児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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児童ポルノ・児童買春1件で逮捕された場合の標準弁護士費用

 逮捕されてもされなくても、刑事処分としては、罰金50万円程度
 件数が増えた場合は相談します。

着手金 40万円
報酬金 
 罰金の場合 0円
 起訴猶予の場合 40万円
預かり金   0円

女性に対するAEDについて「強制わいせつ罪に該当するかどうかは、性的意図のもとに行われるという事が必要でして、AEDを使用する状況は、目的は救命ですので性的意図というのは認定されない」という弁護士のコメント

 最高裁大法廷h29.11.29が「行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は,その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず,もはや維持し難い。」「故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。」というので、現時点ので判例は「性的意図のもとに行われるという事が必要でして」ということではありません
 大法廷判決以降、わいせつの定義もはっきりしなくなっていて、判例は「刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」という説明をするだけですので、女性へのAED使用については、「刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,~~主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」ので、真に救命目的であって、AEDの使用方法に従い、行為自体も救命のために必要な範囲で着衣を脱がす程度であれば、わいせつな行為に当たらないということになるでしょう。
 考慮する要素を抽象的に挙げるだけでわいせつの定義がないので、実務家としては、結局、「刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,~~主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」というフレーズをマジックワードとして、希望の結論へ説明することになります。

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
最高裁判所大法廷判決平成29年11月29日
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集71巻9号467頁
       裁判所時報1688号245頁
       判例タイムズ1452号57頁
       判例時報2383号115頁
       LLI/DB 判例秘書登載
【評釈論文】 警察公論73巻8号88頁
       論究ジュリスト25号113頁
       ジュリスト1517号78頁
       上智法学論集62巻1~2号177頁
       捜査研究66巻12号2頁
       法学教室449号129頁
       法学教室450号51頁
       法学セミナー63巻2号123頁

       主   文

 本件上告を棄却する。
 当審における未決勾留日数中280日を本刑に算入する。

       理   由

 1 弁護人松木俊明,同園田寿の各上告趣意,同奥村徹の上告趣意のうち最高裁昭和43年(あ)第95号同45年1月29日第一小法廷判決・刑集24巻1号1頁(以下「昭和45年判例」という。)を引用して判例違反,法令違反をいう点について
 (1) 第1審判決判示第1の1の犯罪事実の要旨は,「被告人は,被害者が13歳未満の女子であることを知りながら,被害者に対し,被告人の陰茎を触らせ,口にくわえさせ,被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をした。」というものである。
 原判決は,自己の性欲を刺激興奮させ,満足させる意図はなく,金銭目的であったという被告人の弁解が排斥できず,被告人に性的意図があったと認定するには合理的な疑いが残るとした第1審判決の事実認定を是認した上で,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,強制わいせつ罪が成立し,行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないとして,昭和45年判例を現時点において維持するのは相当でないと説示し,上記第1の1の犯罪事実を認定した第1審判決を是認した。
 (2) 所論は,原判決が,平成29年法律第72号による改正前の刑法176条(以下単に「刑法176条」という。)の解釈適用を誤り,強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを要するとした昭和45年判例と相反する判断をしたと主張するので,この点について,検討する。
 (3) 昭和45年判例は,被害者の裸体写真を撮って仕返しをしようとの考えで,脅迫により畏怖している被害者を裸体にさせて写真撮影をしたとの事実につき,平成7年法律第91号による改正前の刑法176条前段の強制わいせつ罪に当たるとした第1審判決を是認した原判決に対する上告事件において,「刑法176条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し,婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であっても,これが専らその婦女に報復し,または,これを侮辱し,虐待する目的に出たときは,強要罪その他の罪を構成するのは格別,強制わいせつの罪は成立しないものというべきである」と判示し,「性欲を刺戟興奮させ,または満足させる等の性的意図がなくても強制わいせつ罪が成立するとした第1審判決および原判決は,ともに刑法176条の解釈適用を誤ったものである」として,原判決を破棄したものである。
 (4) しかしながら,昭和45年判例の示した上記解釈は維持し難いというべきである。
 ア 現行刑法が制定されてから現在に至るまで,法文上強制わいせつ罪の成立要件として性的意図といった故意以外の行為者の主観的事情を求める趣旨の文言が規定されたことはなく,強制わいせつ罪について,行為者自身の性欲を刺激興奮させたか否かは何ら同罪の成立に影響を及ぼすものではないとの有力な見解も従前から主張されていた。これに対し,昭和45年判例は,強制わいせつ罪の成立に性的意図を要するとし,性的意図がない場合には,強要罪等の成立があり得る旨判示しているところ,性的意図の有無によって,強制わいせつ罪(当時の法定刑は6月以上7年以下の懲役)が成立するか,法定刑の軽い強要罪(法定刑は3年以下の懲役)等が成立するにとどまるかの結論を異にすべき理由を明らかにしていない。また,同判例は,強制わいせつ罪の加重類型と解される強姦罪の成立には故意以外の行為者の主観的事情を要しないと一貫して解されてきたこととの整合性に関する説明も特段付していない。
 元来,性的な被害に係る犯罪規定あるいはその解釈には,社会の受け止め方を踏まえなければ,処罰対象を適切に決することができないという特質があると考えられる。諸外国においても,昭和45年(1970年)以降,性的な被害に係る犯罪規定の改正が各国の実情に応じて行われており,我が国の昭和45年当時の学説に影響を与えていたと指摘されることがあるドイツにおいても,累次の法改正により,既に構成要件の基本部分が改められるなどしている。こうした立法の動きは,性的な被害に係る犯罪規定がその時代の各国における性的な被害の実態とそれに対する社会の意識の変化に対応していることを示すものといえる。
 これらのことからすると,昭和45年判例は,その当時の社会の受け止め方などを考慮しつつ,強制わいせつ罪の処罰範囲を画するものとして,同罪の成立要件として,行為の性質及び内容にかかわらず,犯人の性欲を刺激興奮させ又は満足させるという性的意図のもとに行われることを一律に求めたものと理解できるが,その解釈を確として揺るぎないものとみることはできない。
 イ そして,「刑法等の一部を改正する法律」(平成16年法律第156号)は,性的な被害に係る犯罪に対する国民の規範意識に合致させるため,強制わいせつ罪の法定刑を6月以上7年以下の懲役から6月以上10年以下の懲役に引き上げ,強姦罪の法定刑を2年以上の有期懲役から3年以上の有期懲役に引き上げるなどし,「刑法の一部を改正する法律」(平成29年法律第72号)は,性的な被害に係る犯罪の実情等に鑑み,事案の実態に即した対処を可能とするため,それまで強制わいせつ罪による処罰対象とされてきた行為の一部を強姦罪とされてきた行為と併せ,男女いずれもが,その行為の客体あるいは主体となり得るとされる強制性交等罪を新設するとともに,その法定刑を5年以上の有期懲役に引き上げたほか,監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪を新設するなどしている。これらの法改正が,性的な被害に係る犯罪やその被害の実態に対する社会の一般的な受け止め方の変化を反映したものであることは明らかである。
 ウ 以上を踏まえると,今日では,強制わいせつ罪の成立要件の解釈をするに当たっては,被害者の受けた性的な被害の有無やその内容,程度にこそ目を向けるべきであって,行為者の性的意図を同罪の成立要件とする昭和45年判例の解釈は,その正当性を支える実質的な根拠を見いだすことが一層難しくなっているといわざるを得ず,もはや維持し難い。
 (5) もっとも,刑法176条にいうわいせつな行為と評価されるべき行為の中には,強姦罪に連なる行為のように,行為そのものが持つ性的性質が明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等如何にかかわらず当然に性的な意味があると認められるため,直ちにわいせつな行為と評価できる行為がある一方,行為そのものが持つ性的性質が不明確で,当該行為が行われた際の具体的状況等をも考慮に入れなければ当該行為に性的な意味があるかどうかが評価し難いような行為もある。その上,同条の法定刑の重さに照らすと,性的な意味を帯びているとみられる行為の全てが同条にいうわいせつな行為として処罰に値すると評価すべきものではない。そして,いかなる行為に性的な意味があり,同条による処罰に値する行為とみるべきかは,規範的評価として,その時代の性的な被害に係る犯罪に対する社会の一般的な受け止め方を考慮しつつ客観的に判断されるべき事柄であると考えられる。
 そうすると,刑法176条にいうわいせつな行為に当たるか否かの判断を行うためには,行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で,事案によっては,当該行為が行われた際の具体的状況等の諸般の事情をも総合考慮し,社会通念に照らし,その行為に性的な意味があるといえるか否かや,その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断せざるを得ないことになる。したがって,そのような個別具体的な事情の一つとして,行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得ることは否定し難い。しかし,そのような場合があるとしても,故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当でなく,昭和45年判例の解釈は変更されるべきである。
 (6) そこで,本件についてみると,第1審判決判示第1の1の行為は,当該行為そのものが持つ性的性質が明確な行為であるから,その他の事情を考慮するまでもなく,性的な意味の強い行為として,客観的にわいせつな行為であることが明らかであり,強制わいせつ罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決の結論は相当である。
 以上によれば,刑訴法410条2項により,昭和45年判例を当裁判所の上記見解に反する限度で変更し,原判決を維持するのを相当と認めるから,同判例違反をいう所論は,原判決破棄の理由にならない。なお,このように原判決を維持することは憲法31条等に違反するものではない。
 2 弁護人奥村徹の上告趣意のうち,その余の判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって本件に適切でないか,引用の判例が所論のような趣旨を示したものではないから前提を欠くものであり,その余は,単なる法令違反,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 よって,刑訴法414条,396条,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 検察官平光信隆,同中原亮一 公判出席
(裁判長裁判官 寺田逸郎 裁判官 岡部喜代子 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 木内道祥 裁判官 山本庸幸 裁判官 山崎敏充 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人 裁判官 小池 裕 裁判官 木澤克之 裁判官 菅野博之 裁判官 山口 厚 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林 景一)

公衆浴場の混浴見直し否定=「おおむね10歳以上」制限-政府答弁書

 児童ポルノ事件として上がってくる問題ですが、厚生労働や自治体の要綱があるので、男湯の女児とか、女児の沐浴シーンの「性欲を興奮させ又は刺激するもの」該当性が問題になることがあります。

横浜地裁h28.7.20
第8 児童ポルノ製造事件について
 甲228号証及び甲230号証の各画像中,一部の画像(甲228号証添付資料12の写真1ないし17,甲230号証添付資料2の写真1ないし5,同資料7の写真6ないし10,同資料10の写真1,2,同資料11の写真3,同資料15の写真1,2,8ないし13及び15)については,被害児童が衣服の全部又は一部を着けない状態にはあるものの,通常の沐浴をしている情景としか見られないなど,性欲を興奮させ又は刺激するものに該当しないと判断したため,これらの画像については児童ポルノ製造罪は成立しない。

