児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ@愛知県議会

 単純所持を規制したいのなら条例でやってみればいいのに。奈良県では性犯罪が減ったとも聞こえてきませんが。

2009.03.10 : 平成21年2月定例会(第8号) 本文
14 : ◯八十八番(かしわぐま光代君)
◯八十八番(かしわぐま光代君) 第十款警察費第二項警察活動費、児童ポルノ犯罪対策について質問いたします。
 昨年十一月二十五日から二十八日、ブラジルのリオデジャネイロにおいて、第三回児童の性的搾取に反対する世界会議が開催されました。
 ブラジル政府やタイのバンコクに拠点を置く、児童買春、児童ポルノ、性目的の人身売買の根絶を目指す団体、国際ECPATといいます。児童の権利条約NGOグループ等の共催によって、各国政府や民間団体、企業など百七十カ国が参加し、また、三千人が情報交換し、議論したと聞いております。
 そこで、インターネットの普及によって、児童ポルノや児童買春の問題が鮮明となり、民間企業とともに国際協力を連携して進めていく方針がリオ協定として発表されました。
 十三年前の第一回世界会議においては、日本や欧州が買春ツアーの盛んな国として批判されました。その後、各国において、被害を防ぐための法整備や、旅行会社と連携、協力した買春防止対策が進みましたが、近年はセックスツアーは影を潜め、個人的な旅行で買春する人がふえています。
 以前のように、小児性愛者だけでなく、ネット情報などを得た普通の若者やカップルが観光の一部として買春するなど状況は大きく変化し、いわゆる買い手が多様化したと言われております。
 ネットの新技術が発達し、子供の性で利益を上げるビジネスが拡大しているとか、家庭が貧しくて売られた子は六歳ぐらいから性的虐待にさらされている、より収益になる観光客の相手となっているとの悲惨な現場からの報告が次々挙がりました。
 また、ポルノの世界では、ネットの普及によって購入者がふえ、より幼い子供へより残虐で過激になっているという傾向が報告されました。
 英国のインターネット監視活動団体の調査によれば、被害を受けた子供の年齢はゼロ歳から二歳が一〇%、三歳から六歳が三三%、七歳から十歳が三七%を占めたという報告もあります。
 ところで、日本は、世界一の児童ポルノの製造国だと名指しで批判されています。この不名誉な状況をこのままにしておいていいはずがありません。
 日本は、一九九九年に児童買春・児童ポルノ禁止法を制定しました。しかし、単純保持は禁止しておらず、日本によって過激な画像がネットを通して国の内外に広がる要因となっているのです。
 それでは、順次質問させていただきます。
 質問の一、警察庁のまとめによりますと、昨年一年間で全国の警察で摘発された児童ポルノ事件は六百七十六件、被害児童数は三百五十一人となり、統計をとり始めた二〇〇〇年以降で最多となりました。
 愛知における児童ポルノ事件の摘発件数は何件であり、被害児童数は何人でしたか。摘発された事件の数は氷山の一角であり、被害の実態をあらわしてはいないと思いますが、摘発に当たっての問題点を伺います。
 質問の二、被写体にされた子供を思えば、一生背負い続けなければならない重い心の傷に暗たんとした気持ちになります。法律の壁があるとはいえ、警察当局がやれることは多く、徹底した取り締まりを求めずにはいられません。
 インターネットのサーバーが海外にある場合は、契約者の特定が難しく、ネット上に一度流れてしまうと、画像を完全に消去することが不可能になるなど、現行法の問題だけでなく技術的な面でも多くの問題をはらんでおります。警察だけでなく企業や関係機関、子供の人権を守るために活動している団体との連携等が必要です。
 警察としてどのような対応をしておられるのか、また、今後の検討課題を伺います。
 質問の三、県当局に質問いたします。
 被害を受けた子供たちへのケアについてはどのような対策がとられているのでしょうか。
 また、児童ポルノなどの有害な画像や図書については、特に成長過程にある青少年に閲覧させたり、販売するようなことは何としても防がなくてはならないと考えますが、警察による取り締まりだけでなく、青少年の健全育成を図る観点からどのような対策がとられているのか、お伺いをいたします。
 以上、児童ポルノ犯罪について質問いたしましたが、ここで、昨年末に新聞に掲載されました駐日アメリカ大使、トーマス・シーファー氏の日本における児童買春・児童ポルノ禁止法の改正を求める投稿を御紹介いたします。
 途中からですけれども、読ませていただきます。
 インターネットの普及により、世界各地で閲覧できる児童ポルノは数十億ドル規模のビジネスになった。影響も出ている。心理学者が米連邦刑務所に提出した報告書によると、児童ポルノ犯の八五%が子供への性的虐待を認めた。世界に児童ポルノが蔓延している今、私たちは行動を起こさなければならない。
 日米欧の主要七カ国(G7)のうち、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダ、イタリアでは、児童ポルノの単純所持を処罰する法律がある。単純保持を罰せられないのは日本だけだ。日本が同様の法を制定すれば、無実の人が起訴されるおそれがあると批判する人もいる。
 では、犯罪の犠牲となり、無邪気さを奪われたマリとジュンはどうなるのか。彼らは、生涯ポルノ被害の残像に苦しめられるだろう。友人がネットを利用しているときにおぞましい秘密を知られないか悩むだろう。成長し、親となっても、家族に過去の映像を見られることを心配し続けるだろう。だれが自分の子供にそんな運命を背負わせたいと思うだろうか。
 G7の六カ国が単純所持で無実の人が起訴されないよう対策をとった。日本も児童ポルノ犯を罰するときではないか。
 この問題は日本に限ったことではない。だが、日本は、児童ポルノの製作、供給、消費の主要な拠点となっている。児童ポルノ根絶のため、私たちは団結すべきだ。現在、日本の警察は、児童ポルノの没収はおろか、需要を生み出す者を逮捕、起訴することもできない。撲滅のための手段、法律が必要だ。
との内容です。
 児童ポルノ犯罪撲滅の課題は、単純保持を禁止するために早急な児童買春・児童ポルノ禁止法の改正だと私は考えます。
 以上、愛知県議会、県当局、愛知県警察等々関係者の一層の御理解を期待し、質問を終わります。
◯警察本部長(神山憲一君) まず初めに、当県における児童ポルノ事件の検挙状況ですが、平成二十年中の検挙件数は四十七件、前年対比七件増加しております。検挙人員は五十五人で、前年対比六人の増加となっております。また、被害児童数は十四人で、前年対比十一人増加しています。
 児童ポルノの摘発に当たっての問題点でありますが、児童ポルノ事件の多くがインターネットを利用した販売や掲示であり、その匿名性、広域性から被疑者の特定が困難となっております。
 また、これらの事犯の多くは、もとの画像が多数の人を介して繰り返し複製されているため、被疑者を検挙しましても被害者へつながらない事例が多く、結果として被害者が特定できず、製造元への突き上げ捜査も困難となっております。
 次に、児童ポルノに対する警察の対応及び今後の検討課題につきましては、サイバーパトロールを強化して、販売サイトの発見、検挙に努め、サイト管理者に対する閉鎖の指導、サイトへアクセスする者への警告を行い、被害の拡大防止にも配慮しているところであります。
 また、児童買春等の性的な被害を受けたときに撮影され、これが児童ポルノとして流出することも少なくありません。このため、児童や生徒に対し、性的な被害を受ける要因となっている出会い系サイト等を通じて見知らぬ人と出会うことの危険性や、被写体となった情報が一度インターネット上に流出してしまうと消すことは困難であるという実態について周知を図っております。
 さらに、保護者に対しては、本年四月一日から青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律が施行され、民間事業者によるフィルタリング機能の提供、保護者による子供のインターネットの利用状況の把握が義務づけられますので、その広報啓発にも努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
16 : ◯健康福祉部長(小島通君)
◯健康福祉部長(小島通君) 被害を受けた子供へのケアについて、私のほうからお答え申し上げます。
 御指摘のような被害は、子供に対する性的な虐待でもあり、子供の権利を著しく侵害するもので、子供の心に大きな傷となるものと考えられます。
 このため、その後のケアが非常に重要となってまいります。特に心理的なケアが重要と考えられますので、被害を受けた子供が警察などに保護され、一時保護が必要な場合は児童相談センターが保護し、カウンセリングなどの必要な心理的ケアを行い、子供の立ち直りを支援いたしております。
 また、保護者から児童相談センターに相談があった場合におきましても、同様の必要なケアを行っているところでございます。
 以上でございます。

