児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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陰部触り撮影等したという強制わいせつ罪(176条後段)と、姿態をとらせて製造罪を併合罪にした事例(横浜地裁h29.12.26)

 横浜地裁の別の裁判体は観念的競合にしていて、控訴審でも維持されています。それが横浜地裁に伝わりません。
 東京高裁は併合罪説だと思ってたんですけど、ちょっと観念的競合説に寄りました。ダビングすると併合罪、そうでなければ観念的競合。

東京高裁h30.1.30
原判決は,同一機会の犯行に係る強制わいせつ(致傷)罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について,被害児童に姿態をとらせてデジタルカメラ等で撮影した行為が強制わいせつ(致傷)罪に該当する場合に,撮影すると同時に又は撮影した頃に当該撮影機器内蔵の又は同機器に装着した電磁的記録媒体に保存した行為(一次保存)を児童ポルノ製造罪とする場合には,これらを観念的競合とし,一次保存をした画像を更に別の電磁的記録媒体に保存した行為(二次保存)を児童ポルノ製造罪とする場合には,併合罪としていると解される(原判決は,罪数判断に当たり,強制わいせつの態様をも併せ考慮していると考えられる。)。いずれにせよ,わいせつな姿態をとらせて撮影することによる強制わいせつ行為と当該撮影及びその画像データの撮影機器に内蔵等された記録媒体への保存行為を内容とする児童ポルノ製造行為は,ほぼ同時に行われ,行為も重なり合うから,自然的観察の下で社会的見解上一個のものと評価し得るが,撮影画像データを撮影機器とは別個の記録媒体に複製して保存する二次保存が日時を異にして行われた場合には,両行為が同時に行われたとはいえず,重なり合わない部分も含まれること,強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,前者が被害者の性的自由を害することを内容とするのに対し,後者が被害者のわいせつな姿態を記録することによりその心身の成長を害することを主たる内容とするものであって,基本的に併合罪の関係にあることに照らすと,画像の複製行為を含む児童ポルノ製造行為を強制わいせつとは別罪になるとすることには合理性がある。原判決の罪数判断は,合理性のある基準を適用した一貫したものとみることができ,理由麒甑はなく,具体的な行為に応じて観念的競合又は併合罪とした判断自体も不合理なものとはいえない。

横浜地方裁判所平成29年12月26日
上記の者に対する強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官亀卦川健一、同田中惇也、主任弁護人中野憲司、弁護人金子泰輔各出席の上審理し、次のとおり判決する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 各児童がいずれも13歳未満であることを知りながら、同人らにわいせつな行為をしようと考え、
  (4) 別表1―5記載のとおり、同年1月21日から同年2月21日までの間、前後4回にわたり、●●●(当時1歳。以下「F」という。)に対し、陰部を直接触る、陰部に綿棒様のものを入れるなどした上、これを携帯電話機付属のカメラで撮影し
  (5) 別表1―6記載のとおり、同年1月20日及び同年2月19日の前後2回にわたり、●●●(当時1歳。以下「G」という。)に対し、陰部を直接触る、陰部に綿棒様のものを入れるなどした上、これを携帯電話機付属のカメラで撮影し

 もってそれぞれ13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をし
第2 各児童がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら、

  (4) 別表2―5記載のとおり、同年1月21日午前5時57分頃から同年2月21日午前5時12分頃までの間、前後4回にわたり、Fに対し、他人がFの性器等を触る姿態及びその性器等を露出させる姿態をとらせ、これを携帯電話機付属のカメラで撮影し、その動画データ合計5点を電磁的記録媒体である同携帯電話機内蔵の前記記録装置に記録して保存し
  (5) 別表2―6記載のとおり、同年1月20日午後10時19分頃から同日午後10時21分頃までの間及び同年2月19日午後11時55分頃から同日午後11時56分頃までの間の前後2回にわたり、Gに対し、他人がGの性器等を触る姿態及びその性器等を露出させる姿態をとらせ、これを携帯電話機付属のカメラで撮影し、その動画データ合計4点を電磁的記録媒体である同携帯電話機内蔵の前記記録装置に記録して保存し

  さらに、同月4日頃、神奈川県内又はその周辺において、前記第2の4(1)ないし(4)のデータ合計14点を同携帯電話機内蔵の記録装置から同携帯電話機に装着した電磁的記録媒体であるマイクロSDカードに記録して保存し、もって第2の1について衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造し、第2の2ないし4について他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造し
たものである。
(法令の適用)
 被告人の判示第1の1ないし4の各所為(第1の2及び3(1)ないし(5)は別表の番号ごと)は、いずれも平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段に、判示第2の1の所為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号に、判示第2の2ないし4の各所為(第2の2、3(1)ないし(5)及び4(1)ないし(4)は別表の番号ごと)は、いずれも同法7条4項、2項、2条3項2号、3号にそれぞれ該当するが、判示第2の各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し、前記の前科があるので刑法56条1項、57条により判示第1及び第2の各罪の刑についてそれぞれ再犯の加重をし、以上は同法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により刑及び犯情の最も重い判示第1の3(2)別表1―3番号4の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役15年に処し、同法21条を適用して未決勾留日数中240日をその刑に算入し、訴訟費用は、刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
 なお、弁護人は、各強制わいせつ罪と各児童ポルノ製造罪とは観念的競合であると主張するが、直接的なわいせつ行為とこれを撮影する行為とは、本質部分において共通性を欠き、社会的意味合いを異にする別個の意思の発現行為であるから、両罪は観念的競合の関係ではなく、併合罪の関係にある。
(求刑 懲役18年、弁護人の科刑意見 懲役10年)
第1刑事部
 (裁判長裁判官 深沢茂之 裁判官 伊東智和 裁判官 澁江美香)
別表(省略)

強制性交罪(既遂)につき、酌量減軽した上で懲役3年執行猶予5年とした事例(東京地裁h29.11.15)

 法定刑は上がりましたが、量刑は変わっていないようです。酌量減軽が多用されることになりそうです。
 示談して「告訴を取り下げる」などと述べてもらえば、重視されるようです。

東京地方裁判所平成29年11月15日
主文
被告人を懲役3年に処する。
この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、●●●(当時26歳。以下「被害者」という。)に強制性交をしようと考え、平成29年7月16日午前5時頃から同日午前6時15分頃までの間、東京都(以下略)当時の被告人方において、被害者に対し、その左手首を右手でつかんでベッドの上に引き倒し、同人の両肩を両手で押さえつけながら同人の唇に無理矢理接吻した上、同人の両足を両手で押さえつけるなどの暴行を加え、その反抗を抑圧して同人と性交したものである。
(証拠の標目)
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法177条前段に該当するところ、なお犯情を考慮し、同法66条、71条、68条3号を適用して酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し、情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予することとする。
(量刑の理由)
 被告人は、飲食店で同僚らと飲酒していた際、被害者らに声をかけて共に飲食することとなり、うまくいけばセックスできるかもしれないなどと考えて、酔った被告人を介抱するつもりの被害者に自宅内まで付き添わせ、本件犯行に及んでいる。被告人は、被害者が被告人方から帰ろうとするや、手をつかんでベッドの上に引き倒し、被害者が何度もやめて欲しいと述べて、終始抵抗していたにもかかわらず、これを意に介さず、判示のとおりの暴行を加えて、性交に及んでいる。その犯意は強固であり、被害者の人格を無視した欲望の赴くままの自己中心的な犯行であって、卑劣というほかない。被告人に対しては強い非難が妥当し、その刑事責任は重い。
 もっとも、本件では、被告人は、両親の協力の下、被害者に対して400万円を支払って示談し、被害者が宥恕の意思を示し、被害届、告訴も取り下げる意向を示している。この点は、本件の量刑を決めるに当たって一定の重みを持つ事情である。加えて、本件の暴行は同種事案の中ではそれほど強度のものとは認められないこと、さらに、被告人に前科前歴がなく、被告人の母が出廷し、今後、被告人と同居して監督していく旨述べていることなど被告人にとって酌むべき事情も認められ、これらを併せ考慮すると、被告人に対しては、酌量減軽をした上で、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(求刑 懲役4年)
刑事第15部
 (裁判長裁判官 鈴木巧 裁判官 梶山太郎 裁判官 宇野由隆)

13歳未満の者に裸画像を送らせる行為の擬律

 一昨年くらいまでは、弁護人奥村徹が強制わいせつ罪説を主張して、検察官が「わいせつ行為には当たらない」と反論してましたが、最近の裁判例の流れとしては、強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪ですよね。
 逮捕容疑は製造罪だけ(被疑者国選非適用)で、起訴するときに強制わいせつ罪(176条後段)が追加されるおそれもありますから、弁護人は警戒して下さい。

送らせる行為を強制わいせつ罪とした裁判例
東京地裁H18.3.24
大分地裁h23.5.11
高松地裁H28.6.2
岡山地裁h29.7.25
松山地裁西条支部H29.1.16
高松地裁丸亀支部h29.5.2
札幌地裁H29.8.15(強制わいせつ罪176条後段)

岡山地裁平成29年 7月25日 
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官武用訓充出席の上審理し,次のとおり判決する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 A関係
 1(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったA(当時歳。以下「A」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年9月13日頃から同月21日頃までの間に,大阪市〈以下省略〉被告人方において,Aに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5)からAが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,Aが「C」を名乗る被告人を怒らせた旨及び「あなたが天誅リストに載っています。」「学校や家にあることないこと言われる。」「実際に学校にも来られる。」「その結果,学校に行けなくなる。」等のメッセージを送信し,さらに「C」を名乗り,「今頃きてなにいってんねんな」「天罰な」「後悔すればいいわ」「おまえがエッチ以外は何でもするって言ったんやろ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンに送信するよう要求し,同年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,●●●内のA方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,A方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を使用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,

 (法令の適用)
 罰条 第1の1,3,5,第2の1,第3の1,第4の1,第6の1の各所為
 いずれも刑法176条前段(第1の3,5を除き,包括して)
 第1の2,第2の2,第3の2,第4の2,第5の2,第6の2,第7の2,第8の2,第9の各所為
 いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という)7条4項,2項,2条3項3号(第9を除き,包括して)
 第1の4,6の各所為
 いずれも児童ポルノ処罰法7条4項,2項,2条3項1号(第1の4は包括して)
 第5の1,第7の1,第8の1の各所為
 いずれも包括して刑法176条
 第10の各所為
 別表番号ごとに,いずれも児童ポルノ処罰法7条6項後段,前段,2条3項3号
 第11の所為
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織犯罪処罰法」という)10条1項前段
 刑種の選択 第1ないし第9につき,いずれも懲役刑
 第10,第11につき,いずれも懲役刑及び罰金刑
 併合罪の処理 刑法45条前段
 懲役刑につき,刑法47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第1の5の罪の刑に加重)
 罰金刑につき,刑法48条1項,2項
 未決勾留日数の算入 刑法21条(懲役刑に算入)
 労役場留置 刑法18条
 没収 刑法19条1項2号,2項本文(平成29年岡地領第188号符号3,5は第1の1の,符号10は第2の1の,符号11,12は第3の1の,符号18は第1の4の,いずれも犯行供用物件)
 追徴 組織犯罪処罰法16条1項本文(第11の罪に係る同法13条1項5号の犯罪収益等に該当するが,既に費消して没収できない)
 訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項ただし書


