児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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今井將人「強制わいせつ及び強姦の犯行状況を隠し撮りしたデジタルビデオカセットが「犯罪行為の用に供した物」に該当するとして没収した事例最高裁平成30年6月26日決定(裁判所ウェブサイト登載)」捜査研究2018年9月号p2


 撮影行為はわいせつ行為、児童ポルノ製造はわいせつ行為で、観念的競合でどうですか?

今井將人「強制わいせつ及び強姦の犯行状況を隠し撮りしたデジタルビデオカセットが「犯罪行為の用に供した物」に該当するとして没収した事例最高裁平成30年6月26日決定(裁判所ウェブサイト登載)」捜査研究2018年9月号p2

(2) また,第一審判決で, 「このような被告人による隠し撮りは, Bら4名に対する実行行為そのものを構成するものでなく, もとより被告人がこうした隠し撮りを行ったことをもって訴追されたわけでもない」とされているように,本件では,撮影行為自体は実行行為の一部とされていなかった。
しかし,事案によっては,わいせつ行為等を撮影する行為自体も,強制わいせつ等の実行行為の一部として評価し,公訴事実に含めることが可能であると考えられるところであり9),例えば,直接身体に触れなくても,被害者を裸にして写真を撮る行為が,わいせつな行為に当たるとした裁判例(東京地判昭和62年9月16日判例時報12糾号143頁),被害者の寝姿をビデオ撮影しながら自慰行為を行い着衣に精液をかけた一連の行為について準強制わいせつ罪の成立を認めた裁判例(福岡地判平成13年10月17日警察公論第58号第1巻59頁。),婦人科医が,患者3名に対して, 同人らが治療に必要な診察のみを受け,それ以外の行為を受けることはないと誤信して抗拒不能の状況にあるのに乗じ, 同人らにわいせつな行為をしようと考え,診察室において,看護師の立ち会いのない診察時に,下半身の衣類を脱いで, 同室の内診台に仰向けに寝て開脚し,抗拒不能の状況にある同人らに対し, 同人らの同意なく,無断でその陰部をデジタルカメラで撮影した行為について,準強制わいせつ罪の成立を認めた裁判例(東京高判平成21年4月30日・公刊物未登載)などが参考になると思われる。
その上で,撮影行為自体が実行行為の一部と認められる場合には,撮影に用いたデジタルカメラ等は, 「犯罪行為の用に供し」た物であり,撮影されたデジタルビデオカセット等の記録媒体は,刑法19条1項3号の「犯罪行為により生じ」た物であるとして, これらを没収することができると考える余地もあり得ると思われる'0)。
9) 前掲中村・149~152頁は,撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係について詳述しており,本件についても,隠し撮りをする行為について,その他の被告人による一連の行為と相まって強制わいせつ罪におけるわいせつ行為と評価し得るものに至っているものとして,審判の俎上に載せる余地があったことなどを指摘しており,実務上参考となると思われる。
10) 前掲中村・156頁参照。

