児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

住居侵入罪と性犯罪は牽連犯ではないという主張

 住居侵入罪と性犯罪は牽連犯ではないという主張
 牽連犯を否定した方が有利な事件で主張しました。
 最近は、牽連犯にした最高裁判例もありませんので。令和になって牽連犯になればそれは画期的な判例になります。

性犯罪と住居侵入罪を牽連犯ではないという主張7
1 原判決は住居侵入罪と性犯罪は牽連犯とした 7
2 客観的牽連性がないこと 10
3 判例DBで「侵入」「性犯罪」を検索してみると侵入型は2割くらい 13
①westlawだと147件/862件=17% 13
判例秘書だと190/952=20% 14
③lex/dbでは205/1106 15
4 最高裁も新規の牽連犯を認めていない・学説も消極的 16
最高裁判例解説刑事篇昭和41年度200頁 昭和41年(あ)第915号 軽犯罪法違反鉄道営業法違反被告事件 昭和41年10月26日 船田三雄 17
②朝山芳史「牽連犯に関する覚書ーかすがい現象を中心として」 小林=佐藤古稀祝賀 上242 頁 22
③中山善房「10観念的競合と牽連犯」判例法研究第4巻 23
鈴木茂嗣「15罪数論」現代刑法講座第3巻 24
⑤牽連犯とした大審院判例を変更して併合罪にした判例 25
⑥裁判官横井大三の反対意見(最判S57.3.16) 27
5 住居侵入○○罪()を牽連犯とする大審院判例最高裁判例はなく、住居侵入○○を牽連犯とする判例は根拠にならない 29
(1)住居侵入○○罪を牽連犯とする大審院判例最高裁判例はない 29
(2)住居侵入○罪を牽連犯とする大審院判例(M44.5.23)も今となっては理由が見いだせないこと。 29
(3)最判昭57・3・16の要件を満たさない。 31
(4)判例DBの検索結果 31
(5)○○罪との比較 34
6 牽連犯規定廃止論も根強い 36
①研修412号 住居侵入罪と軽犯罪法一条二三号の罪とは牽連犯の関係にあるとされた事例   伴義聖 36
河上和雄「牽連犯についての反省」司法研修所創立15周年記念論文集下巻 37
③裁判例コンメンタール刑法1巻 38
④大谷實 刑法講義 総論 第二版 p460 39
⑤植村立郎「創造的判例の検討を中心として」判例タイムズ1273号 34頁 40
⑥法制審議会 改正刑法草案の解説(昭和49年 法務省刑事局)p111 41
7 牽連犯の由来は不明確で諸外国では珍しいこと 42
8 性犯罪関係の牽連犯の拡大は、性犯罪の厳罰化・処罰範囲の拡大と逆行する。 45
9 理由不備~「正当理由がないのに~侵入」とされていて、罪となるべき事実上でも、侵入罪と○○罪との牽連性が示されていないこと 47
10 住居侵入罪の被害者はA、性犯罪の被害者はBで、被害者・保護法益の主体が異なること。 48