児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

心神喪失等に陥っている男性と性交等をなし得るのかは,やや想定し難いものがあろう~城祐一郎男性を被害者とする性犯罪(下) 警察公論74巻6号

 立法事実が怪しいと思う。

刑法の準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪について

改正前刑法では, 178条において準強制わいせつ罪及び準強姦罪を規定しており, まず, 1項において、
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて, わいせつな行為をした者は,第176条の例による。
とされており,同条2項において,
女子の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,姦淫した者は,前条の例による。
とされていた。
これが平成29年の刑法改正により,準強制わいせつ罪を規定する1項については特に変更はなかったが, 2項は準強制性交等罪として
人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心神を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした者は,前条の例による。
と改められ, 「女子」に限定されていたものが「人」とされることによって男性も含まれることになり,その行為態様についても,「性交等をした」に改められたものである。その理由等は,強制性交等罪で述べたのと同様である(本誌前号78頁以下参照)。
この準強制わいせつ罪及び準強制性交等罪は,暴行又は脅迫を手段として用いることなく,それ以外の方法で心神喪失や抗拒不能にさせたり,既にそのような状態になっていることを利用したりして, わいせつ行為や性交等に及んだ場合に成立する。 したがって,男性がそのような状態になってわいせつ行為の被害者になることはあり得るものの,心神喪失等に陥っている男性と性交等をなし得るのかは,やや想定し難いものがあろう