児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ摘発最多、被害者の16%小学生以下

 毎度のことですが、氏名が特定された被害児童だけがカウントされていて、無名の被害児童は数えていませんので、これで一喜一憂するのは無意味です。
デーモン閣下の年齢みたいですが、特定できなかった被害児童数を1万・10万とすれば10411人とか100411人になって、下三桁の比較はあまり意味がない。
 罪名でいえば、提供罪・公然陳列罪は被害者を数えないので、流通の被害実態を全く反映していない。
 しかも、主に製造罪になりますが、氏名が特定された場合は、青少年条例違反・児童買春罪・強制わいせつ罪・児童福祉法違反なども立件されていることが多いので、そっちのケアも必要になります。
 ケア、ケアといっても、今は児童でない場合、生存していない場合もあるので、手遅れというか、手がつけられないことも多いと思います。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100218-OYT1T00681.htm?from=main5
被害者の低年齢化も進み、小学生以下が全体の約16%を占めた。わいせつ画像がインターネット上に流出し、被害が拡散するケースも多く、警察庁は取り締まりのほか、被害者の心のケアにも力を入れる方針。
 同庁によると、摘発された事件のうち、最も多かったのは、わいせつ画像や動画を撮影するなどの児童ポルノの「製造」(439件)。愛好者らへの「提供」(382件)や「提供目的の所持」(114件)が続いた。摘発された人数も過去最多の650人に上った。
 被害者は確認されただけで411人。このうち65人は小学生以下で、前年より約67%増えた。母親らが小遣い稼ぎのため、1歳女児の裸の写真を撮って販売するなど、親が子どもの性を売るケースも目立った。顔が特定できない画像なども多く、被害実態はさらに深刻だとみられる。
 インターネットを利用した事件は、全体の約54%にあたる507件で、前年の約2倍。わいせつ画像をファイル共有ソフトを使って不特定多数に提供するなどして被害が広がり、「事件の傷が癒えない子も多い」(警察庁幹部)という。

児童を相手にした性犯罪は減少傾向なのに、サイト経由の性犯罪は横ばいということになりますよね。

少年非行等の概要(平成21年1〜12月)2010.02.18
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/syonenhikou_h21.pdf
P21
(2) 性犯罪被害
過去10年間の少年の性犯罪(強姦及び強制わいせつ)被害の認知件数の推移は、図23のとおりである。平成21年の認知件数は4,111件(前年比6.3%減)であり、6年連続の減少となった。
内訳をみると、強姦被害は603件(同13.2%減)、強制わいせつ被害は3,508件(同5.0%減)と減少した。
(3) 学職別の被害
過去10年間の学職別刑法犯被害の推移は、図24のとおりである。平成21年は、小学生の被害が僅かに増加した(前年比0.5%増)が、その他の学職では減少した。
小学生の刑法犯被害を罪種別にみると、図25のとおり、凶悪犯被害が72件(前年比11.1%減)、粗暴犯被害は967件(同7.6%減)と減少したが、性犯罪被害は830件(同2.6%増)、窃盗犯被害は2万1,781件(同1.0%増)と増加した。

(4) 年齢層別の被害
過去10年間の年齢層別刑法犯被害(0歳から5歳、6歳から12歳、13歳から19歳の3区分別)の推移は、表2のとおりである。平成21年は、6歳から12歳の刑法犯被害が3万3,128件(前年比0.7%増)と増加したが、その他の年齢層は減少した。
13歳未満の刑法犯被害は、図26のとおり3万3,480件(同0.5%増)であり、罪種別にみると、凶悪犯被害は140件(同28.2%減)、粗暴犯被害は1,447件(同7.6%減)、子ども対象・暴力的性犯罪被害(13歳未満の少年が被害者となった強姦、強制わいせつ、強盗強姦(いずれも致死又は致死傷及び未遂を含む。)及びわいせつ目的略取誘拐(未遂を含む。)をいう。)は1,014件(同2.1%減)と減少したが、窃盗犯被害は2万9,777件(同1.3%増)と増加した。