 (強制わいせつ罪の成否と児童ポルノ製造罪との罪数関係)
第1 弁護人の主張
 弁護人及び被告人は,①被害女児が自らの陰部等を撮影して被告人に送信してきた,いわゆる自撮り行為(第1の1,第2の1,第3の1,第4の1,第5の1,第6の1,第7の1(1),第8の1(1))は,わいせつ行為には当たらず,強制わいせつ罪は成立しない,②仮に強制わいせつ罪が成立するとしても,その他の強制わいせつ罪(第1の3,5,第7の1(2),第8の1(2))も含め,各児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり,一罪であると主張する。
第2 強制わいせつ罪の成否
 1 関係証拠によると,被告人は,インターネット上で知り合った11歳ないし14歳の被害女児に,第三者を装って天誅リストに載っているから被告人に謝った方がいいなどと言うとともに,謝ってきた被害女児にごめんなさいで許すわけがない,胸と顔を出した写メを送れなどと言って脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,被害女児の自宅において,衣服を脱いで乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,被害女児のスマートフォン等付属のカメラでその姿態を撮影させ,その画像データや動画データを被告人が使用するスマートフォンに送信させるなどしたことが認められる。
 2 一般に,被害者を裸にして写真を撮影する行為は,被害者に直接触れていなくとも,わいせつ行為に当たると解されているところ,本件において,被害女児らは,被告人の要求に従い,衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりする姿態をとり,それをスマートフォン等で自ら撮影して被告人に送信しているのであって,被害女児は被告人と全く面識がないこと,被害女児が撮影して送信した写真や動画は容易に複製や頒布が可能な拡散可能性の高いデータであったことなども考慮すると,被害女児らの性的羞恥心は著しく害されているといえ,被害女児らの性的な自由の侵害という点からみて,撮影者が被告人であるか被害者であるかに質的な違いは見出し難い。
 確かに,女性が密室において一人で自らの陰部等を撮影する行為が,直ちにわいせつ行為といえるかには疑問もある。しかし,本件において,被害女児らは,被告人から衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりしている写真等を自ら撮影して被告人に送信するよう要求されて,その要求どおりに撮影しているのであって,被害女児らが自らの陰部等を撮影した行為は,被告人に送信することのみを目的として行われたものである。
 また,本件においてわいせつ行為に当たるか否かが問題となっているのは,被害女児らのいわゆる自撮り行為のみではなく,自撮り行為により撮影した写真や動画を被告人のスマートフォンに送信したことまでを含めた一連の行為であって,その一連の行為は被告人も予定していたものであり,被告人は自撮り行為が行われた状況をリアルタイムで認識していないとはいえ,自撮り行為により撮影された写真や動画を予定どおり自撮り行為後間もなく認識している。
 弁護人は,このような行為がわいせつ行為に当たるとすると,子どもが自発的に撮った写真を率先して送信したのでない限り,ほぼ全ての児童ポルノ製造行為が強制わいせつ行為となると指摘するが,強制わいせつ罪の成立には,被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行脅迫が立証される必要があることなどに照らすと,その指摘は当たらない。
 また,弁護人は,同様の事案において強要罪児童ポルノ製造罪の成立を認めた裁判例(東京高判平成28年2月19日判例タイムズ1432号134頁)の存在を指摘するが,強制わいせつ罪ではなく強要罪として起訴された事案における判断であり,本件とは事案が異なる。
 3 以上によると,本件においては,被害女児らが陰部等を自ら撮影して被告人に送信するなどした行為はわいせつ行為に当たるというべきであり,強制わいせつ罪が成立する。
第3 強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数
 本件において罪数が問題となっている強制わいせつ罪は,被告人が,被害女児を脅迫してその反抗を著しく困難にした上,被害女児に自らの陰部等を撮影させて被告人に送信させたり,被害女児に被告人の陰茎を口淫させたり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させて動画配信させたりしたというものである。他方,児童ポルノ製造罪は,被告人が,被害女児に陰部等を撮影させた写真を送信させてそれをa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させたり,被害女児が被告人の陰茎を口淫するなどの姿態を動画で撮影して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させた動画配信を録画機能を利用して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したりしたというものである。
 これらに照らすと,本件のような場合,強制わいせつ罪の行為と児童ポルノ製造の行為とは,一部重なり合う部分があり,特に,被害女児に陰部等を自ら撮影の上送信させて児童ポルノを製造した場合には,相当部分が重なり合うともいえる。しかし,本件強制わいせつ行為の中核部分は,脅迫により反抗が著しく困難な状態となった被害女児に,陰部等を撮影させて送信させたり,口淫させたり,陰部等を露出させて動画配信させたりしたわいせつ行為にある一方,本件児童ポルノ製造行為の中核部分は,それらをコンピュータに保存・蔵置した製造行為にあるのであって,前記の両行為が,通常伴う関係にあるとはいえず,また,行為に同時性があるとしても,社会的事実として強い一体性・同質性までは認められない。
 そうすると,本件において,強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,社会的見解上別個のものといえるから,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあるというべきである。
 (国選弁護人溝渕順子 求刑懲役7年及び罰金100万円,主文同旨の没収・追徴)
 岡山地方裁判所第1刑事部
 (裁判官 後藤有己)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180222-00097200-rccv-l34
広島市の小学校教諭 児童ポルノ禁止法違反で逮捕
2/22(木) 19:32配信  中国放送
出会い系アプリで知り合った小学生の女の子に
わいせつな画像を撮影させて送らせたとして、
広島市の小学校教諭の男が警察に逮捕されました。
児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されたのは
広島市立緑井小学校の教諭容疑者です。
警察によりますと容疑者は
去年10月、千葉県内に住む小学生の女の子に
わいせつな画像を撮らせ、
その画像をLINEで携帯電話に送らせた疑いがもたれています。
容疑者は、
出会い系アプリを通じて女の子と知り合ったということで、
女の子の保護者が2人のやり取りに気づき、
警察に相談したことから事件が発覚しました。
記者)
「校長によりますと、容疑者の勤務状態はまじめで、
 きのうまでは普通に勤務していたということです」
秋山 哲校長)
「事件のことを聞いて非常に驚いている。
 保護者や子どもたちに
 不安な思いや心配かけて申し訳なく思っている」
校長によりますと容疑者は、
遅刻や欠勤をすることはなく、
担任を務めていた5年生のクラスの運営も
きちんと行っていたということです。
秋山 哲校長)
「あたり子どもたちが安心して学校に通ってこれるよう、
 これから職員と力を合わせ、
 関係機関と協力して頑張っていきたい」
取り調べに対し容疑者は、
「性的欲求を満たすためだった」と供述し、
容疑を認めているということで、
警察は余罪の可能性も視野に捜査を進める方針です。
RCC BROADCASTING CO.,LTD.
・・・
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180222-00000054-asahi-soci
LINEで女児に裸の画像送らせた疑い 小学教諭を逮捕
2/22(木) 14:50配信
 小学生の女児に上半身裸の写真を撮らせ、スマートフォンで送信させたとして、千葉県警は22日、広島市立小学校の教諭の男(34)=同市安佐北区=を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、男は昨年10月中旬、18歳未満と知りながら、千葉県内の小学生の女児に上半身が裸の静止画を撮影させ、自分のスマホに送信させて保存した疑いがある。送受信には無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使っていたという。通信履歴を見た少女の母親が県警に相談し、事件が発覚した。
 県警は、2人がネット上の「交流アプリ」で知り合った可能性が高いとみている。
朝日新聞社

13歳未満の者に裸画像を送らせる行為の擬律

 一昨年くらいまでは、弁護人奥村徹が強制わいせつ罪説を主張して、検察官が「わいせつ行為には当たらない」と反論してましたが、最近の裁判例の流れとしては、強制わいせつ罪(176条後段)と製造罪ですよね。
 逮捕容疑は製造罪だけ(被疑者国選非適用)で、起訴するときに強制わいせつ罪(176条後段)が追加されるおそれもありますから、弁護人は警戒して下さい。

送らせる行為を強制わいせつ罪とした裁判例
東京地裁H18.3.24
大分地裁h23.5.11
高松地裁H28.6.2
岡山地裁h29.7.25
松山地裁西条支部H29.1.16
高松地裁丸亀支部h29.5.2
札幌地裁H29.8.15(強制わいせつ罪176条後段)

岡山地裁平成29年 7月25日 
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
 上記の者に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件について,当裁判所は,検察官武用訓充出席の上審理し,次のとおり判決する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 A関係
 1(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第1)
 スマートフォンのゲームアプリを通じて知り合ったA(当時歳。以下「A」という)に強いてわいせつな行為をしようと考え,平成26年9月13日頃から同月21日頃までの間に,大阪市〈以下省略〉被告人方において,Aに対し,被告人が使用するスマートフォン(平成29年岡地領第188号符号3,5)からAが使用するスマートフォンにアプリケーションソフト「LINE」を通じて,「B」を名乗る第三者を装い,Aが「C」を名乗る被告人を怒らせた旨及び「あなたが天誅リストに載っています。」「学校や家にあることないこと言われる。」「実際に学校にも来られる。」「その結果,学校に行けなくなる。」等のメッセージを送信し,さらに「C」を名乗り,「今頃きてなにいってんねんな」「天罰な」「後悔すればいいわ」「おまえがエッチ以外は何でもするって言ったんやろ」等のメッセージを送信して脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,その乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,スマートフォンに送信するよう要求し,同年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,●●●内のA方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を利用して送信させ,もって,強いてわいせつな行為をし,
 2(平成28年9月9日付け追起訴状記載の公訴事実第2(平成29年5月29日付け訴因及び罰条変更請求書による変更後のもの))
 Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成26年9月21日頃から同年10月17日頃までの間に,20回にわたり,A方において,Aに,衣服を脱いでその乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,Aが使用するスマートフォン付属のカメラでその姿態を撮影させ,別表1記載のとおり,同年9月21日から同年10月17日までの間に,16回にわたり,その画像データ合計20点をAが使用するスマートフォンから被告人が使用するスマートフォンに「LINE」を使用して送信させ,日本国内に設置されたa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させ,もって,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを,視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写することにより,児童ポルノを製造し,

 (法令の適用)
 罰条 第1の1,3,5,第2の1,第3の1,第4の1,第6の1の各所為
 いずれも刑法176条前段(第1の3,5を除き,包括して)
 第1の2,第2の2,第3の2,第4の2,第5の2,第6の2,第7の2,第8の2,第9の各所為
 いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という)7条4項,2項,2条3項3号(第9を除き,包括して)
 第1の4,6の各所為
 いずれも児童ポルノ処罰法7条4項,2項,2条3項1号(第1の4は包括して)
 第5の1,第7の1,第8の1の各所為
 いずれも包括して刑法176条
 第10の各所為
 別表番号ごとに,いずれも児童ポルノ処罰法7条6項後段,前段,2条3項3号
 第11の所為
 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織犯罪処罰法」という)10条1項前段
 刑種の選択 第1ないし第9につき,いずれも懲役刑
 第10,第11につき,いずれも懲役刑及び罰金刑
 併合罪の処理 刑法45条前段
 懲役刑につき,刑法47条本文,10条(刑及び犯情の最も重い第1の5の罪の刑に加重)
 罰金刑につき,刑法48条1項,2項
 未決勾留日数の算入 刑法21条(懲役刑に算入)
 労役場留置 刑法18条
 没収 刑法19条1項2号,2項本文(平成29年岡地領第188号符号3,5は第1の1の,符号10は第2の1の,符号11,12は第3の1の,符号18は第1の4の,いずれも犯行供用物件)
 追徴 組織犯罪処罰法16条1項本文(第11の罪に係る同法13条1項5号の犯罪収益等に該当するが,既に費消して没収できない)
 訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項ただし書


