児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

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児童ポルノ犯の児童が「「友人から見たいと頼まれて送った」「おもしろ半分で送った」など、罪の意識が感じられない動機を供述している」という報道


 法律上は、児童ポルノ罪の主体に児童も含まれていて、自分の画像であっても児童ポルノを公然陳列・提供すると、犯罪少年として検挙されます。
 おっさんに頼まれて撮影送信する(sexting)のも、理論的には、児童が3項提供目的製造・2項提供罪の正犯で、おっさんは教唆犯なんですが(高裁岡山支部判例がある)、捜査実務では児童の罪には目をつぶって、おっさんだけを4項製造罪の正犯とするという運用になっています。
 存在自体が違法・権利侵害だとして、所持者を検挙するところまでやっているのに、児童も犯罪主体になるのかを議論して決めないで現場の運用でごまかしているので、取締が徹底しないのだと思います。現行法ではsexting児童も検挙するようにすれば、一般予防が徹底されるでしょう。

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
2児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200121-00010002-mrt-l45
MRT宮崎放送
中高生が、知り合いの少女のわいせつ画像を同級生に送り拡散させる児童ポルノ提供事件が、去年、宮崎県内の中学と高校であわせて6件発生していたことが分かりました。
このうち3件では、男子中高生7人が児童ポルノ法違反の疑いで逮捕または書類送検されたほか11人が補導されています。
宮崎県警察本部によりますと、去年、県内にある3つの中学校と3つの高校で、中高生がスマートフォンSNSアプリを利用して、知り合いの少女のわいせつな動画などを同級生らに送り拡散させる事件が発生しました。

このうち、3校で発生した事件では、児童ポルノ法違反の疑いで男子生徒1人が逮捕、6人が書類送検され、11人が補導されました。警察の調べに対して、摘発された7人は、「友人から見たいと頼まれて送った」「おもしろ半分で送った」など、罪の意識が感じられない動機を供述しているということです。

(県警察本部少年課少年対策係・黒木 龍也 係長)「インターネットに一度拡散すると回収が不可能になるので犯罪の怖さをしっかり認識してもらい悪質なサイトにアクセスできないようなフィルタリングの活用をしっかりしていただきたい」

裁判員対象事件ではない(強姦・強制性交)のに、裁判所が裁判員事件用量刑DBを用いて量刑していると思われる事件

 部類論は、h22ころから見受けられますが、最近では検索項目まで示したものもでています。
 非対象事件の弁護人は量刑DBにアクセスできず検索項目について意見を述べられないのに、それで量刑されるというのは不満があります。

津地裁 H30.12.21 同種の事案(膣内性交,肛門性交この事案を含む。なお,示談・宥恕がなく,量刑上考慮された前科がない事案に限った。)と比較すると,暴行・脅迫の強さ・執拗さ,性的行為の執拗さなどの観点から,やや軽い部類というべきである。
松山地裁 H30.7.13 本件の暴行は同種事案の中では強度のものとまでは認められず,上記の犯罪行為に関する事情を踏まえ,口腔性交による強制性交等1件の量刑傾向の中で,重い方の部類に属するとまではいえないことからすると,その他の事情の内容によっては,刑の執行猶予を検討し得る余地のある事案ということができる。
宮崎地裁 H26.5.16 してみると,本件検察官の論告・求刑は,特段の合理的な理由もなく,明らかに軽きに失する量刑傾向を念頭にしたか,又は前記1のような量刑傾向の中で本件を軽い部類に位置付けたとしかいいようがない。少なくともこのような場合には,判断者の立場である裁判所としても,検察官の求刑に配慮することには限度があり,本件においてこれを上回る量刑判断を行うのはやむを得ないと考える。
水戸地裁 H28.9.12 同種事案(単独で犯した13歳未満の女子に対する強姦)の中では,軽い部類に属する。
横浜地裁横須賀支部 H28.12.15 その行為責任は,致傷結果を伴わない1名の者に対する強姦等の事案の中でも相当重い部類に属するものと位置付けることができる。
宮崎地裁 H29.2.3 同種事案(単独で,知人等に対し,凶器を用いずに強姦したもの1件の事案で,量刑上特に考慮すべき前科がないもの)の量刑傾向を踏まえて検討すると,本件は同種事案の中で決して軽い部類に属する事案とはいえない。




