとしている。
 しかし,以下のとおり,原判決の上記認定は不合理であるといわざるをえない。
 まず,ホテルにおいては安全上の必要等からホテル側がその判断で客室を解錠できる場合があることは原判決指摘のとおりであるが,フロントにおいて各客室の施錠及び解錠が一括管理されているからといって,ホテル側の判断で解錠できる場合が広くなると解する理由はない。本件ホテルにおいても,安全上の必要等から利用客の意思に反する客室への立入りが許される場合はあるが,それは一般のホテルと変わるものではない。そして,後述のとおり,被告人は終始平穏に本件客室内にいたのであるから,ホテル側において被告人の意思に反する本件客室への立入りが許される事情があったとは認めることができない。
 次に,原判決は,被害者が本件客室に立ち入った目的として女性従業員の救出を挙げるが,そのような目的は認められない。記録によれば,上記女性従業員は,被告人の依頼により本件客室に赴いて性的サービスを行い,その際,被告人に性交をされたが,被告人に暴力を振るわれてはおらず,無理にされたものではないこと,その後,女性従業員はデリヘル店に電話をかけて性交をされたと告げたが,暴力を振るわれたとも無理にされたとも言っていないことが認められ,救出を要するような状況はなく,デリヘル店の従業員が救出を要すると誤解するような状況も存在しなかった。また,救出を要すると考えていたのであれば,本件ホテルの従業員に依頼して室内の状況を確認してもらうなどするのが自然であるのに,そのような依頼が行われた形跡はなく,かえって,記録によれば,デリヘル店から本件ホテルの従業員に対し,本件客室のドアの鍵を開けないでくれとの電話連絡があったことが認められ,デリヘル店の従業員らが救出を要するような状況ではないと認識していたことがうかがわれる。もっとも,被害者は,デリヘル店のスタッフから「女の子が客から本番行為を強要された」という不正確な情報を得ていたが,これだけで救出を要する状況であると誤解するとは考え難い。被害者は,女性従業員の救出が立入りの目的であり,これに加えて,被告人に謝罪を求め,金銭の支払を求めることも目的としていたと述べるが,上記の事情に照らして信用できない。そして,謝罪と金銭の支払を求めるだけであれば,これらの目的に緊急性があるとはいえないから,被告人の承諾を得ることなく本件客室に立ち入る必要はなく,これを正当化できるものではない。
 さらに,原判決は,立入りの態様は穏当なものであるというが,記録によれば,被害者は,被告人の承諾を得ることなく,本件客室にいきなり立ち入り,被告人に歩み寄って大声で一方的に怒鳴りつけて性交に及んだことを責めたて,顔を近づけるなどしたことが認められ,到底穏当なものではない。また,上記のとおり女性従業員の救出を要するような状況ではなかったことからすれば,被害者のみならず本件ホテルの従業員も本件客室に被告人の承諾なく立ち入ることは許されなかったと考えられるから,本件ホテルの従業員に解錠を依頼して入室したことを理由に立入りの態様が穏当であるとはいえない。そして,原判決は,被告人がデリヘル店の者が女性従業員を迎えに来ると認識していたことも指摘するが,迎えの者が被告人の承諾を得ることなく本件客室に立ち入ることまで予期していたとは考えられないから,これも被害者の行動を正当化する理由にはならない。
 そうすると,被告人の承諾を得ることなく本件客室に立ち入った被害者の行為が不法なものではないという原判決の認定は,不合理であるといわざるをえない。
 なお,原判決は,本件客室内にいた女性従業員が被害者の立入りを黙示的に承諾していたともいうが,ホテル側と契約して本件客室を利用していたのは被告人であり,女性従業員は被告人の承諾の下に一時的に在室していたにすぎないから,女性従業員の承諾により被害者の立入りが正当化されることもない。
  (3) 身体に対する急迫不正の侵害の誤信について
 原判決は,被告人の身体に対する急迫不正の侵害について,被害者が被告人に顔を近づけて怒鳴るなどしたのに対し,被告人が電話をするなどと言って立ち上がった後,いきなり被害者の顔面を殴打したという事実関係に照らすと,被告人の身体に対する急迫不正の侵害はなかったし,被告人がこのような事実関係を認識していたことからすると,急迫不正の侵害があると誤信したこともないとしている。
 しかし,以下のとおり,原判決の上記認定も不合理であるといわざるをえない。
 前記(2)のとおり,被害者は,本件客室にいきなり立ち入り,被告人に歩み寄って顔を近づけ,大声で一方的に怒鳴りつけるなどしたものであるが,これは,被告人に対して女性従業員に性交をしたことの謝罪を求め,金銭の支払を求めるための行為である。そして,被害者は,警察沙汰になるとデリヘル店や女性従業員に迷惑をかけるので,自分からは絶対に手を出さないようにしていたと述べており,この供述は信用できるから,客観的には被告人の身体に対する急迫不正の侵害はなかったものと認められる。しかし,そのような被害者の内心の意思は被告人に分かるはずがなく,他方,被害者の上記行為は,慰謝料の名目で金銭を支払わせるためのものであり,その金額も100万円という多額を想定していたこと,これを一部目撃した上記女性従業員が「ものすごい勢いで一方的に怒鳴っていた。」と述べていることからすると,相当激しいものであったと認められる。加えて,被告人は,被害者への暴行に及ぶ前に自らの携帯電話で110番通報しようと試みたことも認められる。そうすると,被告人が,女性従業員と性交に及んだことへの報復やこれについての金銭的な解決を求めるための手段として,被害者からの身体に対する攻撃が差し迫っているものと誤信した可能性は否定できない。むしろ,そのような誤信がなく,単に謝罪と金銭の支払を求められているだけであると認識していたとすれば,話し合いに応じるか要求を拒否してその場を立ち去るか,いずれかの行動を採れば足りるのであって,被害者に暴行を加える理由が想定し難い。原判決は,誤信がないと判断した理由をほとんど説明していないが,被害者が被告人に対する直接的な暴行には及んでいないことだけを根拠にしているとすれば,被害者が被告人の承諾を得ることなく本件客室にいきなり立ち入り,被告人に歩み寄って顔を近づけて大声で一方的に怒鳴るなどして性交に及んだことを責めていたという事実経過を不当に軽視するものであって,不合理であるといわざるをえない。
  (4) 盗犯法1条2項の誤想防衛の成否について
 以上によれば,原判決には2つの事実誤認があり,本件は盗犯法1条1項3号の場合に該当し,かつ,被告人が自己の身体に対する現在の危険があるものと誤信した可能性は否定できない。また,被害者の本件客室への立入りやその後の行為の態様からすると,被告人の誤信は驚愕によるものであり,被告人の暴行は防衛の意思によるものであるといえる。
 そして,盗犯法1条2項の誤想防衛が成立するためには,さらに,現在の危険を排除する手段として相当なものであることが必要であるが,刑法36条1項にいう「やむを得ずにした行為」であることは必要でないと解されるところ,被告人による一連の暴行は,上記相当性を逸脱しているとはいえない。
 すなわち,被告人は,当初の素手による暴行によって被害者に大きなダメージを与えており,これに続く灰皿による殴打行為は,客観的には必要性の乏しい行為であったといえるが,これらは一連一体の攻撃であるところ,混乱した状況の中で被害者の受けたダメージを正確に評価して行動するように求めることは困難である。加えて,暴行時点における本件客室の施錠の状態は明らかでないものの,被告人からするとホテル側によって施錠されていると考えるのが自然な状況であり,本件客室は外部から遮断された空間であって,被害者が凶器を持ち出す,仲間を呼ぶなどした場合には,誰かに助けを求めたり,逃げたりするのが困難な状況であった。そうすると,被害者が現実には被告人の身体への攻撃には及んでいないこと,灰皿での殴打行為の時点では被害者は鼻から出血し,ベッドに腰を下ろした状態であったこと等を踏まえても,被告人による一連の暴行は,被害者による攻撃を排するために必要な限度を大幅に超えているとはいえず,上記相当性を逸脱しているとはいえない。
 2 結論
 以上のとおり,原判決の事実認定は,被害者の本件客室への立入りは不法なものではないとした点及び被告人に自己の身体に対する急迫不正の侵害があるとの誤信はなかったとした点で事実の誤認があって,被告人に盗犯法1条2項の誤想防衛が成立することは否定できないから,上記の事実誤認が判決に影響を及ぼすことは明らかである。弁護人の主張には理由がある。
 よって,その他の弁護人が主張する控訴理由について判断するまでもなく,刑事訴訟法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書を適用して当裁判所において更に判決する。
第3 自判
 本件公訴事実の要旨は上記のとおりであるところ,既に述べたとおり,被告人には,盗犯法1条2項の誤想防衛が成立するとの合理的な疑いが残るので,本件公訴事実について犯罪の証明がないことになるから,刑事訴訟法336条により無罪の言渡しをする。
広島高等裁判所岡山支部第1部
 (裁判長裁判官 長井秀典 裁判官 村川主和 裁判官 藤井秀樹)