 (強制わいせつ罪の成否と児童ポルノ製造罪との罪数関係)
第1 弁護人の主張
 弁護人及び被告人は,①被害女児が自らの陰部等を撮影して被告人に送信してきた,いわゆる自撮り行為(第1の1,第2の1,第3の1,第4の1,第5の1,第6の1,第7の1(1),第8の1(1))は,わいせつ行為には当たらず,強制わいせつ罪は成立しない,②仮に強制わいせつ罪が成立するとしても,その他の強制わいせつ罪(第1の3,5,第7の1(2),第8の1(2))も含め,各児童ポルノ製造罪とは観念的競合の関係にあり,一罪であると主張する。
第2 強制わいせつ罪の成否
 1 関係証拠によると,被告人は,インターネット上で知り合った11歳ないし14歳の被害女児に,第三者を装って天誅リストに載っているから被告人に謝った方がいいなどと言うとともに,謝ってきた被害女児にごめんなさいで許すわけがない,胸と顔を出した写メを送れなどと言って脅迫し,その反抗を著しく困難にした上,乳房,陰部等を露出した姿態及びその陰部を指で開いた姿態をとり,被告人のスマートフォンに送信するよう要求し,被害女児の自宅において,衣服を脱いで乳房,陰部等を露出した姿態及び全裸で陰部を指で開くなどした姿態をとらせ,被害女児のスマートフォン等付属のカメラでその姿態を撮影させ,その画像データや動画データを被告人が使用するスマートフォンに送信させるなどしたことが認められる。
 2 一般に,被害者を裸にして写真を撮影する行為は,被害者に直接触れていなくとも,わいせつ行為に当たると解されているところ,本件において,被害女児らは,被告人の要求に従い,衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりする姿態をとり,それをスマートフォン等で自ら撮影して被告人に送信しているのであって,被害女児は被告人と全く面識がないこと,被害女児が撮影して送信した写真や動画は容易に複製や頒布が可能な拡散可能性の高いデータであったことなども考慮すると,被害女児らの性的羞恥心は著しく害されているといえ,被害女児らの性的な自由の侵害という点からみて,撮影者が被告人であるか被害者であるかに質的な違いは見出し難い。
 確かに,女性が密室において一人で自らの陰部等を撮影する行為が,直ちにわいせつ行為といえるかには疑問もある。しかし,本件において,被害女児らは,被告人から衣服を脱いで乳房や陰部等を露出したり陰部を指で開いたりしている写真等を自ら撮影して被告人に送信するよう要求されて,その要求どおりに撮影しているのであって,被害女児らが自らの陰部等を撮影した行為は,被告人に送信することのみを目的として行われたものである。
 また,本件においてわいせつ行為に当たるか否かが問題となっているのは,被害女児らのいわゆる自撮り行為のみではなく,自撮り行為により撮影した写真や動画を被告人のスマートフォンに送信したことまでを含めた一連の行為であって,その一連の行為は被告人も予定していたものであり,被告人は自撮り行為が行われた状況をリアルタイムで認識していないとはいえ,自撮り行為により撮影された写真や動画を予定どおり自撮り行為後間もなく認識している。
 弁護人は,このような行為がわいせつ行為に当たるとすると,子どもが自発的に撮った写真を率先して送信したのでない限り,ほぼ全ての児童ポルノ製造行為が強制わいせつ行為となると指摘するが,強制わいせつ罪の成立には,被害者の反抗を著しく困難にする程度の暴行脅迫が立証される必要があることなどに照らすと,その指摘は当たらない。
 また,弁護人は,同様の事案において強要罪児童ポルノ製造罪の成立を認めた裁判例(東京高判平成28年2月19日判例タイムズ1432号134頁)の存在を指摘するが,強制わいせつ罪ではなく強要罪として起訴された事案における判断であり,本件とは事案が異なる。
 3 以上によると,本件においては,被害女児らが陰部等を自ら撮影して被告人に送信するなどした行為はわいせつ行為に当たるというべきであり,強制わいせつ罪が成立する。
第3 強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数
 本件において罪数が問題となっている強制わいせつ罪は,被告人が,被害女児を脅迫してその反抗を著しく困難にした上,被害女児に自らの陰部等を撮影させて被告人に送信させたり,被害女児に被告人の陰茎を口淫させたり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させて動画配信させたりしたというものである。他方,児童ポルノ製造罪は,被告人が,被害女児に陰部等を撮影させた写真を送信させてそれをa株式会社が管理するサーバコンピュータに記録・保存させたり,被害女児が被告人の陰茎を口淫するなどの姿態を動画で撮影して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したり,ビデオ通話機能で接続した状態で被害女児に陰部等を露出させた動画配信を録画機能を利用して被告人のパーソナルコンピュータに記録・蔵置したりしたというものである。
 これらに照らすと,本件のような場合,強制わいせつ罪の行為と児童ポルノ製造の行為とは,一部重なり合う部分があり,特に,被害女児に陰部等を自ら撮影の上送信させて児童ポルノを製造した場合には,相当部分が重なり合うともいえる。しかし,本件強制わいせつ行為の中核部分は,脅迫により反抗が著しく困難な状態となった被害女児に,陰部等を撮影させて送信させたり,口淫させたり,陰部等を露出させて動画配信させたりしたわいせつ行為にある一方,本件児童ポルノ製造行為の中核部分は,それらをコンピュータに保存・蔵置した製造行為にあるのであって,前記の両行為が,通常伴う関係にあるとはいえず,また,行為に同時性があるとしても,社会的事実として強い一体性・同質性までは認められない。
 そうすると,本件において,強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは,社会的見解上別個のものといえるから,観念的競合の関係にはなく,併合罪の関係にあるというべきである。
 (国選弁護人溝渕順子 求刑懲役7年及び罰金100万円,主文同旨の没収・追徴)
 岡山地方裁判所第1刑事部
 (裁判官 後藤有己)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180222-00097200-rccv-l34
広島市の小学校教諭 児童ポルノ禁止法違反で逮捕
2/22(木) 19:32配信  中国放送
出会い系アプリで知り合った小学生の女の子に
わいせつな画像を撮影させて送らせたとして、
広島市の小学校教諭の男が警察に逮捕されました。
児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されたのは
広島市立緑井小学校の教諭容疑者です。
警察によりますと容疑者は
去年10月、千葉県内に住む小学生の女の子に
わいせつな画像を撮らせ、
その画像をLINEで携帯電話に送らせた疑いがもたれています。
容疑者は、
出会い系アプリを通じて女の子と知り合ったということで、
女の子の保護者が2人のやり取りに気づき、
警察に相談したことから事件が発覚しました。
記者)
「校長によりますと、容疑者の勤務状態はまじめで、
 きのうまでは普通に勤務していたということです」
秋山 哲校長)
「事件のことを聞いて非常に驚いている。
 保護者や子どもたちに
 不安な思いや心配かけて申し訳なく思っている」
校長によりますと容疑者は、
遅刻や欠勤をすることはなく、
担任を務めていた5年生のクラスの運営も
きちんと行っていたということです。
秋山 哲校長)
「あたり子どもたちが安心して学校に通ってこれるよう、
 これから職員と力を合わせ、
 関係機関と協力して頑張っていきたい」
取り調べに対し容疑者は、
「性的欲求を満たすためだった」と供述し、
容疑を認めているということで、
警察は余罪の可能性も視野に捜査を進める方針です。
RCC BROADCASTING CO.,LTD.
・・・
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180222-00000054-asahi-soci
LINEで女児に裸の画像送らせた疑い 小学教諭を逮捕
2/22(木) 14:50配信
 小学生の女児に上半身裸の写真を撮らせ、スマートフォンで送信させたとして、千葉県警は22日、広島市立小学校の教諭の男(34)=同市安佐北区=を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、男は昨年10月中旬、18歳未満と知りながら、千葉県内の小学生の女児に上半身が裸の静止画を撮影させ、自分のスマホに送信させて保存した疑いがある。送受信には無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使っていたという。通信履歴を見た少女の母親が県警に相談し、事件が発覚した。
 県警は、2人がネット上の「交流アプリ」で知り合った可能性が高いとみている。
朝日新聞社

児童淫行罪と監護者性交罪・監護者わいせつ罪との関係~深町晋也「家族と刑法 家庭は犯罪の温床か?第4回 児童が家庭の中で性的虐待に遭うとき(その2)」書斎の窓 第654号

 先月 このテーマで原稿書きましたが、強姦罪・強制わいせつ罪=性的自由に対する罪という単純な理解では、監護者○○罪が説明できないので、学説紹介してごまかしておきました。
 深町先生は176後段、177後段も福祉犯だという理解のようです。

深町晋也「家族と刑法 家庭は犯罪の温床か?第4回 児童が家庭の中で性的虐待に遭うとき(その2)」書斎の窓 第654号
こうした立法例と比較すると直ちに思い浮かぶ疑問は、監護者性交等・わいせつ罪の行為主体が親子関係又はそれと同視しうる関係を有する者に限定されたとして、なぜ強制性交等・わいせつ罪と同等の不法性あるいは悪質性が肯定されるのか、である。というのは、従来の地位利用型の性犯罪やドイツ語圏各国などの立法例においても、親子関係又はそれと同視しうる関係に基づく性的行為という、最も悪質性の高い事例について想定をした上でその法定刑(特にその上限)が設定されているからである。親子関係又はそれと同視しうる関係に限定したというだけでは、強制性交等・わいせつ罪と同等の不法性を有する性犯罪としての類型化が十分になされていると言えるのかはなお疑問である(16)。
監護者性交等・わいせつ罪の重罰化根拠
それでは、親子関係又はそれと同視しうる関係に限定することにより、いかなる意味で本罪が強制性交等・わいせつ罪と同等の不法性・悪質性を有するのか、その実質的な
根拠が問題となる。こうした根拠づけを巡っては、大きく分けて、
①当該関係が、被害児童の意思自由又は性的自由(性的自己決定)を類型的に害することを理由とするアプローチと、
②当該関係を有する者に課せられた特別な保護責任を理由とするアプローチがある(17)。
①のアプローチは、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会において、法務省の担当者によって言及されていたものであり、その後の立法解説でより明示的に述べられている。すなわち、「現に監護する者であることによる影響力」とは、「被監護者が性的行為等に関する意思決定を行う前提となる人格、倫理観、価値観等の形成過程を含め、一般的かつ継続的に被監護者の意思決定に作用を及ぼし得る力」が含まれるとして、被害児童の意思決定に対する作用(の可能性)が問題とされている。
しかし、こうしたアプローチが、あくまでも被害児童の個々の性的自己決定(個々の性的行為に関する意思決定)に対する影響・作用を問題とする以上、こうした影響・作用につき、.般的・継続的」な力が必要とされる理由は存在しないように思われる。強制性交等・わいせつ罪がまさに、暴行・脅迫という「当該」性的自己決定を歪める力を問題にしていることとパラレルに考えれば、雇用関係や教育関係においても、ある一定の局面においては、被害児童の「当該」性的自己決定に与える影響が極めて強い場合は容易に想定しうる。したがって、このような個々の性的自己決定に焦点を合わせるだけでは、本罪の主体を親子関係又はそれと同視しうる関係を有する者に限定する理
由は必ずしも存在しない。それにもかかわらず、このアプローチが敢えて「一般的・継続的」な力を問題とし、被害児童の「人格、倫理観、価値観等の形成過程」までも視野に入れて、その影響力を論じるのは、単に被害児童の当該性的自己決定を超えた観点、すなわち、当該児童の健全な性的発達それ自体をも考慮しているからに他ならない
ように思われる。
こうした観点を直裁に考慮することが可能なのが、②のアプローチである。そもそも、こうしたアプローチの萌芽は既に、法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会においても
示されていた(翠)ところであるが、②のアプローチによれば、監護者とは、被害児童の個々の性的自己決定が自由になされるように保護すべき立場にあるのみならず、むしろ、被害児童の健全な性的発達が阻害されないように一般的・継続的に保護すべき立場にある者と言える。こうした理解は、本罪の保護法益との関係でも十分に説得的なものであるように思われる。ここで読者の皆さんに想起してほしいのは、既に前号で論じたように、刑法一七六条後段・一七七条後段の保護法荒は、(絶対的保護年齢に属する)一三歳未満の児童の性的自己決定の自由のみならず、児童の性的な健全育成をも併せて保護する規定と解されるということである。そして、本罪もまた、一般的に見てなお精神的に未熟である。一八歳未満の児童を保護する規定であることに鑑みれば、単に児童の性的自己決定の自曲のみならず、その性的な健全育成を保護する規定と解するべきであろう。このような保護法益の理解からすれば、児童の性的な健全育成という本罪の法益を特に保護すべき責任を負っているのが、本罪における監護者であることになる。
以上の理解からすると、前回検討した児童福祉法上の児童淫行罪と本罪とは、実は連続的な関係にある。前号においては、児童福祉法上の児童淫行罪の主体は、親や学校の教師など、被害児童の心身の健全な発達に重要な役割を果たす地位を有する者である旨を論じた。学校の教師のように、児童の心身の健全な発達に対して包括的・継続的に保護を委ねられていない者であってもなお、その役割の重要さに鑑みれば、一定の保護的な立場にあると解することができ、したがって、児童淫行罪の行為主体たりうる。
これに対して、そうした重要な役割を果たす者の中でも、特に被害児童の健全な性的発達に対して包括的かつ継続的に保護を行うべき地位を有する者こそが、本罪における監護者である。したがって、本罪は、児童淫行罪と比べて更に加重された保護責任を有する者としての監護者のみを行為主体とする犯罪と考えることができる。
以上の見解からすると、監護者性交等罪は、児童淫行罪よりも更に保護責任が加重されているからこそ、児童淫行罪よりも法定刑が重く規定されていることになる。また、
監護者わいせつ罪は、児童淫行罪における「淫行」に包摂されないようなわいせつ行為についても、監護者という重大な保護責任が課される者によるものとして、強制わいせつ罪と同様に処罰するものとした規定と言える。