強姦・強制性交被告事件で、量刑理由に「部類」を含む裁判例

東京地裁立川支部 H22.2.24 本件は,強盗強姦未遂事件の中でもかなり悪質な部類の犯行であることからすると
東京地裁 H24.8.10 このように,本件犯行は,強姦未遂の事案の中では,相当悪質な部類に属する。被害者が被った衝撃は大きく,被害者が本件手続に参加し,被告人に対し強い憤りと厳しい処罰感情を述べるのも当然のこととして理解できる。
横浜地裁 H24.12.3 以上によれば,本件の犯情は悪質であり,被告人の刑事責任は,同種事犯の中で,軽い部類に属するものではない。
横浜地裁 H25.7.19 本件は,行きずりの被害者5名に対する強制わいせつ(未遂)の事案としては,やや重い部類に属するものと認められる。
鹿児島地裁 H26.2.24 典型的な路上強姦の中では,相対的には,中間よりやや軽い部類に属するといえる。
宮崎地裁 H26.5.16 してみると,本件検察官の論告・求刑は,特段の合理的な理由もなく,明らかに軽きに失する量刑傾向を念頭にしたか,又は前記1のような量刑傾向の中で本件を軽い部類に位置付けたとしかいいようがない。少なくともこのような場合には,判断者の立場である裁判所としても,検察官の求刑に配慮することには限度があり,本件においてこれを上回る量刑判断を行うのはやむを得ないと考える。
福島地裁 H26.10.6 本件は,その犯情がすこぶる悪く,同種の犯罪類型の中でより犯情の重い部類に属する事案というべきである。
横浜地裁 H27.3.12 以上によれば,本件の犯情を強姦罪を複数犯した事案の中で見ると,①の一連の犯行のみをもってしても,かなり重い部類に属すると考えられる上,上記②から④までの量刑上の加重要素をも考慮すると,最も重いとまではいうことができないものの,非常に重い部類に属する事案と認められ,これまでの同種事案の量刑分布の中でも相当長期の懲役刑は免れない。
神戸地裁 H27.7.7 被害者1名の強姦罪の中でも重い部類に属する事件というべきで
高松地裁 H27.12.8 被告人の行為責任は,強姦罪を処断罪とする事案の中でも相当に重い部類に属すると言わざるを得ない。
千葉地裁松戸支部 H28.1.13 本件一連の犯行は,準強姦罪及び準強制わいせつ罪を繰り返した事案の中で,かなり重い部類に属するものであり
熊本地裁 H28.6.29 本件は同種事案の中で中程度の部類に属する事案であると評価できるから
那覇地裁 H28.7.15 本件は既遂に達した準強姦1件の同種事案との比較の限りにおいては比較的軽い部類に属する事案といえる。
水戸地裁 H28.9.12 同種事案(単独で犯した13歳未満の女子に対する強姦)の中では,軽い部類に属する。
横浜地裁横須賀支部 H28.12.15 その行為責任は,致傷結果を伴わない1名の者に対する強姦等の事案の中でも相当重い部類に属するものと位置付けることができる。
宮崎地裁 H29.2.3 同種事案(単独で,知人等に対し,凶器を用いずに強姦したもの1件の事案で,量刑上特に考慮すべき前科がないもの)の量刑傾向を踏まえて検討すると,本件は同種事案の中で決して軽い部類に属する事案とはいえない。
東京地裁 H29.3.21 強姦の手段たる暴行の強度に関しては,強姦罪が成立する事案の中ではそれほど強い部類に属するものではないといえる。
鹿児島地裁 H29.4.11  以上の行為責任を前提とした上で,宥恕は得られていないものの,両親の助力を得て200万円を支払って被害者との間で示談が成立していることも踏まえ,単独犯による強姦既遂1件のうち,被害者との間で示談が成立している事件類型の中で本件をみると,被害者宅に侵入し,悪質性の高いわいせつ行為を伴っている上,被害者に落ち度のない身勝手な犯行であることなどからすれば,本件は,中間より重い部類に属し,実刑をもって臨むべき事案といえる。
千葉地裁 H29.4.17 被害者の抗拒不能に乗じ,現場において集団で姦淫したという類型の中では,被告人の行為の客観的な重さは,比較的軽い部類に属する。
山形地裁 H29.7.14 以上によれば,本件の犯情は甚だ悪質といわざるを得ず,本件は,「交際相手に対する強姦」というこの種類型の中でも重い部類に属する事案といえ,犯情に照らし,かなり長期の実刑は免れない。
福井地裁 H29.8.4 本件の犯行態様は,低年齢の女子に対して敢行された強姦を中心とする事案の中で,悪質な部類に属するといわざるを得ない。
京都地裁 H29.8.10 同種類型の中でとりわけ重い部類に属するとまではいえないが,相応の悪質性を示す犯行である。
京都地裁 H29.10.5 以上の犯情に照らせば,本件強姦は,住居侵入を伴う単独犯の既遂事案の中でも比較的重い部類に属する
松山地裁 H30.7.13 本件の暴行は同種事案の中では強度のものとまでは認められず,上記の犯罪行為に関する事情を踏まえ,口腔性交による強制性交等1件の量刑傾向の中で,重い方の部類に属するとまではいえないことからすると,その他の事情の内容によっては,刑の執行猶予を検討し得る余地のある事案ということができる。
鹿児島地裁 H30.10.18 本件は,既遂に達した準強制性交等1件の同種事案との比較の限りにおいて,特に重い部類に属する事案とはいい難い。
名古屋地裁 H30.12.17 強制性交等の事案の中でも特に悪質な部類に入る。
津地裁 H30.12.21 同種の事案(膣内性交,肛門性交この事案を含む。なお,示談・宥恕がなく,量刑上考慮された前科がない事案に限った。)と比較すると,暴行・脅迫の強さ・執拗さ,性的行為の執拗さなどの観点から,やや軽い部類というべきである。
前橋地裁 H31.4.3 以上の本件各犯行の重要な犯情によれば,本件は,同種事案の中でも軽くない部類に位置付けられ,懲役刑の実刑を免れない。
佐賀地裁 R1.6.18 本件は,同種事案の中で,中間よりもやや軽い部類に属すると考えられるものの,刑の執行を猶予するのが相当な事案とはいえず,法定刑の最下限(懲役5年)から酌量減軽をした範囲内での実刑が考えられる。
宮崎地裁 R1.6.20 13歳に満たない者に対し監護者としての立場を利用して性交等に及ぼうとするといった類型の行為は,それ自体が厳しい非難に値するといえるところ,前述したその他の犯情も踏まえると,本件は,そのような類型の事犯の中でも,やや重い部類に属する犯行といえる。

本件担当の最高裁調査官である馬渡香津子氏は、「『わいせつな行為』該当性を安定的に解釈していくためには、これをどのように定義づけるかよりも、どのような判断要素をどのような判断基準で考盧していくべきなのかという判断方法こそが重要である」と述べている(馬渡香津子「時の判例」ジュリスト1517号[2018年]85頁)。しかし、判断対象の定義を明らかにしないままで判断方法を論じることは、解釈の三段論法に反した非論理的な思考方法である。

 耳なめとか足舐めとか写真送らせるとか、トイレの扉を開けて用便姿を凝視するなどの新型行為については、わいせつの定義が必要です。
 
 控訴事件が来たら毎回聞くことにしていますが、バラバラです。広島高裁なんてわからないことを聞くなと逆ギレです。
① 「性的自由を侵害する行為」(大阪高裁H28.10.27 大法廷h29.11.29の控訴審
② 「一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。」(東京高裁H30.1.30)
③「被告人が~~などしたもので,わいせつな行為の一般的な定義を示した上で該当性を論ずるまでもない事案であって,その性質上,当然に性的な意味があり,直ちにわいせつな行為と評価できることは自明である。」(広島高裁H30.10.23 上告中)
④「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。(福岡高裁H31.3.15)

















松宮孝明「ロー・クラス 現代刑法の理論と実務:各論(第4回)強制わいせつの罪、住居・秘密を侵す罪」法学セミナー 第780号.
最大判平成29. 11 .29刑集71巻9号467頁(以下、「平成29年大法廷判決」という)は、「行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は、その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず、もはや維持し難い。」とした。もっとも、平成29年大法廷判決は、176条にいう「わいせつ」の定義を示すことなく(1)、「行為そのものが持つ性的性質が不明確で、当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為」については、「行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」とも述べている。
(1)本件担当の最高裁調査官である馬渡香津子氏は、「『わいせつな行為』該当性を安定的に解釈していくためには、これをどのように定義づけるかよりも、どのような判断要素をどのような判断基準で考盧していくべきなのかという判断方法こそが重要である」と述べている(馬渡香津子「時の判例」ジュリスト1517号[2018年]85頁)。しかし、判断対象の定義を明らかにしないままで判断方法を論じることは、解釈の三段論法に反した非論理的な思考方法である。

白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させるという本件行為は,たとえ身体的接触がなく,短時間の行為であっても,第三者が視認できるかどうかや,被告人が陰部等を見ることができたかどうかにかかわらず,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為と評価することができるから,本件行為が既遂に達していることは明らかである。(福岡高裁R010618)

