大阪高裁の資料室で何かないかと探していたらこんな判例がありました。
以上の事実によれば,被告人は,昼前にシンナー 1びんを購入してからシンナーの吸入を始め,その影響により記憶もあいまいな状態で,約 7時間余りにわたり,吸入を断続的に繰り返しながら,狭い範囲を自転車で移動するうち、会社の敷地内に立ち入り,自転車をとめて座り込んでいるところを検挙されたもので,のどの渇きをいやし,疲れがとれたら,これまで同様にシンナーを吸入するつもりであったと認められる。そうすると,びん内のシンナー残量は,昼ころからの吸入に続いて吸入するつもりで所持していたとみられ,昼ころからの吸入とは別個の新たな吸入をする目的を有していたとはいえず,前者の劇物吸入罪と後者の劇物吸入目的所持罪とは包括ー罪と解するのが相当である。
特別法の場合併合罪になる傾向がありますけど。
児童ポルノの目的製造罪とその後の所持罪・提供罪については、牽連犯とするものと併合罪とするものがあります。弁護人も実刑事案の場合はそこまでチェックしてあげてほしいですね。
科刑上一罪の趣旨って、武士道とかまでに遡るそうです。そこから書き起こせばもっともらしい理由に聞こえるかもしれません。
只木誠「罪数論の研究」
第一章 競合論の歴史
第一節 ローマ法
第二節 古代ドイツ法
第三節 イタリア法学
第四節 ドイツ普通法学以降
第二章 観念的競合の一罪性とその根拠
第一節 ドイツにおける学説
第二節 わが国における競合論