これは日本語では朗読されたんですよね。手続きやりなおし。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100619-00000040-yom-soci
刑事訴訟法の定めでは、被告に日本語が通じない場合、起訴状の内容などを通訳した上で審理を進めなければならない。地裁によると、地裁が依頼したタガログ語の通訳人が初公判で、2通の起訴状のうち1通の翻訳文を忘れてきた。杉本正則裁判官の指示で、通訳人は日本語の起訴状を見ながら訳したが、公正証書原本不実記載・同行使事件の書面を読み忘れたという。
杉本裁判官も気付かないまま、被告に「二つとも間違いないか」と質問し、被告は「間違いない」と認めた。裁判は即日結審し、判決期日は25日に決まった。
公判後に報道機関からの指摘で発覚。ミスを確認した地裁は弁護人らと協議し、再び罪状認否を行ってから判決を言い渡すことにした。弁護人は「私もタガログ語は分からないので気付かなかった。反省している」と話している。 最終更新:6月19日15時8分
京都地裁のN裁判官の事件で起訴状読み飛ばされたことがありました。後で弁護人が気づいた。
共犯者Bの訴因が被告人の訴因を全部含む内容だった場合は、被告人について起訴状を読み飛ばしても構わないそうです。
大阪高裁h17.10.28
第2 控訴趣意中,訴訟手続の法令違反の主張(控訴趣意書①「控訴理由第2」)について論旨は,原審の訴訟手続において,起訴状及び平成25年3月3日付け訴因変更請求書の朗読が行われておらず,同年3月23日付け訴因変更請求書のみが朗読されたが,同訴因変更請求書は原審における相被告人B(以下「B」という。)に対する訴因変更請求書であって,被告人に対するそれではなく,このような書面の朗読をもって被告人に対する起訴状及び訴因変更請求書の朗読に代えることは許されないから,原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反がある,というのである。
そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せて検討する。被告人及びB両名は平成25年2月7日付けの1通の起訴状で起訴され,その後,被告人につき,同年3月3日付け訴因変更請求書(原判示2の事実中,別表2の番号3の事実の追加を内容とするもの)が,Bにつき,同月23日付け訴因変更請求書(原判示1の事実中,別表1の番号1の事実及び原判示2の事実中,別表2の番号3の事実の追加を内容とするもの)が提出されていたところ,第1回公判調書の記載によれば,同年3月25日に行われた第1回公判期日において,被告人及びBの各人定質問の後,検察官から両名に対する上記各訴因変更請求書に基づく訴因変更(追加)請求がなされ,これに対し両名の弁護人がそれぞれ異議がない旨述べ,上記各訴因変更が許可されたことが認められる。
その後の経過について,所論は,裁判官が「平成25年3月23日付け訴因変更請求書を朗読してください。」と述べ,検察官は同訴因変更請求書のみを朗読したもので,同訴因変更請求書はBに対する訴因変更請求書であって被告人に対するそれではないから,被告人に対しては,起訴状及び訴因変更請求書のいずれも朗読されていない,というが,仮に,所論のいうように被告人に対する起訴状及び訴因変更請求書そのものの朗読がなされなかったとしても,上記Bに対する平成25年3月23日付け訴因変更請求書の記載内容が,被告人及びB両名に対する各訴因を網羅した内容であったため,原審裁判所はそのことを検察官及び各弁護人に確認した後,公訴事実として,当該書面中の変更(追加)後の各訴因を検察官に朗読させることなどにより,被告人及びBに対する起訴状及び各訴因変更請求書の朗読をしたものと認められる。
なお,刑訴法291条によりいわゆる冒頭手続として検察官の起訴状朗読が要求されているのは,口頭主義,弁論主義の要請に基づき,公判廷において,まず審判の対象を上程させた上で,被告人の防御の目標を明らかにし,これを前提に実質的な審理を進行させようとするものであると解されるのであって,本件では,訴因変更請求書に変更後の訴因事実の全部が,しかもその明確性に何ら欠けるところがない程度に記載されているのであるから,人定質問の直後にこれが朗読されている以上,仮に,起訴状そのものの朗読が形式上なく,したがって罪名及び罰条の朗読がなかったとしても,判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反は存しない。論旨は理由がない。
大阪高等裁判所第6刑事部
裁判長裁判官陶山博生
裁判官杉森研二
裁判官杉田友宏