児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被告人に証拠書類を見せない弁護人

 国選弁護だと、謄写費用が出ないので、謄写しないし、被告人にも差し入れないようです。
 それで、検察官請求証拠に全部同意してしまう。自白事件なら問題ないとされる。

広島高等裁判所判決平成15年9月2日
 ところで、被告人が控訴事実について否認の陳述をしているのに対し、弁護人が公訴事実を争わない旨の意見を陳述し、その主張が相反している場合には、刑訴法三二六条一項が書証に対する同意権者を被告人と規定していることにかんがみ、検察官請求の書証について、弁護人が全部同意すると述べたとしても、直ちに被告人が書証を証拠とすることについて同意したことになるものではなく、裁判所は、弁護人とは別に被告人に対し、被告人の否認の陳述の趣旨を無意味にするような内容の書証を証拠とすることについて同意の有無を確かめなければならないと解する。なぜならば、弁護人は、被告人の行うことができる訴訟行為のうち性質上代理を許すもの全てについて、包括的な代理権を有しており、争点の内容に応じて、被告人の意思に反しない限り、検察官請求の書証について全部同意した上で、反証を挙げて控訴事実を争うことも許されるところであるが、被告人の明示又は黙示の意思に反する代理行為は無効であると解されるからである。
(中略)
そうだとすると、原審裁判所としては、原審弁護人とは別に、被告人に対しても、検察官請求の上記証拠に関する意見を聴取し、当該書証を証拠とすることについて同意の有無を確かめるべきであり、被告人の同意が得られなかった場合には、証拠として調べることができないのに、原審裁判所が、その手続を執ることなく、直ちにこれらの証拠を同意書証として採用して取調べを済ませ、事実認定の資料とした点で、刑訴法三二六条一項の適用を誤った違法があるというべきである

 これやると、被告人は公訴事実は認めたとしても、どういう証拠で有罪になったのか、どういう点に注目して量刑されたのかがわからないですよね。
 不当に重くない量刑であっても、被告人の納得が得られない。

 奥村は、在宅でも身柄でも、記録を謄写して、必要ない部分・不相当な部分(被害者の連絡先など)は除いて、被告人に送って、相談しています。
 謄写費用が乏しい場合でも、デジカメで撮影して、4コマ1枚で印刷するとかして読んでもらっています。(在宅の人には、pdfにしてcdromとかすれば安上がり。)