長崎地裁h31.2.21の控訴審と思われます。
okumuraosaka.hatenadiary.jp
 わいせつとは、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう。という定義は、性的意図不要とした大法廷h29.11.29以降は使えません。
 いまは、判例上定義がなく、右往左往してますので、弁護人が、定義できないだろう・定義もできないのに強制わいせつ罪で裁けるのかと裁判所を攻撃して定義を引き出す必要があります。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2019/11/07/230351
いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう(金沢支部S36.5.2)
・・・
 性的自由を侵害する行為(大阪高裁 大法廷h29.11.29の控訴審
・・・
 「一般人の性欲を興奮,刺激させるもの,言い換えれば,一般人が性的な意味のある行為であると評価するものと解されるから,強制わいせつ行為に該当する。」東京高裁H30.1.30(奥村事件 上告棄却)
・・・

 「被告人が13歳未満の男児に対し,~~などしたもので,わいせつな行為の一般的な定義を示した上で該当性を論ずるまでもない事案であって,その性質上,当然に性的な意味があり,直ちにわいせつな行為と評価できることは自明である。」(広島高裁H30.10.23 奥村事件 上告中)
・・・
「わいせつな行為」に当たるか否かは,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断すべきである。(福岡高裁H31.3.15)

判例番号】 L07420284
       強制わいせつ致傷,窃盗被告事件
【事件番号】 福岡高等裁判所判決/平成31年(う)第109号
【判決日付】 令和元年6月18日
【掲載誌】  LLI/DB 判例秘書登載
       主   文
 本件控訴を棄却する。
 当審における未決勾留日数中60日を原判決の刑に算入する。
       理   由
 本件控訴の趣意は,弁護人鎌田祥太作成の控訴趣意書に記載のとおりであるから,これを引用する。控訴理由は,事実誤認と量刑不当である。
 第1 事実誤認の趣意について
 論旨は,原判決が,①わいせつ行為は未遂にとどまっているのに既遂に至っていると認定した点,②被害者が防御姿勢を取ろうとしてその場に座り込んだだけであるのに被害者について路上に転倒したと認定した点で判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というものである。
 そこで,記録を調査して検討すると,原判決が,被告人は,路上に転倒した被害者の下着をつかんで膝付近まで引きずり下ろすなどして同人の臀部等を露出させたとの事実を認めた上で,わいせつ行為が既遂に達しているとしたのは正当であり,原判決の事実認定に論理則,経験則等に照らして不合理な点は見当たらず,事実の誤認は認められない。以下,所論にかんがみ,補足して説明する。
 1 被害者の臀部等を露出させたとはいえず,わいせつ行為は未遂にとどまっているとの所論について
 所論は,被害者は,スカートをはいており,第三者が被害者の臀部等を視認することはできない状態であったことからすれば,被害者の下着をつかんで膝付近まで引きずり下ろすという本件行為により被害者の臀部等を露出させたとはいえないことに加え,被害者の下着を引きずり下ろしたのとほぼ同時に防犯ブザーが鳴ったことから被告人はその場から逃走しており,下着を下ろされていた時間は極めて短時間で,陰部等を見るという被告人の目的は達成されなかったのであるから,本件行為は既遂には至っていない,などと主張する。しかし,被告人も本件行為により被害者の臀部や陰部が露出した状態になったことを認めており,原判決が,被告人の本件行為により被害者の臀部等が露出した状態になったと認定した点に論理側,経験則等に照らして不合理な点は認められない。また,原判決が説示するとおり,白昼,路上で見ず知らずの異性の下着を膝付近まで引きずり下ろし臀部等を露出させるという本件行為は,たとえ身体的接触がなく,短時間の行為であっても,第三者が視認できるかどうかや,被告人が陰部等を見ることができたかどうかにかかわらず,健全な社会常識に照らし,性的に恥ずかしいと感じ,健全な性道徳に反する行為と評価することができるから,本件行為が既遂に達していることは明らかである。

「耳なめ」はわいせつ行為(刑法176条)か?

 わいせつの定義ないので困ります。
 馬渡裁判官の解説によれば、「具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照」とされますが、耳なめは挙がっていません。
 児童買春罪の構成要件は、わいせつ概念の曖昧さを回避するために行為を細かく特定していますが、乳首なめは性器接触行為として処罰されますが、耳なめは含まれていません。

第二条(定義)
2この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。

(大塚仁ほか編・大コンメンタール刑法〔第3版〕(9)[亀山継夫=河村博]65頁等)。
(b) 具体的行為
【陰部への接触】事例としては,陰部に指を挿入する(前掲大16判大7・8・20,前掲大判大14・12・10),指で陰部を弄ぶ(東京高判昭27・5・8特報34号5頁),陰部に自己の陰部を押し当てる(前掲東京高判昭27・5・8l,陰部に手を触れる〔大判大13・10・22集3巻749頁)等がある.
着衣の上から陰部を押し撫でる(名古岸高金沢支判昭36・5・2下集3巻5= 6号399頁)のもわいせつ行為といえるが,単に陰部の上の厚手の着衣に触れるとし、う程度では足りず,着衣の上から陰部を弄んだといえる程度の行為であることを要しよう(条解刑法466頁).
【乳房への接触】女子の乳房を弄ぶ〔大阪地堺支干IJII{j36・4・lZ-f集3巻3=4号319頁〕のも,もちろんわいせつ行為で、ある.着衣の上からでもよいことは陰部の場合と同様であろう.乳房が未発育というだけではわいせつ行為にならないとはし、えない(間藤・注釈(4) [所〕293頁参照ー前掲大阪地裁堺支部判決は小学校6年の児童についてわいせつを認めた事例て、あり, 7歳の女児につき肯定した事例として新潟地判昭63・8・26判時1299'}152頁がある).そのような場合でも,性的意識が全く発達していないとはいえず,社会通念上も性的感情の侵害があると見られるからである.
男子の乳房については,社会通念からいって,それだけではわいせつ行為とはしがたい場合が多いであろう.
【接吻】接吻については,前掲諸判例のほか,大阪高裁昭和41年9月7日判決(判タ199号187頁),仙台高裁昭和49年12月10日判決(高検速報(昭49) 9号)及びこの判決に対する上告審決定(最決昭50・6・19裁判集〔刑事J196号653頁),東京地裁昭和56年4月30日判決〔判時1028号145頁) (頬に接吻しようとした事例入男性聞の接吻につき大阪地裁昭和43年2月6日判決(判タ221号237瓦) (35歳の男が11歳の男の子に強いて接吻したのを強制わいせつと認めた事例)参照.
21 【性交等】性交は,もちろんわいせつ行為の一種である.姦淫が強姦罪等になる場合に特別法一般法の関係によって本罪が成立しないことになるというにとどまる.したがって,女子の男子に対して行う姦淫は,本条前段あるいは後段に当たり得る(団藤・注釈(4)
〔所J294頁).
22 男女に強いて性交をさせる行為も同様である(岡藤・注釈(4)C所J294頁ー留1路地北見支判昭53・10・6半11 タ374号162頁参照).いわゆる鶏姦等の同性愛行為もわし、せつ行為である(小野
ら・註釈416頁).
23 少年の紅門に異物を挿入する行為もわいせつ行為となる(東京高判昭59・6・13判時1143号155頁).
24 直接体に触れなくても,裸にして写真をとる行為は本条に当たり得る(東京高判昭29・5・29特報40号138頁,東京地判昭62・9・16判|侍1294号143頁,静岡地浜松支判平11・12・1判タ1041号293頁).単に裸にするだけでも同じであり,公然を要しない(間藤・注釈(4)C所J294頁).
25 【その他】単に抱きすくめる行為(名古屋地判昭48・9・28判時736号110頁.抱きしめる行為が「わいせつ行為」になり得ることについて,東京高半11平20・7・9高検速報(平20) 121頁),男が女の上に馬乗りになる行為(大阪高判昭29・11・30裁特l巻12号584頁),着衣の上から臀部を撫でる行為(福島簡判附33・1・18→審JflI集I巻1号21貞〕等は,それだけで、はわいせつ行為とはいえない場合もあろうが,例えば,名古屋高判平15・6・2判時1834号161頁は着衣の上から臀部を撫でる行為について,東京高判平13・9・18東時52巻1~ 12号54頁はパンツの上から臀部・大腿部を撫で、る行為について,それぞれ本罪の成立を認めている.

