児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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姿態をとらせて製造罪で逮捕して、単純所持罪で罰金30万円(千葉簡裁h30.6.20)

 製造したら、所持に至るわけなので、製造罪でカバーされている部分もあると思います。

栃木の中学講師逮捕 少年に裸画像送らせた疑い 千葉県警
2018.06.01 千葉日報 
 千葉県内に住む10代の男子中学生に裸の画像を送らせたとして、県警少年課は31日、児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで、講師、容疑者(26)を逮捕した。
 逮捕容疑は、昨年7月23日、ツイッターで知り合った男子中学生=当時=が18歳未満と知りながら、裸の写真を撮らせ、無料通信アプリ「LINE」(ライン)で自身のスマートフォンに送らせた疑い。
 同課によると、容疑者は「男性に興味があった」と容疑を認めている。2人は実際に会ったことはなく、金銭のやり取りはなかった。昨年8月、男子中学生の母親がスマートフォンを見て県警に相談した。
 千葉日報社の取材に同校教頭は「大変申し訳ない。勤務態度に問題はなかった」と話している。
千葉日報社

児童ポルノ所持で講師に罰金30万円 
2018.06.21 千葉日報  
 児童ポルノ画像3点をスマートフォンに保存したとして千葉区検は20日、児童買春・ポルノ禁止法違反(所持)の罪で、講師(26)を略式起訴した。千葉簡裁は罰金30万円の略式命令を出し、講師は即日納付した。
 講師は昨年7月、千葉県内に住む当時中学生だった少年が18歳未満と知りながら裸の画像をスマホに送らせ、児童ポルノを製造した容疑で今年5月、県警に逮捕・送検されたが、地検は20日、不起訴処分とした。今回略式起訴された事件の被害児童とは別の人物。
千葉日報社

盗撮製造罪で執行猶予(函館地裁H30.4.17)

盗撮製造罪で執行猶予(函館地裁H30.4.17)
 これを函館地検で閲覧申請していましたが、D1LAWにでました。
 被害児童35名で執行猶予ですが「犯情の最も重い第1の罪の刑に加重」になっていて、「判示第1別表○版の罪に加重」となっていないことからは、1回の盗撮で数人撮影した場合を一罪とカウントしていて、被害児童の個性は問題となっていないようです。個人的法益説が徹底されていない場面です。

函館地方裁判所
平成30年04月17日
被告人
弁護人(私選) 廣田朋子

主文
被告人を懲役2年6か月に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。

理由
(犯罪事実)
 被告人は
第1 平成28年4月13日、北海道(以下省略)所在のA小学校保健室において、内科検診を受診していた同小学校の女子生徒である別表1(添付省略)記載の児童らがいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら、ひそかに、乳首、胸部等が露出された各児童の上半身裸の姿態を腕時計型カメラで動画撮影し、同日頃、北海道(以下省略)所在の当時の被告人方において、その動画データをパーソナルコンピュータに接続された電磁的記録媒体である外付けハードディスクに記録して保存し
第2 平成29年4月12日、前記小学校保健室において、内科検診を受診していた同小学校の女子生徒である別表2(添付省略)記載の児童らがいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら、ひそかに、乳首、胸部等が露出された各児童の上半身裸の姿態をペン型カメラで動画撮影し、その動画データを同カメラに装着された電磁的記録媒体であるマイクロSDHCカードに記録して保存し
第3 同年7月4日、北海道(以下省略)の法面において、北海道(以下省略)所在のB方脱衣場で入浴後に全裸となっていたC(当時9歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、ひそかに、乳首、胸部等が露出された同児童の全裸の姿態を前記B方に向けたデジタルカメラで動画撮影し、その動画データを同カメラに装着された電磁的記録媒体であるSDHCカードに記録して保存し
もって、それぞれ、ひそかに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより、児童ポルノを製造した。
(証拠)
 (省略)
(法令の適用)
 罰条(第1ないし第3) いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2条3項3号
 刑種の選択(第1ないし第3) いずれも懲役刑
 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い第1の罪の刑に加重)
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 刑の執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)
 本件各犯行は、当時小学校教諭であった被告人が、自己の性欲を充たすために、勤務先の小学校に通う児童合計35名の裸体を盗撮して児童ポルノを製造したというものであるところ、その犯行態様がいずれも悪質であることはいうまでもないが、取り分け、判示第1及び第2の各犯行は、小学校教諭としての立場を悪用し、小学校内の保健室に隠しカメラを設置して敢行されたという非常に悪質なものであり、犯行動機にもおよそ酌量の余地はない。
 したがって、被告人の刑事責任を軽くみることはできない。
 他方、被告人が本件各犯行を認め、反省の態度を示していること、前科がないこと、当然のこととはいえ、小学校教諭を懲戒免職され、一定の社会的制裁を受けていること、父親が今後の被告人の監督を約束していることなど、被告人のために酌量すべき事情もある。
 そこで、これらの事情を総合考慮して、被告人を主文の刑に処し、今回に限り、その刑の執行を猶予することとした。
(求刑-懲役2年6か月)
刑事部
 (裁判官 橋本健)

6/13 20:18 逮捕、6/14 夜 起訴

 20日勾留というのは短縮できるということですね。

 逮捕中起訴から起訴後の勾留へ

時効まで27時間…強姦容疑の男を逮捕 さいたま地検、異例のスピード起訴
https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140037-n1.html
 平成20年に10代の女性に性的暴行を加えたとして、埼玉県警川口署は13日、強姦の疑いで容疑者を逮捕した。時間は午後8時18分で、15日午前0時の時効成立まで27時間余りだった。さいたま地検は14日夜に容疑者を異例のスピード起訴した。
 刑事訴訟法は「時効は、当該事件についてした公訴の提起によってその進行を停止し」と定めており、逮捕によって止まらないため、速やかに起訴する必要がある。
 通常は48時間以内に警察から検察に送検され、20日間の勾留を経て起訴されることが多いが、県警と地検が事件の重大性を判断して異例の手続きを行ったとみられる。
 地検は起訴内容の詳細を明らかにしていないが、県警の逮捕容疑は20年6月14日午後11時ごろ、川口市内の路上で、帰宅途中の専門学校生の女性の肩をつかみ、「大声を出したら刺すぞ」と脅し、翌15日未明まで公園や空き地など数カ所を連れ回して性的暴行を繰り返したとしている。
 現場の遺留物と被告のDNA型が一致したため、指名手配して行方を追っていた。今月13日夜、川口市内の知人宅にいるのを捜査員が発見した。調べに対し、「記憶にない」と容疑を否認している。

強制性交等罪2罪で懲役4年(神戸地裁h30.3.20 求刑5年)

 法定刑の下限が引き上げられましたが、酌量減軽で従前の量刑相場を維持している感じです。

「本件が暴行脅迫を用いたり、抵抗しにくい状況に乗じたりしての犯行ではないこと、被告人が本件犯行を行ったこと自体は認めて反省の言葉を述べていることなどを考慮し、13歳未満の女性に対するこれまでの強姦罪の量刑傾向を踏まえつつ、被告人に対しては、酌量減軽」ということです。

神戸地方裁判所
平成30年03月20日

主文
被告人を懲役4年に処する。
未決勾留日数中50日をその刑に算入する。

理由
(犯罪事実)
 被告人は、被害者が13歳未満の者であることを知りながら、同人と性交等をしようと考え、
第1 平成29年11月14日午後7時23分頃から同日午後11時26分頃までの間に、A市a区bc番dにおいて、同人(当時11歳)と性交及び口腔性交をし
第2 同日午後11時32分頃から同月15日午前5時45分頃までの間に、同区e町f番gにおいて、同人と口腔性交をし
た。
(証拠)
(法令の適用)
罰条 判示第1、第2の各所為につき、いずれも刑法177条後段
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
酌量減軽 刑法66条、71条、68条3号
未決勾留日数の算入 刑法21条
訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は、インターネットを介して知り合った11歳の被害者に対する強制性交等の事案である。
 被告人は、被害者が過去の特異な性体験などによって心身ともに大きく傷ついていることを知っていたのだから、30歳にもなる大人としては、そのような被害者を慮り、その発達に更なる悪影響を及ぼすような行動は厳に慎み、むしろ、年齢に応じた健全な性的価値観を有することができるよう諭さなければならない立場にあったといえるのに、かえってその心の傷に乗じるようにして、性欲の赴くままに、異なる場所で繰り返し犯行に及んだ(本件の犯行態様等からすれば、被告人が性欲を満たすために犯行に及んだことは明らかで、これに反する被告人の供述は信用できず、また、前記経緯に照らすと、被害者が被告人に対して好意を抱いている旨を供述していることも大きく考慮することはできない)。このように、本件犯行は身勝手かつ卑劣であり、そのような犯行により被害者の心身の健全な発達に悪影響を及ぼすことが強く懸念される。また、被告人は、平成28年11月に恐喝罪等により懲役1年6月、3年間執行猶予に処せられ、執行猶予中であるにも関わらず本件犯行に及んだことも、強い非難に値する。被害者の母親も、厳しい処罰を求める旨述べている。これらの点からすると、被告人の刑事責任は重いというべきである。
 そこで、本件が暴行脅迫を用いたり、抵抗しにくい状況に乗じたりしての犯行ではないこと、被告人が本件犯行を行ったこと自体は認めて反省の言葉を述べていることなどを考慮し、13歳未満の女性に対するこれまでの強姦罪の量刑傾向を踏まえつつ、被告人に対しては、酌量減軽の上、主文のとおり刑を量定した。
(求刑懲役5年)
第2刑事部
 (裁判長裁判官 小倉哲浩 裁判官 倉成章 裁判官 牛濵裕輝)

何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後十一時から翌日午前四時までの時間をいう。)に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説

 罰則は16歳未満の場合のみ。過失処罰条項がある

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 H23.7
(深夜外出の制限)
第十五条の四 保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後十一時から翌日午前四時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。
2 何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
3 何人も、深夜に外出している青少年に対しては、その保護及び善導に努めなければならない。ただし、青少年が保護者から深夜外出の承諾を得ていることが明らかである場合は、この限りでない。
4 深夜に営業を営む事業者及びその代理人、使用人その他の従業者は、当該時間帯に、当該営業に係る施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すように努めなければならない。
(平一六条例四三・追加)

[要旨】
本条は、第1項において保護者に対し、深夜に青少年を外出させない努力義務を課し、第2項においてすべての者に対し、保護者の委託又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出すこと等を禁止した規定である。さらに、第3項においてすべての者に対し、深夜に外出している青少年の保護及び善導を、第4項において深夜に営業を営む事業
者等に、その施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すことをそれぞれ努力義務として定めている。
【解説]
本条でいう「保護者」とは、第4条の2第1項の「保護者Jと同義である。近年、生活時間帯が深夜に及ぶとともに、深夜に営業する施設も増加したことなどから、青少年が深夜に繁華街を俳佃し、コンビ、ニエンスストア内や駐車場の敷地内、庖の前の路上でたむろするなどの行動が目立つようになり、また、事件や犯罪に巻き込まれる事例も増えている。これらを背景に、平成16年の条例改正により新設された。
第1項は、本来第一義的に保護者が自覚を持つべき事項であるが、子供が深夜に俳梱していたり、無断外泊をしていても、無関心であったり、携帯電話で連絡が取れるから問題がないとしてすぐに迎えに来ない保護者もいるなど、保護者の責任感が希薄化していることから、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させない努力義務を保護者に課したものである。これにより、保護者の責任を明確にし、自覚を促すことを目的としている。
ここでいう「正当な理由」とは、勉強又は就労(労働基準法で認められている範囲内に限る。)のように定例的なもの、本人又は保護者・親戚等の病気や事故、旅行先からの帰宅等の突発的又は一時的なものの両方が想定される。
第2項は、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめることを禁止する規定である。保護者の同意等を受けず、また、その他正当な理由がないのに、青少年を深夜に連れ回すことは、まさに犯罪に巻き込まれる危険性があることから、設けられたものである。
保護者の委託文は同意の有無は、例えば、塾等に迎えに行くなど保護者の委託を受けて定例的に行っている場合、毎回必ず確認することまでは要さない。また、ここでいう「正当な理由Jとは、本人又は保護者の急な病気や事故等により、保護者に確認することが不可能な場合、事件や事故等に遭遇した青少年を助ける等、偶発的な理由により、結果として同伴することになった場合等を指す。
「連れ出し」とは、青少年をその住居、居所等から離れさせることであり、その手段等は問わない。したがって、携帯電話やメーノレ等での呼び出しで、あっても該当する。
「同伴」とは、現に同行し、又は同席する等、青少年と同一の行動を取っていることをいい、青少年が単独であると複数であるとは問わない。また、既に深夜に外出している青少年と同伴する場合も含む。
「とどめ」とは、連れ出している、あるいは既に外出している青少年が、帰宅の意思を表しているにもかかわらず、それを翻意させ、又は制止することをいい、その手段は問わない。
また、「連れ出し」、「同伴」、「とどめ」のいずれも、青少年の意思には関係がない。つまり、青少年の意思に反し、あるいは意思の確認をしないで、これらの行為をすることはもとより、青少年が自らの意思で「連れ出し」に応じて外出し、同一の行動を取り、また、翻意に応じて帰宅の意思を変更してとどまっている場合もこれに該当する。
本条において、本項のみが罰則の対象となるが、罰則を適用されるのは、16歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめた者に限る。これは、中学生以下と高校生以上とでは、生活実態が異なることを考慮、したものである。
第3項は子供に対する大人の本来の責任を明確にするためのものである。
第1項及び第2項を受けて、すべての者が、深夜に青少年が外出することは望ましくないとの認識を持ち、そのような青少年と会った場合は、保護するとともに、今後は深夜に外出しないように促すことを求めた規定である。
「保護」とは、深夜外出している青少年が被害に遭わないための未然防止策であり、例えば、飲酒、喫煙、けんか等自身を損ない、又は周囲に迷惑をかける行為をしている場合に、警察や消防などへ通報することが挙げられる。
「善導」とは、深夜外出している青少年に帰宅を促すとともに、犯罪に巻き込まれないため等の注意喚起を促すことである。
なお、保護者から深夜外出の承諾を得ている場合には、やむを得ない場合と考えられることや、保護者が責任をもって行わせていることであるため、必ずしも保護及び善導に努める必要はない。
第4項は、第16条にいう深夜立入制限施設には該当しないが、深夜に営業を営んでいる事業者等は、本条及び第16条の制定された趣旨を十分に理解し、協力する必要があるとして、特に、当該営業に係る施設内等にいる青少年に対する帰宅を促す責任があることを規定したものである。
「深夜に営業を営む者」とは、深夜に営業しているスーパーやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの経営者等を想定している。また、帰宅を促す方法としては、掲示や放送等が有効と考えられる。

・・・
罰則
第二十六条 
次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
五 第十五条の四第二項の規定に違反して、深夜に十六歳未満の青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめた者

第二十八条 
・・・第十五条第一項若しくは第二項、第十五条の二第一項若しくは第二項、第十五条の三、第十五条の四第二項又は第十六条第一項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第二十四条の四、第二十五条又は第二十六条第一号、第二号若しくは第四号から第六号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

[解説]
本条は、第9条第1項の指定図書類の販売等の制限、第10条第1項の指定映画の観覧の制限、第11条の指定演劇l等の観覧の制限、第13条第1項の指定がん具類の販売等の制限、第13条の2第1項の指定刃物の販売等の制限、第15条第1項又は第2項の質受け又は古物質受けの制限、第15条の2第1項又は第2項の着用済み下着等の寅受け等の禁止、第15条の3の青少年への勧誘行為の禁止、第15条の4第2項の深夜の青少年の連れ出し等の禁止、第16条第1項の深夜における興行場等への立入りの制限等の規定に違反した場合に、違反者は、その相手方の年齢が18歳に満たない者であることを知らなかったとしても、それを理由として処罰を免れることができないことを規定したものである。
本条でいう「過失」とは、注意すれば相手が青少年であるという事実を認識することができたのに不注意で認識しなかったことをいい、「この限りでない。」とは、過失がないと認められる場合は、消極的に本条の罰則適用を打ち消すとの意味である。
すなわち、年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて糞任を負わせないとしたものである。

https://thepage.jp/detail/20180614-00000002-wordleaf?pattern=1&utm_expid=90592221-90.x0Auz-QlTn2yldOAHtyYkA.1&utm_referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2F
NEWS手越祐也も未成年と飲酒 “文春砲”は逃れたと思った頃にやってくる

