児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

熊本県少年保護育成条例の解説に紹介されている無罪判決(名古屋簡裁h19.5.23)

 判決書は公開されていないのですが、
 名古屋簡裁の判決が地方に浸透しているようです。

熊本県少年保護育成条例の解説h27
3 第1項関係
(1) 「みだらな性行為」とは、「淫行」 と同義語で、一般社会人からみて不純とされる性行為をいい、結婚を前提としない、単なる欲望を満たすためあるいは好奇心からのみ行う性行為がこれにあたり、性交のほか性交類似行為も含まれる。また、不純であるかどうかは、あくまでも社会通念上判断されるべきものである。
なお、17歳の女子高生と分かつていながら性交したとして、愛知県青少年保護育成条例(淫行の禁止)違反の罪に関われた男性に対する無罪判決(平成19. 5. 23、名古屋簡裁判決)が出ていることから注意が必要である。
同裁判は、被告である男性が「単に自己の性的欲望を満たすためだけの目的」 で性行為に至ったのかが争われたもので、判決では、
「不倫」 「結婚を前提にしない」というだけでは刑事罰の対象とはならず、「加害者と青少年との関係性、行為の手段方法状況等の外形的なものを捉え、青少年の保護育成上危険があるか、加害者に法的秩序からみて実質的に不当性、違法性があるか等、これらを時代に応じて『社会通念』を基準にして判断すべき」と述べた上で、一定期間に映画を見に行くなどのデートを重ねたこと、女子高生も男性に対して好意を抱いており、合意や心的交流があったうえでのセックスだ、ったことなどから、「淫行」 に相当するというには相当な疑問が残るとして、男性を無罪としている。
また、同判決では、以下のような場合は、たとえ合意があっても青少年保護の観点から社会通念上非難に値する行為、つまり「淫行」としている。
?職務上支配関係下で行われる性行為
? 家出中の青少年を誘った性行為
? 一面識もないのに性交渉だけを目的に短時間のうちに青少年に会って性行為すること
?代償として金品などの利益提供やその約束のもとに行われる性行為