強制わいせつ罪の成立と行為者の性的意図の要否
最高裁平成29年11月29日大法廷判決最高裁調査官馬渡香津子 ジュリスト1517 p78
V・「わいせつな行為」の定義,判断方法
1. 「わいせつな行為」概念の重要性性的意図が強制わいせつ罪の成立要件でないとすれば, 「わいせつな行為」に該当するか否かが強制わいせつ罪の成否を決する上で更に重要となり, 「わいせつな行為」該当性の判断に際して,行為者の主観を一切考慮してはならないのかどうかを含め, これをどのように判断し,その処罰範囲を明確化するのかが問題となる。
また,強制わいせつ致傷罪は,裁判員裁判対象事件であることも考えれば, 「わいせつな行為」の判断基準が明確であることが望ましい。
2 定義
(1) 判例,学説の状況
強制わいせつ罪にいう「わいせつな行為」の定義を明らかにした最高裁判例はない。
他方, 「わいせつ」という用語は,刑法174条(公然わいせつ), 175条(わいせつ物頒布罪等) にも使用されており, 最一小判昭和26.5. 10刑集5巻6号1026頁は, 刑法175条所定のわいせつ文書に該当するかという点に関し, 「徒に性慾を興奮又は刺激せしめ且つ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道義観念に反するものと認められる」との理由でわいせつ文書該当性を認めているところ(最大判昭和32.3・13刑集ll巻3号997頁〔チャタレー事件〕も,同条の解釈を示すに際して,その定義を採用している),名古屋高金沢支判昭和36.5.2下刑集3巻5=6号399頁が,強制わいせつ罪の「わいせつ」についても, これらの判例と同内容を判示したことから,多くの学説において, これが刑法176条のわいせつの定義を示したものとして引用されるようになった(大塚ほか編・前掲67頁等)。
これに対し,学説の中には,刑法174条, 175条にいう「わいせつ」と刑法176条の「わいせつ」とでは,保護法益を異にする以上, 同一に解すべきではないとして,別の定義を試みているものも多くある(例えば, 「姦淫以外の性的な行為」平野龍一.刑法概説〔第4版) 180頁, 「性的な意味を有する行為,すなわち,本人の性的差恥心の対象となるような行為」山口厚・刑法各論〔第2版] 106頁, 「被害者の性的自由を侵害するに足りる行為」高橋則夫・刑法各論〔第2版〕124頁, 「性的性質を有する一定の重大な侵襲」佐藤・前掲62頁等)。
(2) 検討
そもそも, 「わいせつな行為」という言葉は,一般常識的な言葉として通用していて,一般的な社会通念に照らせば, ある程度のイメージを具体的に持てる言葉といえる。
そして, 「わいせつな行為」を過不足なく別の言葉でわかりやすく表現することには困難を伴うだけでなく,別の言葉で定義づけた場合に,かえって誤解を生じさせるなどして解釈上の混乱を招きかねないおそれもある。
また, 「わいせつな行為」を定義したからといって, それによって, 「わいせつな行為」に該当するか否かを直ちに判断できるものでもなく,結局,個々の事例の積み重ねを通じて判断されていくべき事柄といえ, これまでも実務上,多くの事例判断が積み重ねられ,それらの集積から,ある程度の外延がうかがわれるところでもある(具体的事例については,大塚ほか編・前掲67頁以下等参照)。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200109-00000044-mai-soci
逮捕容疑は2019年11月5日午後11時5分ごろ、同市南区大橋1の歩道で同区のアルバイトの少女(当時18歳)に突然後ろから抱きつき、耳をなめるなどのわいせつな行為をしたなどとしている。「間違いない」と容疑を認めている。

略式命令には仮納付命令を付せないこと

 略式命令に付いてくる仮納付命令には明文の根拠がありません。
 正式裁判によって罰金額が下がったときの精算についても規定がありません。
 交通事件即決裁判の場合は弁護人が関与して、仮納付関係の主張立証も期待できるのですが、略式命令の場合は、法廷が開かれないし、弁護人も関与しないので、その点の主張立証が期待できませんよね。弁護を受ける権利侵害も言えそうです。罪刑法定主義違反も。遅くとも控訴趣意書で憲法違反の主張をしておくこと。
 

交通事件即決裁判手続法
(被告人及び弁護人の出頭)
第九条 被告人が期日に出頭しないときは、開廷することができない。
2 被告人が法人であるときは、代理人を出頭させることができる。
3 弁護人は、期日に出頭することができる。
(期日における取調)
第十条 期日においては、裁判長は、まず、被告人に対し、被告事件の要旨及び自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。
2 前項の手続が終つた後、裁判長は、被告人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
3 裁判所は、必要と認めるときは、適当と認める方法により被告人又は参考人の陳述を聴き、書類及び証拠物を取り調べ、その他事実の取調をすることができる。
4 検察官及び弁護人は、意見を述べることができる。
(仮納付)
第十五条 裁判所は、即決裁判の宣告をする場合において相当と認めるときは、附随の処分として、被告人に対し、仮に罰金又は科料に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
2 前項の仮納付の裁判は、直ちに執行することができる。但し、正式裁判の請求があつたときは、この限りでない。
3 刑事訴訟法第四百九十条、第四百九十三条及び第四百九十四条の規定は、第一項の仮納付の裁判の執行について準用する。この場合において、同法第四百九十三条中「第一審」とあるのは「即決裁判手続」と、「第二審」とあるのは「第一審又は第二審」と読み替えるものとする。

