児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

行為当時16歳の少年に対する滋賀県青少年の健全育成に関する条例違反保護事件において,同条例の罰則の適用がない少年について同条例違反の罪が成立する余地はないなどとして,審判を開始しないこととした事例(大津家裁h22.3.23)家庭裁判月報62巻7号105頁

 本件送致事実は次のとおりである。
  「少年は,平成21年5月17日,滋賀県××市○○町×○番地○の少年方において,B(平成×年○月×日生,当時16歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら,自己の性欲をたすため,同人と性交し,もって青少年に対していん行をしたものである。」
2 ところで,滋賀県青少年の健全育成に関する条例(以下「本条例」という。)24条1項には「何人も,青少年に対していん行またはわいせつな行為をしてはならない。」と規定され,本件条例27条1項には「第24条第1項の規定に違反した者は,1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。」と規定されているものの,本件条例29条には「この条例に違反した者が,青少年であるときは,この条例の罰則は適用しない。ただし,青少年が営業者であって,その営業に関する場合は,この限りでない。」と規定されている(本件条例10条によれば,本件条例29条中の「青少年」とは,6歳以上18歳未満の者(婚姻した女子を除く。)を指すことになる。)。
  そうすると,本件送致事実のとおりの事実があったとしても,少年は当時16歳であり,営業者であったことを認めるに足りる証拠もないから,本件条例27条1項の適用はなく,少年について本件条例24条1項違反の罪が成立する余地はない。
3 したがって,本件送致事実が認められたとしても,少年は少年法3条1項1号所定の犯罪少年には該当せず(同法3条1項3号所定のぐ犯少年に該当すると認定し得る証拠もない。),審判に付することができないから,同法19条1項により,この事件については審判を開始しないこととし,主文のとおり決定する。