アイドルグループ・NEWSに、また大騒動が起きた。今度は手越祐也が参加した昨年12月のパーティー動画が流出、『週刊文春』の取材により同席者の中には当時19歳と17歳の未成年の女性タレントもいたことが判明。「文春オンライン」やきょう発売の同誌で報じられた。

http://biz-journal.jp/gj/2018/06/post_6952.htmlNEWS
手越祐也「未成年飲酒パーティ」文春砲で絶望? 事務所「最後通告」カウントダウンはじまる?
【この記事のキーワード】NEWS, 手越祐也, 週刊文春
 未成年への飲酒強要で活動を自粛することになったNEWSの小山慶一郎と、厳重注意となった加藤シゲアキジャニーズ事務所に激震が走っているが、今度は手越祐也が「文春砲」の餌食になってしまった。ジャニーズの天敵「週刊文春」(文藝春秋社)が、webサイト『文春オンライン』で手越と未成年女性の「飲酒パーティー」動画を公開している。

 詳しくは同サイトを御覧頂いたきたい。だが、NEWSのメンバーが未成年女性を巡るトラブルで次々に処分されている中、この報道は本人にとってあまりにも痛すぎるのは間違いないだろう。

「手越の女グセの悪さはこれまでもさまざまな媒体が報じていました。ですが昨年、金塊強盗犯との写真流出、セフレとのベッド写真流出など、立て続けにスキャンダルが噴出したため、ついにジャニーズ事務所も重い腰を上げ、彼に最後通告がなされたとも言われていたんですよ。今回の一件で手越になにかしらの処罰が下されるのは明白でしょうね」(芸能記者)

禁錮以上の刑に処せられたこと等により、法第 18 条の5に規定する欠格事由に該当することとなった者の保育士登録の取消しに関する事務の適正化を図るため、児童福祉法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令(平成 30 年厚生労働省令第 26 号)

 法文が見当たりません

http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000168016
児童福祉法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令案 (概要)
1.改正の趣旨
保育士が禁錮以上の刑に処せられたこと等により、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)第 18 条の5各号(第4号を除く。)に規定する欠格事由(以下「欠格事由」という。)に該当することとなった場合に、速やかに保育士登録の取消しが行われるよう、欠格事由に該当するおそれがある事案を都道府県知事が把握した場合に、当該都道府県知事が当該事案に係る保育士の本籍地の市区町村に対して犯歴情報の照会を行うこと等により、欠格事由に該当するかどうかを確認することとする旨の規定を新設するもの。
2.改正概要
保育士(国家戦略特別区域法(平成 25 年法律第 107 号)第 12 条の5に規定する国家戦略特別区域限定保育士を含む。以下同じ。)が逮捕されるなど、保育士が欠格事由に該当するおそれがあると都道府県知事が認める場合、当該都道府県知事は、当該保育士の本籍地の市区町村に対して犯歴情報の照会を行うこと等により、欠格事由に該当するかどうかを確認するものとすることとする。
3.改正省令
児童福祉法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 11 号)
厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則(平成 26 年厚生労働省令第33 号)
4.根拠条文
児童福祉法施行令(昭和 23 年政令第 74 号)第 21 条
国家戦略特別区域法施行令(平成 26 年政令第 99 号)第9条において準用する児童福祉法施行令第 21 条
5.施行期日等
公布日:平成 30 年2月中旬(予定)
施行日:公布日

http://www.city.matsubara.osaka.jp/index.cfm/7,66611,c,html/66611/20180328-101431.pdf
子発0320第5号
平成30年3月20日
各 民生主管部(局)長
厚生労働省子ども家庭局長(公印省略 )
保育士登録の取消しに関する事務について
保育士登録に関する事務については、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号。以下「法」という。)第 18 条、「保育士登録の円滑な実施について」(平成 15 年 12 月1日雇児発第 1201001 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)等により実施されているところであるが、禁錮以上の刑に処せられたこと等により、法第 18 条の5に規定する欠格事由(以下「欠格事由」という。)に該当することとなった者の保育士登録の取消しに関する事務の適正化を図るため、児童福祉法施行規則及び厚生労働省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令(平成 30 年厚生労働省令第 26 号)(以下「改正省令」という。)を公布し、本日付で別添のとおり施行したため通知する。
改正省令の改正の趣旨及び運用の際の留意事項は下記のとおりであるため、御了知の上、その運用に遺漏なきよう期するとともに、管内関係機関、管内市町村及び関係団体等に対する周知を図られたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22 年法律第67 号)第245 条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

1 本人からの届出義務の周知徹底等による保育士登録の取消し(1)届出義務の周知徹底
児童福祉法施行規則(昭和 23 年厚生省令第 11 号。以下「規則」という。)第6条の 34 により、保育士は、法第 18 条の5各号(第4号を除く。)のいずれかに該当するに至った場合、遅滞なく、登録証を添え、その旨を保育士登録を行った都道府県知事に届け出なければならないこととされている。
この届出義務について、保育士登録を行う都道府県は、保育士登録を行う機会等において、周知を徹底すること。
(2)届出に伴う保育士登録の取消し
都道府県指定都市中 核 市 規則第6条の 34 に基づき、保育士等から欠格事由に該当する旨の届出があった場合、当該保育士の保育士登録を行った都道府県は、速やかに、当該保育士の本籍地の市町村(特別区を含む。
以下同じ。)に対し、保育士の犯罪の経歴に関する情報の照会を行うことにより当該事実の確認を行った上、保育士登録の取消しを行うこと。
2 施設等からの報告に基づく保育士登録の取消し等
(1)保育士が勤務する施設及び事業所への周知徹底
都道府県は、保育士が勤務する管内の施設及び事業所(以下「施設等」という。)に対し、保育士の欠格事由及び保育士が欠格事由に該当するに至った場合の取扱いについて、周知を徹底すること。
(2)保育士が勤務する施設等に対する報告依頼
都道府県は、保育士が勤務する管内の施設等に対し、当該施設等に勤務する保育士が逮捕されるなど、欠格事由に該当するおそれが生じた場合において、当該保育士の氏名、住所、生年月日及び保育士登録番号その他の必要な情報の報告を求める等により、保育士が欠格事由に該当するおそれがある事案について積極的な把握に努めること。
(3)欠格事由の該当の有無の確認
施設等から報告を受けた都道府県は、報告の対象となった保育士、当該保育士の家族、当該保育士の勤務する施設等を運営する事業者、当該施設等の所在地の市町村等に対し、情報提供を求めるとともに、報告のあった事案の裁判の傍聴等により、その裁判等の状況の把握に努め、欠格事由に該当するおそれがあると認めた場合、改正後の規則第6条の 34 の2に基づく確認を行うため、適宜、当該保育士の本籍地の市町村に対し、保育士の犯罪の経歴に関する情報の照会を行うこと。
この際、当該保育士の本籍地が不明な場合、住民基本台帳法(昭和 42 年法律第 81 号)第 12 条の2第1項に基づき、都道府県が当該保育士の住所地の市町村に対し、住民票の写しの交付の請求を行い、本籍地の確認を行うこと。
(4)保育士登録の取消し欠格事由に該当する保育士を把握した都道府県においては、法第 18 条の 19 第1項に基づき、速やかに、保育士登録の取消しを行うとともに、規則第6条の 35第1項に基づき、取消しを行った保育士に対し、理由を付し、取消しを行った旨を通知し、同条第2項に基づく保育士証の返納を求めなければならないこと。
この際、当該都道府県は、欠格事由に該当するおそれがある保育士の報告を行った施設等に対し、当該保育士の保育士登録の取消しを行った旨を通知すること。
また、欠格事由に該当する保育士を把握した都道府県と当該保育士の保育士登録を行った都道府県が異なる場合、欠格事由に該当する保育士を把握した都道府県は、児童福祉法施行令(昭和 23 年政令第 74 号)第 20 条に基づき、理由を付して、当該保育士の保育士登録先の都道府県に通知すること。
この通知に基づき、保育士登録の取消しを行った都道府県は、通知した都道府県に対し、当該保育士に送付した保育士登録の取消しを行った旨の通知の写しを送付すること。
なお、保育士証の返納を行わない者については、当該者の保育士登録番号をホームページに掲載するなど、当該者が保育士と偽って保育に関する業務に従事することがないよう、適切な措置を講じること。

https://mainichi.jp/articles/20180101/k00/00m/040/086000c
保育士の犯歴照会、義務に 登録取り消しを徹底
毎日新聞2018年1月1日 08時00分(最終更新 1月1日 09時35分)

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罪を犯した保育士の登録取り消しの流れ
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 幼児へのわいせつ事件などを起こした保育士の登録取り消しを徹底するため、厚生労働省は、児童福祉法の関連省令を2月に改正する方針を決めた。保育士の逮捕情報を把握した時点で、取り消しに向け確認することを都道府県に義務付ける。併せて、逮捕を知った保育所などにも速やかに報告させるよう都道府県に促す。【宇多川はるか、国本愛】
 神奈川県内の保育所で、過去に実刑判決を受けた保育士が登録を取り消されないまま勤務し、園児への傷害致死罪などで起訴される事件があり、再発防止策が求められていた。

 児童福祉法は、禁錮以上の刑を受けた保育士は都道府県が登録を取り消し、執行から2年経過するまでは再び登録できないと定めている。ただし、現行法は、罪を犯した本人が届け出ることを前提としている。届け出がなかったため逮捕情報を把握できず、取り消されなかったケースは少なくないとみられる。

 厚労省は省令改正に伴い、都道府県に対し、市区町村が保有する犯罪歴情報の活用を促す通知を出す。罰金以上の刑(道路交通法違反の罰金などを除く)が確定すると、検察から本籍地の市区町村に通知され、犯罪人名簿に記載される。こうした情報を活用することで、都道府県に保育士の犯罪歴の把握を徹底させる考えだ。

 神奈川県平塚市の認可外保育所で2015年12月、生後4カ月の男児が死亡し、勤務していた保育士の男が傷害致死や強制わいせつなどの罪で起訴された。この男は10年に、東京都内の保育所で女児にわいせつな行為をした強制わいせつ罪で懲役3年の判決を受け、服役していた。だが、登録先の神奈川県はこの情報を把握していなかったため登録は取り消されず、男は出所後に再び保育士として勤務していた。

 学校現場でも、児童・生徒へのわいせつ問題を起こした教員の処分情報が共有されていなかったとして、文部科学省は「教員免許管理システム」を大幅に改善する方針を決めている。

相次ぐ幼児被害、教訓に
 保育所に預けられた幼児らへの保育士によるわいせつ事件は全国で相次いでいる。だが、刑の確定情報の把握は容易でなく、苦慮した宮崎や広島県なども、国に対策を要望してきた。神奈川県平塚市の事件後、問題は国会質疑で取り上げられるなど注目され、厚生労働省の今回の方針につながった。

 被害に遭った幼児や親は深い心の傷を負う。平塚市の事件で起訴された男は、他の女児らへの強制わいせつなどの罪で2017年12月に実刑判決を受けたが、被害児童の親たちはこの公判の意見陳述で「(出所後に)また簡単に保育士になったことで(子どもが被害を受け)、一生苦しみます」などと訴えていた。

 ただ、関連省令を改正しても、保育所都道府県が逮捕や刑の確定情報を得る手段は、本人や家族ら関係者の申告以外にはマスコミ報道などに限られるのが実情だ。情報の把握には依然として課題が残り、実効性を疑問視する声も上がる。

 神奈川県の担当者は「保育所などが犯罪歴を適切に把握できるかどうかは疑問。グレーの場合でも、人手不足で辞めてもらっては困るから、報告しない保育所もあり得る。現実的な対策にならないのではないか」と懸念する。

 保育制度に詳しい櫻井慶一・文教大教授(児童福祉論、子育て支援論)は「適切な保育を受ける権利は保障されるべきで、不適格者が排除されるのは当然。ただ、都道府県域を越えた問題なので、保育士登録情報を国が一元化して直接管理し、市町村の犯罪歴の把握と結びつける工夫が必要ではないか」と提案した。

匿名起訴・性犯罪の被害者名、被告が暴露 警告を無視、退廷命じられる 福岡地裁公判 

 刑事訴訟用では、原則として、性犯罪の場合も、起訴状に被害者名が記載されて、法廷内では読まない扱いになっています

刑訴法第二九〇条の二[被害者等特定事項の非公開]
 裁判所は、次に掲げる事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があるときは、被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項(氏名及び住所その他の当該事件の被害者を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
一 刑法第百七十六条から第百七十九条まで若しくは第百八十一条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、同法第二百二十七条第一項(第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条第一項若しくは第三項の罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件
二 児童福祉法第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪に係る事件
三 前二号に掲げる事件のほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者等の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれがあると認められる事件
②前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
③裁判所は、第一項に定めるもののほか、犯行の態様、被害の状況その他の事情により、被害者特定事項が公開の法廷で明らかにされることにより被害者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認められる事件を取り扱う場合において、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
④裁判所は、第一項又は前項の決定をした事件について、被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至つたとき、第三百十二条の規定により罰条が撤回若しくは変更されたため第一項第一号若しくは第二号に掲げる事件に該当しなくなつたとき又は同項第三号に掲げる事件若しくは前項に規定する事件に該当しないと認めるに至つたときは、決定で、第一項又は前項の決定を取り消さなければならない。

 起訴状段階で匿名にしてしまうという「匿名起訴」が行われることがありますが、法律上の根拠がありません。裁判所も消極的です。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/02/27/000000
城祐一郎「殺傷犯捜査全書」p1070
起訴状における対応
一方,起訴状については,被告人の手元に直接に届くものであるだけに, これに被害者特定事項が記載されるとなれば,被害者の上記意図は全く無視されるということになろう。
(1)近時の取組
この点について, 「近年,性犯罪やストーカー規制法違反等の起訴状の公訴事実において,被害者の氏名を実名で記載せず,氏名とは別の表記によって被害者を特定する実務上の取扱いがなされるようになってきている。」(初澤由紀子「起訴状の公訴事実における被害者の氏名秘匿と訴因の特定について」慶應法学31号229頁) ことが広く知られるようになっている。
そして, その際の被害者氏名の記載に代わる被害者特定のための表記の方法としては,
①被害者の氏名をカタカナ表記にし,被害者の生年月日や年齢とともに記載する')。
②被害者が被害に遭った後婚姻するなどして姓が変わった場合において,被告人がこれを知らない場合,被害当時の被害者の旧姓を記載する2)。
③被害者のいずれかの親の氏名及び続柄,被害者の年齢を記載する3)。
④被害者が自宅で被害に遭った後,転居した場合,犯行場所を記載した上,「当時○○○(犯行場所)に単身居住していた女性(当時○歳)」などと記載する4)。
⑤被告人が被害者の勤務先や学校名を把握していて,被害者の通称名や姓又は名だけを知っている場合, 「○○○(勤務先や学校名)に勤務する(通学する) 『△△△』(通称名,姓又は名) と称する女性(当時○歳)」などと記載する5)。
⑥被告人が被害者の携帯電話のメールアドレスなど電子機器の唯一無二の識別番号を把握していた場合, 「携帯電話のメールアドレスが○○@△△だった女性(当時○歳)」などと記載する6)。
という方法が採られていることが知られている(前出・初澤244, 245頁)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180608-00010001-nishinpc-soci
性犯罪の被害者名、被告が暴露 警告を無視、退廷命じられる 福岡地裁公判
6/8(金) 10:07配信 西日本新聞
 面識のない女性に乱暴しようとしたとして、強制性交未遂の罪に問われた住所不定、無職の男(45)の公判が7日、福岡地裁であった。公判の最後に意見を求められた男は、二次被害防止などのため、公にしないことが決められていた被害女性の名前を口にしたため、中田幹人裁判長から退廷を命じられた。男は前回の公判でも繰り返し名前を呼んでいた。