児童ポルノ写真集の販売事案

 店は提供目的所持(7条7項)とか提供罪(6項)の疑い。
 「7~9歳」という点で、被害児童は特定できてないので、タナー判定の信用性を争えば、低年齢だけに限定されると思います。
 帳簿に基づき、仕入れ先は提供罪(2項)、購入者は単純所持罪(1項)が疑われるでしょう。


http://www.sanspo.com/geino/news/20180221/tro18022105020001-n1.html
29万円もする本も…神田古書店児童ポルノ誌、1000円程度で買い取り店頭へ
特集:わいせつ事件簿
湘南堂書店から段ボールを運び出す警視庁の捜査員。店頭には貴重そうな古書が並ぶが…
 少年育成課によると、20日までに店から計約220冊の児童ポルノの写真誌を押収。客から1冊1000円程度で買い取った古書で、4歳くらいの女児が写ったものもあり、7000~29万円の値段が付けられていた。
 容疑者は1971年から店を経営。当初は日本史の古書などを扱っていた。「店の収入が少なく、売り上げのために10年くらい前から売っていた」などと容疑を認めている。昨年1年間で児童ポルノの写真誌約80冊を販売、約300万円を売り上げたとみられる。今年1月に情報提供があり、捜査していた。
 逮捕容疑は2月12日、東京都千代田区神田神保町1丁目の書店で、不特定多数に販売する目的で、7~9歳くらいの女児が写った児童ポルノの写真誌1冊を所持した疑い。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
6児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
7前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
8第六項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。

家出願望がある14歳を誘い出して拐取し性交するように要求し、性交に応じさせたことにつき、児童淫行罪の成立が認めた事例(津地裁h29.3.22)

未成年者誘拐,児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,児童福祉法違反,道路交通法違反被告事件
津地方裁判所判決平成29年3月22日

【判示事項】
       理   由

(犯罪事実)
第1 被告人は,携帯電話機等のアプリケーションソフト「△△△」を介して知り合った別紙1記載の被害者A(当時14歳。以下,単に「A」という)が未成年者であることを知りながら,同人に家出願望があることを利用して同人を誘拐しようと考え,平成27年11月15日から同月18日までの間,自己の携帯電話機等の上記「△△△」を使用して,高知県内などから,三重県内にいた同人に対し,「俺の家来れば良いのに」「迎えに行くよ」「家出すると,ケータイも使えなくなるけど大丈夫?」「全部捨てて,俺の所来る?」「明日1日我慢して,明後日の朝家出しようか」「今晩出て朝着く様に迎えに行くで」などとメッセージを送信し,家出をして自己の下に来るように誘惑し,同人にその旨決意させ,平成27年11月18日午前7時31分頃,三重県□□□□□□□□□□□□□□□□□先路上において,同人と合流して,同人を被告人運転の自動車に乗車させ,親権者である別紙1記載のAの母親に無断でAを同所から連れ去り,その頃から同年12月22日までの間,同人を高知市(以下略)所在の被告人方で生活させるなどして同人を自己の支配下に置き,もって未成年者を誘拐した。
第2 被告人は,第1記載のとおり,Aを誘拐し,同人を被告人方で生活させるなどして自己の支配下に置いていたものであるが,その支配関係を利用して,Aに対し,被告人と性交するよう要求し,Aが18歳に満たない児童であることを知りながら,平成27年12月22日午前1時頃,被告人方において,Aに自己を相手に性交させ,もって児童に淫行をさせる行為をした。
第3 被告人は,平成27年11月21日,滋賀県□□□□□□□□□□□□□□□□ホテル□□□□□□□□□号室において,別紙1記載の被害者B(当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,同人に対し,現金1万5000円の対償を供与して同人と性交し,もって児童買春をした。
第4 被告人は,公安委員会の運転免許を受けないで(免許の効力停止中),平成27年6月17日午前8時48分頃,高知市北本町4丁目1番23号付近道路において,普通乗用自動車(軽四)を運転した。
(証拠の標目)
(なお,Aの検察官調書の相反部分(甲10,20)は,公判廷においてAが「覚えていない」ないし「言いたくない」等と実質的に異なった供述をした部分につき刑事訴訟法321条1項2号に該当するものとして証拠能力を認め採用した。Aの年齢,被害内容や時の経過等の事情に照らせば,ビデオリンクと遮蔽(被告人との間,傍聴人との間)を併用した方式による措置等を講じて証人尋問を実施したことを踏まえても,被告人が在廷する公開の法廷に証言の音声がそのまま伝わる状況下で詳細に供述するのは心理的にみて相当に困難であるといえることなどからして前記部分にかかる公判供述の信用性を著しく低下させる事情があるというべきであるから,公判廷における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況があると認められる)
(第1の事実についての補足説明)
1 争点は,未成年者誘拐の実行行為性及び故意が認められるか否かである。
2 関係証拠によれば,以下の事実関係が認められる。
 (1) Aは,本件当時,14歳の中学生であり,三重県内において,親権者である母親や兄弟らと共に生活していた。Aは,本件当時,家庭や学校に不満を感じており,いわゆる家出願望を抱いていた(A及びAの母親の公判供述)。
 (2) 被告人は,平成27年11月15日,携帯電話機等に組み込まれ,メッセージ交換機能を備えたアプリケーションソフト「△△△」(以下,「△△△」という)を利用し,Aに対し,「お小遣いあげるんで,会ってみませんか。明日学校休んで遊ぼ」等のメッセージを送信し,同人とやり取りをするようになった。そして,被告人とAは,平成27年11月15日から同月18日にかけて,△△△を利用して繰り返しやり取りをした。そのやり取りのうち,主要なものは別紙2記載のとおりである(甲3,なお,記号等については一部省略した)。
 (3) 被告人は,平成27年11月18日,犯罪事実第1記載の三重県内の路上でAを自己の運転する自動車に乗車させ,同記載の高知県内の被告人方まで移動した。その際,Aの所持金は1000円に満たない額であった。また,被告人は,Aの母親にAを被告人方へ連れて行き,同所において生活をさせることについて了解を得ていなかった(A,Aの母親,被告人の公判供述)。
 (4) 被告人は,平成27年11月18日から同年12月22日までの間,Aを被告人方で生活させた。被告人は,上記期間中,Aの食費等生活費を負担するほか,小遣いとして最大で5000円程度の金銭を渡すことがあった(被告人の公判供述)。
 (5) Aは,平成27年12月22日,警察官に保護されたが,その際の所持金は520円であった(甲25)。
3 検討
 (1) 被告人は,△△△でのやり取り等を通じ,家庭や学校に不満を抱くAが家出願望を有していることを知ると,別紙2記載のとおり,Aの居住地付近まで迎えに行くことや家出をした後の生活場所として被告人方を提供することを提案したほか,家出の際の持ち物や待ち合わせ場所に関しAに助言するなどしている。
   Aの年齢やそれに伴う社会経験の乏しさに加え,家出の時点での所持金等に照らせば,Aが,単独で親権者に無断で家出を実行し,継続して生活することは相当に困難で,第三者の援助が必要不可欠であったのは明らかであり,また,Aが△△△で被告人に送信したメッセージ(「むりだよお金ない」等)に鑑みれば,A自身そのことを十分に認識していたと認められる。そうすると,今回,Aが家出願望を具体化させ,現実に家出をしようと決断するに当たり,被告人の一連の提案や助言等が大きく影響したものというべきである。Aが被告人とやり取りをする前から家出願望を有していたことを踏まえても,誘拐された者の自由を主な保護法益とし,一般に思慮が浅薄な未成年者を成人より厚く保護しようとする未成年者誘拐罪の罪質にも鑑み,被告人は,家出に必要不可欠な提案や助言等をすることにより,Aの判断の適正を誤らせたものと評価できる。
 (2) これに加え,被告人は,親権者であるAの母に無断で,Aを同人の居住地である三重県から,高知県に所在する被告人方まで移動させ,その後,一定期間にわたって被告人方で生活させたのであるから,未成年者誘拐罪の保護法益に含まれる保護者の監護権を侵害してAを被告人の事実的支配の下に置いたと評価できることは明らかであり,被告人の一連の行為には,未成年者誘拐の実行行為性があると認められる。
   弁護人は,Aがある程度自由に行動することができたこと等を指摘してAが被告人の事実的支配の下にあったとは評価できない旨主張するが,Aの年齢,所持金等に照らせば,Aが土地勘のないとうかがわれる高知県の被告人方から離れて独力で生活するという選択をすることは現実的に困難というほかなく,弁護人の主張は採用できない。
 (3) 上記2の認定事実のほか,被告人がAが未成年であることのみならず,遅くともやり取りの途中でその年齢を把握していたこと(Aが△△△のプロフィールに14歳であることを記載していたこと(甲10[相反部分]),被告人がAに対し△△△で送信した(155という身長が)「年齢的に高いんちゃう?」とのメッセージ(甲3)からすれば,被告人はAの年齢を把握していたと推認することができる),被告人もAの所持金が乏しいことは認識していたこと(被告人の公判供述)が認められ,被告人自身,Aが単独で家出を実行し継続して生活することが困難な状況にあり,自身の提案がAの判断を左右するものであったことを認識していたことが推認できる。また,被告人がAに対して送信したメッセージ(「学校」,「親にバレて,警察くる」)に照らせば,被告人は母親の保護の下で学校に通うなどの生活をしていた未成年者であるAをその保護された生活環境から引き離し,Aを自らの事実的支配下に置くことの認識があったと優に認められる。被告人の未成年者誘拐の故意に欠ける点はない。
   なお,被告人は,Aの家出を手助けしただけであり,自らの行為が誘拐にあたるとは考えていなかった旨弁解するが,被告人独自の評価をいうにすぎず,故意の認定を妨げるものではない。
 (4) したがって,被告人には,犯罪事実第1記載のとおり未成年者誘拐罪が成立する。
(第2の事実についての補足説明)
1 被告人が,Aとの間で,児童福祉法34条1項6号の「淫行」に該当する性交や性交類似行為に及んだことは証拠上優に認められ,特段争いもない。争点は,被告人が,Aに対し,淫行を「させる行為」をしたといえるか否かである。
2 前記(第1の事実についての補足説明)2記載の事実に加え,関係証拠によれば,以下の事実関係が認められる。
 (1) 被告人は,Aが被告人方で生活するに当たり,Aに対し,被告人との性行為に応じることを要求した(甲3,A及び被告人の公判供述)。
 (2) 被告人は,平成27年12月22日午前1時頃,被告人方においてAと性交した(甲20[相反部分])。また,被告人は,平成27年11月18日から同年12月22日までの間,少なくとも10回Aと性交した(甲10[相反部分])。
3 検討
 (1) (第1の事実についての補足説明)3(2)で検討したとおり,Aが被告人方から離れて独力で生活することは現実的には困難であることに加え,Aは当時,他に行く場所のないまま被告人方から自宅へ戻されることを望んではいなかったと考えられることも併せ考慮すると,Aが被告人方での生活を継続するには被告人の要求に応じて同人と性交せざるをえない状況であったというべきである。Aが,被告人と性交するのは嫌であったが,被告人方を追い出されるのでしょうがないと思っていた旨供述する(甲10[相反部分])のも上記状況をA自身の言葉で説明したものと解される。これらの事情によれば,被告人は,家出願望を有するA(当時14歳)に生活場所を提供する旨提案するなどしてAの判断の適正を誤らせ,同人を母親の保護下から引き離して被告人方で生活させることにより事実的支配の下に置き(未成年者誘拐)複数回の性交に応じさせるなどの関係が継続していることを前提に,その関係を利用して,Aに対し性交を要求したのであって,事実上の影響力を及ぼして淫行をなすことを助長ないし促進した,すなわち淫行を「させる行為」をしたものと評価できる。
   なお,弁護人は,被告人とAの性交は取引に基づくものであるから,児童買春であり,被告人がAに対して淫行を「させる行為」をしたとはいえない旨主張する。確かに,Aは被告人方で生活するために被告人との性交に応じていたのではあるが,上記検討したとおり,被告人とAとの間には一定の支配関係があり,Aは被告人の要求に応じざるを得ない状況に置かれていたのであるから,被告人とAとの性交を単に取引に基づくものとみるのは実態を正しく捉えているとはいえず,弁護人の主張は当たらない。
 (2) また,(第1の事実についての補足説明)3(3)のとおり,被告人は,Aの年齢(当時14歳)を把握していたと認められ,平成27年12月22日の性交の時点で,被告人に,Aが18歳未満の児童であることの認識があったというべきである。
 (3) したがって,被告人には,犯罪事実第2記載のとおり児童福祉法違反の罪が成立する。
(第4の事実についての補足説明)
(法令の適用)
 罰条
  第1 刑法224条
  第2 児童福祉法60条1項,34条1項6号
  第3 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条(2条2項)
  第4 道路交通法117条の2の2第1号,64条1項
 刑種の選択
  第2,第3,第4の罪 いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理      刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重(ただし,短期は第1の罪の刑のそれによる))
 未決勾留日数算入    刑法21条
 訴訟費用の不負担    刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 量刑判断の中心となる未成年者誘拐(第1),児童福祉法違反[淫行](第2)の犯行についてみると,被告人は,Aを母親の保護下から引き離し,1か月以上の長期間にわたり被告人方で生活させた上,その状況等を利用して,Aに対し,性行為を含む淫行をさせており,一連の行為は,当時14歳のAに対し,その心身の発達に大きな悪影響を与えかねず,また,保護者であるAの母親の心情を顧みない犯行というべきであり,同人が厳しい処罰を求めるのも理解できる。
 他方,第1について,Aは,被告人とのやり取りを始める前から家出願望を有しており,被告人からの家出にかかる提案等に対し積極的とも受け取れる態度を示していたこと等に鑑みれば,誘拐された者の自由のみならず保護者の監護権をも保護法益に含むとされる未成年者誘拐罪の罪質を踏まえても,犯行の経緯等には相応に酌むべき点がある。もっとも,第2の犯行に関しては,Aとの関係性(被告人宅から追い出されないために被告人の要求に応じざるを得ない関係)を利用して自己の性欲を充足させたに過ぎず,経緯に何ら酌むべき点はない。
 いわゆる児童買春の犯行(第3)についてみると,被告人は,当時13歳のBの未熟さに付け込んで性欲を満たしたものであり,軽くみることはできない。
 道路交通法違反〔無免許運転〕の犯行(第4)は,被告人は,処分の理由や経緯等に納得しがたい部分があったにせよ,運転免許の停止処分を受けていながら,被告人の供述によっても,殊更に自動車を運転しなければならない理由があるとはいえないのに,あえて自動車を運転したのであり,交通法規を軽視する犯行である。
 そのほか,被告人に本件各犯行と同種の前科がないこと,第3の犯行は認め,その余の犯行についても外形的事実は概ね認めていること等被告人のために酌むことができる事情もある。
(求刑 懲役5年)
  平成29年3月27日
    津地方裁判所刑事部
        裁判長裁判官  水野将徳
           裁判官  山川勇人
  裁判官高橋正典は健康上の差支えのため署名押印することができない。
        裁判長裁判官  水野将徳