阪高裁平成24年7月12日
2 控訴趣意中,その余の法令適用の誤りの主張について
 論旨は,(1)本件各画像は,児童の裸が撮影されているが,一般人を基準とすると「性欲を興奮させ又は刺激するもの」ではないから,児童ポルノ法7条2項の製造罪(以下「2項製造罪」という。)は成立しないのに,原判決は原判示罪となるべき事実に同法7条2項,1項,2条3項3号を適用しており,また,(2)本件は,公衆浴場内での4件の2項製造罪であって,常習的に撮影,提供がされていたのであるから,それらは包括一罪となり,また,被害児童が特定されているのは1件だけであり,3件は被害児童が特定されておらず,結局被害児童は1名としか認定できないから,その意味でも包括一罪とすべきであるのに,原判決は,併合罪として処理しており,以上の各点で,原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
 そこで検討するに,(1)の点は,本件各画像が「性欲を興奮させ又は刺激するもの」といえるかどうかについては一般人を基準として判断すべきものであることはそのとおりである。しかし,その判断の基準とすべき「一般人」という概念は幅が広いものと考えられる。すなわち,「一般人」の中には,本件のような児童の画像で性的興奮や刺激を感じる人もいれば,感じない人もいるものと考えられる。本件は,公衆浴場の男湯に入浴中の女児の裸の画像が対象になっており,そこには大人の男性が多数入浴しており,その多くの男性は違和感なく共に入浴している。そのことからすると,一般人の中の比較的多くの人がそれらの画像では性的興奮や刺激を特に感じないということもできる。しかし,その一方で被告人のようにその女児の裸の画像を他の者から分からないように隠し撮りし,これを大切に保存し,これを密かに見るなどしている者もおり,その者らはこれら画像で性的興奮や刺激を感じるからこそ,これら画像を撮影し,保存するなどしているのである。そして,これらの人も一般人の中にいて,社会生活を送っているのである。ところで,児童ポルノ法が規制をしようとしているのはこれらの人々を対象にしているのであって,これらの人々が「一般人」の中にいることを前提に違法であるか否かを考える必要があると思われる。他人に提供する目的で本件のような低年齢の女児を対象とする3号ポルノを製造する場合は,提供を予定されている人は一般人の中でそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人達が対象として想定されているものであり,そのような人に提供する目的での3号ポルノの製造も処罰しなければ,2項製造罪の規定の意味がそのような3号ポルノの範囲では没却されるものである。したがって,比較的低年齢の女児の裸の画像では性的興奮や刺激を感じない人が一般人の中では比較的多数であるとしても,普通に社会生活を営んでいるいわゆる一般の人達の中にそれらの画像で性的興奮や刺激を感じる人がいれば,それらの画像は,一般人を基準としても,「性欲を興奮させ又は刺激するもの」であると解するのが相当である。
 したがって,原判決が原判示各事実に児童ポルノ法7条2項,1項,2条3項3号を適用したのは正当である。
 次に(2)の点は,被告人が3号ポルノを常習的に製造し,他人に提供していたとしても,関係証拠上,原判示各事実で被害者とされている児童は別人であって,被害児童が4名であることは明らかであり,それら4名の児童について,その記録された裸体画像を他人に見られないという個人的法益が現実に侵害されている上,撮影の日時場所も異なるのであるから,それらが併合罪となるのは明らかであり,原判決の判断は正当である。
 以上のとおりであるから,前記法令適用の誤りをいう論旨も理由がない。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062100709&g=pol
公衆浴場の混浴見直し否定=「おおむね10歳以上」制限-政府答弁書
2019年06月21日12時35分
 政府は21日の閣議で決定した答弁書で、公衆浴場での「おおむね10歳以上」の混浴を制限する厚生労働省要領の見直しに否定的な見解を示した。立憲民主党初鹿明博衆院議員の質問主意書に答えた。
〔写真特集〕盗聴器・盗撮カメラ

 厚労省の衛生等管理要領は「おおむね10歳以上の男女を混浴させない」と規定。これについて初鹿氏は「父親と混浴している女児を狙った盗撮被害が相次いでいる」として、混浴可能な年齢を引き下げ、小学校就学前までとすることを提案。政府は「さまざまな意見は承知しているが、入浴者への影響などを踏まえる必要があり、要領を直ちに見直すことは考えていない」と回答した。

強制性交等(口腔性交)の事案の量刑に当り,改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌した原判決を是認した事例(東京高裁H31.2.1)

 刑法改正前の口淫させる強制わいせつ罪の量刑は、手持ちの資料では実刑69:執行猶予46でしたが、改正後は強制口腔性交罪となったので5年以上の懲役(実刑)になります。
 強姦罪1罪だと、改正前は実刑188:執行猶予38だったので、まあ、実刑だったので、改正後も実刑なので、そう変わらないんですが、口腔性交行為の量刑が跳ね上がった感じです。

第一七六条(強制わいせつ)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

第一七七条(強制性交等)
 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

速報番号3667号
強制性交等
東京高等裁判所平成3 1年2月1日
強制性交等(口腔性交)の事案の量刑に当り,改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌した原判決を是認した事例,

裁判要旨
口腔性交も腟内性交も濃密な性的接触を強いられることによる性的自由(性的自己決定)の侵害性,悪質性においては同等であることから、これらを同じ強制性交等罪の行為類型とした平成29年の刑法の一部改正の趣旨に鑑み,本件(口腔性交)において,同改正前の強姦罪の量刑傾向を参酌し,行為責任の重さは,それらの中で典型的な事案と同程度と位置付けた原判決の量刑判断は不合理であるとはいえない。

神元隆賢「判例研究強制わいせつ罪において性的意図を考慮要素とする意義をなお存するとし、さらに強制わいせつの際に被害児童の姿態を撮影し児童ポルノを製造した場合の強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係につき、撮影機器内に一次保存した場合は観念的競合、複製するなどして二次保存した場合は併合罪とした事例(富士見市ベビーシッター事件控訴審判決)

神元隆賢「判例研究強制わいせつ罪において性的意図を考慮要素とする意義をなお存するとし、さらに強制わいせつの際に被害児童の姿態を撮影し児童ポルノを製造した場合の強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係につき、撮影機器内に一次保存した場合は観念的競合、複製するなどして二次保存した場合は併合罪とした事例(富士見市ベビーシッター事件控訴審判決)
東京高裁平成三〇年一月三〇日判決(上告)(平成二八年(う)第一六八七号:保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因わいせつ誘拐、強制わいせつ)、殺人、強制わいせつ致傷被告事件)(判例集未登載)」

 公開判例だけみてると、併合罪→観念的競合という流れに見えるようです。
 観念的競合→併合罪→観念的競合と奥村説が挽回してるところです。
 神元隆賢先生は併合罪とされる理由はわかりませんが、撮影行為をわいせつ行為とも製造行為とも評価する以上、観念的競合になるはずです。
 この事件は起訴検事が観念的競合で起訴したり、併合罪で起訴したりして、よく理解してなかったと思われます。裁判員もそのまま判決して、控訴審も追認しています。量刑について検察官の主張が通らなかったのと共通しています。

http://hokuga.hgu.jp/dspace/handle/123456789/3646

第二は、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係を、観念的競合と併合罪のいずれと解するかという点である。
観念的競合は、一個の行為で数個の結果を生じ、それが構成要件に複数回該当し、かつ社会的事象としても重なり合いが認められる場合(7)で、刑法第五四条第一項が適用されることにより、刑を科すうえで一罪として扱われ、数罪のうち最も重い罪の刑により処断される。
一個の行為による包括一罪との違いは、被害法益の主体、種類の共通性の要否に求められ、被害法益が異なっている場合は観念的競合、共通する場合は包括一罪が選択される。
そして両罪の保護法益についてみると、強制わいせつ罪のそれが個人法益としての性的自由であることに異論はないが、児童ポルノ製造罪では議論がある。
児ポ法第一条が、⽛この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする。
⽜と規定することに鑑みるに、⽛児童が性的搾取及び性的虐待されない権利⽜が同罪の保護法益であることには疑いない。
しかし、これが被害児童の個人的法益であるのか、児童一般の社会的法益であるのか、あるいは両方の性質を持つのかを巡って争いがあるのである(8)。
もっとも、三説のいずれを採ったとしても、強制わいせつ罪の保護法益である性的自由とは差異を生じるから、結局、両罪を観念的競合とする選択は可能である。
しかし、従来の判例は、児童ポルノ製造罪と強制わいせつ罪等の性犯罪の罪数関係について、児童ポルノ製造が一次保存と二次保存のいずれによるかを格別区別せず、すべて併合罪として処理するのが一般的であった
・・・・・・・・
以上見たように、従来の判例は、一貫して、強制わいせつと児童ポルノ製造の行為の同時性は肯定しうるものの、行為の社会的一体性・同質性は肯定しえないから、併合罪となるとの立場を示してきた。
これに対し、本判決は、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪が⽛基本的に併合罪の関係にある⽜ものの、一次保存の場合は⽛ほぼ同時に行われ、行為も重なり合うから、自然的観察の下で社会的見解上一個のものと評価し得る⽜とした。
強制わいせつと児童ポルノ製造の両行為の社会的一体性・同質性は肯定・否定の分水嶺にあるところ、一次保存の事案では同時性を肯定できるから、かろうじて観念的競合と解しうるとの解釈であろうか。
しかし、そうであるならば、社会的一体性・同質性をむしろ肯定し、⽛基本的に観念的競合の関係にある⽜としたうえで、二次保存では同時性が否定されるから併合罪となると解釈すべきではなかったか。
あるいは、社会的一体性・同質性を必ずしも肯定しきれないが故に⽛基本的に併合罪の関係にある⽜というのであれば、同時性を肯定できたとしても、すべて併合罪とすべきであったろうし、それが従来の判例の立場でもあった。
いずれにせよ、一次保存の場合に限ってであっても、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係を観念的競合とした本判決及び原判決の判断には疑問が残る

神元隆賢「児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)罪、強制わいせつ・強制性交等罪、児童ポルノ製造罪の罪数関係」


 明らかな間違いがあって「これに対し、さいたま地判平成三〇年七月三〇日(判例集未登載)は、強制性交等と一次保存による児童ポルノ製造の事案について、両罪の罪数関係を観念的競合としたが、なぜ併合罪ではないのかとの点について格別言及していない。」とか言ってますが、さいたま地裁H30は強制性交と製造は併合罪となっています。
「罪数関係が問題となった各犯罪の保護法益につき、個人法益と社会法益の相違がある場合には、たとえ同時性があったとしても、社会的一体性・同質性は否定される」として、児童ポルノ製造は社会的法益だから併合罪だという説明です。
 判例は「1個の行為とは、法的評価を離れ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価を受ける場合をいうとされる」っていうのに、保護法益区切って数えるようです