中学生同士の性交について、自己の性的好奇心を満たす目的で被告から準強姦行為をされ,その結果妊娠,出産を余儀なくされたと主張する原告が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,慰謝料等合計2236万1594円等の支払を求めた事案(請求棄却 東京地裁h30.1.30)

 結論は「本件性交渉は準強姦行為であって,これが原告の権利を侵害する不法行為であることを認めるに足りる証拠はないというべきである。本件性交渉は不法行為とはいえない。」ということでした。

裁判年月日 平成30年 1月30日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決
事件名 損害賠償請求事件
文献番号 2018WLJPCA01308014
原告 
X 
同訴訟代理人弁護士 
大野康博 
被告 
Y 
法定代理人親権者 
A 
同訴訟代理人弁護士 
加藤俊子 

主文

 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 
 
事実及び理由

第1 請求
 被告は,原告に対し,2236万1594円及びこれに対する平成26年7月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
 本件は,被告から準強姦行為をされ,その結果妊娠,出産を余儀なくされたと主張する原告が,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償請求権として,慰謝料等合計2236万1594円及びこれに対する不法行為の日よりも後の日である平成26年7月18日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 1 前提事実((4)につき当裁判所に顕著な事実,その余につき当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
  (1) 当事者等
 原告は,平成11年○月○日生まれの女性であり,被告は,同年○月○日生まれの男性であり,ともに同じ中学校に通っていた。(甲12,13)
  (2) 原告被告間の性交渉
 原告と被告は,中学2年生であった平成25年7月21日,B(以下「B」という。)やC(以下「C」という。)等の友人らとともに,a公園において飲酒をしながら花火を行うなどした。原告と被告は,他の友人らが帰宅した後,同所において性交渉を持った(以下「本件性交渉」という。)。
  (3) 原告による子の出産と被告による認知等
   ア 原告は,平成26年○月○日,その子であるD(以下「D」という。)を出産した。原告と被告は,Dの父親を確定するためのDNA鑑定を行ったところ,同年7月17日,Dは被告の子であることが判明した。そこで,原告と被告は,同月18日,それぞれの両親を交えて話合いを行った(以下「本件会談」という。)。(甲1,2,5の1)
   イ 被告は,平成27年6月22日,Dの認知をした。また,原告と被告との間で,平成28年2月9日,被告が,原告に対し,①平成28年2月からDが満20歳に達する日の属する月までDの養育費として月額3万円を,②平成28年1月までのDの未払養育費として66万円を,③Dの出産費用の一部として16万円を,それぞれ支払う旨の調停が成立した(東京家庭裁判所平成27年(家イ)第7323号養育費調停事件)。(甲4)
  (4) 被告による消滅時効の援用
 被告は,原告に対し,平成29年2月28日の第1回口頭弁論期日において,原告の被告に対する本件性交渉に係る不法行為に基づく損害賠償請求権について消滅時効を援用する旨の意思表示をした。
 2 争点及びこれに対する当事者の主張
  (1) 本件性交渉は被告の不法行為といえるか(争点(1))
 (原告の主張)
 被告は,原告が飲酒により前後不覚であることに乗じて,原告の同意なしに本件性交渉を行ったものであるから,本件性交渉は準強姦行為であって不法行為である。このことは,①一緒に遊んでいた友人らが帰宅した時点では原告は酔って動けない状態であったところ,被告は原告を送っていくと申し出て,原告とあえて二人きりになったこと,②被告は,本件性交渉の直後,原告に対し,原告が酔って記憶を無くしていた様子である旨を認めるメールを送り,また,本件会談の際,本件性交渉が準強姦行為であることを認めていたこと,③被告は女友達に性行為を求める言動を繰り返すような,性欲を満たす行動にちゅうちょなく出る人物であるところ,被告は原告に好意を抱いていた一方で,原告は被告に嫌悪感を抱いていたこと等から明らかである。
 (被告の主張)
 本件性交渉は原告の同意に基づくものであって不法行為とはいえない。原告は,飲酒をしていたものの意識が無くなっていたわけではなく,芝生に座って携帯電話を操作するなどしていたし,本件性交渉は,むしろ原告が性体験のなかった被告を主導して行われた。現に,原告は,本件性交渉が終わった後,自ら身支度を整えた上で,自転車に乗って帰宅している。
 被告が本件性交渉の直後に原告に対してメールを送ったのは,初めての性体験に興奮していただけであるし,原告からも,本件性交渉が準強姦行為であるなどと被告を非難するような返信はなかった。被告は,本件会談においても,本件性交渉が不適切であったことや被告が父親として責任を取るべきであることを認めたにすぎず,本件性交渉が準強姦行為に当たることを認めたわけではない。また,被告の女友達に対する行動も,異性に興味を持つ青少年期の男子として通常の行動にすぎない。よって,これらの行為は被告の準強姦行為を推認させるものではない。
  (2) 損害額(争点(2))
 (原告の主張)
 被告の不法行為により,原告には少なくとも以下のとおりの合計2236万1594円の損害が生じた。
   ア 妊娠,出産費用等 36万1594円
 (ア)から(エ)までの合計金額から(オ)の金額を控除した額である。
 (ア) DNA鑑定関連費用 5万2800円
 (イ) 出産費用 31万3180円(ただし,出産育児一時金を差し引いた後のもの)
 (ウ) 交通費 2万4400円
 (エ) 出産関係費用 15万7614円
 (オ) 被告による既払金 18万6400円
  ① DNA鑑定関連費用 2万6400円
  ② 出産費用 16万円
   イ 養育費 1000万円
 子供一人当たりの20歳までの養育費は約2500万円以上であるところ,仮に被告がDの養育費として月額3万円を20年分支払ったとしても,同人の養育費は約1800万円不足するから,原告には同額の損害が発生している。原告はこのうち1000万円について一部請求を行う。
   ウ 慰謝料 1000万円
 原告は,被告の準強姦行為の被害を受け,その結果Dを妊娠,出産し,養育していくことを余儀なくされた。その上,被告は,自らの準強姦行為を否認する虚偽の主張を行い,原告の心情を著しく傷つけていることも併せれば,原告の精神的苦痛に対する慰謝料は1000万円を下らない。
   エ 弁護士費用 200万円
 (被告の主張)
 否認し,争う。
  (3) 消滅時効の成否(争点(3))
 (被告の主張)
 仮に本件性交渉が不法行為であるとしても,本件性交渉は平成25年7月21日に行われたものであるから,消滅時効が完成しており,本訴請求に係る損害賠償請求権は,消滅時効の援用により消滅したことになる。
 (原告の主張)
 被告による不法行為の終期は,原告がDを出産した平成26年○月○日であるから,消滅時効の起算点は早くても同日である。また,DNA鑑定の結果が判明してDが被告の子であることが明らかとなった同年7月17日までは,原告が被告に対して権利行使をすることが現実には期待できなかったから,消滅時効の起算点は同日である。したがって,消滅時効は完成していない。
第3 当裁判所の判断
 1 認定事実
 前記前提事実に加え,証拠(甲6,7の1,7の5,11,乙5,6,証人C,証人B,原告本人,被告本人のほか掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
  (1) 原告と被告の関係等
   ア 原告と被告は,同じ中学校に通っていた同級生(本件性交渉当時中学2年生)であり,平成24年4月に中学校に入学して間もなく,一時期交際したことがあったが,交際期間を含め,二人きりで外出して遊んだことはなかった。
 被告は,中学校の野球部やクラブチームに所属して野球に勤しみつつ学校に通っていたが,原告は,学校を休みがちであった。(乙1から4まで,8から10まで(枝番を含む。))
   イ 原告は,平成24年夏頃から平成25年6月頃まで,中学校の一学年上の男性と交際し,その間には同人と性交渉もあったが,本件性交渉当時は交際相手を有していなかった。一方で,被告は,本件性交渉当時はBと交際していたが,それまでに性交渉の経験はなかった。
   ウ 被告は,同じ中学校に通う女友達に対し,エッチしようなどと言うことはあったが,その体を無理に触ろうとしたことはなかった。また,被告は,原告やBと交際中も,同人らの体を無理に触ろうとしたことはなかった。
 なお,本件性交渉当時,原告は身長約170cm,体重約50Kgであったのに対し,被告は身長約165cm,体重約55Kgであった。
  (2) 平成25年7月21日の出来事について(本項は基本的に同日の出来事である。)
   ア 当日,原告は,Bら女性の同級生5人とともに,缶酎ハイ等のお酒やソフトドリンクを併せてスーパーのカゴ1個分購入した後,自転車でa公園に向かった。なお,Bは,原告の自転車に一緒に乗って同公園に向かった。
 別紙1及び2は,a公園内の原告と被告が飲酒をしながら花火を行うなどした場所及びその付近を撮影した写真であるが,原告は,午後4時30頃,別紙1の道路沿いの柵の辺りに自転車を止め,上記同級生らとともに,別紙2の奥側の緑地(以下「本件現場」という。)まで前側の斜面を降りてビニールシートを敷き,その上に座って飲酒をしながら歓談するなどしていた。なお,当時は,別紙2に写されている金網の代わりに柵(道路沿いの柵と同種のもの。)が設置され,その柵と道路沿いの柵との間には,体を細めて横に出るようにすれば一応通行可能な程度の隙間があった。また,上記柵の高さは約110cmであった。(乙7(枝番を含む。))