17 : ◯県民生活部長(石川延幸君)
◯県民生活部長(石川延幸君) 児童ポルノなど青少年に有害な画像や図書にかかわる県の対策についてでございます。
 有害な環境から青少年を保護することを目的といたします青少年保護育成条例によりまして、幾つかの規制を設け、また、立入調査などを実施をしております。
 まず、店舗等で青少年にインターネットを利用させる者に対しましては、フィルタリングソフト、これは有害情報が含まれる情報の表示を制限する機能を有するものでございますけれども、このソフトの活用によって、青少年が有害な情報に接することを防ぐように努める義務を課しております。
 また、インターネット接続業者や携帯電話の販売者に対しましては、フィルタリングに関する情報提供を行うように努める義務を課しております。
 また、著しく性的感情を刺激する図書や写真、ビデオなどの図書類につきましては、青少年にとって有害な図書類ということで指定を行いまして、青少年へ販売することだけではなく、青少年に閲覧させることも禁止をしております。
 また、図書類を取り扱う事業者に対しまして、有害図書類を青少年が閲覧できないように包装した上で、一般の図書類とは別の場所に陳列することを義務づけております。
 県といたしましては、このような条例の規制を書店などに徹底させるために、毎年継続して立入調査を実施をいたしまして指導をしてきております。
 また、今議会において、出会い系喫茶に対する規制を中心に条例の一部改正をお願いをしておりますけれども、その中に、こうした立入調査権限を広げるための改正も含まれております。この改正によりまして、警察官も図書取扱業者への立入調査ができるようになりますので、県警とも一層連携を強めまして、書店等への立入調査や指導をさらに徹底してまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。