 別紙1、2は省略

判例秘書の解説

4 コメント
      
 本件では、①未成年者拐取罪、②児童淫行罪、③無免許運転罪の成否が争われているが、それぞれ解説する。
      
(1) 未成年者拐取罪における拐取(略取・誘拐)とは、人をその生活環境から離脱させ、自己又は第三者の実力支配内に移すことをいう。本件で被告人は、Aに対し家出をした後の生活場所として被告人方を提供するなどの提案や家出の際の待ち合わせ場所について助言を行い、家出をそそのかし自己の元に来るように勧めている。当時14歳というAの年齢・社会経験や1000円に満たないという所持金では、家出のためには第三者の援助が必要不可欠である。被告人のこのような提案・助言は、かねてから家出願望のあるAが、親権者の元を離れ家出する決断・実行することの強い動機付けとなるだろう。本判決も、「家出に必要不可欠な提案や助言等をすることにより、Aの判断の適正を誤らせた」として、これら提案・助言がAを従来の生活環境から離脱させる行為を構成することを認めている。
      
 もっとも、本件では、Aが被告人方である程度自由に生活しており、Aが被告人の「実力支配内」にあったかが問題となる。しかし、本罪は、本判決も摘示するように、被拐取者の自由のみならず、監護権をも保護法益とし(同旨の判例として、福岡高判昭31.4.14判例秘書L01120290・高刑特3巻8号409頁)、従来の生活環境から引き離されることにより被拐取者の自由や安全が害されることが本罪の実質的な処罰根拠である(高橋則夫『刑法各論〔第2版〕』104頁〔2014〕など参照)。それゆえ、未成年者である被拐取者の利益・福祉に反して従来の生活環境から引き離されていることが重要であり、被拐取者が行動の自由を全く奪われていることまでは要求されないとすべきであろう(同様の理解として、富山地裁高岡支判平28.12.15判例秘書L07151043)。本判決は、被告人宅で生活させたことについて、当時14歳というAの年齢や、被告人方は従来生活を営んでいた親権者宅から遠く離れたAには土地勘のないとうかがわれる地方にあること、また、Aが小遣いを受け取ることはあったとはいえ5000円を超えない程度と僅少であり、自由にできる金銭も乏しいことから、独力で生活することは困難であるなどとして、本罪の成立を肯定している。このような事情は、Aが独力で生活が困難であることの反面として、被告人に生活を依存しなければならないことを意味するから、被告人はAを実力支配下に置いた評価できるだろう。
      
 さらに、本罪の故意も争われているが、本判決は、被告人がこれらの事情を認識していたと認められることから、故意も存在したとして、本罪の成立を肯定している。
      
(2) 児童淫行罪における「淫行」とは、性交又は性交類似行為をいい(最一小決昭47.11.28判例秘書L02710200・刑集26巻9号617頁参照)、性交がなされた本件では、「淫行」に当たることは当然である。問題となるのは、淫行を「させる行為」に当たるか、である。
      
 児童淫行罪について、かつては児童の性交の相手方となった場合には、本罪の成立を否定する下級審裁判例が見られた(たとえば、福岡家裁小倉支判昭35.3.18判例秘書L01560047・家月12巻7号147頁)が、最三小決平10.11.2判例秘書L05310102・刑集52巻8号505頁は、「『児童に淫行をさせる行為』とは、行為者が児童をして、第三者と淫行させる行為のみならず、行為者が児童をして行為者自身と淫行させる行為をも含む」と判示し、児童を相手方とした淫行にも本罪の成立を肯定した。もっとも、単に児童を相手方として淫行を行うだけでは、本罪は成立しない。最一小決平28.6.21判例秘書L07110035・刑集70巻5号369頁は、高等学校の常勤講師である被告人がその教え子と性交に及んだ事案につき、「単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず、同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童の淫行をなすことを助長し促進する行為をした」として本罪の成立を認めた原判決を是認した。本罪の成立には、児童に対し「事実上の影響力」を及ぼしたことを要求するものと理解できる(同旨の下級審判例として、東京高判平22.8.3判例秘書L06520719・高刑63巻2号1頁)。本判決は、被告人とAとの間には一定の支配関係があり、被告人はこの支配関係を利用して性交するよう要求した旨を摘示し、単に淫行の相手方となったに止まらず、事実上の影響力を及ぼし、Aに淫行をさせたものとであることを明らかにしている。
      
 また、児童淫行罪の成否については、本件は、弁護人が児童買春にあたり児童淫行罪は成立しない旨、主張するが、そもそも児童買春罪と児童淫行罪は、排他的関係にないとするのが判例である(名古屋高裁金沢支判平成14.3.28公刊物未掲載)。本判決も、この主張を排斥している。

公然わいせつ事件につき、立ち小便だったという弁解について、原判決の認定は,被告人が立っていた位置や陰茎を露出した目的について論理則,経験則等に照らし不合理な認定をしたことによるものであり,事実を誤認したものとして原判決を破棄して無罪とした事例(高松高裁h29.11.2)


 見せつけてない事案です。
 公然わいせつ罪のわいせつ行為,すなわち行為者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する行為である





高松高裁平成29年11月 2日 
事件名 公然わいせつ被告事件
 上記の者に対する公然わいせつ被告事件について,平成29年7月11日徳島簡易裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官野口勝久及び弁護人島内保彦(私選)出席の上審理し,次のとおり判決する。
主文
 原判決を破棄する。
 被告人は無罪。
 
