児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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青少年の深夜外出制限 何を優先 もう一度考えて

 佐賀新聞は、親同伴なら2300以降も子どもが映画見てもいいというのです。

http://www.saga-s.co.jp/news/ronsetu.0.2312035.article.html
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青少年の深夜外出制限 何を優先 もう一度考えて
 佐賀県青少年健全育成条例には、子どもたちの深夜外出の制限がある。深夜(午後11時〜翌日午前4時)に保護者は外出させてはならないし、映画館などの事業者は立ち入りを禁止することになっている。条例は子どもたちの非行防止に加え、健やかな成長を願ってのことだが、近年はライフスタイルが多様化。家族で深夜に行動するケースも増え、ニーズに応えるようにアミューズメント環境も整い、子育て世代には悩ましい。
 佐賀県庁に今夏、こんなメールが寄せられた。小学生の娘と映画館に行ったが、入場を断られた。理由は午後11時以降に終了する映画は県条例で「保護者同伴でも観賞できない」という。子ども同士で深夜徘徊(はいかい)しているわけでもなく「家族で楽しく過ごそうとする行動に県が規制をかけるのは疑問」とのことだった。
 同様の意見は他県でもあり、保護者からは「親が子どもに対して責任を持てばいいのでは」「行政が個人的なことに介入しすぎ。何で条例で規制するのか」などの声が上がっている。
 子どもの親権は保護者にあり一義的には家庭の問題だろうが、睡眠が十分とれなかったり不規則になったりと、結果的にさまざまな心身の不調や障害を引き起こすこともある。
 日本小児保健協会は睡眠中に体の調節や成長に必要な各種ホルモンが分泌され、睡眠によって免疫力が高まることなどを指摘。さらに睡眠にはリズムがあり日中に目覚め、夜は眠るように体内時計などで調整されており、乱れると注意力や集中力の低下などが生じてくるとしている。
 こうした健康面の観点と、非行など「悪の誘惑」から守るために深夜外出の制限は設けられた。保護者に対しては努力規定となっているが、映画館やカラオケボックスなどの事業者に対しては「深夜興業等の立ち入り禁止」を別に定め、違反した場合は10万円以下の罰金または科料(千円以上1万円未満)の罰則を設けている。

・・・
 確かにどこまで行政が踏み込んでいいのかは悩ましいところだし、核家族化や生活スタイルの多様化で家族や親子の触れ合いう時間は少なくなっている。子どもに合わせた生活は、大人にとって窮屈で不自由に感じることもあるだろう。しかし何を優先すべきか。もう一度見つめ直してはどうだろう。(澤野 善文)
2012年10月18日更新

佐賀県青少年健全育成条例の解説H19
(深夜外出等の制限)
第20条
保護者は、特別の事情がある場合のほか、深夜(午後11時から翌日の午前4時までをいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。
2 何人も、保護者の委託を受け、又はその同意を得る等正当な理由がある場合のほか、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。
(平成元年12月部改正);
〔要旨]
本条は、青少年が家庭環境の中での食事、睡眠や学習等の規則正しい生活習慣を身に付け心身ともに健全な育成を凶るため、また青少年を深夜外出に伴う悪の誘惑や被害から守るために、保護者の注意義務と第三者による深夜の連れ出し行為を制限しようとするものである。
〔解説〕
1 第1項は、青少年が深夜に外出することにより、健全な育成を阻害し、また悪い影響を受け、あるいは、被害を受けることのないよう保護者の監護義務を定めた訓示規定である。
2 「深夜」 を午後11時から翌日の午前4時までにした理由は、旧風俗営業等取締法による深夜営業の規定との均衡及び労働基準法による深夜業の時間に、勤労青少年が帰宅及び出勤に要する時間をそれぞれ1時間考慮して定めたものであり、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の深夜(午前零時から日出時までの時間)とは異なる。
「特別の事情」とは、新聞や牛乳の配達、交替制による夜勤あるいは青少年団体活動、夜行列車による旅行等のほか後述の「正当な理由」 にあたる場合も含まれる。
3 第2項は、保護者以外の第三者が故なく深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめて盛り場等をはいかいするなどにより青少年に悪影響や被害な与えることを防止しようとするものである。
「正当な理由」 とは、保護者の不在中の火災、盗難の通報や急病人発生等の緊急事態発生時の通報等がこれにあたる。
「連れ出し」とは、深夜において青少年をその住居、居所から離れさせることをいい、「同伴し」 とは、現に同席し、同行するなど同ーの行動をとっている状態をいい、「とどめる」 とは、相手方(青少年)が帰宅の意志表示を示しているにもかかわらずこれを翻意させ、又は制止することをいい、いずれの場合もその手段、方法あるいはその行為に至った経過を問わない。

(深夜興行等への立入禁止)
第21条
興行を主催する者又は客に遊技、スポーツその他これらに類するものを行わせる営業で規則で定めるもの(以下「遊技業等」 という。)を営む者(以下「興行者等」 という。)は、深夜に興行を主催し、又は遊技業等を営むときは、当該興行又は遊技業等の場所に青少年を立ち入らせてはならない。
(平成元年12月、平成18年12月部改正)
2 興行者等は、深夜に興行を主催し、又は遊技業等を営むときは、当該興行又は遊技業等の場所に立ち入ろうとする者の見やすい箇所に、青少年の深夜における立入りを禁ずる旨の掲示をしなければならない。
〔要旨〕
本条は、輿行を主催する者又は客に遊技等をさせる営業者が深夜に営業を行う場合、青少年を入場させることの禁止義務と一定の標示の掲示義務を規定したものである。
〔解説〕
1 「深夜に興行を主催し、又は遊技業等を営むときIとは、営業の形態から、常時深夜に興行又は営業を行う場合はもちろん、通常は、午後11時までに終了する形態のものであって、たまたま深夜に及んだ場合も含まれる。

「遊技業等」は次の営業をいう。
一硬貨又はメタルを投入することにより作動する遊技機を設置して客に遊技を行わせる営業(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第1項第8号に掲げる営業を除く。)
二設備を設けて客に玉突き、ボーリング又は卓球を行わせる営業
三個室を設け、当該個室において客に専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる営業
四漫画喫茶(その名称の如何を問わず、漫画本の閲覧を主たる利用の目的とする客のために、相当量の漫画本を備える店舗をいう。)の営業
インターネットカフェ(その名称の如何を問わず、インターネットの視聴を主たる利用の目的とする客のために、インターネットを利用することができる端末設備を設置する店舗をいう。)の営業
2 第2項の掲示する様式は、知事が規則第2条で定めており、深夜に興行を主催する者又は客に遊技等をさせる営業者は、興行又は遊技業等を行う場所の入口等入場しようとする者の見やすい箇所に掲示しなければならない。
なお、掲示は、午後11時前に相当な時間をおいて掲示することが適当である。