文献まとめておきました。

略式命令には仮納付命令を付せないこと 3
2 消極説の根拠 3
①法348条の文言 3
略式手続七訂版 4
略式手続の研究 4
④書記官研修所研修資料第6号「刑事実務の研究」 6
⑤横井大三「新刑事訴訟法逐条解説Ⅲ」P145 9
⑥瀧川幸辰「法律学体系コンメンタール刑事訴訟法」P500 10
⑦横川敏雄「刑事裁判の実際」P155 11
⑧刑事裁判資料67号 P322 12
⑨岸盛一 新刑事訴訟法義解P72 13
⑩ 安平政吉 改正刑事訴訟法(下) 14
⑪高田卓爾 刑事訴訟法p597 15
⑫ 罪刑法定主義憲法31条)違反 16
⑬ 弁護人選任権(憲法37条3項)の侵害 16
3 積極説からの問題点 18
略式手続(七訂第二補訂版)p50(h29) 18
略式手続の理論と実務p65 20
略式手続の研究s32 裁判所書記官研修所資料 p50 21
略式手続執務資料(最高裁判所事務総局編・法曹会・平成4年) 22
4 刑訴法改正の沿革を見ても、立法の必要が認識されていたのに、立法化が断念されたこと。 23
①福島至「略式手続の研究」 23
②諮問第7号(刑事訴訟法改正)に関する法制審議会議事録(検察資料61)法務省刑事局, [1953] 27
ア 刑事訴訟法改正の問題点 27
イ問題点説明要旨 28
ウ 第二回刑事訴訟法小委員会p98~ 29
エ 第三回刑事訴訟法小委委員会p135~ 32
オ 予納制度 p215 34
カ 徴収事務における不正が危惧されているp434 36
キ 第6小委員会で予納という代案が出た 36
ク 第11小委員会で撤回されている。 38
5 「仮納付命令に関する申述書」も根拠がないこと 38
6 高裁判例 39
①大阪高裁R011224 39
福岡高裁h26.2.26 40
名古屋高裁h30.10.30(白い粉事件) 40

コンビニのアルバイトが酒・たばこを売った場合、酒については営業者のみが処罰され、たばこについては、販売者(バイト)と経営者が処罰される

 酒については営業者だけの真正身分犯ですね。
 弁護士ドットコムで聞くと、酒についてもバイトが処罰されるという回答になるようです。

未成年者飲酒禁止法
第一条[未成年者の飲酒禁止]
③営業者にして其の業態上酒類を販売又は供与する者は満二十年に至らさる者の飲用に供することを知りて酒類を販売又は供与することを得す
④営業者にして其の業態上酒類を販売又は供与する者は満二十年に至らざる者の飲酒の防止に資する為年齢の確認其の他の必要なる措置を講ずるものとす

改訂特別刑法〔4:風紀・防犯、警察取締、労働〕(安西温著・警察時報社・平成3年)
営業者とは、当該営業の収支損益の帰属する実質上営業の主体と認められる者をいい、形式上営業許可名義人となっているか否かを問わない
営業者は、その代理人・同居者・使用人その他の従業者がその業務に関し違反行為をしたときに処罰されることがあるが(四条二項〉、その場合においても、実際の行為者である代理人や従業者を処罰する規定はなく、処罰の対象となるのはあくまで営業者のみであって・・・

未成年者喫煙禁止法
第五条 満二十年ニ至ラサル者ニ其ノ自用ニ供スルモノナルコトヲ知リテ煙草又ハ器具ヲ販売シタル者ハ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
第六条 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ関シ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ対シ同条ノ刑ヲ科ス


https://www.bengo4.com/c_18/bbs/%E6%9C%AA%E6%88%90%E5%B9%B4%E8%80%85%E9%A3%B2%E9%85%92%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%B3%95/

https://www.bengo4.com/c_1009/c_20/b_836302/
> コンビニでアルバイトをしている高校生が自分の友達(未成年)に酒やタバコを販売した場合、未成年者飲酒禁止法未成年者喫煙禁止法に該当するのは誰ですか?
アルバイトの高校生ですね。

下着露出が刑法犯というのは初耳です。。。【舟橋弁護士】例えば、胸や下半身などの陰部が見えてしまう、または明らかに下着が見えてしまう、などがNGラインと言えるでしょう。布一枚へだててほぼ下着が透けている、というものNGでしょう。こういった場合、刑法でいうところの『公然わいせつ罪』に該当する可能性があります。

 昔から「接吻や乳房を露出する行為は,それのみではわいせつといえないであろう」「接吻や乳房露出などはわいせつ行為ではない。」と解説されています
 軽犯罪法とか迷惑条例とかを検討してみてはどうでしょう。

http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2017/07/12/000000
刑法第一七四条(公然わいせつ)
 公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
・・・
軽犯罪法1条
二十 公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者
・・・
条解刑法
3) わいせつわいせつの語は,本条以外でも用いられており,各条によってその解釈には若干の違いが生じるが本条においては次条の場合とほぼ同様に,性欲を刺激,興奮又は満足させる行為であり,普通人の性的差恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為をいうものと解される。次条注2同参照。
社会におけるいわゆる風俗営業の内容は,時代に応じて変化しているから,本罪に該当するわいせつな行為を指摘し尽くすことは困難である。わいせつの概念も社会と時代につれて変わり得るが,殊更に陰部を露出する行為や,性交又は性交類似の行為を公然と行うことが本罪に該当することは,当分変わらないであろう(注釈(4)282,大コンメ2版( 9113)。これまでにわいせつとされた具体的な例としては,陰部を露出するストリップショー(最判昭25・11・21集4-11-2355,最決昭30・7・1集9-9-1769),張り形を用いて行う性交の実演(最決昭32・5・22集115 1526)' 見物客にのぞかせながら密室内で行う性交の演技(大阪高判昭30・6・10高集85 649)等がある。他方,接吻や乳房を露出する行為は,それのみではわいせつといえないであろう(ポケット412
・・・
ポケット注釈刑法第3版
姦淫は猥褻行為であるが、接吻や乳房露出などはわいせつ行為ではない。入浴のためや美術上のモデルとなるためなど正当理由のある揚合でない限り、全抑制はおおむね狼裂の観念にはいるものと解されてきた。しかし、「猥褻」の概念は社会通念として変化しつつある。特別の姿態をしない単純な全裸は、美術鑑賞に近い場合として猥褻でないと認めてよいことも多くあるであろう。
・・・
池本判事 裁判例コンメンタール刑法
3 わいせつ行為
わいせつ行為は、基本的には後記175 条と向様、いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的基恥心を脅し善良な性的道義観念に反するものである。この程度に至らない身体の一部露出、排尿行為等は軽犯罪法1 条20 号、26号違反となり得るにすぎない。
(2) 否定例
福島簡判昭33・1・18一審刑集1 ・1 ・21 は、いわゆる触り魔のような事案であるが、友性の臀部を着衣の上から数回手で撫でまわした行為の性的行為性を存定し、公然わいせつ罪を無罪としている。
なお、公然性との兼ねあいで、性器を露出してもわいせつ性が存定されることもあり得る(前田各論409、山中各論Ⅱ655) 。東京高判、H17 ・2 ・7く未>は、6 月ド旬の早暁に人通りのない路地で男性が墜に向かいズボンを下ろして陰部を露出した行為につき、ことさらに他人に示したとか性的興奮を満足させるための行為と認められないなどとして、公然わいせつ罪の成立を否定した。

https://www.oricon.co.jp/special/54138/
露出にまつわる犯罪といえば『公然わいせつ罪』が思い浮かぶが、法律的な視点ではどこまでがOKで、どこからがNGなのか? コミケコスプレイヤーや来場者の声とともに、レイ法律事務所の舟橋和宏弁護士に話を聞いた。
・・・
 それぞれ、「行き過ぎた露出はよくない」という意識はあるようだが、置かれた立場によって、微妙な温度差が感じられる。では実際、コスプレの露出はどこまでがOKで、どこからがNGなのか。法律的な視点を舟橋弁護士に語ってもらった。
『公然わいせつ罪』で処罰されると6ヶ月以上の懲役、30万円以下の罰金
――法律的には、どこまでがOKでどこからがNGなのですか?