児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)罪、強制わいせつ・強制性交等罪、児童ポルノ製造罪の罪数関係
著者 神元, 隆賢; KANMOTO, Takayoshi
引用 北海学園大学法学研究, 54(4): 1-24
発行日 2019-03-30
http://hokuga.hgu.jp/dspace/handle/123456789/3761
児童ポルノ製造罪と強制わいせつ・強制性交等罪の罪数関係第二に、一八歳未満の.児童.(児童ポルノ法第二条第一項)に対し、行為者が強制わいせつ・強制性交等に出た際に、所持していたデジタルカメラスマートフォン付属カメラを使用して撮影し児童ポルノを製造した場合について、児童ポルノ製造罪と強制わいせつ・強制性交等罪の罪数関係をどのように解すべきであろうか。
この問題についての重要な下級審判例として、③東京高判平成三〇年一月三〇日(判例集未登載)を挙げることができる。
③判決の事案は以下の通りである。
ベビーシッター業を営む被告人は、平成二四年一一月一六日頃から平成二五年一〇月二七日頃までの間、ベビーシッターという立場を悪用し、A~Iら九名の各男児がいずれも一八歳に満たない児童であることを知りながら、同児童らに対し、全裸の状態で陰茎を露出させるなどの姿態をとらせ、さらにうち二名(A(当時五歳)、F(当時生後八か月))については陰茎の包皮をむくなどし、Fに亀頭包皮炎の傷害を負わせた(Aに対する強制わいせつ事件、Fに対する強制わいせつ致傷事件)。
また、その姿態をデジタルカメラあるいはスマートフォン付属カメラで撮影し、その静止画データを当該撮影機器内のマイクロSDカード内に記録して保存(以下.一次保存.)、あるいは一次保存した画像をノートパソコンのハードディスク内に保存(以下.二次保存.)し、児童ポルノを製造した(児童ポルノ製造事件)。
平成二六年三月一四日、被告人は、I(当時二歳)及びH(当時生後八か月)にわいせつな行為をする目的で、被告人に対してはIらの一時保育を依頼する意思がないIの母親Jらに対し、別人を装ってIらの一時保育を引き受ける旨の電子メールを送信するなどして、Jらに、Iらの一時保育をするのが被告人ではないと誤信させるとともに、情を知らないKにI及びHを預けさせ、さらにKからIらを引き取り、Iらを被告人方に連れ帰るなどして自己の支北研54 (4・10) 468 論説配下に置いた(わいせつ誘拐事件)。
同日、被告人は、Hに対し栄養や水分を与えず、全裸のまま放置するなどし、よって、Hに生命に危険を及ぼすおそれのある重度の低血糖症及び脱水症、中程度の低体温症の傷害を負わせた(保護責任者遺棄致傷事件)。
同月一五日頃、被告人は、被告人方において、Iに対し、その陰茎をひもで縛り、その包皮をむく暴行を加えた。
さらに殺意をもって、その鼻口部を手で塞ぐなどし、窒息により死亡させた(殺人事件)。
以上の事案につき、検察官は、保護責任者遺棄致傷、強制わいせつ、児童ポルノ製造罪、わいせつ誘拐、殺人、強制わいせつ致傷罪が成立すると主張した。
第一審、横浜地裁平成二八年七月二〇日(判例集未登載)は、検察官の主張する犯罪すべての成立を認めた。
強制わいせつ罪あるいは強制わいせつ致傷罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係については、理由を明示しなかったものの、基本的には、児童ポルノ製造が一次保存であった場合は観念的競合、二次保存であった場合は併合罪とした。
わいせつ誘拐事件については、I及びHに対する各わいせつ誘拐罪を観念的競合、Iに対するわいせつ誘拐罪と強制わいせつ罪を牽連犯とし、結局以上を一罪として最も重いIに対するわいせつ誘拐罪の刑で処断するとした。
これに対し、被告人・弁護人は、強制わいせつ罪・強制わいせつ致傷罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係はいずれも観念的競合とすべきであったなどと主張して控訴した。
控訴審、③判決は控訴棄却とし、その際、強制わいせつ罪・強制わいせつ致傷罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について、.わいせつな姿態をとらせて撮影することによる強制わいせつ行為と当該撮影及びその画像データの撮影機器に内蔵又は付属された記録媒体への保存行為を内容とする児童ポルノ製造行為は、ほぼ同時に行われ、行為も重なり合うから、自然的観察の下で社会的見解上一個のものと評価し得るが、撮影画像データを撮影機器とは異なる記録北研54 (4・11) 469 児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)罪、強制わいせつ・強制性交等罪、児童ポルノ製造罪の罪数関係媒体であるパソコンに複製して保存する二次保存が日時を異にして行われた場合には、両行為が同時に行われたとはいえず、重なり合わない部分も含まれること、そもそも強制わいせつ行為と児童ポルノ製造行為とは、前者が被害者の性的自由を害することを内容とするのに対し、後者が被害者のわいせつな姿態を記録することによりその心身の成長を害することを主たる内容とするものであって、基本的に併合罪の関係にあることに照らすと、画像の複製行為を含む児童ポルノ製造行為を強制わいせつとは別罪になるとすることは合理性を有する。
原判決の罪数判断は、合理性のある基準を適用した一貫したものとみることができ、理由齟齬はなく、具体的な行為に応じて観念的競合又は併合罪とした判断自体も不合理なものとはいえない。
.とした。
被告人上告。
上告審、最決平成三〇年九月一〇日(判例集未登載)は、罪数関係について格別具体的な言及をすることなく上告を棄却した。
以上のようにして、③判決は、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪の罪数関係について、強制わいせつ等の際にスマートフォン付属カメラを使用して児童ポルノ製造に出た場合に、当該児童ポルノの画像・動画データを当該撮影機器内のマイクロSDカード内に記録して保存した一次保存では観念的競合、一次保存した画像・動画データをパソコンのハードディスク内に保存した二次保存では併合罪となると結論づけ、最高裁決定にもその解釈が受け継がれたことになる。
それでは、以上のようにして一次保存と二次保存で罪数を区別する解釈は、はたして妥当であろうか。
観念的競合は、一個の行為で数個の結果を生じ、それが構成要件に複数回該当し、かつ社会的事象としても重なり合いが認められる場合( 16)で、刑法第五四条第一項が適用されることにより、刑を科すうえで一罪として扱われ、数罪のうち最も重い罪の刑により処断される。
一個の行為による包括一罪との違いは、被害法益の主体、種類の共通性の要北研54 (4・12) 470 論説否に求められ、被害法益が異なっている場合は観念的競合、共通する場合は包括一罪が選択される。
そして両罪の保護法益についてみると、強制わいせつ罪のそれが個人法益としての性的自由であることに異論はないが、児童ポルノ製造罪では議論がある。
児童ポルノ法は、第一条において.この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利の擁護に資することを目的とする。
.と規定する。
これに照らせば、児童ポルノ製造罪の保護法益は、児童福祉法違反罪と同じく、.児童が性的搾取及び性的虐待されない権利..児童の心身の健全な育成.と解されよう。
しかし、これがはたして被害児童の個人的法益であるのか、児童一般の社会的法益であるのか、あるいは両方の性質を持つのかを巡っては、学説上争いがある( 17)。
もっとも、三説のいずれを採ったとしても、強制わいせつ罪の保護法益である性的自由とは差異を生じるから、結局、両罪を観念的競合とする選択は可能ということになる。
しかし、③判決以前の判例のほとんどは、児童ポルノ製造罪と強制わいせつ罪等の性犯罪の罪数関係について、児童ポルノ製造が一次保存と二次保存のいずれによるかを格別区別せずに併合罪として処理していた。
・・・・・・・・・・

以上みたように、従来の判例の多くは、強制わいせつと児童ポルノ製造の行為の同時性は肯定しうるものの、行為の社会的一体性・同質性は肯定しえないから、併合罪となるとの立場を示してきた。
これに対し、③判決は、強制わいせつ罪と児童ポルノ製造罪が.基本的に併合罪の関係にある.ものの、一次保存の場合は.ほぼ同時に行われ、行為も重なり合うから、自然的観察の下で社会的見解上一個のものと評価し得る.とした。
強制わいせつと児童ポルノ製造の両行為の社会的一体性・同質性は肯定・否定の分水嶺にあるところ、一次保存の事案では同時性を肯定できるから、かろうじて観念的競合と解しうるとの解釈であろうか。
しかし、そうであるならば、社会的一体性・同質性をむしろ肯定し、.基本的に観念的競合の関係にある.としたうえで、二次保存では同時性が否定されるから併合罪となると解釈すべきではなかったか。
あるいは、社会的一体性・同質性を必ずしも肯定しきれないが故に.基本的に併合罪の関係にある.というのであれば、同時性を肯定できたとしても、すべて併合罪とすべきであったろうし、それが従来の判例の立場でもあった。
とはいえ、解釈としては観念的競合を選択する余地もないではない。
上述したように、多くの事案において、強制わいせつ・強制性交等とデジタルカメラスマートフォン付属カメラを使用しての児童ポルノ製造が同時に行われているから、少なくとも両罪の同時性は概ね肯定しえよう。
残る問題は、社会的事象としても重なり合い、すなわち社会的一体性・同質性を認めうるかという点、そして、そもそも一次保存と二次保存の事案で罪数関係を区別すべきで北研54 (4・17) 475 児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)罪、強制わいせつ・強制性交等罪、児童ポルノ製造罪の罪数関係あるのかという点である。
まず、社会的一体性・同質性については、以下の判例が参考になろう。
最大判昭和四九年五月二九日刑集二八巻四号一一四頁は、道交法上の酒酔い運転罪とその運転中の業務上過失致死罪について社会的一体性・同質性、重なり合いを否定し併合罪としたが、最大判昭和四九年五月二九日刑集二八巻四号一五一頁は道交法上の酒酔い運転罪と無免許運転罪を観念的競合とし、最大判昭和四九年五月二九日刑集二八巻四号一六八頁は道交法上の無免許運転罪と無車検車運転罪を観念的競合とした。
さらに最大判昭和五一年九月二二日刑集三〇巻八号一六四〇頁は、ひき逃げにおける道交法上の救護義務違反罪と報告義務違反罪を.社会生活上、しばしばひき逃げというひとつの社会的出来事として認められている.として観念的競合とした( 18)。
これらの道交法にかかる判例は、交通行政の円滑な遂行及び交通事故の発生・拡大防止という社会法益を保護法益とする道交法上の各罪について、保護法益の細部は異なるものの社会法益としては共通するが故に社会的一体性・同質性を肯定したのではないか。
一方、業務上過失致死罪(現行法であれば自動車運転死傷行為処罰法上の過失運転致死罪)の保護法益は人の生命であるから、道交法上の各罪の保護法益とは、個人法益と社会法益という点で相違がある。
このようにして、罪数関係が問題となった各犯罪の保護法益につき、個人法益と社会法益の相違がある場合には、たとえ同時性があったとしても、社会的一体性・同質性は否定されるとの解釈を導くことができよう。
最判昭和五八年九月二九日刑集三六巻二号二〇六頁は、営利目的での国内に覚せい剤を持ち込み通関線を突破しようとした事案について、覚せい剤取締法上の覚せい剤輸入罪と関税法上の無許可輸入罪を観念的競合としたが( 19)、両罪の保護法益は、前者が保健衛生上の危害発生防止という社会法益( 20)、後者が貨物輸入についての税関手続の適正処理という社会法益と考えられるから、両罪とも社会法益という点ではやはり共通する。
北研54 (4・18) 476 論説他方、強制わいせつ・強制性交等罪の保護法益が性的自由という個人法益であることは言うまでもないが、児童ポルノ製造罪の保護法益はどうであろうか。
児童ポルノ製造罪の保護法益は、児童福祉法違反罪と同じく、.児童が性的搾取及び性的虐待されない権利..児童の心身の健全な育成.と解されるが、これが個人法益か社会法益か、あるいはその両方かを巡って争いがあることは前述した通りである。
思うに、児童ポルノ法上の各罪が基本的には社会法益に対する罪であることは、児童福祉法との関係から明らかである。
しかし、児童ポルノ法第一条は.これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護.についても言及し、第一五条は.児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童.の保護について規定する。
さらに第一六条の三は.国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になる.とするから、児童ポルノに描写された児童個人の法益もまた、児童ポルノ法の保護法益に含まれると解してよいのではないか。
とすれば、強制わいせつ・強制性交等罪と児童ポルノ製造罪は、個人法益と社会・個人双方の法益という点で、個人法益の部分において社会的同質性を認めうるものの、児童ポルノ製造罪の社会法益の部分では一体性を欠くし、そもそも児童ポルノ製造罪の保護法益の主要部分は社会法益と解すべきであるから、結論としては観念的競合とはならず、併合罪となると解すべきであろう。
なお、最決平成二一年七月七日刑集六三巻六号五〇七頁は、.児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律二条三項にいう児童ポルノを、不特定又は多数の者に提供するとともに、不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合には、児童の権利を擁護しようとする同法の立法趣旨に照らし、同法七条四項の児童ポルノ提供罪と同条五項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にあると解される。
しかし、児童ポルノであり、かつ、刑法一七五条のわいせつ物である物を、他のわいせつ物である物も含め、不特定又は多数の者に販売して提供すると北研54 (4・19) 477 児童福祉法違反(児童に淫行をさせる行為)罪、強制わいせつ・強制性交等罪、児童ポルノ製造罪の罪数関係ともに、不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持したという本件のような場合においては、わいせつ物販売と同販売目的所持が包括して一罪を構成すると認められるところ、その一部であるわいせつ物販売と児童ポルノ提供、同じくわいせつ物販売目的所持と児童ポルノ提供目的所持は、それぞれ社会的、自然的事象としては同一の行為であって観念的競合の関係に立つから、結局以上の全体が一罪となるものと解することが相当である。
.とする。
これについても、わいせつ物販売罪、わいせつ物販売目的所持罪などの刑法第一七五条の罪の保護法益は社会法益である健全な性道徳の維持にあるから、児童ポルノ提供罪、児童ポルノ提供目的所持罪の保護法益の主要部分を社会法益と解する私見に照らせば、観念的競合の要件である社会的一体性・同質性を概ね認めうる。
次に、一次保存と二次保存の事案で罪数関係を区別すべきかとの問題はどうか。
かつてのアナログのフィルムカメラが主流の時代であれば、たしかに一次保存によりカメラ内のネガフィルムが製造された時点において、児童ポルノ製造が完了したとは言いがたく、従って現像、プリントあるいはネガフィルムのスキャンといった二次保存に言及する意義があった。
しかし、デジタルカメラスマートフォン付属カメラによる撮影が主流となった今日においては、一次保存と二次保存を区別する意義があるとは考えられない。
なぜなら、デジタルカメラスマートフォンでは、撮影により即座に児童ポルノデジタルカメラ付属の背面液晶モニタースマートフォン内蔵ディスプレイにおいて視聴することが可能であるし、デジタルカメラスマートフォンに搭載された映像外部出力端子を有線でオーディオ・ビジュアル機器に接続したり、さらにはワイヤレスディスプレイ機能を用いて無線で外部ディスプレイの大画面にて視聴することも可能であることからすると、ノートパソコン等に二次保存する行為を、一次保存する行為と格別区別する意味が見いだせないからである。
ノートパソコン等に二次保存する行為は、児童ポルノの静止画・動画ファイルを行為者がより視聴しやすい環境に保存する、あるいは編集しやすくするという意味があるかもしれないが、だとしてもこれは共罰的事後行為と解するべきではなかろうか。
あるいは、児童ポルノ提供罪(児童ポルノ法第七条二号)との関係から、インターネット上への児童ポルノのアップロードの危険を生じた時点で児童ポルノ製造の完成を判断するとの解釈もありうる。
これについていえば、確かに、児童ポルノをノートパソコンに二次保存したほうが、インターネット上へのアップロードは容易であるかもしれない。
しかし、今日では、スマートフォンはもとよりデジタルカメラであっても、機種や内蔵するSDカードによっては、無線接続によるインターネット上への静止画・動画アップロード機能を有していることがある。
とすれば、一次保存と二次保存の間に、児童ポルノ提供の危険性において格別の差はないことになろう。
そもそも、スマートフォンの静止画・動画ファイルが、クラウド設定によりクラウドサーバーに自動保存されるよう設定されていた場合には、一次保存後、行為者の知らない間に二次保存がなされることになるが、クラウド設定の有無等により罪数関係を区別する意義があるとも思われない。
フィルムカメラによる場合は別としても、少なくともデジタルカメラスマートフォン付属カメラによる児童ポルノ製造については、その中核行為は一次保存と見るべきで、二次保存の有無を検討する必要はなかろう。