中村功一「強姦・強制わいせつの犯行状況等を隠し撮りして録画されているデジタルビデオカセットについて、犯罪行為の用に供した物として没収した事例〔宮崎地方裁判所平成27年12月1日判決・控訴中・公刊物未登載〕」警察学論集69巻2号p1451 撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係(1)刑法第19条第1項は、第1号において、犯罪行為を組成した物(犯罪組成物件)、第2号において、犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物(犯罪供用物件)、第3号において、犯罪行為によって生じ(犯罪生成物件)、若しくはこれによって得た物(犯罪取得物件)又は犯罪行為の報酬として得た物、第4号において、第3号に掲げる物の対価として得た物を、それぞれ没収の対象として規定している。
本判決は、被告人が撮影して録画された本件各デジタルビデオカセットについて、犯罪供用物件にゝl`たるとして没収を認めたものであるが、没収の対象となるか否かを検討する前提として、まず、撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係を考えてみることとする。
(2)強制わいせつ罪や強姦罪の犯人が、被害者に対するわいせつ行為や姦淫行為を撮影しつつ、被害者に対し、抵抗するなどしたときは撮影した画像をばらまくなどと申し向けたような場合には、その撮影行為は、強制わいせつ罪や強姦罪における脅迫行為の一部であるとも言い得る。
また、裸にして写真を撮影する行為が強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるとされた裁判例2.があるとおり、撮影行為が、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為3)に当たることもあるものと考えられる。
ただ、強姦罪の犯人が、その犯行状況、すなわち被害者を姦浮する状況を撮影した場合、その撮影行為は、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たり得るとしても、強姦罪における姦淫行為に当てはまるとは言えないであろう。
もっとも、同一の被害者に対して接着して強制わいせつ行為と強姦行為が行われた場合には、両者を包括して強姦の一罪が成立すると解されること4りに照らすと、強姦罪の犯人が、その犯行状況、すなわち被害者を姦浮する状況を撮影した場合において、その撮影行為が強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるときは、「可―の被害者に対して同時に強制わいせつ行為と強姦行為が行われたものであって、撮影行為についても、これらを包括して成立すると解される強姦の一罪の犯罪行為の一部として、公判における審理・判決の対象とすることができると考えてよいように思われる。
実際に発生している強姦事案を見ると、姦淫行為に様々なわいせつ行為が伴うことが多いと思われ、実務上、姦淫行為に加ぇて他のわいせつ行為をした事実が認められる事案であっても、公訴事実や罪となるべき事実において、あえてこのようなわいせつ行為を摘示することまではせず、姦淫の事実のなを摘示する場合が多いと思われる。
これは、姦淫の事実のみを摘示し、その他のわいせつ行為は重要な情状として評価すれば、適切に量刑をすることができるとの考えからであると思われ、これrl体は、実務上の取扱いとして、今理的であって妥当であると思われるが、理論上は、姦淫行為が存在し、これが強姦罪に当たると評価されることによって、その同一の機会になされたわいせつ行為、とりわけ、姦淫行為に必然的に伴うものではなく、姦淫行為に包含されるとはいえないようなわいせつ行為について、犯罪行為として評価することができなくなるというわけではないと解される。
例えば、裁判の結論に影響するのであれば、そのようなわいせつ行為も、起訴状の公訴事実として記載して公判における審理の対象に含まれるものとして明示し、判決の罪となるべき事実にも摘示することが必要となる場合が、実務的にもあり得よう。
(3)問題は、本件のように、犯行状況を隠し撮りした場合、すなわち、被害者が撮影されていることを認識していない場合である。
被害者の裸体の単なる隠し撮りについては、一般に、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為には当たらず、盗撮を禁止する地方公共団体の条例違反5'や、のぞき見を処罰する軽犯罪法違反6)に当たるとされている。
もっとも、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて行ったわいせつ行為については、準強制わいせつ罪として処罰することとされ(刑法第178条第1項)、被害者が、被害時(犯人の側から言うと、行為時)には、わいせつ行為の被害に遭っていることを認識していない、ないし認識することができない状態であっても準強制わいせつ罪が成立し得ることからすると、被害者の裸体の隠し撮りにおいて、被害者が撮影されていることを認識していないことは、わいせつ行為に当たらない根拠となるわけではないと思われる。
そうすると、仮に、被害者の裸体の単なる隠し撮りがわいせつ行為に当たらないとするのが正当であるとするならば、その根拠は、撮影行為のみでは、カメラという機械を通じてではあるし、画像という記録が残るわけではあるが、単に、既に裸体となっている姿を見るという範時にとどまる限り、この行為単独では強制わいせつ罪におけるわいせつ行為'1と評価されるにまでは至っていないからであるというところに求められると思われる8'。
そして、隠し撮りを含め、撮影行為は、着衣を脱がせて裸にするなどの他のわいせつ行為と併せて行われることによって、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に該当し得ることになるものと考えられるのであるり。
(4)もちろん、強制わいせつ罪や強姦罪の犯人がその犯行状況を隠し撮りをする行為が、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に者たるかどうかの判断に当たっては、強制わいせつ罪における性的意図の要否及びその内容についてどのような見解に立つかにもよるが、そのような隠し撮りをすることについての被告人の意図等についても、別途検討する必要があろう。
本判決は、被告人が犯行状況を隠し撮りをした目的について、「録画を行った被告人の意図については、自己の性的興奮を高めることなど、検察官が主張するような事情も、可能性としてはあり得る」としたにとどまり、「被害者らとの間で後に紛争が生じた場合に、本件各デジタルビデオカセットをその内容が自らにとって有利になる限度で証拠として利用することを想定していた」との限度でのみ認定しており、隠し撮りをした行為について、「Bら4名に対する実行行為そのものを構成するものでなく、もとより被告人がこうした隠し撮りを行ったことをもって訴追されたわけでもない」としているとおり、公判における審理・判決の対象とはされなかったようである証拠関係を承知していない立場で軽々しく断ずることはできないが、本件において、被告人は、既に裸になった被害者を単に撮影したに過ぎないというにとどまらない。
本件犯行に当たって、被告人の指示により被害者を裸にさせて施術台に横たわらせ、アイマスクを着用させていた上、撮影行為とともに、被害者の乳房を直接もむなどのわいせつ行為や、姦淫行為に及ぶなどしていたのである。
そうすると、そのような隠し撮りをする行為について、その他の被告人による一連の行為と相候って強制わいせつ罪におけるわいせつ行為と評価し得るものに至っているものとして10'、審判の俎上に上げ、そのように認定する余地もあったように感じられる。
3 犯罪生成物件該当性について本件各デジタルビデオカセットは、犯罪供用物件として没収されたものであるが、これは、いわば、未だ犯行状況が録画されていないデジタルビデオカセットを撮影に用いたということであって、そこでは、撮影行為によって、犯行状況の画像が録画されたデジタルビデオカセットが存在するに至ったこと自体は、没収の対象となるか否かを検討する上で直接的に評価されたものとは言い難い。
そこで、撮影行為をも犯罪行為、つまり、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるとした」で、犯罪行為たる撮影行為によって、犯行状況の画像が録画されたデジタルビデオカセットが存在するに至った犯罪生成物件として、当該デジタルビデオカセットを没収することはできないだろうか。
撮影行為によって、画像という電磁的記録(無体物)が生じているが、刑法第19条の規定による没収の対象は、有体物に限られるというのが、揺るぎなく確立された考え方であり、有体物であるデジタルビデオカセットそのものは犯罪行為の前後を通じて存在しており、犯罪行為によってデジタルビデオカセットという有体物が存在するに至ったものではない。
そして、強盗強姦罪の犯行において、犯人が姦浮する際の様子を撮影して記録されたビデオテープについて、犯罪生成物件として没収した原審の判断を否定して、犯罪供用物件として没収するとした東京高判平成22年6月3日判夕1340号282頁も、「〔刑法第19条第1項第3号〕の「犯罪行為によって生じ」た物とは犯罪行為によって作り出された物をいうものと解されるのであって、 上記各ビデオテープには強盗強姦の犯行がなければ撮影されなかった画像が記録されているものの、ビデオテープ自体は強盗強姦の犯行によって生じた物ではなく、同号に該当する物とはいぇないから、原判決には法令適用の誤りがある。
」としている。
しかしながら、犯罪行為によってデジタルビデオカセットという有体物が新たに存在するに至ったものではないとする上記の考え方を突き詰めていくと、犯罪生成物件に当たることについて争いのない文書偽造罪における偽造文書についても、その素材である有体物である紙そのものは偽造行為によって存在するに至ったものではないとして、犯罪生成物件に当たることが否定されてしまうことにもなりかねない。
そこで、犯罪生成物件の定義は、「当該物の存在ないしその現在の特性が、その作出を目的とした実行行為によって直接的に生じさせられたもの」とすべきであつて、前記東京高判におけるビデオテープが犯罪生成物件に当たらない理由について、強盗強姦罪は姦淫行為の録画を目的とする犯罪でないという直接目的連関性の欠如に求める見解がある(注17)。
たしかに、強盗強姦罪自体は、姦淫行為の録画を目的とする犯罪ではない。
また、撮影行為自体が犯罪行為とされていないのであれば、そもそも、録画された記録媒体について、「犯罪行為によって」生じたものということもできない。
しかしながら、被害者を姦淫する行為を撮影して記録媒体に録画する行為について、これをわいせつ行為という犯罪行為であると捉えた場合においては(注18)、文書偽造罪における偽造文書と同様に、デジタルビデオカセットのような記録媒体という素材に、犯罪行為たる撮影行為によって画像という電磁的記録を記録し、当該電磁的記録が記録された記録媒体という有体物を生じさせたとし、当該記録媒体を犯罪生成物件に該当するものとして没収することができると考える余地は、 上記東京高判を前提にしてもなお、未だ残されているように思われる。
文書偽造罪とは異なり、強制わいせつ罪において撮影行為は構成要件要素として明示されているものではないけれども、被害者を姦淫する行為を撮影して記録媒体に録画する行為がわいせつ行為という犯罪行為に当たることを認めることができるのであれば、記録媒体について、単に、犯罪行為の用に供したいわば素材としてではなく、わいせつ行為という犯罪の構成要件に該当する行為としての撮影行為によって、直接的に、画像という電磁的記録が記録された記録媒体を生じさせたものとして、これを没収することも、十分に考えられるのではないだろうかか5)例えば、東京都の公衆に若しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条第1項第2号は、「何人も、正当な理由なく、人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚ぇさせるような行為であって」、「公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する11的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」をしてはならないと規定し、その連反行為を処罰している。
6)軽犯罪法第1条第23′′は、「正当な理由がなくて人の住層、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を処罰するものとしている。
7)強制わいせつ罪におけるわいせつ行為の意義については、公然わいせつ罪等における「わいせつ」と同様に、徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的差恥心を害し、書良な性的道徳観念に反する行為をいうものといわれているが、保護法益に照らし、端的に、人の性的自由、性的感情を害する性質の行為を対象とすると解すべきであるなどともいわれている(前掲亀山‐河村67頁参照).8)しかしながら、他人の裸体等を撮影し、その動画・静止画を記録媒体に記録するという行為は、その裸体等の姿がその人の意思に反して記録に残されるものであるから、単に日で見るだけという行為とは異なるのではないかという感が拭えない。
特に、性的なプライバシーの程度が最も高いといえる性交等を含めた性的行為をしている状況を相手方の意思に反して撮影して記録に残す場合には、その感が強い9)撮影行為についてわいせつ行為に当たるとされた前掲注2)に掲げた裁判例も、裸にする行為をも併せてわいせつ行為に当たるとしている。
また、個室使所の人口扉の施錠を外して開扉し、個室使所内で和式便器にしゃがみ込んで用便中であった女性の姿態を背後から見る行為や、女性宅に侵人し、就寝中の女性の寝姿をビデオカメラで撮影しながら自慰行あをして女性の身体に向けて射精し、女性の着衣に精液をかける行為について、わいせつ行為に当たるとされた裁判例(前者について釧路地判平成14年2月28日公刊物未登載、後者について福岡地判平成13年10月17日公刊物未登載)があるが、裁判所は、前者については、「人が個室使所で用便をする ためには、着衣を引き下ろしてド半身を露出する代わりに、その姿態が他人の日に触れるのを防ぐため個=便所の人「1扉を開め、さらに施錠をするものであるから、相手方が個宅使所内で用使中であろうとの認識のもと、その姿態を眺めて自己の性的欲求を満足させる目的で、相手方が施錠した個室使所人11扉を解錠してこれを開扉し、その用便中の姿態を眺め、相手方をしてそれを自己の眼前にさらすことを余儀なくさせる行為は、自己の性的欲求を満足させるため無理矢理相手方の着衣を引き下ろしてその姿態を眺める行為と同等のものと評価することができる。
」(傍点は筆者による。
)として、わいせつ行為に該当すると判示し、後者については、「遅くとも相手方の着衣に精液をかけるに至った段階においては、乳房等への接触や接吻と同様に、相手方の性的自由を侵害するものと考えられるから、準強制わいせつ罪にいうわいせつな行為慨遂)に該当すると解するのが相当である。
」とした上で、黙苺専即々でヽマたキ?t沐悴'く`そ|てヽ、然肯本で行″。
当時1:やでてヽ、押モ々々ヾ直ちに被告人の行為を認識し得る状況にあったか否かは、同罪におけるわいせつな行為の成否を左右するものではないと解すべき」(傍点は筆者による。
)と判示している。
両裁判例についての解説として、松F裕子・警察公論58巻1号59真参照18)この場合には、撮影して録画すること自体が、撮影対象者の性的自由、性的感情を害するものであって、犯罪の「I的となっているともいえるのではなかろうか。

堀田さつき「監護者性交等罪と,児童福祉法における自己を相手方として淫行をさせる行為とが,法条競合の関係にあり,監護者性交等罪のみが成立するとされた事案(平成29年12月13日札幌地裁小樽支部判決(確定))」研修843号

 処断刑期の上限が変わるので、控訴すべきだったと思います。

第2事案の概要及び本判決の要旨
1 事案の概要
本判決により認定された事実は,被告人は, 内妻とその娘である被害者と同居し(同居開始時,被害者は小学校低学年),被害者らの生活費を相当程度負担し,被害者の身の回りの世話をするなど事実上の養父として生活していたものであるが,平成26年頃から被害者に対する性的虐待を繰り返した末,平成29年7月中旬頃被害者(当時16歳)と性交し(以下「第1行為」という。), さらに, その3日後にも被害者と性交した(以下「第2行為」という。) というものである。
検察官は,第1行為について,監護者性交等罪及び児童福祉法違反
により起訴した後,第2行為について,両罪により追起訴した。
・・・
検察官は,第1行為と第2行為との関係につき,監護者性交等罪と児童福祉法違反がそれぞれ成立し(観念的競合),それらは併合罪であると主張し(処断刑は5年以上30年以下の懲役),弁護人は,前記のとおり,児童福祉法違反は成立せず,監護者性交等罪のみが成立するとした上で,第1行為と第2行為とは
包括一罪であると主張した(処断刑は5年以上20年以下の懲役)。<<

トイレ盗撮で逮捕→強制わいせつ罪(176条後段)数回で再逮捕という事例(熊本地裁)

 こういうのはわいせつの定義を争って、撮影行為も含まれる・製造罪とは観念的競合になるという主張をして欲しいところ
 強制わいせつ罪(176条後段)と姿態をとらせて製造罪が観念的競合という判例と、姿態をとらせて製造罪は包括一罪になるという判例を組み合わせると、4回のわいせつ+製造が科刑上一罪(何回やっても処断刑期は10年)になるよね。
 初公判で被告人質問まで行くということは、カウンセリングとか突っ込んだ情状立証はないようだ。