P26
(6) 児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件
児童買春・児童ポルノ禁止法違反事件による送致件数、送致人員、被害児童数の推移は、表5のとおりである。平成21年の送致件数は2,030件(前年比17.2%増)、送致人員は1,515人(同19.1%増)であった。
このうち、児童買春事件の送致件数は1,095件(同3.7%増)、送致人員は865人(同0.6%増)、被害児童数は897人(同6.0%増)といずれも増加した。
児童ポルノ事件の送致件数は935件(同38.3%増)、送致人員は650人(同57.8%増)、被害児童数は411人(同21.6%増)と、いずれも大幅に増加し、統計を取り始めた平成12年以降最多となった。
また、被害児童のうち、未就学児童、小学生は65人(同66.7%増)と増加した。

追記
 製造罪というのは、代表的なのは「ハメ撮り」なわけで、強姦罪とか強制わいせつ罪とか青少年条例違反とか児童買春罪とか児童福祉法違反を伴う。
 これは被害児童が「甲野花子 13歳」という風に人物特定するのが原則なので、名前で数える。これが警察統計の被害者数。
 提供罪・陳列罪というのは、製造犯人から離れていると、被害児童の人物特定ができないので、判例上、人物特定不要になっているので、被害児童数を数えていない。
 例えば、「女子高生100人の援助交際」みたいな動画が流通していて立件されても、氏名が特定できないので、この事件の被害児童数は統計上ゼロになる。画面上で「児童1、児童2・・・」とナンバリングしてもよさそうなものですが、「所論がいうように個々の被撮影者を特定しなければならないとすれば,そのために多大な時間と労力を要し,ひいては写真集を児童ポルノ法による規制から逃れさせることになり,かえって,児童の保護に適わず,不合理である。」ということで、そこまでしなくていいという判例があって、そうなっています。

阪高裁平成14年9月12日判決
第2控訴趣意中,理由そごの主張について
論旨は,(1原判決は,児童ポルノ販売罪(以下「本罪」という。)の保護法益が個人的法益であるとの立場に立っているから,
(1)人相等の特徴で個々の被撮影者を特定しなければならない,
(2)被撮影者が販売時に実在していなければならない,
(2)本罪は被撮影者ごとに成立する,
・・・というのである。
しかしながら,(1)の点については,原判決は上記⑤の結論を否定していない上,児童ポルノが本件のように複数の写真が掲載された写真集である場合には,そのうちの1枚の写真が児童ポルノ法2条3項3号の要件を満たしてさえいれば,その余の写真がその要件を満たしているか否かを問わず,その写真集は児童ポルノに当たると解すべきである(なお,所論は,写真集も児童ポルノに当たると解すれば,表現の自由を不当に侵害するし,複数の写真が一冊にまとめられることによって児童の保護も後退すると主張する。しかしながら,1冊にまとめられた複数の写真は,販売等の際には同じ運命をたどるから,これを一体のものとしてみることはその実態に適っている上,所論がいうように個々の被撮影者を特定しなければならないとすれば,そのために多大な時間と労力を要し,ひいては写真集を児童ポルノ法による規制から逃れさせることになり,かえって,児童の保護に適わず,不合理である。)から,本罪の保護法益が個人的法益であるからといって,上記(1)ないし(4)の各結論が当然に帰結されるものではないし,また,写真集が児童ポルノに当たり得るからといって,犯情の軽重を判断したり,刑を量定したりする際に,その要件を満たす写真や被撮影者の数を考慮することができないと考える根拠もない。したがって,原判決には所論のような理由のそごはない。なお,上記②の結論については,被撮影者が写真撮影時に実在していれば足りると解されるし,上記④の結論についても,原判決が説示するとおりである。また,(2)の点については,その前提が失当であることは既に説示したとおりである。この論旨も理由がない。

 その結果、流通段階の被害実態が認識されなくなってしまいました。
 奥村は、重複をおそれず、それもできるだけ数えようと言っているんです。