セクハラ型強制わいせつ罪求刑6月(前橋地裁R1.6.28)

 求刑が法定刑の下限になっています。異例の軽さです。
 中日新聞が被害者の意見を取材していますが、証拠で出てないと考慮されません。

 前橋市セクハラ問題 女性と専門家、発言を疑問視 市長が管理職男性の部署示唆 女性の職場特定の恐れ
2018.05.29 中日新聞
 【群馬県前橋市の山本龍市長は二十八日の定例記者会見で、市役所の四十代の女性嘱託職員が、管理職の男性から宴席で胸をもまれるなどのセクハラ被害を訴えている問題について、「この事案は部署内で(別の)さまざまな問題があって当該者(男性)の件と知るところとなった」と述べ、発言の中では過去の別の不祥事の具体的な内容を明らかにした。市は男性のその不祥事を公表した際、部署名と年齢を明らかにしており、この日の発言で女性の職場が特定される恐れがある。女性と専門家は山本市長の発言を疑問視している。(菅原洋)
・・・
 この問題は二〇一六年末に市内であった職場の忘年会で、飲酒した男性が女性の背後から胸をもみ続け、同僚の女性三人が行為を目撃した。被害を訴える女性は今年に入り市に申し出た。今月中旬には警察に相談し、捜査が始まっている。男性は本紙の取材に「記憶は定かではないが、謝罪したい」と話している。

 前橋市の女性嘱託職員 セクハラ被害訴え 警察に相談市も調査「宴席で胸もまれる」 男性管理職「記憶ないが謝罪したい」
2018.05.25 中日新聞
 【群馬県前橋市の四十代の女性嘱託職員が、管理職の男性から宴席で胸をもまれるなどのセクハラ被害を訴え、警察に相談していることが二十四日、女性本人と被害をその場で目撃した同僚の女性への取材で分かった。本紙の取材に男性は「記憶は定かではないが、宴席で女性に近づいたかもしれない。自分に非があると分かれば、謝罪したい」と話している。市は女性の訴えを把握しており、調査している。(菅原洋)
 被害を訴える女性と同僚によると、二〇一六年十二月末の仕事納め後に市内の居酒屋で開かれた忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後から密着。男性が両手で女性の左右の胸をそれぞれつかみ、指の力を入れて数秒間強くもみ続けた。女性にけがはなかったが、恐怖とショックで抵抗できなかったという。
 宴席で同僚の女性三人が行為を目撃し、同僚が抗議すると手を離した。取材に同僚の一人は「私を含め三人が行為を目撃したのは間違いない。残る二人も見た事実を証言できる」と語った。

 被害を訴える女性は一次会で帰宅したが、二次会では男性が別の同僚女性の●にキスし、出席者がその様子を写真撮影した。キスについては男性は写真があるため行為を認めている。

 一七年三月初めには、市内の焼き鳥店で職場の宴会があり、胸をもまれた被害を訴える女性も参加。女性によると、途中で合流した上司であるこの男性が飲酒しない女性に車で送るよう求め、降車時に強引に唇を数秒間吸われたという。

 男性は「飲酒しており、送ってもらったという気持ちもあり、キスを求められるままに、応じてしまった。安易な行為で、反省している。二回の被害で、女性が不快ならば誠心誠意謝罪したい」と説明した。

 本紙の取材で男性の説明を聞いた女性は絶句。「二カ月前にセクハラを受けたのに、私からキスを求めるわけがない。ショックで、悔しい。二次被害ではないか。深く傷付き、絶対に許せない。謝罪があっても、受け入れられない」と話した。その後、女性は男性の釈明の言葉を思い出して職場で泣いたという。

 被害を訴える女性、目撃した女性たちはいずれも一年更新の嘱託職員。男性は一七年六月、同僚に嘱託を含む人員配置の見直しを示唆するメールを送信した。嘱託職員たちは雇用への不安が募り、被害を市や外部へ訴えられなかったという。上司が地位を利用して部下に苦痛を与える「パワハラ」に当たる恐れもある。

 その後、男性職員が起こした別の複数の不祥事が発覚し、今年に入って市が同僚たちに事情を聴いた際、セクハラを訴える女性が自身への被害を申し出た。

 市職員課は「本人が被害を証言し、目撃した職員がいることも把握しており、調査している」と述べた。

 被害を訴える女性は最近のセクハラに関する一連の報道を受けて意を決し、「行為は強制わいせつ罪に当たるのではないか」と考え、今月中旬に警察署を訪れ相談を進めている。

前橋市セクハラ事件初公判 罪状認否 男性が留保
2019.05.16 中日新聞
 【群馬県前橋市の当時の女性嘱託職員が男性管理職からのセクハラ被害を訴え、市が男性を停職の懲戒処分にした問題で、その後に県警に強制わいせつ容疑で書類送検され、同罪で起訴された男性の初公判が十五日、前橋地裁(水上周(あまね)裁判官)で開かれた。罪状認否で男性は「今の段階では中身は留保したい」と述べた。法廷では、女性に配慮して氏名や年齢などの個人情報は読み上げられなかった。

 冒頭陳述や市の処分内容などによると、二〇一六年十二月二十八日夜に市内の居酒屋であった職場の忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後に密着し、両手でそれぞれ女性の両胸を触ったとされる。宴席で複数の同僚が行為を目撃したことを証言している。女性は昨年になって県警に相談していた。

 女性、男性ともその後に退職し、男性は会社員になった。男性は昨年六月に処分を受け、同年末までに書類送検され、今年三月末に起訴された。女性によると、今月に入って男性が謝罪して解決金を支払う内容の示談書が示され、男性側が支払ったという。

 女性は取材に「裁判が長引き、詳細な証言を求められるのはつらいので、示談に応じた。(認めずに留保するとは)納得いかず、いいかげんにしてほしい。怒りがまた込み上げてきた」と語った。(菅原洋)

被告「女性から求めた」 前橋市元職員セクハラ公判 被害女性「事実と異なる」 結審
2019.06.13 中日新聞
 【群馬県前橋市のいずれも退職した女性嘱託職員が男性管理職にセクハラ被害を受け、男性が強制わいせつ罪で起訴された事件の二回目の公判が十二日、前橋地裁(水上周(あまね)裁判官)で開かれた。男性は罪状認否で「間違いありません」と認めたが、被告人質問で「女性から肩と腕のマッサージを求められた」などと主張し、結審した。しかし、女性は閉廷後の取材に「求めていない」と反論している。
 冒頭陳述によると、二〇一六年末に市内の居酒屋であった職場の忘年会で、飲酒した男性が座っていた女性の背後に密着し、両手でそれぞれ女性の両胸をもんだとされる。
 男性は「マッサージをするうちにスキンシップの延長で胸を触った。女性は翌年も自分や希望者が参加した職場の飲み会に何度か訪れ、自分の昇進祝いの飲み会では花束やメッセージなどを受け取った。マラソン大会にも女性と共に参加した」などと述べた。
 検察側は論告で「自己中心の動機で、大胆、悪質だ。女性の苦痛が甚大なのは明白」と懲役六カ月を求刑し、弁護側は最終弁論で「職員を自ら辞めるなど社会的制裁を受けており執行猶予にするべき」と情状酌量を求めた。
 閉廷後、女性は「私は飲酒できずに冷静だったのに、酔った男性にマッサージを頼むわけがない。スキンシップはなく、いきなり触られた。被害の後も職場の飲み会やマラソンに参加したのは、同僚の女性たちが一緒に参加したから。私は花束などを手渡してはいない」と指摘した。
 その上で「事実と異なる主張をされ、驚いている。罪は認めても、本当に反省しているとは思えない。実刑で厳しく処罰してほしい」と語った。(菅原洋)

自称18~22歳(実は児童)との児童買春容疑で逮捕された場合の弁解~沖縄簡裁H30.4.19を題材に

 釈放された一心で捜査段階でいい加減な自白をしたので、それを根拠に有罪になっています。
 児童の体格データを開示させて、児童にも見えるし、それ以上にも見えることを立証した上で、金髪・化粧・言動からは児童に見えないという立証をして、控訴審で無罪になっています。(福岡高等裁判所那覇支部平成30年11月14日)

 この判例を参考にすると、年齢知情を否認するには、こういう弁解が有効だと思います。捜査段階でも公判段階でも。

一般的に、16歳児童一般と18歳一般とは体型が変わらないこと(政府統計+法医学文献)

本件被害児童は、平均的な身長体重であるから、一般人が見ても、18歳と区別が付かないこと

サイトの表示・言動は21歳であった+化粧・金髪(塗り絵)
犯行時の乳房・陰毛のタナースケール(塗り絵)

被告人から見ても、児童には見えなかった

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
沖縄簡易裁判所判決平成30年4月19日
LLI/DB 判例秘書登載