女児にわいせつ、起訴内容認める 元小学校教諭 初公判 /熊本県
2018.09.22 朝日新聞
 勤務する水俣市の小学校に通う女子児童にわいせつな行為をし、その様子を動画撮影したとして、強制わいせつと、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)の罪に問われた元小学校教諭、■■■■■■■■被告(46)、7月2日付で懲戒免職=の初公判が21日、熊本地裁(鈴木悠裁判官)であった。■■■■■■■■被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 検察側の冒頭陳述によると、■■■■■■■■被告は15年10月ごろから16年3月ごろの間に4回にわたり、露出した自身の性器を女子児童に触らせるなどのわいせつな行為をし、所有するデジタルカメラで動画を撮影して保存していたという。児童には「内緒にしておいて」と言っていたと明らかにした。

 ■■■■■■■■被告は被告人質問で、犯行の動機について「誰かに触ってもらいたいという欲求があった」とし、「自己中心的な考えでお子さんや親御さんの思いを無視し、人間として未熟な行為をした」と述べた。(吉備彩日)
・・・・・・・
女児にわいせつ 起訴事実認める 元小学校教諭初公判=熊本
2018.09.22 読売新聞
 強制わいせつ罪などに問われた元津奈木町立小教諭■■■■■■■■被告(46)の初公判が21日、熊本地裁(鈴木悠裁判官)であった。■■■■■■■■被告は起訴事実を認めた。

 起訴状では、■■■■■■■■被告は2015年10月~16年3月頃の計4回、自らの体を教え子の女児に触らせるなどのわいせつ行為をした、などとしている。

 検察側は冒頭陳述で、■■■■■■■■被告が、性的な動画を見たのをきっかけに13年頃から、他人に体を触らせたいと思うようになったと指摘した。

 ■■■■■■■■被告は6月、飲食店のトイレで女性を盗撮したとして県迷惑行為等防止条例違反(盗撮)容疑で送検されていたが、熊本地検は8月に不起訴としていた。地検は処分理由を明らかにしていない。
・・・・・
強制わいせつの容疑、水俣の小学教諭逮捕 /熊本県
2018.07.18 朝日新聞
 水俣署は17日、、小学校教諭■■■■■■■■容疑者(46)を強制わいせつの疑いで逮捕した。水俣署によると、■■■■■■■■容疑者は小学校教諭をしていた2015年4月ごろ、県南の建物内で、当時13歳未満の女児に体を触らせるなどのわいせつ行為をした疑いが持たれている。■■■■■■■■容疑者は「弁護士と相談するまで何も話したくない」と話しているという。

 ■■■■■■■■容疑者は6月、内の飲食店のトイレで盗撮をしたとして、県迷惑行為等防止条例違反容疑で逮捕された。この報道を見て女児の親が警察に相談し、今回の容疑が明らかになったという。

 県内では教職員の不祥事が相次いでいる。県教委学校人事課によると、昨年度は高校、中学教諭による酒気帯びや窃盗など4件の事件があり、今年度も公金横領や児童福祉法違反、盗撮など、3件の事件が発生している。県教委は6月、「非常事態」として教職員にメッセージを発したばかりだった。

 県教委は「教職員の不祥事が続いている中、教職員が逮捕されたことはまことに遺憾」などとするコメントを発表。事件当時、■■■■■■■■容疑者が勤めていた小学校がある自治体の教育委員会は「現在は当自治体の教員ではないので、コメントはできない」としている。■■■■■■■■容疑者は盗撮容疑で逮捕された後、自宅待機になっていた。

2002年(H14)の愛知県内・東京都内における青少年淫行の責任

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http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/entry/2018/09/08/000000
の続報になります。

 愛知県ではs52改正で淫行処罰規定ができました。過失処罰規定があるので、自称21歳であっても年齢確認を尽くさないと処罰されうることになります。
 法定刑の変遷がありますが、h13改正で「第14条第1項目規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」になっていたので、h14の行為については公訴時効は3年です(h16改正前の刑訴法250条)。
 このころ東京都には淫行処罰規定がありません。
 取材に対して、この程度まで調査しています。
 そこで記事では愛知県条例違反が取り上げられています。

愛知県青少年保護育成条例の解説s55
(いん行、わいせつ行為の禁止)
第9条
1何人も、青少年に対じて、いん行又はわいせつ行為をしではならない。
全部改正 昭和52年条例第8号〕
(罰則)
第20条
1 第9条第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
5 第9条第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として第1項の規定による処罰を免れる乙とができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことにつき過失がないときは、この限りでない。


H07改正
第29条1項
1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

H13改正
第29条1項
第14条第1項目規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

h21改正
第29条
1第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

https://article.auone.jp/detail/1/5/9/103_9_r_20180922_1537547311576395
フライデー」によれば、日村の淫行被害に遭った女性は現在、32歳で愛知県在住。日村は知名度がまだまだ低かった16年前の2002年、自身のファンで当時16歳だったその女性からファンレターをもらい、メールを返したことをきっかけに知り合った。当初、日村は女性から「21歳女子大生」と伝えられたが、すぐに16歳と打ち明けられたという。同年中に名古屋で初めて会い、未成年にもかかわらず手羽先屋で酒を飲ませた。その足でビジネスホテルに連れ込み、行為に及んだ。このころ、日村には彼女もいたという。それでも肉体関係は続いた。女性は精神のバランスを崩し、入退院を繰り返したという。日村は同誌の取材に対し、所属事務所を通じて回答。21歳→16歳と伝えられたことに「正直なところよく覚えていません」と釈明しつつ「大変申し訳なく思っております」と謝罪した。同誌によると愛知県では当時、すでに淫行条例が施行されていたが、公訴時効は3年なので、いまの日村が罰せられることはない。

 記事では東京都内の行為の青少年条例違反は取り上げられていませんが、弁護士のブログで東京都青少年健全育成条例をいうものがあって、そういう質問があったので、当時の東京都内での青少年淫行について補足しておきます

東京都青少年健全育成条例の解説h12
(青少年に対する買春等の禁止)
第18条の2
1 何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならないG
2 何人も、性交又は性交類似行為を行うことの局旋を受けて、青少年と性交又は性交類似行為を行つてはならない。
[要旨]
本条は、性の商品化から青少年を守るために、青少年に対して、金品等の供与等を伴う性交又は性交類似行為及び周旋による性交又は性交類似行為(買春等) を行うことを禁止する規定である。
[解説]
本条は平成9年の条例改正によって新設された規定である。
本条は、情報化や性の商品化が著しく進み、「性」に関する意識が大きく変化する中で、性風俗に安易に係わる青少年と、その相手方となる大人(18歳以上)の行動が、深刻な社会問題となったことから、性の商品化から青少年を守るため設けられたものである。
第1項は、いわゆる買春行為の禁止を規定したものである。本条でいう買春行為とは、青少年に対する金品等の供与等を伴う性交又は性交類似行為をいう。
「何人も」 とは、国籍、住所、年齢、性別を問わず、都内にいる全ての人(自然人)を指す。従って、青少年が買春行為を行った場合も本項に違反するが、条例第30条(青少年についての免責)により罰則は科せられない。
「金品」とは、金銭又は物品のことであり、「職務」とは、雇用又は仕事のことであり、「役務」とは、サービスのことである。また、「その他財産上の利益」とは、債務免除等財物でないが金銭的に評価できる財産上の利益をいう。「対償として」 とは、金品等の供与等が性交文は性交類似行為(性交等) と対価関係にあることをいう。従って、経済的利益が墳末なもので、性交等との問に対価性が認められないような場合や交際関係に付随して行われた贈り物や経費の負担等と認められる場合は該当しない。
「性交類似行為」 とは、性交に類似した行為であり、青少年にとって精神的又は身体的な観点から性交と同様の影響を及ぼすものを指す。これには、異性問の行為はもとより同性問の行為も含まれる。
「性交又は性交類似行為」は、刑法や他県の条例にある「わいせつ」 や「淫行」より限定された行為であり、単なるデートや被服の上から身体に接触するような行為などについては除外される。

(罰則)
第24条の3 第18条の2第1項又は第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
[要旨]
本条から第30条(青少年についての免責)の規定までは、この条例違反に対する罰則や責任の及ぶ範囲等を定めた規定である
[解説]
本条は、平成9年の条例改正によって新設された規定である。
本条は、第18条の2の買春等の禁止に違反して、青少年に対して、金品等の供与等を伴う性交等や周旋による性交等を行った者に対して、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することを定めた規定である。
本条で、青少年健全育成条例として、初めて懲役刑を定めたのは、買春等処罰規定は、金銭等の財産上の利益を供与すること等により青少年と性交等を行う大人を処罰するものであり、その行為に対して、金銭的な制裁だけでは抑止力として乏しいためである。
懲役刑を地方自治法の上限である2年以下とせず、「1年以下」としたのは、平成9年6月に成立した「テレホンクラブ等営業及びデートクラブ営業の規制に関する条例」における営業者の罰則が最高l年以下の懲役であること、現行の東京都の条例において、1年以下の懲役は、最も重い罰則となっていること、近県など他の道府県の例、などを考慮して決めたものである。

http://www.ichifuna-law.com/8947/
バナナマンの日村さん16歳と淫行?】東京都青少年健全育成条例違反の可能性!?どのような刑罰に?
2018-09-21 | 所長・弁護士コラム