 男は1月22日夕、福岡市中央区で女性にはさみを突き付け「騒いだら殺す」などと脅して乱暴しようとしたとして起訴された。裁判では、被害者特定事項を秘匿する決定に従い、起訴状の朗読では記載されている被害者の名前を読み上げず男に黙読させて確認させたり、審理でも「被害者」などと呼称したりしていた。

懲役6年を求刑
 ところが、男は5月16日の被告人質問で突然、女性の名前を複数回叫ぶと、7日の最終意見陳述でも再び声に出した。弁護人によると、地裁から事前に警告を受けており、男に注意したが従わなかったという。

 検察側はこの日の論告で「全く反省しておらず再犯の危険性も高い」として懲役6年を求刑した。判決は7月11日。

起訴状に実名、割れる議論
 法廷で性犯罪被害者の名前を明らかにして被告人の男が退廷を命じられた。弁護人によると、男は起訴状で初めて被害者の名前を知ったという。起訴状の実名、匿名を巡っては被害者保護と被告が反論する権利の保障とで議論が割れている。

 刑事訴訟法は起訴状について、犯罪事実をできる限り特定して明示しなければならないと定める。原則に基づいて「実名記載がほとんど」(検察庁関係者)とされるが、性犯罪被害者が匿名になるケースはあり、最高裁も「匿名の起訴状を許容するかどうかは、事案に応じて各裁判官が判断すべきことで統一ルールはない」とする。

法曹三者警察庁などで議論が続く
 元裁判官の陶山博生弁護士は「事件が特定されなければ、公正な裁判はできない。実名記載は不可欠」との立場。被告が同じ日に複数犯行しているような場合、匿名では事件を区別できず被告が反論できないという。その上で、被害者保護は「裁判所が被告に制裁を科すなど積極的な訴訟指揮をすることで被害者の人権も守ることができる」と強調する。

 一方、元検事で弁護士の吉沢徹岡山大法科大学院教授は匿名化を主張。名前の代わりに被害者の身長や被害時の服装などの特徴、生年月日を併記すれば事件特定は十分だと指摘。「実名記載は絶対に不可欠なケースに限定すべきだ」と語る。

 この問題を巡っては2016年の刑訴法改正の際も今後の検討課題とされており、法曹三者警察庁などで議論が続く。吉沢教授は「被害者保護の観点に立って、柔軟な運用ができるよう法改正すべきだ」と訴える。

=2018/06/08付 西日本新聞朝刊=

児童に対する準強姦未遂を撮影した画像について「事実としては,被害者Aに被告人と「性交する姿態をとらせ」たとまでは認められず,自己の膣内に陰茎を挿入させようとする姿態をとらせたものと認めるべきである(もっとも,児童ポルノ法2条3項1号は,対象となる児童の姿態を「性交」と「性交類似行為」とに分けており,「性交類似行為」とは,その一般的な語義からして,口淫や手淫等,性交以外で実質的にこれと同視し得る性的な行為を指すものと解されるから,少なくとも,本件のように姦淫行為そのものに着手した女子の姿態は,それが未遂に終

 
 性交と性交類似行為との間に「性交未遂」という隙間があるようです。2号3号で行けると思います。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(H26改正後)
第二条(定義)
3この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

裁判年月日 平成29年 8月 4日 裁判所名 福井地裁 裁判区分 判決
事件名 準強姦、準強制わいせつ、強姦、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件

文献番号 2017WLJPCA08046001
理由

 (犯罪事実)
第5 被害者Aに対し,同人が小学生の頃から前記第1のようにその乳房や陰部を触るなどの性的虐待を繰り返していたものであるところ,平成27年9月12日頃,b店のプレハブ小屋において,被告人による性的虐待等により被害者Aが抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて,同人を姦淫しようと考え,同状態に陥っている同人に対し,その膣の入り口に自己の陰茎を押し付けるなどしたが,陰茎を膣内に没入させることができなかったため,その目的を遂げなかった。
 第6 被害者Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,前記第5と同一機会である平成27年9月12日頃,b店のプレハブ小屋において,同人に被告人の陰茎を口淫し,膣内に挿入させようとする姿態をとらせ,これらを動画撮影機能付きスマートフォンで撮影し,その動画データ6点を同スマートフォンに装着したマイクロSDカードに記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交及び性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
(争点に対する判断)
第1 本件の争点
 1 判示第5に係る平成28年6月16日付け起訴状記載公訴事実の要旨は,被告人が,判示第5の日時場所において,被害者Aをその抗拒不能に乗じて姦淫した,というものである。また,判示第6に係る平成28年12月2日付け起訴状記載公訴事実第2の要旨は,被告人が,判示第6の日時場所(判示第5と同一機会である。)において,被害者Aに被告人の陰茎を口淫する姿態及び被告人と性交する姿態をとらせ,これらを判示第6のとおり撮影するなどして児童ポルノを製造した,というものである。
 2 これに対し,弁護人は,判示第5の事実に関し,被告人は被害者Aの性器に自己の陰茎をこすり付けたり押し付けたりはしたものの,姦淫する意図はなく,実際に膣内に陰茎を挿入するにまで至ったこともないから,準強制わいせつ罪が成立するにすぎないし,判示第6についても,「性交する姿態」をとらせたことはないと主張し,被告人もこれに沿う供述をする。
 そこで,これらの点に関する当裁判所の判断を以下補足して説明する。
第2 被告人に強姦の故意があったか否かについて
 1(1) まず,甲35号証添付のCD-Rに収録されている,犯行時に撮影された一連の動画ファイル(以下,併せて「本件動画」という。)中の「VIDEO0079」というファイルを見ると,被告人は,判示第5に係る行為の直前に,被害者Aに自己の陰茎を口淫させながら,2回にわたって「おちんぽ入れてほしいんか。」などと言い,被害者Aが「うん。」などと答えると,更に「おまんこの中,入るくらいにカチカチになるまで。」などと発言したことが認められる(「おちんぽ」,「おまんこ」がそれぞれ被告人の陰茎及び被害者Aの性器を意味することは明らかである。)。
  (2) さらに,本件動画によれば,被告人は,前記口淫の直後,下半身を露出させたまま仰向けで,腰及び大腿部を拘束されて開脚状態となっている被害者Aの性器に,少なくともある程度の勃起状態にあった自己の陰茎をこすり付ける動作を繰り返しつつも,その中で,複数回,自己の腰を前に突き出し,陰茎の一部が被害者Aの性器にうずもれて見えなくなるくらいまで,性器の中央付近に陰茎をまっすぐ押し進めたことが認められる(これが判示第5に係る性的行為である。)。特に,本件動画のうち「VIDEO0082」というファイルの撮影開始から約1分38秒経過した時点においては,被告人が腰を前に突き出して,自己の陰茎を被害者の性器に向けて押し進めていき,陰茎の一部が被害者Aの性器にうずもれて見えなくなった頃,被害者Aから「いたたた。」と痛がる声を発せられると,それ以上押し進めるのを断念したかのように腰を引く様子が見て取れるし,このような様子からすると,被告人の陰茎は,少なくとも被害者Aの膣口付近に達していたと推認するのが合理的である。
  (3) そうすると,被告人が,被害者Aの性器に自己の陰茎を密着させる直前に,自己の陰茎を「入れる」,「入る」といった姦淫の意図をうかがわせる発言をした上,その直後に腰を前に突き出して,一定の勃起状態にある陰茎を性器の中央付近にまっすぐ押し当て,被害者Aから痛みを訴えられて断念するまで陰茎を押し進め,膣口付近にまでうずもれさせていること等からすると,この時点において,少なくとも被告人にはあわよくば同人を姦淫しようという意欲は十分にあり,かつ,うまくいけば姦淫できるであろうとの認識もあったものであり,未必的な故意はあったとみるのが自然かつ合理的である。
 2(1) これに対し,被告人は,当公判廷において,ア)自分は勃起不全であり,陰茎が膣内に没入することはなく,本件動画の中で陰茎の一部が性器の中にうずもれているように見えるのは,実際には亀頭部分が下を向いてつぶれたようになっていただけである,イ)被害者Aの処女膜の開口部が非常に狭かったこと等から,無理やり陰茎を挿入しようとすれば相当な苦痛を被害者Aに与えると思い,被害者Aに嫌われることはしたくなかったので,姦淫するつもりはなかった,ウ)陰茎を「入れる」と表現したのは,陰茎を密着させる行為を「当てる」と言うとあまりにも即物的すぎるので,そのように表現しただけである,などと供述する。
 しかしながら,ア)の点については,「VIDEO0082」の最初の数分間には,被告人の陰茎がある程度怒張し,上向きにそそり立っている様子が見受けられる。たしかに,時間の経過と共に陰茎が萎えていくような様子も見受けられること等からすると,被告人の陰茎が必ずしも万全の勃起状態でなかったことは否定できないが,少なくとも一定時間は,ある程度勃起することは可能であったものと認められ,挿入が全く不可能なほど勃起不全であったという趣旨の被告人の供述は,こうした動画に整合しない。加えて,同動画によれば,被告人の陰茎の一部は被害者Aの性器の中心に埋没したとしか考えられないし,被告人自身,被害者Aが痛がっているのは,陰茎を押し付ける力が強く,処女膜(後記のとおり,一般には膣口付近にあると考えられる。)の開口部が押し広げられるようとする痛みのためであったと思う旨述べていることからすれば,亀頭部分が下を向いてつぶれたようになっていただけであるとの被告人の供述は不合理であるといわざるを得ない。イ)の点も,被害者Aの膣口が狭いことを被告人が認識しており,被害者Aの痛みに配慮する気持ちがあったという点はにわかに否定できないが,他方で,被告人は,被害者Aに自己の陰茎を口淫させ,さらに繰り返し同人の性器に自己の陰茎を押し付け,被害者Aが痛みを訴えた後もこれを続けるなど,性欲に駆られた行動を一貫して継続しているのであって,できる限り自己の性的欲望を満たしたいという気持ちを有していたことも明らかであり,すでに認定した被告人の客観的な言動に照らせば,あわよくば姦淫したいという淡い期待や意欲すらなかったとは考えられず,これをも否定する被告人の公判供述はやはり不合理である(なお,上記のように一定程度の勃起状態にある陰茎を,前記1でみたとおり性器中央付近にまっすぐ押し当てれば,膣口がたとえ狭かったとしても,陰茎が膣内に没入する可能性が一定程度あることは明らかであり,被告人にもその点の認識はあったものと推認できる。)。さらに,ウ)の点については,陰茎を「入れる」という言い方も即物的な表現であることに変わりないから,この点に関する被告人の前記説明は不自然というほかないし,前記1のとおり,被告人が「入れる」と発言した直後に,実際に姦淫を意図したものと推認できるような行動に出ていることとも整合しないと言わざるを得ない。したがって,姦淫の意図が全くなかった旨の被告人の前記供述は,信用することができない。
  (2) 以上のほか,弁護人は,ア)被告人が,被害者Bのときとは異なり,被害者Aと性的行為をするときにバイアグラを飲んでいなかったことは,同人を姦淫する意図がなかったことの証左である,イ)被告人が真に被害者Aを姦淫したいと思っていたのであれば,同人と性的関係を持っていた長期間に一切姦淫がされていないのは不自然である,などと主張する。
 しかし,ア)の点については,既に述べたとおり,被告人の陰茎が,弁護人指摘の薬等がなければ全く勃起しない状態であったとはいえない。イ)の点も,本件動画のうちすでに指摘した部分に映った客観的な言動を見れば,判示第5の際に関しては,被告人に姦淫の意欲があったとしか考えられない。また,仮に過去に被害者Aに対する姦淫に成功したことがなかったとしても,それは判示第5と同様に,姦淫を試みたものの失敗に終わった可能性もあるから,そのような事情が被告人に姦淫の意欲がなかったことを裏付けるものとはいえない。その他弁護人が主張する諸点を検討しても,前記の推認を左右するものはない。
 3 したがって,前記1で推認したとおり,被告人には,被害者Aを姦淫しようという未必の故意があったものと認めることができる。
第3 姦淫が既遂に達したか否かについて
 1 まず,強姦罪は,陰茎が医学的な意味での膣内に没入することによって既遂に達するものと解される。
 そして,女性生殖器の構造をみると,関係証拠によれば,女性生殖器には,膣に至る前に,まず粘膜のヒダである小陰唇に囲まれた膣前庭があり,膣前庭の奥に膣の入り口部分である膣口があって,更にその先に外陰部と子宮とをつなぐ管状の器官である膣があるものと認められる(なお,一般的に,処女膜は,膣口付近にあるものと考えられる。)。かかる女性生殖器の構造と上記姦淫の定義からすると,姦淫が既遂に達したといえるためには,陰茎が膣前庭に達するだけでは足りず,少なくとも陰茎の一部分が膣口を超えて管状の膣内に没入する必要があるということになる。
 2 本件について,検察官は,本件動画のうち前記のとおり指摘する場面等で,被告人の陰茎の一部が被害者Aの性器にうずもれていることをもって,同人の膣内に没入していると主張する。
 しかし,前記女性生殖器の構造に鑑みると,一般に,陰茎を陰部に向けて押し進めた場合,陰茎が膣前庭及び膣口には到達したが膣口より先の膣内には入っていない段階でも,これを外から見ると,亀頭程度は膣前庭にうずもれて見えなくなることがあると考えられる。そして,前記動画では,被告人の陰茎が膣前庭部分に達していることは明らかといえるものの,肝心の膣口は膣前庭の奥にあって,被告人の陰茎が膣口の奥にまで至っているかは明らかでない。かえって,検察官が指摘する,被告人が陰茎を前に押し出している場面においても,被告人の亀頭の付け根部分は未だ被害者Aの外陰部より外に見えているように思われ,そうすると,膣前庭を越えて更に膣口の奥に至っていない可能性もあながち否定できない(なお,前記動画の中には,被告人の陰茎の包皮の先端と被害者Aの陰部が密着した状態で被告人が陰茎を押し出している場面もあるが,動画の内容や,被告人が包茎であると述べていること等に照らすと,被告人の亀頭の一部又は全部が未だ包皮の中にとどまっている可能性も否定できないから,これをもって被告人の亀頭が被害者の膣内にまで到達していると断定することも困難である。)。
 以上に加え,前記のとおり,被告人の勃起の状態が必ずしも万全の状態ではなかったとうかがわれること,被害者の処女膜が健在であったことが否定できないこと等をも踏まえると,本件の証拠上は,被告人の陰茎が被害者Aの処女膜を越えておらず,膣口より先には入っていないという可能性は否定できないというべきである。
 3 なお,検察官は,前記のとおり被害者Aが本件動画中で痛みを訴えていることからも,被告人の陰茎の一部が被害者Aの膣内に没入したことは明らかであると主張する。
 しかし,前記のとおり,処女膜は一般に膣口付近にあり,被害者Aの処女膜が健在であった可能性が否定できないことからすると,被告人が供述するとおり,被告人の陰茎が被害者Aの処女膜の開口部に当たるなどしたことで同人が痛みを訴えた可能性も十分考えられ,そこが膣口であった可能性もあるから,やはり,検察官が主張する上記の事情から被告人の陰茎が膣内に没入したとまで認めることはできないというべきである。
 4 以上のとおり,結局,本件においては,被告人の陰茎が被害者Aの膣内に没入し,姦淫が既遂に達したことを認めるに足りる証拠はないといわざるを得ず,判示第5については,被告人は準強姦未遂罪の限度で罪責を負うにすぎないというべきである(なお,このような認定は,本件訴訟の経過等に照らし,許された縮小認定であって,訴因変更等の特段の措置を要しないと解する。)。
 また,そうすると,判示第6についても,事実としては,被害者Aに被告人と「性交する姿態をとらせ」たとまでは認められず,自己の膣内に陰茎を挿入させようとする姿態をとらせたものと認めるべきである(もっとも,児童ポルノ法2条3項1号は,対象となる児童の姿態を「性交」と「性交類似行為」とに分けており,「性交類似行為」とは,その一般的な語義からして,口淫や手淫等,性交以外で実質的にこれと同視し得る性的な行為を指すものと解されるから,少なくとも,本件のように姦淫行為そのものに着手した女子の姿態は,それが未遂に終わっていても,「性交類似行為」ではなく「性交」に係る児童の姿態に該当すると解するのが相当である。)。
 (法令の適用)
 1 罰条 判示第1の行為
 平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
 判示第2の行為
 前記改正前の刑法177条後段
 判示第3の1ないし3の各行為
 いずれも前記改正前の刑法178条2項,177条前段
 判示第3の4の行為
 前記改正前の刑法178条1項,176条前段
 判示第4の各行為
 別表番号1ないし4ごとに(同番号1及び3については各包括して)
 いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)7条4項,2項,2条3項1号(別表番号1,2及び4並びに同番号3のうち被告人の陰茎を口淫する姿態について),3号(別表番号3のうち陰部を露出させて自慰行為をする姿態について)

