児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「公然猥褻行為に当るストリップショウのために劇場を貸与した者は、公園内容を知らなかったとしても、その後観客の一人として観覧したのであるから、その内容は熟知しているといわなければならない。Cは、このような公秩良俗に反する演技を知った時は、A及びBにその内容の修正、変更或はその上演の差替等を強硬に要求して、公演のための劇場の提供を拒絶する等公開を阻止するための有効な措置をとって、犯罪行為の行われることを防止する条理上の義務があるといえる。それにもかかわらず劇場を提供して、Aの演技をそのまま続演させていたのであ

 いまだと掲示板の管理者の刑事責任の話。
 警視庁のS29の見解です。
 (昭和一三、三、九、大判)は業務上過失の判例です。

一七四条
公然猥褻行為に当るストリップショウのために劇場を貸与した者の責任

ストリッパースAは、興業師Bと演技内容につき相談の上、劇場舞台において、全裸となり数百名の観客に陰部が見えるような姿態で約二分間ストリップショウを演じた。Bの依額を受けて劇場を貸与した支配人Cは、このストリップショウを観客席で観覧したが、その後も連日公演させていた。A、B、Cの罪責如何。

AとBは公然猥褻罪(一七四条)の共謀共同正犯であり、Cは公然猥褻幇助罪ハ一七四条、六二条)である。
理由 先づAの行為を観察するに、Aは、全裸となり、陰部が見えるような委態で約二分間ストリップショウを演じたというのである。ストリップショウが一種の芸術であるとの論も行われているが、芸術であろうとなかろうと、性器を露出する行為のごときは、或る程度男女関係の見方、猥褻観念の緩和を見た今日といえども、公秩良俗に反し、一般人をして差恥嫌悪の感を抱かせる性質を有し、性慾の刺戟興奮又は満足を目的とする行為と認められるから、狼襲行為というべきである。しかも、劇場舞台上で数百名の観客を前にして為されたものであるから、Aの行為は、まさに公然猥褻行為を為したことになるわけである。
Bは興業師であり、Aとその演技内容について協議し、その内容を熟知しているのであるから、必然猥褻行為について謀議をしたことが認められ正犯の責任を負担することは当然である。
Cは、Bの依額により、劇場を貸与したものであるが、演技内容について全然知らずに貸与することは考えられないし、又、知らなかったとしても、その後観客の一人として観覧したのであるから、その内容は熟知しているといわなければならない。Cは、このような公秩良俗に反する演技を知った時は、A及びBにその内容の修正、変更或はその上演の差替等を強硬に要求して、公演のための劇場の提供を拒絶する等公開を阻止するための有効な措置をとって、犯罪行為の行われることを防止する条理上の義務があるといえる。それにもかかわらず劇場を提供して、Aの演技をそのまま続演させていたのであるから、他人の犯罪行為を認識しながら、これを防止すべき義務ある者(例えば警察官吏、被害者の雇人、物品の看守者等以がその義務に違背して、自己の不作為により正犯の実行を容易ならしめた場合には、不作為による従犯の成立がある(昭和一三、三、九、大判)のと同様にCの行為は、A及びBの必然猥褻行為を、劇場を提供することにより容易にしたもので、同罪の幇助罪に該ると云わなければならない。
尤も、CがBから劇場借用の依頼を受けたときに、その内容について詳細これを聞き協議の上、Aをして公演させた場合は共謀共同正犯としての責任を負わなければならないわけである。