       主   文
 被告人を罰金50万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は,平成29年9月16日午後7時51分頃から同日午後9時10分頃までの間に,那覇市(以下略)において,■■■(当時16歳)が18歳に満たない児童である可能性を認識しながら,あえて,同児童に対し金銭を対償として供与する約束をして,同児童と性交し,もって児童買春をした。
(証拠の標目)なお,括弧内の番号は証拠等関係カードの検察官請求番号を示す。
(事実認定の補足説明)
3(1) 当公判廷において,被告人は,本件女性に会った際の印象につき,やや頭でっかちの小柄な体型で児童体型という言い方もでき,社会生活や仕事生活の経験が乏しく会話の内容が乏しい感じがした,△病にり患していると二次性徴の発達が遅れることが一般的な傾向としてあり,△病の治療をしているために勉強や仕事が十分に行われていないことがあるので,本件女性が21歳であるとしてもおかしくないと思った,しかし,本件女性につき18歳未満であることを疑う所見はなかったことから,自分の感覚を信じて,それ以上に年齢を確認することはしなかったなどと供述する。
   しかるに,上記2(1)で認定した本件女性の顔つきや体型からすると,被告人も本件女性が18歳未満である可能性を認識し得たと認められる。被告人は,上記のとおり,本件女性が児童体型であったことや会話の内容の乏しさを感じつつも,△病の影響としておかしくないと思ったと供述しているところ,この供述は被告人が本件女性につき21歳よりも若いのではないかという印象を受けたことを自認するものにほかならない。そして,被告人の公判供述によれば,△病による二次性徴の発達の遅れ等も必ず生じるものではないというのであるから,本件女性から受けた21歳よりも若いという印象が△病に起因するものではなく,本件女性の実際の年齢が18歳未満である可能性を認識していたというべきである。
 (2) これに対し,被告人は,△△の登録の際に免許証等による年齢確認がされており,本件女性のプロフィールにある年齢が虚偽であるとは思わなかったと供述する。
   しかし,上記2(4)のとおり,18歳未満の児童が出会い系サイトを通じて知り合った男性と売春をしている例が多々あることは広く知られた事実であって,出会い系サイトへの登録の際の年齢確認は必ずしも厳密にされているわけではない。また,プロフィールの年齢は自己申告によるものであって自動車運転免許証等の身分証明書に記載されたとおりでないことは,上記2(1),(2)のとおり,被告人も62歳のところを40代後半と登録していることからして,被告人も十分に認識していたと認められる。
 (3) また,被告人は,出会い系サイトを通じて知り合った買春の相手方に対し,その年齢を確認するために,生年月日を尋ねたり身分証明書の提示を求めたりすることはしない,年齢の確認は自分の感覚でやるしかない,自分の感覚はかなり正しいと思っているなどと供述する。
   しかし,本件女性の語った21歳という年齢と18歳未満とはさほどの年齢差があるわけではなく,その違いにつき感覚で正しく判断できるとはおよそ考え難いのであり,被告人の供述は採用することができない。被告人の上記供述は,結局のところ,性交という目的を達するまでの男女間の雰囲気を良好に保つとともに,買春の相手が18歳未満であることを知ってしまった場合に直面する性交を断念するかどうかの判断から逃れるために,あえて,更なる年齢確認をしなかったにすぎないというべきである。
4(1) さらに,被告人は,捜査段階において,当初は本件女性が18歳未満であることを知らなかったと供述していたものの,その後に自白に転じ,「もしかしたら18歳未満で17歳くらいかもしれないと一瞬頭をよぎった」(乙2),「実際にその女の子と会ったり話をすると,頭が大きめで,児童体型でしたし,女の子の肌もハリがあり,そして,立ち振る舞いやしゃべり方からしても18歳にはなっておらず,まだ,17歳とか16歳くらいではないかと思いました。」(乙3)と供述し,本件女性が18歳未満である可能性を認識していたことを自白している。
 (2) この点,被告人はこれらの自白にづき,否認していたために勾留され,経営する○院での診察ができなくなって多くの患者に迷惑をかけたことから,早期に釈放されるために虚偽の自白をした旨供述する。
   しかし,被告人は,自白すれば釈放されるなどとは誰からも告げられておらず,逮捕された直後からt弁護士を弁護人に選任しており,その弁護人からは自分が思ったとおり答えるのが一番いいと助言を受けていたことを自認していることからすると,虚偽の自白をすることやそのことを弁護人に一切相談しなかったというのは不自然であるといわざるを得ない。そして,被告人は,自白することにした理由につき,捜査段階で検察官に対し,「自分が大人としてやってはいけない恥ずかしい行為をしたことを知られたくなかったこと,そして,自分の罪が重くなるのではないかという気持ちもあって正直に言えませんでした。しかし,私は,刑事さんたちに女の子の年齢について嘘を言い張ることがきつかったこと,そして,自分がやったことはありのまま話をして罪滅ぼしをしようという気持ちになったので,女の子の年齢については,18歳未満であると思っていながらセックスしたことをお話ししたのです。」と語っているところ,これは自白するに至った心情を素直に,かつ具体的に供述したものと認められる。
   したがって,被告人の捜査段階の自白は,十分に信用することができる。
5 以上によれば,被告人は,本件女性の顔つきや体型,会話の内容等から同人が18歳未満である可能性を十分に認識しながら,あえてその年齢を確認することなく18歳未満であっても構わないと考えて性交したと認定することができ,未必の故意があったと認められるのであり,これに反する被告人の弁解及び弁護人の主張は採用することができない。
(法令の適用)
 罰条    児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 刑種の選択 罰金刑
 労役場留置 刑法18条
(量刑の理由)
 本件は,被告人が児童買春をした事案である。
 本件は,被告人がもっぱら自己の性欲を満たす目的で敢行した犯行であって,その自己中心的な犯行動機に酌むべき事情はない。被告人は那覇市内に○院を開設する○○○として多額の収入を得ているところ,いまだ16歳で資力に乏しい本件女性の浅慮に乗じ,ホテル代とは別に対価1万5000円及びタクシー代3000円を渡して性交に及んでいるのであって,本件女性の健全な育成を害する悪質な犯行というべきである。以上によれば,被告人の刑事責任は軽くない。
 しかしながら,本件女性が年齢を21歳と偽っており,被告人も本件女性が18歳未満であることにつき確定的な認識があったとまではいえないこと,被告人はこれまで出会い系サイトを利用して週1回くらいのペースで15人から40人の女性に金を渡して性交していたが,今後は同サイトの利用をやめて二度と買春をしないと誓っていること,被告人に前科前歴がないことなど被告人にとって酌むべき事情も認められる。
 これらの事情を考慮して,被告人に対しては罰金刑を科す主文の量刑が相当であると判断した。(求刑-罰金60万円)
  平成30年4月19日
    沖縄簡易裁判所
           裁判官  後藤 誠

「北総線 8時6分 小室駅発 2両目座席」というメルカル商品とショバヤ行為

 迷惑条例では「ショバヤ行為」という伝統的な迷惑行為ですが、最近の検挙事例は見かけません。
 ネット上で募集する行為が「公共の場所又は公共の乗物において、」と言えるかは疑問ですが、最終的には当該列車において落札者と席を替わることになるので、その部分は「公共の場所又は公共の乗物において、」に掛かると思います。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20190610-OYT1T50013/?fbclid=IwAR0BmV0YNgGqbs0IdYr6OLQKcm8S6bu7QJDID3N2xJAj4Dh6YPMx2WsDgkI
フリーマーケットアプリ「メルカリ」に、通勤ラッシュ時の列車の席に座る権利が1800円で出品されていたことがわかった。出品者側が事前に席取りして譲る仕組みだが、鉄道会社によると、公共交通機関の座席を不当に与えることを禁じた自治体の条例に抵触する可能性があるという。メルカリは商品を削除した。


 対象の列車は、千葉県印西市と東京都葛飾区を結ぶ北総鉄道北総線。メルカリや北総鉄道によると、「北総線 8時6分 小室駅発 2両目座席」という商品名で今月4日頃までに出品された。出品者側が3日間座席を確保し、乗り込んできた購入者が購入画面を見せると、譲るという内容だ。

 メルカリは利用者からの通報などで把握し、サービスなどの出品を禁じた自社のガイドラインに基づき、購入される前に削除した。

 北総線は都営浅草線などと直通で、新橋や品川にも向かうため多くの通勤客が利用している。座席は自由席しかない。東京都や千葉県の迷惑防止条例は鉄道などでの「座席等の不当な供与行為」を禁止しており、北総鉄道は「こうした行為がまかり通ると、本来座れる人が座れなくなる。やめてほしい」と訴えている。

千葉県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例解説(2015年12月)
(座席等の不当な供与行為(ショバヤ行為)の禁止)
第9条
何人も、公共の場所又は公共の乗物において、不特定の者に対し、みだりに、座席、座席を占めるための行列の順位又は駐車の場所を占める便益を対価を得て供与し、又は供与しようとしてはならない。

〔本条の趣旨〕
第9条は、座席等の不当な供与行為、いわゆるショバヤ行為の禁止規定である。本条は、特定の者の利益目的のために、県民の権益、すなわち、何人も自由に、又は先占の順序に従って利用すべき座席等の利用の機会均等を阻害する行為を規制しようとするものである。
〔本条の規定する罪〕
1座席等を対価を得て、不特定の者に供与する罪
2座席等を対価を得て、不特定の者に供与しようとする罪
解説
1 「座席」とは、座るために設けられた場所又は設備をいう。いす、ベンチはもちろん、ござ、むしろ等が敷かれた場所を含む。
2 「座席を占めるための行列の順位」とは、座席を占めるために並んだ列の順番をいう。並ぶことによって、必ず座席を占めうるものである必要はなく、座席を占めることを期待し、又は占める可能性があれば足りる。
したがって、その順番の前後を問わない。供与の目的である行列の順位を、座席を占めるためのそれに限定する趣旨である。
その主たる目的が他にある場合、例えば、単に物品購入のための行列の順位は、本条の対象とならない。

3 「駐車の場所」とは、駐車することができる場所をいう。
駐車とは、道路交通法第2条第18号にいう駐車に限らず、道路交通法上の停車を含む。
したがって、5分を超えない時間内の停車についてのショバヤ行為であっても、当然、本条の処罰対象となり得る。
4 「占め」とは、必ずしも占拠することを要せず、事実上、自己の支配下におけば足りる。
したがって、その周辺をぶらつきながら他人が利用しようとすれば、それを排除するような動作もこれにあたる。
5 「便益」とは、本来、都合のよいとか、便利なことを意味するが、ここでは、座席などを占めることによってもたらされる利益をいう。
6 「対価」とは、座席等の供与と相関関係にある反対給付としての経済的利益をいう。対償又は報酬と同義である。
反対給付は、必ずしも金銭に限らないが、供与と対価関係にあることを要するので、単なる謝礼を含まない。
しかし、謝礼であるかないかは、その名目によらず、実質に従って判断すべきである。
7 「供与」とは、金銭、物品、その他便益を提供することであり、ここでは、座席とか、駐車の場所の便益を提供することである。
8 「供与しようとして」とは、供与する行為の未遂的形態をいう。
〔本条と他の法令との関係〕
1軽犯罪法との関係
本条と軽犯罪法第1条第28号(追随等の罪)又は第32号(立入禁止場所等進入の罪) との関係は、観念的競合である。
2道路交通法との関係
本条と道路交通法第44条(停車及び駐車を禁止する場所)又は第45条(駐車を禁止する場所) との関係は、法条競合である。
3鉄道営業法との関係
本条と鉄道営業法第35条(物品の販売、勧誘等の罪)又は第37条(立入りの罪) との関係は、観念的競合である。
4物価統制令との関係
本条と物価統制令第9条の2 (不当高価契約の禁止) との関係は、観念的競合又は併合罪である。

強制性交等致傷被告事件無罪判決浜松支部H31.3.19

静岡地方裁判所浜松支部H31.3.19
上記の者に対する強制性交等致傷被告事件について、当裁判所は、検察官三浦拓実、同河田夏緒里、弁護人吉野哲史(国選・主任)、同村松奈緒美(国選)各出席の上審理し、次のとおり判決する。