「本件犯行の特性に鑑み,その更生には専門家による長期間にわたる継続的な指導が不可欠であると考えられることから,保護観察を付する」とされたんだが、事物管轄を間違えてたので、3年後に保護観察が始まった事例(札幌家裁小樽支部h18.10.2)

 審理経過をみると、
  1審は札幌家裁小樽支部h18.10.2(懲役3年執行猶予5年保護観察)
  2審は札幌高裁H19.3.8(懲役3年執行猶予5年保護観察)
  上告審は最決H21.10.21(懲役3年執行猶予5年保護観察)
だから、保護観察始まるまでの3年間、被告人は自重自戒してて、3年後から5年間の保護観察になったんだろうね。必要性薄くなるよね。
 そういうときは4号保護観察の仮解除で対応するんでしょうね。

刑法
(刑の全部の執行猶予中の保護観察)
第二十五条の二 前条第一項の場合においては猶予の期間中保護観察に付することができ、同条第二項の場合においては猶予の期間中保護観察に付する。
2 前項の規定により付せられた保護観察は、行政官庁の処分によって仮に解除することができる。
。。。
更正保護法
(保護観察の仮解除)
第八十一条 刑法第二十五条の二第二項又は第二十七条の三第二項(薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第二項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による保護観察を仮に解除する処分は、地方委員会が、保護観察所の長の申出により、決定をもってするものとする。
2 刑法第二十五条の二第二項又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者については、第四十九条、第五十一条から第五十八条まで、第六十一条、第六十二条、第六十五条から第六十五条の四まで、第七十九条及び前条の規定は、適用しない。
3 刑法第二十五条の二第二項又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者に対する第五十条及び第六十三条の規定の適用については、第五十条第一項中「以下「一般遵守事項」という」とあるのは「第二号ロ及び第三号に掲げる事項を除く」と、同項第二号中「守り、保護観察官及び保護司による指導監督を誠実に受ける」とあるのは「守る」と、同項第五号中「転居又は七日以上の旅行」とあるのは「転居」と、第六十三条第二項第二号中「遵守事項」とあるのは「第八十一条第三項の規定により読み替えて適用される第五十条第一項に掲げる事項」とする。
4 第一項に規定する処分があったときは、その処分を受けた保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項は、その処分と同時に取り消されたものとみなす。
1 地方委員会は、刑法第二十五条の二第二項又は第二十七条の三第二項の規定により保護観察を仮に解除されている保護観察付執行猶予者について、保護観察所の長の申出があった場合において、その行状に鑑み再び保護観察を実施する必要があると認めるときは、決定をもって、これらの規定による処分を取り消さなければならない。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=38100
最高裁判例
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事件番号  平成19(あ)619
事件名  児童福祉法違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
裁判年月日  平成21年10月21日
法廷名  最高裁判所第一小法廷
裁判種別  決定
結果  棄却
判例集等巻・号・頁  刑集 第63巻8号1070頁
原審裁判所名  札幌高等裁判所
原審事件番号  平成18(う)339
原審裁判年月日  平成19年3月8日
判示事項  児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪とが併合罪の関係にあるとされた事例
裁判要旨  被害児童に性交又は性交類似行為をさせて撮影することをもって児童ポルノを製造した場合においては,児童福祉法34条1項6号違反の児童に淫行をさせる罪と児童買春・児童ポルノ等処罰法7条3項の児童ポルノ製造罪は,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にある。
参照法条  児童福祉法34条1項6号,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,刑法54条1項前段,刑法45条前段,少年法(平成20年法律第71号による改正前のもの)37条

強要と児童ポルノ禁止法違反の疑いの逮捕事例(青森)

 脅して送らせる行為(強制sexting)は、従前は強要(未遂)罪とするのが主流でしたが、
 最近は強制わいせつ(未遂)罪とするものが出てきています。強制わいせつ罪と製造罪の罪数には混乱があります。
  大分地裁h23.5.11 (併合罪
  札幌地裁H29.8.15(併合罪
  高松地裁丸亀H29.5.2(併合罪
  高松地裁H28.6.2(観念的競合)
 奥村が強制わいせつ罪説を唱えた事件では、東京高裁等で強要罪とされています。
 

https://www3.nhk.or.jp/lnews/aomori/20180605/6080001164.html
児童ポルノ製造容疑で高校生逮捕
06月05日 09時56分
18歳に満たない県内在住の男子高校生に裸の画像や動画を撮影するよう指示し、スマートフォンに送信させたなどとして、県内に住む17歳の男子高校生が、強要と児童ポルノ禁止法違反の疑いで、4日夜、警察に逮捕されました。

黒石警察署によりますと、逮捕されたのは県内に住む17歳の男子高校生です。
去年11月、18歳に満たない県内在住の男子高校生に対し、みずから裸の画像や動画を撮影するようSNSを通じて指示し、わいせつな画像などを自分が使用するスマートフォンに複数回にわたって送信させ、児童ポルノを製造した、強要と児童ポルノ禁止法違反の疑いが持たれています。
被害者の男子高校生が県警察本部に相談したことを受けて、黒石警察署などが捜査を進め、4日夜6時前に逮捕しました。
警察の調べに対し、逮捕された男子高校生は容疑を認めているということです。
警察は、引き続き、逮捕した男子高校生に事情を聴き、動機やいきさつを詳しく調べることにしています。

「わいせつ」(刑法176条)の定義史

 最判H29.11.29が沈黙したために、わいせつの定義が決まらなくなっています。

 

 

 

発表年 著者 書名 保護法益 わいせつ定義
1909 大場茂男 刑法各論 上巻 大正7年 252ページ 性交の自由に対する罪 「猥褻ノ行為トハ客観的ニ之ヲ言へハ淫事ニ関シ風紀ヲ紊ル行為、即チ差恥ノ感覚ヲ惹起スル行為ヲ謂ヒ、主観的ニ之ヲ言へハ行為者カ淫慾ヲ起シ若クハ之ヲ満足セシムル為メニ行フ行為ヲ謂フ
1914 大判大正三・七・二一 大審院刑事判決録第20号1541頁   刑法176条の暴行脅迫を手段とする猥褻罪と刑法177条の強姦罪とはその罪質を異にすると雖も行為の態様と犯人所求の心理観念は二者共に一なり。即ち前者は春情の満足を目的とする異性の狎眤にして後者も亦た同様の目的に出でたる異性の狎眤結合なり
1918 泉二新熊 日本刑法大要P429 狼襲、姦淫及ヒ重婚ノ罪ハ単に風俗を害する行為に過キサモノアリ 直接に個人ノ性交上における自由ヲ侵害スる行為あり 自然的ノ方法に依り情慾ヲ満タサンスル行為
1924 泉二新熊 「日本刑法論 下巻(各論)第35版」(大正13年 有斐閣)p396 直接に個人の性交上におけ自由 猥褻行為トハ淫欲ヲ興奮シ又ハ之ヲ満足セシムル目的ニ出デタル行為ニシテ覚知者ニ羞恥ノ観念ヲ生セシムルモノヲ謂ヒ
1927 新保勘解人 日本刑法要論p232   猥褻ノ行爲トハ性的意異欲望ヲ表現スル行爲即チ性的行爲ニシテ客観的ニ社会公衆ノ性ニ関スル道義感情ヲ侵害スルニ適スルモノヲ言フ
1930 徳岡一男 大衆法律講座刑法各論 性慾生活の秩序の維持 猥褻行爲とは性慾を興奮させ、または性慾を滿足させる目的で行った行爲である。
1932 小野清一郎 刑法講義各論初版 此等の法條に規定する犯罪の或るものは、其の善良の風俗に反するのみならず.個人の私権乃至法益を侵害すること明かなるものである 猥褻の行爲とは、性慾の興奮叉は満足を目的とする行爲にして、善良の風俗に反し、人をして差恥嫌悪を感ぜしむべきものをいふ
#### 佐伯千仭 「タートベスタント序論(1・2完)所謂構成要件の理論のために」京都大学法学論叢 第29巻2・3号     
1934 島田武夫 刑法概論/総論,各論 性交上の風俗を害する罪である 猥褻の行為とは、淫事に関する醜行で、覺知者に醜恥の感を催しめるものをいふのである。異性問の性交はもとより、同性間の鶏姦その他獣姦口淫局部の露出など性欲を刺激し、又は満足せしめる行為がこれに属する。
1934 大竹武七郎 刑法綱要各論S9 p456 善良なる風俗を害する罪 猥褻ノ行爲トハ性慾ヲ昂奮、満足セシムル行為ニシテ人ヲシテ羞恥ノ感ヲ起サシムル行爲ヲイフ。異性間同性間男性叉ハ女性単独ニテ之ヲ為スコトアルベシ。其行爲ノ狼藝ナリャ否ヤハ其時二於ケル普通一般ノ思想感情ヲ標準トシテ決スベキモノナリ。
#### 佐伯千仭 法学論叢三七巻一・ニ号に「主観的違法要素」    
#### 吉田常次郎 日本刑法第5版P369 強制猥褻及上強姦ノ罪
此二種ノ犯罪ハ軌レモ暴行脅迫ヲ用ヒ又は心神喪失抗拒不能ニ乗シ若クハ斯ノ如キ状態ヲ惹起シテ十三歳以上ノ者ニ對シ肉慾ヲ満足セシムル行爲ナリ
強制猥褻及上強姦ノ罪
此二種ノ犯罪ハ軌レモ暴行脅迫ヲ用ヒ又は心神喪失抗拒不能ニ乗シ若クハ斯ノ如キ状態ヲ惹起シテ十三歳以上ノ者ニ對シ肉慾ヲ満足セシムル行爲ナリ
#### 坂本英雄 刑法基本論総論各論 法益は善良なる風俗の確保にある。堅実なる風俗は國家の強化を促し、軟弱なる風俗は國家を衰亡せしむることである。本立の犯罪は右の堅実なる美風をその法盆と為すのである 猥褻行爲とは性慾を刺戟興奮叉は滿足せしむる一切の行為である
#### 小野清一郎 刑法講義全 性欲生活の秩序 猥褻の行爲とは、性慾の興奮叉は満足を目的とする行爲にして、善良の風俗に反し、人をして差恥嫌悪を感ぜしむべきものをいふ
#### 久礼田 益喜 刑法学概説8版 風俗を害する罪の一種である. 性慾を滿足せしむるへき行爲を爲すことを以て其の共通な実質とす
1943 泉二新熊 「日本刑法総論各論s18」 p368 社会的生活上に於ける一般の良習を紊乱する~一面より観察すれば個人の自由に対する罪・・ 猥褻行為トハ淫欲ヲ興奮シ又ハ之ヲ満足セシムル行為ニシテ
1944 大竹武七郎 刑法綱要増補版s19 p456 善良なる風俗を害する罪 猥褻ノ行爲トハ性慾ヲ昂奮、満足セシムル行為ニシテ人ヲシテ羞恥ノ感ヲ起サシムル行爲ヲイフ。異性間同性間男性叉ハ女性単独ニテ之ヲ為スコトアルベシ。其行爲ノ狼藝ナリャ否ヤハ其時二於ケル普通一般ノ思想感情ヲ標準トシテ決スベキモノナリ。
1946 小野清一郎 刑法講義再版 性欲生活の秩序 猥褻の行爲とは、性慾の興奮叉は満足を目的とする行爲にして、善良の風俗に反し、人をして差恥嫌悪を感ぜしむべきものをいふ
1950 宮内裕 滝川ら法律学体系コンメンタール刑法 本章の保護客体は、性的生活を中心として、さまざまの態様に別れる~個人の性的關係における道徳的感情の保護の典型が猥褻罪である この場合の「猥褻ノ行爲」とは、客観的には性的關係における道徳的感情を侵害し、主観的には性欲的意図をもってなされねばならぬ。
1950 安平政吉 改正刑法各論下巻 社会の風俗及び羞恥の感覚に対する行為並びに性欲生活の非合法的な遂行を取り締まろうとするもの  
1952 尾後貫荘太郎 刑法各論 人の性生活に関する風俗 「猥褻の行為」性慾の興奮又は滴足を目的とする行為であって、一般に人をして羞恥嫌悪の念を生ぜしめるものを云う
1954 小野慶二 刑法各論 、杜會生活の生物學的根抵をなす性に関する道義的秩序を維持することを目的とする 性に關する秩序は、いかなる民族においても、原始社会時代から古代・中世にわたって風俗として形成され、それが刑罰によつて嚴格に維持されて來た。現代の社会においても、健全な性的秩序は、國民の道義的秩序を維持する上において、欠くべからざる事項である 猥褻ということの意義について、判例ば、「徒らに性慾を興奮叉は刺激せしめ、且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反するもの」をいう
1954 福田 新法学全集 刑法各論 本罪は、性生活に關する風俗を害するものとして風俗に對する罪の一種であるが、同時に個人の人格的自由の一種としての性的自由を害するものである 猥褻の行爲とは、徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道徳観念に反する行爲をいう(
1957 井上正治 刑法各論 性的自由に対する罪 猥褻とは、性慾を刺戟し、またはこれを満足せしむべき行為であって、人をして差恥・嫌悪の情を生ぜしめる程度のものをいう。言語によると動作によるとを問わない(木村一三九頁
1957 団藤重光 刑法綱要総論    
1957 宮内裕 刑法各論講義中巻 主として性生活の関係における風俗・道徳を保護しようとするといわれており、 「猥褻なる行為」とは、性的意図をもってなされる、性的関係における道徳感情を害すべき行為である。
1958 植松正 刑法概論Ⅱ各論 社会的風俗 p546「猥褻行為」ということを抽象的に定義すれば、性欲を強く刺激し、その他露骨な表現によって、健全な常識ある一般人に差恥感を懐かせる行為である

