児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

長野県子どもを性被害から守るための条例の手引

 作らないと言っていたのですが、情報公開請求したら、出てきました。
 

平成28年(2016年)9月26日
to 長野県警察本部生活安全部長
from 長野県県民文化部長

「長野県子どもを性被害から守るための条例」の適正な運用について(依頼)
日ごろ、青少年の健全育成並びに非行防止活動に御尽力を頂いておりますことに感謝申し上げます。
さて、本年7月7日に「長野県子どもを性被害から守るための条例」が施行され、11月1日付けで罰則規定が施行されます。
罰則規定について、県としての考え方を整理しましたので別添のとおり、送付させていただきます。
国民の権利を不当に侵害しないよう条例の趣旨を尊重し、適切に運用いただきますようお願い申し上げます。
担当:県民文化部次世代サポート課

長野県子どもを性被害から守るための条例の規制項目の解説
次世代サポート課
【威迫等による性行為等の禁止】
第17条第1項
何人も、子どもに対し、威迫し、欺き若しくは困惑させ、又はその困惑に乗じて、性行為又はわいせつな行為を行ってはならない(罰則2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
l「何人も」とは、県民はもとより、旅行者、滞在者を含み、年齢、性別、国籍等を問わず長野県内にいる全ての者をいう。また、行為者が子どもの場合でも本条違反に該当するが、第20条(適用除外)の規定により罰則は適用しない。
2「子ども」とは、18歳未満の者をいう。
なお、婚姻の有無は問わない。
3「威迫」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により、心理的威圧を加え、相手方に不安の念を抱かせることをいう。
4「欺き」とは、嘘を言って相手方を錯誤に陥らせ、又は真実を隠して錯誤に陥らせる行為をいう。
5「困惑」とは、困り戸惑い、どうしてよいか分からなくなるような、精神的に自由な判断ができない状況をいう。
6「困惑に乗じて」とは、困惑状態を作為的に作り出した場合だけではなく、既に子どもが何らかの理由により困惑状態に陥っており、それにつけ込んで(乗じて)性行為等を行う状況をいう。
7「性行為」とは、「性交及び性交類似行為」と同義である(昭和40年7月12日新潟家裁長岡支部決定)。『性交類似行為』とは、実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為をいい、例えば、異性間の性交とその態様を同じくする状況下におけるあるいは性交を模して行われる手淫・口淫行為・同性愛行為などであり、児童買春・児童ポルノ禁止法における性交類似行為の解釈と同義である。
8「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を刺激興奮せしめたり、その露骨な表現によって健全な常識のある一般社会人に対し、性的差恥心及び嫌悪の情をおこさせる行為」をいう(昭和39年4月22日東京高裁判決)。
具体的には、陰部に対する弄び・押し当て、乳房に対する弄び等がこれにあたる。
・・・
第19条第3項
第17条第1項又は前条第2項に規定する行為をした者は、当該子どもの年齢を知らないことを理由として、前2項の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該子どもの年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
「当該子どもの年齢を知らないことに過失がないとき」とは、例えば当該子どもから l8歳以上であるとの偽造運転免許証を見せられた場合などは免責される。