児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ図画罪(刑法175条)と体裁が似ていたので、児童ポルノ罪も包括一罪としていましたが、間違っていました。by 最高裁調査官

 奥村はh12ころに気付いて主張しました。
 調査官は立法過誤と言いたいんでしょうけど、奥村の主張を排斥し続けたんだから、最高裁も同罪ですわ。

鹿野調査官 最高裁判所判例解説64巻7号
【9】1 児童ポルノを,不特定文は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合の罪数
2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定又は多数の者に販売して提供するとともに,不特定又は多数の者に販売して提供する目的で所持した行為が,全体としてー罪とされた事例
(平成21年7月7日第二小法廷決定棄却)


(2) 裁判例
児童ポルノ罪の罪数についての当審判例はなかったところ,下級審においては,多くの裁判例が存在し,その中には,児童ポルノ罪に該当する複数の行為を包括ー罪とするものと併合罪とするものがあり,結論が分かれていた。高裁のものとしては以下の?ないし?が存在する。
ただし,児童ポルノ法7条は,平成16年6月18日法律第106号(平成16年7月8日施行)により改正されており,その改正前は,わいせつ図画罪の条文(注3)に類似したものであった。?及び?の各判決は,その改正前の法が適用された事案についてのものである。

(4)検討
児童ポルノの所持及び提供
平成16年6月18日法律第106号による改正前の条文の体裁からすれば,児童ポルノの販売,所持について,わいせつ図画罪における販売,所持と同様に,同ーの意思のもとに行われる限りにおいて一罪として処罰されるとの解釈もあり得るところであり,前記文献はこの立場をとっていた。
また,児童ポルノの提供が結果であり,所持はその前段階行為ととらえれば,牽連犯とし、う考え方もあり得ないではない、。
イしかし,わいせつ図画販売,所持の罪が社会的法益に対する罪であるのに対し,児童ポルノ製造,所持,提供等の罪は,児童を性欲の対象とする風潮を防止するという面で児童一般を保護する目的もあるとはいえ,児童ポルノ法1条に明記されているとおり,当該児童の権利の保護をも目的としている罪であることからすれば,その罪の性質上,わいせつ図画罪と同様に解(注5)することは相当ではない。すなわち,わいせつ図画罪は,わいせつ図画が頒布,公然陳列等されることによって初めて社会の善良な性秩序が害されるの
であり,わいせつ図画の所持は,それ自体によっては善良な性秩序を害しないものの,目的が存在することによる危険性から処罰されるものである。したがって,頒布,公然陳列された場合にその前段階の所持を包括して評価す(注6)ることには,合理性がある。これに対し,児童ポルノは,提供等によって初めて児童の権利が侵害されるのではなく,提供等に至らない製造,所持等も,それ自体において被害児童の性的権利を侵害する行為である。提供等の目的を必要とするのは,単純な製造,所持等については刑事的に処罰するほ(注7)どその違法性が高いとはいえないと判断されただけであって,製造,所持が当然に提供等を予定するものではないし,製造,所持された児童ポルノが現実に提供等された場合,製造,所持段階の児童への侵害が吸収される関係にもない。少なくとも,児童ポルノ所持と提供との関係では,これを包括ー罪や牽連犯などとして一罪評価するのではなく,併合罪と解するのが相当と思われる。