   イ 被告は,Cら男性の同級生2人及びCの弟(小学生)とともに,花火を購入した上,午後7時頃までに原告らの集まりに参加した。参加した者は,花火をしたり,座って歓談したり,各自携帯電話で遊んだりするなどして過ごした。原告は,飲酒により酔っていたものの,少なくとも午後8時頃までは,花火や歓談に参加し,また,その頃,Bとの間で,午後10時頃には帰ろうといった会話をしていた。一方,被告は,一口程度しか飲酒をしなかった。
   ウ 原告らの集まりは,午後9時半頃には終了し,その時点において本件現場に残っていたのは,原告,被告,B,C及びその弟のみであった。そして,CがBを送っていくこととなり,C,その弟及びBは,午後9時45分頃,帰っていった。一方,被告は,Bらに対し,自らが原告を送っていく旨を申し出て,原告と被告は二人きりで本件現場に残った。
   エ 原告と被告は,その後,本件現場において,性交渉を持った(本件性交渉)。そして,原告と被告は,敷いていたビニールシートを片付けるなどした上,午後10時30分頃までに,道路沿いの柵の辺りに置いていたそれぞれの自転車に乗って一緒に帰路についた。本件現場からの帰宅経路は,原告が別紙3記載①から②まで,被告が同記載①から③までであり,本件現場から原告の自宅までの帰宅経路の距離は約2.4kmである。
   オ 原告は,午後10時50分頃までに帰宅した。その際,原告に下着や洋服の乱れはなかった。(甲9)
   カ 被告は,帰宅後,原告に対し,「お前俺とやったんだけど覚えている?」という趣旨のメール(以下「本件メール」という。)を送信した。もっとも,原告は,その後,本件メールに返信するなどして,事実関係を確認したり,被告を非難することをしなかった。
  (3) 本件会談について
 原告は,平成26年○月○日,Dを出産した。原告は,当初,Dの父は前記(1)イの交際相手ではないかと考えていたが,DNA鑑定の結果,同人がDの父親ではないことが分かった。そこで,原告は,被告に対し,DNA鑑定に応じるよう求め,その結果,被告がDの父である旨の検査結果が出たことから,原告と被告及び双方の両親は,同年7月18日,本件会談を行った。本件会談においては,以下のような内容を含むやりとりがあった。(甲1,2)
   ア 被告は,原告の母から,被告が原告とともに本件現場に残った理由を問われ,原告が寝そうだから1人にしては駄目かと思ったと返答した。
   イ 被告は,原告の母から,本件性交渉がどのような経緯で行われたのか問われ,本件性交渉はその場の空気で,原告との合意に基づいて行われたと返答した。しかし,被告は,原告の母から,本件メールを原告に送った理由を問われると,酔っていたから記憶にないのかと思ったと返答し,原告の母からそれは合意ではないと指摘を受けると,これを肯定した。もっとも,被告の父から,被告が原告を襲ったのかと問われると,襲っていないと返答した。
   ウ 被告は,原告の母に対し,原告と二人きりになる時点で性交渉をするつもりがあったのではないかと問われ,原告が眠そうであったから,他の女友達も含めて帰ろうよと言っても,完全に横になって帰ろうとしなかったため,自分が送っていく旨申し出たにすぎないと返答した。
 2 争点(1)(本件性交渉は被告の不法行為といえるか)について
  (1) 原告は,本件性交渉は酒に酔った原告が前後不覚の状態にあることに乗じて行われた被告による準強姦行為であって,不法行為に当たると主張する。
 しかしながら,原告は,本件性交渉当日である平成25年7月21日,飲酒をしていたものの,少なくとも午後8時頃までは,花火や歓談に参加することはできていた。そして,本件性交渉は,午後9時45分頃から午後10時30分頃までの間に行われたが,原告は,その後間もない午後10時50分頃までに,まず,本件現場の片付けを行った上で,本件現場から徒歩で海辺から土手上の道路までそれなりに勾配がある斜面を上り,約110cmの高さの道路沿いの柵を乗り越えるか,柵と柵との間にあるわずかな隙間を通過した後,本件現場から約2.4km離れた原告の自宅に自ら自転車に乗って帰宅している。そうすると,原告は,本件性交渉当時も,相当程度の運動能力,判断能力を維持していたものというべきである。
 そして,原告は,本件性交渉直後,途中まで被告とともに帰宅していること,原告は帰宅時着衣や下着の乱れが特段なかったことに加え,被告が原告に対して送信した本件メールは,本件性交渉があったことを示すものであるのにもかかわらず,原告が被告に対して何ら事実関係を確認しようとメールの返信をしたり非難したりするといった行動に出ていないことは前記認定のとおりであり,これらの事実は,仮に本件性交渉が原告の同意なしに行われていたのであれば不自然なものといえる。これに加え,原告と被告は同じ中学校の同級生という関係であって,一時交際していた時期もあったこと,本件性交渉当時,原告は交際相手を有していなかったことからすると,原告の同意の下本件性交渉が行われたとしても不自然であるとまでいうことはできない。
 以上の事実を総合すると,本件性交渉が原告の心身喪失又は抗拒不能状態に乗じた被告による準強姦行為であると認めることはできない。
  (2) これに対し,原告は,本件性交渉が準強姦行為であることに沿う事実として,被告が,本件性交渉当時酔って動けない前後不覚の状態であった原告を送っていくと申し出て,あえて原告と二人きりになったと主張する。
 確かに,自身がa公園から帰宅する際にその場に残った原告の様子について,Bは,原告訴訟代理人の質問に対する回答書(甲7の1)及び証人尋問において「寝ていた」「私が帰るときにはもう応答はなかった」との証言等をしている。また,Cは,同様の回答書(甲7の5)及び証人尋問において「歩ける状態ではなかった」「歩き方はふらふらという感じでした」との証言等をしている。
 しかしながら,原告が本件性交渉当時,相当程度の運動能力及び判断能力を有していたと考えられることは前記説示のとおりである。他方,前記認定事実によれば,原告の友人らが数時間にわたって飲酒していたことは明らかである上,証拠(証人C)によれば,Bはa公園から帰宅する際,相当程度酔っていたと認められる。そして,証拠(甲6から7の5,証人B)によれば,原告の友人らは本件性交渉当日から1年数か月が経過した後になって初めて自身がa公園から帰宅する際にその場に残った原告の様子等を確認しあったことが認められる(この確認の時期について,原告は,陳述書(甲11・3頁)において,DNA検査によってDの父が被告と判明する前と説明しているが,原告の友人らの認識(甲7の1から7の4まで参照)と一人異なることに照らし,原告の上記説明を直ちに採用することはできない。)。これらの諸点に照らし,Bをはじめとする原告の友人らの本件性交渉当日の記憶は,原告の主張に沿ったものに変容している可能性が否定できず,証人Bの上記証言等は直ちに採用することができない。また,証人Cの上記証言等は,原告が一定程度酒に酔っていたことをうかがわせるものの,性交渉に及ばれても何ら気付かないとか抵抗することができないといったほどの心神喪失又は抗拒不能な程度に酩酊していたことを示すものではない。
 したがって,この点の原告の主張は採用することができない。
  (3) 次に,原告は,被告が,本件性交渉後,原告が酔って記憶を無くしていた様子である旨を認める内容の本件メールを送り,また,本件会談においても本件性交渉が準強姦行為であることを認めていることが,本件性交渉が準強姦行為であることを推認させると主張する。
 しかしながら,被告自身,原告が飲酒をしていたことは認識していたのであり,本件メールは,それ自体は性交渉に及んだことを覚えているかという趣旨のものであること,本件会談においては,被告は原告及び原告の父母と対面しており,これらの者に配慮した発言をしている側面があると考えられることに照らせば,本件メールの内容や本件会談における被告の各発言は,原告が酒に酔っていたことを認識しながら被告が本件性交渉に及んだことを示すにとどまり,本件性交渉が準強姦行為であることを直ちに推認させるものではない。
 したがって,この点の原告の主張は採用することができない。
  (4) さらに,原告は,被告は女友達に性行為を求める言動を繰り返すような,性欲を満たす行動にちゅうちょなく出る人物であり,被告は原告に好意を抱いていた一方で,原告は被告に嫌悪感を抱いていたことが,本件性交渉が準強姦行為であることを推認させると主張する。
 しかしながら,被告は,異性に対する関心の高まる青少年期にあったこと,それまで原告やBに対して意に反した身体的接触を求めることはなかったことからすると,原告の主張する被告の言動から直ちに本件性交渉が準強姦行為であると推認するのは,飛躍が過ぎるというべきである。また,原告の主張する被告の言動の具体的内容に加え,そのような言動に及ぶ被告からの交際の申込みに原告が応じたこともあったこと,そもそも学校を休みがちであった原告と野球に勤しんでいた被告との接触がさほど頻繁なものであったとは考えられないことを併せ考慮すると,原告が時には煩わしく思うようなことは別論として,これを超えて被告に強い嫌悪感まで抱いていたとはにわかに考え難い。そして,他にこの点を根拠付ける十分な事情を認めるに足りる証拠はない。
 したがって,この点の原告の主張は採用することができない。
  (5) 以上によれば,本件性交渉は準強姦行為であって,これが原告の権利を侵害する不法行為であることを認めるに足りる証拠はないというべきである。本件性交渉は不法行為とはいえない。
第4 結論
 よって,その余の争点につき判断するまでもなく,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
 東京地方裁判所民事第25部
 (裁判長裁判官 鈴木尚久 裁判官 鈴木雅久 裁判官 川北功)
 
