児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

衆議院青少年問題に関する特別委員会 第4号 平成21年4月15日(水曜日)

 EMA甘いと糾弾されています。居ないのに。
 「ちゃんと法律作ってくれたらやりますよ」って言い返さないのが不思議ですね。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/007317120090415004.htm
池坊委員 公明党池坊保子でございます。

 きょうは座って質問をということだそうでございますが、立っていないと何か質問がしづらいですが、座らせていただきます。

 四人の参考人の方々には、大変有意義なお話を伺い、本当にありがとうございました。

 嶋参考人は、私、同期の桜でございますね。きょうは、久しぶりにお目にかかれて大変うれしゅうございました。

 嶋参考人がおっしゃるように、携帯電話、インターネットにおける光の部分、私も大いに認めるところでございます。

 今、私たちがインターネットや携帯電話なしに生活しろと言われたら、私は、携帯電話がなかったときの自分を思い起こすことはできないぐらい便利な生活をいたしております。

 また、それと同時に、光の部分とともに、同じぐらい負の部分があるのではないかというふうに私は思っております。判断力が不完全な次世代たちに、きちんとした、良好な環境を与えていくのは、先を歩んでいる人間の義務ではないかというふうに私は考えております。

 例えば、インターネット上の違法・有害情報対策として、インターネット・ホットラインセンター、これは、国分さん、私、大変にお世話になって、何度も何度も会議をいたしましたけれども、ここは、インターネット利用者から違法・有害情報に関する通報を受け、警察への通報やサイト管理者に対する削除依頼を行っていらっしゃいますけれども、通報件数は月に一万件を超えると、私は、調べて聞いております。

 また、ことし四月一日毎日新聞では、児童ポルノ画像を投稿するサイトに、成果に応じて報酬を支払うアフィリエイト広告を仲介した広告代理店社長を児童ポルノ禁止法違反の幇助で立件したというふうにも言われております。これは明らかに負の部分ではないかと思っております。

 私は、文部科学副大臣をいたしましたときに、メールによるいじめ、それに伴う自殺者が出まして、また、学校の裏サイトなどが問題化いたしましたので、子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議というのを毎回開かせていただいて、いろいろな提言を行い、また、報告書も出したりいたしました。「「ネット上のいじめ」から子どもたちを守るために 見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を」、こういう報告書、後でちょっとお読みいただきたいと思います。国分さんには、そのときには本当に、何度も会議を重ねましたので、お世話になりました。

 また、携帯業者の方々にもいろいろなお話を伺いました。その中で一つ感じましたことは、情報モラル教育が大切なんじゃないか。全国にこのような、「お父さん!お母さん! お子さんのケータイ・ネットの利用は大丈夫ですか?」あるいは「見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を」、こういうものを保護者や先生、生徒たちにも配付いたしました。

 でも、一方で、私が大変むなしさを感じましたのは、そういうことをやりながらも、なおかつ、もちろん特効薬なんかあるわけないんですけれども、どうやったら子供たちを、携帯電話をもっとよく使う、インターネットをもっとすばらしく利用できるような環境に大人たちが導いていくことができるのだろうかと、それができないもどかしさというのをずっと感じたりして今日を迎えております。ある意味で、これは私の一生を通じた仕事ではないかと思ったりもいたしております。

 先ほどからフィルタリングサービスのお話が出ました。青少年インターネット環境整備法において、十八歳未満の青少年が携帯電話、インターネットサービスを契約するときに一応それを受けるということでございます。

 でも、こんなことを四人の方は御存じでいらっしゃるか、ちょっと伺いたいんですが、ことし二月から三月にかけて、未成年に人気の携帯サイト、モバゲータウンミクシィなどの運営会社六社に対して、警視庁から、出会い系サイト同様の書き込みがあるとして、削除要請が出ました。

 ことし一月、ミクシィの書き込みをチェックしていた警視庁少年育成課の担当者は驚いた。なぜかというと、出会いというキーワードでサイト内を検索しますと、約六百件ものコミュニティー、サイト内のグループが見つかるそうです。出会いが楽しいとか、出会いが欲しいとか、すてきな出会いを、奇跡的な出会いとか、一期一会の出会いなど、いずれも青少年の心を呼び起こすような、興奮、刺激を与えるようなものなんですね。コミュニティー内には、何と、十六歳から二十四歳の間の交際相手を希望します、中学生、彼氏募集中ですといった書き込みがあったそうです。

 警視庁によりますと、去年、出会い系以外で買春などの被害に遭った十八歳未満の子供は七百九十二人、本家の出会い系の七百二十四人を上回っているんですね。

 今回警視庁から削除要請を受けた大手交流サイトの四サイトはフィルタリングがかかっている携帯電話でも見ることが可能と伺っておりますが、それが本当かどうか、四人の方々に次々伺いたいと思います。

○加藤参考人 今お話のございましたそういうサイトが私どものフィルタリングサービスの中で見れるかといいますと、当時、見れておったと思います。

 これは、EMAという第三者機関が、コミュニケーションサイト、これはカテゴリーでいいますと八番目の順番のところのカテゴリーなんですが、私ども、これは、灰色といいましょうか、真っ黒じゃなくて、カスタマイズできる対象にしてございますけれども、一方では、EMAさんとして、社会的にそれは大丈夫だとおっしゃっていただいていますので、それをオープンにしてございます。