p551「猥褻ノ行為」の意義が公然猥褻罪におけると大体同様であるのは、当然のことである
1959 木村亀二 法律学全集刑法総論 性的自由に対する罪  
1960 宮内裕 刑法各論講義S35
P272
  「猥褻なる行為」とは、性的意図をもってなされる、性的関係における道徳感情を害すべき行為である。
1960 夏目文雄 刑法提要各論 1960   猥褻の行為とは「「猥褻なる行為」とは、性的意図をもってなされる、性的関係における道徳感情を害すべき行為である。
1960 熊倉武 日本刑法各論p269 1960   ここで「猥褻な行為」といういみは、性欲を刺激.興奮させまたは満足させる意図をもってなされた行為でって、人に羞恥嫌悪の情を生ぜしめるような性質をもった行為をいうのである。
1961 名古屋高等裁判所金沢支部 昭和36年5月2日 下級裁判所刑事裁判例集3巻5~6号399頁   刑法第百七十六条にいわゆる「猥せつ」とは徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反することをいう
1961 吉田常次郎 「刑法各論」77頁    
1961 団藤重光 法律学全集41刑法各論 性的自由 わいせつの概念については第一七五条の関係で前述した(性欲を刺激興奮せしめ。。)。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなけ れぱならないので、重点が多少異るのは当然である
1963 青柳文雄 「刑法通論Ⅱ各論」P383    
1963 青柳文雄 傾向犯について」法学研究 第36巻4号    
1963 井上正治 刑法学各則 性的自由に対する罪 猥褻とは、性慾を刺戟しまたはこれを満足せしむべき行為であって、人をして差恥・嫌悪の情を生ぜしめる程度のものをいう
1964 中義勝 刑法各論P86 性的自由中心 わいせつを一般的に定義すれば、「徒らに性慾を興奮または刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」ということになるであろう。
1964 団藤重光 綱要各論 強姦を含む広義では一種の人格的自由としての自由を害する罪である わいせつの概念については第一七五条の関係で前述した()。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなけ れぱならないので、重点が多少異るのは当然である
1965 福田平 木村亀二編体系刑法辞典p103    
1965 所一彦 「団藤重光責任編集」注釈刑法4 各則2 風俗犯としての商をももっていることはたしかであるが,むしろ主として個人の性的自由ないし貞操を保護法益とするものといわなければならない。 174条注3参照。ただし本条では相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならないので重点が多少異なる〈団藤・綱要394頁〉。とくに相手の身体に触れる行為の場合にそうであろう。
1965 滝川 春雄,竹内 正 「刑法各論講義」S40 P91   「猥褻ノ行為」とは、一般的には、性慾を興奮又は満足せしめる意図をもってなされた行為であって、人に性的な蓋恥嫌悪の情を生ぜしめるに足る行為をいう。
1966 福田平 「主観的違法要素」木村亀二編体系刑法辞典P103    
1966 柏木千秋 「刑法各論」p307   『猥褻』とは健全な性的道徳観念に反して徒らに性欲を刺戟、興奮させ、また、正常な性的差恥心を害するような態度・状態をいう(最判s26.5.10)。
1966 法務総合研究所 研修教材刑法各論 初版    
1966 木村亀二 体系刑法辞典 現行法との関係では,その全部を通じてやはり性秩序あるいは他全な性風裕の保‘護を意図しているといった認識で,その一般的性絡を把握するのか妥当である  
1967 木村亀二 刑法各論 性的自由に対する罪 性慾を刺戟興奮し又は之を満足せしむる行爲であって人をして差恥嫌悪の情を生ぜしめる程度のものを謂う
1967 滝川ら 刑法概説2 各論 有斐閣双書 個人の身体ないし身体的自由に対する罪であるともいえる 行為について判例は、人の差恥心を害し、性慾を刺戟し、善良な性的道義観念に反するものという三つの要素を掲げてい
1967 澤登俊雄 刑法概論 性的自由 「猥褻の行為」と言えるかどうかは、性的自由の侵害を主眼として考えるべきである。たんなる抱擁・接吻はそれ自体としては猥褻行為でないが、本罪の未遂になることはある
1968 宮内裕 新訂刑法各論講義S43
P213
  「猥褻なる行為」とは、性的意図をもってなされる、性的関係における道徳感情を害すべき行為である。
1968 大塚仁 現代法律学全集刑法各論上巻 、その本質は、むしろ個人の人格的自由の一種としての性的自由の侵害を第一義とするのであって、単に風俗的犯罪としてとらえるべきではない わいせつの行為とは、「徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道徳観念に反すること」をいう
1968 植松正 全訂刑法概論Ⅱ6版   p200「猥褻行為」ということを抽象的に定義すれば、性欲を強く刺激し、その他露骨な表現によって、健全な常識ある一般人に差恥感を懐かせる行為

p207「猥褻ノ行為」の意義が公然猥褻罪におけると同様であるのは、当然のことである
1970   最判s45.1.29    
1970 岡野光雄 「専ら報復または侮辱虐待の目的をもって婦女を脅迫し裸にして撮影する行為と強制わいせつの成否」1970早稲田大学社会科学研究第8号    
1970 植松正 植松正「報復・侮辱の目的による裸体撮影(最近の判例から)」法律のひろば 第23巻6号    
1971 平野龍一 平野竜一「強制わいせつ罪とわいせつの意思」警察研究 第42巻6号 性的自由  
1971 大塚仁 注解刑法(初犯) 性的自由 a. 「猥褻ノ行為」とは, 「徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ,且つ普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反する」行為をいう(名古屋高金沢支判昭36.5.2下集35=6.399.
1972 吉川経夫 改訂刑法総論P79    
1972 後藤吉成 法学研究 45(10), 132-137, 1972-10
慶応義塾大学法学研究会
専ら報復または侮辱虐待の目的をもって婦女を脅迫し裸にして撮影する行為と強制わいせつ罪の成否(最判昭和45.1.29)
性的自由  
1972 藤木英雄 刑法各論一現代型犯罪と刑法 本条は,強姦罪に該当するもの以外の個人の性的自由,差恥感情をその意に反して害する行為を禁圧することを趣旨とする。体系的にはむしろ個人的法益に対する罪とみるべきで,改正刑法草案もそのような位置づけをしている。 性欲の興奮または満足を目的とする行為で,善良の風俗に反し’一般人に差恥嫌悪の情を感じさせる性質のものをいう。要するに,性的行動のうちで公然と行なうのをはばかるような事項をいい,
1972 飯田忠雄 「刑法要説 各論」P39 一種の人格的自由としての性的自由を侵害するにある 猥褻行為について、判例は、「徒らに性欲を興奮または刺戟させ、かつ普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」行為をいうとする(最判昭二六・五・一○集五巻一○二六頁、最判昭二七・四・一集六巻五七三頁)・主観的・客観的の要件のいづれかを欠く場合には猥褻性を欠くことになる。
1972 団藤重光 刑法綱要総論追補    
1973 平出禾 「刑法各論」p130   「猥褻」という語は、刑法でも数か所で用いられているが、構成要件的行為との関連で若干の二本罪においては、相手の性的自由の侵害という点を主眼として考察することを要する。本罪における猥褻の行為は(乳房・股間)などに接触する行為を主とし、これに準ずる行為を含むと解する
1973 平野龍一 平野竜一「刑法各論の諸問題6」法学セミナー 第205号 強制猥褻罪を、性的自由に対する罪というだけでいいかも問題で
ある。暴行・脅迫を用いたし場合は、たしかに自由に対する罪といいやすい。しかし、とっさに陰部にふれた場合、「陰部にふれられない自由」が侵害されたというだけでは、自由の内容があまりにも無内容である。性的な蓋恥感情・嫌悪感情が保護法益となっていると考えたとき、右の行為の犯罪性を理解できるように思われる
 