沖縄県青少年保護育成条例における年齢確認義務

 児童淫行罪の判例であったのは、児童が他人の名前をかたったので、使用者が戸籍を確認しても18歳だったという場合です。
 それが淫行者に当てはまるとも思えません。

沖縄県青少年保護育成条例逐条解説書(平成29年3月)
第22条
1 第17条の2第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下
の罰金に処する。
。。。
8 第9条第2項、第10条第3項、第11条第1項、。第12条第4項、第13条第3項又は第15条から第18条の4までの規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として前各項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失のないときは、この限りでない。

解説
〔解説〕
1 青少年を、自己又は他人の情欲を満たすための相手とすることは社会的に許されるべき行為ではない。また青少年の心身に及ぼす悪い影響は計り知れないものがある。
これらのことから、青少年を淫行の相手とした者に対しては、青少年への影響の重大性を鑑み、条例で定めることができる最高刑を科している。
・・・
7 第8項の規定に違反した者については、青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れ得ないこと及び年齢確認に関する無過失の挙証責任があることを規定したのである。
8 「当該青少年の年齢を知らないことを理由として」とは、通常可能な調査が適切に尽くされているか否かによって決せられることになるが、具体的に相手方となる青少年に年齢、生年月日等を尋ね、又は運転免許証等公信力のある身分証明書の提出、あるいは、父兄に直接問い合わせる等客観的に妥当な確認措置をとったにもかかわらず、青少年自身が年齢を偽り、又は虚偽の証明書を提出する等行為者の側に過失がないと認められる場合をいう。
9 「過失のないとき」とは、
(1)その者が青少年でないことを確認するにつき全く遺漏がなかったことを意味し、過失がないことの挙証責任は営業者等が負う。
(2) 過失推定規定であり、座のような手段・方法を講じれば過失がないとされるかは、年齢確認に用いた資料、その資料の入手方法、当該相手との面談状況等を判断し、営業者として可能な限りの調査を尽くしているかどうかを、社会通念に照らして判断されるべきである。
(3) 青少年の身体的発育状況、態度、職歴、本人や紹介者等の単なる申告等からその者が青少年でないと信じたというだけでは足りない。
(4) 客観的資料として、本人の戸籍謄本、住民票、運転免許証等公信力のある書面等に基づく調査、保護者等に面接する等客観的に通常可能とされるあらゆる手段方法を識じて、当該青少年の年齢確認に万全を期した結果青少年でないと信じた場合にのみ過失がなかったと認めるべきである。

4~8歳女児のわいせつ動画公開疑い 大学生を書類送検「小遣いを稼ぎたかった」

 警察の発想としては、DLした人の中には性犯罪者がいるので、単純所持容疑で捜索して、ついでに性犯罪の際の動画を押収して、性犯罪を検挙できるんじゃないかと考えている。

https://www.sanspo.com/geino/news/20180919/tro18091919470010-n1.html
4~8歳女児のわいせつ動画公開疑い 大学生を書類送検「小遣いを稼ぎたかった」
特集:わいせつ事件簿
 少女のわいせつな動画を写真・動画の共有アプリ「写真シェアGO」に投稿、公開したとして、京都府警上京署は19日、児童買春・ポルノ禁止法違反(公然陳列)などの疑いで、愛知県春日井市の男子大学生(19)を書類送検した。

 上京署によると、閲覧には、インターネット上の掲示板に公開されていた合言葉と有料の「鍵」が必要。鍵の購入数に応じ、交換すれば通販サイトでも使えるポイントが投稿者に与えられる仕組みだった。大学生は「小遣いを稼ぎたかった」と容疑を認めている。

 送検容疑は7月16日、4~8歳とみられる女児のわいせつな動画を投稿し、公開した疑い。

派遣型jkリフレを称する児童淫行事件(さいたま地裁H30.5.9)

 ホテルに派遣してリフレしてくれる業態

■28262830
さいたま地方裁判所
平成30年05月09日
主文
被告人Y1及び被告人Y2をそれぞれ懲役1年6月に、被告人Y3を懲役1年に処する。
この裁判が確定した日から、被告人Y1及び被告人Y2に対し4年間、被告人Y3に対し3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。

罪となるべき事実の要旨
  起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する。
  公訴事実
 被告人Y1及び同Y2は、雇用する女子児童を遊客が利用するホテルに派遣してリフレクソロジー等をさせる形態のいわゆる派遣リフレ店である「D」を営んでいたもの、被告人Y3は、その従業員として、女子児童をホテルまで案内したり、女子児童が遊客から受け取った利用料金を回収したりするなどしていたものであるが、被告人3名は、共謀の上、前記「D」で雇用する「E」こと●●●(当時17歳)が満18歳に満たない児童であることを知りながら、平成29年10月28日午後4時25分頃、(住所略)所在の「F」(省略)号室において、同児童に淫行等の相手方として●●●を引き合わせるなどし、その頃から同日午後5時51分頃までの間、同所において、同児童に、前記●●●を相手に同児童の乳房や陰部を触らせるなどさせ、さらに、同児童をして前記●●●を相手に手淫等の性交類似行為をさせ、もって児童に淫行をさせる行為をしたものである。
  罪名及び罰条
  児童福祉法違反 同法60条1項、34条1項6号、刑法60条


適用した罰条
  刑法60条、児童福祉法第60条1項、34条1項6号、刑法25条1項、刑事訴訟法181条1項ただし書
量刑の理由
 被告人3名は、被害児童らを使って本件事業を行っていた一環として、被害児童に対する悪影響を全く顧みずに、自身の利益のみを考えて本件犯行に及んだと認められるのであって、その動機及び経緯は強い非難に値する。そして、本件犯行時には被害児童に客と性交類似行為をさせており、被害児童の健全な育成を阻害するその態様及び結果は重大である。本件犯行における被告人らの役割をみると、被告人Y1及び被告人Y2は、本件犯行における中心的な役割を担い、両名で事業による利益を折半していたものであって、その責任は重い。また、被告人Y3は、被害児童らを送迎したり、料金を回収したりするなどの役割を担いつつ日当を受け取っていたものであって、被告人Y1及び被告人Y2程ではないとはいえ、その役割も重要であったと認められる。以上の事情等に照らすと被告人3名の犯情はいずれも悪く、本件ではそれぞれ主文掲記の懲役刑は免れない。
 しかしながら他方で、被告人3名ともに本件事実を認めて反省の弁を述べていること、いずれも前科はないこと、情状証人が今後の監督を約束していること等の被告人3名にとって有利な事情も認められるので、今回は、それぞれ主文掲記の期間、その刑の執行を猶予するのが相当である。
第1刑事部
 (裁判官 加藤雅寛)

馬渡香津子調査官「児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」の意義・児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」に当たるか否かの判断方法」法曹時報70巻8号

 「させる」というのがゆるゆるの感じです。

馬渡香津子調査官
最高裁判所判例解説法曹時報70巻8号
1 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」の意義
2 児童福祉法34条1項6号にいう「させる行為」に当たるか否かの判断方法
平成26年(あ)第1546号同28年6月21日第一小法廷決定棄却
第1審福岡地裁飯塚支部第2審福岡高裁刑集70巻5号369頁

イ青少年保護育成条例との関係
昭和60年判例で問題とされた青少年保護育成条例にいう「淫行」の主体は「児童の相手となる者」であって,児童の相手側の行為に視点を置き,児童を相手に淫行することを対象とする規制であるのに対し,児童福祉法上の「淫行」の主体は,保護されるべき被害児童自身であって,児童に視点を置き,児童に淫行をさせることを対象とする規制である。したがって, このような青少年保護育成条例違反行為については,行為者の側の行為が昭和60年判例で示された「淫行」( I青少年を誘惑し,威迫し,欺固し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為, Ⅱ青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為)をする行為を行うだけで,処罰対象とされるものであって(前掲亀山研修367号59頁は,抽象的危険犯と整理している。),児童の意思決定に対する影響力の有無や助長・促進行為の有無を考慮する必要がないなどの点において,本罪と異なり,同条例の解釈が本罪の解釈に直接的な影響を与えることはないと考えられる。なお,昭和60年判例で示されている上記Iのような手段に関する要素は,児童福祉法上では, 「させる行為」該当性において実質的に考慮されることになろう。
ウ監護者わいせつ罪又は監護者性交等罪との関係
平成29年改正により新設された刑法179条の監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は, 18歳未満の者に対し,監護者であることによる影響Jがあることに乗じてわいせつな行為・性交等をした場合について,強制わいせつ罪・強制性交等罪と同様の法定刑で処罰するものである。このような行為は, 18歳未満の者が抵抗せずに応じたとしても,その意思決定は,そもそも精神的に未熟で判断能力に乏しい18歳未満の者に対して,経済的にも精神的にも依存している監護者の影響力が作用してなされたものであり, 自由な意思決定ができないと考えられることから,性的自由なし、し性的自己決定権を侵害するものとして,強制わいせつ罪又は強制性交等罪と同等の悪質性・当罰性があるものとして, これらの罪同様に重く処罰するものとされている(松田哲也・今井將人「刑法の一部を改正する法律について」法曹時報69巻11号247頁,橋爪隆「性犯罪に対処するための刑法改正について」法律のひろば70巻11号7頁
, (注8)等参照)。
これに対し,児童福祉法の定める本罪は,性的行為の意思決定能力がある13歳以上18歳未満の者の自発的意思に基づく性交等についても処罰対象となり得るのであって,本罪の保護法誌は性的自由ではなく,あくまで児童の健全育成と解される。
したがって,監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は,本罪と保護法益を異にしており,平成29年刑法改正による監護者わいせつ罪・監護者性交等罪の新設は,児童福祉法上の本罪の解釈に直接的に影響することはないと考えられる(前掲松田・今井255頁, 267頁注17, 18,今井猛嘉「監護者わいせつ罪及び(注9)監護者性交等の罪」法律時報90巻4号65頁注13参照)。