 
 〈以下省略〉

教員のわいせつ行為につき、行為否認の不合理弁解をしても「他の同種事案と比較して犯行態様が極めて悪質とまではいえない」などとして執行猶予にした事例(名古屋地裁H30.2.28)

 

 報道では7歳とされていました。
 わいせつ行為の定義は争われていません。
 被害者証言の信用性を否定する心理学者の鑑定書が採用されています

裁判年月日 平成30年 3月28日 裁判所名 名古屋地裁 裁判区分 判決
事件名 強制わいせつ被告事件
文献番号 2018WLJPCA03286002
 上記の者に対する強制わいせつ被告事件について,当裁判所は,検察官大野智己及び同笹井卓並びに弁護人(私選)塚田聡子(主任)及び同中谷雄二各出席の上審理し,次のとおり判決する。
 

主文

 被告人を懲役2年に処する。
 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
 訴訟費用は被告人の負担とする。
 
 
理由

 (罪となるべき事実)
 被告人は,A(別紙記載。当時○歳)が13歳未満であることを知りながら,同人にわいせつな行為をしようと考え,平成28年1月22日午後1時15分頃から同日午後1時30分頃までの間に,愛知県●●●内の小学校(別紙記載)○年○組教室内において,同人に対し,その襟元から着衣の中に右手を差し入れて同人の胸を直接触り,もって13歳未満の女子に対し,わいせつな行為をしたものである。
 (証拠の標目)
 (弁護人の主張に対する判断)
 被告人及び弁護人は,被告人は判示行為をしておらず無罪であると主張する。
 1 Aの供述
  (1) 掃除の時,教室の先生(被告人。以下同じ。)の机の後ろで,しゃがんでちり取りとほうきで掃除をしていた。机で作業をしている先生に取れたごみを見せると,先生は,座ったままくるっと横を向いて,私の服の首元から右手を入れて,「おっぱい。」と言いながら人さし指でちょんちょんと2回私の左乳首を直接触った。えっと思ってびっくりした。嫌だって言ったり,泣いたりすると,皆寄ってきて恥ずかしくなるから,そのまま掃除を続けた。
  (2) 上記供述は,被害の状況や当時の心境が,特徴的な点も含めて具体的に述べられ,実際に体験した者でないと語れない内容であって,Aから被害状況を聞いたAの母及びカウンセラーCの供述内容ともおおむね整合し,Aの申告内容は一貫している。Aは,被告人に刑務所に行ってほしいとは思わないとも供述しており,被告人に不利な虚偽供述をする動機はない。証人Cは,Aを数回カウンセリングし,Aが話す被害内容が具体的で矛盾点がなく,母に同調する印象もなかったことから,Aの供述が虚言である可能性が極めて低いと思ったと供述する(内容は合理的であるし,立場上,殊更被告人に不利な虚偽供述をする動機はないから,その供述は信用できる。)。
 以上からAの供述は信用できる。
 これに対し,弁護人は,心理学者の鑑定書等に基づき,以下の点を挙げてAの供述は信用できないと主張する。①被告人に触られた胸が左か右かという周辺的な情報を被害の2か月も後に自発的に思い出し,しかも感覚まで覚えているのは不自然であって,警察官等の取調べや母の聞き取りが暗示的・誘導的に作用して記憶が作られた可能性が高い。②Aは胸を触られるのが見えたと述べるが,当時のAの着衣の襟ぐりは狭く,前かがみになっても襟元と身体の間に空間はできない。③被告人が後ろを振り向いて触ったのか,横を向いて触ったのか供述が変遷している。④被害を誰かに言おうと思わなかった理由につき,検察官調べと警察官調べで異なる内容を挙げている。⑤掃除の時間,教室に多くの児童がいる状況で胸を触るのは不可能であるし,仮にそのような行為をすれば,必ず目撃する児童がいるはずだが,誰も見ていない。
 上記鑑定書は,Aやその母の供述調書等を鑑定資料とし,Aの能力や供述聴取の時期・回数・主体から誘導の可能性を指摘し,心理学的観点からAの供述に信用性がないと結論づけたものであるが,鑑定人はAやその母に直接会って話を聞いておらず,鑑定人の上記指摘は具体的根拠に基づくものではない。それに加えて,上記鑑定等に基づく弁護人の主張に対しては,以下の点を指摘することができる。①Aが述べる被告人の言動は特徴的であるから,感覚等を2か月後に覚えていたとしても,特段不自然ではない。Aは,被害を自発的に母に申告しているし,その後のカウンセリングにおいて,被害に対するAの情緒的反応は,母と温度差があり,母に同調して訴えるとか母に心理的操作を受けるということもなく年齢相応であったというのであるから(証人C),Aが母の誘導を受けた可能性は低い。取調べは,Aの申告に基づいて行われているから,警察官等の誘導の可能性も低い。②胸を触られるのが見えたという供述は,Aの当時の着衣の様子からすると疑問が残るが,触った感覚で分かったとも述べており,Aが述べる被害状況は,主に触れられた感覚を訴えるものであることも考慮すると,直ちにAの供述全体の信用性は否定されない。③Aは,教卓のそばで掃除をしていたら,先生がくるっと自分の方を向いて胸を触ったと一貫して述べてそのように再現しており,弁護人が指摘する点は表現の違いにすぎない。④Aは,被害を誰かに言おうと思わなかった理由として複数の理由(先にママに言わなければいけないと思ったから。ほかの子がどう思うか分からないから。先生が好きな子もいるから。)を挙げ,そのいずれもが理由であると述べるところ,これらは併存し得るものであり,捜査段階でそのいずれかを述べたからといって供述の変遷と捉えるのは不適切であるし,その内容からして警察官等の誘導によるものとも考え難い。⑤掃除の時間に多くの児童が教室にいたが,騒然とした教室内でそれぞれ自分が担当する掃除をしていた。Aは教卓のそばでしゃがんでおり,胸を触られたのは極めて短時間の出来事で,Aは声を上げていない。そうすると,他の児童が気付かなかったとしても,不自然ではない。
 以上から,弁護人の主張は採用できない。
 2 被告人の供述
  (1) 教卓で添削をしていると,Aが教卓の後ろから,「ごみがたくさん取れたよ。」などと言ってちり取りを見せてくれた。振り向いてAの顔を見て褒めようとしたが,後ろが狭く,Aがけがをするおそれがあったので,振り向くことができず,頭をなでようと「たくさん取れたね。」などと言ってAの方を見ずに右手を後ろに伸ばすと,指がAの顎の辺りに当たった。この間,Aの方を全く見ていなかった。校長に呼び出されてAの服の中に手を入れて触ったのかと尋ねられた際,絶対にやっていないと答えた。
  (2) 上記供述中,Aの顔を見て褒めようとしながら,その顔を一切見ずに手を後ろに伸ばして頭をなでようとしたというのは,極めて不自然である。また,後ろが狭く,振り向くとAがけがをするおそれがあったからできなかったとも述べるが,Aの方を見ずに手をAがいる後方に伸ばす行為も危険である。
 さらに,被告人がAに触れた状況についての供述は信用できるAの供述に反し,被告人が校長に述べた内容は証人B校長(以下「B校長」という。)の供述(「服の中に手を入れたのか。」,「素肌を触ったのか。」,「胸に届いている可能性があるね。」との問いかけに対して,被告人は全て「はい。」と答えた。)に反する。
 B校長の上記供述は,被告人が述べた内容を同人が否定した部分も含めて詳細に述べられていることや,教頭と二人で被告人の話を聞き,経過を記録するなど慎重に対応していたこと,被告人の監督責任を負う小学校管理者という立場にあったことからすると,被告人に不利な虚偽供述をする動機はないことから,十分信用できる。
 信用できるB校長の供述によれば,被告人は供述を変遷させており,その変遷に合理的理由は認められない。
 以上から,被告人の供述は信用できない。
 3 結論
 信用できるAの供述から,被告人が判示行為をした事実を認定した。
(証拠の標目)
括弧内の甲の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。
 証人Aに対する当裁判所の尋問調書
 証人Aの母(別紙記載),同B,同Cの各公判供述
 戸籍全部事項証明書抄本(甲2)
 捜査報告書(甲5,28,29)
 写真撮影報告書(甲6)