 もし何かありますれば、私どものカスタマイズ機能でとめることはできますけれども、それは後先になる可能性もございますので、もしそういうことがあったとするならば、そのときは閲覧ができたのではないかと危惧してございます。

池坊委員 余り時間がございませんので、お三方、ちょっと短目にお願いいたします。

○長尾参考人 それでは、KDDIでございますけれども、もう手短にということで。

 今現在でいえば、小学生の場合には、親御さんが拒否されない限りはホワイトリストを全部自動的に適用しておりますので、小学生の児童の方はそこにアクセスすることはできません、私どもの場合。

 ただし、ブラックリストを適用されている中高生について言えば、ドコモさんと同じで、EMAさんの方からそういった審査が出ておりますので、その結果に応じて、この四社についても見られる状態になっているということでございます。

○嶋参考人 よく存じ上げております。

 私どもも、公正な第三者機関であるEMAにて事実確認をしているということもよく存じ上げておりますし、今おっしゃったように、モバゲータウンミクシィそれぞれ、ミクシィは千六百三十万人の方がお使いになっている、ある意味でSNSの文化を引っ張っているところでございます。そちらの方々も、そういう中でそれがいいサイトとして運営されるように十分努力を重ねておられることも、ミクシィ及びモバゲータウンということではよく存じ上げております。

 同時に、まだそういうことがある。警察庁が、改正出会い系サイト規制法ですか、それに基づいてなされたことは、よく存じ上げておる次第でございます。

池坊委員 申しわけございません、国分さんは後の質問のときに伺いたいと思います。

 今、EMAのお話が出ましたけれども、昨年四月に、携帯サイト業界は、EMA、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構というのを設立なさいましたね。ここでは、学識経験者らが少年にとって有害でないサイトを認定、監視していらっしゃいます。ことし三月三十日現在で二十四サイトが認定されているかと思います。この中には、先ほどのミクシィモバゲータウンも有害でないと認定を受けているんですね。私は、ちょっと甘いんじゃないかなと思って心配をしている一人です。

 これらのほかのサイトのコンテンツはほとんど有害ではないと私は思いますけれども、これはやはり何らかの対応が必要じゃないかというふうに思うのですが、インターネット協会の国分参考人の御意見をちょっと伺いたいと思います。

○国分参考人 実際にそういう書き込みがあったかどうかというのは、私は直接見たわけではないのでよくわかりませんが、CGMサイトと言われる掲示板サイトの場合は、結局、後から何を書かれるかがわからないので、書かれた後、常にそれを管理して、監視していなければならない。それに対応する相当の体制があるということでEMAが審査をして、通しているんだろうというふうに思いますが、ああいう報道があるということは、やはりそれでも体制が足りないんだなというふうに思う次第です。

 例えば、昨年、秋葉原事件で犯人が書き込んだ携帯サイトの会社の方にお話を伺ったんですが、滋賀県にある会社ですけれども、そこは、社員が十人ぐらいなんですけれども、十五万ぐらい掲示板があって、無料のレンタル掲示板のビジネスをしていまして、あの秋葉原事件以後、世の中からいろいろ言われるので、週末とか夜間も、ベンチャーのビジネスを開始したころからおられる経営者が一生懸命見ているとおっしゃっていましたけれども、努力は認めるけれども、結局まだまだそれでも不十分だなと。

 だから、人海戦術だけではなくて、そういうものを自動的に発見するツールとか技術開発のようなものもまだまだこれからやっていかないといけないんじゃないかなというふうに私は思っております。

池坊委員 これは、警視庁の少年育成課の発表ですので、正しい調査でございます。

 もう一つ、これもちょっと驚くべきことで、携帯電話とかインターネットに関係しているなと思いますので、ぜひ聞いていただきたいと思うんですけれども、私は児童ポルノに対しましても大変関心を持っておりまして、アメリカ連邦捜査局FBIの特別捜査官を招いて、世界の児童ポルノ犯罪の実情について聞いたことがございます。その悲惨さに衝撃を受けましたけれども、恥ずべきことは、日本というのは児童ポルノ大国として各国から強い非難を受けているんですね。

 警察庁は、ことし三月二十六日、総合セキュリティ対策会議二〇〇八年度報告書と題する文書を公開いたしました。今年度の課題は、インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策ということになっております。報告では、二〇〇八年には六百七十六件の児童ポルノ事犯を検挙し、過去最多を記録いたしております。

 同報告書によりますと、海外では既に積極的な対策が行われておりまして、ホットラインセンターの運用による児童ポルノの削除のほか、ISP、インターネット接続業者によるブロッキングなどの対策が実施されております。

 ISPによるブロッキングというのは、アメリカとかイタリーとかオランダとか、いろいろな国がこれを実施いたしております。例えばイタリアとかフィンランドは法令によってISPに対して実施が義務づけられておりますが、義務づけられていないような国もございますけれども、どちらにいたしましても、自主的であれ、みんながそういう問題意識を、各国が持っているわけです。