 
理由

第1 論旨等
 原判決が認定した罪となるべき事実は,「被告人は,平成28年6月15日午後10時13分頃,徳島市〈以下省略〉の株式会社a・○○営業所西側路上において,同所付近を通行中の女性ら不特定多数の者が認識できる状態で,殊更に自己の陰茎を露出し,もって公然とわいせつな行為をした。」というものである。
 論旨は,被告人はわいせつ行為をしておらず,故意もなかったから,原判決には事実の誤認がある,また,原判決のわいせつ行為の解釈は広汎に過ぎ,法令適用の誤りがある,というのである。
第2 事実誤認の論旨について
 1 以下の事実は,関係証拠によって明らかである。
 すなわち,本件現場は片側3車線の国道の南行き車線に沿って,バス停留所のため車道が張り出した場所であり,車道に沿って幅4mの歩道が設けられている。同歩道には,車道が張り出した部分の中央よりもやや北側(道路沿いにある上記営業所の自動車出入口の北端に沿った地点の近く)の車道側の端に照明灯(以下「本件照明灯」という)が設置されている。本件照明灯の根元部分は,高さ150cm程度,幅と奥行は大人の肩幅前後の箱型で,これと車道との間に短いガードパイプがある。
 被告人は,本件の2分弱前にボックスタイプの軽自動車を運転して現場に至り,車道の張り出した部分に南向きに駐車して外に出た。被告人は,車道上において,同車の歩道側の横で,ズボン(前閉じのもの)とパンツを下げ,陰茎を露出した(以下「本件行為」という)。そこに,目撃者である女性2名が,上記歩道を南から北に向かい自転車で走行してきた。同女らは,被告人が陰茎を出した状態で立っていたのを目撃し,いったん通り過ぎてから,被告人車両のナンバーを確認し,交番に行って通報した。
 2 原判決は,各目撃者及び被告人の捜査段階の供述を根拠として,被告人が陰茎を露出した時間が少なくとも5秒間以上であったこと,各目撃者の正常な性的羞恥心が害されたことを認め,本件行為は公然わいせつ罪のわいせつ行為であると認めた。そして,原判決は,本件照明灯付近で立ち小便をするためにズボンを下ろしたという被告人の原審供述について,以下の点を指摘して,立ち小便の目的であったことを否定し,被告人には本罪の故意があったと認めた。
  ア 本件現場は片側3車線の国道であり,現場の明るさ,時間帯からも,立ち小便をすれば現認されるおそれが高かった。
  イ 被告人は,本件の約5時間後まで小便をしていないと供述しており,当時,尿意があったか疑問であるし,強い尿意ではなかったというのであるから,コンビニエンスストアのトイレや人通りのない場所を探す余裕があった。
  ウ 被告人が本件現場で立ち小便をするほど冷静さを欠いた状態であったとは思われない。
  エ 被告人は,捜査段階において,手で陰茎を包み隠すなどしていなかったと供述しており,陰茎を見られる可能性があることを認識していた。
 3 しかし,原判決の上記認定は是認することができない。
  (1) 目撃者の一人であるAは,本件当夜の実況見分に立ち会って,①初めて犯人を見た地点として,犯人まで約8mの地点(原審甲8号証の実況見分調書添付の現場見取図2の①地点)を,②もう一度犯人を見た地点として,犯人まで約5mの地点(同②地点)を指示した。そして,同人は,検察官調書(原審甲6)において,①地点で見たときは犯人が陰部を出していることには気が付かなかったが,②地点で犯人が陰部を出していることに気が付いたと供述し,犯人が立っていた位置については,電柱(本件照明灯)や柵のある場所ではなく,それよりも先の北側であったと供述している(もう一人の目撃者Bの供述調書には,犯人の位置についての具体的な供述はない)。
 しかし,上記実況見分調書によれば,①地点は前記営業所の自動車出入口の南端に沿った地点付近であり(原審甲8の現場写真2),土地家屋調査士作成の現況平面図(原審弁1)によれば,①地点から8mの距離にある地点は,同出入口の北端付近で,本件照明灯の付近であることが認められる。また,①地点からは,本件照明灯に隠れるため,その北側の歩車道の境界付近の見通しは悪く(原審甲12の写真3),Aが供述するように,被告人が本件照明灯の北側に立っていたとすると,①地点から被告人を目撃することは困難である(被告人が本件照明灯の西側すぐ横に立っていたとすれば,①地点から目撃可能である)。
 一方,被告人は,本件照明灯付近に車を止めようと思ったが,行き過ぎたので1mくらいバックして照明灯付近に停車したと供述している。そして,上記自動車出入口を撮影した防犯カメラ映像(原審甲15)には,Aらの自転車が通過する2分弱前に被告人車両が画面右端に現れて後退し,画面から消える場面が映っている。画面右端はこの自動車出入口の北端を映しており,そこは本件照明灯の近くであるから,防犯カメラの映像は,部分的ながら被告人の供述を裏付けている。
 これらの点に照らせば,被告人が立っていた位置についてのAの供述には疑問が残り,本件照明灯の西側すぐ横に立っていたという被告人の供述を排斥することはできない。
  (2) ところで,被告人が被告人車両の歩道側の横に立っていたことは,各目撃者と被告人が一致して供述するところであり,被告人車両は比較的背が高い。前記のとおり,本件照明灯の根元部分は箱型で,その高さは150cm程度で肩幅前後の幅と奥行きがあり,その陰に人体が隠れる大きさである。そして,被告人の供述によれば,被告人は本件照明灯の方を向いて立ち,Aの供述によっても,南方(Aが来た方向)に45度くらい向いていたというに止まる。
 また,本件の当時は午後10時過ぎという時間帯で,前記防犯カメラの映像上,自動車の通行は多いが,歩道の人や自転車の通行は少なかったと認められる(なお,原審甲13によれば,平成29年3月15日午後10時30分から10分間の通行量は,南向き車線の車両が152台,本件歩道上は自転車3台,歩行者1人)。
 このような現場の状況(通行量を含む)において,被告人が被告人車両と本件照明灯の間に立っていたというのであれば,被告人が供述するところの,人が来ないようだったので立ち小便をしようとしたという行動は,非常識とはいえ,また,照明の下でそのようなことをするのかという疑問は残るものの,必ずしも不合理として否定することはできない。各目撃者も,被告人のいた所を通り過ぎたときにごく短時間,被告人がズボンを下げていて,陰部を出していたのを目撃したと供述するに止まり,陰部を第三者に殊更見せつけるような動きをしたことなど,被告人の上記供述を否定する事情は述べていない。原判決は,前記2アないしエの理由を示して被告人の供述を排斥しているが,アについては被告人が立っていた位置の検討を踏まえたものではなく,イないしエについても有力な根拠とはいえず,その説示には説得力がない。
  (3) 以上によれば,立ち小便をする目的であったという被告人の供述を排斥することはできない。そうすると,被告人が被告人車両と本件照明灯の間に立って立ち小便をしようとしたことを前提とすべきことになるが,これに加えて,目撃者の供述によっても,被告人が殊更陰茎を見せつける動作をしたとは認められないこと,被告人は,自転車が通ったのですぐにズボンを上げたと供述し,現に被告人車両はAらが通行した1分36秒後に走り去ったこと(防犯カメラ映像)を考慮すると,被告人の本件行為については,できるだけ目立たない形で立ち小便をしようとしたものに過ぎないのではないかという合理的な疑いがある。本件行為をもって公然わいせつ罪のわいせつ行為,すなわち行為者の性欲を刺激興奮又は満足させる動作であって,普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する行為であると認めた原判決の認定は,被告人が立っていた位置や陰茎を露出した目的について論理則,経験則等に照らし不合理な認定をしたことによるものであり,事実を誤認したものである。
 事実誤認の論旨は理由がある。
第3 破棄自判
 よって,法令適用の誤りの論旨について判断するまでもなく,刑事訴訟法397条1項,382条により原判決を破棄し,同法400条ただし書を適用して,当裁判所において自判することとし,被告事件については前記のとおり犯罪の証明がないから,同法336条により,被告人に対し無罪の言渡しをすることとして,主文のとおり判決する。
 高松高等裁判所第1部
 (裁判長裁判官 半田靖史 裁判官 新崎長俊 裁判官 延廣丈嗣)

同僚の女性に覆いかぶさったり押さえ付けたりして体を触ったという強制わいせつ事件につき、「宴会芸」の弁解

 去年の大法廷判決(h29.11.29)が、性的意図完全不要とせずに「刑法176条にいう「わいせつな行為」に当たるか否かの判断を行うための個別具体的な事情の一つとして、行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合はあり得るが、行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない」なんて判示したので、こういう弁解の余地が出てきます。

 大法廷判決が「もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。」と判示したので、「行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為」だと言い張れば、性的意図がないから不成立という主張の余地が残っています。しかし、大法廷事件の審理経過からすれば、これは小児科・産婦人科の医療行為とかマッサージ(乳もみ)とか介護活動を前提にしたものであって、宴会で数人がかりで押さえつけて股を開かせて体を触るという場合には当たらないと思います。
 
 大法廷の事件では借金という理由が通ったので、不合理弁解とは評価されていませんが、宴会芸という弁解は不合理弁解と評価されることがあるので、その場合の量刑を見極めてからする必要があります。


1回目の報道

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180220-00050036-yom-soci
起訴状などでは、両被告は共謀し、2015年9月18日夜、福岡市中央区の飲食店で、女性警察官に対し、被告が羽交い締めにし、後ろに引き倒した後、被告が女性の両足を無理やり広げさせ、体に覆いかぶさるなどのわいせつ行為をした、としている。当時、同課護送係の飲み会で計16人が参加していた。
 検察側は冒頭陳述で「被告は、気に入らない部下に負担の大きな業務を担当させていた。このため、同僚は被告らに逆らえない雰囲気があると感じていた」と主張。その上で「被害者は、両被告が上層部に働きかけて事件をもみ消すことを恐れていたが、県警が組織的に対応してくれると考え、告訴した」と述べた。
 一方、弁護側は「両被告に問題があるという前提で捜査が始まっており、事件の筋道が曲げられた可能性がある。体育会系の職場で、宴会芸としてやっただけだ」と反論した。
・・・
http://www.sankei.com/west/news/180219/wst1802190039-n1.html
口移し、男同士で性行為…宴会“伝統”芸として無罪を主張
 起訴状などによると、2人は県警留置管理課に所属していた平成27(2015)年9月、福岡市の飲食店で開かれた課員16人が参加した懇親会で、40代の女性巡査部長=当時=の体を無理やり触ったとされる。
 検察側は冒頭陳述で、被告が女性を羽交い締めにして引き倒し、被告が足首をつかんで両足を開脚し覆いかぶさるなどしたと指摘した。

 2人の弁護側は、懇親会では以前から氷や肉の口移しや、男性同士が性行為のまねをするといったことが行われていたと指摘。「今回もこうした宴会芸の一環で、性的な意図はなかった」と主張した。女性の様子を撮影する課員もいたという。


起訴報道

同僚にわいせつ、福岡県警警部補2人在宅起訴
2017.03.03 東奥日報
 2人は2015年9月、福岡市の飲食店で開かれた職場の飲み会で、同僚の女性に覆いかぶさったり押さえ付けたりして体を触ったとして、強制わいせつ容疑で今年2月に書類送検された。容疑を認めている。
・・・
福岡県警・警部補2人 酒席で女性警察官の体触る 強制わいせつで起訴
2017.03.02 NHKニュース (全579字) 
 警察によりますと、2人は、おととし9月、福岡市内の飲食店で開かれた酒の席で、女性警察官の体を触るなどのわいせつな行為をした疑いで、先月、書類送検され、きょう、検察は、2人を強制わいせつの罪で起訴しました。
 検察は、性犯罪であることを理由に起訴の内容などを明らかにしていません。
 警察によりますと、2人は、調べに対し、「女性の態度が気に入らなかった」とか「盛り上がると思った」などと供述し、容疑を認めたということです。
NHK

社説:自画撮り 規制強化で子どもを守れ

 国法レベルで検討すべき課題ですよね。
 実行行為の一部が条例の施行地に掛かっていると条例で処罰されるというのは、公布してない地域にも適用することになるので、不意打ちになる恐れがあります。
 青少年条例違反と児童ポルノ・児童買春法の趣旨って、一応違うはずだったが。