 (法令の適用)
 罰条 平成29年法律第72号附則2条1項,同法による改正前の刑法176条後段
 刑の全部の執行猶予 刑法25条1項
 訴訟費用 刑事訴訟法181条1項本文(負担)
 (量刑の理由)
 被告人は,小学校の教師でありながら,他の児童らがいる教室内で,掃除の時間に自己が担任を務める被害者の着衣の中に手を入れて胸を直接触ったもので,犯行態様は大胆で悪質である。被害者は,当時小学校○年生で,被害の内容を正確に把握していたとは言い難いものの,今後の健全な成長に悪影響が生じかねず,結果は重大である。被害者の両親の精神的苦痛は大きく,被告人の処罰を望む心情も当然のこととして理解できる。被告人は,不合理な弁解を述べ,反省や謝罪の態度が認められない。
 以上からすると,被告人の刑事責任は重い。
 もっとも,他の同種事案と比較して犯行態様が極めて悪質とまではいえないことや,被告人に前科前歴がないこと,本件により教師を辞めることになったことなど社会的制裁を受けたことなどからすれば,実刑を相当とする事案とは認められず,刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
 (求刑 懲役2年)
 名古屋地方裁判所刑事第2部
 (裁判官 安福幸江)
 
 
 〈以下省略〉

「鹿児島から和歌山の11歳に、「ライン」を通じて、わいせつな行為を教えた疑い」という「鹿児島県」青少年条例違反被疑事件

 テレホンセックスとか、チャットHという行為です。
 和歌山県と鹿児島県とにまたがる行為なので、両県の青少年条例が適用可能ですが、被害が和歌山県で発生しているので、和歌山県条例を優先すべきです。 
 和歌山県条例と鹿児島県条例は法文も解説も何かを丸写しにしたようにそっくりですが、教える行為の罰則は、鹿児島(1年)の方が重くなっています。
 問題点としては
① 1項のわいせつ行為(懲役2年)との区別が不明確なこと
② わいせつの定義が刑法176と同様とされていて、定義が失われていること。青少年健全育成の見地から独自の定義が求められること
③ わいせつの定義から昭和60年10月23日最高裁判決(福岡県青少年健全育成条例違反事件)がいう真剣交際の場合を除外する必要があること
④ 解説によれば、両条例とも13歳以上への適用を予定しているようで、11歳の場合は、強制わいせつ罪(176条後段)だけが適用されると思われること。
を指摘することができます。

和歌山県青少年健全育成条例の解説
(いん行又はわいせつ行為の禁止)
第26条
1何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を見せ、又はその方法を教えてはならない。

2 「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめたり、その露骨な表現によって性的差恥嫌悪の情を起こさせる行為をいう。
3 「してはならない」とは、青少年を相手として、いん行又はわいせつ行為を行うことを一切禁止するもので、相手方となる青少年の同意、承諾の有無及び対償の授受の有無を問わない。
4 「見せ」とは、自己又は他人のいん行又はわいせつな行為を直接青少年に見せることをいい、映画、テレビ、図書等の媒体を通じて間接的に見せることは含まない。
5 「教え」 とは、いん行又はわいせつ行為の相手方とならないが、当該行為の方法を直接的、具体的に教示することをいい、単なるわい談の一般的な教示は含まない。
例えば、文書、図画、写真、ビデオ等を視聴させる行為等がこれにあたる。
6 現行法上、13歳以上の男女に対する暴行脅迫及び対償を伴わない姦淫(いん行)及びわいせつ行為については何ら規制がないので、この条例により規制しようとするものである。

【罰則】
第2項(見せ又は教示)違反

  • 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金

鹿児島県青少年保護育成条例の解説H19
(いん行等の禁止)
第22条
1何人も, 青少年に対していん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も, 青少年に対して前項の行為を教え, 又は見せてはならない。
解説
1 13歳以上の者に対する姦いん,わいせつ行為については,暴行,脅迫を伴わない限り現行法上何らの規制もなく,青少年の保護育成上の盲点となっており,精神的,肉体的に未成熟で感受性が強く,思慮分別の未熟な青少年に対し,いん行若しくはわいせつ行為をし,又はこれらの行為を教えたり,見せたりすることを契機として青少年が堕落し,売春等の一層深刻な事態に発展するケースが多い。
本条は,このような行為から青少年を保護し,希望ある青少年の人生を踏みにじる反社会的,反倫理的な行為を防止してその健全な育成を図るとともに,行為者の社会的責任を追及しようとするものである。
3 「わいせつ行為」とは,いたずらに性欲を刺激し,又は興奮させ,露骨な表現によって健全な常識ある一般社会人に対し,性的に選恥嫌悪の情を起こさせ善良な性的道徳観念に反する行為をいい,刑法の「わいせつ」と同意義である。
4 「教える」とは,いん行又はわいせつ行為の棺手方とはならないが,当該行為の方法等を教示することであり,単なるわい談等の一般的,漠然としたものでなく具体的,直接的に教えることである。
5 「見せる」 とは,自己又は他人のいん行又はわいせつ行為を直接青少年に見せることをいい,図書,映画,有線テレビ等の媒体を通して見せることは,本条第2項の規定には該当しない。
6 青少年の性行為に係る関連法令において,
(1) 刑法では,暴行,脅迫等をもってする性行為等については処罰の対象としているが, 13歳以上の者に対し暴行,脅迫等を伴わずいん行又はわいせつ行為を行うことは,処罰の対象とならない
罰則
2 第2項違反(青少年にいん行又はわいせつ行為を教え,又は見せた者)は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

http://www.wakayamashimpo.co.jp/2018/07/20180711_80266.html
ラインで女児にわいせつ教示 20歳の男逮捕
18年07月11日 18時55分[事件・事故]
和歌山県警少年課は10日、鹿児島市星ケ峯の自称飲食店員を鹿児島県青少年保護育成条例違反(淫行等の禁止)容疑で逮捕した。