 私は、これから、携帯電話、インターネット、私たちにとって必需品であるならばもっともっと広まっていくだろうし、もっともっといい使われ方をしたいと願っておりますので、やはりこれは、児童ポルノ犯罪の撲滅には、流通にかかわる方すべての認識と対策が必要なのではないかなという気がいたしております。

 先ほど嶋さんがおっしゃったように、私も泉さんと一緒に、京都でございまして、京都の教育には大変力を注いでおります。こういういい使われ方をするのはいいんですけれども、片方ではそうでないという現実もございます。

 これをお聞きになりましてどのようにお思いになるか、ちょっと皆様方から御意見を伺いたいと存じます。

○加藤参考人 ありがとうございます。

 まことにゆゆしき問題だと認識します。

 それぞれのところで、例えば私どもの業界ですと、EMAでありますとか、ブラックリスト、リスト化をするところのネットスターだとか、私ども使っておりますけれども、そういうところで厳正かつ公正に運用されているものだと認識しておりますけれども、もし漏れ等がございますれば、これは携帯業界のみならず、インターネット、パソコン、それと社会全体の問題であろうかと認識いたしますので、私どもも気を引き締めながらこの件については監視し、認識を深めていきたい、このように考えております。

○長尾参考人 先生のおっしゃられることに対して全く異論はございません。やはり、取り組んでいかないといけないことだというふうに思っております。

 これは、通信事業者という立場でいくと、どうしてもコンテンツの中身にまでなかなか介入できないということで、実際に我々がチェックできる範囲でということで公式サイトというのを用意しているわけですけれども、もうそのホワイトリストの方式では十分満足できないというお客様がどんどんふえてきているということになると、やはり、そこのところをどう境目をつくってやっていくのかというのが大変問題になってくる部分だろうと思います。

 もちろん、法的な面あるいは制度的なところからも、いろいろな形でやはり考えていかないといけないし、関係者それぞれが全力を尽くしていかないといけないというふうに思っています。

 我々のところでは、できることといえば、やはり、大変ボリュームが多くなってきておりますけれども、我々自身も、公式サイトのチェックを怠りなくやっていくことであるとか、さらには、先ほどちょっと触れましたけれども、より効率的にチェックをできる技術的な仕組みということで、画像を自動的に認識してそういったものを排除していくとか、そういったものの技術開発も、人海戦術だけではどうしても限界が出てくるところがありますので、そういったものについての研究開発もして、実用化にお役立てしたいというふうに考えております。

○嶋参考人 全くおっしゃるとおりだと思いますし、今池坊先生から同期だというふうに言っていただきましたし、池坊先生御自身、これをライフワークとしてなさっていくというお話でございますので、微力ながら、いろいろな形でまた意見交換をさせていただければと思っている次第でございます。

 ちょっと一点だけ申し上げますと、先ほどの話に戻りますが、モバゲータウンとかミクシィもそれなりの対策は当然やっているわけでございます。モバゲータウンだと四百人が常時監視しているとか、そういうことだそうでございますが、それでもなおかつ、なかなか難しい、こういう状況であります。

 したがいまして、そういうことに対して、本当に技術的にどういうふうに可能かということをしっかりとやっていくことが必要かというふうに私自身は思っております。

 以上です。

○国分参考人 私、児童ポルノ池坊先生が御説明された、総合セキュリティ会議のメンバーでありまして、議論の経過は十分存じ上げているんですが、国際的に児童ポルノの画像を撲滅していくというのは、私どものホットラインが国際組織INHOPEというのに加盟していまして、そこで、国際的に共通して、わいせつの画像なんかは国によって違法か違法でないかいろいろ差があるんですが、児童ポルノについては世界じゅう共通して違法ということになっておりますので、うまく連携してそういうものをどんどん撲滅していくということをやっております。

 それから、ホットラインの中でいろいろ作業をする人が児童ポルノの画像を見ると、すごくメンタルな面で、ショックといいますか、そういう部分もありまして、何とか撲滅といいますか、そういうものが世の中にいっぱい存在しているということ自身はやはり恥だというふうに考えなければならないなというふうに思っております。

池坊委員 報告書においても、今後の対策の課題として、インターネットを通じた児童ポルノの流通を防止するためには、その流通にかかわる方々すべてが、それぞれの立場で対策を講じる必要があると書かれております。

 ウエブブラウザーを利用した児童ポルノの流通経路について見れば、例えば児童ポルノの製造頒布を行う当事者のほかにも、児童ポルノが掲載されるウエブサイトのサイト管理者、サーバー管理者、検索エンジンサービス事業者、インターネットサービスプロバイダー、一般のインターネット利用者など、これらのすべての人が一体となって、同じ共通認識のために、いかにしたら子供たちを守り、そしてよりよい社会をつくっていくことができるか、私は、特に携帯・インターネット業者の方々がその使命と責任を強く感じていただければ、なお一層の、教育分野において、いろいろな分野においての携帯電話、インターネットのよき効用があるのではないかと思っております。

 きょうは本当にありがとうございました。