社説:自画撮り 規制強化で子どもを守れ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180218-00000006-kyt-soci
現行の児童買春・ポルノ禁止法で取り締まれるのは、画像の製造や所持、提供などだ。画像の「要求」を禁じる規定はなく、それだけで罰するのは難しいとされる。
 このため、都道府県で独自に規制を強化する動きが出ている。先日、京都府青少年健全育成条例を改正して「要求」行為を禁じる方針を表明。今月1日には全国に先駆けて東京都が条例を施行し、4月には兵庫県もこれに続く。
 東京都の条例は、都内の18歳未満に対し「威迫する」「金銭の支払いを約束する」「同性に成りすましてだます」などの方法で自画撮り画像を要求した場合、30万円以下の罰金を科す内容だ。要求者は他府県にいても、画像の入手に至らなくても規制の対象になる。
 誰にも言い出せず、いま現在も一人で悩んでいる子どもが各地にいることだろう。こうした事例をいかに相談窓口につなげて保護し、警察の摘発に結びつけるかが重要だ。条例化と自治体の取り組みの効果を注視したい。有効であれば、国においても同様の法改正を検討すべきではないか。
 ネットとSNSの普及が背景にあるだけに、事業者の自主的な対策も求められよう。流出画像の速やかな削除や、問題のある書き込みの監視に一層努めてもらいたい。
 若者の間ではスマートフォンで自分が撮った画像を送り合うことが日常的になっている。被害の増加の一因には、そうした「抵抗感の薄さ」があるのだろう。

9/30と10/15の12歳との淫らな行為が青少年条例違反で罰金50万円とされた事例

 刑法177条後段の関係で、13歳未満の者という認識が立証できなかったものと思われます。
 
 おおざっぱにいえば、刑法は12歳未満であれば強制性交罪、13歳以上であれば放任としていているところを、違う立法趣旨の青少年条例で13歳以上18歳未満のところを規制しているという理解で、年齢で区切っているという理解でしたが、そうだとすると、12歳に青少年条例違反というのは、ちょっと疑問があります。
 そういう論点も含めて、強制性交罪なのになんで青少年条例違反になっているのかという主張をすると、「年齢知情がなかった」という判断が得られますので、後日の民事訴訟で有利に使えることがあります。

 なお、包括一罪になってないと法令適用の誤りになります。

神奈川県青少年保護育成条例
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4151/p385175.html
第7条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年 満18歳に達するまでの者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。

刑法
(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

阪高裁h23.12.21
(3)原判示第3の1についての主張論旨は,上記事実は,当時12歳であった被害男児に対するわいせつ行為を内容とするものであり,かつ,被告人において被害男児の年齢の知情性に問題はなかったものであるから,刑法176条後段の強制わいせつ罪のみが適用されるのに,本条例21条1項違反とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
しかし,弁護人が指摘する被告人の検察官調書(原審検乙23,24)によれば,被告人の捜査段階の言い分としては,
?被告人は,年齢は何歳でもよかったので,同人に対して年齢までは尋ねなかった,というものであり,被害男児が13歳未満であったことについての被告人の故意の存在には疑義があった上,性交類似行為等の際に被害男児が反抗を抑圧されたことについても証拠上明確ではなかったのであって,一義的に13歳未満の者に対する強制わいせつ罪(刑法176条後段のほか,同条の場合も含む。)に該当することが明らかな事案であったとはいえない。
また,強制わいせつ罪が個人の自由意思の制圧ないしこれに準ずるような場合を罰するのに対し,本条例21条1項のわいせつ罪は,青少年の健全育成に鑑みて同意があってもその相手方を処罰するものであるから,処罰の趣旨,目的を異にし,強制わいせつが成立すれば本条項のわいせつ罪が成立しないというものでもない。
そうすると,起訴検察官が上記諸点に鑑みて,その起訴裁量に基づき,被告人にとって有利である本条例違反の罪で起訴したことに裁量逸脱は全くないし,公訴事実の範囲で犯罪事実を認定し,本条例21条1項を適用した原判決にも何ら違法はない。
・・・
福岡高裁H21.9.16
第3 法令適用の誤りの主張について
1原判示第1についての法令適用の誤りの主張(控訴理由第1及び第6)について
(1)弁護人は,?13歳未満の者に対するわいせつな行為を刑法176条後段の強制わいせつ罪よりも軽く処罰する本件条例違反の罪は,憲法94条,地方自治法14条1項に違反し無効である,?本件条例違反の罪は,刑法176条後段の強制わいせつ罪を補完する規定であると解され,被告人の原判示第1の行為は同罪に当たるから,本件条例違反の罪を適用した1審判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあると主張する。
(2)まず,?の主張については,刑法176条後段の強制わいせつ罪は,13歳未満の者の性的自由を保護するとともに,性的な情操を保護することによって,青少年の健全育成を図る趣旨であると解され,青少年の健全な育成を目的とする本件条例違反の罪とその趣旨を共通にする面を有しているが,他方で,たとえ13歳未満の者に対してわいせつな行為に及んだ場合であっても,行為者において,相手の年齢を13歳以上18歳未満であると誤信していたときは,刑法176条後段の強制わいせつ罪の故意を欠くため同罪は成立せず,本件条例違反の罪のみが成立することになる。そして,このような場合について,13歳未満の者の保護を図っている刑法が,行為者を同法176条後段の強制わいせつ罪よりも軽い法定刑を定めた本件条例違反の罪で処罰することを禁止しているとは解されないから,本件条例違反の罪が憲法94条,地方自治法14条1項に違反し無効であるはいえない。
(3)次に,?の主張については,本件条例違反の罪が刑法176条後段の強制わいせつ罪を補完する規定であるとしても,刑事訴訟法が採用する当事者主義的訴訟構造下では,審判の対象である訴因をどのように構成するかは,検察官の合理的裁量に委ねられているから,検察官は,13歳未満の者に対するわいせつな行為をした行為者について,事案の内容や立証の難易,その他諸般の事情を考慮して,刑法176条後段の強制わいせつ罪ではなく,本件条例違反の罪として訴因を構成して起訴することは当然許されると解される(なお,本件条例違反の罪は,強制わいせつ罪と異なり,親告罪ではないが,13歳未満の者に対するわいせつな行為の事案において,被害者やその法定代理人である親権者等が,被害者の名誉等への配慮から事件が公になることを望まず,告訴しなかったり,あるいは告訴を取り下げた場合に,検察官が行為者を本件条例違反の罪で起訴することは現実的には想定しがたいから,13歳未満の者に対するわいせつな行為を本件条例違反の罪として起訴することを許容しても,強制わいせつ罪が親告罪とされている趣旨が没却されるとはいえない)。これを本件について見ると,・・・このような被告人の捜査段階での供述状況その他の証拠関係等に照らすと,検察官は,被害児童の年齢に関する被告人の認識の立証が必ずしも容易でないこと等を考慮し,刑法176条後段の強制わいせつ罪ではなく,本件条例違反の罪として訴因を構成し,被告人を起訴したと推察され,そのような検察官の公訴提起に関する裁量権の行使には合理性があったと認められる。また,被告人は,原審公判では「電話のやり取りから被害児童は高校1年生だと思った」旨さらに供述を変遷させていることをも併せ考えると,原判決が,被告人に対して,検察官が起訴した本件条例違反の罪の成立を認めたことに,法令適用の誤りがあるとは到底いえない。
・・・
仙台高裁支部h27.6.30
第3法令適用の誤り及び訴訟手続の法令違反の主張(控訴理由第7及び第8)について1論旨は,性交相手が13歳未満である場合,強姦罪(刑法177条後段。以下,本項及び次項で「強姦罪」というのは,同条後段の強姦罪をいう。)のみが適用され,本件条例27条1項,14条1項の適用はないから,本件条例14条1項違反の罪を認めた原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
そこで検討すると,記録によれば,本件においては,検察官は,被告人が,被害児童が13歳未満であることの認識を欠いていたため,強姦罪は成立しないと考えて本件条例14条1項違反の訴因で起訴したこと,これに対し,原審も同訴因の事実を認めて,原判示第2のとおり判決したことが認められる。
そして,関係証拠によれば,被告人は,被害児童が18歳未満であること,すなわち本件条例上の青少年に当たることは認識していたものの,13歳未満であることについてはこれを認識していなかったものと認められ,被告人には強姦罪の成立に必要な故意が欠けているため強姦罪は成立せず,本件条例14条1項違反の罪のみが成立すると認められる。
よって,強姦罪が成立する場合には本件条例14条1項違反の罪は成立しないとの弁護人の主張は,前提を欠いており,失当である。
論旨は理由がない。
2論旨は,本件条例が適用されるとしても,13歳未満の被害児童に対する淫行の罪(本件条例14条1項違反の罪)は強姦罪と同一の行為であるところ,本件起訴は告訴を欠く親告罪の一部起訴であり,強姦罪親告罪とされている趣旨を潜脱するものであるから違法であるまた,13歳未満の被害児童に対する本件条例14条1項違反の罪は親告罪であると解すべきであり,本件では告訴を欠いているから,同罪に係る公訴提起は不適法であって,公訴を棄却するべきであるのに,これをしなかった原判決には訴訟手続の法令違反がある,というのである。
そこで検討すると,検察官は立証の難易等諸般の事情を考慮して審判対象である訴因を構成することができ,裁判所の認定はその訴因に拘束され,訴因に掲げられた罪の成否を判断すれば足りるところ(最高裁昭和59年1月27日第一小法廷決定・刑集38巻1号136頁参照),前述のとおり,本件において,原審は,訴因に掲げられた本件条例14条1項違反の罪の成否について審理し,原判示第2のとおり認定したものであり,関係証拠上も,被害児童及びその法定代理人親権者母が被告人の処罰を求めていると認められることなどからすれば,本件条例14条1項違反の罪に係る公訴提起が強姦罪親告罪とされている趣旨を潜脱する違法なものであるとはいえない。
また,本件条例14条1項違反の罪を定める本件条例は青少年(6歳以上18歳未満の者をいう。6条1号)の健全育成に関する施策を推進するとともに,青少年を取り巻く社会環境を浄化し,もって青少年の健全な育成を図ることを目的とするものであるが(1条),13歳未満の女子を姦淫する行為を処罰する強姦罪は,被害女子個人の性的自由の保護を目的とするものであり,両罪は,保護法益において重なる部分があるものの目的や保護法益が必ずしも一致しておらず,さらに,本件条例14条1項違反の罪についてはこれを親告罪とする旨の規定がない。
このようにみると,本件条例14条1項違反の罪が親告罪であると解するべきであるとの弁護人の主張は,独自の見解といわざるを得ず,採用することはできない。
よって,公訴を棄却しなかった原判決には訴訟手続の法令違反はない。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180216-00010009-chibatopi-l12
12歳少女と淫行の陸士長停職 松戸の陸自
2/16(金) 19:05配信
 千葉県松戸市陸上自衛隊松戸駐屯地は16日、中学1年の少女(12)とみだらな行為をした陸士長(21)を、停職6日の懲戒処分にした。
 同駐屯地によると、陸士長は昨年9月30日と10月15日、横浜市内のホテルで、出会い系アプリで知り合った中学1年の少女とみだらな行為をした疑いで、12月7日に神奈川県青少年保護育成条例違反容疑で警察に逮捕された。同月27日に罰金50万円の略式処分を受けていた。

判例DBにおけるCG児童ポルノ事件(東京高裁h29.1.24)

 まだ上告中ですが
 ちょっと解説を書けと言われまして。

評釈として
上田正基・立命館法学372号157頁
実在の児童の写真を素材として作成されたコンピュータグラフィックスにつき児童ポルノ製造罪及び提供罪の成立を認めた事例〈刑事判例研究19〉
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/17-2/006ueda.pdf


