児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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暴行脅迫して淫行する場合・13歳未満との児童淫行罪

 広島地裁H21.9.14は13歳未満との児童淫行罪を認めています。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100222155826.pdf
強制わいせつ,強姦未遂,強姦,児童福祉法違反  
平成21年09月14日 広島地方裁判所 
第2 同校の女子児童であるCが満18歳に満たない児童であることを知りながら,平成14年2月14日から同年3月26日までの間,前後6回にわたり,同校内教室ほか数か所において,上記Cをして,別表2記載のとおり,自己の陰茎を手淫または口淫させるなど,自己を相手方として性交類似行為をさせ,もって,児童に淫行をさせる行為をした
第5 同校の女子児童であるFが満18歳に満たない児童であることを知りながら,平成14年9月21日から同年12月26日までの間,前後6回にわたり,同校内において,上記Fをして,別表5記載のとおり,自己の陰茎を手淫または口淫させるなど,自己を相手方として性交類似行為をさせ,もって,児童に淫行をさせる行為をした
第6 同校の女子児童であるGが満18歳に満たない児童であることを知りながら,平成15年2月1日午前11時44分ころから同日午前11時47分ころまでの間,同校内において,上記Gをして,別表6記載のとおり,自己の陰茎を口淫させるなど,自己を相手方として性交類似行為をさせ,もって,児童に淫行をさせる行為をした

 しかし、広島地裁にはこんな判決がある。
 ある程度任意性がある場合が、児童淫行罪で、そうでない場合は強姦罪

広島地裁H17.3.16
当初「児童をして自己を相手に性交させ、もって、淫行させた」と児童淫行罪も起訴されていた
 被害児童は被告人の命令によって、性行為に応じる姿勢を取ったことが認められる。しかし、これは反抗抑圧の結果であって、児童が性交に応じたからといって、児童が淫行したと評価することはできない。「淫行させる」とは児童の淫行を利用ないし助長する行為を指し、児童に淫行することを強要したり、自ら淫行の相手方となる場合を除外するものではないが、・・・児童淫行罪の「淫行させる」というには、少なくとも、児童に淫行と評価される行為をさせることが必要であって、児童の犯行を抑圧した犯行著しく困難にした状態で、姦淫した場合には、児童において、淫行と評価させる行為をしたとは言い難い。児童淫行罪は成立しない。

 とすると、師弟関係の13歳未満へのわいせつ行為・姦淫行為は、強制わいせつ罪・強姦罪として評価すべきであって、児童淫行罪は成立しないという立論も可能です。
 広島高裁に係属中だと思いますが、主張しているかどうかはわかりません。