児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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山口県青少年健全育成条例における「過失によりこれらの行為の相手方が青少年であることを知らない場合においても、前2条の規定による処罰を免れることができない。」


 これはこの程度の解釈でいいと思いますが、他府県ではそうはいいませんね。

山口県青少年健全育成条例の解説H15
[要旨]
第19条の3から第22条までは、この条例が、関係者によって確実に守られ、その目的の達成を確保するため、最小限度の罰則を規定したものである。
なお、第19条の5は、条例第12条第1項に規定する性行為又はわいせつの行為又は第12条の2に規定する入れ墨を施す行為等をした者については、過失によりその相手方が青少年であることを知らない場合においても、処罰を免れることができない旨を規定したものである。
[解説]
1 罰則運用の考え方
この条例は、社会規範として県民等すべての責任において青少年の健全な育成を図るための拠りどころとして制定されたものである。したがって、罰則を主体として強制したり、あるいは濫用するようなことは厳につつしまなければならないのであり、関係者の反省自粛による協力と理解によって運営することが原則である。しかしながら、遵法精神を強調する必要があるので最低限の罰則規定を定めたものである。
2 過失犯処罰
青少年に対する、条例第12条第l項に規定する位行為又はわいせつの行為及び第12条の2に規定する入れ墨を施す行為等については、相手方が青少年であることの認識を欠いていたり、青少年であることを知らなかったとの弁解をする場合が多いと容易に想定されるので、故意犯(相手方が青少年であることを認識していた場合)のみを処罰することとしたのでは、青少年をこうした行為から保護しようとする条例の巨的を十分達し得ない。したがって、過失により、その相手方が青少年であることを知らなかった場合においても処罰すること、すなわち、このような行為をするに当たっては、その相手方が青少年であるかどうかを確認する注意義務を課することとしたものである。
この注意義務の程度は、まさに「社会通念、条理、慣習、法令等によって、通常人としてとり得る行動を標準として」決められるべきことであり、この標準!こ従えば、条例第12条第l項に規定する性行為又はわいせつの行為をする者(青少年と一時的な関係に立つ者)に対して、(年齢不知の過失犯の処罰規定のある)児童福祉法第60条第3項の「児童を使用する者J (児童と継続的な関係に立つ者)と間程度の注意義務(年齢調査義務)を要求することは無理である。
したがって、第19条の5においては、この注意義務(年鈴調査義務)の内容としては、その相手方との一時的な関係から考えて、相手方の身体の発育状況、身なり、言動等から判断して、通常人ならば青少年でないかと疑いを持つようなときに、相手方に年齢を問う程度のものであり、身分証明書、運転免許証等による年齢調査義務まで求めたものではない。
なお、当該行為の相手方が青少年であることを知らなかったことにつき過失があったことの挙証責任は、捜査側にある。