児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

判決速報H24-3「有罪認定された売春契約の事実を前提犯罪として,起訴されていない売春周旋の代償を犯罪収益に該当するとして没収,追徴を認めた事例(大阪高判H24.5.25)」

阪高判H24.5.25
判決要旨
売春契約は,売春,すなわち,対{賞を受け又は受ける約束で不特定の相手方と性交することをさせることを内容とする契約なのであるから,同契約は性交の対償の授受と分配に関する約定を含むことが通常であり,売春をさせる立場の被告人らは,売春の相手客の代償である現金の額の決定やその受領に関する権限を売春役の女性から包括的に得ているのであるから,売春の相手客から代償である現金を取得する行為は,その売春契約自体によって行われたと解することに問題はない。組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織犯罪処罰法Jという。)が別表で挙げる犯罪を利得目的で惹起した場合の収益について,これを犯罪に再投資をすることを防止するため剥奪範囲を拡大した趣旨にも沿うものでもある。
したがって,原判決が,起訴された個別の周旋に係る売春の代償だけを没収できると判断し,起訴されなかった別の周旋に係る売春の代償である5万3000円や,その前の約半年間の売春の代償のうち同じ売春役の女性らに係る利益である136万3420円について,いずれもが原判示第1の売春契約との関係で犯罪収益に該当しないとしたのは誤りというべきである。