【舟橋弁護士】例えば、胸や下半身などの陰部が見えてしまう、または明らかに下着が見えてしまう、などがNGラインと言えるでしょう。布一枚へだててほぼ下着が透けている、というものNGでしょう。こういった場合、刑法でいうところの『公然わいせつ罪』に該当する可能性があります。

――逮捕もありうるのでしょうか?

【舟橋弁護士】可能性という意味ではゼロではありません。そして、逮捕されて『公然わいせつ罪』として処罰される場合には、6ヶ月以上の懲役、30万円以下の罰金が課せられ、いわゆる「前科」がつくことになります。

単純所持罪の量刑は罰金20~30万円

厚生労働省で聞きました
https://www.sankei.com/region/news/191221/rgn1912210011-n1.html
3号ポルノの携帯電話1台の単純所持罪・罰金30万円→戒告
1号・2号・3号ポルノのdvd1枚の の単純所持罪・罰金20万円→戒告

業界誌には戒告でも実名が掲載されています。

医師が強制わいせつ致傷罪で起訴された場合の行政処分の見込み

医師が強制わいせつ致傷罪で起訴された場合の行政処分の見込み

 医師の刑事事件3件の弁護人で、有罪の場合の量刑と、行政処分の軽重・処分の時期を調べています。時期が知りたいのは、病院を貸したい・アルバイトの医師を手配したいということらしいです。

 実刑の場合は医師免許取消になりますが、致傷罪で執行猶予になった場合の、行政処分については
H15.2.18 取消 準強制わいせつ致傷 懲役3年執行猶予5年
H22.10.6 取消 強姦致傷 懲役3年執行猶予 4年
という前例があって、いずれも医師免許取消になっています。
 とすると、捜査段階で、必死で否認するとか、必死で示談するとかして、必死で起訴を回避することになりますし、起訴されると、強制わいせつ致傷を認めるには、それなりの覚悟が要りますし、必死で争うという選択も検討します。

https://www.nikkansports.com/general/news/201912270000003.html
わいせつ疑い医師在宅起訴、被害女性は片目ほぼ失明
[2019年12月27日0時19分]
三重県松阪市で開業する整形外科医院内で30代女性の体を触った上、片目にけがをさせたとして、津地検は26日、強制わいせつ致傷罪で「まんのう整形外科」の院長(53=同市)を在宅起訴した。捜査関係者によると、女性は片目がほぼ見えない状態になった。女性は患者ではないという。
起訴状などによると、被告は2015年3月24日、医院内で椅子に座っていた女性の胸を触ったり、額にキスをしたりするなどしたとしている。女性は避けようとして椅子から転落し顔面を強打。片目に全治不能のけがをした。
県警が強制わいせつ致傷容疑で17年11月に書類送検したが、地検は不起訴処分とした。女性が決定を不服とし、津検察審査会に審査を申し立てた。審査会は不起訴不当と議決し、地検が再捜査していた。
同院のウェブサイトによると、被告は09年に開業して独立。整形外科のほかにリウマチ科やリハビリテーション科がある。(共同)

男児が被害者の強制性交事件(高松地裁R01.9.4)

 D1LAWに掲載されました。
 児童淫行罪の罪となるべき事実としては、影響関係(立場利用)が記載されていないので、理由不備の疑いがあります。
okumuraosaka.hatenadiary.jp


 そもそも男児は強姦されているのに、「(男児が被告人に)淫行した」と評価されるのかも疑問です。

高松地方裁判所
令和01年09月04日
上記の者に対する強制性交等、児童福祉法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官新甚康平及び弁護人坪井智之(国選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、
第1 ●●●(●●●当時12歳。以下「被害児童」という。)が18歳未満の児童であることを知りながら、平成30年12月27日午後3時3分頃から同日午後3時41分頃までの間、(住所略)の当時の被告人方において、同児童に対し、同児童が被告人の乳首を吸うなどの姿態をとらせ、これを撮影機能付きスマートフォンで撮影し、その動画データ7点及び静止画データ15点を同スマートフォン内の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した
第2 被害児童が13歳に満たない児童であることを知りながら、平成31年1月22日午前9時頃から同日午前9時30分頃までの間に、前記被告人方において、同児童と性交し、もって13歳未満の者に対し、性交するとともに児童に淫行をさせる行為をしたものである。

中略
(量刑の理由)
 本件は、成人である被告人が、オンラインゲームを通じて知り合った被害児童に係る児童ポルノを作成し、同児童に対して強制性交等をしたという事案である。
 まず、本件の量刑を決める上で中心となる判示第2の罪について検討する。
 被告人は、被害児童が犯行当時小学生であり、精神的に未熟で、判断能力や性的知識に乏しいことにつけ込んで、被害児童に性的知識を積極的に教示し、自らの性的要求に応じる状況を作出した上で犯行に及んだというその態様は、悪質である。
 また、被告人は、被害児童から、小学生と性行為をしても問題ないかどうかを問われたにも関わらず、被告人との性行為の事実を他言しないよう被害児童に伝えると、被害児童に与える悪影響すら考えずに犯行に及んでおり、自己の欲求を優先させた被告人の軽率で身勝手な意思決定には厳しい非難が値する。
 さらに、年齢不相応の性交等をしたことによって、被害児童の情操に悪影響を及ぼしたおそれは高く、被害結果も大きい。
 次に、判示第1の罪についてみても、被告人は、被害児童が写った複数の児童ポルノを作成し、当該児童ポルノを社会に拡散する危険性を生じさせている。
 他方で、メッセージアプリ内での被告人と被害児童との間のやり取りを見ると、性的な内容のメッセージが数多く存在する一方で、互いに好意を伝え合うやり取りが頻繁になされているほか、将来的には結婚したい旨のやり取りなども行われている。そうすると、本件犯行当時、被告人及び被害者の双方が相手に対する恋愛感情を有しており、被告人は、同感情がゆえに判示第2の犯行に及んだと認められ、専ら性欲処理のために行われたとみられる事案が多い同種事案の中では、本件動機の悪質性は低い。また、その態様も、暴行脅迫といった手段は用いられていない。
 さらに、被告人と被害児童との間で、被告人が被害弁償金150万円を支払うとともに、今後一切被害児童に連絡、接触等しない旨などを内容とする示談が成立したことで、被害児童及びその母も被告人を宥恕し、厳罰を求めていない。
 以上を踏まえると、本件の強制性交等(判示第2)においては、単独犯が凶器等を用いることなく性交等を完遂し、被害者との間で示談が成立しているか又は被害者が宥恕している場合の同種事案の中で、執行猶予に付されるべき事案に位置付けられるというべきである。
 もっとも、本件全体としてみると、被告人の親族が今後の監督を誓約しているものの、これまでの生活状況等も併せ鑑みると、被告人に対し、酌量減軽の上、主文掲記の懲役刑に処し、その刑の執行を猶予した上、その猶予の期間中、保護観察に付するのが相当である。
 よって、当裁判所は主文掲記の刑が相当であると判断した。
(検察官の求刑-懲役5年、弁護人の科刑意見-執行猶予付き判決)
刑事部
 (裁判長裁判官 三上孝浩 裁判官 濵優子 裁判官 三好瑛理華)