が出てますね。

東京高等裁判所
平成29年1月24日第10刑事部判決

       判   決
 上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,平成28年3月15日東京地方裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から控訴の申立てがあったので,当裁判所は,検察官和久本圭介並びに弁護人山口貴士(主任),同壇俊光,同奥村徹,同野田隼人,同北周士,同北村岳士,同歌門彩及び同吉峯耕平(いずれも私選)各出席の上審理し,次のとおり判決する。
       主   文
原判決を破棄する。
被告人を罰金30万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。
原審における訴訟費用のうち,2分の1を被告人の負担とする。
本件公訴事実第2(平成25年9月3日付け訴因変更請求書による訴因変更後のもの)のうち,児童ポルノである画像データを含むコンピュータグラフィックス集「△△△△△」を提供したとする点について,被告人は無罪。


       理   由
論旨は理由がある。
 よって,量刑不当の論旨について判断するまでもなく,原判決は破棄を免れない。
4 結論
 そこで,刑訴法397条1項,380条により原判決を破棄し,同法400条ただし書に従い,被告事件について更に判決する。
 原判決が認定した事実に法令を適用すると,被告人の判示第1の行為は,平成26年法律第79号附則2条により同法による改正前の児童ポルノ法7条5項,同条4項,2条3項3号に,判示第2の行為は,同法7条4項後段,2条3項3号に該当する。そこで,量刑について検討すると,起訴された34点の本件CGのうち,「△△△△△」に含まれる18点全てと「□□□□□□」に含まれる13点については児童ポルノに該当せず,本件3画像のみがこれに該当すると認められるにとどまること,本件3画像の素材画像となる写真が撮影されたのは,前記のとおり,昭和57年ないし昭和59年頃であり,本件3画像は,その当時児童であった女性の裸体を,その約25年ないし27年後にCGにより児童ポルノとして製造されたものであって,本件各行為による児童の具体的な権利侵害は想定されず,本件は,専ら児童を性欲の対象とする風潮を助長し,将来にわたり児童の性的搾取及び性的虐待につながるという点において,違法と評価されるにとどまることなどを考慮すると,違法性の高い悪質な行為とみることはできず,体刑を選択すべき事案には当たらないというべきである。そこで,各所定刑中,いずれも罰金刑を選択し,以上は刑法45条前段の併合罪であるから,同法48条2項により,判示第1及び第2の各罪の罰金の多額を合計した金額の範囲内で,被告人を罰金30万円に処し,刑法18条により,その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置することとし,原審における訴訟費用のうち2分の1については,刑訴法181条1項本文を適用して被告人に負担させることとする。本件各公訴事実中,公訴事実第2のうち,「△△△△△」を提供したとの点については,前記のとおり,犯罪の証明がないから,同法336条により,無罪を言い渡すこととする。
 よって,主文のとおり判決する。
平成29年1月24日
東京高等裁判所第10刑事部
裁判長裁判官 朝山芳史 裁判官 杉山愼治 裁判官 市原志都

提供 TKC
【事案の概要】 被告人が、不特定又は多数の者に提供する目的で、児童の姿態が撮影された写真の画像データを素材として、画像編集ソフト等を使用して描写したコンピュータグラフィックスを作成し、このCG集をインターネットを通じて不特定又は多数の者に販売したとして起訴されたのに対し、原審が児童ポルノの製造及び提供の各罪を認めたことより、被告人が控訴した事案において、実在する児童の姿態を描いた画像等が、児童ポルノとしていったん成立した以上、その製造の時点で被写体等となった者が18歳以上になっていたとしても、児童の権利侵害が行われた記録として、児童ポルノとしての性質が失われることはないと解すべきであるとした上で、懲役1年(3年間執行猶予)及び罰金30万円を言い渡した原判決を破棄し、罰金30万円を言い渡し、児童ポルノである画像データを含むコンピュータグラフィック集を提供したとする点について、無罪を言い渡した事例。
【判示事項】 〔高等裁判所刑事判例集〕
1. 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当するか
2. 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていた場合の児童ポルノ製造罪の成否(積極)
【要旨】 〔高等裁判所刑事判例集〕
1. 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,写真の被写体である児童を描写したといえる程度に,被写体と同一であると認められるときは,全く同一の姿態,ポーズがとられなくても,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当する。
2. 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていたとしても,児童ポルノ製造罪は成立する。
【裁判結果】 破棄
【裁判官】 朝山芳史 杉山愼治 市原志都
【掲載文献】 裁判所ウェブサイト
【評釈等所在情報】 〔日本評論社
上田正基・立命館法学372号157頁
実在の児童の写真を素材として作成されたコンピュータグラフィックスにつき児童ポルノ製造罪及び提供罪の成立を認めた事例〈刑事判例研究19〉

westlaw
〔判示事項〕
◆児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が、平成26年法律第79号による改正前の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当するか
◆児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が、CG画像等の製造の時点及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において、18歳以上になっていた場合の児童ポルノ製造罪の成否(積極)
〔裁判要旨〕
◆児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が、写真の被写体である児童を描写したといえる程度に、被写体と同一であると認められるときは、全く同一の姿態、ポーズがとられなくても、平成26年法律第79号による改正前の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当するとされた事例
◆児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が、CG画像等の製造の時点及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において、18歳以上になっていたとしても、児童ポルノ製造罪は成立するとされた事例

d1law
【事案概要】
被告人が、不特定多数の者に提供する目的で、衣服をつけない実在する自動の姿態が撮影された画像データを素材として編集した画像データである児童ポルノを製造し、同一のファイルを訴外会社に送信して記憶・蔵置させるとともに、その販売を同社に委託し、不特定の者に販売することで児童ポルノを提供したという件で起訴された件につき、被告人が控訴した控訴審において、原判決が破棄され、被告人が罰金30万円に処せられた事例。
【裁判所ウェブサイト判示事項】
(1)児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が、平成26年法律第79号による改正前の児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当するか。
(2)児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が、CG画像等の製造の時点及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において、18歳以上になっていた場合の児童ポルノ製造罪の成否(積極)。

判例秘書
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件

【事件番号】
東京高等裁判所判決/平成28年(う)第872号
【判決日付】
平成29年1月24日
【判示事項】
1 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当するか
      
2 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていた場合の児童ポルノ製造罪の成否(積極)
【判決要旨】
1 児童の写真を素材にしたコンピュータグラフィックス(以下「CG」という。)画像等における描写が,写真の被写体である児童を描写したといえる程度に,被写体と同一であると認められるときは,全く同一の姿態,ポーズがとられなくても,平成26年法律第79号による改正前の児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項3号の「児童の姿態」に該当する。
      
2 児童の写真を素材にしたCG画像等の被写体である児童が,CG画像等の製造の時点及び児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行の時点において,18歳以上になっていたとしても,児童ポルノ製造罪は成立する。
【掲載誌】 
高等裁判所刑事判例集70巻1号1頁
LLI/DB 判例秘書登載

併合審理の利益(横浜地裁h30.2.14と横浜地裁h29.12.26)

 別の事件として、別々に起訴されていて、弁護人も別らしいので、併合審理の利益に気付かないかもしれません。
 両方の事件で、被告人の情状(特に前科関係)が考慮されていて二重評価になっているので、常套手段としては両方控訴して、できれば同じ部で審理してもらって、二重評価を是正する必要があります。東京高裁だとなかなか難しいですが、弁論併合申請などでアピールすることになるでしょう。
 足すと懲役25年になりますが、重い方から執行されます。

横浜地裁h30.2.14 傷害致死懲役10年
https://mainichi.jp/articles/20180215/k00/00m/040/092000c

元保育士に懲役10年の実刑判決
毎日新聞2018年2月14日 19時55分(最終更新 2月14日 19時55分)
 神奈川県平塚市の認可外保育所で2015年12月、生後4カ月の男児に暴行を加えて死亡させたとして傷害致死罪に問われた元保育士被告に対し、横浜地裁は14日、懲役10年(求刑・懲役13年)の判決を言い渡した。深沢茂之裁判長は「無罪主張する被告の供述は不自然、不合理で信用できない」と退けた。

横浜地裁h29.12.26 強制わいせつ罪(176条後段)・児童ポルノ製造 懲役15年
http://www.sankei.com/region/news/171227/rgn1712270006-n1.html
2017.12.27 07:04
女児らにわいせつ 元保育士に懲役15年判決 神奈川
 平塚市無認可保育所「ちびっこBOY」で平成27年12月、入所していた生後4カ月の男児が死亡した事件に絡み、別の女児らにわいせつな行為をしたなどとして、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われた元保育士被告(36)の判決公判が26日、横浜地裁(深沢茂之裁判長)であり、同地裁は懲役15年(求刑懲役18年)の判決を言い渡した。
 深沢裁判長は「保育士の立場を悪用し、極めて多数回にわたり犯行に及んだ。計画性、常習性は極めて顕著」と指摘。「被害児童らの精神的、肉体的苦痛はもとより、健全な生育への悪影響も強く懸念される」と述べた。
 判決によると、27年4月~28年5月、保育所などで女児ら15人に対してわいせつな行為をしたなどとしている。
 被告は、当時生後4カ月の男児に暴行を加え死亡させた傷害致死罪にも問われており、来年1月に初公判が行われる予定。

実子への着エロ製造事件につき懲役2年執行猶予4年 罰金50万円とした事例(東京地裁h29.11.08)

 刑事確定訴訟記録法での閲覧許可はまだ出ませんが、判例DBに載りました。
 実刑にしろという署名活動の影響はありませんでした。

東京地方裁判所平成29年11月08日
主文
被告人を懲役2年及び罰金50万円に処する。
その罰金を完納することができないときは、金5000円を1日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実の要旨
  起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。
適用した罰条
  刑法60条、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条7項前段(6項)、2条3項3号、刑法18条、25条1項
量刑の理由
  被告人は、被害児童の未熟さに付け込むとともに、被害児童の父親としての影響力に乗じて、被害児童を被写体とした児童ポルノを作成したものである。本来父親として我が子の権利を擁護すべき立場にありながら、その立場を悪用し、父親の役に立ちたいという被害児童の健気な心情に付け込んだその犯行態様は、卑劣かつ悪質というほかない。本件犯行が、被害児童の健全な成長に悪影響を与える可能性も看過できない。そして、被告人は、被写体の選定、撮影場所の提供、作成した児童ポルノの販売委託、共犯者の勧誘などを行っており、本件犯行において主導的な役割を果たしたといえる。以上からすると、被告人の行為責任は重く、主文の懲役刑及び罰金刑は免れない。
  もっとも、被告人が当公判廷において罪を素直に認めて反省の態度を示すとともに、今後は二度と罪を犯さない旨の更生の決意を述べていること、被告人には前科がないことなど、その更生等に関し有利に斟酌すべき事情も存在する。
  以上の事情を考慮すれば、被告人については、今回に限り、その懲役刑の執行を猶予し、社会内で更生する機会を与えるのが相当である。
(求刑 懲役2年及び罰金50万円)
刑事第3部
 (裁判官 内山裕史)
起訴状
公訴事実
 被告人両名は、 (当時13歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、不特定又は多数の者に提供する目的で、共謀の上、平成27年2月21日から同月22日までの間、 において、極小の水着又は透ける素材の水着を着用させた同児童に、座って開脚、うつ伏せ、四つんばいで臀部を突き出すなどの姿勢を取らせた上、その股間、露出した臀部等に焦点を当ててその姿をデジタルビデオカメラで動画撮影し、その電磁的記録である動画データ53ファイルを同ビデオカメラに装着したCFカードに保存するなどした上、同月24日、 被告人 方において、同動画データをパーソナルコンピュータに接続した電磁的記録媒体であるハードディスクに記録させて保存し、もって衣服の一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造したものである。
罪名及び罰条
 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反 同法7条7項前段、2条3項3号、刑法60条