児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

日本犯罪社会学会でネット上の犯罪

日本犯罪社会学
http://hansha.daishodai.ac.jp/meeting/JASC2008AnnualMeetingProgram.pdf
20日(土) 14:40−17:20
ミニ・シンポジウムA 1号館3階302教室
ネット上の犯罪−書き込みを中心に−
コーディネーター・司会:河合幹雄桐蔭横浜大学
パネリスト:池内ひろ美東京家族ラボ代表)
岡村久道(弁護士)
坂明(警察政策センター・前警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課長)
インターネット犯罪あるいはサイバー犯罪の領域は、多くの興味を集めながら当学会で一度もシンポジウムとして取り上げてこなかったテーマである。そのわけは、この種の犯罪は、定義自体が定まらず、ネットを利用した犯罪に広げれば、際限なく種類があり、ある意味で、リアルワールドと同じだけのバリエーションがサイバー空間にあるとさえ考えられるからである。アカデミックな厳密な検証という意味でも、困難があり研究者泣かせである。
私の企画は、今後の研究の手がかりを見つけようというものである。犯罪社会学の特性から、インターネット関連犯罪の共通した特徴として、匿名性、ユビキタス性、証拠の痕跡が物証と異なることなどに注目する。たとえば、警察は、地理的なゾーンに分かれて捜査、パトロールを行ってきたし、一般市民の目撃者に頼って捜査、防犯をやってきた。これらは、サイバー空間では同じようには通用しない。現状把握だけでなく、将来設計まで考えられればと考える。
ある程度、事件の種類を絞る必要がある。テロは除外し、普通の人々が関与する事件に絞る。池内ひろ美が被害者となった事件をとりあげ、ケース研究的なアプローチをとり、話が拡散しすぎないようにしたい。この事例は、報道レベルでは、いわゆるブログ炎上事件にからんで、2チャンネルに、講演会場を火の海にする、殺害するなどの書き込み(脅迫)をされ、講演会が中止となった事件である。犯人が逮捕され、昨年12 月威力業務妨害罪と脅迫罪で有罪判決となった。実際の事件は、これよりはるかに豊かな内容を含んでおり、その詳細な経過は、本人が大量のデータとして保存している。これを整理して報告してもらう。
シンポジウムの進行は、冒頭で、河合幹雄が、企画の趣旨を述べ、その後、池内ひろ美よりケースを提示してもらう。その後で岡村久道と坂明が、ネット関連事件、なかでも、名誉毀損・脅迫など「書き込み」をめぐる事件について、匿名性、ユビキタス性、証拠保全(ログの保管義務についての自民党案・民主党案)、プロバイダーの責任(民事も含む)などについて報告する。