主文
被告人は無罪。


理由
第1公訴事実及び争点
訴因変更後の本件公訴事実は、「被告人は、強制的にA(当時25歳)と性交等をしようと考え、平成30年9月8日午前2時頃、T県C市所在の『D』南側駐車場において、徒歩で通行中の同人に対し、『あっちに行こう。』などと声を掛け、同人の背中に手を回すなどして、同人を同市所在の店舗西側敷地内に連行し、その頃から同日午前2時15分頃までの間、同所において、同人の体を両腕で抱きかかえて持ち上げ、同所に設置されていたウッドデッキに座った自己の体の上に仰向けに横たわらせるなどし、同人の膣内に指を入れて弄び、同人の着衣をまくり上げて同人の乳首を舐めるなどした上、同人を前記ウッドデッキの上に座らせ、同人の顎付近を手でつかみ、同人の口に指を入れて強引に開くなどの暴行を加え、同人の反抗を著しく困難にして同人の口腔内に自己の陰茎を入れ、もって暴行を用いて口腔性交をし、その際、同人に加療約2週間を要する口唇挫創、顎関節捻挫等の傷害を負わせた。」というものである。

関係各証拠によれば、被告人及びAが本件公訴事実記載の日時頃、同記載の各場所にいたことは明らかである。
そして、検察官は、信用できるAの供述等によれば、被告人が、Aに対し、本件公訴事実記載のとおりの暴行を加えて口腔性交をし、被告人の行為によりAが本件公訴事実記載の傷害結果を負ったことが認められ、その際の被告人の暴行は、Aの反抗を著しく困難にする程度であったことは明らかである旨主張する。
これに対し、弁護人は、被告人が、Aに対し、暴行を加えたり、口腔性交をしたことはなく、被告人の行為によりAが傷害を負ったこともなく、また、被告人の行為がAの反抗を著しく困難にする程度であったとはいえないなどと主張する。


第2当裁判所の判断
1前提事実
関係各証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)平成30年9月8日(以下、特に断らない限り、月日は平成30年である。)午前2時頃、本件公訴事実記載のコンビニエンスストア(以下「本件コンビニ」という。)の南側駐車場(以下「本件駐車場」という。)において、被告人は、徒歩で通行中のAに対し、声を掛け、会話をし、Aと携帯電話番号を交換した。

(2)その後、Aと被告人は、一緒に歩いて本件公訴事実記載のウッドデッキ(以下「本件ウッドデッキ」という。)付近に行き、本件ウッドデッキに並んで座り、会話をした。

(3)本件ウッドデッキにおいて、被告人は、Aの脚を触り、Aの体を抱き寄せて自身の太ももの上に乗せ、Aの脚や尻、胸を直接触り、乳首を舐めるなどした。

(4)その後、被告人は、Aを本件ウッドデッキに座らせ、自身はAの目の前に向かい合わせに立ち、自身のズボンを下ろして陰茎を出し、Aの手を取って被告人の陰茎を触らせた後、Aの顎付近を触りながら自身の陰茎をAの閉じている唇に押し当てた。

(5)その後、被告人は、自身の手で陰茎を触り、本件ウッドデッキ付近の地面に向かって、射精をした。

(6)被告人は、射精後、Aに対し、「家に帰ったらメールして、心配だから」などと言って、Aと指切りをして別れた。

(7)Aは、被告人と別れた直後の同日午前2時17分頃、友人のBに電話をかけ、その後、約53分間にわたり、Bと通話をした後、Bに対し、Eのメッセージを送信した。

(8)Aは、同日夜、F警察署に行ったが、その際、けがの申告はしなかった。

(9)Aは、9月11日、G整形外科医院に行きH医師(以下「H医師」という。)の診察を受けた後、I皮膚科医院に行き、口唇の荒れがヘルペス等の感染症でないことを確認した。
また、同日、Aは、F警察署へ行き、全身や口付近の写真を撮影された。

2A及び被告人の各供述内容
(1)Aの公判供述の要旨
私は、9月8日午前2時少し前、ネットショッピングの支払をするために自宅近くの本件コンビニに行き、支払を済ませて店外に出た後、被告人から話しかけられた。
できるだけ早く帰ろうと思い、「じゃあ」と言いながら少し前に歩くようなそぶりで帰ろうとしたが、それでも被告人が話しかけながらついてきたので、「じゃあ」、「じゃあ」と繰り返した。
被告人から電話番号を交換しようと言われ、教えたくなかったが断る勇気がなく、また、電話番号を交換したら家に帰れると思い、電話番号を教えた。
「じゃあ」と何回か言ったが、被告人が「あっちに行こう」と言って私の背中に手を当てて本件ウッドデッキの方へ私を誘導した。
被告人は自転車を押していたし、私の家も近く、家を知られたくなかったので逃げるという考えがなかった。

本件ウッドデッキのところで、被告人が「少しここで話をしよう」と言い、たばこを吸うかと聞かれ、たばこを差し出してきたので、たばこ1本分話に付き合おうと思い、本件ウッドデッキに座った。
被告人と会話をした後、被告人が「脚が綺麗だね」と言いながら私のすね辺りをなで始めたので、「外国人のほうが脚が長くて綺麗ですよね」と答えた。
私も自分のすねをなでる感じで優しく刺激しないように被告人の手を払い、首を横に振った。
その後、被告人は肩を抱き寄せるようにしてキスをしてこようとしたので、顔をそむけたら、「だったらキスをして」とお願いをされ、口にするのは嫌だったので、「ほっぺになら」と言って、一瞬だけ頬にキスをした。
私は何度も「帰らなきゃ」と会話の途中で言っており、キスをしたら帰れると思った。
その後、被告人が座ったまま私をお姫様だっこみたいな感じで抱き寄せて、被告人の膝の上に乗せた。
一瞬の出来事だったので頭が真っ白になって何もできず、声も出ず、それからは首を横に振るくらいしか抵抗できなかった。
被告人が私の首にキスをしてきて、私のすねをなでてそのまま太もものほうまでなでてきて、手が尻のほうへ行って、私の陰部を触った。
陰部はなでるように触ってきて指が陰部の中に入ってきたことがあり、「ぐちゃぐちゃだね」と言われた。
被告人は私の服の中に手を入れ、胸をもむような感じで触ってきて、私の胸を舐めた。
私はずっと首を横に振っていた。

被告人は私を抱きかかえたまま立ち上がり、私を本件ウッドデッキに座らせ、私の目の前に立ってズボンを下ろし、陰茎を出してきた。
私は頭が真っ白になり、ただ首を横に振り続けるしかできなかった。
被告人は2回私の手をつかんで陰茎を触らせてきたが、私は嫌で手に力を入れなかったので、2回とも手は下に落ちた。
その後、被告人は、陰茎を私の口に近づけてきたので、私が口をぎゅっと閉じていたら、陰茎を私の唇に押し当ててきた。
その後、陰茎を私の口に当てた状態で、私の口に指を入れてきて、そのまま口を開けさせ、陰茎を口の中に入れてきた。
私は気持ちが悪かったので顔を背けるようにして吐き出した。
被告人はもう一度陰茎を口に近づけてきたので、私は口をぎゅっと閉じたが、また口に指を入れて口を開かされて陰茎を入れられたので、1回目と同じように顔を背けて吐き出した。
被告人は2回のうち少なくとも1回は私の顎を手で覆うように触ってきた。
被告人がどのような形でどちら側の口の端から指を入れて口を開けてきたかは覚えていないが、その指は口の端の方から下の歯を超えて入ってきた。
私は当時動けず、しゃべれない状態だったので、普段の私の口を開けようとするより容易に口を開けることができたと思う。
被告人の陰茎の先端が私の上顎の部分に当たったのは確かである。
私が2回目に被告人の陰茎を吐き出すと、被告人は少し横にずれて自分で陰茎を触り射精した。

私は、被告人と別れた後、走ってその場を離れて人目に付かない場所に隠れてBに電話をして直前の出来事を伝えるなどした後、文章にした方が良いと思ってEでBに送信した。
その後帰宅してすぐにシャワーを浴びたが、口をゆすいだ際、口の端が痛かった。
今回の被害に遭うまでは痛みなどはなく、唇の痛みより顎の痛みの方が長く続いた。

(2)被告人の公判供述の要旨
私は、本件コンビニでたばこを買った後、本件駐車場でたばこを吸っていると、Aが出てきたので、声を掛けた。
本件駐車場でたばこをAと共に吸い、電話番号を交換した。
Aから、家に帰らなければならない旨言われたので、家まで送っていこうかと聞くと、「はい、大丈夫」と言われたので、近くに立てかけていた自転車を取った。
自転車を取ってから、お待たせ、という意味を込めてAの肩を一瞬手でタッチした。
その後、自転車を押しながらAと一緒に歩き、本件ウッドデッキのところまで行ったところ、Aが「ここで大丈夫です」と言ったので、「もし良かったらここでもう少ししゃべりましょうか」又は「座りましょうか」などと聞くと、Aが「ちょっとならいいよ」と言った。
私は自転車を置くからちょっと待って、と言い、自転車を近くに立てかけた。
その後、ウッドデッキにAが座っていたので、自分もAの右側に座り、たばこを一緒に吸った。

私は、Aの脚をマッサージするように触り、「スポーツをするか」、「体重はいくつか」などと聞いた。
Aの体重を聞いた後、「抱きかかえることができるよ」と言ったら、Aから「そんな簡単にはできないよ」と言われたので、Aを抱きかかえて太ももの上に乗せた。
Aに「チューしてくれますか」などと聞いたら、Aから「えっ」という反応をされたので、口ではなく頬だよ、という意味で自分の頬を指さしたところ、Aはためらうことなく私の頬にキスをした。
私は、Aの脚を触り、Aの衣類が緩い感じだったので衣類の中に手を入れて尻を触り、服の上からも服の下からも胸を触った。
私がAの尻を触っていたとき、Aの脚の奥のほうに手を持って行ったところ、私の手がAの陰部に触れたようだったので驚いてAの衣類から手を出した。
Aの陰部に指は入れていない。
私は左手でAの背中を支えながらAの服を右手で上に上げ、Aの右胸の乳首を舐めた。
Aはその際、身体を少し反らした。
私が「気持ちいい」と聞くとAは「うん」と言った。

Aが私の陰部を服の上から触ってきたので、もう少しできるのかなと思い、Aを本件ウッドデッキの上に座らせ、Aの目の前に立った。
私が陰茎を出すためにズボンを下ろしたところ、Aはレストランでオーダー違いの品物を出されたときのような驚いた表情をしたが、嫌だとは言わなかったので、嫌がっている表情とは思わなかった。
私は1度、Aの手を持って私の陰茎の上に置いた。
Aは私の陰茎を握ってくれなかったが、Aが恥ずかしがっていると思った。

私はAが陰茎を舐めてくれるかもしれないと思い、Aの顎付近を左手で下から包むように持ち、右手で自身の陰茎を持ってAの唇に陰茎を当てたが、Aは口を開けず横に向いた。
そのため、Aが嫌がっているのだと思い、Aの口から陰茎を離した。
私が、Aの口を指で開けたり、Aの口の中に陰茎を入れた事実はない。
私は、Aが汚れないように横を向き、自分で陰茎を触り、射精した。

3A供述の信用性について
(1)Aは、被告人と別れた直後、高校時代からの友人であるBに電話を掛け、被告人とのやり取りをBに伝えた後、Eのメッセージでも被告人とのやり取りを送信している。

この点につき、Bは、当公判廷において、AはBが子育てを始めた後は、今回のように夜中にいきなり電話をかけてくることはなかった、Aは電話で当初おびえたような感じで少し混乱したように話していた、電話でAが話した内容とEのメッセージでその後に送信された内容は概ね異ならない旨供述している。
Bに虚偽供述の動機は認められず、BがAの公判供述と一部食い違う供述をしていることなどにも照らせば、BはAと供述をすり合わせるなどせず、当時の記憶に基づき供述しているものと認められ、Bの供述は十分に信用できる。