同課によると、容疑者は4月16日、和歌山県内の小学生女児(当時11)に対し、18歳未満と知りながら、鹿児島市内の自宅のインターネット端末から、女児のタブレット端末に無料通信アプリ「ライン」を通じて、わいせつな行為を教えた疑い。
容疑者が自身のラインのアカウントを動画サイトに載せ、女児が連絡して2人は知り合った。女児が周囲の友人に被害を伝えたことから事件が発覚した。宮園容疑者は容疑を認めているという。
・・・・
http://www.tv-wakayama.co.jp/news/detail.php?id=49277
わいせつな行為教示した容疑で逮捕
2018-07-10(火) 18:57
インターネットを通じて知り合った県内在住の小学生の女の子に、わいせつな行為を教示したとして、鹿児島市の自称飲食店員の男が、今日、鹿児島県の青少年保護育成条例違反の疑いで県警少年課に逮捕されました。
逮捕されたのは鹿児島県鹿児島市の自称飲食店店員、容疑者20歳です。
警察の調べによりますと容疑者は、今年4月16日、インターネットを通じて知り合った県内在住の小学生の女の子に鹿児島市の自宅から無料通話アプリを使ってわいせつな行為を教示した疑いです。容疑者は、去年冬頃から、女の子と無料通アプリでのやり取りを行っていたということです。警察の調べに対し宮園容疑者は「間違いありません」と容疑を認めています。

「(自撮り)法律の件ですが、法改正の動向などがないか情報を集めたところ、国へそういった行為に関して法律で規制ができないのかといった要望があったと聞いておりますが、法改正の動きがなかなかみられないという中で、東京都で2月に、その後兵庫県が続いて条例を施行したといった状況であると認識しております。」福島県青少年健全育成審議会


 威迫困惑とか対償供与の約束とかなしに、頼んで裸写真を送ってもらうと国法の姿態をとらせて製造罪になるというのが実務なんだが、そんなのは福島県に言わせれば「社会通念上反倫理的と認められない要求行為」らしいね。なのに条例違反は不成立で国法で処罰される。
 国法と矛盾するような条例をなんで作るかなあ?国法でやれないかなあ。

福島県青少年健全育成条例の一部改正(「児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止」の新設)の考え方について
(1)禁止規定
第26条の2
何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1)青少年に拒まれたにもかかわらず、当該青少年に係る児童ポルノ等(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第2条第3項に規定する児童ポルノ(以下「児童ポルノ」という。)又は同法第7条第2項に規定する電磁的記録その他の記録をいう。次号において同じ。)の提供を行うように求める行為。
(2) 青少年を威迫し、欺き、若しくは困惑させ、又は青少年に対し対償を供与し、若しくはその供与の約束をする方法により、当該青少年に係る児童ポルノ等の提供を行うように求める行為。
解説
社会通念上反倫理的と認められない要求行為まで規制することなく、社会通念上反倫理的と認められる「不当な手段」での要求行為を規制対照とした
・・
(2)罰則規定
条例の罰則
第34条第4項次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。.
第12号第26条の2の規定に違反した
免貴織定
第36条
この条例の罰則規定は、青少年には適用しない
・・・
(4)被害者年齢の知情性
第34条第6項
第24条から第24条の3まで又は第25条第2項の規定に違反した者は、当該行為の相手が青少年であることを知らないことを理由として第1項から第4項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない

解説
要求した相手を直接確認できないインターネット上のやりとりの中で行われることが想定されるので、相手が青少年だと認識できるような事実が全くない場合には適用できない。

