児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

非常上告事件

 「ジャッジ」の島ですね。
 被告人は非常上告を申し立てることができません。

刑訴法第454条〔非常上告理由〕 
検事総長は、判決が確定した後その事件の審判が法令に違反したことを発見したときは、最高裁判所に非常上告をすることができる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090714-00000136-mai-soci
 名瀬区検は罰金15万円を求刑し、名瀬簡裁も求刑通りの罰金を命じた。差額の5万円は男性に返還される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090714-00000121-jij-soci
法解釈を誤って上限を超える罰金を科したとして、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は14日、罰金15万円とした名瀬簡裁の略式命令を破棄、罰金10万円を言い渡した。確定後、検察側が訂正を求めて非常上告していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090715-00000033-yom-soci
判決によると、男性は同7月、同市内で運転していた軽乗用車を横転させる事故を起こしたが、車を現場に放置したまま警察に通報せずに逃走したとして、道路交通法の危険防止措置義務違反と報告義務違反で略式起訴された。
 この場合、刑法の規定では、報告義務違反よりも法定刑の重い危険防止措置義務違反のみで処罰されることになるため、罰金は10万円以下だが、名瀬区検が誤って罰金15万円を求め、同簡裁も誤りに気付かず略式命令を出した。

併合罪だと誤解して、加重した上限の罰金を科したようです。

追記
 これは罪数論では有名な判例があるところですね。
 奥村も、この判例を引用して、わいせつ行為(強制わいせつ罪・青少年条例違反)と3項製造罪は観念的競合だと主張しています。

最高裁判所大法廷判決昭和51年9月22日
最高裁判所刑事判例集30巻8号1640頁
最高裁判所裁判集刑事201号439頁
裁判所時報698号1頁
判例タイムズ340号114頁
判例時報825号3頁
 たしかに、所論引用の判例は、車両等の運転者がいわゆるひき逃げをした場合において不救護、不報告の各罪は併合罪となる旨判示したものであつて、本件と事案を同じくすると認められるから、原判決は右判例と相反する判断をしたものといわなければならない。
 二 ところで、刑法五四条一項前段にいう一個の行為とは、法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで行為者の動態が社会的見解上一個のものと評価される場合をいい(当裁判所昭和四七年(あ)第一八九六号同四九年五月二九日大法廷判決・刑集二八巻四号一一四頁参照)、不作為もここにいう動態に含まれる。
 いま、道路交通法七二条一項前段、後段の義務及びこれらの義務に違反する不作為についてみると、右の二つの義務は、いずれも交通事故の際「直ちに」履行されるべきものとされており、運転者等が右二つの義務に違反して逃げ去るなどした場合は、社会生活上、しばしば、ひき逃げというひとつの社会的出来事として認められている。前記大法廷判決のいわゆる自然的観察、社会的見解のもとでは、このような場合において右各義務違反の不作為を別個の行為であるとすることは、格別の事情がないかぎり、是認しがたい見方であるというべきである。
 したがつて、車両等の運転者等が、一個の交通事故から生じた道路交通法七二条一項前段、後段の各義務を負う場合、これをいずれも履行する意思がなく、事故現場から立ち去るなどしたときは、他に特段の事情がないかぎり、右各義務違反の不作為は社会的見解上一個の動態と評価すべきものであり、右各義務違反の罪は刑法五四条一項前段の観念的競合の関係にあるものと解するのが、相当である。

道路交通法
第72条(交通事故の場合の措置)
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
2 前項後段の規定により報告を受けたもよりの警察署の警察官は、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止するため必要があると認めるときは、当該報告をした運転者に対し、警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨を命ずることができる。

罰則
第117条の5
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
一 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項前段の規定に違反した者(第百十七条の規定に該当する者を除く。)

第119条
次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
十 第七十二条(交通事故の場合の措置)第一項後段に規定する報告をしなかつた者