児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「東京に来て。俺のところに泊めてあげる」という未成年誘拐の逮捕事例

 甘言でも未成年者誘拐罪になりうるとされています。
 淫行とか児童ポルノ製造目的の場合は、わいせつ目的誘拐になる可能性もあります。

条解刑法
(ア)意義他人をその生活環境から離脱させ,自己又は第三者の事実的支配下に置く行為のうち,暴行・脅迫等の強制的手段を用いるなど人の意思を抑制して行う場合が「略取」であり,偽計・誘惑を手段とするなと。人に誤った判断をさせて行う場合が「誘拐」である。これらを合わせて拐取という。
「事実的支配下に置く」とは,被拐取者に対し物理的な作用や心理的な影響を加えて,その自由意思を制圧又は制御する状態に置き,拐取者又は第三者の管理下から離脱することが困難な状態にすることである。被拐取者の自由を完全に拘束した状態に置く必要はないが,拐取手段等として加えられた物理的な作用や心理的な影響のほか,被拐取者の年齢・精神状態本来的な生活場所との距離・文化的環境の相違等も考慮して判断される。

誘拐とは,虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥れる場合のほか,その程度に至らないが,甘言をもって相手方の判断を誤らせる場合をいう(大判大12・12・3集2915)。
相手方を心神耗弱に陥れて,あるいは相手方の知慮浅薄・心神耗弱に乗じて,被拐取者を事実的支配下に置いた場合,偽計・誘惑を手段としていなくても誘拐である。
したがって,泥酔して適正な判断ができない者を甘言すら用いずに誘導して自動車に乗せて連れ去った場合も誘拐になる。
現に保護されている生活環境から離脱させることが必要である。被拐取者を場所的に移動させることを要するかについては見解が分かれている。本来的な生活場所にいる者をそこで監禁して自己の事実的支配下に置き,保護者等が出入りできないようにしたとしても,生活環境から離脱させたとはいえないであろう。しかし親と旅行中の幼児を自己の事実的支配下に置き親を幼児から引き離して戻れないようにした場合のように,要保護者を生活環境から離脱させたといえるようなときは.被拐取者を場所的に移動させなくても拐取に当たるであろう。

http://www.sankei.com/affairs/news/151113/afr1511130025-n1.html
12日に「(容疑者が)未成年者を自宅に監禁し、児童ポルノを撮影している」などとする匿名の通報があり、発覚。同署は児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いもあるとみて、詳しい経緯を調べる。

 逮捕容疑は3日午前4時ごろ、大阪府内の中学3年の女子生徒に「東京に来て。俺のところに泊めてあげる」などと連絡。自宅アパートに連れ込んだとしている。

 同署によると、容疑者は約1年前にインターネット掲示板を通じて女子生徒と知り合い、これまでも複数回、会っていたという。12日の情報をもとに同署員らが現場を訪れ、室内に1人でいた女子生徒を保護。帰宅してきた容疑者を逮捕した