(注9) なお,本罪と監護者わいせつ罪・監護者性交等罪とでは保護法益が異なるとの立場からは,本罪と監護者わいせつ罪又は監護者性交等罪との罪数関係は,観念的競合であると説明されている(前掲松田・今井255頁,前掲橋爪11頁等)。これに対し,新設された監護者わいせつ罪・監護者性交等罪は,性的自己決定の保障のみならず,被監護者の人格の発展も併せて保護の対象に取り込んでいるとして,本罪の保護法益と異質のものではなく,本罪は監護者わいせつ罪又は監護者性交等罪に吸収されるとの見解もある(前掲深町342頁,樋口亮介「性犯罪規定の改正」法律時報89巻11号118頁)。


21年判例とか平成24年高裁判例は奥村弁護人です。

⑤平成21年判例最高裁平成21年10月21日第一小法廷決定・刑集63巻8号1070頁)
平成21年判例は,中学校の教員である被告人が,前後20回にわたり,犯行開始当時に被告人勤務の中学校に在籍していた被害児童(当時14~15歳)をして,被告人を相手に性交させ,又は性交類似行為をさせ, もって児童に淫行をさせるとともに,上記20回のうち13回におし、て,児童をして性交等に係る姿態をとらせて撮影するなどして児童ポルノを製造した事案において,本罪と児童ポルノ製造罪との罪数関係について判示したものであるが,行為者が児童をして行為者自身と淫行をさせる行為が,本号に該当することを当然の前提として判示している。
・・・

平成24年高裁判例は,被告人が中学校教諭で剣道部顧問であり,被害児童2名が同校元生徒で剣道部部員であった旨を罪となるべき事実に記載していた第1審判決について理由不備の違法があるとした。

今井將人「強制わいせつ及び強姦の犯行状況を隠し撮りしたデジタルビデオカセットが「犯罪行為の用に供した物」に該当するとして没収した事例最高裁平成30年6月26日決定(裁判所ウェブサイト登載)」捜査研究2018年9月号p2

 撮影行為はわいせつ行為、児童ポルノ製造はわいせつ行為で、観念的競合でどうですか?
 強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ製造の判例では、強制わいせつ行為(176条後段)と撮影行為とは通常伴わないと言われています。次にさわって撮影という強制わいせつ罪(176条後段)を受けたら、単一性欠くという主張しますよ。

今井將人「強制わいせつ及び強姦の犯行状況を隠し撮りしたデジタルビデオカセットが「犯罪行為の用に供した物」に該当するとして没収した事例最高裁平成30年6月26日決定(裁判所ウェブサイト登載)」捜査研究2018年9月号p2

(2) また,第一審判決で, 「このような被告人による隠し撮りは, Bら4名に対する実行行為そのものを構成するものでなく, もとより被告人がこうした隠し撮りを行ったことをもって訴追されたわけでもない」とされているように,本件では,撮影行為自体は実行行為の一部とされていなかった。
しかし,事案によっては,わいせつ行為等を撮影する行為自体も,強制わいせつ等の実行行為の一部として評価し,公訴事実に含めることが可能であると考えられるところであり9),例えば,直接身体に触れなくても,被害者を裸にして写真を撮る行為が,わいせつな行為に当たるとした裁判例(東京地判昭和62年9月16日判例時報12糾号143頁),被害者の寝姿をビデオ撮影しながら自慰行為を行い着衣に精液をかけた一連の行為について準強制わいせつ罪の成立を認めた裁判例(福岡地判平成13年10月17日警察公論第58号第1巻59頁。),婦人科医が,患者3名に対して, 同人らが治療に必要な診察のみを受け,それ以外の行為を受けることはないと誤信して抗拒不能の状況にあるのに乗じ, 同人らにわいせつな行為をしようと考え,診察室において,看護師の立ち会いのない診察時に,下半身の衣類を脱いで, 同室の内診台に仰向けに寝て開脚し,抗拒不能の状況にある同人らに対し, 同人らの同意なく,無断でその陰部をデジタルカメラで撮影した行為について,準強制わいせつ罪の成立を認めた裁判例(東京高判平成21年4月30日・公刊物未登載)などが参考になると思われる。
その上で,撮影行為自体が実行行為の一部と認められる場合には,撮影に用いたデジタルカメラ等は, 「犯罪行為の用に供し」た物であり,撮影されたデジタルビデオカセット等の記録媒体は,刑法19条1項3号の「犯罪行為により生じ」た物であるとして, これらを没収することができると考える余地もあり得ると思われる'0)。
9) 前掲中村・149~152頁は,撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係について詳述しており,本件についても,隠し撮りをする行為について,その他の被告人による一連の行為と相まって強制わいせつ罪におけるわいせつ行為と評価し得るものに至っているものとして,審判の俎上に載せる余地があったことなどを指摘しており,実務上参考となると思われる。
10) 前掲中村・156頁参照。