そして、Aは、被告人と初対面であり、しかも、普段と異なり、被告人と別れた直後、午前2時過ぎという深夜であるにもかかわらず、いきなりBに電話をかけていることに照らせば、Aが当時起きた出来事をありのままBに話したと認めることができ、AがBに伝えた内容について、多少の混乱はみられるにしても、記憶違いの可能性は低い。
また、虚偽供述の動機についてみても、Aは当時被害届を出すかどうか迷っており、交際相手との関係でも事件を大事にしたくないと思っていたのであるから、少なくともBに話した事件直後の時点では虚偽供述の動機は認められない。

そうすると、Aの公判供述のうち、Aが事件直後にBに話した内容、すなわちBに対して送信したEのメッセージと沿う部分については、その信用性が十分に認められるというべきである。

他方、Aの公判供述のうち、上記信用できるBの供述やEのメッセージ内容と整合しない部分については、Aの記憶が変容している可能性も否定できない。

(2)以上によれば、上記1記載の事実に加え、被告人がAの陰部に指を入れた事実及び被告人がAの口を指で開けて陰茎の先をAの口腔内に2度入れた事実が認められる。

これに対し、被告人は、Aの陰部を触ろうとしていないし、Aの陰部に指を入れていない、Aの口を指で開け、陰茎を口腔内に入れた事実はない旨供述するが、Aの信用できる供述部分に反する上、陰茎を握ることさえしてくれないAに対し、その唇に陰茎を当てて舐めてもらおうと考えるほど性的に興奮していた被告人が、Aの口に陰茎を押し当てた際、Aが口を開けず横を向いたというだけでこれを諦めるとも考えにくく、この点に関する被告人の供述は信用できない。

4被告人の行為とAの傷害結果との因果関係(Aの傷害結果に関するH医師の供述の信用性等)について
(1)H医師の公判供述の要旨
Aは、加療約2週間を要する口唇挫創、口輪筋挫傷、顎関節捻挫の傷害を負ったと診断した。

まず、口の両側の口角に赤い傷があったので、口唇挫創と判断した。
創の状況だけでは暴行によってできたのか不摂生によってできたのかはわからないが、指が受傷部位を圧迫したか、もしくは指でこすって生じたと考えて矛盾しない。
口唇挫創自体の加療期間は受傷日から約1週間である。

次に、Aが診察時に口を開けた際、顎関節や口周囲に痛みがあり、指1本分程度しか口を開けることができなかったので、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫と診断した。
口輪筋挫傷は閉じようとした口を無理やり開くことで筋肉に傷が入ったと考えて矛盾せず、顎関節捻挫は普段の運動領域を超えて大きく口を開かれたために生じたと考えて矛盾しない。

Aが指1本分程度しか口を開くことができないということから、Aに対しかなり強い力が加わったと考えられ、受傷直後から痛みがあったと考えられる。
そのため、加療期間は受傷日から約2週間と判断した。

なお、レントゲンを撮影したが、異常は見られず、そのほか、口の周囲に目立つ腫れや内出血はなかった。

(2)H医師の供述の信用性等
H医師は、整形外科医としての専門的知見及び経験に基づき、上記供述をしており、その内容に不自然不合理な点はなく、同供述は信用できる。

そして、Aは、本件被害に遭うまでは上記各傷害を負っていなかった旨供述するところ、その点に合理的な疑問は見出せない。

そうすると、上記各傷害結果は被告人の行為によって生じたと考えるのが合理的であり、Aに生じた口唇挫創、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫と被告人の行為との間に因果関係が認められる。

これに対し、弁護人は、Aの不摂生やAが本件の翌日である9月9日にコンサートに行った際に上記各傷害が生じた可能性がある旨主張する。

しかし、まず、口唇挫創の傷害については、Aが9月9日午前2時21分にBに対し、口の端が切れている旨述べていることに照らせば、Aがコンサートに行くより前に傷害が生じていたものと認められ、Aが昼夜逆転の生活を行っていたことやにきびができるなどして肌が荒れていたとうかがわれることを踏まえても、被告人の行為によるものではないとの合理的な疑いまでは生じない。
もっとも、Aの供述によっても被告人が指でAの口の両端を強い力で押さえ付けたとは認められず、従前のAの皮膚科受診歴等からうかがわれる肌の弱さ等のA側の事情も加わって口唇挫創が生じた可能性は否定できない。

次に、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫の傷害については、確かに、AはBに対し口周囲や顎の痛みについては伝えていないし、A自身も被告人がAの顎を触る力は強くなかった旨述べているほか、受傷直後は顎付近よりも口の端のほうが痛かった旨述べているため、受傷直後から口周囲や顎関節の痛みが生じていたとは考えられず、H医師が供述するほどの強い力が、被告人の行為によってAの口周囲や顎付近に加わったとまでは認められない。
他方、Aが供述する程度の弱い痛みや違和感にすぎなかったのであれば、AがBに痛み等を伝えなかったとしても不自然とまではいうことができず、また、Aが上記で認定した行為を受けた翌日にコンサートで口を大きく開けて騒ぐとも考えにくいため、口輪筋挫傷及び顎関節捻挫についても、被告人がAの口に指を入れ、Aの口腔内に陰茎を入れた際に生じたとみるのが自然であり、因果関係を認めるのが相当である。

5被告人の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度の暴行であると認められるかについて
Aと被告人との間には、上記1及び3で記載したようなやり取りがあったところ、Aは、被告人がAを本件ウッドデッキに座らせ、Aの目の前に立った際、頭が真っ白になり、口を閉じて陰茎を入れられることに抵抗しようとしたが、被告人に顎を触られた状態で口に指を入れられたため、顔を動かすことができず、陰茎を入れられた旨供述している。

そして、Aは、被害直後に、深夜であるにもかかわらず事前の連絡なくBに電話をかけ、Bから「いま寝室」とEのメッセージを受信しても更にBに電話をかけ、約53分間にわたり通話をし、被害状況について申告していること、Bに送信したEのメッセージにおいても上記の際には頭が真っ白になった旨述べていることのほか、Aは、当時25歳と若年であり、身長約149cm、体重約38kgであった一方、被告人は、身長約169cm、体重約67kgと大きな体格差があること、被害当時は、午前2時頃の深夜であって、本件ウッドデッキの周囲に人通りは見られなかったこと、Aが被告人の陰茎を吐き出した後も再度被告人の陰茎を口に入れられてしまっていることなどの事情に照らせば、少なくとも、被告人がAの目の前に立った際に頭が真っ白になった旨のAの上記供述は信用できる。

そうすると、被告人がAを本件ウッドデッキに座らせ、Aの目の前に立った状態で、口に指を入れる暴行をしたことによって、Aは、頭が真っ白になり、顔を動かす等の手段に出ることができず、被告人が口腔内に陰茎を入れようとするのを拒否することが非常に難しくなったということができ、被告人の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度のものであったと認めることができる。

6被告人が自身の加えた暴行がAの反抗を著しく困難にする程度のものであると認識していたかについて
Aは、上記のとおり、被告人が目の前に立った当時、被告人の暴行に対し抵抗することが著しく困難であった、とは認められるものの、Aの供述や傷害結果によっても、被告人がAの顎を触ったりAの口に指を入れて口を開けたりする、という暴行の程度が強いものであったとまでは認めることができないことに照らせば、Aが抵抗できなかった主たる理由は「頭が真っ白になる」などといった精神的な理由によるものであると考えられる。

そして、被告人は、上記のとおり、口腔性交の際には、Aに対し、それほど強い暴行を加えていない上、口腔性交に至るまでの間にも、殴る、蹴る、脅すといった強度の暴行脅迫行為をしておらず、Aから二度目に陰茎を吐き出された後も、それ以上の暴行等の行為をAに対してせず、自ら陰茎を触り射精するにとどめている。
また、Aは、被告人からわいせつな行為を開始された後は、声を出すことができなかったこともあり、拒絶の気持ちを言葉では被告人に伝えることができておらず、Aが被害直後にBに送信したEのメッセージに照らしてみても、Aは諦めから口腔性交に至るまでの被告人の行為を一定程度受け入れてしまった様子がうかがわれ、口腔性交に至る前の時点では、被告人からみて明らかにそれと分かるような形での抵抗を示すことができていなかったと認められる。

そうすると、被告人の行為は、被告人の立場からみると、いわゆるナンパをした女性に対し、相手の反応をうかがいながら、徐々に行動をエスカレートさせ、どこまで相手が応じてくれるか試し、最終的に拒絶の意思を感じた段階で行為をやめたものとも評価し得る。
そのような評価が可能であることを踏まえると、被告人が当時、Aが被告人との口腔性交を拒否することがとても難しい状態であったこと、あるいはそのような状態であることを基礎付ける事情(以下「Aの反抗が困難な事情」という。
)を認識していたと認めるには、常識に照らして疑問が残るといわざるを得ない。

そして、被告人は、Aから、一度目に陰茎を吐き出された後、更にAの口に指を入れ、その口腔内に陰茎を入れているが、上述した経緯等に照らせば、一度目に吐き出されただけでは、それが拒絶の意思によるものと必ずしも理解できず、Aの顎に手を添えるなどして再度の挿入を試みた可能性も否定できず、二度目にAの口に指を入れた時点においても、Aの反抗が困難な事情を認識していたと認めるには、なお常識に照らして疑問が残るといわざるを得ない。

第3結論
以上検討したところによれば、被告人が口腔性交をする際、Aの反抗が困難な事情を認識していたと認めるには合理的な疑いが残り、被告人にはこの点に関する故意が認められない。

なお、上記で検討したところによれば、被告人がAの口に指を入れ、陰茎を入れる暴行を加えた際に、被告人が同行為につきAの消極的な承諾があったと考えていた合理的な疑いを払しょくすることもできないから、被告人の行為に傷害罪が成立すると認めることもできない。

よって、本件公訴事実については犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により被告人に対して無罪の言渡しをする。

(求刑-懲役7年)
刑事部
(裁判長裁判官山田直之裁判官横江麻里子裁判官村島裕美)

1998年東京都において「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」場合の刑事責任

 今なら児童買春罪(h11.5.26/法律第52号 施行平11.11.1)の年齢不知ということで、罪にならない。児童買春行為に青少年条例は適用されない。
 1998年(h10)だと児童買春罪施行前なので、各地の青少年条例違反が検討されるが、東京都は、当時こういう条文になってて、性交類似行為に至らないわいせつ行為や、青少年と知らない場合は罪にならないとされていた。
 仮に、青少年条例違反につき過失処罰する他府県でやれば処罰される危険があった。

東京都青少年健全育成関連条例の解説h10
東京都青少年の健全な育成に関する条例
改正平成9年10月16日条例第75号
(青少年に対する賀春等の禁止)
第18条の2
1 何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行つてはならない。
2 何人も、性交又は性交類似行為を行うことの周旋を受けて、青少年と性交文は性交類似行為を行つてはならない
(罰則)
第24条の3
第18条例第1項又は第2項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円円以下の罰金に処する
附則(平成9年10月16日条例第75号)
この条例は、公布の日から起算して2月を経過した日から施行する。