1973 安西温 実務刑事法 刑法各論    
1974 西原春夫 刑法各論 性的自由 行為は猥褻の行為である。「狼褒」の意義については前出一五七頁参照。「狼褒の行為」という概念は、公然猥褻罪にもあらわれてくるが、本罪は性的衝動にもとづいて行なわれる犯罪であるとともに、特定被害者の性的自由を侵害するところにその特色があるから、公然狼褒罪におけるそれとは若干意味を異にし、主観、客観両面からその狼褒性を判定すべきである。すなわち、主観的には性欲を刺戟・興奮させるという動機で、客観的には性欲を刺戟・興奮させ、一般人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反する程度の行為のなされることが必要である
1974 西原春夫 現代法学全集36犯罪各論 性的自由 行為は猥褻の行為である。「猥褻」の意義については前出一五七頁参照。「猥褻の行為」という概念は、公然猥褻罪にもあらわれてくるが、本罪は性的衝動にもとづいて行なわれる犯罪であるとともに、特定被害者の性的自由を侵害するところにその特色があるから、公然猥褻罪におけるそれとは若干意味を異にし、主観、容観両面からその猥褻性を判定すべきである。すなわち、主観的には性欲を刺激・興奮させるという動機で、客観的には性欲を刺戟・興奮させ、一般人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反する程度の行為のなされることが必要であ
1974 加藤久雄 刑法200題p137 性的自由  
1975 中山研一 口述刑法各論   何が猥褻かということはきわめて規範的な概念だとされ、その限界の不明瞭さが指摘されているわけです。しかし、相手方が直接被害を受ける本罪のような場合では、たとえば局部にさわるとか、乳房に触れるとか、接吻をするとかいう行為そのものがいわば即物的な形で問題になるといってよいでしょう。たとえば、一七五条の関係では、写真や映画などでの接吻の場面が猥褻だというようなことはもう現在の常識からすれば通用しないでしょう。しかし、いやがる者に無理やり接吻を押しつけるというのはやはり強制狼蓑だといわなければなりません
1975 団藤重光 綱要各論増補 強姦を含む広義では一種の人格的自由としての自由を害する罪である わいせつの概念については第一七五条の関係で前述した()。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなけ れぱならないので、重点が多少異るのは当然である
1975 宮澤浩一 刑法の思考と論理p12 強制猥褻は、犯人の側だけの「性欲満足」という主観的側面に限らず、被害者の性的差恥心に対する保護の面もある。  
1976 中義勝 判例コンメンタール刑法9 p343    
1976 所一彦 「団藤重光責任編集」注釈刑法補巻(1)p150 ,風俗犯としての商をももっていることはたしかであるが,むしろ主として個人の性的自由ないし貞操を保護法益とするものといわなければならない。 174条注3参照。ただし本条では相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならないので重点が多少異なる〈団藤・綱要394頁〉。とくに相手の身体に触れる行為の場合にそうであろう。
1976 植松正  再訂刑法概論Ⅱ各論    
1976 植松正 再訂刑法概論Ⅱ各論    
1976 藤木英雄 刑法講義各論初版 、暴力で性的欲求の満足を図ることを主たる目的としてなされる罪であるので、風俗犯罪という面ばかりでなく、私人の身体の安全、性に関する自由の侵害という要素が強く含まれている わいせつ行為とは、性交を除くその他一切の性的欲望を満足させる行為あるいは人の性的差恥心を害する行為、すなわち強姦罪として処罰される以外の、個人の性的自由、差恥感情をその意に反して侵害する行為をいう
1977 大塚仁 注解増補第2版    
1977 大塚仁 注解増補第2版    
1977 大塚仁 注解増補第2版   a. 「猥褻ノ行為」とは, 「徒らに性欲を興奮または刺戟せしめ,且つ普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反する」行為をいう(名古屋高金沢支判昭36.5.2下集35=6.399.
1978 西原春夫 刑法判例百選Ⅱ各論 110頁 1978年4月発行 III 個人的法益に対する罪 2 人格的法益に対する罪 強制わいせつ罪における主観的要素 西原春夫: 性的自由  
1979 団藤重光 「刑法綱要 総論 改訂版」(昭和54年 創文社)p118    
1979 井上正治 江藤孝 全訂刑法学 各則 性的自由  
1981 中義勝 刑法各論初版5刷 姦淫の罪は人の性生活に関する身体および行為の自由を侵害する点に特色を有するものてあるからr これを自由に対する罪として考えるのが適当である わいせつを一般的に定義すれば、「徒らに性慾を興奮または刺戟せしめ、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」ということになるであろう。
1984 団藤重光  刑法綱要. 総論 -- 改訂版(付第2追補)    
1984 西原春夫 「強制猥褻罪における主観的要素」刑法判例百選Ⅱ各論[第二版] 36頁    
1984 佐伯千仭 刑法講義総論p186    
1984 佐伯千仭 刑法各論訂正版   猥褻行為とは、性欲の満足または挑発に向けられた行為で、健全な常識から見て羞恥嫌悪の情を起させるような性質の挙動であり判例の言葉を借りれば、徒らに性欲を興奮または刺激し、且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道徳観念に反する行為をいう
1984 団藤重光 綱要各論増補 性的自由 猥褻の概念については一七五条の関係で前述した。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならないので、重点が多少異なるのは当然である。しかし、性的自由の見地からみて猥褻行為とされるものは、性的風俗の見地からみても猥褻性を帯びるものといえる
1984 西原春夫 刑法判例百選Ⅱ各論[第二版] 36頁 1984年4月発行 I 個人的法益に対する罪 2 人格的法益に対する罪 強制猥褻罪における主観的要素  性的自由  
1985 団藤重光 綱要各論改訂版 性的自由 猥褻の概念については一七五条の関係で前述した耐認にと。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならないので、重点が多少異なるのは当然である。しかし、性的自由の見地からみて猥褻行為とされるものは、性的風俗の見地からみても猥褻性を帯びるものといえる
1986 福田平,大塚仁 対談刑法総論    
1986 福田平,大塚仁 対談刑法総論    
1986 大谷実 基本法コンメンタール第3版刑法 性的自由ないし性的感情 猥褻行為とは、相手方が性的な蓋恥・嫌悪感情を抱くと一般に考えられる行為をいう
1987 川端博 事例式演習刑法1987主観的違法要素 P40 羞恥心  
1988 法務総合研究所 研修教材刑法各論 改訂版   猥褻の行為とは, 徒らに性欲を興奮又は刺激させ, かつ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するような行為をいう(名高金沢支判昭3652 下集3.5=6.399)
1988 団藤重光 刑法綱要総論 -- 改訂版 増補.    
1988 福田平 全訂刑法各論 性生活に関する風俗を害する面があることは否定できないが、主として人の人格的自由の一種としての性的自由の侵害を内容とする罪である 狼褒行為の意義については、公然狼褒罪の項(前出狼褒・重婚罪〔二〕(二一二七頁参照)ですでに述べたところであるが、本罪は、被害者の性的自由に対する罪としての性格をもつものであるので、本罪の隈褒行為は、性生活の風俗に対する罪としての公然狼褒罪のそれと若干ニュアンスをことにす
1989 黒木忍  刑法各論 風俗に対する罪は、現代社会における性生活や経済生活、それに宗教生活に共通する善良な風俗を保護しようとするものである 猥褻とは、徒らに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道徳観念に反することである。
1989 佐伯仁志 判例タイムズ708号 63頁  1989年11月15日 展望判例法 刑法 強制猥褻罪における猥褻概念  性的自由  
1990 団藤重光 刑法綱要総論第3版P132    
1990 坂本武志 刑法各論   猥褻の行為については、公然猥褻罪に関して述べたところである
1991 中森喜彦 「刑法各論」63頁 性的羞恥心 端的に、人の性的羞恥心を害する行為をいうとすれば足りる(内田一五八頁、曽根六二頁)o
1992 沼野輝彦 大谷実「要説コンメンタール刑法各論(罪)」P173 性的自由  
1992 大野平吉 刑法判例百選Ⅱ各論第三版 32頁 1992年4月発行 I 個人的法益に対する罪 2 人格的法益に対する罪 強制猥褻罪における主観的要素     
1993 花井哲也 「刑法講義 各論Ⅰp106    
1994 辻本義男 刑法学概要各論〔改訂版〕 本条の猥褻の行為は、善良な風俗の保護を目的とする公然狼褒罪などの狼褒行為と異なり、被害者の性的な自由の侵害に重点を置いて理解しなければならない。 本条の猥褻の行為は、善良な風俗の保護を目的とする公然狼褒罪などの狼褒行為と異なり、被害者の性的な自由の侵害に重点を置いて理解しなければならない。
1994 三原憲三 刑法各論第2版p72    
1994 大野真義、墨谷葵 「要説 刑法各論」p100   猥褻の行為であるというためには、主観的には性欲を興奮または刺激させようとする意図のもとに、客観的には普通人の正常な性的差恥心を害するに足るものでなければならない
1994 団藤・平川 法律学全集41刑法各論新版追補 性的自由 猥褻の概念については一七五条の関係で前述した。ただ、ここでは相手の性的自由の侵害ということを主眼として考えなければならない
1994 井上正治 刑法学各則 性的自由に対する罪 猥褻とは、性慾を刺戟しまたはこれを満足せしむべき行為であって、人をして差恥・嫌悪の情を生ぜしめる程度のものをいう
1994 法務総合研究所 研修教材刑法各論 3訂版P80   猥褻の行為とは, 徒らに性欲を興奮又は刺激させ, かつ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するような行為をいう(名高金沢支判昭3652 下集3.5=6.399)
1994 朝倉京一 刑法各論    
1995 平川宗信 『刑法各論』(有斐閣、一九九五年) 性的自由 p199
「わいせつ」(旧規定では。「猥褻」) は,通説によれば,公然わいせつ罪・わいせつ物頒布等罪にいう「わいせつ」と基本的に同義であり, いたずらに性欲を興禽・刺激させ,普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反することをいうが.同罪が風俗犯であるのに対して本罪は性的自由を害する罪であるから,その重点を異にするとされる。しかし,保護法絡を異にする以上「わいせつ」の概念も別個にとらえられるべきであり,本罪の「わいせつ行為」の意義は,性的自由の侵害の観点から独自に論定すべきものであろう。したがって,本罪の「わいせつ行為」は,一般に性的意味がある行為であって,意に反して行うことが具体的事情のもとで性的自由の侵害とみられるものをいうと解すべきであろう(判
1996 町野 刑法各論のいまp279 を個人の性的自由 個人の性的自由を侵害する行為
1996 大塚仁 刑法概説(各論)第三版p98   「わいせつな行為」の意味について、判例は、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、を害し、善良な性的道義観念に反すること」と解している(名古屋高裁金沢支判昭36.5.2)。
1996 川端博編 刑法総論現代法学双書12    
1997 鈴木彰雄 スタッフ
刑法各論
船山泰範
清水洋雄
中村雄一
性的自由 ここでいう「わいせつな行為Jとは,一般に,「徒らに性欲を興奮又は刺
激せしめ,且つ普通人の正当な性的蓋恥心を害し,善良な性的道義観念に反すること」と解される(名古屋高金沢支判昭36・5・2下集3・5= 6・399)。本罪は被害者の性的自由を保護法益とするので,公然わいせつ罪(174条)にあたらない行為でも,相手方の意思に反して無理に行う場合には本罪を構成する(たとえば,相手方の意思に反して接吻したり陰部に手をふれる行為)。
1997 日高義博 「強制猥褻罪における主観的要件」現代刑法論争2(p75 強制狼褒罪には被害者の性的自由の保護という面のほかに、現行法上は健全な社会的風俗の維持という目的もあるのである  
1997 岡野光雄 刑法要説各論全訂版p50    
1997 橋爪隆 刑法判例百選Ⅱ各論第四版 30頁 1997年5月発行 I 個人的法益に対する罪 2 人格的法益に対する罪 強制わいせつ罪における主観的要素  強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由であるというのが現在の通説的見解である  
1998 大野平吉 強制わいせつ罪における主観的要素補説    
1999 西山富夫 刑法通説 各論」p55    
2001 福田平  刑法各論第三版増補版p183    
2001 東京高裁H13.9.18 東京高等裁判所判決時報刑事52巻1~12号54頁    
被告人の行為は,電車の中で着衣の上から臀部や太ももを触るという行為と同視することはできず,被害者の性的自由を不当に侵害するとともに,一般人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するものであって,強制わいせつ罪にいう「わいせつ行為」に該当するものというべきである。(吉本徹也・岩瀬 徹・沼里豊滋)
2001 斉藤信治 刑法各論 個人的法誌の一種としての「性的自由」を
保護法益とする。
「わいせつな行為」とは, 普通人である限り著しく性的な嫌悪感・羞恥心をいだくであろうような形で被害者の性的自由を侵害する行為を指し(174・175条の場合とは若干事情を異にする),
2001 中川祐夫ら 刑法2(各論)p67 性的自由 「わいせつ」とは徒らに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義
観念に反することをいう
2002 但木敬一 実務刑法〔三訂版〕 公然わいせつ罪、わ
いせつ物頒布罪は社会的法益としての善良な性風俗を害する行為であるのに対し、強姦罪等は個人の性的自由が保
法益と解される
「わいせつな行為」とは、性的自由の侵害を中心に考えるべきことから、公然わいせつ罪等のわいせつとはやや観点が異なるが、基本的には一見して性的欲望を満足させるための行為と認められるものをい
2003 木村裕三、小林敬 「現代の刑法各論 補正版」(2003年 成文堂)p67    
2003 小田直樹 刑法判例百選Ⅱ各論第五版28頁 2003年4月発行 I 個人的法益に対する罪 2 人格的法益に対する罪 強制わいせつ罪における主観的要素  今日では,性的自由という個人法益を保護する罪と捉えられている。  
2003 田宮 板倉 ホーンブック刑法各論〔改訂新版〕   わいせつとは「いたずらに性欲を興奮または刺激させ,かつ,普通人の正常な.性的蓋恥心を害し,善良な性的道義観念に反するものをいう」(雌判昭26. 5.10刑集5 . 6 . 1026)とされており,後述13章のわいせつ文書等頒布罪における定義と基本的に同じに考えられる。
2004 板倉宏 刑法各論 人格的自由としての性的自由を害する罪である。 「わいせつな行為」とは,本罪は,性的自由を第一次的保護法益一社会的法益としての性風俗は第二次的法益一としていることから,公然わいせつ罪(174条)やわいせつ物頒布等の罪(175条)におけるわいせつ概念よりも広く,被害者の性的蓋恥心を害する行為ととらえるべきであろう(西田,中森)。
2005 日高 刑法各論講義ノート第3版    
2005 日高 刑法各論講義ノート第3版 本罪の保護法益は、被害者の性的自由のほかに、健全な性風俗環境の維持が考えられる。さらに、主観的違法要素は全面的に排斥しえない。  
2005 曽根威彦 刑法各論3版補正2版 個人の性的自己決定の自由ないし性的感情を侵害する犯罪である わいせつは、一般に「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的荒恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」と定義されているが、強制わいせつ罪の「わいせつ」概念の定義としては、被害者の観点が欠落しており適当でない(内田158)・右の定義は、特定の被害者の性的自由を害するおそれのない行為をもわいせつと評価しうる点で広すぎるし、反面、現に被害者の性的自由を侵害していながら、右の定義に抵触しないかぎりわいせつでないとする余地を残している点で狭すぎる。
2007 斉藤彰子 アクチュアル刑法各論 伊藤ら 個人の性的自由 P88
本罪の「わいせつ」概念について,判例は,「徒らに性欲を典蒋又は刺戟せしめ, かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的同義観念に反すること」と(名古屋高金沢支判昭36・5・2下刑集3・5= 6・399) . 公然わいせつの罪におけるのと同様の定義を用いている6)。しかし,公然わいせつ罪等は健全な性風俗,公衆の性的感情に関する罪であり, したがって,そのわいせつ性は,公然と行われることが妥当かどうかという観点から定義されるのに対して,本罪の保護法益は個人の性的自由であるから,端的に,被害者の性的自由を害する行為をいうと解すべきであろう(中森64頁)
2007 松村格 日本刑法各論教科書2版 本罪の「わいせつ性」の判断基準は、一般人を基準とする「公然わいせつ罪」や「わいせつ物頒布罪」に対して、被害者の性的差恥心である。  
2008 法務総合研究所 改訂研修教材刑法各論その1 行刑法は, これを体系的に社会的法益としての公の風俗に対する罪とみている力:, その本質は,むしろ, 個人の人格的法益である性的自由に対する犯罪であり,最近の立法例はこれを個人的法益に対する罪として取り扱う傾向にある。 「わいせつな行為」とは,徒らに性欲を興奮又は刺激させ,かつ普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するような行為(最判昭26.510下集5。6・1026)
2008 立石二六 刑法総論第3版p126    
2008 木村裕三・小林敬 「現代の刑法各論」p68    
2008 丹羽正夫 刑法判例百選Ⅱ各論第6版 32頁 2008年3月発行 Ⅰ 個人的法益に対する罪 被害者の性的自由を保護法益とみる通説が妥当であり,性風俗の維持を論拠とする必要説には十分な理由がないように思われる。  
2010 東京高裁h22.3.1     2 原判示第2の女児の下着の撮影行為について
 所論指摘のとおり,原判決が,原判示第2の女児(当時8歳。以下,単に「第2の女児」という。)のスカートを手でまくり上げた上で,その下着(パンツを指す。以下同じ。)をカメラ付き携帯電話機で撮影した被告人の行為(以下「本件撮影行為」という。)がわいせつ行為に当たると判断していることは明らかである。
 しかしながら,第2の女児のような小学校低学年の女児の下着は,スカート等の形状や女児の動作によって,日常の生活の中で他者の目に触れることがしばしばあり得るものであって,学校,公園その他の場所で,この年代の女児の下着を目にしたとしても,社会一般には,いたずらに性欲を興奮,刺激させ,性的羞恥心を害して性的道義観念に反するとはとらえられていないと思われる。無論,このような下着を単に目にする行為と,記録化する目的でこれを撮影する行為とでは,その意昧合いが異なり得るが,上記のようなこの年代の女児の下着を目にすることに対する社会通念のほか,一定のわいせつ性が認められ得る成人女性のスカート内の下着を撮影する行為(盗撮行為)であっても,強制わいせつ罪より刑の軽い迷惑防止条例違反として検挙,処罰されているのが通例であることにもかんがみると,この年代の女児の下着を撮影する行為は,通常,刑法176条の「わいせつな行為」には当たらないと解するのが相当である。そして,本件についてみても,第2の女児が犯行当時着用していたスカートは丈が短く,公園等で遊んだりしている際に,他者に下着が見えることもあり得ることが容易に想像される形状のものであって(原審甲第12号証写真添付の8,同14号証添付の写真③),本件撮影行為も,同女児のスカートをまくり上げて同女児が着用している下着をそのまま1回撮影しただけで,特に執ようであるなど別異の評価が問題となり得るような特別の態様のものではないから,本件撮影行為は,わいせつ行為には当たらないというべきである。
2010 井田良 「講義刑法学・総論」(2010年 有斐閣) p109 被害者の性的自由  
2010 設楽裕文編 「法学刑法2 各論」p28   「わいせつな行為」とは,「徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ,且つ普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する」行為をいう。
2011 高山佳奈子 楽しい刑法Ⅱ各論P76 性的自己決定権 強制わいせつ罪にいうわいせつな行為には、裸にして写真を撮る、陰部を触るなど、被害者の性的差恥心を害すべき行為があたる。
2012 山本雅昭 成瀬幸典ほか編『判例プラクティス刑法I 各論』[2012]92頁    
2012 山口厚 刑法各論第2版p72 性的自由 性的な意味を有する行為すなわち本人の性的羞恥心の対象となる行為
2013 川端博 レクチャー刑法各論3版 被害者の性的な意思決定の自由を侵害する犯罪で 徒に性欲を興奮または刺激せしめ,且つ普通人の正常な性的蒸恥心を害し,善良な性的道徳観念に反すること」をいいます(名古屋高裁金沢支判昭36. 5 . 2下刑集3巻5=6号399頁)。これは,通常は,性欲を興奮または刺激させようとする意図のもとになされますが,客観的には,一般人の正常な性的蓋恥心を害し善良な性的道徳観念に反する行為がなされることを要する趣旨であると解されます。
2014 伊藤亮吉 刑法判例百選Ⅱ 各論 第7版(2014年) 性的自由  
2014 島田良一 大野真義 加藤久雄ら刑法各論 、個人の性的自由を侵害する罪 本罪における「わいせつな行為」とは、行為者の性欲を満足させる意図のもとに、客観的にも性欲を刺激・興奮させるとともに、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反する行為であるとされる
2014 東京高裁h26.2.13 東京高等裁判所判決速報3519 性的自由 本件犯行によって,被害者の性的自由が侵害されたことに変わりはないのであり,犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図の有無は,上記のような法益侵害とは関係を有しないものというべきである。そのような観点からしても,所論は失当である。
2015 宮崎万寿夫 主観的違法要素の再検討 青山法学論集201503    
2015 前田雅英 刑法各論講義第6版 単に性的自己決定権が害されるということではなく身体と人格的尊厳についてのより重大な侵害を伴う犯罪である わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものとされるが(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)、公然わいせつ罪わいせつ物頒布罪に関するものであり、本罪は個人の性的人格・身体を直接侵害する以上別異に考えられる
2015 中森喜彦 刑法各論第4版 個人の性的自由 人の性的自己決定権を害する行為
2015 大谷實 刑法講義各論新版第4版補訂版 性的自由及び性的感情 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう(金沢支判S36.5.3)~本罪は個人の性的自由及び性的感情を保護法益とするものであるから、その重点を異にし、公然わいせつ罪・わいせつ物頒布罪におけるものより広い概念となる
2016 佐藤陽子 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について 法律時報2016.10 被害者の性的自己決定権ないし性的不可侵性 「被害者の性的差恥心を害する行為」「被害者の性的自由を害する行為」との定義は、幼児など性的差恥心・判断力を持たない者に対する保護が及ばないかのような誤った印象を与えうる。176条のわいせつな行為を、単に、性的性質を有する侵襲24)と定義した方が、被害者の性的自己決定権ないし性的不可侵性25)を十分に保護しつつも、この
ような誤解を避けられうるように思われるのである。また、176条の法定刑は比較的高く、迷惑防止条例における「卑狼な行為」などがより軽く処罰されている以上、本罪成立のためには、ある程度の重大性が必要であろう26)。以上のことから、「わいせつな行為」とは、「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と定義することができよう。
2016 松宮孝明 「刑法各論講義(第4版)」2016成文堂 p116
本条は、個人の性的自由を保護法益とするものとされている
自己または他人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという行為
2016 成瀬幸典 強制わいせつ罪の主観的要件として犯人の性的意図は必要ではないとした事例神戸地裁h280316法学教室210609号 同罪の保護法益としての性的自由の本質は「意思に反して,他者の性的衝動・性的欲求の対象として扱われないこと」にある),  
2016 和田俊憲 注釈刑法第2巻各論1p621 本罪の保護法益は,性的自由ないし性的事柄に関する自己決定権と解するのが通説である。 これは客観的に性的自由を害する行為であり,被害者の立場に立った一般人から見て客体とされることにつき一定程度以上の性的差恥心の対象となる行為をいうものと解される
2016 井田良 講義刑法学各論 その保護法益は, 身体的内密領域を侵害しようとする性的行為からの防御権という意味での性的自己決定権として捉えられるべきである 被害者の意思に反して, 上記のような身体的内密領域を侵害し、そのことにより被害者の性的蓋恥心を害し, かつ一般通常人でも性的蓋恥心を害されるであろう行為のことをいう。
2016 山中敬一 刑法各論第三版 性的自由ないし性的不可侵性 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)
2016 井田良 入門刑法学各論 性的自由 性的自己決定権 被害者の意思に反するそして被害者の性的羞恥心を害し、かつ、普通の人でも性的羞恥心を害されるであろう行為
2016 川端博 レクチャー刑法各論第4版 性的自由 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反することをいいます(金沢支判S36.5.2)~ 本罪のわいせつ行為は被害者の性的自由の侵害の観点から把握されるべきですから、性的風俗の保護を主たる目的とする公然わいせつ罪におけるわいせつ行為ちがその内容を異にします。
2016 松原芳博 刑法各論 性的自由 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為である(金沢支判S36.5.4)。もっても本罪では個人の性的自由が保護法益であるから第三者からみた行為の意味ではなく被害者からみた行為の意味が重要となるため 公然わいせつ罪よりも広くなる
2016 阪高裁h28.10.27   被害者の性的自由 強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由と解され,同罪は被害者の性的自由を侵害する行為を処罰するものであり,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,強制わいせつ罪が成立し,行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないと解すべきである。
2017 井田良ら 井田・佐藤「新論点講義シリーズ2  刑法各論 第3版」 個人の性的自由ないし性的自己決定権 個人の性的自由ないし性的自己決定権を保護する罪であるから、被害者の意思に反してふつうの人でも性的蓋恥心を害されるであろう行為を行うとき、本罪の成立を認めるべきである
2017 島伸一 楽しい刑法Ⅱ各論第2版 性的自由に対する罪は、性的な自己決定(選択の自由)を保護するものである。身体が第一次的に保護されているわけではないことに注意を要する。刑法典の中では社会的法益に対する罪の間に規定されているが、現在では、個人に対する罪として理解することに争いはない。 わいせつ性の解釈は両罪で異なるとするのが多数説である。たとえば、人前でキスしても公然わいせつではないが、暴行・脅迫によりキスすることは強制わいせつにあたる。強制わいせつ罪にいうわいせつな行為には、裸にして写真を撮る、陰部を触るなど、被害者の性的蓋恥心を害すべき行為があたる。
2017 関哲夫 講義刑法各論 本罪は、個人の性的自由・性的自己決定を保護法益とするものである わいせつとは、被害者の性的自由性的自己決定を侵害するものをいうと解すれば十分で、性的羞恥心ではなく、性的自由・性的自己決定を重視する区別説が妥当です。
2017 橋本正博 刑法各論 ここでは, さしあたって,性的自由に対する犯罪とする立場に立つ 「わいせつな行為」とは,被害者の性的差恥心を害する行為であって,通常人であれば著しく性的な嫌悪感・差恥心を抱くであろう行為をいう。風俗の観点から考盧される社会的法益に対する罪の場合に比較して,個人的法益に対する罪におけるわいせつ性は,問題となる行為が行われる場合に個人の性的自己決定に基づく必要があるか否かという観点から判断されるべきである。
2018 大塚裕史ら 大塚ら基本刑法Ⅱ各論 第2版 強制わいせつ罪等の保護法益は、通説によれば、性的自由(性的蕾恥心を
抱くような性的事項についての自己決定の自由)である。
「わいせつな行為」とは、徒に性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的蓋恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為をいう。例えば、無理やりキスしたり、陰部に手を触れたり、裸にして写真を撮ったりすることである。
本罪のわいせつは、個人の性的自由との関係が重要なので、性的風俗との関係が問題になる公然わいせつ罪におけるわいせつよりも広い概念である。
2018 大谷實 刑法各論第5版 個人の性的自由および感情を保護法益とする 「わいせつな行為」とは, いたずらに性欲を興奮または刺激させ,かつ,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいう。わいせつの意義は,性的風俗を保護法益とする公然わいせつ罪(174条)およびわいせつ物頒布等罪(175条)における「わいせつ」と基本的には同じであるが( 334頁, 336頁),本罪は個人の性的自由・感情を保護法益とする罪であるから, その重点を異にし,原則としてそれらの犯罪よりも広い概念
となる。例えば,接吻や陰部に手を触れる行為など,単に人の正常な差恥心を害するにすぎない行為であっても, わいせつな行為となる(新潟地判昭和63.8.26判時1299・152)。
2018 川端博 レクチャー刑法各論5版 被害者の性的な意思決定の自由を侵害する犯罪です。 本罪の行為は, わいせつな行為をすることです。わいせつな行為とは, 「徒らに性欲を興奮または刺激せしめ,且つ普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反すること」をいいます(名古屋高裁金沢支判昭36. 5. 2下刑集3巻5=6号399頁)。これは,通常は,性欲を興奮または刺激させようとする意図
のもとになされますが,客観的には,一般人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道徳観念に反する行為がなされることを要する趣旨であると解されます。

