「行方が分からなくて保護者が心配しているにもかかわらず、連絡しなかったことが未成年者誘拐容疑にあたる」という未成年誘拐容疑で逮捕された被疑者が「彼女の親に連絡は入れていないが、彼氏と彼女の関係であり、無理やり連れてきたわけではない」と弁解している事例
「甘言」でも誘拐になります。
偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせて、他人をその生活環境から離脱させ,自己又は第三者の事実的支配下に置く行為がなければ「行方が分からなくて保護者が心配しているにもかかわらず、連絡しなかったことが未成年者誘拐容疑にあたる」ということはありません。
逮捕事例はたくさんありますが、そのまま起訴されることは少なく、青少年条例違反(深夜同伴とか淫行とか)に落ちていることが多いと思います。
条解刑法
第224条(未成年者略取及び誘拐)
未成年者を略取し,又は誘拐した者は,3月以上7年以下の懲役に処する。
客体
未成年者である。
20歳未満の者をいう(民3)。
婚姻した未成年者は,民法上は成年に達したものとみなされるが(民753),本条の罪の客体からは除外されない。
生後2日目の嬰児も客体となり得る(東京高判昭37・7・20判時31921)。
3) 行為
略取又は誘拐することである。
(ア)意義
他人をその生活環境から離脱させ,自己又は第三者の事実的支配下に置く行為のうち,暴行・脅迫等の強制的手段を用いるなど人の意思を抑制して行う場合が「略取」であり,偽計・誘惑を手段とするなど人に誤った判断をさせて行う場合が「誘拐」である。
これらを合わせて拐取という。「事実的支配下に置く」とは,被拐取者に対し物理的な作用や心理的な影響を加えて,その自由意思を制圧又は制御する状態に置き,拐取者又は第三者の管理下から離脱することが困難な状態にすることである。
被拐取者の自由を完全に拘束した状態に置く必要はないが,拐取手段等として加えられた物理的な作用や心理的な影響のほか,被拐取者の年齢・精神状態本来的な生活場所との距離・文化的環境の相違等も考慮して判断される。
略取における暴行・脅迫は,被拐取者を自己又は第三者の事実的支配下に置き得る程度で足以相手方の反抗を抑圧する程度のものである必要はない。
例えば,事態に適切に対応する能力の未熟な子どもの場合その子の携帯品を手中に入れ「これを返して欲しければついて来い」などと言った程度でも,略取の手段としての脅迫になり得る。
コンテナ内に入っている者を外部から施錠して閉じ込め,コンテナごとトラックに乗せて運び去った場合は暴行・脅迫以外の手段を用いた略取である。
また,麻酔薬を用いて意識を失わせて連れ去るというように,被拐取者を心神喪失・抗拒不能に陥れて事実的支配下に置いた場合や,嬰児やこん睡状態にある者を連れ去るというように,被拐取者の心神喪失・抗拒不能に乗じた場合も,略取に当たる。
誘拐とは,虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥れる場合のほか,その程度に至らないが,甘言をもって相手方の判断を誤らせる場合をいう(大判大12・12・3集2915)。
相手方を心神耗弱に陥れて,あるいは相手方の知慮浅薄・心神耗弱に乗じて,被拐取者を事実的支配下に置いた場合,偽計・誘惑を手段としていなくても誘拐である。
したがって,泥酔して適正な判断ができない者を甘言すら用いずに誘導して自動車に乗せて連れ去った場合も誘拐になる。
現に保護されている生活環境から離脱させることが必要である。
被拐取者を場所的に移動させることを要するかについては見解が分かれている。
本来的な生活場所にいる者をそこで監禁して自己の事実的支配下に置き,保護者等が出入りできないようにしたとしても,生活環境から離脱させたとはいえないでLあろう。
しかし親と旅行中の幼児を自己の事実的支配下に置き親を幼児から引き離して戻れないようにした場合のように,要保護者を生活環境から離脱させたといえるようなときは.被拐取者を場所的に移動させなくても拐取に当たるであろう。
拐取の手段としての暴行・脅迫・偽計・誘惑は,必ずしも被拐取者自身に対して用いられる必要はなく.被拐取者の保護者に加えられでも拐取罪が成立する(大判§ 224 注3)(イ)~6)・225 657明41・9・22録14-776)。
https://digital.asahi.com/articles/ASKDQ5KCLKDQOBJB01D.html
17歳の彼女を自宅に迎え入れ誘拐容疑、22歳男を逮捕
2017年12月22日18時18分
愛知県警は22日、保護者に連絡せず17歳の女性を自宅に招き入れたとして、交際相手の会社員の男(22)=同県豊川市=を未成年者誘拐容疑で現行犯逮捕し、発表した。「彼女の親に連絡は入れていないが、彼氏と彼女の関係であり、無理やり連れてきたわけではない」と容疑を否認しているという。豊橋署によると、会社員は22日、「彼氏の部屋に行く」という内容の書き置きを残して自宅を出た豊橋市の無職の女性(17)を、女性の保護者の承諾を得ず自宅に迎え入れた疑いがある。女性の母親は交際に反対していて、会社員の家を知らなかったため、警察に相談。22日午後0時40分ごろ、捜査員が会社員宅で2人を発見したという。
署は「行方が分からなくて保護者が心配しているにもかかわらず、連絡しなかったことが未成年者誘拐容疑にあたる」と説明している。
http://www.tonichi.net/news/index.php?id=65037
保護者に無断で交際中の少女泊める
未成年者誘拐で逮捕・豊橋署
2017/12/23
豊橋署は22日、未成年者誘拐の疑いで、豊川市(22)を現行犯逮捕した。 逮捕容疑は、21日に交際中の同市無職の少女(17)の保護者の承諾を得ずに、22日まで自宅に迎え入れて少女を誘拐したとされる。 同署による...
http://tokai-tv.com/tokainews/article.php?i=42154&date=20171222
交際中の17歳少女を親の了承得ず自宅に…“未成年者誘拐”容疑で22歳男逮捕
2017/12/22 19:18配信
交際中の17歳の少女を保護者の了承を得ずに自宅に迎え入れたとして22歳の男が”未成年者誘拐”容疑で愛知県警・豊橋署に逮捕されました。
22歳の会社員の男は、21日から22日正午過ぎにかけ、交際中の無職の少女(17)を、少女の母親の了承を得ず自宅に迎え入れた未成年者誘拐の疑いです。
少女は、母親が外出中に「彼氏のところに行く」といった書き置きを残し、男の自宅に行っていましたが、男の住所や連絡先を知らない母親が警察に相談していました。
警察によりますと、男と少女は交際関係にあるものの、保護者に連絡先などを伝えずに未成年を連れ回したことが誘拐にあたるということです。
少女の母親は男と少女の交際に反対していたということで、男は「彼女の母親に連絡は入れていないが無理やり連れてきたわけではない」と供述しています。
(最終更新:2017/12/22 19:56)