東国原 21年前の淫行疑惑「犯罪等ではない」 事あるごとに唾棄される
 元衆院議員でタレントの東国原英夫が3日、ツイッターで1998年の自身の淫行疑惑について「犯罪等では無い」と投稿した。
 この日は、テレビ東京の冤罪特集番組の収録に臨むとし「1998年10月の自身の風俗事件。未だに、事あるごとに、ネット上で『淫行』と唾棄される」と提起した。
 「恐らく、真実を知らない、知ろうともしない どちらかと言うと若年層による無思考な批判であろう」と指摘。「あの件は、抑、犯罪等では無いので、当然、冤罪では無いのだが、冤罪を被った方々のお気持ちは如何許りか」と記した。
 東国原は2日放送の読売テレビ「八方・陣内・方正の黄金列伝」でも、「淫行疑惑」について説明。「風俗店が未成年を使っていたんです。僕はそこに行った。サービスを受けました。もちろん未成年とは知りません。パンフレットには21歳と書いてあった」と回顧した。
 警察から秘密を守るとの約束で捜査協力を依頼され、これに応じたが、その店が摘発された際に「なお、そこに出入りしていた、お笑いで有名女優を妻に持つT軍団のそのまんまH」と報じられたと説明していた。

wiki
不祥事
1998年10月13日、東京都内のイメージクラブ店が未成年の従業員を使っていたことで、児童福祉法違反並びに東京都の青少年健全育成条例違反の容疑で経営者が逮捕された。その当時16歳であった従業員の少女が、性的なサービスをした客として東国原の名前を供述したことで、東国原も同容疑で警察から任意の事情聴取を1回受けたが、「18歳未満とは知らなかった」と釈明した。当時の妻のかとうもマスコミを通じ、謝罪の文書を発表した。以後芸能活動を5か月間自粛した。東国原自身は法的に問題なかったが、倫理的な性質の問題からマスコミでは「淫行事件」として大々的に報道され、社会の激しい批判を浴びることとなった[5]。その後も一部で「東国原は少女への淫行で逮捕された」と誤解されることがあるが、前述の通り、任意の事情聴取のみであるため逮捕と訴追の事実はなく実際は犯罪歴ではない。

弁護士ドットコム経由で受任した「出会い系サイトで買春した女性(自称21歳)が、18歳かも知れない。プロフィールが『jk』になっている。」という場合の弁護士の対応

 対償供与(約束)時点で児童と知らなかったら児童買春罪は成立しないという主張が有効。


時系列
出会い系サイトのプロフィールでは「21歳」
 ↓
サイト内メールで「21歳」と確認。
3万円の対償供与の約束しホテルで性交
短大とか大学の話題。
 ↓
メール・LINEで「21歳」と確認
 ↓
プロフィールが「jk」になっている。
補導された。実は「16歳」という連絡
 ↓
弁護士ドットコム経由で受任
  着手金 40万円
  日当 5万円
  報酬金(起訴猶予の場合) 40万円 
 ↓
弁護活動
  21歳・対償供与約束というプロフィールとか、メール・LINEを保全
  知り合ってから別れるまでの足取りを報告書にして徹底して裏付け証拠を捜す。
  受任後1週間程度で、捜査担当の警察署にFAXして、必要であれば出頭して説明
 ↓
取調(延べ15時間) 必要な場合は弁護士が同行
 ↓
送検
 ↓
 意見書「児童買春行為であり、対償供与約束時点で年齢を知らなかったので、青少年条例は適用できず、適用できる罰条がないから起訴猶予にすべき。」
 ↓
起訴猶予(受任後3~6ヶ月後) 

強制わいせつ行為中に強制性交の犯意を生じてこれに及んだ点は,包括して強制性交等罪一罪が成立すると解する。(福井地裁H30.12.6)

 500万円で示談して、酌量減軽して実刑

福井地裁H30.12.6
監禁、強制性交等被告事件
主文
 被告人を懲役4年に処する。
 未決勾留日数中30日をその刑に算入する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,平成30年7月5日,F市内の量販店内で見掛けたB(以下,「被害者」という。)に強いてわいせつな行為をしようと考え,同人を追跡し,犯行に供するために準備してあった黒色仮面,黒色ニット帽及びゴム手袋を着用した。
 そうして,被告人は,同日午前2時39分頃,F県a市〈以下省略〉において,被害者が同所に駐車した軽四輪乗用自動車運転席から降車しようとするや,同人の肩付近を手で押して同車助手席まで同人を押し込み,「殺さんから。」などと言う暴行脅迫を加えた。ところが,その頃,同車のクラクションが鳴ったことから,被告人は,被害者を連行して犯行場所を移そうと考え,直ちに同車を運転して発進させ,走行中の同車内において,同人に対し,「顔を見れないようにせなあかん。」などと言って脅迫し,同人を同市〈以下省略〉まで連行した。そして,被告人は,同所に停車中の同車内において,前記一連の暴行脅迫により反抗を抑圧された被害者に対し,着衣の首元付近を引き下げてその乳首をなめる,パンツを引き下げてその陰部をなめる,被告人の指を膣の中に入れるなどし,さらに,強制的に性交をしようと考え,同車助手席ドア付近で被害者と性交し,引き続き,同車を運転して同県b町〈以下省略〉まで同人を連行し,同日午前3時21分頃,同所において同人を解放するまでの間,同人が同車内等から脱出することを著しく困難にさせ,もって同人を不法に監禁した。
 (証拠の標目)
 〈以下省略〉
 なお,被告人の脅迫文句については,被告人の「顔を見れないようにせなあかん。」との発言を,顔をぐちゃぐちゃにするとの意味に被害者が捉え,そのまま記憶した可能性も十分あり得ることから,被告人供述に従い認定した。
 (法令の適用)
 1 罰条 監禁の点につき刑法220条,強制性交の点につき同法177条前段(強制わいせつ行為中に強制性交の犯意を生じてこれに及んだ点は,包括して強制性交等罪一罪が成立すると解する。)
 2 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
 3 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 4 未決勾留日数の算入 刑法21条
 5 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
 (量刑の理由)
 1 被告人は,深夜の人気のない駐車場において,被害者を車内に押し込み,さらに同車で連行して周囲に助けを求められない状況にした上,仮面等を付けた不気味な姿で,抵抗すれば顔を傷つける旨の脅迫に及んでおり,凶器のみならず殴るなどの暴力も用いていないものの,被害者に強い恐怖心を与える態様である。また,種々のわいせつ行為を行った上で,体外に射精したとはいえ避妊の措置を講じることなく性交に及んでおり,この点も相応に悪質である。監禁については成り行きによる犯行である上,当初から性交まで企図していたわけでもないが,強制わいせつ行為に備えて自己の犯行が発覚しないよう前記仮面等を事前に準備していたことからすれば,単なる場当たり的犯行でもない(なお,被告人は,性交については被害者が承諾したと誤信していたかのような供述をしているが,前記のような本件犯行の時間,場所,態様等に加え,被告人は,犯行後ほどない頃にはいわゆる強姦をしたと自覚したというのであるから,被害者が犯行中に性交に応じるような態度を取っていたとしても,状況からしてそれが真意でないことは認識していたものと認められる。)。
 もとより,被害者が受けた苦痛は多大なものであったと認められ,現に,本件被害に遭ったことにより,離職や引っ越し,車の買換えを余儀なくされている。
 2 さらに,被告人は,前科はないものの,本件以前にも盗撮をしたり強制わいせつを企図して女性を追跡したりしたことがあるというのであって,その性癖には根深い問題が認められる。
 そうすると,被告人が被害者に謝罪した上で500万円を支払って示談を成立させたことのほか,事実を認めて反省の態度を示し,性障害専門の治療に努める意向を示していること,実母と義兄が出廷してそれぞれ被告人の支援を約束し,本件犯行後に離婚した元妻も書面で更生に協力する旨述べていることから,被告人が再犯を犯さないことは相応に期待し得ることを加味しても,単独犯が路上で面識のない者に対して敢行した強制性交等(強姦)1件の量刑傾向に照らし,本件は,酌量減軽は認められるものの,刑の執行猶予を付すべき事案であるとはいえず,被告人を主文標記の実刑に処するのが相当である。
 (求刑・懲役5年6月)
 福井地方裁判所刑事部
 (裁判長裁判官 渡邉史朗 裁判官 西谷大吾 裁判官 浅井翼)

被告人と被害児童が絡んでいるのをひそかに製造罪(7条5項)で起訴した事例

 姿態を取らせて製造罪(4項)とひそかに製造罪(5項)の複合形態は、4項製造罪のみになります

起訴事例としては
 神戸地検姫路支部
 神戸地検
 大分地検
 新潟地検
 奈良地裁葛城支部
判決まで行っちゃった事例としては、
 大分地検
 新潟地検
 奈良地裁葛城支部
がありますが、法令適用の誤りです。


 こういう法文なので、

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
3前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
4前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。
5前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

他の製造罪の構成要件を満たす場合には、5項製造罪は成立しない。

 坪井検事もそう解説する。
坪井麻友美「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律について」(法曹時報66巻11号57頁)


 そうなると、検察官は他の製造罪に当たらないという主張・立証をしなければ、5項製造罪は成立しない。
 もしくは、主張責任だけを転換して、被告人・弁護人から他の製造罪にあたるという主張があった場合には、検察官は他の製造罪に当たらないという立証をしなければ、5項製造罪は成立しない。
 姿態をとらせて製造行為をひそかに製造罪で起訴していいという訴追裁量はない。

※ 性交しながら撮影することは「性交する姿態をとらせている」ことであるという判例(札幌高裁H19.3.8)。
 札幌高裁H19.3.8(最決H21.10.21*1の控訴審判決)にその旨の判示がある。
 この理屈は、被害児童が撮影を知らない場合でも変わることがない。

札幌高裁H19.3.8
児童ポルノ法7条3項の「姿態をとらせ」とは,行為者の言動等により,当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい,強制を要しないと解されるところ,関係証拠によれば,被告人は,児童と性交等を行っているが,これらの行為は通常当事者双方の言動により行為に至るものであって,本件においても,被告人が警察官に対し,「(ビデオに撮影した)これらの場面はセックスの一連の行為の一場面であります」と述べているように,被告人は,自ら積極的に児童に性交等の行為を行い,あるいは,児童の性交等の行為に応じる言動をしているのであって,この被告人の言動等により児童は性交等の姿態をとるに至ったと認められる。被告人が児童に「姿態をとらせ」たことは明らかである。
なお,所論は,姿態をとらせる行為は,児童ポルノ製造に向けられた行為であるから,その時点において児童ポルノ製造の目的を要するが,被告人には,その時点において児童ポルノ製造の目的がない,という。しかし,被告人は,児童に性交等の姿態をとらせ,それを録画しているのであるから,正に,児童ポルノ製造行為に向けて姿態をとらせたというべきである。所論は採用できない。

 これは正に、「性交などしながらの撮影は「姿態をとらせ」ているのではない」という主張に対する判断であって、判例である。

弁護人弁護士奥村徹の控訴理由
控訴理由第1 事実誤認・法令適用の誤り~性交などしながらの撮影は「姿態をとらせ」ているのではない*2

 本件製造罪をひそかに製造罪とするのはこの判例に違反する。

※  あらかじめ室内にピデオカメラを設置して、わいせつ行為をしているところを盗撮した場合は、ひそかに製造罪ではなく、姿態をとらせて製造罪であるという判例(大阪高裁H28.10.26*3 姫路支部H28.5.20*4)
 5項製造罪の法文は「前二項に規定するもののほか、」とされる。
 盗撮行為であっても、姿態をとらせて製造罪が成立する場合にはひそかに製造罪は成立しないということである。
 判例がある。

阪高裁H28.10.26
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
判決
検察官北英知
弁護人竹内彰(主任),奥村徹(いずれも私選)
原判決神戸地方裁判所姫路支部平成28年5月20日宣告
第10,第12及び第13の各2の事実における法令適用の誤りの主張について。
論旨は,第10,第12及び第13の各2の製造行為は,いずれも盗撮によるものであるから,法7条4項の製造罪ではなく,同条5項の製造罪が成立するのに,同条4項を適用した原判決には,法令適用の誤りがある,というものである。
しかしながら,法7条5項は「前2項に規定するもののほか」と規定されているから,同条4項の罪が成立する場合には同条5項の罪は成立しないことが,法文上明らかである。
所論は,法7条5項に「前2項に規定するもののほか」と規定されたのは立法のミスであってこの文言に特段の意味はないとした上で,法7条5項の罪と他の児童ポルノ製造の罪との関係は前者が後者の特別法の関係だと主張する。
しかし,法7条5項の罪が追加された法改正の趣旨を考慮しても所論のように「前2項に規定するもののほか」に意味がないと解する必要はなく,法7条5項の罪が特別法の関係にあるとの所論は,独自の見解であって,採用できない。
いずれも法7条4項の罪が成立しているとした原判決の法令適用に誤りはない。