中村功一「強姦・強制わいせつの犯行状況等を隠し撮りして録画されているデジタルビデオカセットについて、犯罪行為の用に供した物として没収した事例〔宮崎地方裁判所平成27年12月1日判決・控訴中・公刊物未登載〕」警察学論集69巻2号p1451 撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係(1)刑法第19条第1項は、第1号において、犯罪行為を組成した物(犯罪組成物件)、第2号において、犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物(犯罪供用物件)、第3号において、犯罪行為によって生じ(犯罪生成物件)、若しくはこれによって得た物(犯罪取得物件)又は犯罪行為の報酬として得た物、第4号において、第3号に掲げる物の対価として得た物を、それぞれ没収の対象として規定している。
本判決は、被告人が撮影して録画された本件各デジタルビデオカセットについて、犯罪供用物件にゝl`たるとして没収を認めたものであるが、没収の対象となるか否かを検討する前提として、まず、撮影行為と強制わいせつ罪・強姦罪の犯罪行為との関係を考えてみることとする。
(2)強制わいせつ罪や強姦罪の犯人が、被害者に対するわいせつ行為や姦淫行為を撮影しつつ、被害者に対し、抵抗するなどしたときは撮影した画像をばらまくなどと申し向けたような場合には、その撮影行為は、強制わいせつ罪や強姦罪における脅迫行為の一部であるとも言い得る。
また、裸にして写真を撮影する行為が強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるとされた裁判例2.があるとおり、撮影行為が、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為3)に当たることもあるものと考えられる。
ただ、強姦罪の犯人が、その犯行状況、すなわち被害者を姦浮する状況を撮影した場合、その撮影行為は、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たり得るとしても、強姦罪における姦淫行為に当てはまるとは言えないであろう。
もっとも、同一の被害者に対して接着して強制わいせつ行為と強姦行為が行われた場合には、両者を包括して強姦の一罪が成立すると解されること4りに照らすと、強姦罪の犯人が、その犯行状況、すなわち被害者を姦浮する状況を撮影した場合において、その撮影行為が強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるときは、「可―の被害者に対して同時に強制わいせつ行為と強姦行為が行われたものであって、撮影行為についても、これらを包括して成立すると解される強姦の一罪の犯罪行為の一部として、公判における審理・判決の対象とすることができると考えてよいように思われる。
実際に発生している強姦事案を見ると、姦淫行為に様々なわいせつ行為が伴うことが多いと思われ、実務上、姦淫行為に加ぇて他のわいせつ行為をした事実が認められる事案であっても、公訴事実や罪となるべき事実において、あえてこのようなわいせつ行為を摘示することまではせず、姦淫の事実のなを摘示する場合が多いと思われる。
これは、姦淫の事実のみを摘示し、その他のわいせつ行為は重要な情状として評価すれば、適切に量刑をすることができるとの考えからであると思われ、これrl体は、実務上の取扱いとして、今理的であって妥当であると思われるが、理論上は、姦淫行為が存在し、これが強姦罪に当たると評価されることによって、その同一の機会になされたわいせつ行為、とりわけ、姦淫行為に必然的に伴うものではなく、姦淫行為に包含されるとはいえないようなわいせつ行為について、犯罪行為として評価することができなくなるというわけではないと解される。
例えば、裁判の結論に影響するのであれば、そのようなわいせつ行為も、起訴状の公訴事実として記載して公判における審理の対象に含まれるものとして明示し、判決の罪となるべき事実にも摘示することが必要となる場合が、実務的にもあり得よう。
(3)問題は、本件のように、犯行状況を隠し撮りした場合、すなわち、被害者が撮影されていることを認識していない場合である。
被害者の裸体の単なる隠し撮りについては、一般に、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為には当たらず、盗撮を禁止する地方公共団体の条例違反5'や、のぞき見を処罰する軽犯罪法違反6)に当たるとされている。
もっとも、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて行ったわいせつ行為については、準強制わいせつ罪として処罰することとされ(刑法第178条第1項)、被害者が、被害時(犯人の側から言うと、行為時)には、わいせつ行為の被害に遭っていることを認識していない、ないし認識することができない状態であっても準強制わいせつ罪が成立し得ることからすると、被害者の裸体の隠し撮りにおいて、被害者が撮影されていることを認識していないことは、わいせつ行為に当たらない根拠となるわけではないと思われる。
そうすると、仮に、被害者の裸体の単なる隠し撮りがわいせつ行為に当たらないとするのが正当であるとするならば、その根拠は、撮影行為のみでは、カメラという機械を通じてではあるし、画像という記録が残るわけではあるが、単に、既に裸体となっている姿を見るという範時にとどまる限り、この行為単独では強制わいせつ罪におけるわいせつ行為'1と評価されるにまでは至っていないからであるというところに求められると思われる8'。
そして、隠し撮りを含め、撮影行為は、着衣を脱がせて裸にするなどの他のわいせつ行為と併せて行われることによって、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に該当し得ることになるものと考えられるのであるり。
(4)もちろん、強制わいせつ罪や強姦罪の犯人がその犯行状況を隠し撮りをする行為が、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に者たるかどうかの判断に当たっては、強制わいせつ罪における性的意図の要否及びその内容についてどのような見解に立つかにもよるが、そのような隠し撮りをすることについての被告人の意図等についても、別途検討する必要があろう。
本判決は、被告人が犯行状況を隠し撮りをした目的について、「録画を行った被告人の意図については、自己の性的興奮を高めることなど、検察官が主張するような事情も、可能性としてはあり得る」としたにとどまり、「被害者らとの間で後に紛争が生じた場合に、本件各デジタルビデオカセットをその内容が自らにとって有利になる限度で証拠として利用することを想定していた」との限度でのみ認定しており、隠し撮りをした行為について、「Bら4名に対する実行行為そのものを構成するものでなく、もとより被告人がこうした隠し撮りを行ったことをもって訴追されたわけでもない」としているとおり、公判における審理・判決の対象とはされなかったようである証拠関係を承知していない立場で軽々しく断ずることはできないが、本件において、被告人は、既に裸になった被害者を単に撮影したに過ぎないというにとどまらない。
本件犯行に当たって、被告人の指示により被害者を裸にさせて施術台に横たわらせ、アイマスクを着用させていた上、撮影行為とともに、被害者の乳房を直接もむなどのわいせつ行為や、姦淫行為に及ぶなどしていたのである。
そうすると、そのような隠し撮りをする行為について、その他の被告人による一連の行為と相候って強制わいせつ罪におけるわいせつ行為と評価し得るものに至っているものとして10'、審判の俎上に上げ、そのように認定する余地もあったように感じられる。
3 犯罪生成物件該当性について本件各デジタルビデオカセットは、犯罪供用物件として没収されたものであるが、これは、いわば、未だ犯行状況が録画されていないデジタルビデオカセットを撮影に用いたということであって、そこでは、撮影行為によって、犯行状況の画像が録画されたデジタルビデオカセットが存在するに至ったこと自体は、没収の対象となるか否かを検討する上で直接的に評価されたものとは言い難い。
そこで、撮影行為をも犯罪行為、つまり、強制わいせつ罪におけるわいせつ行為に当たるとした」で、犯罪行為たる撮影行為によって、犯行状況の画像が録画されたデジタルビデオカセットが存在するに至った犯罪生成物件として、当該デジタルビデオカセットを没収することはできないだろうか。
撮影行為によって、画像という電磁的記録(無体物)が生じているが、刑法第19条の規定による没収の対象は、有体物に限られるというのが、揺るぎなく確立された考え方であり、有体物であるデジタルビデオカセットそのものは犯罪行為の前後を通じて存在しており、犯罪行為によってデジタルビデオカセットという有体物が存在するに至ったものではない。
そして、強盗強姦罪の犯行において、犯人が姦浮する際の様子を撮影して記録されたビデオテープについて、犯罪生成物件として没収した原審の判断を否定して、犯罪供用物件として没収するとした東京高判平成22年6月3日判夕1340号282頁も、「〔刑法第19条第1項第3号〕の「犯罪行為によって生じ」た物とは犯罪行為によって作り出された物をいうものと解されるのであって、 上記各ビデオテープには強盗強姦の犯行がなければ撮影されなかった画像が記録されているものの、ビデオテープ自体は強盗強姦の犯行によって生じた物ではなく、同号に該当する物とはいぇないから、原判決には法令適用の誤りがある。
」としている。
しかしながら、犯罪行為によってデジタルビデオカセットという有体物が新たに存在するに至ったものではないとする上記の考え方を突き詰めていくと、犯罪生成物件に当たることについて争いのない文書偽造罪における偽造文書についても、その素材である有体物である紙そのものは偽造行為によって存在するに至ったものではないとして、犯罪生成物件に当たることが否定されてしまうことにもなりかねない。
そこで、犯罪生成物件の定義は、「当該物の存在ないしその現在の特性が、その作出を目的とした実行行為によって直接的に生じさせられたもの」とすべきであつて、前記東京高判におけるビデオテープが犯罪生成物件に当たらない理由について、強盗強姦罪は姦淫行為の録画を目的とする犯罪でないという直接目的連関性の欠如に求める見解がある(注17)。
たしかに、強盗強姦罪自体は、姦淫行為の録画を目的とする犯罪ではない。
また、撮影行為自体が犯罪行為とされていないのであれば、そもそも、録画された記録媒体について、「犯罪行為によって」生じたものということもできない。
しかしながら、被害者を姦淫する行為を撮影して記録媒体に録画する行為について、これをわいせつ行為という犯罪行為であると捉えた場合においては(注18)、文書偽造罪における偽造文書と同様に、デジタルビデオカセットのような記録媒体という素材に、犯罪行為たる撮影行為によって画像という電磁的記録を記録し、当該電磁的記録が記録された記録媒体という有体物を生じさせたとし、当該記録媒体を犯罪生成物件に該当するものとして没収することができると考える余地は、 上記東京高判を前提にしてもなお、未だ残されているように思われる。
文書偽造罪とは異なり、強制わいせつ罪において撮影行為は構成要件要素として明示されているものではないけれども、被害者を姦淫する行為を撮影して記録媒体に録画する行為がわいせつ行為という犯罪行為に当たることを認めることができるのであれば、記録媒体について、単に、犯罪行為の用に供したいわば素材としてではなく、わいせつ行為という犯罪の構成要件に該当する行為としての撮影行為によって、直接的に、画像という電磁的記録が記録された記録媒体を生じさせたものとして、これを没収することも、十分に考えられるのではないだろうかか5)例えば、東京都の公衆に若しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条第1項第2号は、「何人も、正当な理由なく、人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚ぇさせるような行為であって」、「公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する11的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること」をしてはならないと規定し、その連反行為を処罰している。
6)軽犯罪法第1条第23′′は、「正当な理由がなくて人の住層、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」を処罰するものとしている。
7)強制わいせつ罪におけるわいせつ行為の意義については、公然わいせつ罪等における「わいせつ」と同様に、徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ、普通人の正常な性的差恥心を害し、書良な性的道徳観念に反する行為をいうものといわれているが、保護法益に照らし、端的に、人の性的自由、性的感情を害する性質の行為を対象とすると解すべきであるなどともいわれている(前掲亀山‐河村67頁参照).8)しかしながら、他人の裸体等を撮影し、その動画・静止画を記録媒体に記録するという行為は、その裸体等の姿がその人の意思に反して記録に残されるものであるから、単に日で見るだけという行為とは異なるのではないかという感が拭えない。
特に、性的なプライバシーの程度が最も高いといえる性交等を含めた性的行為をしている状況を相手方の意思に反して撮影して記録に残す場合には、その感が強い9)撮影行為についてわいせつ行為に当たるとされた前掲注2)に掲げた裁判例も、裸にする行為をも併せてわいせつ行為に当たるとしている。
また、個室使所の人口扉の施錠を外して開扉し、個室使所内で和式便器にしゃがみ込んで用便中であった女性の姿態を背後から見る行為や、女性宅に侵人し、就寝中の女性の寝姿をビデオカメラで撮影しながら自慰行あをして女性の身体に向けて射精し、女性の着衣に精液をかける行為について、わいせつ行為に当たるとされた裁判例(前者について釧路地判平成14年2月28日公刊物未登載、後者について福岡地判平成13年10月17日公刊物未登載)があるが、裁判所は、前者については、「人が個室使所で用便をする ためには、着衣を引き下ろしてド半身を露出する代わりに、その姿態が他人の日に触れるのを防ぐため個=便所の人「1扉を開め、さらに施錠をするものであるから、相手方が個宅使所内で用使中であろうとの認識のもと、その姿態を眺めて自己の性的欲求を満足させる目的で、相手方が施錠した個室使所人11扉を解錠してこれを開扉し、その用便中の姿態を眺め、相手方をしてそれを自己の眼前にさらすことを余儀なくさせる行為は、自己の性的欲求を満足させるため無理矢理相手方の着衣を引き下ろしてその姿態を眺める行為と同等のものと評価することができる。
」(傍点は筆者による。
)として、わいせつ行為に該当すると判示し、後者については、「遅くとも相手方の着衣に精液をかけるに至った段階においては、乳房等への接触や接吻と同様に、相手方の性的自由を侵害するものと考えられるから、準強制わいせつ罪にいうわいせつな行為慨遂)に該当すると解するのが相当である。
」とした上で、黙苺専即々でヽマたキ?t沐悴'く`そ|てヽ、然肯本で行″。
当時1:やでてヽ、押モ々々ヾ直ちに被告人の行為を認識し得る状況にあったか否かは、同罪におけるわいせつな行為の成否を左右するものではないと解すべき」(傍点は筆者による。
)と判示している。
両裁判例についての解説として、松F裕子・警察公論58巻1号59真参照18)この場合には、撮影して録画すること自体が、撮影対象者の性的自由、性的感情を害するものであって、犯罪の「I的となっているともいえるのではなかろうか。