平成30年度第1回福島県青少年健全育成審議会(全体会)議事録1
開催日時平成30年6月5日(火)13時30分~14時55分
○議案福島県青少年健全育成条例及び同施行規則の一部改正について(諮問)議長
・それでは、議案に入らせていただきます。
福島県青少年健全育成条例及び同施行規則の一部改正」について、知事からの諮問となりますので、審議をお願いします。
事務局から説明をお願いします。
事務局(佐藤主任主査)
<資料(6ページから36ページ)により説明>議長
・ただ今、事務局から、「福島県青少年健全育成条例及び同施行規則の一部改正」について説明がありました。
皆様の御意見はいかがでしょうか。
若月ちよ委員
・説明ありがとうございました。
東京都と兵庫県しか決まっていないものを福島県でということで、子どもたちの被害状況や資料などを見せていただいて、必要なことなのだなと思い、積極的に取り組んで、このように改正されることについては賛成です。
賛成だという意見の上で、もう一つ考えなくてはならない視点があるのではないかと思ったことが、大人側を規制していくということですが、被害を受ける子どもたちの側に立ったときに、法律で罰則を決めていくだけで良いのだろうかということが、私が思うところです。
なぜかと言うと、こういう状況の被害者になっている子どもたちには、どういう背景があるのだろうかと考えたときに、いろいろな背景があるのだと思います。
背景があるから仕方がないではなく、こうした子どもたちが、被害を受けないためにはどうしたら良いかを教えていく必要があるのではないかと思います。
「嫌だ」ときちんと言えれば、罰則の対象になるという説明でしたが、自分で「嫌だ」と言える力を子どもたちは本来持っているはずですが、いろいろな状況の中で「嫌だ」と言えないまま従ってしまったり、本当は望まないのに相手の愛情に応えようとして、そういった行為に及んでしまうこともあるのかと思います。
なので、自撮りを送ったら、どうなるかは分からないけれども、今、相手に望まれて答えることが自分を認めてもらえることに繋がったりだとか、自己肯定感が低い子どもたち、自分が愛されていないんじゃないかと思っている子どもたちが、いろいろな大人の罠に引っかかりやすいということです。
だとしたら、子どもたち側に「嫌だ」と言える、本来持っている力を如何に子どもたち自身に回復させていくかが、必要だと思います。
条例のなかに、それを組み込むことができるかは分かりませんが、県として罰則だけではなく、子どもたちの力を育んでいくという視点も入ると、良いのではないかと感じたところでした。
私はCAPという、子どもへの暴力防止の活動もさせていただいております。
子どもたちが本来持っている力を使うことで、自分の身を守るためには、何ができるか、大人たちが子どもたちを守っていくためにはどうしたら良いのかを伝えていくプログラムです。
その中の事例として、ある姉妹がいて、姉の方が父親から性被害を受けていましたが、妹の方は受けていませんでした。
なぜかというと、妹は父親から性被害を受けそうになったときに、「嫌だ」と言えたからです。
その一言で、被害を受けずに済んでいるということがあるので、やはり被害を受けそうになったときに、自分で「嫌だ」と言って良いんだという、子ども側の人権に立ったときに、大人が子どもを守るという視点だけでなく、子どもが自らを守る力を育ててあげられるような福島県になったら良いなと思いました。
CAPのチラシも、小学校の保護者向けに配布するものを持ってまいりましたので、後ほど見ていただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
議長
・ありがとうございました。
子どもの立場から、子どもも「嫌だ」という力を付けていくという取り組みも必要だという御意見だったと思いますが、関連するような御意見をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
加藤勇治委員
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止の部分で、オレオレ詐欺などと同じように、ぐ犯少年や不良行為を犯した青少年が帰る場所が無くなり、暴力団関係者のところに行ってしまい、命令されて同年代の未成年者へ児童ポルノ等の写真の提供を求めてしまったとき、命令した大人に対して、どういった取り締まりが可能なのでしょうか。
事務局(佐藤主任主査)・
条例の趣旨から、青少年は違反になりますけれども、罰則はないということは先ほどの説明のとおりでありますが、例えば青少年が被疑者の場合、大人から指示を受けて、被害者に対して要求したといった場合につきましては、事件の個別的判断にはなりますが、指示した者の共犯が成立するか否かというところであります。
例えば、明確に「あいつの裸の画像を要求しろ」といった指示の客観的な証拠を収集できれば、事件として大人を取り締まることは可能と考えます。
加藤勇治委員
・ありがとうございます。
議長
・また、先ほどの若月委員からの御意見に関連したことでも、その他の観点からでも御意見がありましたらお願いします。
田中哲也委員
・私は、高等学校生活指導協議会を務めておりますが、このような児童ポルノやSNSの問題だとかは、実は裸の写真などは、高校でなく、中学校の段階で非常に多いという状況になっております。
高校生になると自分で「嫌だ」とはっきりと言える状況になっていますが、中学生がスマホを持ったところで、被害にあっているということがあります。
・また、高校生がグーグルから引っ張ってきた局部の写っている画像を流してしまったというケースでは、そもそもフィルタリングがかけられていないという問題もありますが、よく調べてみると高校に入学する前の中学生のころの事件でありました。
小学校5、6年生から、そういった事件もあるようです。
わいせつやポルノ関係は、高校生では若干少ないかなと考えております。
議長
・ありがとうございました。
そうすると、未成年でも、さらに低年齢の方が深刻である可能性があるということでしょうね。
ほかにはいかがでしょうか。
鈴木登三雄委員
・意見というか、質問ですが、2点あります。
児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止に関してですが、極めて改正の趣旨は真っ当で適正なものだと思うのですが、故に何故、児童ポルノ等規制法の方で規制されていないのか、規制されようとする動きが有るのか、無いのかお聞かせいただきたい。
また、全国でも東京と兵庫の1都1県ということでしたが、他の都道府県でも動きがあるのでしょうか。
・あと、もう一点がインターネット利用環境の整備に関してですが、先ほどの説明にもありましたが、周知を図ることが重要でありますので、業者をはじめとして、広く県民に対して、フィルタリングに関する改正内容を知っていただくことが大事なことで、広報、周知の方法については検討中だということでしたが、具体的にどういった広報、県民理解の促進に向けて、考えがあるのか御質問いたします。
事務局(髙木課長)
・ただ今、鈴木委員から御質問のありました法律の件ですが、法改正の動向などがないか情報を集めたところ、国へそういった行為に関して法律で規制ができないのかといった要望があったと聞いておりますが、法改正の動きがなかなかみられないという中で、東京都で2月に、その後兵庫県が続いて条例を施行したといった状況であると認識しております。
なお、今回の自画撮り防止、フィルタリング関連の他県の動きでありますが、自画撮り防止に関しては、東京都、兵庫県が先行しておりますが、福島県でもこのような形で御審議いただいている中で、今のところの状況でありますと、京都府愛媛県、福岡県、大分県といったところが、検討を行っていると伺っているところでございます。
また、フィルタリングにつきましては、国の法律に基づいてということでありますので、3月末の段階で、31都道府県で条例の改正が行われると聞いております。
それ以外にも、本県のようにフィルタリングに関して条例の改正を検討されているところがあると聞いております。
・次に、周知の関係でありますが、今後条例改正を議会に提出させていただいて、スムーズにいった場合、最速で9月議会に提出できるかどうかといったところでありますが、想定では来年の4月からの施行を予定しておりまして、その間に周知活動に努めていきたいと考えてございます。
その周知活動の主な方法といたしましては、条例を改正した後、市町村に状況を御理解いただくとともに、教育委員会にも働きかけを行いまして、条例改正の内容について、子どもたちがそういったことについて学んでもらうことと、パンフレットやリーフレット等を作成し、学校を通して生徒児童、最終的に保護者に見ていただくような周知活動をしていかなければならないと考えております。
また県内には、県警の相談窓口や青少年会館にある青少年総合相談センター、市町村を含めていろいろな相談窓口がございますので、例えばそういった窓口で適切な対応ができるようにお願いをしていくということで考えてございます。
・また、先ほど若月委員からお話のありました、子どもたちをどのようにして守っていくかの部分につきましては、生徒さん、児童さん本人が自ら考える力をつけていただくことが大事だと考えてございます。
特に、インターネットやスマホといったところにつきましては、昨年の11月にふくしま高校生スマホサミットということで、県内全ての高校を対象といたしまして、ビックパレットでスマホの適正利用について「いい写真、それは載せてもいい写真」ですとか、高校生自ら考えていただき、その結果をパンフレットやポスターにして県立高校だけでなく中学校、小学校にも周知を図ったところでございます。
そういったところをさらに深めていくことと、また県民総ぐるみ運動として7月に街頭啓発活動で県が先頭に立って、子どもさんたち、保護者たちに、チラシなどを配布したり、市町村の社会を明るくする運動などを通して、今後条例が改正になった暁には、そういったところで周知等を進めてまいりたい考えでございます。
議長
・そのほか、いかがでしょうか。
鈴木雅文委員
・今ほどの鈴木委員の質問や課長さんにお答えいただいた内容と重複する部分もありますが、とかく、このような条例による規制となってきたときに、企業を巻き込むということになった場合、どうしても企業の論理、社会の論理といった部分がでてきます。
条例だからといった部分で、バッサリと切り捨てるのではなく、企業側にも社員がいて、それなりの考えがあるということを理解して、どういう状況で今回の条例が改正され、如何に重要なことであるかを、丁寧に根気よく説明していっていただければと思います。
・また、課長さんからお話がありましたが、広く県民に周知徹底を図っていっていただきたいと思う次第であります。
議長
・いろいろな観点から、いろいろな御意見がありましたが、子どもを取り巻く環境、学校、地域で連携してやっていくしかないですよね。
子どもには、自身で判断できない未成熟さがあるわけですから、大人が判断をよくしていかなければならないというところが、まずあるのかなと思います。
今回、条例の一部改正ということですので、広く県民に周知することはもちろんですが、子どもたちにも知らせて一緒に取り組んでいくことに繋がっていけば良いと思います。
・そろそろ、御意見はよろしいでしょうか。
・それでは、事務局からの説明のとおり、福島県青少年健全育成条例及び同施行規則を一部改正することが適当であると答申することに御異議はございませんか。
<異議なし>議長
・御異議がないようですので、事務局からの説明のとおり福島県健全育成条例及び同施行規則を一部改正することを適当とする。
そのように決定させていただきます。
・次に知事への答申書の作成及び答申につきましては、会長の私に一任していただくことにして、よろしいですか。
<異議なし>議長
・それでは、知事への答申書の作成及び答申につきましては、御一任いただきましたので、委員の皆様には、後日、その写しを送付させていただきます。

教員・児童ポルノDVD5枚所持→罰金30万円→停職1月依願退職

 サイト摘発のときに、弁護士に相談して破棄して捜査している警察に相談した教員は捜索も取調も起訴も罰金もなく、今も教員です。

中学・高校、3男性教諭処分 児童ポルノDVD所持・交通事故 /岐阜県
2018.07.11 朝日新聞
 県教育委員会は10日、児童ポルノのDVDを所持したとして、多治見市立小泉中の男性教諭(56)を停職1カ月の懲戒処分とし、発表した。県教委の調べに、「以前から若い子が出ているDVDに興味があった」と話しているという。教諭は同日、退職届を提出し、受理された。
 県教委によると、教諭は2016年6月ごろ~17年3月、動画販売サイトから児童ポルノのDVD5枚を入手し、所持していた。今年6月、多治見区検が児童買春・児童ポルノ禁止法違反の罪で略式起訴し、多治見簡裁が罰金30万円の略式命令を出した。
・・・
児童ポルノ所持 男性教諭を停職=岐阜
2018.07.11 読売新聞
 県教育委員会は10日、児童ポルノを所持したとして、多治見市立小泉中学校の男性教諭(56)を停職1か月の懲戒処分にした。男性教諭は同日付で退職した。
 発表によると、男性教諭は2016年6月頃から17年3月までに、インターネットの動画販売サイトで児童ポルノのDVD5枚を購入するなどした。先月25日に児童買春・児童ポルノ禁止法違反で多治見区検に略式起訴され、多治見簡裁から罰金30万円の略式命令を受けたという。
読売新聞社

保釈中に犯した事件で逮捕されたときは、任意的な保釈の取消を検討する。

 保釈保証金の意味が無いので、上申して、職権で保釈を取り消してもらって、保釈保証金を取り戻すことがあります。
 そんな条文はないのでできないという弁護士もいますが、
保釈を取り消すのにはどうしたらいいのか? - 弁護士ドットコム
実務上は行われています。