本罪のわいせつ行為は,被害者の性的自由の侵害の観点から把握されるべきですから,性的風俗の保護を主たる目的とする公然わいせつ罪におけるわいせつ行為とは, その内容を異にします。
2018 西田典之(橋爪補訂) 刑法各論第7版 性的自由が保護法益である 「わいせつな行為」とは,性的自由が保護法益であることから,公然わいせつ罪(174条)におけるわいせつ概念より広く,被害者の性的差恥心を害する行為をいうと解すべきである(中森65頁)。したがって,相手の意に反して接吻する行為は,現在では公然わいせつ罪にはあたらないであろうが,本罪を構成する(東京高判昭和32. 1 .22高刑10巻1号10頁)。ただし,一般人の見地からみても性的差恥心を害する行為であることが必要であろう。
2018 井田良 「入門刑法学各論[第2版]」 176条から181条までに規定された犯罪は、個人的法益としての性的事由(性的'自己決定椎)に対する罪であり、それ以外の犯罪(特に. 174条と175条の罪が重要ですが. それらは個人的法硴に対する罪ではなく, 社会的法益〔風俗ないし道徳的秩序〕に対する罪です)とは根本的に異なります。性的自由とは,性的行為を行うかどうか、誰をパートナーとしてイ丁うかに関して自分で決めることのできる自由(それを他人に強制されない防御権)のことです. 強制わいせつ罪におけるわいせつ行為とは,被害者の意思に反する, そして,被害者の'性的蓋恥心を害し・かつ、ふつうの人でも性的差恥心を害されるであろう行為のことです。たとえば。陰部,乳房,尻や太もも等に触れる行為,全裸の写真を撮る行為, キスする行為などはその人の意思に反して行われる限りこれにあたります。その行為がそれを見る人に与えるいやらしさなとミは(174条や175条の場合とは異なり)重要ではないのです。
2018 東京高裁h30.1.30   強制わいせつ罪の保護法益は,個人の性的自由であると解されるが,所論のように性的羞恥心のみを重視するのは相当ではなく,一般人が性的な意味があると評価するような行為を意思に反してされたならば,性的自由が侵害されたものと解すべきである。 所論は,①低年齢児に対するわいせつ行為では一般人の性欲を興奮,刺激させない,②低年齢児には性的羞恥心がないので,法益侵害がないなどと主張する。
  しかし,①については,6歳未満の低年齢児でも殊更に全裸又は下半身を裸にさせて性器を露出させてこれを撮影するならば,一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。また,②については,強制わいせつ罪の保護法益は,個人の性的自由であると解されるが,所論のように性的羞恥心のみを重視するのは相当ではなく,一般人が性的な意味があると評価するような行為を意思に反してされたならば,性的自由が侵害されたものと解すべきである。そして,ここで意思に反しないとは,その意味を理解して自由な選択によりその行為を拒否していない場合をいうものと解されるから,そのような意味を理解しない乳幼児については,そもそもそのような意思に反しない状況は想定できない。このことは,精神の障害により性的意味を理解できない者に対しても準強制わいせつ罪(刑法178条1項)が成立することによっても明らかである。本件では,生後4か月から5歳までの乳幼児に対し,性器を露出させるなどして,これを撮影したものであるから,同人らの性的自由を侵害したものと認められる。
2018 馬渡香津子 「強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否」ジュリスト1517号 現在では,強制わいせつ罪の保護法益を個人的法益と捉えることに異論がなく,昭和45年以降,性的な被害に係る犯罪に対する社会の受けとめ方は大きく変化しているのであって,今日では,本判決が判示しているとおり,「強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべき」であると考えられる。
 そうであるとすると,当該行為自体が客観的にみて「わいせつな行為」に該当していて,その被害者の法益が現に侵害されていると認められるにもかかわらず,独立の要件として行為者自身の性的意図を一律に要求し,それがなければ,強制わいせつ罪が成立しないとすることは,現在の性的な被害に係る犯罪に対する社会の受け止め方に照らせば,到底容認できないように思われる。
そもそも,「わいせつな行為」という言葉は,一般常識的な言葉として通用していて,一般的な社会通念に照らせば,ある程度のイメージを具体的に持てる言葉といえる。そして,「わいせつな行為」を過不足なく別の言葉でわかりやすく表現することには困難を伴うだけでなく,別の言葉で定義づけた場合に,かえって誤解を生じさせるなどして解釈上の混乱を招きかねないおそれもある。また,「わいせつな行為」を定義したからといって,それによって,「わいせつな行為」に該当するか否かを直ちに判断できるものでもなく,結局,個々の事例の積み重ねを通じて判断されていくべき事柄といえ,これまでも実務上,多くの事例判断が積み重ねられ,それらの集積から,ある程度の外延がうかがわれるところでもある(具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照)。
 そうであるとすると,いわゆる規範的構成要件である「わいせつな行為」該当性を安定的に解釈していくためには,これをどのように定義づけるかよりも,どのような判断要素をどのような判断基準で考慮していくべきなのかという判断方法こそが重要であると考えられる。
 本判決が,「わいせつな行為」の定義そのものには言及していないのは,このようなことが考えられたためと思われる。もっとも,本判決は,その判示内容からすれば,上記名古屋高金沢支判の示した定義を採用していないし,原判決の示す「性的自由を侵害する行為」という定義も採用していないことは明らかと思われる(なお,実務上,「わいせつな行為」該当性を判断する具体的場面においては,従来の判例・裁判例で示されてきた事例判断の積み重ねを踏まえて,「わいせつな行為」の外延をさぐりつつ判断していかなければならないこと自体は,本判決も当然の前提としているものと思われる)。
2018 嘉門優 強制わいせつ罪におけるわいせつ概念について 立命館法学   このようにわいせつ概念の変更の要請が現在非常に高まっているといいうる。
ただし,仮に,本罪におけるわいせつ概念を単純に「性的性質を有する一定の重大な侵襲」と理解し,さらに,判例のように,社会通念に照らして客観的に「性的意味」や「その性的な意味合いの強さ」を判断するとした場合であっても,その具体的な判断方法が問われざるをえない。学説上,判断に当たっては, 関係する部位,接触の有無・方法,継続性,強度,性的意図,その他の状況が,総合的に考慮されなければならないといわれている12)。本稿もこの結論に同意するものであるが,それぞれの要素が性的侵襲の「重大性」判断にどうかかわるのかという点についてさらに検討する必要があると思われる。
この検討に当たって,保護法益や性的侵害の内実について抽象論を繰り広げても,望ましい解答がえられるとは考えにくい。そこで,強制わいせつ罪については多くの裁判例がこれまで集積されてきていることから,次章以下において,本罪が認められた裁判例をその行為態様ごとに類型化し,その性的侵害の内実を分析するという手法を採用することとしたい。

児童買春罪で自首した教員。退職してから自首しなかったので、送検時に匿名報道され、懲戒免職の際に実名報道された事例

 逮捕とか懲戒を避けるために自首したと思われますが、罰金は当然として、懲戒免職(=教員免状の失効)も予想され、意味がありません。まず詳しい弁護士に相談してください。
 教員の場合は、地域によって、自首しても警察から教育委員会に連絡されることがあるので、弁護士に相談した上で、自首する前か自首直後に、依願退職する必要があることがあります。
 当職が扱った事例では、その地域の前例を調べて、捜査段階で教委に連絡される恐れがある場合には
  児童淫行行為→依願退職→罰金
  児童ポルノ製造→依願退職→罰金
  児童買春行為→依願退職起訴猶予
  児童買春行為→依願退職→罰金
という結果になっています。外見上は普通に転職されていて、教員免状は温存されました。
 いきなり退職する決意が着かず、検討している間に逮捕されて、懲戒免職・罰金になったケースもありました。

https://www.gifu-np.co.jp/news/20180602/20180602-46002.html
中学生買春疑いで書類送検 高校教諭が自首
2018年06月02日 08:01

 岐阜県警大垣署などは1日、児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)の疑いで、県立高校の男性教諭(46)=岐阜市=を書類送検した。

 送検容疑は、昨年8月25日午後2時ごろ、県内のホテルで、県内在住の女子中学生=当時(14)=が18歳未満であると知りながら、現金1万5千円を渡す約束をしてわいせつな行為をした疑い。

 署によると、男性は昨年11月に「中学生と援助交際した」と大垣署に自首した。女子生徒とは同8月ごろ、出会い系サイトで知り合った女性から紹介されたという。男性は当日休暇を取っており、「性的欲求を満たすためにした」と供述している。
・・・
http://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/3085199761.html
高校教員が児童買春で書類送検
06月01日 19時00分
去年8月、当時中学2年生の女子生徒に現金を渡してわいせつな行為をしたとして、岐阜市に住む46歳の高校の男性教諭が、児童買春の疑いで書類送検されました。
書類送検されたのは、岐阜市に住む46歳の県立高校の男性教諭です。
警察によりますと、去年8月、県内のホテルで、県内に住む当時14歳の中学2年の女子生徒に現金1万5000円を手渡してわいせつな行為をした児童買春の疑いが持たれています。
男性教諭は、出会い系サイトで知り合った当時20歳の女性から女子生徒を紹介されたということで、警察の調べに対し容疑を認め、「性的欲求を満たすためだった」と話しているということです。
男性教諭は去年11月、みずから警察に出頭したということで、警察はき1日付けで書類送検しました。

・・・
県立高教諭を書類送検 中学生を児童買春容疑 大垣署 /岐阜
毎日新聞2018年6月2日 地方版
http://mainichi.jp/articles/20180602/ddl/k21/040/146000c 
大垣署などは1日、中学2年生の女子生徒(14)にわいせつ行為をしたとして、岐阜市に住む県立高校の男性教諭(46)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で岐阜地検大垣支部書類送検した。男性教諭は「性的欲求を満たしたかった」と容疑を認めているという。

 送検容疑は、昨年8月25日午後2時ごろ、県内のホテルで、18歳未満と知りながら女子中学生に現金1万5000円を渡しわいせつな行為をしたとしている。

 同署によると、男性教諭は出会い系サイトを通じて知り合った女性から女子中学生を紹介され、「計2回会った」と話しているという。男性教諭が昨年11月、同署に「中学生と援助交際した」と自首して発覚し、任意で捜査を進めていた。県教育委員会は今後、処分を検討する。【横田伸治】


追記
 懲戒免職でした。
 一部で実名報道になりました。
 懲戒免職以上の処分はなく、児童買春というのは児童虐待なので、自首で軽減したとしても懲戒免職ということになります。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/3085367521.html
児童買春容疑で高校教諭懲戒免職
06月07日 19時06分

教育委員会は、女子中学生に現金を渡してわいせつな行為をしたとして児童買春の疑いで書類送検された県立高校の男性教諭について、6日付けで懲戒免職の処分にしました。
懲戒免職の処分を受けたのは県立大垣工業高校の46歳の男性教諭です。
発表によりますと、元教諭は去年8月と9月の2回、当時、中学2年生だった女子生徒に現金を渡してわいせつな行為をしたということです。
元教諭は、6月1日、児童買春の疑いで書類送検されていて、県教育委員会は「公務員への信用を失墜させた」として、6日付けで懲戒免職の処分にしました。
また、当時の校長(57)を厳重注意の処分としました。
教育委員会の調査に対して元教諭は「愚かなことをして深く反省している。迷惑をかけ申し訳ない」と話しているということです。

教育委員会は「再発防止のため、教職員の服務規律の徹底に全力をあげて取り組んでいく」としています。
・・・
http://www2.ctv.co.jp/news/2018/06/07/10781/
岐阜県立高校の男性教師が、未成年の少女に金銭を渡しわいせつな行為をしたとして、懲戒免職処分を受けました。
 6日付で懲戒免職となったのは、高校に勤務してい元教諭(46)です。岐阜県教育委員会などによりますと、元教諭は去年8月と9月、当時14歳の女子中学生に1万5000円を渡しわいせつな行為をしたということです。
元教諭は、去年11月に「中学生と援助交際してしまった。後悔している」と警察に自首し、今月1日、児童買春の疑いで書類送検されています。

 県教委は、再発防止のために教職員の服務規律の徹底に全力を挙げるとしています。

裁判所に「わいせつ」(強制わいせつ罪(176条)の定義を聞いて困らせてはいけません。

 あまり知られていませんが、大法廷判決h29.11.29を前提にすると、「わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。(最判昭26・5・10刑集5-6-1026)」という定義が使えなくなりました。公然わいせつ・わいせつ物の定義と訣別していますが、新定義はできませんでした。
 そういう点を聞かれると裁判所も困るようです。自白事件でも、えげつない類型でも、定義が決まらない。
 現行法では強制性交等罪になるような事件で聞いてみたら、ちょっと軽くなりました。