30年前の青少年淫行の刑事責任について


取材を受けたので出先で調べました。
施行時期や行為の点で条例に抵触しない場合は、違法とは言えない。

東京都の淫行処罰はH09~

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 (平成23年7月)
p19
〔参考〕平成9年条例一部改正の特徴
平成9年の改正条例は、他県の青少年保護育成条例と比較して、
① いわゆる「淫行」概念をとらず、売買春等の相手方となった大人を処罰する買春等処罰規定を導入したこと、
② 処罰規定の導入に際し、青少年の基本的人権等への配慮、を条例に明記したこと、
③ 規制だけでなく、青少年の性的判断能力を育成するための施策を条例に明記したこと、
に大きな特徴がある。
他県のいわゆる「淫行処罰規定」は、「青少年に対するみだらな性行為又はわいせつな行為」を規制対象とし、処罰の範囲が広い上に、構成要件に、倫理的、主観的な側面があるため、青少年の性に関する行動全般を不良視するおそれや、構成要件が不明確になるおそれが指摘されていた。そこで、平成9年度の条例改正では、規制対象を「金品等の供与等を伴う性交又は性交類似行為及び周旋による性交又は性交類似行為」(買春等)とし、処罰の範囲を限定するとともに、構成要件の客観化、明確化を図っている。
・・・
p26
〔参考〕平成17年条例一部改正の概要
(2) 青少年の性に対する関わり方に関するもの
①保護者等は、安易な性行動により、人間形成が阻害されないよう、慎重な行動を促す啓発・教育を行うよう努める。心身の変化が著しい青少年に、特に慎重であるよう配慮を促すよう努める。
②青少年に情報を提供する者は、健全な育成を阻害する情報を提供しないよう、自主的な取組に努める。
③青少年とみだらな性交等の禁止。違反者に罰則(青少年は免責)

大阪府の条例はs59から。

大阪府青少年健全育成条例
第1 章総則(第1~9 条)
施行昭和59年3月28日大阪府条例第4号
一部改正昭和59年12月22日大阪府条例第57号

第3章青少年の健全な成長を限害する行為の禁止
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第18条
1 何人も、次に掲げる行為を行つてはならない。
(1) 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
(2) 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。

愛知県はs52から規制しています

愛知県青少年保護育成条例の解説s55
(いん行、わいせつ行為の禁止)
第9条何人も、青少年に対じて、いん行又はわいせつ行為をしではならない。
2 何人も、青少年応対して、前項の行為を教え、文は見せてはならない。
全部改正 昭和52年条例第8号〕

中山祐次郎「有罪か無罪か。どちらも地獄の外科医わいせつ容疑事件」

 性器接触を伴う医療行為については、従前は「正当行為」「性的意図がない」ということで処罰されませんでしたが、強制わいせつ罪に性的意図は必ずしも不要とされたので(大法廷h29.11.29)、「性的意図がないからok」という弁解が効かなくなり、「行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。」ということになりました。
 こう説明されてもよくわかりませんよね。
 実はこの判例以降、わいせつの定義もできなくなっていて、処罰範囲もわからなくなっています。
 とりあえず、1対1で対応することがないようにしてください。

大法廷h29.11.29
(5) もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。
 そうすると,刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。

有罪か無罪か。どちらも地獄の外科医わいせつ容疑事件
2018/9/13 中山祐次郎(総合南東北病院外科)
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kittenuu/201809/557795_2.html
もし有罪だったら。もし有罪だとしたら、いえ、もしあの先生がこんな行為をしていたとしたら、これは医者全体の信頼を大きく揺るがす問題です。全身麻酔が醒めやらぬ患者さんにわいせつ行為をするなど、もしあったとしたら卑劣極まりない行為ですよね。断罪されるべきです。医師、そして医療界全体への不信は高まることでしょう。

 こういうことを防ぐために、手術室に家族が入って術後までずっと監視するとか、患者さんの体につけた小型カメラでずっと医者を撮影するとか、逆に萎縮し同性でしか乳腺や婦人科領域は診療しない、などなるかもしれません。医療者と一般の人々の間の溝はこの一件で大きく広がるでしょう。お互い猜疑心の中で行われる医療。まさに地獄。心から、そうではないことを願っています。

 しかし、もし無罪だったらどうでしょうか。警察の無理筋な捜査と、薄い根拠で意味不明な長期間の勾留を許可した裁判所、そして実名と住所(当時はかなり細かいところまで報道されていました)と顔まで報道したメディアはどう責任を取るのでしょうか。もちろん1mmも責任は取らないでしょうから、我々医者や医療者はいっそう彼らへの不信を強めることでしょう。

 無罪だった場合、私や他の医療関係者はこれら関係機関へ強い反省と謝罪を求めることになります。そもそも起きていなかったことを一生懸命事件としてでっち上げ、ひとりの人間と家族の精神を破壊し、人生を狂わせたのです。そういう人たちがこの国の安全と正義を守っている。地獄でしかない。

 このように、どちらにも取れるようなことを言っている自分にもヘドが出ますが、とにかく本件はどちらに転んでも地獄が待っているのです。

 そして、医学的にみて重要な点は、術後せん妄に関連した性的な幻覚の可能性があるという点です。ここ日経Onlineのコラムで薬師寺先生は、この点についてこう書いていらっしゃいました。

「現実問題、取れる範囲の対策として、
(1)なるべく1人で診察をしない(特に若い女性)
(2)処置は全て詳細にカルテ記載する
というくらいしかありません」(明日は我が身か、医師わいせつ逮捕事件)
 本当におっしゃる通りです。

 将来的に、術後せん妄関連の性的幻覚による医療者への訴訟について、本気で対策をするとしたらどうすればいいのでしょうか。例えば、医者も患者も病室も、みんなビデオ録画し続けながら診療をする、などでしょうか。交通事故のときの証拠用として、ずっと録画しつづけるドライブレコーダーもすごく売れているそうですしね。いや、まさに地獄ですね。

 引き続き、経過を注視していかねばと思っております。それではまた次回。

「大阪は淫行特区」のワケ 生徒にわいせつ行為の教育実習生「不起訴」を考察

 大阪府条例の「専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。」は、兵庫県等の条例の「何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。」と比較すると、手段の要件が限定されているので、犯罪となりにくいという解説です。
 これらの府県では、児童淫行罪と青少年条例との間に隙間ができています。

「大阪は淫行特区」のワケ 生徒にわいせつ行為の教育実習生「不起訴」を考察
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20180916-00008552-bengocom-soci&s=create_time&o=desc&p=1

