目的犯ではないので、リベンジでなくてもいいという構成要件になっています。
検事さんの論稿では2次的公開については「私事性の認識がなかった」という弁解が紹介されています。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150622-OYT1T50061.html
LINEを使ったリベンジポルノの摘発は全国初という。
発表によると、2人は4月中旬、ゲーム仲間の男女でつくるLINEの三つのグループに、メンバーの20歳代女性の上半身裸の画像を投稿するなどし、不特定多数が閲覧可能な状態にした疑い。
この画像はa容疑者が撮影し、LINEに公開。b容疑者は保存した上で別のグループにも投稿し、拡散させたという。女性が同庁に相談し、発覚した。
(定義)
第二条 この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2 この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。
(私事性的画像記録提供等)
第三条
1 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。捜査研究768号私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
イ保護法益
本罪の保護法益は,性的プライパシーである6)。
本法は,全体としては,個人の名誉と性的プライパシーの保護を目的としているが(1条),罰則については,名誉を保護法益とする刑法の名誉段損罪が存在することから,本法の罰則は性的フライパシーのみを保護法益としている。1条の前半部分において「私事性的画像記録の提供等により私生活の平穏を侵害する行為を処罰する」と規定され,「名誉」の文言が除かれているのはかかる趣旨である。
行為主体
本罪の主体は特に限定されていないので,画像を撮影した者や撮影対象者から直接受け取った者だけでなく,二次的に取得した者についても本罪は成立し得る。例えば,インターネット上で既に公開されていた私事性的画像記録を,撮影対象者等と無関係の者が発見し,別の場所に転載した場合でも,本罪は成立し得る(もっとも,そのようなケースでは,私事性の認識を欠くものとして故意が否定される場合もあると思われる。)。月刊警察378号
Qこれまで,リベンジボルノを処罰することができる法律はなかったのですか。
Aこれまで,リベンジポルノについて正面から規制する法律はありませんでしたが,想定される事案の大部分は,名誉毀損罪(刑法230条),わいせつ物頒布等の罪(刑法175条),児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ禁止法」といいます。)違反の罪(同法7条2項,6項)等,既存の罰則を適用して処罰することが可能であり,現に処罰された事案も少なくないものと考えられます。
もっとも,名誉毀損罪が成立するためには,当該行為が人の社会的評価を害するに足りるものであることが必要であり,その立証は必ずしも容易でない場合があること,わいせつ物頒布等の罪は,画像等の「わいせつ」性が要件とされているところ,「わいせつ」に当たらない性的画像の公表等によっても撮影対象者の性的プライバシーに重大な被害が生じ得ること,児童ポルノ禁止法違反の罪は,撮影対象者が18歳未満の児童である場合にのみ成立し得るもので
あることなどからすると,処罰すべきリベンジポルノ行為の全てについて,既存の罰則によって対応できるとは言い切れない状況にありました。
そこで,既存の罰則による処罰の隙間をカバーするものとして,新規立法の必要性が指摘され,本法の成立に至りました。