弁護人の主張
1 強制わいせつ罪(176条後段)(公訴事実第1)について
(1) まず「わいせつ」の定義を示す必要がある。
 強制わいせつ罪におけるわいせつの定義は「徒に性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」とするのがおなじみの判例最判昭26・5・10刑集5-6-1026)であるところ、わいせつの定義自体に性欲要件が含まれている。犯人の性欲である。
 ところが、大法廷判決h29.11.29は、性的な行為を
①刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為(絶対的わいせつ行為)
②行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為(相対的わいせつ行為)
に二分して、①については性的意図不要、②については「性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。」「当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ない」「行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」とした。原判決(大阪高裁H28.10.27*1)が「わいせつ=被害者の性的自由を侵害する行為」としたのを修正したことは確かである。

 本件のように■■■■■■■■■■■■■■■■という行為は①に分類にされ、性的意図不要となる。それゆえ、本件の公訴事実第1にも性的意図を示す「わいせつ行為しようと企て」が記されていない。
 しかし、これでは従前の定義の犯人の「徒に性欲を興奮または刺激させ、」を満たさないから、わいせつ行為と評価できないことになる。
 さらには、大法廷判決は強制わいせつ罪の保護法益を専ら個人的法益(性的自由とか性的羞恥心)と理解するのであろうが、そうであれば、一般人基準による前記の定義は不適切であり、個人的法益からの定義が必要となる。(②の類型のわいせつ行為も包含するように工夫する必要がある)
 「わいせつ」とは強制わいせつ罪の構成要件であるから、わいせつ行為の定義は存在するはずであって、裁判所が定義を示せないと強制わいせつ罪(176条後段)は成立しないことになりうるので、判示を求める。
 参考までに、最新の東京高裁H30.1.30*2も強制わいせつ罪(176条後段)について「一般人が性的な意味があると評価するような行為を意思に反してされたならば,性的自由が侵害されたものと解すべきである。」という定義を試みているが、これまで聞いたことが無い説明となってる。
 さらに、馬渡(モウタイ)調査官の論稿*3によれば定義できないことを棚に上げて「わいせつの定義は困難」「行為の集積で判る」などと開き直っているが、それは罪刑法定主義に反するので、裁判所は定義を明確にする必要がある。
 被告人の行為は結果的には、わいせつ行為と評価されると予想されるが、前提として定義を明らかにする必要がある。

某地裁H30
第2
わいせつ行為該当性
弁護人は,最高裁判所大法廷判決平成29年11月29日が,性的な行為を「絶対的わいせつ行為」と「相対的わいせつ行為」に二分し,前者については性的意図を不要としたが,それでは「徒に性欲を興奮又は刺激させ」るとの従来からのわいせつ行為の定義に該当しないこととなるから,わいせつ行為の再定義を裁判所が示せなければ強制わいせつ罪は成立しない等と主張するが,被告人が■■■■■■■■■■■■■■■■などした本件強制わいせつ行為は,その態様から見て性的性質を有するものであることは明確であり,可罰的なわいせつ行為に該当することは明らかというべきである。

1

阪高裁H28.10.27
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=86760
(2)ところで,強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由と解され,同罪は被害者の性的自由を侵害する行為を処罰するものであり,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,強制わいせつ罪が成立し,行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないと解すべきである。その理由は,原判決も指摘するとおり,犯人の性欲を刺激興奮させ,または満足させるという性的意図の有無によって,被害者の性的自由が侵害されたか否かが左右されるとは考えられないし,このような犯人の性的意図が強制わいせつ罪の成立要件であると定めた規定はなく,同罪の成立にこのような特別な主観的要件を要求する実質的な根拠は存在しないと考えられるからである。
 そうすると,本件において,被告人の目的がいかなるものであったにせよ,被告人の行為が被害女児の性的自由を侵害する行為であることは明らかであり,被告人も自己の行為がそういう行為であることは十分に認識していたと認められるから,強制わいせつ罪が成立することは明白である。
 以上によれば,強制わいせつ罪の成立について犯人が性的意図を有する必要はないから,被告人に性的意図が認められないにしても,被告人には強制わいせつ罪が成立するとした原判決の判断及び法令解釈は相当というべきである。当裁判所も,刑法176条について,原審と同様の解釈をとるものであり,最高裁判例(最高裁昭和45年1月29日第1小法廷判決・刑集24巻1号1頁)の判断基準を現時点において維持するのは相当ではないと考える。
(3)所論は,強制わいせつ罪の保護法益を純粋に個人の性的自由とみて,同罪の成立に犯人の性的意図を要しないと解釈した場合,①わいせつ行為の範囲は,被害者の性的意思決定の自由が害される行為として被害者個人によって主観的に定められることになり,極めて不明確となる,②性的自由を観念できない乳幼児に対する強制わいせつ罪が成立しないことになり,その保護に欠ける,などと主張する。
 しかしながら,前記のように解釈したとしても,強制わいせつ罪におけるわいせつな行為の該当性を検討するに当たっては,被害者の性的自由を侵害する行為であるか否かを客観的に判断すべきであるから,所論①のように処罰範囲が不明確になるとはいえない。また,性的な事柄についての判断能力を有しない乳幼児にも保護されるべき性的自由は当然認められるのであり,その点で既に所論②は失当である上,犯人の性的意図の要否と乳幼児に対する強制わいせつ罪の成否とは特段関連する問題とは考えられないから,保護法益を純粋に性的自由とみて性的意図を不要と解釈すると乳幼児の保護に欠ける事態になるとの批判は当たらない。
 その他,強制わいせつ罪の成立要件について縷々主張する所論は,いずれも失当であって採用することはできない。
 3 したがって,被告人に強制わいせつ罪が成立するとして当該法条を適用した原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令適用の誤りがあるとはいえない。法令適用の誤りをいう論旨は理由がない。また,強制わいせつ罪の成立には犯人の性的意図があることを必要としないと解されるのであるから,原判示第1の1の犯罪事実(罪となるべき事実)に性的意図を記載しなかった原判決に理由不備の違法があるとはいえない。理由不備をいう論旨も理由がない。

2

裁判年月日  平成30年 1月30日  裁判所名  東京高裁  裁判区分  判決
事件番号  平28(う)1687号
事件名  保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件
裁判結果  控訴棄却  文献番号  2018WLJPCA01306002
第3  弁護人の法令適用の誤りの主張について
 1  低年齢児に対する強制わいせつ罪,強制わいせつ致傷罪及びわいせつ目的誘拐罪(以下,単に「強制わいせつ罪等」ともいう。)の成否について
   (1)  論旨は,6歳未満の児童に対して強制わいせつ罪等は成立しないのに,強制わいせつ罪等の成立を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
   (2)  刑法は,強制わいせつ罪等の対象について年齢の下限を設けておらず,むしろ13歳未満の児童に対しては保護を厚くしており,法文上,6歳未満の児童も強制わいせつ罪の対象となることは明らかである。
 所論は,①低年齢児に対するわいせつ行為では一般人の性欲を興奮,刺激させない,②低年齢児には性的羞恥心がないので,法益侵害がないなどと主張する。
 しかし,①については,6歳未満の低年齢児でも殊更に全裸又は下半身を裸にさせて性器を露出させてこれを撮影するならば,一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。また,②については,強制わいせつ罪の保護法益は,個人の性的自由であると解されるが,所論のように性的羞恥心のみを重視するのは相当ではなく,一般人が性的な意味があると評価するような行為を意思に反してされたならば,性的自由が侵害されたものと解すべきである。そして,ここで意思に反しないとは,その意味を理解して自由な選択によりその行為を拒否していない場合をいうものと解されるから,そのような意味を理解しない乳幼児については,そもそもそのような意思に反しない状況は想定できない。このことは,精神の障害により性的意味を理解できない者に対しても準強制わいせつ罪(刑法178条1項)が成立することによっても明らかである。本件では,生後4か月から5歳までの乳幼児に対し,性器を露出させるなどして,これを撮影したものであるから,同人らの性的自由を侵害したものと認められる。
 その余の主張を含め,所論は理由がなく,いずれも採用できない。

3

ジュリスト1517号
時の判例
強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
最高裁平成29年11月29日大法廷判決
最高裁判所調査官 馬渡香津子
V.「わいせつな行為」の定義,判断方法
1.「わいせつな行為」概念の重要性
 性的意図が強制わいせつ罪の成立要件でないとすれば,「わいせつな行為」に該当するか否かが強制わいせつ罪の成否を決する上で更に重要となり,「わいせつな行為」該当性の判断に際して,行為者の主観を一切考慮してはならないのかどうかを含め,これをどのように判断し,その処罰範囲を明確化するのかが問題となる。また,強制わいせつ致傷罪は,裁判員裁判対象事件であることも考えれば,「わいせつな行為」の判断基準が明確であることが望ましい。
2.定義
(1)判例,学説の状況
 強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」の定義を明らかにした最高裁判例はない。
 他方,「わいせつ」という用語は,刑法174条(公然わいせつ),175条(わいせつ物頒布罪等)にも使用されており,最一小判昭和26・5・10刑集5巻6号1026頁は,刑法175条所定のわいせつ文書に該当するかという点に関し,「徒に性慾を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと認められる」との理由でわいせつ文書該当性を認めているところ(最大判昭和32・3・13刑集ll巻3号997頁〔チャタレー事件〕も,同条の解釈を示すに際して,その定義を採用している),名古屋高金沢支判昭和36・5・2下刑集3巻5=6号399頁が,強制わいせつ罪の「わいせつ」についても,これらの判例と同内容を判示したことから,多くの学説において,これが刑法176条のわいせつの定義を示したものとして引用されるようになった(大塚ほか編・前掲67頁等)。これに対し,学説の中には,刑法174条,175条にいう「わいせつ」と刑法176条の「わいせつ」とでは,保護法益を異にする以上,同一に解すべきではないとして,別の定義を試みているものも多くある(例えば,「姦淫以外の性的な行為」平野龍一・刑法概説〔第4版)180頁,「性的な意味を有する行為,すなわち,本人の性的差恥心の対象となるような行為」山口厚・刑法各論〔第2版]106頁,「被害者の性的自由を侵害するに足りる行為」高橋則夫・刑法各論〔第2版〕124頁,「性的性質を有する一定の重大な侵襲」佐藤・前掲62頁等)。
(2)検討
 そもそも,「わいせつな行為」という言葉は,一般常識的な言葉として通用していて,一般的な社会通念に照らせば,ある程度のイメージを具体的に持てる言葉といえる。そして,「わいせつな行為」を過不足なく別の言葉でわかりやすく表現することには困難を伴うだけでなく,別の言葉で定義づけた場合に,かえって誤解を生じさせるなどして解釈上の混乱を招きかねないおそれもある。また,「わいせつな行為」を定義したからといって,それによって,「わいせつな行為」に該当するか否かを直ちに判断できるものでもなく,結局,個々の事例の積み重ねを通じて判断されていくべき事柄といえ,これまでも実務上,多くの事例判断が積み重ねられ,それらの集積から,ある程度の外延がうかがわれるところでもある(具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照)。
 そうであるとすると,いわゆる規範的構成要件である「わいせつな行為」該当性を安定的に解釈していくためには,これをどのように定義づけるかよりも,どのような判断要素をどのような判断基準で考慮していくべきなのかという判断方法こそが重要であると考えられる。
 本判決が,「わいせつな行為」の定義そのものには言及していないのは,このようなことが考えられたためと思われる。もっとも,本判決は,その判示内容からすれば,上記名古屋高金沢支判の示した定義を採用していないし,原判決の示す「性的自由を侵害する行為」という定義も採用していないことは明らかと思われる(なお,実務上,「わいせつな行為」該当性を判断する具体的場面においては,従来の判例・裁判例で示されてきた事例判断の積み重ねを踏まえて,「わいせつな行為」の外延をさぐりつつ判断していかなければならないこと自体は,本判決も当然の前提としているものと思われる)。

小学校内における撮影型強制わいせつ事件(176条後段) 求刑7年宣告4年(岡崎支部h30.4.12)

 姿態をとらせて製造罪は起訴されていません。
 触って撮るというのは、1個のわいせつ行為なんですが、製造罪との罪数を聞くと「撮影行為はわいせつ行為に通常伴う関係にはない」って判示されます。

名古屋地方裁判所岡崎支部平成30年04月12日
主文
被告人を懲役4年に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。

理由
(犯罪事実)
 被告人は、
第1 別紙記載のE(当時8歳)が13歳未満であることを知りながら、平成28年11月下旬頃から同年12月頃までの間に、別紙記載の愛知県F市内の乙小学校南校舎3階コンピュータ準備室において、同人に対し、「服脱いで。」などと言って、同人の着衣を全て脱がさせた上、同人を机の上に寝かせて、その陰部付近に手に持ったティッシュペーパーを押し当てるなどし、さらに、その姿態をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し、もって13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をした。
第2 別紙記載のD(当時8歳)が13歳未満であることを知りながら、平成29年3月17日頃、同所において、同人に対し、「けがをしているところがあるから、服脱いで。」などと言って、同人の着衣を全て脱がさせて、その陰茎を露出させた上、同人を机の上に仰向けに寝かせて、その腹部、太もも等を手で触り、さらに、その姿態をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をした。
第3 別紙記載のB(当時6歳)が13歳未満であることを知りながら、同年5月上旬頃、別紙記載の同市内の甲小学校南校舎1階多目的便所において、同人に対し、同人が着用していたズボン及びパンツを脱がせた上、その両脇に両手を差し込んで同人を抱き上げて机の上に座らせるなどしてその陰部を露出させ、その姿態をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し、もって13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をした。
第4 別紙記載のA(当時6歳)が13歳未満であることを知りながら、同月中旬頃、同所において、同人に対し、同人が着用していた半ズボン及びパンツを引き下げてその陰部を露出させた上、その陰部に起動させたローターを直接押し当てるなどし、もって13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をした。
第5 別紙記載のC(当時6歳)が13歳未満であることを知りながら、同月下旬頃、同所において、同人に対し、「ちょっと怪我してるんじゃない?見てあげる。ここに座って。」などと言い、その両脇に両手を差し込んで同人を抱き上げて机の上に座らせ、「下脱いで。」などと言って同人に半ズボン及びパンツを下ろさせ、その陰茎を露出させた上、同人を抱き上げて同机の上に仰向けに寝かせ、同人が着用していたTシャツをめくりあげて、その姿態をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し、さらに、その腹部や太もも等を手で触り、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をした。
(証拠の標目)
(補足説明)
1 被告人は、公判廷において、判示第2の態様につき、手で直接触ったのではなく、ティッシュペーパーを用いてDの腹部、太もも等を触った旨弁解している。
2 この点、被告人は、検察官に対し、丸めたティッシュペーパーを用いてDの腹部や太もも等に触れた後に、タオルでDの顔全体を覆わせた上で、Dの腹部や太もも等に直接触れたなどと供述している(乙11)ところ、このような事実経過についてDの供述とも矛盾せず、内容が具体的である上、Dに見られないようにその顔をタオルで隠し、行為がややエスカレートしていくなど、特徴的なエピソードを含むものとなっている。
  これに対し、被告人は、検察官に対する前記のような供述は、Cに対する事件と混同して行ったなどと弁解する。しかし、被告人において、CとDに対する各事件について、在校する小学校、学年、担任か否か、犯行場所、そこに誘い込む手口等犯行に至る経緯、犯行状況等について明確に分けて供述していること、取調べの段階では記憶になかったが、後に拘置所に移って一人で考える時間ができるようになってから直接触っていないことを思い出したという供述経過が不自然であること等からすると、弁護人が主張するように、被害者がどちらも男児であることや犯行態様に共通する部分も存すること等を踏まえても、被告人が述べるような混同があったとは認められない。
3 したがって、前記検察官に対する被告人の供述は信用できるから、被告人は、Dの腹部、太もも等を直接手で触ったと認められる。
(法令の適用)
 罰条
  判示各行為 いずれも平成29年法律第72号附則2条1項により、同法による改正前の刑法176条後段
 併合罪の処理 同法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い判示第4の罪の刑に法定の加重)
 未決勾留日数の本刑算入 同法21条
 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
(求刑 懲役7年)
刑事部
 (裁判官 野村充)