保釈 理論と実務(2013年 法律文化社)p121
しかしその後.実務裁判官から積極説に立つ見解が相次いで現われ.積極説がむしろ有力となった。
その理由付けは. I法96条は,強制的な保釈取消事由を定めたものと解し,被告人からの任意の申し出に基づく保釈取消しを禁じる趣旨を包含するものでないと解する。こう解しても保釈取消後の身体拘束はもともと勾留の効力による拘束であって法律上の根拠に欠けるものでないし権利保釈が認められるべき事案であっても,被告人が保釈請求をせずにいることももとより自由であることにかんがみると,この解釈は現行法の保釈制度全般の趣旨に添うものである)とするところにある。昭52年7月の東京高裁管内判事合同会議においても取消しを認めてよいのではないかという意見が強かったとしている(刑裁資料221号)。
積極説をとる判例として.鳥取地裁米子支決平5.10.26判時1482-161がある。
・・・
15◎被告人が保釈の取消しを希望し、取消しに相当の理由がある場合、裁判所は、本条一項所定の事由がなくても職権で保釈の取消しができる。被告人は破門された暴力団関係者から数百万円の借金があり、債権者から厳しい催促や暴力団関係者から被告人の居所の問い合わせがなされるなど被告人が生命身体に危険を感じる事態等の場合はこれに当たる。(鳥取地米子支決平5・10・26判時1482-161)
「模範六法 2014」 (C)2014 Sanseido Co.,Ltd.

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/431303/
長男を再逮捕 女児の体触った疑い
2018年07月09日 11時47分
 小学生の女児の体を触ったとして、警視庁捜査1課は9日、強制わいせつの疑いで、長男で住所不定、容疑者を再逮捕した。
 再逮捕容疑は5月13日午後1時10分ごろ、東京都練馬区の路上で、友人らと遊んでいた小学生の女児の胸をつかんだ疑い。「犯行の状況は覚えていないが、逮捕されたのであれば私だと思う」と供述している。防犯カメラの画像から浮上した。
 捜査1課によると、別のわいせつ事件で公判中だった4月下旬に保釈された後、練馬区で小学生の女児の胸を触ったとして、6月に強制わいせつ容疑で逮捕。7月に東京都迷惑防止条例違反の罪で起訴された。

行為者の性的意図が強制わいせつ罪の成立要件でないとした事例(判例変更)最大判平29.11.29警察実務重要裁判例h30版

 捜査については従前通り。

刑集71巻9号467頁
刑法176条
解説
本判決は,昭和45年判例を明示的に変更したものであるが,以前から下級審においては,性的意図を必要としないとの判断をしたと考えられる裁判例が見受けられる状況にあった。本判決は,性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映して平成l6年刑法改正や平成29年刑法改正が行われたことなどに触れた上,今日的観点から,強制わいせつ罪の成立範囲を画そうとしたものであり,実務上参考になるところが多い。
もっとも,本判決が,昭和45年判例を変更したことにより,犯人の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではなくなったといえども,本判決は,わいせつ行為には,行為の性的性質が明確で,直ちにわいせつ行為と評価できるような行為だけではなく,行為の性質からは直ちに性的な意味があるか評価し難く,行為が行われた際の具体的事情等の諸般の事情をも総合考盧して性的意味合いの強さを判断する必要があるものも存在していることを明示している。そして,本判決は,その中には,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考盧すべき場合もあるとしているところであって,今後においても, この種事案の捜査において,犯人の性的意図, 目的等について十分捜査を尽くす必要があることに留意すべきである。

石飛勝幸「刑法(平成29年法律第72号による改正前のもの)176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考盧すべき場合はあり得るが,行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではないとした事例>>刑集71巻9号467頁」警察公論2018/8

 大法廷h29.11.29の問題点は性的意図不要としつつわいせつの定義を示さなかった点ですね。

(3) 「性的性質が明確」な行為について
ところで,本判例は,上記のとおり,本件における行為については「性的性質が明確」であるとしているが,そのほか, どのような行為が「性的性質が明確」といえるかについては必ずしも明らかにしていない。
この点,判決文において, 「強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で」とされていることからすれば,姦淫(性交)に類似するような行為,例えば,肛門性交や口腔性交(「刑法の一部を改正する法律」[平成29年法律第72号])に「連なる行為」についても, 「性的性質が明確」といえるものとも思われる。

しかしながら,具体的にどのような行為が「強姦罪に連なる行為」等として「性的性質が明確」といえるか否かについては,必ずしも本判例からは判然とせず,事例の集積を待つほかないものと考えられる。
(4)今後の捜査への影響
このように,本判例は,強制わいせつ罪の成立について,性的意図を一律に要件とすることを否定したものと考えられる点で意義があるが,捜査機関としては, 「わいせつな行為」に当たるか否かの判断において,行為者の主観面を考慮すべき場合があり得ることをも示唆されたことに留意する必要がある。
そして, どのような場合に行為者の主観面を考慮するかについての判断基準は必ずしも明らかではなく,個々の事案における具体的事情に応じて判断されることになると思われる。
したがって,今後の強制わいせつ事件の捜査においても,引き続き,行為者の動機や目的,性的嗜好等といった主観面に関する証拠を収集する必要があり, また,行為者と被害者との関係,具体的な行為態様,周囲の客観的状況,被害者の精神的ダメージ,被害者が抱いた性的差恥心などの事情についても,十分な捜査が求められる場合があるものと考えられる。
⑤おわりに
性犯罪に関しては,近年の実情等に鑑みて,事案の実態に即した対処を可能とするために,強姦罪の構成要件を改め,法定刑を引き上げて強制性交等罪とするとともに,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設し,さらに,強姦罪等を親告罪とする規定を削除することなどを内容とする法改正がなされるなど変動期にある。
これに対応するため,改正法を含めた関係法令を十分に理解し厳正に運用することが不可欠であるが,本判例は改正前の強制わいせつ罪についてのものであるものの,改正後の強制わいせつ罪においてもその解釈の参考となり得るものと思われる。

8/26の名誉毀損、1/14 11:51~のリベンジポルノ陳列罪、1/14 09:53~~のリベンジポルノ陳列罪を併合罪とした事例(実刑 秋田地裁h30.3.28)

 反復継続しているから混合的包括一罪と主張してみて下さい。

■28261888
秋田地方裁判所
平成30年03月28日
 上記の者に対する名誉毀損、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官橋詰悠佑及び国選弁護人石田英憲各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 ●●●(以下「被害者」という。)の名誉を毀損しようと考え、平成29年8月26日午前11時5分頃、A市内又はその周辺において、携帯電話機を使用し、インターネットを介して、不特定多数の者が閲覧可能なインターネットサイト「B」内の「●●●市雑談」と題する掲示板の「●●●」と題するスレッド上に「●●●ヤリマンBBA」と掲載し、不特定多数の者が閲覧可能な状態にさせ、もって公然と事実を摘示し、被害者の名誉を毀損した
第2 A市内又はその周辺において、自己の携帯電話機を使用し、インターネットを介して、
 1 平成30年1月14日午前11時51分頃から同月15日午前9時53分頃までの間、被害者の氏名等が掲載された画像データとともに、同人の顔、陰部、胸部等が撮影された画像データ1点を、「C.Inc」社が管理する場所不詳に設置されたサーバコンピュータに送信して記憶・蔵置させ、不特定多数のインターネット利用者が同データを閲覧することが可能な状態を設定し、もって第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位が露出され、かつ、性欲を興奮させ又は刺激する画像を記録した私事性的画像記録物を公然と陳列した
 2 同日午前9時53分頃から同月16日午前8時頃までの間、同人の氏名等が掲載された画像データとともに、同人の性交類似行為に係る姿態を撮影した動画データ3点を、同社が管理する場所不詳に設置されたサーバコンピュータに送信して記憶・蔵置させ、不特定多数のインターネット利用者が同データを閲覧することが可能な状態を設定し、もって第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、性交類似行為に係る人の姿態が撮影された画像を記録した私事性的画像記録物を公然と陳列した
ものである。
(法令の適用)
 罰条
  判示第1の所為 刑法230条1項
  判示第2の1の所為 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条2項、2条1項3号
  判示第2の2の所為 私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律3条2項、2条1項1号
 刑種選択 いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い判示第2の2の罪の刑に法定加重)
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 訴訟費用の処理 刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
(求刑 懲役2年)
刑事部
 (裁判官 三浦隆昭)