なにせ見てない証拠で裁かれているんですから、後からびっくりということもあるでしょう。
時々聞かれるのですが、それは難しいのですよ。
採用前なら、ただ不同意にすれば裁判所の目に触れなかったものを、採用されてしまってからでは無理なんです。信用性を争うしかありません。
最高裁判所第1小法廷決定昭和26年2月22日
最高裁判所刑事判例集5巻3号421頁
最高裁判所裁判集刑事40号961頁
判例タイムズ11号52頁記録を精査すると第一審公判において弁護人が所論の書面を証拠とすることにつき同意した際、被告人は在廷しながら反対の意思を表明しなかつたことは勿論これに対し何等異議をも述べずむしろこれに同意したものたることが認められるのである。この事は爾後該書面につき証拠調がなされた際にあつても被告人において何等異議を述べなかつたことに徴して明白なのである。されば、右書面を証拠とするにつき被告人の同意がなかつたことに立脚する所論は、その前提事実を欠くものであり、違憲を云為するけれども刑訴四〇五条所定の上告適法の理由に該当しない。
福岡高等裁判所判決平成10年2月5日
高等裁判所刑事裁判速報集平成10年117頁
判例時報1642号157頁
九大法学78号499頁
判例評論489号59頁
第一 訴訟手続きの法令違反の主張について
所論は、要するに、原審裁判所は検察官請求の各書証について原審弁護人から証拠とすることについて同意する旨の意見を徴しただけで右各書証を取り調べこれを有罪認定の資料としているが、被告人は本件公訴事実を否認していたのであるから、検察官が証拠調べ請求をした各書証について弁護人が同意したとしても、これとは別に被告人に対し右書証を証拠として取り調べることについて同意するか否かを確認すべきであり、被告人の同意が得られた書証についてのみこれを取り調べ同意の得られない書証についてはこれを取り調べるべきではないというべきである。しかるに、原審裁判所はそのような措置に出ておらず、かかる訴訟手続きは刑事訴訟法三二六条に違反しており、右法令違反が判決に影響を及ぼすことは明らかである、というのである。
そこで検討すると、刑事訴訟法三二六条一項は「被告人が証拠とすることに同意した書面」については伝聞証拠であっても証拠とすることができる旨を規定しているところ、右の同意は弁護人がその包括代理権に基づき被告人を代理してこれをすることができるものであり、それが被告人の明示した意思に反する等の特段の事情が認められない限り、弁護人の同意をもって被告人の同意とみなして妨げないものと解するのが相当である。
奥村の場合、こんなこと言われるのがいやなので、縮小印刷で差し入れて、気付いたところを箇条書きで送り返してもらうことにしています。