大阪府青少年健全育成条例
(淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
大阪府青少年健全育成条例の解説h26
2 第2号
性的欲望を満足させるため、心身ともに未熟な青少年を、正常な判断を行わせないような状態において、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うことを禁止するものである。
ア 「専ら」とは、概ね7割ないし8割程度以上をいうが、「専ら」に該当するかは、当該者の行為の態様、動機などを総合的に勘案することになる。
イ 「満足させる目的で」とは、行為者自らだけでなく、第三者の性的欲望についても含めるものである。
ウ 「威迫し」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加え、相手方に不安の念を抱かせることをいう。例えば、暴力団の構成員であると言ってすごむことなどが挙げられる。
エ 「欺き」とは、嘘を言って相手方を錯誤に陥らしめ、又は真実を隠して錯誤に陥らしめる行為をいう。例えば、婚姻をするつもりはないのにもかかわらず婚姻をするつもりであると言うことなどをいう。
オ 「困惑させて」とは、立場を利用したり、言語や態度により相手方を惑い困らせることをいう。例えば、雇用や金銭融通の恩義その他義理人情の機微につけ込むことや、職場の上司、教師などの立場を利用することにより、青少年が拒否の意思表示をできなくすることなどをいう。
・・・・・・・・
山口県青少年健全育成条例の解説h19.
(みだらな性行為又はわいせつの行為の禁止等)
第12条何人も、青少年に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(j)金品その他の財産上の利益を供与し、若しくは役務を提供し、又はこれらの供与若しくは提供を約束して性行為又はわいせつの行為をすること。
(2) 相手方を欺き、若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて性行為又はわいせつの行為をすること。
(3) あっせんを受けて性行為又はわいせつの行為をすること。
2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつの行為を教え、又はこれらを見せてはならない。
解説
3 欺岡・困惑(第2号関係)
本条第1項第2号は、青少年の精神的、知的な未熟さや情緒的な不安定に乗じて性行為又はわいせつの行為をする場合であり、例えば、家出中の少女が金銭も宿泊する所もなく途方に暮れているのに付け込んで性行為又はわいせつの行為をする場合が含まれる。
(1) 「欺き」とは、青少年をだまして真実と合致しない観念を生ぜしめる場合をいうものである。
(2) 「困惑させ」とは、暴行脅迫に至らない程度の心理的威圧を加え、又は自由意思を拘束することによって精神的に自由な判断ができないようにすることをいうものである。
(3) 「困惑に乗じて」 とは、直接医惑させなくても、既に上記の困惑に陥っている状態に付け込むことをいうものである。
・・・
長野県子どもを性被害から守るための条例の解説書
【威迫等による性行為等の禁止】
第17条第1項
何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならないb (罰貝ll : 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
l 「何人も」とは、県民はもとより、旅行者、滞在者を含み、年齢、性別、国籍等を問わず長野県内にいる全ての者をいう。また、行為者が子どもの場合でも本条違反に該当するが、第20条(適用除外)の規定により罰則は適用しない。
2 「子ども」とは、18歳未満の者をいう。
なお、婚姻の有無は問わない。
3 「威迫」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により、心理的威圧を加え、相手方に不安の念を抱かせることをいう。
4 「欺き」とは、嘘を言って相手方を錯誤に陥らせ、又は真実を隠して錯誤に陥らせる行為をいう。
5 「困惑」とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況をいう。
6 「困惑に乗じて」とは、困惑状態を作為的に作り出した場合だけではなく、既に子どもが何らかの理由により困惑状態に陥っており、それにつけ込んで(乗じて)性行為等を行う状況をいう。
7 「性行為」とは、「性交及び性交類似行為」と同義である(昭和40年7月12日新潟家裁長岡支部決定)。『性交類似行為』とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる手淫・口淫行為・同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈と同義である。
8 「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的差恥心及び嫌悪の情をおこさせる行為」をいう(昭和39年4月22日東京高裁判決)。具体的には、陰部に対する弄び・押し当て、乳房に対する弄び等がこれにあたる。

 幼児ABにつき、Aの陰茎をBの口腔内に入れさせてそれぞれに口腔性交をさせるという強制口腔性交罪を観念的競合とした事例・ABに,被告人が同児童らの陰茎を触る姿態,同児童らに性器を露出させる姿態等をとらせ,これらを携帯電話機の撮影機能を用いて撮影するという姿態をとらせて製造罪を観念的競合とした事例(さいたま地裁H30.7.30)

 このパターンが強制性交等になるというのは、法文上よくわかりません。
 

(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

「刑法の一部を改正する法律」の概要
今井將人
研修(平29. 8,第830号)法の焦点
(2)要件
「性交」とは,改正前の刑法177条の「姦淫」と同義であり,膣内
に陰茎を入れる行為をいう。
「肛門性交」とは肛門内に陰茎を入れる行為をいい, 「口腔性交」とは口腔内に陰茎を入れる行為をいう(注4)。
「性交」, 「肛門性交」及び「口腔性交」を合わせて「性交等」ということとされており, これらの行為には, 自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内等に入れる行為だけでなく, 自己又は第三者の膣内等に被害者の陰茎を入れる行為(入れさせる行為)を含む。具体的には,女性が行為主体となって,男性の陰茎を自己の膣内に入れさせる行為や,男性が別の男性の陰茎を自己の肛門内に入れさせる行為も,強制性交等罪による処罰対象となる。

(注4)例えば,陰茎を口腔内に全く入れずに単に舌先でなめる行為や,女性の外陰部をなめる行為などは, 「口腔性交」には当たらない。

【文献番号】25561082
強制性交等,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
さいたま地方裁判所
平成30年7月30日第3刑事部判決
       判   決
       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 ■(当時6歳)及び■(当時4歳)がいずれも13歳未満のものであることを知りながら,同人らに性交等をさせようと考え,平成29年9月18日午後零時30分頃から同日午後3時頃までの間に,さいたま市α区■の駐車場及び同区■の■駐車場において,同人らに対し,その衣服を脱がせて全裸にした上,前記■に前記■の陰茎を手淫させ,被告人が前記■の陰茎を手淫し,前記■の陰茎を前記■の口腔内に入れさせてそれぞれに口腔性交をさせて,被告人が前記■の陰茎を手淫し,もって性交等をした,
第2 前記■(当時6歳)及び前記■(当時4歳)がいずれも18歳に満たない児童であることを知りながら,同日午後1時50分頃から同日午後2時23分頃までの間,前記各駐車場において,別表記載のとおり,被告人が同児童らの陰茎を触る姿態,同児童らに性器を露出させる姿態等をとらせ,これらを携帯電話機の撮影機能を用いて撮影し,その静止画データ37点及び動画データ3点を同携帯電話機本体の内蔵記録装置に記録して保存し,もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造した。
(証拠の標目)《略》
(累犯前科)
(法令の適用)
罰条
判示第1の所為のうち
 ■を口腔性交した点 刑法177条後段
 ■を口腔性交した点 刑法177条後段
判示第2の各所為 被害児童ごとに包括して児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2項,2条3項2号,3号
科刑上一罪の処理
判示第1の各強制性交等罪につき
 刑法54条1項前段,10条(犯情の重い前記■に対する強制性交等罪の刑で処断)
判示第2の各児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の罪につき
 刑法54条1項前段,10条(犯情の重い前記■に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の刑で処断)
刑種の選択
判示第2の罪につき 所定刑中懲役刑を選択
判示第1及び第2の各罪の刑につき
併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に刑法14条2項の制限内で法定の加重)
未決勾留日数の算入 刑法21条
(量刑の理由)
(検察官佐野嘉信,私選弁護人中原潤一(主任),同関哉直人,同山田恵太各出席)
(求刑:懲役6年)
平成30年7月30日
さいたま地方裁判所第3刑事部
裁判長裁判官 松原里美 裁判官 結城剛行 裁判官 須川智裕

20年前の児童淫行につき「女子生徒側から男性教諭に当時を振り返る電話があったことを受けて、教諭が現在勤めている高校の校長に打ち明け、問題が発覚し」懲戒免職になった事例

 自首すれば停職くらいになると期待したんでしょうか? 児童淫行罪は半分以上が実刑になる重罪ですので、甘く考えないことです。
 まず、弁護士に相談してください。 
 懲戒免職になると、退職金も失うし、教員免状も失効して、官報に実名が載ることになります。
 行為後に依願退職して再就職していれば、懲戒処分はありませんので、そういう回避行動を提案しています。
 「女子生徒側から男性教諭に当時を振り返る電話があったことを受けて、教諭が現在勤めている高校の校長に打ち明け、問題が発覚した」というのであれば、弁護士に相談した上で、打ち明けないで、依願退職した方がリスクが小さいということになります。そういう選択で、一旦転職して、刑事責任・民事責任も処理した後、報道もされず、私学の教員になっている人がたくさんいます。

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12249-086876/
20年前に“女子生徒と性的関係” 都立高教諭を懲戒免職
2018年09月12日 21時00分 TOKYO MX NEWS

20年前に“女子生徒と性的関係” 都立高教諭を懲戒免職
 東京都教育委員会は、20年ほど前に勤務していた高校の女子生徒と性的な関係を持ったとして、59歳の男性教諭を懲戒免職処分にしました。
 都教委によりますと、多摩地域の都立高校に勤務する59歳の男性教諭は、1999年11月から2001年3月まで、当時勤務していた高校で担任をしていた女子生徒と合意の上、複数回にわたって性行為を行いました。今年2月になって、女子生徒側から男性教諭に当時を振り返る電話があったことを受けて、教諭が現在勤めている高校の校長に打ち明け、問題が発覚したということです。都教委は9月12日付でこの男性教諭を懲戒免職処分にしました。男性教諭は「教師として取り返しのつかないことをしてしまった。反省し、後悔している」と話しているということです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180912/k10011626911000.html
19年前に教え子と性的関係 高校教諭を懲戒免職 東京
2018年9月12日 18時54分
東京・多摩地域にある都立高校の59歳の男性教諭が、19年前の平成11年からおよそ1年半の間、当時の教え子の女子生徒と性的な関係を持っていたとして、東京都教育委員会は12日付けで、この教諭を懲戒免職の処分にしました。
懲戒免職の処分を受けたのは、東京・多摩地域にある都立高校の59歳の男性教諭です。
都の教育委員会によりますと、この教諭は19年前の平成11年からおよそ1年半の間、当時、担任を務めていたクラスの女子生徒と性的な関係を持つなどしていたということです。
この教諭はことし2月になって、教え子だった女性本人から当時の関係について指摘を受けたため、翌月に現在の高校の校長に当時の事実を報告し、問題が発覚したということです。
都の教育委員会は平成11年の時点で、教諭が児童や生徒にわいせつな行為をした場合、懲戒免職にするという処分の基準を設けていて、この基準に従って12日付けで処分を行ったということです。
都の教育委員会によりますと、この教諭は調査に対して、「教師として取り返しのつかないことをしてしまった。反省し、後悔している」と話しているということです。
一方、都の教育委員会は処分した教諭の名前や所属する学校名については、女性の人権に配慮する必要があるとして公表していません。