「いま、何事件の弁護人やってますか?」という質問について

児童福祉法違反
準強姦
邸宅侵入
強姦
強姦未遂
強制わいせつ(176後段)
強制わいせつ(176前段)
強制性交等
窃盗
児童買春・児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
住居侵入
青少年の健全な育成に関する条例違反(東京都)
少年愛護条例(兵庫県)違反
青少年健全育成条例違反(大阪府)
青少年健全育成条例違反(徳島県
青少年保護育成条例違反(沖縄県
奈良県青少年の健全育成に関する条例違反(奈良県
有印私文書偽造・同行使
わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

大谷先生改説~「性的差恥心を抱くような自己決定の自由に対する罪」つまり「性的自由に対する罪」と改めることにした。

 大法廷h29.11.29に影響受けてる

大谷刑法講義各論新版第5版
p119
性的感情に対する罪
わいせつ罪または性交等罪の保護法益は,個人の性的白由であるとするのが従来からの通説である。これに対し本書は,初版以来,性的自由に対する罪と併せて正常な性的差恥心も保護法益であると主張してきた。その理由は,本罪の保護法益を単純に性的自由にすぎないと解すると, とっさに接吻する行為や人の陰部に手で触れる行為など, 自由の侵害を伴はない性的行為も含まれてしまい無限定となるところから,正常な性的差恥心を害するような行為に限定すべきであると考え,あえて性的蓋恥心を害する行為を含ませる趣旨で性的感情に対する罪の観念を導入して自説を展開してきた次第である。これに対して近年においては, 「人が性的差恥心を抱くような事項についての自己決定の自由が保護法益の内容である」とする見解が通説となってきた2.この見解は,性的差恥心を性的自由概念の中核として捉えている点で妥当であり,また,性的自由と性的感情を別個のものとしてきた私見よりも優れているところから,今日の通説に倣って,本罪を「性的差恥心を抱くような自己決定の自由に対する罪」つまり「性的自由に対する罪」と改めることにした。
1大谷・新版第4版補訂版1 11頁。なお,西田・第6版89頁。
2山口・105頁。なお,中森・65頁,西田・99頁,高橋・136頁。
(1) わいせつな行為
本罪は,人に対して「わいせつな行為」をしたときに成立する。わいせつな行為とは,判例によると「徒に性欲を刺激又は興奮させ,かつ,普通人の正常な性的蓋恥心を害し,善良な性的道義観念に反する行為」とされている1,
本書の旧説では,本罪における「わいせつな行為」の意義も基本的には判例と同趣旨と解すべきであるとしてきたが5,既述のごとく,本罪の保護法益を性的自己決定の自由と改めたことに関連して,判例の定義に一部従いながら, 「わいせつな行為とは,普通人の性的蓋恥心を害する行為をいう」と改めることにした6.近年では, 「わいせつな行為」を定義するにあたり,公然わいせつ罪の場合は, 「(自ら行うか否かについての)性的な自由の対象となる行為である」のに対し,強制わいせつ罪の場合は, 「(他人が行うことを見るか否かについての)性的自由の対象となる行為」をいうとして,性的自由の点からわいせつの定義をする説が有力となっている7, しかし,こうした見解からは,わいせつの意義は明らかにならないと考える。問題は,性的自由を侵害する「わいせつな行為とは何か」にあり,私見は,その時代の社会における「普通人の正常な性的蓋恥心を害する行為」であるということに帰着する。無理やりキスをする行為,乳房や陰部に触れる行為8などは,当分の間は, 「普通人の正常な性的差恥心を害する行為」として, 「わいせつな行行」と認められるであろう。
性的差恥心を侵害する行為
新潟地判昭和63年8月判時1299号152頁は,性的に未熟な7歳の女子でも女性としての自己を意識しており,胸等に触れられる行為には差恥心・嫌悪感を抱いていたのであるから本罪の客体になるとした。しかし,被害者が性的感情としての「蓋恥心・嫌悪感」を抱いたかどうかではなく, 「普通人の正常な性的差恥心を害する行為」すなわち一般人を基準として性的蓋恥心を害される行為といえるか否かが問題の核心であろう。具体的には,乳房や陰部を触る行為9,裸にして写真を撮る行為10などがわいせつに当たる。
4名古屋高判金沢支判昭36.5.2下刑集3.5=6.399,最大判昭32.3. 13刑集11 .3.997.
5大谷・新版第4版補訂~版113頁。
6なお,前田・93頁。
7山口・107頁。なお,曽根・66頁,中森・65頁,高橋・128頁。
8東京高判昭32. 1 .22刑集10. 1 . 10.
9名古屋高金沢支判昭36.5.2下刑集3.5=6.399.
1o東京高判昭29・5.29判時40. 138.
1lなお,大塚・99頁。

本罪の主観的要素として,故意のほかに行為者自身の「性的意図」ないし「猥褻の傾向」が必要であるとする見解があった。また,最高裁判例は,強制わいせつ罪が成立するためには, 「犯人の性欲を刺激させ又は満足させるという性的意図が必要である」'8とし,被告人がもっぱら被害者の女性に報復し,侮辱し虐待する目的で被害者である23歳の女性を裸にして写真撮影をしても,強制わいせつ罪は成立しないとされたのである。
18最判昭45・1 ・29刑集24. 1 ・1。

学説においては, このような性的意図は,保護法益である性的自由の侵害の有無と無関係であるとして, この要件は不要とする見解が有力となっていた9。
最高裁判所は, こうした学説の流れを踏まえて,平成29年11月29日大法廷判決によって,被告人は,性的意図はなく金を得る目的で,7歳の女に対し,被告人の陰茎を触らせ,口にくわえさせ,陰部を触るなどの行為ついて, 「性的意図」を一律に本罪の成立要件とすることは相当でないと判して,強制わいせつ罪の成立を肯定し, 「昭和45年の判例の解釈は変更さるべきである」としたのである2。
性的意図は,性的自由の侵害の有無とは無関係であるから, これを本罪の主観的要件とすることは妥当でなく,その意味で,最高裁の新判例は妥当であると考える。
19団藤・491頁,平野・180頁中森・66頁,西田・100頁,前田・96頁,山口・108頁,高橋.132頁。
20最大判平29. 1 1 .29刑集71 .9.467.

「恩赦が認められれば「復権」となり、取り消された医師免許などの国家資格を再取得できる。公民権も復活する。」という中日新聞の誤報

 未だにこんなこと書いてる。
http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2019/11/01/185446
どこからの情報でこんなデマを繰り返すのかわかりません。
 医師の場合、刑事処分で免許取消になって、罰金刑が復権になっても、行政処分には影響がないから、免許取消のままです。再免許申請は「取消後5年以降」とされていて(医師法7条3項)、復権は関係ありません。再免許の事例はほとんどありません。
 だいたい児童買春罪で罰金になった医師・看護師は業務停止数ヶ月になって、免許取消になることもなく、復権されてもされなくても、数ヶ月で復帰します。
 復権のメリットを受けるのは、医師関係では、罰金刑になった医学生の医籍登録に際して、復権していれば免許の保留がなくなるという場合です。復権しなければ罰金刑執行終了後5年経過しないと、免許の保留を受けるところ、政令恩赦や特別基準恩赦で復権すれば、免許の保留なく、医籍登録受けられるということになります。

医師法
第七条 医師が、第三条に該当するときは、厚生労働大臣は、その免許を取り消す。
2 医師が第四条各号のいずれかに該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつたときは、厚生労働大臣は、次に掲げる処分をすることができる。
一 戒告
二 三年以内の医業の停止
三 免許の取消し
3 前二項の規定による取消処分を受けた者(第四条第三号若しくは第四号に該当し、又は医師としての品位を損するような行為のあつた者として前項の規定による取消処分を受けた者にあつては、その処分の日から起算して五年を経過しない者を除く。)であつても、その者がその取消しの理由となつた事項に該当しなくなつたとき、その他その後の事情により再び免許を与えるのが適当であると認められるに至つたときは、再免許を与えることができる。この場合においては、第六条第一項及び第二項の規定を準用する。
4 厚生労働大臣は、前三項に規定する処分をなすに当つては、あらかじめ、医道審議会の意見を聴かなければならない。

特報 性犯罪も即位恩赦 なぜ 罰金刑対象に一律復権 未治療で再犯懸念 被害者配慮 骨抜き
2019.12.06 朝刊 15頁 朝刊特報面 (全2,646字) 
 天皇陛下の即位に伴う「即位礼正殿の儀」に合わせた恩赦が、性犯罪者なども対象に含めていることを疑問視する声が出ている。条件を満たしていれば一律に資格を回復する「政令恩赦」は十月に実施されたが、本人の出願に基づく「特別基準恩赦」は来年一月二十一日までが手続き期間。あるNPO法人は「再犯率が高い性犯罪者は除くべきだ」と訴えている。(大野孝志、安藤恭子

 「子どもへの性犯罪は、初犯はだいたい罰金刑。恩赦で一律に資格が回復できるなんておかしいと思いませんか」。児童買春・ポルノ、アダルト動画の出演や売春の強要などから女性らを救う東京都内のNPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」の藤原志帆子理事は言う。

 今回の恩赦には「政令恩赦」と「特別基準恩赦」の二種類がある。いずれも対象は主に罰金刑で、「政令」は刑執行から三年以上。「特別基準」は本人の出願に基づき、個別に審査される。認められれば「復権」となり、取り消された医師免許などの国家資格を再取得できる。公民権も復活する。

 藤原理事は「児童ポルノ所持や児童買春で罰金刑を受けた者が復権すれば、医師や看護師といった、子どもに接する機会が多い資格を再び得られることになる」と恐れる。

 性犯罪は再犯率が高いとするデータもある。法務総合研究所の二〇一五年度の調査では、性犯罪の前科が二回以上ある者のうち八割が、その後に子どもへの性犯罪で摘発されていた。米国は「未治療の性犯罪者が生涯に出す被害者は三百八十人」との調査結果もある。

 ライトハウスの昨年一年間の相談者は二百四十一人。今年は既に昨年の倍以上の五百六十五人に上り、うち十八歳未満が百十四人と二割を占める。警察や弁護士、医療機関などと連携して対応し、緊急性があれば一時保護もしている。

 相談内容からは、トラウマ(心的外傷)に長く苦しむ被害者の姿が浮かぶ。ある女性は高校時代に交際相手の男に性暴力を受け、その様子を撮影された。別れた後も画像がインターネットに拡散されるのではないかとおびえ、眠れぬ夜が続き、ライトハウスに相談。男は児童ポルノ所持の疑いで逮捕されたが、藤原理事は「おそらく罰金刑だったでしょう」と語る。
 精神科医や看護師による性暴力の相談もあるという。

 ライトハウスは発起団体になり、特別基準恩赦の対象から子どもへの性犯罪者を除外するよう求める署名活動をインターネットで始めた。目標は一万人で、先月末で二千八百人が署名。年内に法相と首相に提出する方針だ。

 法務省は恩赦の目的を「慶事に当たり、罪を犯した者の改善更生の意欲を高めさせ、その社会復帰を促進する」としている。藤原理事は「更生というのなら、恩赦と並行して性犯罪者を治療したり、子どもに接する仕事に就けないようにしたりする取り組みが必要ではないでしょうか」と主張した。

 今回実施された政令恩赦の対象は約五十五万人。有罪で生じた資格制限をなくす復権が、即位礼正殿の儀があった十月二十二日に一律で認められた。特別基準恩赦は本人の出願を受け、法務省の中央更生保護審査会(中更審)が、犯情や本人の性格などを踏まえて審査する。重い病気で刑の執行が長期間停止され、今後も執行が難しい人の「刑の執行免除」も審査される。特別基準恩赦で認められるのは千人程度とみられる。

 今回は有罪判決を無効にする「大赦」、刑罰を軽くする「減刑」はなく、重大犯罪を含めて懲役刑や禁錮刑になった者も対象にしなかった。昭和天皇大喪(一九八九年)と天皇陛下(現上皇さま)即位の礼(九〇年)の際に政令恩赦が行われた前回の代替わりと比べ、対象者は大幅に減った。

 背景には、二〇〇五年の犯罪被害者等基本法施行など、被害者感情を重視するようになった社会情勢の変化がある。法務省保護局は「国民感情、特に犯罪被害者やご家族の心情に配慮した」と説明する。

中日新聞社